満足度★★★★★
兎に角、タノピー
夜の陣を拝見:古より伝わりしオープニングライブに始まり、ガチで40分の間に下北の町を徘徊、なるべく有名な人のサインをゲットするコンテスト。役者たるもの、自分で早く着替えるのは当たり前、寝ている演技の役者を、如何に素早く着替えさせるかの競争。コンビニを模したスペースに商品と盗難防止ガードマンを配置、現行犯に。らずに商品をどれだけ多く盗めるか! 点数が同じ場合、より大きな物を盗んでいた方が勝ち。(追記後送)
満足度★★★★
男と女、そして日常
今公演の本来の演出家は、ご逝去されたとのこと。面識はなかったものの、そのようなことを負いながら、公演を予定通り進めて下さった。作る側総ての方々の精神力、プロ意識、そして精進に感謝申し上げると共に、亡くなられた演出家、水下 きよしさんのご冥福を祈ります。なお、今回、演出を引き継いで下さったのは、加納 幸和氏。
以下は、いつも通り、勝手なことを書かせて頂くが、水下さんは、我らを宙宇から眺めて笑っておられるかも知れぬ。何れにせよ、男と女、日常生活の中に潜む狂気や狂的なもの・ことを突っ込みと呆けで形成した後、更なる突っ込みを入れて論点を先鋭化すると同時にテンションを上げて、エッジの利いた短編を作り、更にオムニバス形式に纏めた。(追記後送)
満足度★★★★
権力というもの
劇団ベースボールが、初めて殺陣に挑んだ。やるからには、しっかりとした形をとるものである。キャスティングが一部Wになっているが、キャスティングも良いようだ。(自分はAを拝見)また、全編、権力というものの本質をキチンと押さえたシナリオにブレが無い点も評価できる。(追記2014.2.19)
ネタバレBOX
神は、その昔、狼、狐、狸を作り、この世に誕生させた。其々の種は、共存共栄をしていたが、狐の少女が、摘んではならない、とされていた白い花を摘み、恋する男に与えた。以来、戦乱が絶えず、既に狼は狸の軍門に下って狐との戦いに照準を絞った。狸軍の大将の名はムジナ、先代の大将であった彼らの父は、弟のホンドと真剣で戦わせ、勝者に次代の将を任せると戦わせた。どちらが死んでも構わぬ、と。勝負は弟が勝っていた。然し、兄の首筋に剣を当てた所で弟は攻撃を控えた。勝負あったからである。然し、ムジナは、その弟を刺し実力では上回った弟の優しさに乗じて大将になった。
その後、狸、狼連合軍に襲われた狐の城は落ちる。ムジナは、全員征伐を命じたが、ホンドが、自らの命を賭けて助命嘆願、今後、狐を支配するにも温情を見せた方が得策との意見も認められる。が、負けは負け、狐はその高い誇りにも関わらず、屈辱と忍従の生活を余儀なくされ、狐の美しい女達は、狸の下に嫁がされた。中でも格段に美しい姫、コウは、﨟たければムジナの側室にと運命づけられてしまった。
10年の時が流れ、コウはムジナの予想した通りの美しい娘に育った。ホンドも美しく優しい若者に成長、二人の間には、互いに惹きつけ合う感情が芽生えているが、状況は、この二人が結ばれることを許さない。そんな折も折、ムジナから、嫁ぐように、との命が届いた。一方、面白くないのは狐上層部である。若い娘は強制的に狸に嫁がされて種の断絶を図られ、狐族の誇りの象徴である、首長の娘迄、敵に盗られるとあって、心穏やかなハズは無い。然し、今や、敵は狼を傘下に置き、戦力の差は余りにも明らか。それでも、10年に亘って差別され、収奪され、辱めを受けた無念には、最早、耐えられないという思いが強い。そこで衆議が開かれた。結論は、鬼と呼ばれて、今は人里離れた地域に住む狐、狸、狼を味方につけ、奇襲を掛けることに。然し、現在、狐の将を勤めるスイレンの側近、キタキの裏切りで、待ち伏せに会い、迎え撃ちにされてしまった。元々、狸や狼側に立ち、庇いだてをしてくれているホンドと彼のガードをしている忍び、コクウも反乱軍についたものの、奇襲を知られては劣勢の跳ね返しようは無い。戦は始まり、又しても狸側が勝利した。穏便な解決法と種の共存を訴えたホンドは敢え無く惨殺されてしまった。この後、この闘争を収束するに当たって、ムジナはコウを除く総ての反乱軍の首を落とせ、と命じるが、姫の頼み等によって考え直し、姫が選んだ一人の首を撥ねるという命令に変更。姫は、自らの死を望むが認められず、母親と慕ってきたスイレンの首を選ぶ。それも、自ら死刑執行の役を担うと言うのだ。彼女は、スイレンに最後の望みを訊ね、これ迄自分を育ててくれた礼を述べ、礼を尽くして、母から受け継いだ短刀に死花の毒を塗って、スイレンの首筋を裂く。
