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ギィ・フォワシィ演劇コンクール

ギィ・フォワシィ演劇コンクール

ギィ・フォワシィ・シアター

あうるすぽっと(東京都)

2010/05/05 (水) ~ 2010/05/07 (金)公演終了

満足度★★★★

「ストレス解消センター行き」SPPTテエイパーズハウス
会場はがら~ん。宣伝力が足りないのだ。後援は豊島区、(財)としま未来文化財団、みらい館大明、豊島区舞台芸術振興会だから、まあ、区の税金でもって第三セクターがとりあえず活動してますよー。っていう名目が大切な訳だ。笑

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX


この町では叫ぶと国外追放になってしまう。だから人々は憎悪の叫びを発することができない。欲求不満を解消できない人の為に「ストレス解消センター」はある。

バス停でバスを待ちわびるオンナ3人は叫びたいのを我慢してあれこれと愚痴る。「夫は忙しい。夜は、TVとネット。それもイヤラシイやつ。だから私も昼間こうやって大勢の恋人とセックスするの。」

そうこうしているうちにバスは遥かかなたからやってくる。しかし一つ手前で大勢の男達を乗せたバスは満員で3人の前でストップしない。

「ああ~、あ~。。」と落胆する彼女らを見張っていた研究者は「実験は失敗ね。」とこちらも落胆する。3人はモルモットだったのだ。

面白かった。この劇団は毎公演、拝見させて頂いてるが演出のコミカルさが抜群で楽しかった。舞台の前にちょこんと置かれた3体の人形も功を奏した。


猫

シンクロナイズ・プロデュース

吉祥寺シアター(東京都)

2010/05/06 (木) ~ 2010/05/09 (日)公演終了

満足度★★★

猫と一緒にいる意義。
走馬灯のように駆け抜けたひとりの青年の人生を、彼自身が見る多層的な夢のなかで妖艶なサーカスやおどけるピエロ、あやつり人形などの虚構を介在させつつ幻想的に描こうとしている心意気は素晴らしかったが、如何せん妖艶なサーカスの見せ場の比重が大きくまた、青年の鬱屈したコンプレックスや自分を受け入れることを拒否する社会に対する怒りや憎悪、砂を噛むようなやりきれなさ、青年と猫との交流の中から紡ぎだされるはずの人間のあるべき姿、社会や家族の本質などが見えにくかったため、シーンごとに分割して観ると良質なのだが全体を通してみるとやや散漫であった。

ネタバレBOX

舞台装置は天井の中心部分に取り付けられた円形のカーテレールを取り囲む、サーカステントをモチーフにしたカラフルなストライプ模様の生地とその後ろに置かれた高台のみで、ほぼ素舞台に近い状態だが上手側にピアノ線のような糸がダイヤ柄状に張り巡らされ、また舞台両サイドの中二階にのぼる梯子を取り付けるなどの細工を施しており、独創的な舞台空間が創り上げていた。ただ少し気になったのは、梯子が素の状態だったことと、高台の置かれている位置。前者はペイントなり、紐を巻くなりしした方が雰囲気が出るように思え、後者はもう少しサーカステントから距離を置いた方が舞台の奥行きが出たのではないかとおもう。

冒頭の、高台から飛び降り自殺をする青年の姿を、やわらかな音楽にあわせてゆらゆらと漂いながら見上げる猫たちと最後の、地面でうつぶせになって死んでいる青年の描写から、この物語が、飛び降り自殺をする青年が地面に落ちて行くまでのほんの一瞬の間に見る心象風景を世間でよくいう『死に際に人は走馬灯のように人生を振り返る』という仮説にならい、青年がこれまでに関わってきた家族との関係や、人生で起こった出来事などを虚実交えて総括するものであったというオチは個人的には好きだが、どうして彼が自分にも世界にも絶望をするまでに至ったのか、その経緯や青年の心の暗部の描写が不明確だったため、ラストの衝撃度が薄かった。

物語の展開は、青年が何かしら思い出した順番に進んでいくために、時系列はバラバラであるが、並列すると、家族と過ごしたあの頃を回想するうちに、サーカスの経営は破産してじいさんが病気になった悲しい現実や、仕事が上手く行かずにクビになった日のこと、膝をかかえてテーブルの下でじっとしていたあの日のことなどを思い出し、やりきれなくなった青年が猫のサーカス団という幻想や、猫を買収し、猫と一緒に孤独な日々を過ごした、という妄想をつくりだし、それらの妄想を食い止めるために、インチキ占い師が登場し、青年に、エヴァンゲリオンのテレビドラマ版の最終話的な、自己と他者における実存的な問いかけを、クイズミリオネア形式で尋ねる・・・。というものだった。

