劇団競泳水着
採点【劇団競泳水着】

私の年代だと、「トレンディー・ドラマ」といえば“W浅野”とか「東京ラブストーリー」とか、「金はある!愛は軽い!」というものだったので、クライマックスで小田和正やチャゲアスがかかって爆笑!という展開を勝手に予測して見に行ってしまった。だけどそれは若い皆さんが作っているだけあって、「ハチミツとクローバー」だったのだった。もちろんベタなドラマ風の仕草や台詞に笑いが起きないわけではないが(そしてそれを楽しみにしている方も多いようだが)、昔「りぼん」や「なかよし」で読んだ少女漫画の世界にどっぷりと浸かって見てみれば、俄然受け入れ態勢は万全となり、爽やかにせつなくなったりする。そしてそう言われてみればイケメンが多いじゃないか!とうれしくなったりする。劇団の狙いはいったいどっちなんだ?一度の観劇ではまだ読めない。

 王子小劇場を横長に使って5つの演技スペースを設けた、春の一夜のお話でした。20代前半の若者なら誰もが経験するであろう恋や将来の悩みを描いた、イマドキの青春の1ページ。シリーズ名にあるとおり、若くて初々しいタレントさんが出演するトレンディー・ドラマ的な世界を実現していました。

 “胸きゅんなトキメキ”と“なりきりおバカ”の境目をしたたかに狙っているんだと思います。私はまんまとハマった派(笑)。「あ~、こういうコ、いるいる!」と思いっきりうなづいて、勝手に連帯感。本当はドラマで見たことがあるだけで、会ったことはないのにね(笑)。

 若い役者さんがセリフの後でクスっと照れ笑いをしたり、思わせぶりにうつむいたりする演技が可笑しくてたまりませんでした。この、むずがゆいような、くすぐったいような可笑しさはクセになりそう(笑)。

 ただ、演技にしても演出にしても、完成度はもっと高めて欲しいところ。例えば役者さんの演技をもっとわざとらしいものにして、作品の意図をよりわかりやすくしても良かったのではないかとも思いました。そのへんの調整は難しいですよね。

4つのセット上で繰り広げられる「トレンディー・ドラマ」風の、すれ違ったりぶつかったりの恋模様。個々のドラマは、贅肉が落ちたせりふの聞きやすさもあって、観やすく作られていたと思います。逆に言うと、どのドラマにも新鮮味がない。かっこいい男優さん、かわいい女優さんが、等身大の恋愛模様を繰り広げるっていうのが、演劇として観ると、さして刺激的に見えないんですね。それから、「ここ、クライマックスですよ!」って時にBGMをかぶせるのは、「トレンディードラマ」だってこともあるけど、やっぱり今見るとギャグにしか見えないです(笑いこらえるのが大変でした、すみません)。シリーズものということなので、次回作に期待。

トレンディードラマシリーズと銘打ち、照れと恥ずかしさをさわやかに乗りこなす劇団競泳水着。一つ一つのシーンに用意された、決め台詞的なひと言へ持っていく流れの徹底的なベタさ加減はわかっているからこそ、くすぐられるものがあります。ただ、この構成で空間を確保しようとすると王子では厳しい気も。そのせいもあり、客席の動線は改善しないときついところかと。
終演後にピザを食べたいなと思わせたら勝ちな気がしますが(?)、ピザを食べたいというよりは、夜風の中歩いて帰りたくなるようなさわやかさでした。

ドラマのようなストーリー展開で、共感しやすい内容だったと思います。各々の場面で展開される話や人々が、どこから交差してくるのかという期待を持ちつつ観ていたので、ちょっと的が外れた感があったのですが、次回の公演が気になる団体でした。

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