夢の裂け目
新国立劇場
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2010/04/08 (木) ~ 2010/04/28 (水)公演終了
満足度★★★★
追悼文書いてきました。
誰に戦争責任があったのか!、誰が責任を取ったのか?
角野卓造さんの身のこなし、良かったですね。
ネタバレBOX
前半は、みんなが戦犯?!、みんなが戦争協力者?!、庶民は実質的に国会議員を選べなかったので、庶民には罪は無い。
後半は、やはり旨い汁を吸ったやつもいたはずで、罪無しとは言えない。
「満月狸ばやし」の屋島は八洲、四国は米英中ソ…。私も最初の頃に紙芝居を聞いていても話の内容が良く分からなかったです。それが、私もあっと思い、留吉もはっと気付く、そのときの角野卓造さんの顔は見応えありました。
庶民は生きるためには何でもします。原理主義にならず、庶民に優しいところが井上ひさしさんです。
おたふく・氷解
劇団芝居屋
ザ・ポケット(東京都)
2010/04/13 (火) ~ 2010/04/18 (日)公演終了
満足度★★★
おでんで…、
身体も心も温かくなれそうです。
ネタバレBOX
B級グルメ詐欺のネタもおでん、親子の氷解もおでん。材料は獲れたての魚で作った練り物、美味しそう!
しかし、「私のおでん食べていってよ」ではなく、本当は、「私のデザイン画見ていってよ」かな?!
商店街青年部長は、偽メール事件のときの前原さんのようでした。成果を焦ると周りが見えなくなりますね。
平成派遣版・窓ぎわのセロ弾きのゴーシュ
劇団黒テント
イワト劇場(東京都)
2010/04/04 (日) ~ 2010/04/14 (水)公演終了
満足度★★★
斎藤晴彦さんから目が離せない!
最後の最後で、とても暖かい気持ちになれる芝居でした。
ゴーシュを演じた斎藤晴彦さんがいかす!
ネタバレBOX
タイトル通り、平成派遣版の、窓際のセロ弾きのゴーシュ。
この作品、17年ぶりの再演だそうだ。
時代に取り残されてしまい、
今じゃ仕事の出来ない、会社のお荷物的存在のおじさん・ゴーシュ(=斎藤晴彦)
今日も書類をうまく作成できず、
自分よりも若い上司(=滝本直子)にいびられたあげく、残業を命じられる。
はやく終わらせて帰ろうとがんばるゴーシュだが、
どうにも集中できない。
すると事務所の扉の開く音が…
事務所を訪ねてくる面々との会話が、
(だいぶおやじギャグが多いが)軽妙で楽しい。
ゴーシュを演じる斎藤晴彦さんの疲れたおじさんぶり、
そして時折見せるハッスルぶりは見事。
どんな場面でも、ゴーシュから目が離せない。
訪問者たちとの出会いがあった後、
ゴーシュは
「やろうと思えばやれたんじゃないか。」
という言葉をもらい、
ゴーシュはちょいと照れくさそうにつぶやく。
この一言で、この芝居を観に来た甲斐があったな、と。
この一言へ、芝居は向かっていたのだな、という感じがあり、とても印象的なラストとなった。
ただ、訪問者の来訪が若干ワンパターンにも見え、
少し中だるみのようにも見えた。
ゴーシュが正論を言って迷惑な訪問者たちを追っ払っているように見えなくもないので、
もっとこう、ゴーシュとのやりとりの中で、
訪問者たちが個性を発揮できると、
というか、「めんどくさいけどいいやつら」的な感じがあると良かったなぁ、
というのが個人的な感想。
斎藤晴彦さんが魅力的すぎるだけに、
他の面々(若い方が多いように思えた)にもっとインパクトが出てくると、
作品全体のバランスも良くなってくるのではないだろうか。
歌、良かった。
紙風船、芋虫、かみふうせん❤
オクムラ宅
TARA(東京都)
2010/04/10 (土) ~ 2010/04/18 (日)公演終了
満足度★★★★
演劇への愛情が詰まった小空間
奥村さんの演劇への愛情がたっぷりとつまったオムニバス公演となってました。
役者もセリフも同じひとつの作品を演出ひとつで別の作品に仕上げてしまうセンスが演劇です。
そして「芋虫」は遊び心に溢れた力の抜けた作品でユーモアたっぷり。
この作品は奥村さんの芝居がなければ成立しないですね。
人によって見方も感じ方も変わってくると思われる構成で、それ自体が演劇的でした。
ネタバレBOX
「芋虫」はとにかく遊びに走った作品で、その遊び心が楽しかったです。
乱歩のまがまがしい世界を気ぐるみによってポップに演出して軽やかに見せてくれます。
話自体は重たいのだけど、全然重くない。
でも、しっかりと伝わってくる。
そんな丁寧な作品作りが素敵でした。
「紙風船」「かみふうせん」は実際に見比べてみてこその2作品。
飾り気のない会場だけど、その分しっかりと芝居に集中できて、無駄をそぎ落としたとても良い舞台です。
