
星がるキミは雲の下
ppoi-っぽい-
インディペンデントシアターOji(東京都)
2012/06/13 (水) ~ 2012/06/17 (日)公演終了
満足度★★★★★
なるほど・・
わりと行く前からここでの評価の低さを気にしていていたのだけれど・・
自分の目で見る限りは、正直、その低さの理由が良く分からなかった・・。
設定のリアリティとか、プロットの複雑さとか・・・
そういった類のものを重視する芝居読みには・・
「イマイチ」な感じになるのかもしれないけれど・・
自分は、まぁ、そういった感じでもなく、
舞台の中で何か光るものがあればそれで十分というか・・。
確かに、「斬新」と言えるほど目新しい何かに挑戦しているわけではないのだけれど、
ラスト20分くらいでそれまで積み上げてきたものが
つぎつぎと新しく姿を現してくる感じはなかなかに魅力的だな、と思ったり。
自分が何よりもこの舞台が素敵だな、と思うのは・・
主人公がとても無気力なようで
実は夢見がちの青年であるということ。
こういう設定、ありそうで実は舞台ではなかなか見かけない。
自分もまぁ考えてみれば、
踊ってる時と仕事をしてるとき以外はけっこう
「眠くて死にそう」
と顔に書いてあるタイプなので(苦笑
こういうぼんやりとした主人公というのは共感できる気がして好みだ(笑
上はキャラクターのハナシだけれど、
次に物語のなかで自分なりに見所っぽく感じたところを書いてみます・・(以下、ネタバレへ・・

わたしたちは生きて、塵
酒井幸菜
横浜にぎわい座・のげシャーレ(神奈川県)
2012/06/14 (木) ~ 2012/06/17 (日)公演終了
満足度★★★★★
なんか、
LIFTのときと同じような感覚でいると、とんでもないことになりそうだった。
やはりチケットはきちんと予約した方が良いです、危ないところだった(苦笑
根っこのところは、昔と変わってないんだろうけれど、
映像や音楽でいろんな人に支えられたのかな・・?
作品としては、年を追うごとに目覚ましい進歩を遂げているような。
若い人が目覚ましい勢いで成長していくのを視るのは、
自分には既にある芸術的な構築物を、腕を組んで眺めるよりも
ずっと素敵な経験であるのは間違いないな。
・・いや、この場合は、成長というよりかは、
色んな味方を得て、
自分の世界を凄まじい勢いで広げていっているとでも言うのかな・・?
いろんなこころのなかに書き溜めたデッサンを、
海に照りかえされた月の光の中にいるみたいにしたダンサーたちが、
ぽつりぽつりと描くように、吐き出すように、
踊りながら形にしていくのをみるのは
それこそキツネにつままれるみたいにフシギで
静かな夢の中にいるみたいな・・。

ナカフラ演劇展
中野成樹+フランケンズ
こまばアゴラ劇場(東京都)
2012/06/07 (木) ~ 2012/06/20 (水)公演終了
満足度★★★★
B,C観劇
『ブレヒト教育劇集』は自分も持っているので、
『イエスマン・ノーマン』 も以前から既に何度か読んでいました。
ただ、まさかこれを上演する若手劇団はいないだろうと思っていただけに、
演目を最初みたときちょっと驚いたり。
短い戯曲ながらも、ブレヒトの不思議な魅力にあふれた作品に自分には思え、
この舞台では、
クルト・ヴァイルの曲のかわりに、
曲がイメージする急峻な山を、かんたんなセットでふんわりと描いていて、
物語のドラマ性よりは、
スマートに主題を抜き出すところに主眼が置かれているようで、
そこが面白いな、と思ったり。
『イエスマン』初演の1930年ベルリンという時代背景を
どこか意識しながらも、あえてまったく触れていないようにも感じられたりもして・・(深読み?(苦笑
昔の戯曲というのは、
普通に上演していても
現在と照らし合わせることで
昔の人たちの色んな想いをくみ取ることができる気がします。
舞台を単純に楽しむのも悪くないけど、
たまには昔の人のひとつひとつのことばに耳を傾けながら、
時代の流れやかつて生きた人たちの想いに気持ちを向けるのも悪くはないな(笑
またあとで書き足します・・出来るか・・?(汗

