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蜘蛛女のキス 【グリーンフェスタ参加】

蜘蛛女のキス 【グリーンフェスタ参加】

International Stage Project

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2011/01/10 (月) ~ 2011/01/16 (日)公演終了

満足度★★★★★

息子に感謝!!
この公演、二人の息子の関係者が多数関わっている公演ですが、もし、自分の息子がスタッフとして関わっていなければ、躊躇の末、見逃していたかもしれません。

だって、これ程のレベルのミュージカルになるなんて、全く期待していなかったので…。

御見逸れしました。本当に、身贔屓でも何でもなく、これは素晴らしいステージでした。

荻田演出の覇気のない再演舞台には比べるべくもなく、賞を取った初演舞台よりも、遥かに舞台構成において、勝っていました。

舞台装置、演出、振付、生演奏等、スタッフ技術も確かなら、キャスト陣のレベルも高く、これは、もしかしたら、今年度の私のミュージカルベスト5には必ず入りそうな気さえします。

何度も観ている作品なのに、終始、舞台に目も心も釘付けで、何度も感涙してしまいました。

長男のカンパニーがお世話になっている、奥山さんの実力を思い知りました。

いやあ、これは見逃さずに済んで、ラッキーです。

ネタバレBOX

舞台セットの監房が、蜘蛛の糸のようにも見え、秀逸な上、これを動かして、舞台転換する、技術と工夫が素晴らしく、まず感動!!

狭い舞台を目いっぱい、効果的に使っていました。
荻田演出では、大変わかり辛かったストーリーや人間関係が、巧みな演出によって、大変わかりやすく、同じ台本を使用してよくぞここまで、奥山色を出せたものだと感心します。

アンサンブルの、ダンスの巧みさにも感服。
特に、学生時代のミュージカルカンパニーの時から、切れの良いダンスで目を引いた荻原謙太郎さんが、演技面でも、上達され、この方は近い将来、必ず第一線で活躍されるに違いないと予感しました。

オーロラと蜘蛛女の、飯野さんも確か、10代の頃から、注目した女優さんですが、上背はないものの、ただ歌うだけでなく、モリーナを不安に陥れていく蜘蛛女の魔性までも、表出され、この舞台に、蜘蛛女とオーロラがいる意味を明確にして下さいました。

ウ゛ァテレンティンの麻田さんは、歌に安定感はややないものの特筆すべき美声で、歌に表情があるので、彼が歌う度に、聞き惚れてしまいました。
一方、モリーナの土倉さんは、演技面で、気持ちを持っていって下さり、このキャスティングは、大変成功だったと思います。

息子の養成所先輩の梶さん、鎌田さんは、さすが演技派。
他に、モリーナの母役の藤咲さん、アンサンブルの溝渕さんが印象に残りました。

本当に、素晴らしい舞台で、空席があるのがもったいなく感じました。
このカンパニーは、次回も必ず拝見したいと思います。
愉快犯

愉快犯

柿喰う客

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2011/01/07 (金) ~ 2011/01/16 (日)公演終了

ワークインプログレスのときにも
思ったけど、公演ではそれにも増して役者というよりアスリートを見ている感じ。芝居はといえば、歌舞伎役者を乗せたジェットコースター(意味不明ですか?)。 一度乗ったら、最後まで降りられない面白さ!? でも、乗りそこなうと、あっというまに目の前から走り去ってしまうのでご注意! 最後の三本締めも良かったなあ……。

ネタバレBOX

ワークインプログレスの「観てきた!」で品のないことを書いてしまったので(チェックなんかしないよーに!)、しっかりとその反省を胸にしつつ、楽しく観劇させていただきました、はい。三本締め、「よーお!」で照明が消えたときには、さすがに「やられた」と思った……てへっ。
【公演終了】B203【ご来場有難う御座いました】

【公演終了】B203【ご来場有難う御座いました】

早稲田大学演劇倶楽部

早稲田大学学生会館(東京都)