生きているのがツライと感じる青年が、痛切に求めていたことは、一体何だったんだろう。観ている間、考えていたのだが、結局あまりわからなかった。青年は自分の殻にこもり、だんまりを決め込んで、胸の内を話してはくれなかったから。青年の本当の気持ちを引き出して、青年を救済する役割が、青年の妄想が作りだした猫であるべきだったとおもったのだが、時系列をシャッフルするのに一生懸命なってしまい、青年の本心を描くところに気が回らなくなってしまったような印象を受けた。猫がストーリーテラーとなって話をぐいぐい押し上げていったら、また違う感想を持ったかもしれない。
キマズゲ

キマズゲ

劇団たいしゅう小説家

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2010/04/29 (木) ~ 2010/05/05 (水)公演終了

満足度★★

観てきた!
ん~…。期待していただけにちょっとがっかり。

アメリカン家族

アメリカン家族

ゴジゲン

吉祥寺シアター(東京都)

2010/04/29 (木) ~ 2010/05/02 (日)公演終了

満足度★★★

観てきた!
観ました。

「やすしくんへ」

「やすしくんへ」

RISU PRODUCE

シアター711(東京都)

2010/04/28 (水) ~ 2010/05/09 (日)公演終了

満足度★★★★

観てきた!
役者さんの気持ちがまっすぐに伝わってきた。観に行って良かったです。

日本語を読む その3~ドラマ・リーディング形式による上演~『老花夜想』 

日本語を読む その3~ドラマ・リーディング形式による上演~『老花夜想』 

世田谷パブリックシアター

シアタートラム(東京都)

2010/05/07 (金) ~ 2010/05/09 (日)公演終了

Mr. & Mrs. Habit

Mr. & Mrs. Habit

劇団スクランブル

STスポット(神奈川県)

2010/05/07 (金) ~ 2010/05/09 (日)公演終了

日本語を読む その3~ドラマ・リーディング形式による上演~『ポンコツ車と五人の紳士』

日本語を読む その3~ドラマ・リーディング形式による上演~『ポンコツ車と五人の紳士』

世田谷パブリックシアター

シアタートラム(東京都)

2010/05/06 (木) ~ 2010/05/08 (土)公演終了

日本語を読む その3~ドラマ・リーディング形式による上演~『熱帯樹』

日本語を読む その3~ドラマ・リーディング形式による上演~『熱帯樹』

世田谷パブリックシアター

シアタートラム(東京都)

2010/05/05 (水) ~ 2010/05/08 (土)公演終了

動け!人間!

動け!人間!

鰰[hatahata]

アトリエ春風舎(東京都)

2010/04/16 (金) ~ 2010/05/05 (水)公演終了

201005051300
なんとなく「深海魚」と呼ばれている方 観劇

アメリカン家族

アメリカン家族

ゴジゲン

吉祥寺シアター(東京都)

2010/04/29 (木) ~ 2010/05/02 (日)公演終了

満足度★★★

どこへ行く?
方向性が定まらない感じが満載でした。
そのストレスを、舞台上で爆発させるパワーはあると思うので、
目指す姿が決まれたグングンくるのでは?

15 Minutes Made Volume8

15 Minutes Made Volume8

Mrs.fictions

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2010/04/29 (木) ~ 2010/05/02 (日)公演終了

満足度★★★

15分に凝縮された物語
15分の短い間に凝縮された物語を楽しませてもらいました。
キレイにまとまっているものもあれば、本公演の方が良かったと思うユニットもあり、
出来不出来にはバラつきがあったと思います。

トップバッターの「国道」がNo1でした。
以前、ゴジゲンに出ていた田中さん(?)、今回もパワフルでした。
相変わらず、声がでかくて素敵です。

時間堂は、期待していただけに残念です。
セリさんのキャラが強すぎて、あの人物には相性悪いかな。

動機

動機

絶対安全ピン

あうるすぽっと(東京都)