看板娘ホライゾン
ホチキス
インディペンデントシアターOji(東京都)
2012/05/31 (木) ~ 2012/06/10 (日)公演終了
満足度★★★★★
凄くしっかりした本
ホチキスさんを観たのは初めて(ちなみにチケプレではありません・・
だったのですが、とても面白く楽しめました。
気楽に楽しんでもいいかな、
とも思ったのですが、
気のせいかコメントの前半と後半の評価が分かれてるのが気になって(苦笑
ちょっと観ながら
頭の中で分析したり、整理したりしながら観てみました。
結果としては・・
人にもよるのでしょうが、
自分の感覚としては、
前半の評価があってるのかな(☆5つ)
という気もしました。
ちょっと、他の人も書いている程度に自分も書きながら、
理由じみたものを書いてみます・・。
前半部を観ての感想は、
「凄くよくできた脚本」
でした。
それは、面白いというよりも、
登場人物を頭の中で整理しながら観てみると、
一見都合よくも見える物語の展開がありうるものとして納得できた、ということです。
展開としては、
ドラマなどではありがちながら、
実際に身の回りに置き換えてみると
非現実的にもなってしまう設定を、
登場人物の設定を駆使しながら、
巧妙に「あってもおかしくない話」として、
まったく破綻なく組み上げていくのです。
もちろんその中で
さまざまのハテナ?が湧き上がっては来るのですが、
それらの処理の仕方がまた、見事としか言いようがなかったのです・・
(以下、ネタバレへ(笑

Crime and Punishment
M.M.S.T
横浜美術館レクチャーホール(神奈川県)
2012/06/02 (土) ~ 2012/06/03 (日)公演終了
満足度★★★★★
罪と罰というと・・
帝政ロシア時代のペテルブルグ。
ドストエフスキーが執筆したころは、
この湿地帯を埋め立てた人工の街が生まれてから約160年後、
セラピオン兄弟が活躍している時代の60年前。
その人工島じみた都市のイメージと混然としていたのだけれど、
今回の舞台は、
そうした土地のイメージを最小限におさえ、
シンプルな舞台美術と映像を駆使しながら、
役者陣の全身全霊の演技に全てを委ねているようで、
驚くと同時に好感が持てました。
特にコロ氏など、
柿の演技にかなり近い状態で舞台に立っているようにも見えて、
主演の萬浪氏らとの
バトルじみた台詞の応酬は見応えがありました。
4人の役者陣が交互に
火花の散るように台詞の応酬を続けながら、
残る2人がその間舞台美術と化して
舞台を作り上げていく一体感や緊張感が
罪と罰の苦悩と相まって
空気の質を高めていたように感じました。
東京で生まれたにも関わらず
地元東京での公演はあまり無いような気もしますが、
やはりM.M.S.T.は面白い。

㐂(よろこび)
ろりえ
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2012/05/30 (水) ~ 2012/06/03 (日)公演終了
満足度★★★★★
繊細
昨年末、奥山氏の春風舎でのワークショップの風景をみていたせいか、
今までより物語の奥まで視えてきたように思います。
それを踏まえて他の方の評価をみてみると、
自分の考えよりは評価が若干低いようにも感じられたりもして、
違和感があったりしました(苦笑
今回の作品、今までの作品よりはだいぶ作者の繊細さが前面に出ている気がします。
・・ただ、その繊細さは以前から感じられていたことで
あくまで同じ世界の別の面を見せてあげたにすぎないのです。
というのも、これだけ登場人物一人一人のキャラをしっかり組み立てながら
メリハリをつけて完璧な笑いに仕上げるのは、繊細でないと無理だからです。
・・たとえば自分が前日に観た青☆組ですとか、箱庭なんかと比べてみれば
良く分かるのですが、
奥山氏の舞台では、登場人物のひとりひとりがとても生き生きと(目のキラキラしっぷりが半端ない(笑)文字通り跳ね回っています。
物語や世界観として捉えるなら、
ひとつの流れとして目に見えるかたちは、
青☆組や箱庭のほうがずっと美しく見えたりもするのですが
(そこが評価の分かれ目になったりもするのかな・・?
登場人物のその躍動感は、現在他のどの劇団をも圧倒的に凌駕しているようにも思うのです。
以前はその原因が、ひょっとしたらただ単に奥山氏の周りに
非常に魅力的な役者陣が常に自然と集まっているだけなのかと
勘ぐったりしたこともあるのです(相当初期のころからその傾向が続いていたので(笑
しかし、ワークショップをみてみて、
勿論それも大いにあるのですが、
奥山氏が登場人物一人ひとりのキャラクターを、
役者たちといっしょに作り上げることに恐ろしく長けていることが大きいのだな、と気付きました。
それは、何か特殊な演出法というよりか、
多分演出家自身の、天性の人を見る目によるとでも言えばいいんでしょうか。
今回の舞台を観ていれば良く分かるのですが、
登場人物すべてが、
「凄くバカなのに凄く一生懸命愛おしく生きている」
のが、よく伝わってくると思います。
作者は、悩み苦しみ、それでも生きる登場人物すべてを愛していますし、
誰も決してバカにしていません。
(当たり前な話ですが、想像力が豊かな人は決して
一生懸命生きている人を馬鹿にしたりはしません。
人によっては、
政治家や大臣のような他人に命令できるような立場になって後世に名をのこすことが、
人より優れた人生であると思い込んでいたりもするようですが、
この作品には、
そんな人に誇れるものなど何もなくても、
他人から見れば失敗もあり、悲しくもある寄り道だらけの人生でも、
それも愛おしくて素敵だと信じられる作者の愛が込められているように感じます。
それこそが、自分が演劇に求めているものですし、
この舞台にはそれを優しく表現できる
若い役者とスタッフたちが揃っていた。
もし百年たって、今回の脚本を元に上演しても、
まるで別物になっているでしょう。
自分にとってろりえは、
トリュフォーのように繊細であるという点で、
現在の東京の劇団の最高峰に位置するように感じられます。
そして、それは他の東京のいくつかの劇団にみられるように、
特筆すべきテクニカルな演出法とチームワークによって際立つというよりかはむしろ、
細やかな感性とやさしい想像力によって際立っているという点で、
異色であり、自分にとっては好ましい存在でもあるようにも思うのです。

