各団体の採点
だいぶん昔に見て以来、久々の観劇。難しいことを抜きにしても楽しめるけど、難しいことを知っていると更に楽しめる、という知的な遊びに満ちている劇団だと今回初めて知った。見た目も演出も何となく学生劇団風で、成り立ってはいるけれども不安感は常に…(すみません)。それは演出が単調だったからかも?同じ展開でもそれを逆手に取って畳み掛けるような変化があれば、こちらも不敵な笑みでお返しできたかもしれません。あと、私は勝手に「ブレヒトだよ!」の「だよ!」を、「8時だよ!全員集合!」の「だよ!」だと思っていたので、テンションの違いに不意をつかれました(笑)!宣言どおりの幕切れで、そこはあっぱれな痛快さでした。
銀行強盗の話だというのは公式サイトのビジュアルからわかっていましたが、劇団員が銀行にお金を借りに行く話だとは・・・(笑)。作・演出家の連行さんの実体験が生かされているんですね。
序盤は少々たどたどしい印象でしたが、中盤からは話の展開に興味をそそられ、セリフにも心惹かれて、最後の最後にはにっこり笑顔で劇場を出られました。とても気持ちの良い観劇になりました。
子供向け演劇ワークショップ「演劇で学ぼう!」シリーズの「演劇で防犯」に関わってくる演目なのでしょうね。すごく楽しそう!
※当日パンフレットに「CoRich舞台芸術まつり!2008春」に参加している旨を伝えるチラシが折り込まれていました。「観てきた!」クチコミの数に効果が表れていますよね。
久しぶりに初見の劇団で、役者全員の顔を覚えてしまった。多分それは役者が「個性的」っていう薄っぺらいことでなくて、脚本家が役者を生かすように書いているということなんだと思います。劇団としての力を感じました。
主宰・蓮行さんの脚本、せりふ廻しがいい。特にラスト手前で、「演劇と経済」というテーマがストレートに表現された長ぜりふは、かなりの名シーン。歌舞伎の啖呵のような、はたまた詩を朗読するかのような言葉のリズムの生み出し方には、劇作家として非凡なセンスを感じました。それだけに、場面転換の際にかぶせる手をひらひらさせる「踊り」や、舞台前面でスポットライトを浴びながら、内心を吐露するモノローグの見せ方がワンパターン過ぎて惜しい。同じことの繰り返しはユーモラスには見えるんですが、やはり飽きてしまうので、演出でバリエーションを変えてほしかった。舞台中央にある銀行のカウンター席を回転させて、話題の中心となる人物を変える美術の使い方が面白かっただけに残念。。
「今の若い劇団がブレヒトをどう料理するのか」そんな当初の期待は心地よく裏切られました。作品の翻訳上演でもないし、翻案でもないし、99%ベルトルト・ブレヒトは関係ない(笑) だけど、実際の劇団活動を通して体験したことをもとに、演劇と社会(経済)のかかわりを自分たちなりに問い直すことで、図らずもブレヒトとの共通点があったように感じました。ブレヒト作品を「現代に蘇らせる」と謳う作品が結局、現代的な「演出」だけに陥りがちな中、皮肉にも「ブレヒトだよ!」というタイトルに強い説得力を感じた作品でした。
前半は突き抜けていないエンタメ寄りの演技体に多少不安もあったのですが、物語が進むうち役者一人一人の魅力がふっと浮かぶ瞬間があり、アクションにでもなく笑いにでもなく、劇団と一緒に何か別の方向に一歩進んだ演技のあり方を感じました。これは様々な公演形態を、継続して行なってきた劇団衛星独自のものだと思います。強度が増してくれば、もっとおもしろくなる予感も。 完全に不意をつかれたラストシーン。その策士っぷりは今後も注目したいと思います。
面白かったです!基本お笑いの要素を持ちつつ、現在と過去、その時々の個人の思考が混ざりあって話が進み、どういう展開になっていくのだろうという期待と、そんな中にもちょっとした主張もあって興味深い公演でした。