満足度★★★★
擬制の終焉
家族と言う擬制の背後と言うより地下に在る蠢きを視覚化した舞台。敢えて、図式的に分かったことになっており、体制側に取り込まれたことになっている表層に拘る形を採りながら、巧みな設定によってそれを逆転させ、アイロニカルな視座が、観客の心に残るように設えられている点が秀逸。
ネタバレBOX
ところで、生存競争理論が、正しいなら、劇中で描かれているマイナスな世界こそ真実だろう。皮相的に聞こえるかも知れないが、頗るシンプルに下意識が、日常的な意識の反転であると仮定するなら、精神のプロトタイプを示すであろう幼児期と父権制下の父、即ち社会との対置に於いて抑圧、被抑圧の関係を取るだろうが、父権制そのものが解体された現在、社会的単位の最小のものとして、父、母、子一人を呈示せざるを得ない。だが、そういった擬制も既に解体しているとすれば、“のんべんだらり”とした日常は、無論、見せ掛けに過ぎず、本当の形は、生存競争の論理、弱肉強食であるのは、論を俟たないからである。
満足度★★★
舞台美術とシナリオがイマイチしっくり噛み合わない
舞台上には煙突が何本もにょきにょき生えている。総て、煉瓦造りの体裁である。殆どの煙突の天辺は、蓋で塞がれ、椅子として用いられている。寧ろ、最初から、この村のイマージュに合わせて、椅子にこんなデザインを施していると解した方が正解だろう。何れにせよ、“揺れる火”国内トップシェアを誇る村の火の精錬に纏わる話である。
ネタバレBOX
そも、我々、現在を生きる知性を持つ生き物にとって伝統とは何であろうか? また、革新とは何であろうか? そのことを、神話にも採られた“火”の利用について問うた作品である。“もののけひめ”以前であれば、その慧眼は、それを評価しなかった評論家の汚点として残ったであろう内実を秘めているが、描き方は、やや間接的に過ぎたか。コミットの仕方をもう少し考えれば、更に良い作品になろう。コミットを過不足なく成功させる為に情報収集と適確な分析力を更に高めて頂きたい。
人身御供の非人間性も、もっときっちり見据えて、ドラマチックに表現しえていたらとは思う。
満足度★★★★
ストレス
舞台美術のセンスの良さに驚かされた。誰でも宇宙船内部だと分かるし、全体的に白を基調にした壁なので清潔感があるのだ。椅子などは有色だが全体とマッチしているので落ち着いた雰囲気である。照明は、適確で上手いと感じたし、音響は、如何にも女性のポップな感覚が表現されていて好みである。また、男性の書く理論に走りがちなSFではなくて、人間関係調整の物語を、途轍もなく長い宇宙航行の宇宙船内という逃げ場のない空間設定に置かれた人間達の物語とした所に、この作品の斬新さ、面白さがあると同時にリアリティーもあるのだ。
ネタバレBOX
どういうことかと言えば、同じ面子が朝から晩まで、面付き合わせていなければならないので、退屈する。その度合いは、苛めをゲーム化して陰湿化するのではなく、心理的楽しみとする所迄進んでいる、といった具合だ。
目的の星、クルカ星に辿りついたクルーは、現地で資源探査と採掘に関わっていた地球人、油井を収容して帰途に就くが、油井はクルーの異様な精神的安定に疑問を抱く。通常、狭い空間に長時間閉じ込められるような状況で、人間は、精神のバランスを崩し、ストレスの為に、殺伐とした精神状況に陥るものだからである。彼は、船内でクルーを観察、或る事に気付く。それは18時から20時の間にクルー全員に配られる薬についてであった。処方している医師、向井は、皆の食事の準備などもしているのだが、毎日、必ず、自分がクルーの所へ出向いて薬を服用させていた。然し、ある日、処方が若干遅れたことがあった。