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鉄塔13 【サーティーン】

鉄塔13 【サーティーン】

さるしげろっく

萬劇場(東京都)

2009/10/08 (木) ~ 2009/10/11 (日)公演終了

満足度★★★

日常系近未来もの
近未来、空から鉄塔が落ちてきて(マクロスかっっ!!!(笑))以来さびれ、高い波によって本土に渡ることもままならない島で生活するメンバーと、その島に流れ着いた人物たちが織りなすドラマ、観始めて間もなく「しまった、苦手な “日常系近未来もの” だ」と…(笑)
そのせいもあってか前半はちょっと冗長な感があるものの、本土から来た男がなんとなく怪しげに見え始めるあたりからはサスペンスも加わってキリリと引き締まる感じ。
実はこの日、音響機器トラブルがあり(関係各位の心中お察しいたします)、開演後70分ほどの時点で機器調整のための予定外休憩(約20分)が入った(よくぞ踏み切った、と英断を支持!)ので気分を一新して観ることができてそう感じたのかもしれないが。
また、かつて出産制限されている近未来を描いた映画があったが、それを国家的なものでなく、このような閉鎖社会のルールとしてアレンジしたのはナイスアイデア。この方が身近というか、より現実的に感じられるような気がして…。
さらに終盤で「わるもの」が威嚇のために発砲した時に2組の夫婦のそれぞれの夫が無意識的に妻をかばうところを一方の妻のモノローグと共にスローモーションで見せるシーンにはホロリ。やっぱり家族愛系に弱いσ(^-^) であった…。(笑)

カカフカカBig2

カカフカカBig2

カカフカカ企画

アイピット目白(東京都)

2009/10/15 (木) ~ 2009/10/25 (日)公演終了

満足度★★★★

【大脱獄】バカバカカしさがバクハツツ!!
ああ凄い。

素晴らしいバカバカしさが全編に溢れる舞台。

ずっと顔が緩んでいる阿呆面で観劇していたことだろう。
鏡があったら恥ずかしいぐらいの阿呆面だったことは間違いない。

なんかすべてが意外といい塩梅。
胸焼け、胃もたれしないというか。

ひょっとしたら、技巧派?

ネタバレBOX

ちよっとした小ネタ的なやつが、演技にも台詞にも衣装&メイクなどに丁寧にふりまいてあり(女王とプリンセスの髪飾りとか!)、その全部を特に拾わないあたりが潔い、というか、全部拾ってたらキリがないし。
だけどサービス精神はたっぷり、どっぷり。

デフォルメされたキャラクターが満載。だけどお腹いっぱいにならない適度さが、あるところが素晴らしい。

適度にお下品で、適度に過激っぽくて、適度に笑える(もちろん大笑いもある)。

舞台を引っ張るエネルギーは凄いのだが、不思議に疲れない。
単に力押しで、ぐぃぐぃといくわけではないのだろう。
適度さがうまく演出されていて、嫌味さをまったく感じないっていうのにも驚いた。

結構、技巧派?

普通に近い登場人物が、狂言回しで、ひたすら突っ込みを熱演する、名無しの太郎と、春゜子(バルコ)だけというのもいいのだろう。こういうキャラクターがいい箸休め的な感じになるのかもしれない。

(たぶん)アテ書き的な配役なのだろうが、こういう人はこの役で、これができる人はこれで、呂律が固い人はこの役で、みたいな配役がうまくって、どんな舞台でも1人ぐらいはいる、「ああ、この人は・・・うーん」みたいな人がいなかったのもいいのだ。

どうでもいい話で、なんだか変な人たちが次々と現れては、物語を揺り動かす。揺り動かしながらも、きちんと(?・笑)と収束させる力は見事。

やっぱり、技巧派?