ゲルダ
ムーンビームマシン
HEP HALL(大阪府)
2012/05/25 (金) ~ 2012/05/27 (日)公演終了
満足度★★★★★
ダンスも物語も凄く練られている作品
自分が見始めたのは「ドロテアノヒツギ」からなんですが、
その頃には既に、東京ではまったく聞こえない劇団にも関わらず
凄くレベルの高い作品を上演していました。
その後も短編長編といくつか作品を観ましたが、
どれも非常にレベルの高い作品でした。
若手のファンタジーを上演する劇団としては、
全国でも屈指の作品をコンスタントに上演していると言って間違いないように思います。
今回の作品も非常にレベルが高く、
東京から見に行く理由としては十分だなと感じました。
物語が正統派すぎると感じる人もいるかもしれませんが、
自分は逆に、その真っ直ぐな視線がとても好きです。
そのうち東京に来るのを気長に待つよりも、
今のうちに大阪のわりと大きめの劇場での公演を観ておいたほうが
良いのではないかな、とも思ったりします。
こういう動きの切れが大事な公演などは特に、
仮に遠征して苦労して上演しても、
地元の温かな空気の中で伸び伸びやるときの魅力に及ばないことが
多いようにも思うからです(それは他の劇団の公演にも大いに当てはまります
ファンタジー系の舞台が好きな人は一度は観ておいた方が良いように思います。

熊に借金
十中連合
其の延長(四条木屋町)(京都府)
2012/05/24 (木) ~ 2012/05/26 (土)公演終了
満足度★★★★
観てきました
会場をよく調べてみたら、
行く予定のライブ会場(アバンギルド)から歩いて数分のところで
時間もちょうど良かったので
当日券でぶらっと観てきました。
飲み屋での公演だったのに、
会場に入ってみると意外にも?
作りこんだアングラっぽい謎のセットがあり(京都とアングラはよく合うね
そのなかで取り留めもない会話やネタが続くと思いきや、
唐突にちょっとシリアスになったりしてて、
長い物語のなかにもメリハリがあって、なかなか面白かったです。
大昔のアングラポップだったころのベビー・ピーにちょっと似てる?
(ベビー・ピーは東京での公演は池袋の小さな劇場であったくらいだったけど、とても好きな劇団なので・・
京都の劇団は、シリアスでしっかりしたものもあれば
今回みたいな取り留めもないようでいて
ちょっと切ない?ようなものもあったり、
また、非常に前衛的なものもあり、
その多くがこりっちにはあんまり載ってないけれど
非常に遊びココロのレベルが高いように思います・・。
ちなみに、
金曜昼に劇研で劇団飛び道具の『七刑人』
(アンドレーエフ原作というのがロシア・ポーランド文学好きには堪らない・・京都はロシア文学よくあるね。今の早稲田の人とか、ロシア文学とかやらないのかな・・?
で夜はviolens@アバンギルド
土曜昼はベトナムからの笑い声の黒川猛氏のTHE GO AND MO'sで夜はrose。
いっこライブが混じったけれど、どの公演も素晴らしかったし、
関西にはこれ以外にも、いけなかったけれど面白そうなのはいっぱいあるので。
特にTHE GO AND MO'sは舞台上の公演は凄くレベルが高かった・・自分が行った回などは観客が数人だったのに。
京都は、観客数と内容が比例しないことが非常によくあるのです・・大昔のトリコAなど(苦笑
なので、東京で大勢の舞台通から高い評価を得た作品よりも、ほとんど誰も観ていない関西の作品のほうが凄い(あくまで自分視点で)ということは普通にあることだと自分はいつも心に留めておくようにしています・・
東京も悪くはないけれど、
関西の聞いたこともない小さなハコに
夕涼みがてらぶらっと立ち寄るのも面白いですよ。