その際現れた、クルー個々の異変は、矢張り、薬の副作用を疑わせるに充分なものであった。油井は、向井に問い詰める。そして分かったことは、クルー全員が国家プロジェクトのモルモットにされていたこと、薬の服用が、航行中のアクシデントなどによって予定より長引いた為、副作用が出やすくなっていること。薬効は、欲求の抑制にあること等であった。つまり、食欲、自己主張、性欲などを抑える効果があったのである。油井は、薬を飲み続ければ、副作用が増大すると考え、この薬を隠してしまいクルー各々に異変が生じる。薬を欲しがるクルーとの問答中、一旦身を隠した油井は、一日分の薬だけを持って皆の前に現れ、争奪中に総ての薬を飲んで、生きる意志を失くしてしまうが。緊急処置によって、大したことにはならず、無事、帰還を目指すことになる。
薬によって、抑えられていた欲求のうち睡眠に関しては、余り積極的な表現が無かったように思うが、長期に亘る閉塞状況を問題にしている点と、薬を用いて、ストレス解消を図ろうとする発想については、かなりリアルに感じた。治験の際に通常採られるプラセボなどに関しては、この船で、治験が行われていることを示唆する表現はあるものの、つまり、他の船のデータを政府は持っているので、比較はできるというレベルより、厳密な科学的思考の為には、入れておいた方が良い。
満足度★★★
シナリオの落ちがgood
人狼ものであるが2パートに分かれており、一場で、初めての観客にもルールなどが、楽しみながら分かるように作られている。カール大帝の招請により、集まったのは9人の王子。大帝の命は人狼を滅ぼすこと。人狼と人間との角遂が始まる。果たして、勝利の女神はどちらに微笑むか?
ネタバレBOX
大帝が、こんなことを命じたのには、訳があった。大帝は人狼であった。300年前、彼は、人の娘と恋に落ちた。然し、彼女は人狼に食い殺されてしまった。彼は、人狼に復讐を誓い、以来、人狼でありながら、人狼狩りをしているというわけだ。
満足度★★★★
長丁場で、流石に高音が
啞蝉坊は明治、大正、昭和を生きた演歌師である。演歌と言っても、北島 三郎の歌うような歌ではない。あれは「流し」と言う。ラッパ節など、現代の歌謡曲の源流にあった歌である。
ネタバレBOX
歌った土取さんは、世界的なパーカッショニストであるが、今回は、主に三味線を用いて歌った。因みに本家本元の啞蝉坊は、総て赤ベラであった。頗る良い声の持ち主であったと共に、天才的なアレンジの才能があったようである。
また、息子、知道も演歌師になりたくない、との思いとは裏腹に、数々の名作を残している。
土取氏の舞台で流石と思わせる点が幾つかあったのだが、その中でも特に、日本語の発音の変遷を歌詞の発音に反映させていた点は見事であった。例えば、明治時代、東京で、菓子は“くゎし”と発音されていたわけだが、当時の発音で歌っていたのである。
これは、彼が、1976年以来、ピーター・ブルックと共に仕事をして来、サヌカイトを用いた演奏をやったり、旧石器時代のクロマニョン人が鍾乳石を叩いて出した、ヒトの歴史初の音楽を、フランスの許可を得て、実際、南仏の洞窟で再現したりしてきた上でのことである。
今回も公演直後にはパリに戻るタイトな日程の中での舞台であったが、再び、彼に会えるのは来年になってかららしい。機会を見付けて次回は、読者も是非、微妙な演歌の世界に浸って欲しいものである。
満足度★★★
大雪の中、観劇
今作は1972年10月、新宿アートシアターで上演されたのが、初演ではないかと思う。蜷川 幸雄演出、主な出演者は、石橋 蓮司、蟹江 敬三、本田 龍彦などで一幕二場の作品である。1972年といえば、沖縄闘争の敗北で、学生運動の転換期に当たる。単行本になったシナリオの扉横には、ギンズバーグの詩の一節が引用され、今作のタイトルも、この詩から採られている。
有名な作品なので、あらすじ等は読んで確認して欲しい。今回の上演では、シナリオに忠実な科白回しであった。
ネタバレBOX