ぜひ、もう1本のほうも観たい! と強く思ったのだが、どうも日程が合いそうにない。残念。悔しい。

で、最後に正直に告白すると、ラス前のなんかゲームのパロディらしき展開で、周囲の若者たちが大笑いしていた中で、もうひとつ笑っていなかった、ケームをまったくやらない私がいたのだ。

あ、そうそうこの日のイベントがまた凄まじかった。
今回上演したのラストの約40分間分を、なんと5分間で再度上演するというものなのだ。このバカバカしさが素晴らしすぎる。
生きてるものはいないのか

生きてるものはいないのか

五反田団

京都芸術センター(京都府)

2007/10/18 (木) ~ 2007/10/21 (日)公演終了

満足度★★★

いっとう光っていたのは、宮部純子さん
本音からいえば、前田司郎さんがこの作品で岸田戯曲賞を受賞したのは「?」。
と、言うのも、意図は重々承知しつつ、やっぱりこの作品は微温的に感じられるから。
まあ、宮部みゆきが『火車』で直木賞をとれなかったみたいなものかな。
役者陣では、宮部純子さんがいっとう光っていた。
『書庫』の彼女は酷評してしまったけど、この公演では彼女がやっぱりよかったなあ。

cryptograph

cryptograph

マレビトの会

アトリエ劇研(京都府)

2007/10/19 (金) ~ 2007/10/22 (月)公演終了

満足度★★★

松田正隆版マハゴニー市の興亡
イタロ・カルヴィーノからの影響ばかりが云々かんぬんされるこの作品だけど、ブレヒトの『マハゴニー市の興亡』も忘れちゃいけませんぜ。
剽窃、ならぬ引用の妙も、ブレヒト譲り。
よくも悪くも、刺激的な舞台でした。

静物たちの遊泳

静物たちの遊泳

魚灯

京都芸術センター(京都府)

2007/05/24 (木) ~ 2007/05/27 (日)公演終了

満足度★★★

山岡さんはキャスティングが巧い
薄皮を徐々に剥がしていって、最後にどろっと何かが出てくるような展開。まさしく山岡さんらしい。
それにしても、特に山本麻貴さんの役どころからわかるように、山岡徳貴子さんは本当にキャスティング、というかあてがきが巧いなあと思う。

ヒラカタ・ノート

ヒラカタ・ノート

ニットキャップシアター

京都芸術センター(京都府)

2004/12/09 (木) ~ 2004/12/14 (火)公演終了

満足度★★★★

安田一平君の熱演
実験的な趣向の作品で、賞対応?と思わないでもなかったが、でも個人的には心がしっかり動いた。
安田一平君、熱演。

男亡者の泣きぬるところ

男亡者の泣きぬるところ

ニットキャップシアター

アトリエ劇研(京都府)

2004/10/01 (金) ~ 2004/10/18 (月)公演終了

満足度★★★★★

丁々発止
ごまのはえさんと大木湖南さんの丁々発止のやり取りが面白かった。
余談だけど、この二人にはピンターのダム・ウェイターをやってもらいたいなあ。

おっぱいブルース

おっぱいブルース

ニットキャップシアター

アトリエ劇研(京都府)

2002/12/06 (金) ~ 2002/12/10 (火)公演終了

満足度★★★

ごまさんが印象に残る
おかかなしい舞台。
ごまのはえさんの演技が強く印象に残る。

キャプテンジョー

キャプテンジョー

ベトナムからの笑い声

スペース・イサン(京都府)

2009/07/03 (金) ~ 2009/07/05 (日)公演終了

満足度★★★★★

ベトナム久しぶりの長篇
が、ベトナム・テイストはいつもの通り。
黒川さんの神は細部に宿る的な巧く書き込まれた台本もいつもの通り。
だれる部分はなくもなかったが、個人的には実に愉しめた公演でした。

書庫

書庫

下鴨車窓

アトリエ劇研(京都府)

2008/11/07 (金) ~ 2008/11/11 (火)公演終了

満足度★★★

田辺さんらしい作品
田辺さんの世界観がよく表われた作品だったと思う。
演技者では、大熊ねこさん、そしてハラダリャン。

ショパロヴィッチ巡業劇団(公演日程が変更になりました)

ショパロヴィッチ巡業劇団(公演日程が変更になりました)

劇団黒テント

イワト劇場(東京都)

2009/10/14 (水) ~ 2009/10/22 (木)公演終了

満足度★★★★★

演劇はひとを幸せにするか。
今回このお芝居をはじめて日本で上演するにあたり、セルビアの歴史的背景、心情、文化を理解し、受け入れることからはじめられたことに、深い尊敬を抱きました。

