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欲望貴族

欲望貴族

角角ストロガのフ

インディペンデントシアターOji(東京都)

2009/11/26 (木) ~ 2009/11/30 (月)公演終了

満足度★★★

役者と演出家の一体感を感じる
多数同時シナリオを中心とした、難しい展開の作品だったように感じる。
角角初観劇の身としては多少の混乱は避けられなかった。
それでも最小限の混乱で作品を観れるのは、役者と演出家がテーマをはっきりと共有していたからだと思う。

ネタバレBOX

意欲的な演出が多々見られ、
役者の感受性も素晴らしかったように思う。

しかしながら、全ての役者が主役と呼べる程優れ、濃密であるが為に、
全体のボリュームが大き過ぎ、詰め込み気味、胃もたれ気味になってしまったのは否めない。

複数のシナリオを同時に進行するあたり、
計算済みなのかもしれないが、
租借が終る前に次の物語が入ってくる。

まさに水と油を交互に呑まされている。

この混乱はしかし、
不可解なだけでは決してなく、作品に繋がっているとも感じられた。



水槽やビニール壁等の舞台装置や、
ディズニーのリトルマーメイドを客入れで流すなど、
本当に細かい演出で微妙な違和感を感じた。

よい、よいのだけど何か釈然としない。

それが意図的な演出なのかは理解しかねてしまった。

おそらく役者との信頼関係は強く築かれている。
今後の演出の洗練次第で、さらに大きな活躍が期待される。
BOOKEND

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INUTOKUSHI

早稲田大学大隈講堂裏劇研アトリエ(東京都)

2009/11/26 (木) ~ 2009/12/01 (火)公演終了

満足度★★★★

確かに・・・
これは初心者向けではないかも。
というか、シモネタをどこまで許容できるか。どこまで笑えるか。
僕はかなり笑わせてもらえましたが、場内に見受けられた女子高生(?)なんかはどう思ったのだろうか?
それでも、ここまで思い切りよくやってくれる、この団体は好きなのですが。

物語自体は、めずらしく一本のストーリーで構成されていて、ハチャメチャ度合いは減ったものの、かなりみやすくなった印象でした。

ネタバレBOX

それにても、スナックのシーンでの下半身露出には…。
客席から「ひどい」の声があがっていました。
LOST CHILD

LOST CHILD

謎のモダン館

甘棠館show劇場(福岡県)

2009/11/28 (土) ~ 2009/11/29 (日)公演終了

満足度★★★★

久しぶりに観劇!
面白いのに悲しい。

もの凄い迫力に心を強く揺さぶられ、今も余韻が続いています。

ネタバレBOX

長崎大水害を思い出しました。

「忘れたい思い出だろうけど、それはできない」的なセリフは、大水害の事だと思いました。

あらためて、じっくり観たい作品です!
占いホテル

占いホテル

劇団あおきりみかん

新宿シアターモリエール(東京都)

2009/11/28 (土) ~ 2009/11/29 (日)公演終了

満足度★★★★

切り替えが巧みでした
妄想や回想シーンでの演技の切り替えと、音響・ライトでの追従が面白かった。ハイテンションの極みというか、なんというか。ついていける人は楽しめるけど、ダメな人は受け付けられないでしょうな。

ネタバレBOX

キーファクターの手帳の入手方法が判らないのが残念でした。

いきなり始まる妄想やら回想シーンの、ハイテンションな演技と、
急に元に戻る事のギャップが楽しめました。
集団浴衣ダンスとヒーローモノのコントが、一番受けました。

失踪した友人との長イスでの会話が、何度もVer変えて
うまく使われていました。オチにも使われ、見事なリピートでした。

だんだんと片付けられてゆく舞台の演出は、今までの占いの話と
重ねて、説得力がありました。

いろいろ占いの嘘を暴きつつも、占いで救われる人も
いるのだから。いいではないの、っていう肯定感が暖かかったですね。

実際、こんなホテルありそうですよね。

「手帳読めよー」が、なかなか繰り返しのよいギャグになっていました。

チラシには友人失踪1カ月とあったが、
劇中では時間が語られなかった気がする。
ちらほら、隙のある話ではあったが、
劇としての熱量は、良く伝わってきました。

BOOKEND

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INUTOKUSHI

早稲田大学大隈講堂裏劇研アトリエ(東京都)

2009/11/26 (木) ~ 2009/12/01 (火)公演終了

満足度★★★★★

こりゃ!
万人受けを狙うより、自分達のエネルギーで圧倒的に巻き込んでやろうという勢い、というか図々しさが素晴らしい!