会場のクッションが、思いの外見ていて疲れなくて良かったです。
Side Show
フジテレビジョン
東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)
2010/04/07 (水) ~ 2010/04/18 (日)公演終了
満足度★★★
観て良かったとは思うけれど
誰もがミュージカルに期待するような「ワクワクと、楽しい気分」とは全く対極のストーリーなので、ミュージカルなのに、ずっといろいろ頭の中で、思考がやむことがありませんでした。
予備知識なく観に行きましたが、この主人公の姉妹は実在の人物だったのですね。
だったら、実際の姉妹の話に即したストーリーなのでしょうが、これが、ブロードウェイミュージカルだという点に、ちょっと引っかかりました。
作者は、どういう思惑でこの作品をミュージカルにしようと決めたのか、大変気になりました。
ヒルトン姉妹を演じたのは、元宝ジェンヌの中でも、演技力に定評のあるお二人なので、後半は特に二人の哀切な演技表現に、涙が出そうでしたが、お一人、長く某劇団に在籍されていた役者さんが、演技者としての表現力が乏しい方だったために、その出掛かった涙が何度も目の奥に引っ込みました。
むしろ、大澄さんと役を交代されていたら、もっとクオリティの高い作品になっていたかも知れません。
その反面、若い伊礼彼方さんが、演技も歌も、身体表現も、実にフランクな表現力があって、また彼の表現者としての資質に、頼もしさを覚えました。
板垣さんの演出は、全体としては好きでしたが、最初、アンサンブルの人達が、一人一人登場してから、音楽が始まるところだけは、再考の余地ありと感じました。
楽曲の素晴らしさ、照明の美しさは、特筆ものだと思います。
ネタバレBOX
テリーのデイジーに対する真実の思いが、テリー役の役者さんの演技表現から、全く読み取れないので、このストーリーの真の哀切さがまるで伝わらない気がしました。テリー役が、もっと感情表現に優れた役者さんだったなら、もっとこの作品の深さが理解できたかも知れません。
逆に、伊礼さんは、歌も演技も身体表現も、実に見事で、感心しました。
最後に、姉妹が、二人が生きて行くために選ぶ道が、最善策ではあるだろうけれど、観る者には辛い選択なので、カーテンコールになっても、しばし、心が宙を彷徨うような思いでした。
最後の、樹里さんと貴城さんのデュエットは、心の琴線に触れる名曲でした。
この歌を聴いたことと、伊礼さんの好演を観られて、行って良かったと、心から思えたような気がしています。
私のこの目で【ご来場誠にありがとうございました!】
劇団スカラベ
シアターブラッツ(東京都)
2010/04/09 (金) ~ 2010/04/11 (日)公演終了
満足度★★★★
後半は素晴らしかった
前半も悪くはないが,それよりも後半は見事。声も出ていたし,聞き取りやすかった。連れは前半と後半の役者さんは別の人だと勘違いしていたくらい。芥川龍之介の三つの短編「藪の中」「袈裟と盛遠」「龍」がミュージカルになるなんて想像もつかなかったが,見事にミュージカルだったなぁ。黒澤世莉の演出,とても良かったけど,谷賢一の演出ならどうなっているんだろう。それも興味の湧くところ。
春の海
世田谷シルク
シアター711(東京都)
2010/04/08 (木) ~ 2010/04/11 (日)公演終了
満足度★★★
今回はちょっと・・・・
好きか嫌いかと聞かれれば、世田谷シルクは好きな劇団である。
まず、いままでの形式と少し変え、オリジナルの新作に挑んだ意欲を買いたい。
また、これまで築き上げてきたこの劇団のスタイルに敬意を表すれば、本作のみを取って劇団を評価することも避けたいと思う。
まだまだ可能性を秘め、発展途上にある劇団だと思うので、今後にも期待している。
ただ、もしも、先入観や予備知識なしに本作を初めて見たとしたら、自分は、また次回も観てみたいとは思わなかっただろうというのが正直な感想である。解説文から内容を想像していたときのほうが楽しかった。それだけ、期待感が大きかったのだと思う。
ネタバレBOX
過去と現在が入り混じって描かれ、劇の半ばまで時系列の仕掛けがよく理解できなかったのが、あまり楽しめなかった理由だと思う。
児童対象の理科の実験塾とダム開発をめぐる人間関係という着想は面白いと思ったが、自分の長い観劇歴の中では、本作はさほど出来のよい芝居だとは思えなかった。
過去と現在の場面をシルクお約束のダンスでつなぐが、配役表に書いてなければ、あのダンスが海の生物たちを表しているとは理解できなかったと思う。