一滴の血のしたたるにおいまで漂ってくるかのような繊細な演出、色味のない淡々とした舞台の中で繰りひろげられる演技は、配役の枠組みを超えて、とても生き生きと輝いていました。そして、観るひとを選ばずにすべてのひとに楽しんでもらおうとする姿勢が素晴らしく、それは本来の演劇のあるべき姿なのではないか、と痛感致しました。深い共感と感動を与えてくださったこと、この作品を観る機会に恵まれたことに心から感謝いたします。

ネタバレBOX

ナチスの指揮下にあるセルビアのウジツェでは毎日多くのセルビア人が殺害されて家族を失った多くの人々が喪に服し、暗い影を落としている。
そんな失意に暮れた町にやってくる(おおよそ場違いな一座)流浪の劇団ショパロヴィッチ巡業団。

ウジツェの人々は彼らを、こんなご時世に化粧をして派手な衣装を着て、芝居をする。なんてお気楽な人たち!と言い放ち、ジーナに至ってはパンは食べてたらお腹が満たされるけど、演劇は観てもどうってことはない。という考え。
劇団員は、パンを食べることと演劇を同じに扱うのは、優劣を競い合うことではないと主張するが、洗濯して、ご飯を作って、掃除を毎日するだけのジーナにはそれが理解できない。
そして、会話を遮るかのように聞こえてくる銃声におどおどしながら暮らしていて彼らの生活は心の豊かさと隔絶した場所にある。

そんなウジツェの人々の心情をあざ笑うかのように現れる男。
自分のことを『潰し屋』と名乗る彼は、ドイツ軍に殺されたセルビア人の内臓をえぐり出し、全身をムチで叩き、広場の絞首台にみせしめのようにして死体を吊るす。全身血まみれで奴が歩く度に地面にくっきりと血の足跡が残る野蛮でグロテスクな男。

ある時、ジーナの息子が何も悪さをしていないにも関わらず、警察に逮捕されてしまう。潰し屋の手に渡らないか危惧するジーナと街人たちは、闇夜の中刑務所へ向かう。
その道すがら、川で泳ぐソフィアの元に、突然現れる潰し屋。
彼はソフィアを痛めつけようとしたがソフィアは自分を怖がらなかったため、それを止める。草原に生えるいくつもの薬草や花の名前、その効能を教え合った後でソフィアはどうしてあなたは潰し屋になったのか聞く。
彼は何かが足りなかったからだ、と潰し屋は言う。
ソフィアはあなたをどこかへ連れて行ってくれるかもしれない。と言って、なでしこの花をひとつ掴んで彼に渡す。
ソフィアと短い会話を終えた後、潰し屋の血の足跡は消えていた。

時同じくしてフィリップは、舞台の小道具の”木の剣”を持ち、刑務所へ向かう。彼は実はテロリストで、”この時をずっと待っていた”。
フィリップは芝居をすることで警察を欺き、ギーナの息子を救い、彼のロマンティックな遺書だけが残る。皮肉なもので、巡業団はウジツェの人々に、シラーの『盗賊』の演劇ではなくフィリップの死によって感謝されるのである。
そして、喪に服す理由からこれまで白い服を着ることをこれまで拒んでいたシムカがキレイな白いドレスで登場し、巡業団を見送るところで話は終わる。


巡業団とウジツェの人々の関係性が、戦争の当事者である国と傍観する国として捉えられるような構図が非常に興味深かったです。たとえばギーナの息子が何も悪いことをしていないのに、警察に逮捕されても巡業団は、積極的に助けることを行わない。(彼らには演劇の素晴らしさを伝える使命があり、生活があり、生きていかなければならい故。)

それから演劇は戦場で必要とされ、また人を幸せにするものか。という難問。
演劇にはひとの人生を変えてしまう力があり演劇はひとを生かしも殺しもするということなのかという疑惑。
不思議なもので、この物語の中では、戦争を日常として受け入れざるを得ない街の人々の暮らしがリアルで巡業団はどこか浮世離れしていて、現実と最も遠い所に存在しているとすら思えます。それでも表現の自由が不自由の上に成り立っていて革命には犠牲が伴うのは否めません。
得るものがあれば失うものがあるのも致し方ないことです。
しかし芸術の呼吸は息絶えることなく後世に語り継がれなければならないものです。なぜならば、クーデターを起こせるのは、いつの時代も芸術だけなのですから。