清水 邦夫は、詩が大好きで詩人の書いた作品のフレーズを良く引用するが、殊にリルケからの引用が多いのは衆知の事実だろう。今作でも多くのリルケ作品が引用されている。詩は、文学の中で最も高いレベルの言語表現であるから、テンションが高い。殊にリルケは、読む側、発語する側のテンションが高くないと、その良さが出て来ない。非常にデリケートな、同時に、ピアノ線のように強靭な強さを持った言語表現である。
しょっぱな、自動車が、壁をぶち抜いて、一家団欒の部屋へ飛び込んでくるのは、恐らくは「時計仕掛けのオレンジ」のパロディーだろう。その非日常性によって、観客を巻き込み、毛沢東等の言行も引用しながら、学生運動衰滅期の社会状況とメンタリティーを高いテンションで演じ切らなければならない所に、この作品上演の難しさがありそうである。今作を上演した劇団には、その辺りのことも、もう少し深めて欲しい。
満足度★★★
アイロニカルに見ると面白いコントも
コントというコンセプトで小品を纏めたオムニバス形式の作品であるが、イマイチ、インパクトが弱いのは、シナリオが、もう一歩踏み込んでいない点にあるように思う。
変に観客に受けようとし過ぎない方が良いように思うのだ。
ネタバレBOX
パンデミックや人類滅亡の話はアイロニカルに捉えると、とても面白い。実際、人類などというコンセプトが、実質的には定立してもいないうちに、ヒトという集合は、その爆発的増加による、資源・エネルギー争奪と水・食料の争奪戦に絡んで戦い始め、地球そのものを破戒してしまう可能性は非常に高いのだから。一例を上げるなら、水の惑星とイメージ先行のプロパガンダで踊らされている我らに真水は1%しか与えられていない。
満足度★★★★★
議論すべし
水チームを拝見。
テーマが面白い。対立する意見を出し合い、アウフヘーベンするか納得づくで妥協するか? というのは、普段日本人が余りやりたがらないことである。それを演劇の特徴である対話方式に則って作品化しているからである。
ネタバレBOX
商社の新入社員研修の最終関門で4人の有望新人が選ばれた。男2人、女2人である。この4人で対立する意見を出し合い、問題をアウフヘーベンして解決するか、其々が納得づくで妥協するかで終了する。終了して良いか否かの判断は、探偵のホームズ氏が判断する。各々、席について議論を開始するが、最初に選ばれた問題は、新入社員同士の人間関係で、ここには居ない或る新入社員を批判した油原に対して、言葉の用い方が、他人を傷つけるということについてで、如何にも現在の日本的である。物事の本質より、関係が円滑であることを望む。
大手マスコミが扇動して来たことだが、例えば、問題を起こした責任者をキチンと批判しない。検察が追求しないことも、最高裁が判断しないことも、また、銀行、官僚、企業、政治屋、右翼政商、ヤクザなどがつるんで、悪事を働いていることも、曖昧化し、以て我らの収めた税を無駄に用い、私物化し、あまつさえ国際金融マフィアに持って行かれる。前にも書いたことであるが、原発を止めないのは、経済合理性でもなければ、エネルギー危機でもない。単にプルトニウム型原爆を潜在保有しておく為である。関わっている企業群と動燃・原燃との関係を見てみるがいい。また、経済的には、完全に破綻していることが、火を見るより明らかなことは、国民の誰もが気づいている。エネルギー危機についても、充分に足りていることは、全原発が止まってもエネルギーは供給されたことをみれば明らかである。混乱を招いたのは、寧ろ、計画停電の際、キチンとした情報を、利用者の誰にもわかるように、出さなかった東電にこそ、最も大きな責任があった、と言うべきである。
NHK会長に近頃就任した籾井が問題発言を繰り返していること・政治的意見を出演者に対して強制すること等々に対し、自民党の責任ある立場の政治屋が、臆面も無く庇いだてすること、これらを問題化して即刻辞職させるべきなのは、マスメディアの良識として当然のことなのだが、そんなことも分からないらしい。
いつもの如く、話が逸れたが、初手で、KY関係の議論をし、それから、性と倫理の問題など社会的な問題に入って行く所も良い。また、現実に自殺者の多いことの背景にある問題を浮かび上がらせて、観客に考えさせる趣向も気に入った。