2010/05/07 (金) ~ 2010/05/07 (金)公演終了

満足度★★★

芝居というよりも・・
会場はがら~ん。宣伝力が足りないのだ。後援は豊島区、(財)としま未来文化財団、みらい館大明、豊島区舞台芸術振興会だから、まあ、区の税金でもって第三セクターがとりあえず活動してますよー。っていう名目が大切な訳だ。笑

ネタバレBOX

金持ちの女が夫と愛人を殺すのに動機が必要なので、愛人に沢山の告白をさせてから、終いに殺す物語。

椅子を動かしながらの演出にどういった意味があったのかが解りづらい。表現の仕方が曖昧なのと断片的な描写もいまいち乗れなかった。 あまりにも抽象的で芝居というよりパフォーマンス的な要素が強かったように思う。




ギィ・フォワシィ演劇コンクール

ギィ・フォワシィ演劇コンクール

ギィ・フォワシィ・シアター

あうるすぽっと(東京都)

2010/05/05 (水) ~ 2010/05/07 (金)公演終了

満足度★★★

「相寄る魂」子どもで大人
会場はがら~ん。宣伝力が足りないのだ。後援は豊島区、(財)としま未来文化財団、みらい館大明、豊島区舞台芸術振興会だから、まあ、区の税金でもって第三セクターがとりあえず活動してますよー。っていう名目が大切な訳だ。笑


以下はネタばれBOXにて。。


ネタバレBOX

ベンチに座るオンナ。そこに近寄るオトコ。オンナは金持ちの王子様が現われてソローニュの城へ連れて行って!なんて妄想にひた走りだす。オトコはそんなオンナの妄想に輪をかけるような話をして夢見心地にさせ、プロポーズまでする。

私たちは幸せの鐘が鳴り響く中、結ばれるのね~(はぁと)!!なんつって幸せ満点で絶頂の中に居たところに鐘の音が響く。工場の始業の鐘だ。しばし現実逃避して妄想していた彼らは「じゃあ、また明日ね。」なんつって作業服の我に返って仕事に戻る。

物語自体はひじょうに面白いがキャストのトチリが目立った。30分の舞台だったがそれでも構成は上手く充分に楽しめた。
ビヂテリアン大祭

ビヂテリアン大祭

ピーチャム・カンパニー

シアターPOO(東京都)

2010/04/30 (金) ~ 2010/05/03 (月)公演終了

満足度★★★★

力作でした
宮沢賢治の小説「ビヂテリアン大祭」を戯曲に書き起こした作品。演劇にかかわる前は小説家志望だったと言う清末浩平らしく、当日会場で配布された「ビヂテリアン大祭報告会」のパンフレットも凝りに凝ったもので、もっともらしい嘘がたくさん書いてあり(笑)、観客を虚構の世界に引き込んでいく。
主宰で演出担当の川口典成のブログによれば、脚色者と演出家が相当綿密な打ち合わせのもとに作り上げた作品らしく、このクラシックスシリーズの中では、一番の力作ではないだろうか。
この経験を生かし、秋のオリジナル作品もすばらしいものとなることを期待している。