ネタバレBOX

シモネタは爆笑とドン引きの境界線を上手く綱渡り したなという感じです。個人の感覚によると思いますが、僕は爆笑のほうでした。
Se eu Pudesse

Se eu Pudesse

グーフィー&メリーゴーランド

アイピット目白(東京都)

2009/11/26 (木) ~ 2009/11/29 (日)公演終了

満足度★★

裏方さんは大変でしたね
場面転換がんばってました、評価しましょう。
でも、もっとシンプルに考えて実行するべきでは、なかったのではないか?
TVや映画とは異なる、芝居ゆえの場面転換法を見いだすべきでしたね。
話もボケた味わいになってしまい残念です。
結構楽しいキャラクター出してたのに、
使いきれていない感じが、もったいない。

ネタバレBOX

ジーパン楽しかった、ボスとの掛け合いは面白かった。
せっかくラストで足に包帯巻いて出てくるなら、事故の過程を芝居で見せた方が良かったか。「なんじゃこりゃ」の台詞の被せて、車のブレーキ音出した方が納得し易いと思う。

あれだけ場面転換したかったら、黒のよくある舞台設定に。
ワンポイントのシンボル置いて。役者の演技で、寺子屋だったり・
カフェだったりを表現したほうが、うまくいったと思います。
(せっかく、ストーリーテラーで、インパクトのある
杉田玄白さん用いていたのに、もったいない!
「田沼さまの屋敷へ続く夜の山道です」とか言わせればいいだけだし)

その分、衣装や小道具に凝ったら。らしさ出ると思うけど・・。
江戸時代のコスプレは良く出来ていたしね。

しかし、お江戸でござる。みたいな感じは拭えませなんだな。

話が、今2つくらい練れてなかった。
エレキテルがタイムマシン!って夢あるけど。
せめて落雷のエネルギー使うとか、もつと仰々しくした方が、
らしさが出たと思います。たとえばエネルギーの計算で。
江戸時代では、そろばん使ってた源内が。
未来から帰ってきたら、電卓持ってたり。
(「8ジゴ(テラだったっけ)ワットだと!」とかね)
最初に偶然雷落ちた時間を、未来からの腕時計で正確に知り。
タイムとラベルに使うとか。

時間の流れの説明が、無さ過ぎましたね。

あと吹き矢の筒。はたきの柄にしか見えんかった・・。

時間SFは、しっかりと時の流れを骨組みにして。
丁寧な設定の説明と、タイムとラベルする時の、
カタルシスがないと盛り上がらんよ。

おいしそうな食材を、何でもかんでもぶち込んだだけでは、
美味しい料理は出来ません。入れる順序。
具財の大きさ、灰汁取りなど。引き算・掛け算
いろいろやって作るんです。レシピをしっかり作ってください。
もったいないですよ。

時間ものは名作多いんですから、イイトコ取りしてまとめれば。
楽しい娯楽作できたはずです。見せたいポイントを絞って、
観客に訴えれば、うまく出来たと思いますよ。

小判の両替なんて、面白い話もあったし。
スピンオフして、アフロジーパン刑事の芝居作っても
おかしくないキャラ出してきたのに。
難しいものですね。
ヒーローズ

ヒーローズ

劇団Spookies

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2009/11/11 (水) ~ 2009/11/15 (日)公演終了

満足度★★

ハア?
「自分の存在意義に疑問を感じたヒーローたちが
市民からの手紙を読んで
またやる気になる」
ってオチなんですが、
え? その手紙が今までヒーローたちに配達されなかった理由はなに?
今配達される理由はなに?
それではなしがオチるなら
このはなし自体が存在する意味ねーって。

月光の在り処【ご来場ありがとうございました】

月光の在り処【ご来場ありがとうございました】

TOKYOハンバーグ

ラゾーナ川崎プラザソル(神奈川県)

2009/11/28 (土) ~ 2009/11/30 (月)公演終了

満足度★★

物語の設定はよかったのだけど
・・・なんていうか残念。

メッセージの伝え方が、あまりにもストレート。
せっかくの演劇なんだから、その物語にメッセージを込めるだけで、すべて直接的な言葉にしなくても、と思う。
それを伝える演技も・・・、だった。