わけのわからないお遊戯に見え、タイやヒラメの幻影が眼前には浮かんでこなかった。役者は楽しんでいるが、格別上手なダンスを踊るわけでもないし、演出的にも新鮮だとは感じなかった。むしろ、2005年ごろから、大学の学生演劇でさんざんこういうダンスを見せられてきて、いささか食傷気味である。
ダンスはこの劇団の特徴でもあり、好きだと言う意見も多いようなので、いちがいに否定するつもりはないが、マンネリに感じられなくもない。
「山田君とヤドカリ」の描き方も想像したほどの意外性がなく、山田君のセリフが背景スクリーンに投影されるが、スクリーンの海中模様や役者の頭が邪魔で字が読みとりにくいのも気になった。
ダム開発について、はるこが「ダム」を憧れの「海」に見立てることで、何とか自分を納得させようとしたという場面と、酒屋の町田が「狭い町でダムができたら新規のお得意を一から開拓することがどんなに大変か」と語る場面に、リアリティーが感じられた。☆3つはこの2つの場面に捧げたと言ってよい。
ファンタジー的要素がある芝居でも、堀川さんの台詞には何気ないひとことにも味わいが感じられるのが魅力だと思う。
所見の日、ポカポカ陽気だったので配慮してくださったのだと思うが、空調が寒すぎてからだの芯まで冷え切ってしまったのも辛かった。厚手の上着を持っていなかったら、耐えられない寒さだった。
多い日も安心
柿喰う客
PRUNUS HALL(桜美林大学内)(神奈川県)
2005/06/30 (木) ~ 2005/07/03 (日)公演終了
満足度★★★★★
過去の観劇歴中
1、2を争う素敵作。
PUZZLE
PLAT-formance
MAKOTOシアター銀座(東京都)
2007/03/02 (金) ~ 2007/03/03 (土)公演終了
JUNK
PLAT-formance
千本桜ホール(東京都)
2009/11/05 (木) ~ 2009/11/08 (日)公演終了
満足度★★★
前はシンプルで良かったのに
欲が出ちゃったのかな。
もっと、小技を、きかしてくれるほうが、個人的には好み。
リチャード・イーター
劇団銀石
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2009/08/12 (水) ~ 2009/08/16 (日)公演終了
満足度★★★★
全体は良い。
情報量が多いなか、判りやすかった。
復讐回帰
劇団銀石
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2010/03/30 (火) ~ 2010/04/04 (日)公演終了
満足度★★★
役者コンディション
がわるかったのかな。脚本は、すてきでした。
おたふく・氷解
劇団芝居屋
ザ・ポケット(東京都)
2010/04/13 (火) ~ 2010/04/18 (日)公演終了
満足度★★★
ベタな人情劇
寺町での訳ありの親子と商店街の青年達らの物語。物語はものすっごく解り易いが、内容は何処にでもあるような人情劇。昼ドラのような感覚。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
青年達らは町の再活性化を目指していた。そんな折、図ったかのように男女の詐欺師らが現れ、青年らは男詐欺師を料理の鉄人だと思い込む。同時に町おこしの為にこの鉄人を頼りに商店街の店舗を「B1グランプリ」に出場させる道筋を作って貰おうと持ちかける。誘い水に乗ってしまった青年らに詐欺師は袖の下をちらつかせる。
一方で、常光寺の山門脇の茶店「おたふく」では総一が病に倒れた後、一人娘のさくらは茶屋の仕事を手伝っていた。そんな時にさくらの種違いの妹が現れる。デザイナーで社長である母親の近況を伝え、母を助けて欲しいと頼まれるも、自分と父を捨ててデザイナーの道を選んだ母親の事を、さくらはどうしても許す気持ちにはなれなかった。それでもさくらは小さい頃に母に書いてもらったデザイン画を後生大事に持っていたのだが・・。
親子の確執は溶けないまま、青年たちは詐欺師に言いくるめられて、いざ金を渡すという日に、この町にやってきた母・良子はかつて自分が詐欺られたこの男を覚えていたのだった。詐欺師の正体を暴き青年たちを救った母とさくらはここで対面したが、さくらの心は頑なに閉じたままだった。しかし、母が帰るというその瞬間にさくらは、母親に今まで淋しかった心の内を打ち明け、親子は抱き合うのだった。。
今回の物語は何か物足りない気がした。前作があまりにも秀作だったからかもしれない。それとも暗転の時の間が気になったのだろうか?キャストの人数に対して舞台が広すぎたような気もするのだが・・。
博覧會
パルコ・プロデュース
東京グローブ座(東京都)
2010/04/08 (木) ~ 2010/04/21 (水)公演終了
満足度★★
おもしろかったのかな?