更に、新入社員のみならず、途中参加してくる中年の宇野が加わることによる4人への影響、影響を受けた4人から宇野が受ける反作用もとても良く描けていて楽しめた。
満足度★★★★
破滅の快楽
悪のヒリヒリするような痛みを伴った快感を愉しむ導師とトップ+世間に対してブータレ気味の営業対、ドーピング疑惑をネタに脅されて売人をやらされている、元ゴールドメダリスト。
対するは蜘蛛の糸に喜んで絡まれる、矢張りトップを目指すしかないという強迫観念にヒリヒリし、キリキリ締めあげられ続けている姿を嘲笑うかのような“ヤク”という名の悪を、目的とも手段ともして、破滅して行くアスリートの快楽の果て、時には死。その後の寂滅。
満足度★★★
アイデンティティ不如意
二人の男が、エレベーターに閉じ込められてしまう話。一人は作業服を着ているが、何の為に、自分が其処にいるのかよく分からない。そしてもう一人はスーツ姿である。
ネタバレBOX
閉じ込められてしまった二人は、何故ともなしに話し始め、作業服の男が、記憶を失くしていることもその過程で判明してゆくのだが、実は、この男、地縛霊である。しかも、スーツの男の父なのである。現在、息子は34歳。父が亡くなった時は26歳なので、見た目には、逆に見える。ところで、息子の名は耕太。この物語の主人公だ。そして閉じ込められたエレベーターの設置してあるこの場所は、エレベーター保守・点検などの仕事をしていた父の会社の工場があった場所であり、父は、その保守点検作業中の事故で亡くなっていたのである。耕太は職を転々と変え、今回、工場跡地ビルに入居している企業に就職したのである。母の反対を押し切って。その母も半年前に亡くなった。恐らくは、自分を社会の荒波から守ってくれていた母の死から半年を経て漸く、モラトリアムから脱出すべきだと気付き始めた、余りにも遅い覚醒を迎えた耕太のアイデンティティの不如意を、ビルの途中階で止まってしまって宙吊りのエレベーターという“もの”で表象した作品だ。だが、自分の解釈が当たっていて、34歳にもならなければアイデンティファイできないとは、何と子供っぽい国であることか。この国は!
満足度★★★
リアリティー
Aチームを拝見。
ネタバレBOX
シナリオにリアリティーが無い。設定が荒唐無稽とみられるのは、ただ、某国政府関係者と宣言するだけの人間が「遅くとも1年以内には、人類が滅亡する」と言っているだけで、何かその原因や論拠を明かす訳でも無く、何か恐ろしい大災害が起こる兆しも見せないのでは、観客は巻き込まれたりしない。また、心臓病でずっと入院している子が、走り回ったり顔色が普通の人と変わらなかったり、精神的に幼稚だったりというのもホントに重病人を見たことがないか、取材などもしていないとしか考えられない。ホントに重病で死と日々向き合っている子供や思春期の若者というものは、酷く老成しているものである。
更に、この作品の主人公であるはずの人物は誰で、誰がサブプロットを紡いでゆく人物なのかの差異化が不十分である。また、父親の自死によって精神に歪をきたす程のショックを受け、その為に己を守る為だけに生きて他者との真の関係を失くしてしまった人間であるなら、自らの歪に、好きになった女を引きずり込みたいと考えることはあっても、今作で描かれた程まともな精神状態に、短絡的に改心することなどあるまい。もっと人間観察が必要である。創造の神は細部にこそ宿るのだから。
また、原作に観客を巻き込むようなノウハウが欠けているのであれば、演出が、何らかの工夫をしても良かったかも知れない。
音楽の使い方も何小節かを細切れに使うだけで、効果的に情緒を盛り上げるとか、或いは、世界の終わりを示唆するホントに暗い曲を掛けて滅入らせるといった工夫は感じられなかった。
役者で良い感じを出していると感じたのは、宮坂の女房、すみれ役である
満足度★★★★★
現実にも応用できるであろう演劇