1時間55分が長く感じてしまった。

ネタバレBOX

神宮外苑の競技場に大学のゼミらしき人々が訪れる。引率する講師により、66年前にここでは学徒動員の壮行会があったことを告げられる。もちろん学生はそのことを知っているのだが、講師は今、自分たちに同じことが起きたらどうするのかと問いかける。
1943年の同じ競技場では、学徒動員壮行会が行われ、学生たちが行進をしていた。そして出征。
ジャングルの中、従軍看護婦とともに敗走する日本軍。その中に学徒動員の壮行会にいた2人の将校がいた。
さらに、近未来の同じ競技場では、第3次世界大戦が起こり、地下のシェルターに生き残った人々がいた。地上ではまだ戦闘が続いていた。

この時空を超えた3つのストーリーが、微妙なシンクロとともに進行していく。

なかなか面白そうな内容となりそうだった。
特に冒頭(ラストでもある)のシーンは衝撃的で物語の始まりはよかったのだ。

しかし、その3つは生命の糸で繋がっていることや、近未来に日本軍の兵士が幻のように現れるのだが、あまりドラマチックさは感じない。

命が繋がっていくことの大切さをもっと強調すべきではなかったのだろうか。近未来では「なんでこんなことになってしまったのか」ということや現代での「戦争に向かうことの恐れ」がやけに声高に叫ばれるのだが、どうも上滑りしてしまっており、命を繋ぐことの大切さにはうまく絡めていないように感じたからだ。
これはもったいないと思う。
また、幻で現れる(時空を超えて現れる)兵士は少々蛇足的に感じてしまった。

戦争に対するメッセージがあまりにも、メッセージ、メッセージしすぎというか、直接すぎて逆に伝わらない。
それを台詞にして発するのは、1人悦に入った感じの役者たちで、しかも、その台詞自体は、あまりにも紋切り型なので、聞いていて辛いものがあった。
物語がきちんとしていれば、直接的な台詞にしなくても伝わるのだということを言いたい。

内容に関しても、戦場で敵に遭遇し、仲間には降伏して生きろと伝えるわりには、自分は「敵と戦っているのではなく、戦争と戦っているのだ」と言いながらも、自らの死を選んでしまう学徒の少尉がいた。戦争と戦って勝つということは、とりもなおさず「生き残る」ということなのではないのだろうか。
生きることの大切さを訴えなければ、物語全体とのバランスがとれないように思える。ドラマチックにする、ということを取り違えてしまったようにしか感じられなかった。

また、冒頭の学生たちを競技場に連れて行った講師は、学生に何を学ばせたかったのかが、イマイチ伝わってこない。自分は出産で講師を辞め、学生には論文を提出させるだけという、放りっぱなしの状態なので、学生は単に論文をみんなで書いた(一部の学生は自分で本を探して読んだだけ)というだけで、何を学んだのかがまったく見えない。声高に、というか偉そうに「戦争が」と語る講師は、そんな抽象的なことを言うだけで、指導も何もしないのか、と呆れた。
こここそ、「出産=新しい命」そして「それを繋ぐことの大切さ」を観客に感じられるようにしてほしかったと思う。
どうも、設定は面白そうだったが、ストーリー的には少々雑な印象だ。

また、出演者が多く、いろいろな人が物語の中心に現れてくる、という手法なのだろうが、力量的な問題もあり、観ている側の視点が定まらず、芯がつかみにくい。
劇団の役者を1人でも多く出したいということはわかるのだが、そのレベルについて、つまり、舞台に立てるレベルかどうかは、もっと冷静に判断すべきだと思う。
台詞を覚えてしゃべることができればいいのではないのだから。

ダンスとの融合はとてもよかったと思う。ただし、もうひとつ身体にしなやかさが感じられなかったのは残念だ。
また、ダンサーを使うということからか、ダンサーが絡むシーンが多すぎる印象だ。ピンポイントで使用を絞ったほうが効果的だったと思う。

「生命」みたいなものの象徴として(確かにそんな使い方でもあったのだが)、もっときちんと全編を貫いてに使われていたら、かなりよかったのではないかと思った。「月の光」という大切なキーワードとともにそれができていたら良い舞台になっただろうと思う。