別につまらなかったわけではないし、それなりにスリリングな展開もあった。
要所要所で笑える箇所もあった。
ただ、イマイチなんだかなぁ?という感じ。
こういう芝居を見慣れていないだけかも…。
決してつまらないわけではないですよ。
奇妙奇天烈ファンシーハウス in大阪 (公演日は24日!15時と19時からです!!)
劇団ぎゃ。
in→dependent theatre 1st(大阪府)
2010/04/10 (土) ~ 2010/04/11 (日)公演終了
満足度★★★★★
ファンシーではない(笑)
出演者が女性ばかりなのに、舞台の上に置いてあるのは○器。。。どんな話?(汗)と思っていたのです
が、話の内容は深く、生々しいものでした。
女の人にしか書けない本だと思います。(でもなんで男性ファンが多いんやろ。。。?)
最後には泣いてしまいました。
ポップでカラフルでそして、ブラックでした。
普段あまり触れたくない部分、面と向かって言えないことを言ってくれて、正直スッキリしました(笑)
また大阪に来られるときは見に行きます。
Duet For One
アトリエ・ダンカン
カメリアホール(東京都)
2010/04/13 (火) ~ 2010/04/15 (木)公演終了
満足度★★★
安めぐみさんは好演でしたが
安めぐみさん、ホント上手になってました。
でも、脚本も、時代設定も、今一つ腑に落ちない。
ネタバレBOX
安めぐみさん、公演決まった後にお母様を亡くされ、
辛い中での公演でしょうが、ホント頑張っていました。
テレビなんかで観るよりも、かなり良くなってた。
ただ、演出家の嗜好か分からないけど、主演の二人とも
変な癖のついた演技で、最後までなじめなかった。
公演後に安めぐみさんとの握手会があったのが救いです・・・
かたりの椅子
ニ兎社
世田谷パブリックシアター(東京都)
2010/04/02 (金) ~ 2010/04/18 (日)公演終了
満足度★★★★
「楽しみ」をみたくない
なんだろう。難しいけど、観客へ、自分も当事者だよ、みたいな、他人事としてじゃない感覚を呼び覚ます、もしかすると演劇が演劇である意味かもしれないようなちからが、信じられているのかな、と思った。
ネタバレBOX
舞台のうえに、リアルなセットはない。象徴的な、窓のいくつも開いたおおきな壁があるばかり。これが、迫ってきたり、遠のいたりするたびに、僕は、客席にいるのに、世界がこちらを押しつぶそうと迫ってきたり、まわりの音すら聞こえないほど自分と世界と、間の溝が深くなったり、そういう感覚に激しく揺さぶられた。これは、僕も巻き込む物語だと感じて、冷静ではいられなくなりそうだった。みたくない、と思うところが多かった。
物語は、とある町のアートフェスティバルをめぐるいざこざ。ゼッタイに本心を語ることのない、それが当たり前の世界に生きてきた官僚たちと、そういう社会を無意識に避けてきた芸術家とのちょっとした行き違いが、いつしかお互いの存在理由を賭けてぶつかりあう泥沼の争いに。大きな悲劇につながっていくまでが、一気呵成に描かれる。
永久に交わらないふたつの思想。全員が「善」であるのは芸術家の思想だとわかってる。でもそこに、互いの陣営の個々人が抱える個人的な思惑が少しずつ上乗せされて、はなしはねじれる。それらの言葉に板挟みになる人たちが描かれて、彼らのような、長いものにまかれなければならない「恥ずかしい」部分を持たない人間はいないかもしれないことが、はっきりと示唆される。
僕は、この演劇のいいところは、この板挟みになる民間のプロデューサーと、役所のおじさんが、じっくりじっくり描かれているところだと思うけど、同時に、この部分をきちんと観客が受け止めることは、相当に難しいとも思った。それは、ここで描かれていることが、僕たち観客が、基本的に「みたくない」ことだからだろうと思った。
「演劇を観にいく」ということは、やっぱり、楽しいことをみたいということだと思う。そのことは、単純ではない。たとえば、舞台に対して、いまここで僕がやってるみたいに、ああだこうだと口を挟むことも、「楽しみ」のひとつ。反省をこめて言えば、自分の「良識」を確かめる、ということだって、「楽しみ」になる。