再々演というのが頷ける。素直な、それでいて心洗われ打たれる作品だ。何より実話がもとになっていると言うことも凄いのだが、更に驚くべきことは、今、全従業員の70%以上を知的障害者が占めて尚、チョーク製造企業としてトップクラスの実績を誇っていることである。
強い者が、弱い者を守るのは、当たり前なのだが、守り方は弱い者に教えて貰わなければならない。そのことの大切さ、幸せを構成する要素の殆どが、仕事に携わることから来ているという認識を強い者が腹の底から納得した時の創意工夫の凄さ、力の出方の差、弱さから教わるこつなど、これから、今、自社で体験しているであろう困難な状況を跳ね返して行く為にも、普段、演劇と縁遠い企業戦士、バリバリの社長などにも観て頂きたい。きっと参考になる。(演劇ファン向けは追記2014.2.8)
ネタバレBOX
演劇ファンにも無論、お薦めである。ストレートにぶつかる演技が、力のある役者の総てを掛けて為される時、これほど、自然に見え、且つ、ストレートに観客の心を打つものであるという原点を見せて貰った。
精神障害を持つ少女を演じた桑江 咲菜が素晴らしい。小さな体が舞台では大きく見えた。これは、良い役者の特徴である。
自己責任だか何だか知らないが、下らない基準を持ちだし、欧米に有利な条件を態々作って、我が国の働き蜂の漸く貯めた預貯金を奪ってゆく国際金融マフィアの手口にまんまと乗る無能極まる金融関係者、日銀、都市銀、旧大蔵省、経済産業省の官僚、政治屋等々のせいで、無辜の民が自殺に追い込まれてゆく。この現実の背景にあるものをキチンと解決しなければ、社畜と迄呼ばれるこの国の労働者は、今後も唯、悲惨をしか経験しない。それは、明らかである。
何より、これ迄の事実がそれを証明しているだろう。日債銀、長銀などにつぎ込まれた金は、総て我々の税金である。それが、どういう経緯を辿って、国際金融マフィアに流れたか、よもや忘れてはいまい。これと同じようなことが、他にもいくらもある。消費税にした所で、その導入に当たっては社会福祉など、国民のケアに用いるという約束で導入したわけだが、現実には、軍事費の増大や、罪人でありながら検察の追求をすり抜ける人脈を持ち、その高い地位を利用するだけ利用して血税を私有化し、我ら国民に借金だけをつけまわしてきた下司共を、相反する価値観を持つ今作は、静かに告発しているのだ。
満足度★★★★
一見簡単そうなのほど注意が必要 かも
最初の引っ掛けに気付くか気付かないかで評価が分かれそうだ。
ネタバレBOX
信長役の那珂村 たかこが良い演技をしていた。信長の持っていた時代を切り開く強さ、鋭さ、大将としての貫目が良く出ていたということである。
基本的には荒唐無稽な設定で作ってある。歴史研究会というシリアスな文化部が、いくら真実に迫りたいからといって、霊媒師に頼るなどというのは、はなっから、歴史のシリアスな部分を茶化しているのであって、それは、深読みすれば歴史等、勝者の創作に過ぎないという歴史認識の正しい在り方から見た、凡俗への批判であることは明らかだからである。従って、今作を、先ず歴史そのものへのアプローチと捉えたら、その時点で過ちである。そうではなくて歴史観というメタ歴史認識から始めなければならないのだ。簡単そうに見えるものほど、気をつけなければならない。
このしょっぱなのひっかけをクリアすれば、其処から先は、案外、バランス良く出来ている。馬鹿馬鹿しさをふんだんに取り入れて茶化していることからも明らかなように、これは、社会科学である歴史に、交霊術などという非科学的な方法を採る事そのものの地平を成立させる為の条件だからである。
このように観たので、自分は結構楽しめた。
満足度★★★★
姉弟愛
スキゾVSサルトル的実存。
ネタバレBOX
サルの初体験は中学卒業式の日、皆の前でやらされた。女の子の胸は柔らかで中は温かく、入ると直ぐに果てて、皆から笑われた。帰宅して泣いた。姉ヒロに事情を話した。姉はサルを受け入れ、それからは、姉の部屋で起きることも多くなった。然し、ヒロは彼ができたと言って部屋に入れてくれなくなり、やがて同棲すると言って出て行った。サルは、高校卒業後、専門学校へ通っていたが、中退。部屋に引き籠って映画ばかり観るようになった。ヒロは会ってくれなくなっていたが、弟のことを気に掛けていなかった訳では無く、気にする余り、家を出たのであった。噂を聞いて、友人を通じ、シェアハウスに入居することを勧めた。サルは、姉の友人の勧めというので、入居を決めた。