以上、厳しいことを書いてきたが、あらゆる場面で真面目であり、ダンスとの融合や物語の広がりはよかったので、今後に期待をしたいと思う。
月光の在り処【ご来場ありがとうございました】

月光の在り処【ご来場ありがとうございました】

TOKYOハンバーグ

ラゾーナ川崎プラザソル(神奈川県)

2009/11/28 (土) ~ 2009/11/30 (月)公演終了

満足度★★

いやはや
前回に比べ印象がずいぶん変わりました。


個人的には
こういうのものすごく好きでした。


ただ、うーん

テーマが、私の読み取りだと
これまで多くの先人が行ってきたこと


それをやるということは

とてつもないリスキーさであると思う。

それにあえて(かはわかりませんが)挑戦する、
そこは評価したい


ですが・・・・・うーん


結局は作家が今伝えたいことを
やればそれがいいんですよね



ただやるんであれば

もっと新鮮な切り口を観てみたかったかな

BOOKEND

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INUTOKUSHI

早稲田大学大隈講堂裏劇研アトリエ(東京都)

2009/11/26 (木) ~ 2009/12/01 (火)公演終了

楽しかったです☆
最初から勢いのある演技でとても楽しませてもらいました☆
下ネタオンパレードでちょっと最初はビビッてしまいましたが、
セリフのスピード感とかにいつの間にかひきこまれていました♪


再会【ご来場ありがとうございました】

再会【ご来場ありがとうございました】

はらぺこペンギン!

シアター711(東京都)

2009/11/26 (木) ~ 2009/11/30 (月)公演終了

観た!
観ました~!!

エンジェル・イヤーズ・ストーリー

エンジェル・イヤーズ・ストーリー

演劇集団キャラメルボックス

サンシャイン劇場(東京都)

2009/11/28 (土) ~ 2009/12/25 (金)公演終了

相変わらずの
キャラメル節。老若男女、ファミリーで楽しめるエンタメ作品。どうでもいいけど、成井さんの説明は、宇宙人ジョーンズの感動的なCMを思い出させる。

ネタバレBOX

多少ストーリー運びに無理を感じさせる面もあるものの、さすがの脚本。工夫のこらされた演出と、それをきっちり具現化できる力のある役者たち。チケット代6000円はやっぱり高いなぁと思うけれど、そういう劇団になっちゃったんですね。
BOOKEND

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INUTOKUSHI

早稲田大学大隈講堂裏劇研アトリエ(東京都)

2009/11/26 (木) ~ 2009/12/01 (火)公演終了

満足度★★★★

笑いの間口の広さ
物語がしっかりあって
曲がりなりにもその中に
笑いがおりこまれていて・・・

好き嫌いはあるのかもしれませんが、
さまざまなバリエーションの生きた笑いが
生まれていました。

作り手の志が感じられる舞台でもありました。





ネタバレBOX

主人公の生い立ちからはじまって
笑いを離れまた取り戻すまでの話。
そこに天上の世界の神様の確執の話が重なって
物語が流れていきます。

物語のテーマが笑いに絡んでいるので
細かく丁寧にストーリーをくみ上げようとすると
よりたくさんの笑いが必要になる。

そのために、さまざまなタイプの笑いが
舞台に編み込まれていきます。

その間口が広いのですよ。
単純にナンセンスなものから
物語としてのコミカルさまで・・・。

下ネタも盛りだくさん・・・。
その下ネタにもバリエーションがあって
単純に尻を見せるお子様向け(?)のものから、
観客ではなくむしろ女優にいけないものを見せて
そのどんびきさを供するものまで・・・。
高度な大人の下ネタもたくさんあって・・・。

しかも、ギャグによっては
吉本も真っ青になるほどの切れがある・・。
おっぱいとティッシュで作る笑いなど
がきデカのような突っ込みの鋭さとスピード感があって・・・。

観る側は笑いながらもとにかく物語を追うことに飽きない・・・。
笑いが物語の表現手段という枠に
ちゃんと収められているのです。

こういう感じ、私は大好きです。
きっとこの劇団は同じ力量で
いろんなものを見せてくれる気がするのです。

今回の充実に加えて
期待もいっぱいに感じさせてくれる作品でありました。










瞬間キングダム

瞬間キングダム

あなピグモ捕獲団

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2009/11/27 (金) ~ 2009/11/29 (日)公演終了

わかんなかったけど
理解しようなんて土台無理。だけど、ちゃんと伝わりました。期待を裏切らず、客演陣が印象的。久米靖馬さん、カッコイイ!力武修一さん、カワイイ!