ネタバレBOX

立場の異なる者同士のディベートというよりプレゼンの場といった印象の芝居。宣伝文句の「抱腹絶倒の演説バトル!」とまではいかないこの劇団らしいまじめな内容だと思った。青年団の芝居のように、会場に入ってきた参加者が開始前の挨拶を交わすなど自然な始まり方。キャスティングがとても良い。宮沢賢三役の羽田真の主賓あいさつがいかにも講演者らしい口調で、ニュウファウンドランド島で開催された文化部門発表会場の様子を淡々と語る場面は会場の様子が目に浮かぶようだった。賢三は挨拶を原稿に下書きしてきたのだが、読んでいる途中で執筆中の「銀河鉄道の夜」(?笑)の原稿が混じってしまい慌てるところが可笑しかった。
黄色いマフラーのいかにもうさんくさい雰囲気の大林市蔵(八重柏泰士)のマッシュルームカットの髪型にもふき出した。
司会の料理研究家・多和田敏江(古市海見子)のハイトーンの気取ったしゃべりかたも、よく、女子大の講演会の司会の教員などに見受けられるタイプで面白い。
キザで二枚目の大学教授・フランシス浅田(尾崎宇内)が黒板の「ビヂテリアン大祭報告会」の字を手で消して持論を述べ始めるところ、大林の動揺ぶりがおかしい。
「肉食の是非」をめぐって「フランドン農学校の豚」の劇中劇が行われる手法もよかった。劇が始まる前、多和田が70年代の金井克子の「他人の関係」の音楽に乗って振りマネまでやるのは、清末の70年代音楽およびアングラ好みの名残なのだろうか(この歌知ってる人少ないと思うけど、笑えた)。
暑い中、着ぐるみで豚に扮して熱演した羽田は本当に辛そうで、観ていて気の毒になってしまった。
報告会に乱入した反対派たちが実は「新宿コメディ座」の役者たちだったというオチがつくが、岬マグ郎(堂下勝気)だの宇都宮餃子(宮嶋美子)だの、どこかアングラ劇団の香りがするのも清末らしい。
宮嶋はユニークポイントの「シンクロナイズド・ガロア」でも好演していたが、ピーチャムとの肌合いもよさそうで、今後も客演の機会がありそうな予感。
「報告会パンフレット」の投稿文に「チケットプレゼントで招待券が当たって新宿コメディ座の芝居を観に行ったが、大変面白く、今度はお金を払って観に行こうと思います」なんて意味の文章が載っていたが、これはCoRichのチケプレへのあてつけか?(笑)
報告会が終わって「よだかの星」の一文の朗読が行われ、宮沢憲三の作家としての心情描写の場面があるが、劇団ブログを読むと、ここは清末の思い入れが強い場面らしい。
いかにも文学好きな清末らしい場面だとは思ったが、個人的にはこの場面だけが浮いて感じられ、あまり感心できなかった。もちろん「よだかの星」は名作には違いないが、楽しい虚構は虚構として終わらせてほしかったし、宮沢の心情や苦悩を吐露するなら、もっとわかりやすい描き方にしてほしかった。
式次第の紙が配られたが、その中にある「閉会の辞」がきちんと述べられなかったのも不満だ。この場面が「閉会の辞」の代わりなのかもしれないが、
「報告会」は「報告会」として完結してほしいと思った。この部分が引っかかったので満点に近い満足度だったけれど、☆4つとさせていただきました。
観劇の連れが「パンフの中のウイリアム・キーンは何者?」と最後までこだわっていた(笑)。ドナルド・キーンじゃないよね?連れの解説によれば、「理屈好きなフランシス浅田は清末さんがモデルだと思う」だと。なるほどね(笑)。
シュシュが見た最後の夢

シュシュが見た最後の夢

メガバックスコレクション

荻窪メガバックスシアター(東京都)

2010/05/05 (水) ~ 2010/05/09 (日)公演終了

満足度★★★

具体性のあるメルヘン
水の都らしい舞台設定にメルヘンを感じました。

ネタバレBOX

夢の中で時空を越え、将来の父母に影響を与えるシュシュ。夢の中でも現実は変えられないという厳格な設定からすると、シュシュに関係なく父母は結婚したでしょう。

シュシュを巡る人々の愛の話かと思いきや、反戦がテーマでした。生々しくなりすぎるのを避けるため100年前に置き換えたというところでしょうか

恋人を乗せるためのゴンドラに回天のような役割をさせようとする軍部と、それに調子を合わせる市民に怖さを覚えました。
山猫と二人の紳士

山猫と二人の紳士

青果鹿

高井戸・青果鹿スタジオ(東京都)

2010/05/05 (水) ~ 2010/05/09 (日)公演終了

満足度★★★★★

とにかく楽しいアングラ!
注文の多い料理店」は好きなお話だし、以前の公演の項を見て、RUSさんが絶賛されてたのでまちがいない劇団だと思い、観ることに決めました。「注文の多い料理店」の話を初めて知ったのは小学校の授業での人形劇映画で、ドアではなく、テーブルのメニューに書いてある「注文」を次々めくる形だった。演劇では何年か前に、壌晴彦の「詠み芝居」で観たが、これもコンパクトで面白かった。
当日パンフに作者の澤藤さんが、宮沢賢治という作家に抱いた先入観や「注文の多い料理店」についての自分の読書体験を書いているが、実は私もまったく同じ感想・体験を持つ身なので、澤藤さんに親近感を持てた。受賞歴もあって実力派のようですね。
青果鹿スタジオは狭い、とにかく狭い劇場なんだけど、劇が始まると面白くてワクワクした。
入り口で受付しているのが女装のメイド(柄澤勇一郎さん?)で、ぎくっ!としたが(笑)、「ああ、アングラ劇団って扮装したままの役者がスタッフやってるよね」と気づく。
狭小空間もアングラも苦手な私だが、こんな楽しいアングラ劇は初めて。次回公演も宮沢賢治の原作で「グスコーブドリの伝記」をもとにした作品だそうだが、今度は中野・ポケットスクエアのテアトロBONBONなので、より多くのかたに観てもらえるだろうと期待している。アンケートでチケプレのお願いをしておきましたが、この劇団の公演、未見のかたは今度一度お試しください。オススメです。

