満足度★★★
情報の洪水
台詞が担う情報の過剰さについていくことができず、オーバーフローの状態。宇沢さんの著作から読み取ったことをできるだけ芝居に詰め込もうとした結果だと思う。
劇中で提起される問題は非常に興味深いものではあったが、私は脱落してしまった。
「原作」の著者、宇沢さんはまさか自分の研究がこういったかたちで舞台化されるとは想像していなかったに違いない。だいたい誰がこういう研究を、舞台にしようなんて考えるだろうか?! 芝居の過剰さは坂手氏が宇沢著作を誠実に読み込んだ結果だとも言える。自分が心血注いで書き上げた研究著作がこういったかたちで舞台のなかで表現されるなんて、たとえ舞台作品としては成功作とは言えなくても、宇沢さんにとってはとても幸せなことであるように思える。