再会【ご来場ありがとうございました】

再会【ご来場ありがとうございました】

はらぺこペンギン!

シアター711(東京都)

2009/11/26 (木) ~ 2009/11/30 (月)公演終了

満足度★★

これがカラーならば
仕方ないですね。短編のオムニバスだからなのか物語の中身がどうにも薄くて薄くて、3本をつなげるためなのか作者の都合だけで登場人物が動かされちゃってる感じ。

ネタバレBOX

笑わせたいのかなって雰囲気もなくはないのに、1本目と2本目の変なオチにひどくがっかりさせられました。
フォト・ロマンス(ラビア・ムルエ、リナ・サーネー)

フォト・ロマンス(ラビア・ムルエ、リナ・サーネー)

フェスティバル/トーキョー実行委員会

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2009/11/26 (木) ~ 2009/11/29 (日)公演終了

満足度★★★★

素直に楽しめました
少しとっつきにくい内容かな?と思っていたので、コミカルな展開は意外ながらも、楽しく観ることができました。

フォト・ロマンス(ラビア・ムルエ、リナ・サーネー)

フォト・ロマンス(ラビア・ムルエ、リナ・サーネー)

フェスティバル/トーキョー実行委員会

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2009/11/26 (木) ~ 2009/11/29 (日)公演終了

まだまだ混乱している・・・
イタリア映画「特別な一日」をパロディにした映画を制作しているアーティストが検閲官にプレゼンをする。ただそれだけなのに事態はあまりにも複雑で・・・。それに自分の知識が乏し過ぎたため、すべての内容を理解できたとは到底思えないけれど、フォト・ロマンスから何かしら手がかりを見つけ出したいと思っている。

ネタバレBOX

舞台はべルイート。
レバノンの2大勢力である親シリア派(3月8日勢力)と反シリア派(3月14日勢力)の同時デモが開催される日。
その様子は、テレビ中継されている。
軍隊が出動し、有刺鉄線が張り巡らされ、街はものものしい雰囲気だ。

リナは離婚した主婦で、今は両親の家で暮らしている。
そこには兄弟、兄弟の嫁、その子供たちなど大勢のひとたちがいて、彼らは皆、学校やデモに出払っていていない。
リナは家事をしなければならないため、一人で家に居る。
頭を抱えうんざりする彼女は、ひとまず飼い猫を柵から出し、エサをあげる。
すると猫がジャンプし宙を舞い、部屋から逃げ出してしまう・・・。

猫が逃げた先は、かつて左翼系新聞記者であったひとりの男の部屋。
彼はラビアと言い、イスラエル軍によって8年間拘束されていたらしい。
猫をきっかけに彼らは心を通わせ、その一日が終るまでを描く。

という、イタリアの名画「特別な一日」をパロディにした新作映画を制作した
リナ・サーネーが検閲官であるラビア・ムルエに、プレゼンしていくという内容で、このドラマは、オフレコにすれば、リナとムルエが互いにアイデアを出し合って、ディスカッションしているような印象すらもたらすようにも思われるのだが、そこに検閲官とアーティストという役柄を与えられることによって。また、その役柄を本名で演じることによってリアルとフィクションの境界線がより曖昧なことにされている。

劇中で流れる映画は、モノクロ写真を連続し映す手法「フォトロマン」を用いていて、ビデオカメラで撮影した動画を静止させたものを繋ぎ合わせたものと、リナのナレーションのみで構成される。画面はグレーと白の淡いコントラストで、リナの真っ赤に染められたソバージュの髪と、冒頭の、レバノンの国旗と背景の青空、デモのニュース映像だけがオールカラーであり、このふたつの画は非常に重要な意味合いがあると受け取れる。
冒頭の風にはためくレバノンの国旗は、今だレバノン国内に蔓延する精神的ナチズムをアイロニカルにうつし出し、デモの映像は、レバノンの社会情勢を剥き出しに提示する。そして、リナの真っ赤な髪の毛は彼女なりの自己表現であり、女性の社会的地位に対するささやかな抵抗のようにも見える。