最後、巡業団も、街の人々も、警察官も、ナチスもつぶし屋も、舞台に登場した全員がそれぞれ楽器を手にして明るいマーチを演奏したのは、世界がひとつになることを願うことへの回答だと信じて・・・。

深情さびつく回転儀

深情さびつく回転儀

電動夏子安置システム

サンモールスタジオ(東京都)

2009/10/16 (金) ~ 2009/10/25 (日)公演終了

10月20日(火)M
パズル。

ミネルヴァの梟は新月に飛びたつか

ミネルヴァの梟は新月に飛びたつか

O-MATSURI企画merrymaker

シアター風姿花伝(東京都)

2009/10/10 (土) ~ 2009/10/18 (日)公演終了

満足度★★★★★

ネタ満載(笑)
14はキノコキャストで、フラワーキャストは17に観劇。

ゲームのマニアネタ満載で、笑わせてもらいました。
また話のテンポもよく、時間があっという間に過ぎました。
面白すぎました。

何かあればゲーム対決をするということで、イロイロなバトルがありましたが、バトルはもう少し見たかったですね。
まあ、あれ以上のバトル出すと、2時間30分モノになってしまいそうですが(笑)

ネタバレBOX

ダブルキャストのキャラも、東海林康彦のキャラはキノコキャストの方がよかったですが、その他はどちらも甲乙付けがたいです。

成瀬優子様、プレスタ3が神ではない。あなたが神です(爆)
映画「曲がれ!スプーン」【12月より舞台版全国ツアー開始!】

映画「曲がれ!スプーン」【12月より舞台版全国ツアー開始!】

映画「曲がれ!スプーン」製作委員会

※劇場情報は公式HPにてご確認下さい。 (東京都)

2009/11/21 (土) ~ 2009/12/31 (木)公演終了

満足度★★★★

ヨーロッパ企画の宣伝映画として楽しめる
小劇場系の役者+長澤まさみという組み合わせは集客を
考えてのことなんでしょうね。
ひと癖もふた癖もあるエスパーたちがとにかく面白い。
青年団の志賀廣太郎が出て、グッと引き締まった。
本広監督の「サマータイムマシン・ブルース」や「うどん」
は観ていないので、リンクする面白さはわからないが。
本家の芝居を観る前の導入企画としては楽しめた。
でも、映画としてはどうかなー。
1950年代の邦画はお金かけずに1時間30分物ですぐれた
コメディーを作ってたから、その時代を知る自分にはさほどの
秀作とは思えない。
いかんせん、チープ感は否めなかった。

ネタバレBOX

時間を止めてから自力で移動するというテレポーテーション
(三宅弘城)のアナログっぽい馬鹿馬鹿しさが可笑しかった。
「家電は苦手」と言いつつ、結局、液晶テレビやエアコンを
操る羽目になるエレキネシス(川島潤哉)、ちょっと怪しい透視の
中川晴樹が面白い。
超能力は使えないので、エスパーらの前で恥をかく細男(岩井秀人)
が、濠に落ちて這い上がってからは特技を駆使する場面も笑えた。
マッシュルームカットの純情青年テレパシー(辻修)は物語のキーマン
で印象に残る。
本広監督の言うとおり、確かに小劇場は俳優の宝庫かも
しれない。
反面、日本は撮影所システムが崩壊し、映画俳優を育成する場を失っ
っており、その点で中国や韓国には及ばないという現実も痛感する。
幸福レコード

幸福レコード

Bobjack Theater

アドリブ小劇場(東京都)

2009/10/07 (水) ~ 2009/10/11 (日)公演終了

満足度★★★★

温まりました
チラシやその他の前情報から、嘘をついて人を幸せにするお話になるのかな?と思っていたが、そうではなく、確かに嘘をついて本を仕上げて欲しいとの場面はあったが、それぞれが悩みながら、それぞれにとっての幸せを見つけるお話だったと感じました。

ある特定のキャラクターがグイグイひっぱていくお話ではないし(まあ居ないこともないが)、また、ぶっ飛んだお話でもないが(嘘をついて欲しい理由はぶっ飛んでるといえばぶっ飛んでるがww)
なんか観終ったら心が温まりました。面白いといういうより(いや面白いのかもしれないが)、いつの間にか物語に引き込まれていた。
したがって、上演時間が2時間とのことであったが、全然長くなかった。むしろあっという間であった。