シェアハウスの住人は、高校生で売りをやっているミユ、韓国人で矢鱈に諺が好きなカイ、一番の古カブで世話好きのマサ、婚約破棄経験のあるハル他メリ、トシ等、同じ屋根の下で暮らすことになった。然し、サルは、姉とのことが、こびりついていて、総てから逃げていた。だが、幻視に現れる姉から、総てを他人の所為にするのではなく、自分自身の人生を選んで行くように諭される。
売りをやっていたミユは、妊娠検査薬で陽性が出た。父親が誰かも分からない。彼女がこんな生活を選択した背景には、母親との微妙な関係があった。母は、ミユを身籠った後、父に棄てられ、シングルマザーとして彼女を産んだ後も男関係は絶えず、娘の前で新しい恋人とセックスするような女だった。思春期のミユは、このような状況でアイデンティティに齟齬を生じてしまった。母に捨てられるという不安も過ったようである。そこで、簡単に金を稼げる売りに走った。
婚約を解消したハルは、子を産めない体であることを婚約後に知り、彼が子供好きで、彼の両親も孫の顔を見たがるであろうことを実現できないとして、彼に理由も告げず、婚約を解消したのであった。
だが、それぞれが、それぞれの新たな生き方を見付けて旅立ってゆく。残ったのは、サルとマサだったが、マサは皆が頼りにしてくれたことを頼りに生きてゆくし、サルも己のスタンスを知り、自死を遂げたヒロの墓に参ろうと考えるに至る。
満足度★★★★
男たちの正体
男たちは、皆100歳を超える童子であった!
ネタバレBOX
座敷童子5人が応援する唐沢は、冴えない。女にもモテナイし、目覚ましが故障して起きられず、駅迄自転車でゆこうとすれば、タイヤがパンクしていて乗れず、而も電車が遅れて、急ぐ途中では犬のフンを踏んでしまう、といった塩梅だ。大きな不幸こそ殆ど無いものの、小さなアクシデントや不運には見舞われっぱなし。最近、会社を馘にされたのが、最も大きな不幸である。
だが、これには訳があった。5人の童子の内の1人が、実は間違って配属された疫病神だったのである。そんな彼にもどんな具合に賽が転がったか、彼と付き合いたいという女性、松島が現れる。然し、運勢が好転しそうになるや否や、除霊オタクの女が現れ、へんてこなアンテナを使って霊がいることを突き止めたばかりか悪霊を祓うと言って文言を唱え出す。この時は、途中で切り上げることになったが、その後、この女の元カレが嫉妬の余り、彼のアパートに乗り込んでくる。一旦は追い返した。が、再びアパートを急襲、押し入れに隠れて女が現れるのを待っていると、女が再び現れ、強い気を発している押し入れの前で経を唱え出すと、たまりかねた疫病神と元カレが飛び出して来た。逆上した元カレは唐沢に襲い掛かるが、女は元カレをストーカーだと言い、唐沢を現在の彼だと言いつくろってこの場を逃れた。運悪くこの現場を松島が目撃、好きな人には、彼女が居た、と勘違いして立ち去ってしまう。
一方、童子達の所へ研修生として来た童子は、仮の姿で、本当は任務で来ていた。疫病神の疑いがあると言う、5人のうちの1人がホントに間違って配属されたのか否か、その真偽を確かめる為に来たのだと。だが、童子として如何にドジな疫病神とはいえ、チームを組んで一緒に仕事をしてきた仲間達は、簡単に仲間意識を捨てられない。そこで1週間の猶予を願い認められたが、丁度1週間目、件の男がやって来て、またもや元カノと彼のことを疑い、終には包丁を持ち出して住人に襲い掛かった。助けを求められた童子達は、本当は人間界に関与してはならない掟を破り男の包丁を取り押さえると同時に疫病神に真実を告げ出て行くよう、促す。傷つきながらの疫病神は出てゆく。