この舞台は、そういう「楽しみ」の機会を与えながら、与えてくれない、という構造を持っているのではないか、と思う。つまり、普段の暮らしの中では色んなものごとを無意識にみないようにしている僕らが、突然ある一時、そのことについてあたかもずっと「良識」を持ち続けていたかのようにふるまうことができることを、描いているようにみえるのだ。
「まるで彫像。まるでそう……たまに眺めるのはいいけれど、引きずって歩くには重たくない?」
劇中のせりふだけれど、この戯曲そのもののことを言ってるみたい。それは、僕ら観客への、作者の投げたボールのようで、ボウリングのボールみたいに重たいそれを、僕らは受け止められるのか。観客の、観客としての力が(それは市民としての責任を引き受ける力でもあるだろう)、試されているような気がする。
私のこの目で【ご来場誠にありがとうございました!】
劇団スカラベ
シアターブラッツ(東京都)
2010/04/09 (金) ~ 2010/04/11 (日)公演終了
満足度★★★★
歌を聴くだけで・・・。
満たされるものがありました。
物語も、
台詞がわかりにくい部分があることを差し引いても
よく練られていたと思う・・・。
ただ、もっと良くなる余地はあると感じました。
ネタバレBOX
とにかく、役者達の歌唱力が圧倒的。
一人ずつが異なる味わいをもった歌唱で
物語やその場を紡いでいくのですが、
それぞれがあるレベルを超えた技術をもっているので
違いが優劣にならずきちんと個性となる。
国内で上演されるミュージカルに散見する
出演者間たちの優劣が目立っての興ざめが
この舞台には全くありませんでした。
出演者たちの表現の違いが
しっかりと舞台としての表現の豊かさに結びついていくのです。
芥川テイストについては、特に強く感じたわけではないのですが、
物語の切り取り方や絡み方は悪くないし、
歌と物語もしっかりと同じベクトルで表現されていたように思う。
演出の黒澤氏も、実直に仕事をした感じ。
オフっぽい雰囲気もなかなか居心地よく
休憩込の2時間も、観る側を満足させた上で
もう一口欲しいと思わせるような
絶妙な尺かと・・・。
ただ、ここまで作りこめるのだったら
音楽はぜひとも生にして欲しい。
ミュージカルでの歌って
確かに伴奏の枠の中で歌い始めるのですが、
ある段階から伴奏と歌の主従が逆転するようなところがあって・・・。
特にココ一番での歌手の力量の見せ所を伴奏がサポートしていくという
ミュージカルの醍醐味が、
録音だと完全に死んでしまうのです。
枠の外側に出る力量のない役者なら、
それでもよいのかもしれませんが、
まさに見せ場というところで
伴奏に縛られての歌は、ある意味痛々しくすら思える。
伴奏を入れるために、たとえば木戸銭がもう2000円高くても
この面子なら文句はいいません。
それだけの力がある役者達だと思うのです。
★★
夢の裂け目
新国立劇場
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2010/04/08 (木) ~ 2010/04/28 (水)公演終了
満足度★★★★
歴史再考
何気なく平和な世の中を生きている。しかし6.70年前は戦争に飲み込まれていたわが国。劇は戦後の市井の人を通じて時代を語っている。役者さんはそれぞれの持ち味を活かし巧みに演じている。音楽劇と言っていいのかわからないが、BGMもぴたりとはまっていた。2作目、3作目も楽しみ。見てよかった。
ただ、6時30分の開演は会社を脱兎のごとく退社しないと間に合わない。愚痴であるが...
Duet For One
アトリエ・ダンカン
あうるすぽっと(東京都)
2010/03/26 (金) ~ 2010/04/04 (日)公演終了
満足度★★★★
及第点であるが。
安めぐみ、非常に良いが惜しい部分が多々あり。
直せれば、一気に名女優の仲間入りかも。
再演希望。
ネタバレBOX
頑張っているのは分かる。
何とかしたいのも伝わってくる。
が、いまいち感情移入仕切れていないように見受けられている。
特に声に抑揚がさほど無いばっかりに
単調に聞こえてしまう。
大げさにしろとは言わないが、
感情を汲み取った上での発音に注意して欲しいかな。