ネタバレBOX

猟に出かけてきた2人の紳士。同窓会に出席した先輩の鈴木(白石里子)が、猟の自慢をしたはなわ(再現場面では、あのちびまる子ちゃんに出てくるはなわ君のお面が登場)への対抗意識から後輩の山本(大西亮平)を誘って猟に出かけてきたが、いっこうに獲物をしとめられず、山本に八つ当たりばかりしている。鈴木はすぐに論理をすりかえて山本のせいにしてしまう男。一方、森の西洋レストラン「山猫軒」では、山猫の女主人ジンガ(大竹夕紀)と召使のコバヤシ(柄澤勇一郎)が、食材の人肉を連日待ち構えている。このところ、カモとする客(食材)に逃げられっぱなしで空腹の女主人はたいそう機嫌が悪く、コバヤシを苛めてばかり。
そこに迷い込んできた山本と鈴木に、空腹が限界のジンガは狂喜乱舞。2人をご馳走にするべく、いくつものドアに「注文」を書いた札を下げ、紳士2人は素直に注文に従っていく。
ドアを回転式の舞台装置にして、山猫軒の2人と猟師の2人の会話を交互に見せていくアイディアが良い。
山本と口論になり、決闘をしようと言った鈴木が取り出したのは紙相撲の力士。「ちっちゃいですね」と山本が言うと、等身大の人形を舞台袖から出して紙相撲を始めたのには笑えた。
成金の鈴木と富裕層の山本のライバル心が描かれ、鈴木に先輩風を吹かされ、理不尽な目にあう山本に自身を重ねて同情するコバヤシ。大竹のジンガはツンデレ嬢風で面白い。クライマックスにきてコバヤシのイントロ解説よろしく、赤い長襦袢姿のジンガの歌謡ショーが始まる。この歌が「天城越え」なんだが、ミラーボールがぐるぐる回って水玉スポットがブンブン飛び、コバヤシが脇で赤い紙吹雪を飛ばすなか、熱唱する。「あなた殺していいですか?」だの「山が燃えるぅ~」だの、歌詞と劇の状況がまったく関係ないのに符号してるから大笑い。アングラというと必ずヘンテコな歌を役者が歌う場面が出てきて私は寒くなるのだが、この歌謡ショーはなかなか楽しかった。
最終段階で紳士たちは香水だという酢とクリームを顔にすりこむが、そのあとの場面でコバヤシが人形を2体持って、ビネガー、牛乳クリーム、葉物野菜を用意し、「人肉の3分クッキングのお時間です」と言って、料理の下ごしらえを説明し、、「このあとは実物大でどうぞ!」と引っ込む(笑)。
人肉の準備を待つ間、空腹のジンガは熊打ちの猟師(八木澤賢)を襲おうとするが、猟師は日ごろの良心の呵責から、潔くジンガの餌食になろうとして、逆にジンガは引いてしまう。
ようやく、異常事態を飲み込んだ紳士2人が恐怖に絶叫したとき、先ほどの猟師が現れて、ワイヤーに犬のぬいぐるみを引っ掛けたと思ったら、犬がするするっと登っていって、ジンガに噛み付き、ジンガが絶命。山猫軒の看板が傾ぎ、建物が壊れるという寸法。アニメチックな幕切れで、残虐性を薄めている点にも好感が持てた。いやー、楽しい芝居だった。
先にピーチャム・カンパニーの「ビヂテリアン大祭」を観ていたので、この作品の諷刺性もいっそう理解できた。紳士たちの知ったかぶりのグルメ談義、猟師の殺生への煩悶などから、肉食への考察へと導いていく。
山猫軒の2人と、紳士2人を、それぞれ男女で演じる趣向も面白い。
役者4人とも好演。大西は時折噛むのが気になったが、癖のある台詞回しが、元劇団サーカス劇場の看板俳優だった森澤友一朗(合併後、ピーチャム・カンパニーで制作に専念)とどこか似通った雰囲気がある。
次の公演が楽しみだ。
戦場のような女