翔べ翔べ翔べ!!!!!バナ学シェイクスピア輪姦学校(仮仮仮)
バナナ学園純情乙女組
インディペンデントシアターOji(東京都)
2012/05/24 (木) ~ 2012/05/27 (日)公演終了
満足度★★★★★
昼の回のほうが
良いんじゃないかな?
帰りに服濡れててもすぐ乾くから(苦笑
夜だとちょっと風邪ひくかも。
でも2月に半袖でライブ行くメタラーだったらきっと風邪はひかないレベル。
自分はメタラーじゃないけど、真冬にライブ行ってもっとずぶ濡れになったこともあったから、そんな気にならなかった。
以前行ったライブで、このバンド絶対ビールぶちまけるってわかってたけど、
最前列でビールかぶったまま飛び跳ねてたこともあったから、
最初からこの劇団?でレインコート着る気もないけど。
そういえばどこかの劇で頭から食紅かぶったこともあったしなぁ・・(苦笑
男子ならレインコートなんか着ないで悠然と頭から水かぶってた方が
バカっぽくて良いと思うんだけどなぁ(笑
黒人さんが良かった。

どうしても地味
箱庭円舞曲
駅前劇場(東京都)
2012/05/16 (水) ~ 2012/05/27 (日)公演終了
満足度★★★★★
線香花火
大阪公演もあるというのに、それをまったく意識してないのか、
あえてこういう風に作ったのか?
役者のメンツを見てみれば分かるように、
どの人も地味なんかではなくて
強烈な個性を持っている(特に女性陣
これだけテクニカルな演出が出来るのなら、
きっと派手な交響曲も作れただろうに、
そこを敢えて?
地味な作品に仕上げたところが素晴らしいように思いました。

ローザ
時間堂
王子スタジオ1(東京都)
2012/05/16 (水) ~ 2012/05/29 (火)公演終了
満足度★★★★
ライブのよう
外を歩く人の声や車の音が聞こえるのは、
京都のSOLECAFEとかそういったところでのライブを思い出されたりして。
夜公演だったので、
最初わりと外が騒々しかったのが、
公演が進むにつれて静かになっていくのが、
物語とシンクロしてるみたいで良かったです。

ドン・カルロス
宝塚歌劇団
東京宝塚劇場(東京都)
2012/04/27 (金) ~ 2012/05/27 (日)公演終了
満足度★★★★★
シラーの原作とは
だいぶ違うけれど、こちらの方が全然好きだな・・。
観に行って良かった。
(原作のように)王子と王妃との邪恋とかだったら、自分は全然テンションが上がらなかったように思います。
かつての婚約者であり、
フランスとイタリアの洗練された文化に育まれた、
妖精のように美しい王妃にはまったく未練もなく、
幼少期に一緒に育った地味な服装の女官のほうばかり見ている王子というのは、
やっぱり良いな、と思う(そこが原作と思いっきり違うけど
・・そうなんだよな、村人たちと一緒になって
足踏みして歌ったりするような王子なら、
「洗練(美しさではなく)より大事なものがある」という、
考えてみれば当たり前にも思われるのだけれど、
気のせいか現在も多くの人が完全に忘れ去っているようにも見える
単純な現実について
(それは心の温かさであるとか熱量とでも言うべきもののようにも思うのだけれど)
気がつかない筈がないんじゃないかと思ったりもする。
(いつも思うのだけれど、洗練とか流行とか言うものは、
人生の中では余技のようなものにすぎないように思われます。
雑誌などのメディアでも、なんでこんな表面的な物事に
多くの比重をさくのか、いまだに理解できないです・・(苦笑)
容姿だけで素晴らしい男性を捕まえたと思いこんでいる女性は、
もう一度、その人物をしっかりとその目で見つめなおした方が良いと思います・・。
宝塚はいつもこうしたあまり他のメディアでは出てこないような大事なものごと
(それは他の舞台作品でもあまりはっきりとは触れられないようなものごとでもある)
についても、端的に表明できるところが素晴らしいです。
・・宝塚のことだから、ドン・カルロスも5月に相応しい爽やかな作品なんじゃ?と思いなおして、
ぎりぎりになって駆け込みで観られて良かった(苦笑
あとで映像でこれをみたら、生で観なかったことを後悔したかもなぁ。
本音を言うと、宝塚はこういう物語(直球)だけ上演してくれても
別に良いかな、とも思ったりもして。
・・あとでもうちょっとだけ書き足します。