勘違いの一件があって以来、唐沢と松島の連絡はつかなくなっていたが、どういう塩梅か犬に追い掛けられて松島が唐沢のアパートに飛び込んでくる。唐沢は直ぐに犬を追い払い、事情を聞くと、唐沢が、会社に遅れた時と全く同じことが彼女の身の上に起こっていた。疫病神が、どこへ行ったか、これで観客に分かる仕掛けだ。こんなわけで、めでたくカップルが誕生する。
ところで、疫病神は、人を幸せにしようとする意志を買われ、チャンスを与えられて、もし彼女を彼の所に戻すことが出来たら、疫病神から童子に変えるという約束を交わしていた。こちらも首尾よく行ったので、彼は、終に本物の座敷童子になり、恋も実って幕。
満足度★★
良く言えば韜晦だが
韜晦という手法を用いて、この国の陰湿・隠微でまやかしだらけの世界をその側から描いた。どうやら主宰者は、論理で自らを腑分けすることを好まない性質のようである。結果、空気のようなものや雰囲気を守ることにのみコミットすることによって、この国の最もこの国らしい性質に辿りついていると言えるかも知れないが、非論理的である上に神話や物語の古層に迄立ち至っていない為、その説得力は弱いと言わねばならない。
役者達の想像力の翼によって舞台の体裁は保たれているものの、シナリオライターの目指しているものの射程は浅いと言わざるをえまい。
その狭さを意識しているからこそ「山式」というタイトルなのであろうが。外部からキチンと腑分けする視座をも同時に定立し得た時には化けるかも知れぬが、それ迄大きな飛躍はあるまい。もう一つ、可能性があるとすれば神話や古代の物語との格闘を通した取り込みであろう。
満足度★★★★
待つということ
紛争地へ夫を送り出す妻の心境というものは、なるほど微妙なものなのであろう。実際、イラクへ派遣された自衛隊員の中にも自殺者が結構いたという話もあったしな。ある時期から緘口令が敷かれて取材も困難を極めるようになったが。情報隠蔽法が成立したから、何でもかんでも隠蔽しやがる。唯でさえ、この国の資料殲滅は中国より酷いアリサマなのだし。原発をやめない最大の理由は、プルトニウム型原爆の潜在的保有だよ。その為の、もんじゅだったのだが、こけて仕方なく、プルサーマルなんてことをやっているのだ。
ところで、この舞台美術は、とても自然で、女性らしい感覚の出た良いものだった。以前、自分達も、キッドアイラックでグループ展をやったことがあるのだが、その時は、打ちっぱなしの壁だったので、部屋に入ってびっくり。たった2日で作ったそうだ。お見事。
ネタバレBOX
軍人(軍曹)を夫に持つ妻、まやを中心とした人間模様。夫の帰任を来週に控えた彼女だが、夫が不在の間、隣に誰も居ないダブルベッドで眠ることには、寂しくて耐えきれぬ彼女は、体のあちこちが痛くなるにも関わらず、毎日ソファーで寝ている。夫が国外に赴任する迄は気にならなかった階上の住人ドロシー(小津という苗字からついた仇名、えらく太っている大女)の立てる騒音が気になりだし、隣家の主婦、野田に苦情を漏らすとドロシー批判が噴出。他の階の住人迄加わって、ドロシーを追いだすという話迄出て来た。
日常はこのように何処にでもある見栄えのしないものだが、このような状況に異変が生じる。まやの学生時代からの仲良し?、陽子 の夫が亡くなったのだが、その亡霊がまやの部屋に現れたのだ。まやの方でも彼のことを悪く思っていない。但し、大事な友人の主人でもあった人の霊なので、互いに体に触れあうようなこともない。(これは、相手が霊だから触れられないという物理的な話ではなく、あくまで関係性の問題である)
偶々、まやの誕生日に、学生時代雪合戦で縁のあった木村も呼んで彼女の誕生パーティーを開こうという話になり、当日、皆で鍋を囲むことになるが、野田もドロシーの件で立ち寄った際に、一緒に、と誘われ、旦那が出張中だったので相伴することになった。パーティーが撥ねて、木村が先に車のエンジンを温めている間、陽子と2人きりになったまやは、陽子から、亡くなっ夫が夢に現れてけじめをつけたら、木村と結婚するつもりであることを告げられる。その夜、霊は再びまやの下に現れ、寝室へのドアを開けて彼女を誘い、ベッドで彼女が休めるような精神状態を整えると、窓を開け、表へ出て行くところで幕。
お勧めするかどうかは微妙である。