そのアリバイは、リナの兄弟、嫁や姪など様々なリナの家族が朝支度をするワンシーンで証明される。リナの家族はひとつの集団と捉えられ、その意見は皆同じではあるが、個の意見が反映されているものではない。
と考えられることから、彼女の家族は誰ひとりとして生身の姿を現わさない。
個人が一個人としての意見を持った時にはじめて登場人物としての焦点が合うのだ。

やがて、偶然出会ったふたりが他愛ない会話を交わすが、「特別な一日」で描かれるようなロマンス的な要素はあまりなく、至ってプラトニックなのである。それは、レバノンの社会情勢があまりにも深刻過ぎて、恋愛どころの話ではない。とも受け取れるし、男性が同性愛者なのかもしれないし、レバノンという国が、ロマンス的な表現を規制しているからなのかもしれない。

フォト・ロマンスはこのように、断定できない曖昧な要素が多数出てくるが、解決されないまま置き去りにされる。その兆候は、ラストに近づくにつれ濃厚となり、ついには映画のラストはふたつから選択できるという苦し紛れの運びとなる。何としてでも検閲を突破したいアーティスト、リナの焦りは深刻であるはずなのに非常にコミカルで、不謹慎ながら思わずクスリと笑ってしまった。

この作品を完全に理解するにはまだまだ知識が足りないと痛感した次第であるのだが、イタリアの名画「特別な一日」をベースに用いることにより逆説的に
この世にオリジナリティは存在するのか。という恒久的な問いを投げかけ、また同胞の気持ちに寄り添うように、体制に対し静かに意を投げかける。彼らはひょっとすると演劇を、多くの人々が社会を考えるためのヒントを与える機会だと考えているのかもしれない。その真剣な姿勢は、レバノンから遠く離れたわたしたち日本人の心にも言葉や国境の壁を超えて、伝わってきた。レバノンのことについて、まだまだわからないことだらけだけれど、色々と知りたいと思った。
ハシムラ東郷

ハシムラ東郷

燐光群

座・高円寺1(東京都)

2009/11/20 (金) ~ 2009/11/30 (月)公演終了

満足度★★★

情報の洪水
台詞が担う情報の過剰さについていくことができず、オーバーフローの状態。宇沢さんの著作から読み取ったことをできるだけ芝居に詰め込もうとした結果だと思う。
劇中で提起される問題は非常に興味深いものではあったが、私は脱落してしまった。

「原作」の著者、宇沢さんはまさか自分の研究がこういったかたちで舞台化されるとは想像していなかったに違いない。だいたい誰がこういう研究を、舞台にしようなんて考えるだろうか?! 芝居の過剰さは坂手氏が宇沢著作を誠実に読み込んだ結果だとも言える。自分が心血注いで書き上げた研究著作がこういったかたちで舞台のなかで表現されるなんて、たとえ舞台作品としては成功作とは言えなくても、宇沢さんにとってはとても幸せなことであるように思える。

欲望貴族

欲望貴族

角角ストロガのフ

インディペンデントシアターOji(東京都)

2009/11/26 (木) ~ 2009/11/30 (月)公演終了

満足度★★★★

同時進行の妙
未成年が犯した罪は、犯罪から15年間はその保護者が責任を取る、というNB法が成立した世界を描くSFストーリー。
舞台セットのおもしろさと、最大6箇所で同時進行する物語の構造に驚かされた。
さらに、それぞれの登場人物に背景があり、それを描き分けようとする作家の力量に脱帽。
また、難しい舞台にもかかわらず、作家の意図を汲み取り演じた各役者にも拍手を送りたい。
ストーリー自体は荒削りで、主題・メッセージ性を磨くなど、改善の余地はあるものの、それを上回る舞台構造の見事さがあった。
次回は是非、鋭いメッセージ性のある作品を見たい。

その嘘に、リボンを

その嘘に、リボンを

ビビプロ

シアター風姿花伝(東京都)

2009/11/27 (金) ~ 2009/11/29 (日)公演終了

満足度★★★★★

ご来場ありがとうございました!!
ビビプロ第三回公演
「その嘘に、リボンを」へのご来場、まことにありがとうございました。
ビビプロ史上最高の540名のお客様にお越しいただき、本当に心より感謝しています。
今後の活動はビビプロホームページをごらんください。
また、MVPを発表しました。
http://blog.livedoor.jp/fromvivipro/
よろしかったらご覧下さい。

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