厨
演劇企画集団LondonPANDA
インディペンデントシアターOji(東京都)
2012/05/10 (木) ~ 2012/05/13 (日)公演終了
満足度★★★★★
ぶらっと
行ってきました。
・・他の人のコメントを見て、まぁそこそこなのかな、と思ったのですが、
観ていて、これはなかなか、良いのではないかと思ってしまいました(笑
凄くどうしようもない人たちのハナシなのですが、
そういった人たちの弱さと逞しさがきっちりと描かれていて
素晴らしいな、と思いました。
ハッキリ言って観る人を選ぶというのか、
観客によっては結構時間が過ぎるのは苦痛なのかな?
という人も見受けられました(最近観察するようにしています
ただ、中途半端な人間描写に終始する物語が多い中、
この話は、非常に短く端的な表現(ここが特に素晴らしい
ながら、きっちりと人間が描かれていました。
自分は、そんなに難しい構成や斬新な演出などは正直求めていない
(そういうのは音楽のなかで十分足りているし、ポレシュを観た後ではすべてどこか退屈で・・
のですが、このように、なんかおかしな人たちが出てきても、
そこにどこかでみた様な人間たちのカケラがあれば、
それだけで星5つだと思います
(国分寺大人倶楽部にちょっと似てるな、とか思いました・・あっちのほうが地に足ついてましたが
何度も言いますが、観る人を選ぶので、おススメとかはしません。
ただ、目を凝らせばこんなにも素晴らしいものが溢れているのに(そういえば昨日のセルジャン・ガルシアは素晴らしかった・・
新しいものに目をキラキラすることを忘れてしまって、
自分の想像の世界の中だけで王様のようなカオをしている
ちびっ子たち(てほどの年でもないのか)を見て
暗い気持ちになったりする自分には、
なかなか珍しくて良かったのかな、と思いました。
↑ちなみにそういうのはこの舞台に出てくるような(ちょっとオタクな?)人たちだけではなく、
学問文化問わずひとつのジャンルに閉じこもっている人たちに
多く見られるようです・・(先にセルジャン・ガルシアを持ち上げたことでも分かる通り
人生なんて過ぎ去ってみれば、きっと一瞬なのにねぇ・・

拳骨喫茶
げんこつ団
名曲喫茶ミニヨン(東京都)
2012/04/20 (金) ~ 2012/04/20 (金)公演終了
満足度★★★★★
ヅラと宇宙
荻窪に雨の中行ってきました。
拳骨喫茶で無口な役者たちに給仕されつつ
げんこつ団の歴史を映像で振り返りながら、
この劇団の魅力が少しずつ自分のなかで言葉になってきた気がしました(笑
げんこつ団と似た劇団というのは、
実はほとんど無いな、と思っていながらも、
ボンヤリと何かに似てるとは思っていたのですが、
それは、実は「能」なのかな、と思ったのです(冗談ではなく
げんこつ団というのはかなり特殊で、
女性だけの劇団だからか、
全員スーツにヅラでも装着し、無表情にバク転でもしだせば、
それこそ誰が誰だか分かんなくなってしまいます。
スタニスラフスキー?なにそれ?
みたく、物語の起伏の中で感情の発露とかそういうんは全くなく
(ただ最近の若者やバーコードハゲのオッサンがキレたりとかは勿論あります
まるで新橋の鉄道広場のオッサン達を
水槽の中で飼って
対北朝鮮用の秘密工作員に育て上げ、
うっかり新興住宅地にばらまいたらこうなった、みたいな(苦笑
予測できない何かとして描いています。
「おおロミオ・・」
とかそういうんではなく、どっちかというとジュリエットがいきなり
「ロミオ殺す(ブスリ」
みたいなエッジの効いた物語の中で
登場人物たちがヅラをかぶって逃げ惑うような・・。
その中で表情というのは、記号的な役割しか果たしません。
自分はこれが、能で言うところの、
無表情のなかの宇宙とでもいうのか・・
演者が芸術家を気取るのではなく、
あくまで技術者として、自分を無にして
舞台の上に存在しています。
これがここまで徹底された舞台と言うのは実はなかなかありませんし、
これより上のものとなると、もはや能などくらいしか思い浮かびません。
主宰がバスターキートンを好きであるというので(自分も好きですが(笑
いろいろ思いを巡らせて、
日本の舞台芸術で近いものと言ったら・・と考えてみました。
どうも観客の数を見る限り、
一般的にげんこつ団の凄さが認知されていないような気もしますが・・(苦笑
こんな劇団は歴史上最初で最後なんではないかと
最近ますます思うようになりました。
100年後の人たちが残された映像資料を元に
現代の人を羨むとしたら、
僕ならナイロンといった大舞台などではなく、
げんこつ団のような摩訶不思議な劇団だと思います。
P.S.
ちなみに主宰が最初の入団志望者に聴いた言葉・・
「ヅラ大丈夫ですか?」
しびれたッス!(笑