戦場のような女

東京演劇集団風

レパートリーシアターKAZE(東京都)

2010/05/07 (金) ~ 2010/05/11 (火)公演終了

満足度★★★★

戦争の傷あと
ルーマニア出身のフランス現代作家、マテイ・ヴィスニユックは、2009年度SACD(劇作家協会)ヨーロッパ賞やアヴィニヨン演劇祭のオフプログラムでプレス賞をW受賞。
本作はマテイ自身がボスニアで取材し、「ビエンナーレKAZE演劇祭2009」で初演された。「東京演劇集団風」と協力関係のもと、劇団のためにオリジナル作品も書き下ろし、来年度も新作の上演が予定されている。
戦場において敵対する民族の兵士にレイプされた女性の治療にあたる精神科医を描いた女優の2人芝居。
ボスニア紛争という日本の演劇にはあまり登場しない題材であることに加え、「戦争と民族」「戦争と性」の問題に向き合うきっかけにもなる秀作だと思った。
今後、同劇団のレパートリーとして再演されていくと思うので、ぜひ多くの人に観てほしい作品。

ネタバレBOX

自分の居住地域が戦場になることは大いなる恐怖だが、そこで兵士に強姦され、その子を宿したとしたら、女性はどんなに絶望的になるだろう。
1994年、ドイツのNATO医療センターで、アメリカ人女性で精神科医のケイト(柴崎美納)は、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争のさなか、名も知らぬ5人の兵士たちに輪姦され、その子を宿した被害者ドラ(工藤順子)の精神医療にあたる。初期にドラは心を閉ざし、ひどく怯えていた。ケイトはドラの気のむくままに過ごさせることにする。
重苦しい芝居なのかと思ったが、中軸のドラとケイトが酒を酌み交わしながら民族談義が始まる場面は、それまで無表情だったドラの工藤が一変して、バルカン地方のいろんな民族に扮し、1人芝居で惹きつける。トランクの中から衣装や小道具を取り出して扮装するのだが、舞台を3方から客席が囲む構造なので、わたしの席の位置からはトランクの中が丸見え。さながら楽屋を覗くような楽しみがあった。トランクの蓋の内側に鏡台用ライトが付いている。ロシア人、トルコ人、ユダヤ人、セルビア人、クロアチア人、ブルガリア人、ハンガリー人、ルーマニア人、ボスニアにおけるムスリム、果ては黒人、インディアン、メキシカン、プエルトリコ人、アステックス、パタゴニアにいたるまで、ドラは「おれは○○人がだーいすきだ」で始まり、その民族の長所、特徴を挙げながら「しかーし、○○人は・・・」と批判を始めるのだ。劇中、パンをつまみながら、ロゼカラーのワインやシャンパンをあけるのだが、最前列にすわっているため、自家製パンの芳ばしい香り、それらの酒特有の馥郁とした香りが漂ってくる。ワインはノンアルコール飲料なのかもしれないが確かにロゼの香りがしたし、シャンパンは本物らしく、ポーンと栓が飛び、泡が吹き出て、客席がどよめいた。
さまざまな民俗音楽の流れる中、軽快にダンスを踊りながら他民族への警戒と憎悪が語られ、ボスニア地域の歴史と特殊性が浮き彫りになっていく。フロイトの精神分析などもふまえ、ケイトの独白で治療について語られ、
戦争におけるレイプという行為が侵略者の有効な武器として使われるという定義はされるものの、明確な後遺症治療法の成果が示される場面はない。
ケイトの研究報告に群がるカメラマンたちのフラッシュがまぶしく、臨場感があった。
ドラの治療と平行し、ケイトのルーツ、祖父がアイルランドからの米国に渡り、石切職人となってアメリカの数多くの高層ビルを支えたこと、父がアイルランドの臓器バンクの救急隊員だったことなどが語られる(父の代にまたアイルランドへ戻ったのだろうか)。
ケイトは既婚で2人の娘がいるが、家族を残して、死体置き場で死体発掘に従事したのち、精神科医となった。ドラが中絶を強く望んだとき、ケイトは「わたしが育てるからその子をちょうだい」と言う。数々の遺留品に囲まれた戦場で死体を掘り起こすとき、ケイトは絶望の中で生存者を希求した。ドラのお腹の中の生命こそがその「奇跡の生存者」なのだ、とケイトは言う。
ドラは夜な夜なお腹の中の子供からの「食べ物をちょうだい」という声に悩まされる。「あなたはいない」と否定するドラ。ベッドの頭上で激しく揺れ動き点滅する電灯によって、子供の生命を表現する照明の演出が秀逸。
ドラは受け入れる。この子の父親は戦場そのもの。蹂躙される政情不安定なあの場所であっても、あそこで生きていくのだ、この子を産もうと。
私の理解力不足のためか、ラストのドラの心理描写がややわかりにくい印象が残ったが。
今回、演出陣に加わった江原早哉香さんはまだ若い女性だ。
わが国も、太平洋戦争時代の中国、韓国、東南アジアなどの女性に、わが国の兵士によりレイプされたいまわしい記憶を残してしまった。また、逆に終戦の混乱のさなかで外国人にレイプされた日本人女性もいる。
ドラの事件が他人事ではない歴史を抱えていることを改めて考えさせられる作品でもある。
侏儒の言葉