翻案劇 サロメ

翻案劇 サロメ

アトリエ・ダンカン

東京グローブ座(東京都)

2009/10/19 (月) ~ 2009/10/25 (日)公演終了

満足度★★★★

いろんなものが
うまくさまざまな具財が調理されていて、さすがスズカツさんです。私なんかは、あの曲がかかるだけでウキウキしてしまうのですが(笑)だってねぇ。結局、篠井さんとスズカツさんの3つの作品はクリアです♪ぜひ、続けて欲しいです。

映画「曲がれ!スプーン」【12月より舞台版全国ツアー開始!】

映画「曲がれ!スプーン」【12月より舞台版全国ツアー開始!】

映画「曲がれ!スプーン」製作委員会

※劇場情報は公式HPにてご確認下さい。 (東京都)

2009/11/21 (土) ~ 2009/12/31 (木)公演終了

満足度★★★★

バランスの取れた娯楽作品でした
芸達者な役者さんの抑えた演技がタイムリーに輝いていたように思います。最後までよく笑いましたが、終わってみると心が暖かくなっている映画でした。いつも小劇場系の演劇ばかり観ていますが、映画の良さも また見直しました。この映画をクリスマスに観れたらいいなぁ、と思った六本木の夜でした。

モロトフカクテル【公演終了、次回公演は来年4月@楽園】

モロトフカクテル【公演終了、次回公演は来年4月@楽園】

タカハ劇団

座・高円寺1(東京都)

2009/10/15 (木) ~ 2009/10/18 (日)公演終了

このカクテルで乾杯は無理
評判作の再演ということで見に行ったのだけど、最初に見てイマイチだった「もう一度スプーンを曲げよ」のときの評価を覆すものではなかった。

ネタバレBOX

70年安保からすでに40年近くが経ち、当時学生だった人の孫が今では同じ大学の学生であってもおかしくないくらい。後の世代が当時のことに興味を持ってあれこれ調べていけば、だいたい似たような感想に辿り着くのではないだろうか。その意味では、それほど新鮮味はなかった。

当時、内ゲバをやっていた過激派が今も解散せずに残っていて、大学生を勧誘したりしているのも、最初に知ったときはちょっと意外な感じだった。

この芝居では、大学の自治会室が廃止されることになり、それに反対する学生の動きを中心に描いている。それを支援する人物としてかつての過激派のメンバーが登場し、署名集めに協力したりするが、何かというと組織への支援金を求めるので、宗教団体みたいだと皮肉られるところが可笑しい。

当時の学生男女がつけていた交換日記が自治会室に残っていて、それを読んだ現代の学生が、彼らの政治思想と性欲の折り合いのつけ方に、ある種の滑稽さと堅苦しさを感じるというのもうなずける。

劇中、この日記の男女が役として登場するのだが、その描き方にはかなり疑問を感じた。

冒頭に登場して二人が日記の内容を交互に語るところでは、それが現在なのか過去なのかがどうもはっきりしない。

かつて学生運動に参加していて、今は大学の職員になっている中年男が、実は二人の知り合いで、夜中に自治会室で三人が会話するところでは、男女が中年男の回想の中にいる人物だと感じられる。

ところが終盤になると、現在も過去も関係なく、学生たちが入り乱れる。

具象の舞台装置は現在の自治会室を表していると考えるのが普通だと思うが、そこへ過去の人間を登場させる場合、それなりの手続きというか設定が必要なのではないだろうか。その辺があいまいなので、過去の二人はときには現在に住む幽霊のようでもあり、ときには現在の人間の回想の中の登場人物に思えたりもする。あるいは芝居自体が過去と現在を行き来しているのかとも思えるし。実際、終盤の籠城場面では過去と現在がオーバーラップする。

もうひとつ、見ていて変だと思ったのは、脇役の一人にふいにスポット照明が当たって、彼が客席に向かって突然ナレーションを始めるところ。劇中の人物がナレーターを兼ねるときはふつう、物語がその人物の視点で描かれることを意味すると思うのだが、この芝居ではそういうそぶりは全然なくて、ただ会話では充分に状況説明ができなかったので、とりあえずモノローグで説明しておこうという安易な発想が感じられた。