鉄割 x 東陽片岡
鉄割アルバトロスケット
SuperDeluxe(東京都)
2012/05/10 (木) ~ 2012/05/13 (日)公演終了
満足度★★★★★
宇宙(たぶん群馬あたり)、行ってきた。
以前から思ってはいたのだけれど、
雑誌の切り抜きみたいな恰好をして得意になっている人びとが練り歩いている
つまらない町(六本木など)に比べると、
変なオッサンがワンカップ片手に牛丼食べながら謎の思い出話に花を咲かせていたりする
浅草近辺の方が好奇心をくすぐられる。
雑誌のトレンドに合わない服は誰も着ていないんじゃないかと思われる街に比べると、
どんなひどい取り合わせの服を着ても、
周囲の野良猫や観光客の外国人たちの間に溶け込める(気がする)街の方が、
ずっと自由でオシャレなんじゃないかと思ったりもする。
・・そうは思いながらも、
自分自身はといえば、ごくごくシンプルないでたちで街中を歩いて
スーパーデラックスに迷い込む悲しさよ(仕事帰りだしなぁ・・(苦笑
その代わりと言ってはなんだが、
この時とばかりは普段ほとんど酒を飲まない(飲まなくても好きな音(渋サなど)を聴くだけでテンションが上がる(苦笑
自分も、芋焼酎を飲んでほろ酔いで
弟氏がバイカーの兄貴に金巻き上げられた挙句怪しげなババァに襲われたりするのを(←喜劇です
座布団に座って眺めていたりする。
なお、戌井氏の形態模写が近年凄みを増しつつあり(笑
観劇しつつ自分もそのうち寂れた温泉宿で按摩に肩を揉んでもらうスリル(あんまり肩はこらない性質だが
を味わってみたいという気になってきた(大江戸温泉物語とかではなく

恋に生きる人
月刊「根本宗子」
新宿ゴールデン街劇場(東京都)
2012/05/09 (水) ~ 2012/05/16 (水)公演終了
満足度★★★★
トリュフォーと女の子
金曜マチネでぶらっと舞台を観た後、
夜に日仏会館でトリュフォーの「Vivement dimanche!(日曜日が待ち遠しい!)」を見たからだろうか・・
ゴールデン街の小さな小屋で跳ね回る女優たちの姿と、
生き生きとトリュフォーに画面の上で踊らせてもらった思い出を語る
ファニー・アルダンの姿とがだぶってしまった(笑
トリュフォーは女性と子どもたちを美しく瑞々しく描くのが得意だったが、
どうもこの劇団の主宰もその傾向があるようだ(笑
二人とも男性たちが女性たちとは対照的に
受動的で「なんだかイマイチ」なのもどっか似ている(苦笑
他の多くの女性作家の人たちに多く見られるように(吉田小夏氏とか・・
根本宗子氏も同様に、女性が生き生きと描かれている一方で、
男性はそれほどでもないが、
自分はトリュフォーの作品を、
彼とバザンの歴史に残る美しい友情の軌跡と共にとても好ましいと感じているので、
それらの作品同様に
女性や子供たちのきらめきを主に刻んだ物語について、
その中で男性が魅力的に描かれていないことを欠点だとは感じない。
きょうの昼間のゴールデン街の上には抜けるような青い空が広がっていて、
対照的にその下の準備中の飲み屋のあちこちからは
あけすけな下卑た笑い声が響いていた。
その脇を抜けてたどり着いた小さな劇場には、
これまたその街には不釣り合いな(苦笑
女子たちの瑞々しい日常と力強さがあった。
それでいいのかな、と思う。
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(補足)
・ちなみに、男性を魅力的に描くのが得意な女性作家たちも存在すると思う。
劇団千年王国とか、ひげ太夫とか、げんこつ団とか?(これはどうなんだろ?
それぞれの良さがあって、どちらが、とはなかなか言いにくい気もする。
・あと、女性作家の人たちが一般的に、
さまざまな女性像を非常に魅力的に
(ここでの魅力というのは、自分が好ましいと思っているとかそういうんでは
全くなく(苦笑
人物それぞれが物語の中で勢いよく踊っていることを言っているつもりです。
思うにこれは、女性が日常的に自分の中にあるさまざまな人格を使い分けていることから来ているようにも感じられ、
そのために善良な役柄も悪辣な役柄も、
すべてをありのままに(自分の中で)肯定しながら
活かしきっていることにあるのかもしれません。