侏儒の言葉

きせかえできるねこちゃん

明治大学和泉キャンパス・第一校舎005教室(東京都)

2010/05/07 (金) ~ 2010/05/09 (日)公演終了

満足度★★★★

「愉快な芥川」
「こんな芥川もありだよね!」をコンセプトに、芥川が描いた短編をもとに軽快なオムニバス芝居に仕立て上げた公演。
若者の古典離れが進むなか、とても良い発想だと思った。当初は1時間30分くらいの予定だったが、稽古をしているうちに1時間にまとまったという。
短いが、とても適度な上演時間で、観客は、大人も学生たちも楽しんでいた様子。構成・演出(丸山港都)の手腕が感じられた。
「きせかえできるねこちゃん」は明治大学の演劇専攻の学生たちによる劇団。劇団名からくるイメージは何かPOPないまふうの軽い芝居をやっていそうだけれど、ミヒャエル・エンデやイヨネスコ原作の本格的な芝居を手がけてきた。と、いっても、この劇団の存在を私が知ったのは昨年の秋だったので、これらの作品は観ておらず、非常に悔しい。というのも、全員が4年生なので、今年はあともうひと公演できるかどうか、という状態だそうだ。
卒業後は劇団活動の継続はなく、それぞれが演劇の世界をめざすことになるそうだ。学生劇団のメンバーがそのまま持ち上がりで劇団をつくるケースが少なくないので、期待していたのだが・・・・。
私はこの劇団の主宰・丸山港都さんのセンスがとても好きなので、彼が中心の劇団がなくなるのは寂しい限りです。
この劇団が使用している明治大学の和泉校舎の教室は週末に急遽大学側の行事で使用予定が入ることが多く、今回の公演も金曜日と日曜日の公演が行えなくなり、土曜日2ステージのみとなってしまった。
特に金曜日の中止は急だったらしい。せっかく稽古しても公演が半減するなんてまったく気の毒だ。しかし、「演劇が好きでたまらない!
」という全員の情熱が伝わってくる舞台でした。最後まで見届けたい劇団です。