深情さびつく回転儀

深情さびつく回転儀

電動夏子安置システム

サンモールスタジオ(東京都)

2009/10/16 (金) ~ 2009/10/25 (日)公演終了

電夏お得意の理系ゲーム式演劇。
日に3ステージの忙しいタイムスケジュールはいつもの通り。尚且つ今回は結末が6パターン。全く無茶する連中だ。それでいてしっかりこなしているのは確かな地力の現われ。個人的には既に数年越しで見ているので、初見の方が多いのは結構意外。
人数を絞ったほうが内容も濃厚になった様な気はする。人物背景とルール説明で浪費した時間がちょっと長かった様に思えて。その後に一気に面白くなるんだけど、ギアを入れるのがもうちょっと早かったらなぁという勝手な欲が沸きました。そんな大所帯の中、浮き立ったのが劇団員それぞれのグッジョブ。核を固めて、脇を固めて、そしてそれをぶっ壊す(笑)。あれだけの人数の中でもそれぞれがしっかり良い仕事をしています。劇団員だけでアレンジしてこの演目を再演しても相当面白いものが観られるはず。これは確信。
良い客演をしたなと思えたのが、柿食う客の七味さん。「演じる」というよりも「キャラクターになる」に近い柿のスタイルが途中から見事に合致します。
『難しい内容なのかな?』と、観ようか迷っている方へ。別に演劇として観る分にはゲームルールを理解していなくとも何ら問題なく楽しめます。でもね、「頭で全て理解するのはちょっと困難だけど、とりあえず目の前でなんか変な事になってる人物の姿がやけに面白おかしくて堪らない」というのが電夏マジック。頭を使おうとしている時ほど、ふいに変な所を突かれると急激にツボに入ったりする事ってあるじゃないですか。感性と脳みその両方を使って観劇する事をおススメします。

ネタバレBOX

波に乗るまでが長いと思えた要因はやっぱり人物背景とルール説明で浪費した時間のせいなんだけど、美雪の在り方も影響していた様な気が。初めにルーレットを適当にいじってしまうのが彼女。でも彼女に対して何の興味も沸かなかった。あの不思議な小部屋に入るまでの間に、美雪がもっと興味を沸かせてくれる存在であってくれたならなぁと個人的には思います。
twelve

twelve

劇団6番シード

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2009/09/12 (土) ~ 2009/09/21 (月)公演終了

満足度★★★★

友達が絶賛
「twelve」はパズルミステリーという通り、散りばめられた伏線の数々は過去の松本さん作品の比ではないですね。前半は登場人物たちと同じように困惑していました。事故で亡くなった12人がどう繋がるのか、その家族たち、そして看護師を結ぶ糸もあり、先の予測がつきませんでした。
ひとつの謎が解けると同時に、新しい疑問が生まれる。いったいどんな結末を迎えるのかと舞台に集中しました。後半ですべてのピースが時間軸に沿ってはまっていく過程には感激しました。そして最後に開けた扉の先にある別れと希望。今までにない作品でした。

コリッチにも紹介されている舞台音楽に関わる仕事をしている友人がいるのですが、6Cのことを紹介したら前回のアトリエ公演を観に行ってくれました。楽しんでくれたようで、今回も観劇してメールをくれたのですが、とても感激した様子でDVDの先行予約までしていました。SNSの観劇日記を読んだら絶賛していたので、とてもうれしく幸せな気持ちになりました。メジャーな舞台で仕事をしている方だし、その人が私の大好きな6Cを気に入ってくれたのですから。

ネタバレBOX

6Cメンバーは好きな役者さんばかりなので、いつものように楽しめました。事件にも登場人物たちにも関わりが大きかったつっちーさん演じる吉岡の妻や子供への想いを語るシーンがカットされたというのが残念です。「twelve」のほかのメンバーは家族との関係や想いが深く描かれていましたけど。観たかったです。やはり死を描くなら、愛する家族を残して逝かなければならないという部分は大切ですから。

今回はDVDを購入していませんが、もう一度見直したら違う感じ方もできるのかなと思います。複雑な謎のほうに意識がいってしまっていたので。
謎といえば、亜音さん演じる詩人の正体には一番驚きました。とても不思議なオーラを持った可愛いキャラでしたが、まさかヘブンズドアだったなんて。すっかり騙されました。

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