おかえりなさいII
うさぎストライプ
アトリエ春風舎(東京都)
2012/05/04 (金) ~ 2012/05/06 (日)公演終了
満足度★★★★★
相対性理論×星の王子様
他の人のコメントを読んで、
どんな分かりにくい芝居なのかと思ってぶらっと行ったけれど、
まず当日パンフをざっと読んで、
次にずっとかかっている相対性理論を聴きつつ
出てくる役者たちの昔の飛行士にも似た服装を見ていて、
サン=テックスが飛行機に乗って死んだことを思う出していたら、
すぐにやりたいことがすっかり呑み込めてしまった(苦笑
自分としても、
「甘いぞ!男吾」や東陽片岡先生のファンを自称する身で、
このようなSPOON的世界にすぐに飛び込めることを吐露するのは、
「トルストイの信奉者ではなくただのオトメン」
との嫌疑を招くだけで
なにひとつプラスになる要素など無いのだが、
事実だからしょうがない(苦笑
また、前回の春風舎での範宙のクラブ音楽(テクノ)っぽい(あくまで自分の感覚でしたが・・
ドゥープ感が星3つで、
今度の相対性理論(テクノ?)が星5つというのも、
「ただのやくしまるえつこファン?」
とみられそうだが、
これが公演時間90分と60分の差といえば良いんでしょうか・・?
どちらにしろ、自分の星があまりあてにならないことを
露呈していると、
自分も承知しています・・。
ただ、少なくとも以前にスタジオコーストに相対性理論のライブを見に行って、
相対性理論がてっきりダンスミュージックだとばかり思っていた自分が、
そこでは殆ど誰も踊らずにずっとみんな眺めてるだけ、
という肩すかし感を味わった身としては、
逆に観ると相対性理論の曲に
コンテンポラリーダンスっぽい振付と
サン=テックス(と星の王子様)の死にオマージュを捧げたかのような
物語の味付けを添えて、
きらきらと一時間の夢にまとめて魅せたのは、
なかなかに胸のつかえの取れた思いもするので・・・(苦笑
・・・まぁ、作品の質というよりかは、
個人的な好みだけで星5つにしてみたと思ってもらえれば。
ただ、純粋な演劇ファン向けというよりかは、
きらきらとした喪失感に惹かれる女子達には受け入れられるように思います。
そして、個人的には、
そちらの方が、純粋な舞台芸術に関心のある層より、
世間のマスとしては大きいようにも思われるので、
この評価もさほど不当なものでもないように思われたりもするのです・・(汗
どちらにしろ、ありそうであまり無かった
(本谷有希子とは別のアクセスで女子の想像力を描いている・・というか実は表裏一体なのかも?
実は疾走感のある舞台であるとともに、
「理解するよりかは感じる」タイプの舞台でもあるので、
多少でもきらきらしたものが好きな方は、
是非騙されたと思って一度観てみることをおススメします(珍しく
・・ただ、花や星の名前も良く知らない男子などには
割と無用の長物のようにも思われたりもするので・・念のため(苦笑

Kの結婚前夜
男肉 du Soleil
駅前劇場(東京都)
2012/04/02 (月) ~ 2012/04/03 (火)公演終了
満足度★★★★★
男肉駅前・・・略して「男前」!
男肉駅前に超特急鈍行(どっちだよ)の
団(暖)肉列車が到着した。
・・ちなみに誓っていうが、自分は男色ではない。
そんな自分が感銘を受けたもの。
最近どんなHPを見てもたいていよくみると隅にありますね、
「激ヤセ」の文字。
それを体現するかのように
汗と唾を間近で飛ばし、踊り狂う男肉たち!
踊り狂っているのか、それとも狂って踊っているのかは定かではない。
いつしか最前列で観ていた自分も舞台に引っ張り上げられ、
汗を流して踊っているという・・。
舞台を観ながら、気軽にシェイプアップ(正確には参加しながらだけど
最前列は値段が安いので、当然そういうこともあるかと思って(期待して)
動き易い伸び縮みするデニムで行った甲斐がありました(笑
(もちろん当日体調が悪ければ断る権利はありました・・念のため
日本の最近のトレンド?では、
どんな凄腕のアーティストがやってきても、
大磯では彼らの目の前で腕組んで棒立なんて当たり前ですが(苦笑
彼ら男肉たちのやってきた大阪京都では、
ホールが沸騰しっぱなしなんてしょっちゅう見てきたので、
やっぱ大磯と関西では違うな、などと思ったり。
自分はテクニカルでクールなダンスなんて求めてない。
とにかく熱くて、上手くても下手でも、
その人らしく自由に踊れていれば十分だと思う。
(フットワークなんて最先端で最速だけど、ダンスも音も、思いっきり本人のダシがきいてるし・・そういえばきゃりーぱみゅぱみゅも面白いなぁ・・目が死んでるとことか(笑
想像するに、上手に踊る人も、
他の人が気おくれして踊るのをやめたら寂しいと思う。
上手くても下手でも、一緒に音を感じて楽しめる仲間がいれば、それでいいと思う。
そしてみんな、表面的なカッコつけた技術に目を奪われるのではなく、
下手でも音と楽しく遊んで、
カッコ悪くてもテキトウでも
変わっていく音のリズムに合わせて自由にリズムを変えて変なフリを入れながら(笑
跳ねて飛ぶことに心奪われて欲しいなと思ったりする。
ビバ、男肉。ビバ、男前!(テンション高(笑