ネタバレBOX

本日はご来場いただき、ありがとうございます」と言いながら、とて感じのよいお嬢さんがにこやかに客席にお菓子を配って歩く。そして、このお嬢さん(山田志穂)は紙芝居屋に変身して「桃太郎」の紙芝居を始める。
「まさか、桃太郎の項は紙芝居で見せるんじゃあるまいね」と思っていると、桃太郎の鬼退治のところで鬼たちのわーわー騒ぐ声が外から聞こえてきた・・・。突如、ピストルを持ったアロハシャツの金髪男(草野峻平)が乱入。
アロハシャツを脱ぎ捨てて半裸になり、紙芝居屋に襲い掛かり、「服を脱げ!!」と命令。スカートまで剥ぎ取ってしまう。2人の洋服とりかえっこである。草野は凄い迫力だった。そこにケータイが鳴って犬から「急用で行けない」という電話。この金髪男が桃太郎らしい。どう見ても鬼だけどね(笑)。紙芝居の中で桃太郎は大食漢で怠け者のためデブという設定(笑)。
次に桃太郎を捜す2人の謎の中国人がやってくる。赤の男(丸山港都)がちょっと藤井隆風のはちゃめちゃで可笑しい。中国人は、赤鬼、青鬼(青い男=乗富由衣)らしく、桃太郎の侵略がいかに理不尽だったかを説き、「絶対許せないあるね」と言う。このあたり、戦時中の日本軍を批判する現代中国人の言い分のようである。
「きび団子半個で雇った」というきじ(中村優作)や犬(中島綾香)が駆けつけてきて桃太郎に身の危険を知らせる。猿(寺田遥)は蟹と戦って負傷中とか(笑 サルカニ合戦?)。
中国人にお土産にもらった箱をあけると、中にはきび団子が。きび団子を食べた桃太郎の腹の中で時計が鳴り出し、きび団子時限爆弾が爆発する。
「二人小町」。美女の小野小町(中島綾香)のもとに黄泉の使いの黒兎(山田志穂)がやってきて「地獄へ行きましょう」と誘うが、まだ死にたくない小野小町は相思相愛の深草の少将の子を身ごもっているからまだ死ねない、連れて行くなら、自分よりブスで独身で黄泉の国に行きたいと言っている玉造小町(乗富由衣)にしろと言って、使いを追い帰す。深草の少将は小野小町に百夜通いを命じられ、「百夜私の家に通ったら、思いを叶えてあげましょう」と言ったが、とうとう少将は小町に会うこともなく死んだ伝説がある。つまり、小野小町は黄泉の使いにも嘘をついたわけだ。玉造小町は使いの口上に激怒して追い帰す。再び、小野小町のところに行った使いを小町は色仕掛けでまるめこみ、命を永らえる。使いは小町との思いを遂げようと屋敷に行くが、陰陽師の命を受けた三十番神(草野峻平)が屋敷を守っていて入れなかった。
そして月日がたち、小野小町と玉造小町は年老いた乞食(丸山港都と中村優作)となって都大路に座っている。2人とも「長生きしてこんなになるなら、あのとき黄泉の使いと地獄へ行ったほうがましだった」と後悔している。通りかかった黄泉の使いに「地獄に連れて行ってくれ」と頼むが、使いは冷淡に拒絶して立ち去る。話の中ではこれが一番面白く、山田志穂の黒兎がチャーミングだった(兎飛びで移動する 笑)。
「羅生門」。生活に困窮し、懊悩する下人(丸山港都)が、羅生門の下で死体の山を漁る老婆を目撃するが、やがて生きる意欲を取り戻して、羅生門の下から去る話。
下人の心の中の声を4人の俳優(草野峻平、山田志穂、中島綾香、乗富由衣)が演じるが、配役を見なかったので、この4人も困窮者たちなのかと思ってしまった。下人が立ち去ろうとする瞬間、「あ!」と4人がストップモーションで見送るラストが印象的。
3話の間に文学者の名言を読み上げる「侏儒の言葉」Ⅰ(丸山港都)とⅡ(草野峻平)が挟まるが、個人的にはⅠの「恋愛、結婚についての名言」がなかなか興味深かった。
最後に再び中国人が登場し、きび団子爆弾が爆発した後、島で優雅に暮らす鬼たちの様子が紙芝居に登場する。ブラックユーモアの結末だ。
前回の「DAILY」のときより、山田志穂の印象が強く残った。若いときの宮崎美子みたいで可愛い。明大のいろんな芝居に出てお馴染みの草野峻平が
ここでも存在感を発揮。痩せる前のパパイヤ鈴木に似ている。
プランクトンの踊り場

プランクトンの踊り場

イキウメ

赤坂RED/THEATER(東京都)

2010/05/08 (土) ~ 2010/05/23 (日)公演終了

満足度★★★★

面白かった
初のイキウメ。役者もストーリーも大満足。
タイトルからは全く想像できない内容。
役者もストーリーも転換もお見事。

ネタバレBOX

ドッペルゲンガーという怖い内容にも関わらず、それを役者の演技が笑いに変えていくことで、安心して観る事ができる。
基本的にはありえないだろうと思うことが、ひとつずつ解消され、本当にあるように思えてしまうところも魅力のひとつ。
シュークリームのくだりも見事。
セットの転換が演技の中に組み込まれ非常にスムーズかつ、爽快。

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