夢!サイケデリック!!
範宙遊泳
アトリエ春風舎(東京都)
2012/04/25 (水) ~ 2012/04/29 (日)公演終了
満足度★★★
何が足りなかったのかなと考えてみる
普段は偉そうに「何が足りなかったか」・・なんてことは
言わないのですが(汗
別にこの劇団さんに限ったことではなく、
わりと一般的な劇団に見られる現象かな・・とも思ったので。
ちなみに、悪いところがあるなどとは一言も言ってなくて、
逆に新しい柔らかな感性などというのはとても面白かっただけに、
ちょっと書いてみるだけで。
ちなみに、自分の星の基準というのは、
自分の好みではなくて、
こういう足りないところがあって
勿体ないな・・というときに
あえて書くようなもので、
自分の好みのようなものは年間ランキングに入れようかと・・。
先週、火曜に関西でピンク地底人を観て、
東京に戻ってきてから昨日の土曜日までに、
サンプル、北京、毛皮、そしてこの範宙を観ました・・。
みんなバラバラで、多様性に富んでいて・・。
そうして考えたときに、自分が火曜~土曜にかけて観た劇団について、
範宙以外は、すべて、自分の持ち味を出し切っているな・・と思ったりもしたのです。
わりと振り切れていると思われた他のすべての劇団に対して、
範宙はちょっと中途半端なスタンスだった気がする。
リズムが単調だったというのもある。
自分が観た回ではアフタートークで武田氏が、
(日本)文学も、自分たちはクラブ(音楽)と同じように楽しめる世代にある、と
言っていました。
・・そういえばな~とも思い返してみる。
クラブと一般的に呼ばれる所の音楽
(自分は夜遅くまで起きるのが苦手なのであまり行ったことはないですが・・早い時間帯だけ(汗)
の多くが、生音で打ち込む音楽に比べると詰まらないものが多い・・
(踊り手と煽り合うJUKEや、バルカンビートなどの躍動感と比べると、死人のように感じることもある)
・・ねぇ、ちょっと、ああいうのを生きてる演劇の手本にしてはいけないヨ、と思ってみる(苦笑
演劇とは生の打ち込みなのだし、
おまけにエンドレスの「夢」で行くのだから、
もっとビートを体にしみこませるみたく、
踊るように語ったほうが良かったんじゃないカナ、とも思ったり。
そういう意味では、毛皮は、グダグダだけど(そしてそれが味でもある)、踊るように語ってた(笑
そしてもういっこ。
これは範宙だけでなくロロなどいくつかの
これから賞を取りそうだったり、取ったいくつかの劇団に言えるのだけれど・・
ちょっと軽い。
舞台と言うのは正直なもので、
それまでその作品を捏ね上げるために
自分がどれだけ血と汗を注いできたかというのが如実に出る。
作品の生まれた街の匂いも宿す。
例えば作るまでに何年も掛かったという、同じ春風舎で上演した
ひよどり山、あるいは刹那を切り取った1月の「雪」。
若手で言うなら、火曜のピンク地底人の公演も、
わずか60分だったけれど、
何もかも失った「母親」について、
想像力の限りを尽くして描こうとしていたように感じた。
東京での公演と言うのは、
周囲の期待もあるのか?
有望な若手ほどハイペースな公演になりがちのように思う。
そして観る度に、
「もっと自分たちの中でこの物語を熟成させて、
人びとの陰影を心の中に刻み込んでから、
作品を生み出した方がよかったんじゃないか・・」
と思うことが非常に多い。
そうした早産の子供たちを観るたびに、
もっと一年二年気長に観客たちが忘れないで、のんびりと次の子の誕生を待つだけの心構えが必要なのではないかな、とも思う。
自分はジャンプも好きだが、ガロはもっと好きで(苦笑
新作を何年も何年も待ち続けている作家が何人もいる。
彼らの今までの珠玉の作品を読むたびに、
未成熟のまま自分の想像力の産物を野に放つことには
何の意味もないと思ったりする・・。

オーシャンズ・カジノ
北京蝶々
インディペンデントシアターOji(東京都)
2012/04/18 (水) ~ 2012/04/30 (月)公演終了
満足度★★★★
オーシャンといえば・・
オーシャンズ11(映画も宝塚も・・)がつい思浮かべるような
気もするけれど、
今回はそれにラクダ色のアカギやへタレバンドマンなどが加わって、
役者たちも元気よく飛び回っていて、なかなか楽しめました。
ラストの帯金一人芝居も含めてなかなかの完成度だったな、と。
・・あとでもう少し書き足します(汗