2011/01/14 (金) ~ 2011/01/17 (月)公演終了

満足度★★★★★

魂の演劇!
まずはエンクラ25周年おめでとう!その25周年を飾るに相応しい作品だった。舞台の上で死ぬなら本望だと思っている演劇馬鹿がここには集まっている。その演劇馬鹿たちの熱い気持ちがストレートに伝わってきて、哀しいシーンなどないのに涙が流れてしょうがなかった。

演劇が好きで好きでしょうがない人に是非観てもらいたい。見終わった後、役者のひとりひとりを抱きしめたくなる芝居だ。

メゾン・ド・ウィリアム

メゾン・ド・ウィリアム

劇団バッコスの祭

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2011/01/09 (日) ~ 2011/01/17 (月)公演終了

満足度★★★★

かなりの良作
序盤、丹羽氏演じる公岡を中心とした大立ち回りがとにかく凄かった。 
結構迫力があって目が釘付けに…本当に軽やかな身のこなしでした。 
実にさり気なく連続バク転を決めてみせた女史もスゴイの一言。
ここまでのアクションシーンは、なかなか観れないよなぁ。

私は「笑い」の要素をまず期待して観に来ていたのですが、少し
性急ながらもいい感じのツッコミで、程々にクスリと面白がる事が
出来ましたね。 牧田巡査がいい味出してたように思います。

ネタバレBOX

結構メインストーリーの「いじめ」の問題が後半思っていたよりも
大きくクローズアップされてきたのにはビックリ。
一人二役を用いながらの、いじめで自殺した少女の周囲、そして
復讐に堕ちていく元教師・公岡の姿は、観ているこっちが指弾され、
追い詰められているようで…。

「学芸会も」「遠足も」「私の写真だけ塗り潰されているんです」

上の件は、演出も相まって少し圧迫感すら覚えたよ。
実際にいじめの現場にいた人が観ていたら、プレッシャーって、私の
比じゃないだろうな…。 なんかものすごくリアルな様子だった。
実際にあってもおかしくないような。

中盤、辻氏の真理奈の独白が伏線になって、最後の衝撃的、かつ
感動的な再会に至る部分は少し出来過ぎな気もしたけど素直に
ああ、良いなあ、と思えた。 何より、最後の真理奈の呼びかけが
胸に響き過ぎた。 なかなか力強い台詞でしたね。

「私は、今は元気だよ!! 上の部屋、掃除して待っているからね!!」

登場人物も、それを演じる役者も、ホンも唯一の魅力を持った良作、だね。
秋の再演作品にも期待。
ヒールのブーツ

ヒールのブーツ

オーストラ・マコンドー

JORDI TOKYO(東京都)

2011/01/14 (金) ~ 2011/01/19 (水)公演終了

満足度★★

日常の中のドラマ
あるアパレルショップに出入りする人たちに起こるちょっとした出来事が淡々と描かれた作品でした。

渋谷から少し離れたギャラリー的な空間の会場の立地条件を上手く使っていて、会場の外まで取り入れて日常とそのまま繋がった空気感がかもし出されていました。
役者たちは役柄を自然に演じていて、特に女性陣は実際にいそうな雰囲気で素敵でした。

意図的にそうしているのだとは思いますが、それぞれのシーンの繋がりが感じられず、全体的にもあまり起伏のない物語の展開で、1時間ちょっとの上演時間が長く感じました。
各シーンでの感情の表現には惹かれるところがあったのに、総合的にはあまり満足感を感じられなくて残念です。

無伴奏

無伴奏

劇団東京イボンヌ

サンモールスタジオ(東京都)

2011/01/12 (水) ~ 2011/01/19 (水)公演終了

満足度★★★★

霊験あらたかな想い
チェロに魅せられた女とその女に生涯を捧げた男の物語。
男が命をかけて捧げる純愛ほど観ていて美しいものはない。この物語は崇高で美しい物語だと思う。

以下はねたばれBOXにて。。

ネタバレBOX

貴子はベルギー人の夫とチェロ奏者の自分から逃げ出して、かつて貴子がアルバイトしていたペンション森の園にやってきた。聞けば、夫と離婚をしてチェロも止めるという。その理由は10万人に5人の難病である右手に握力がなくなってしまったことだった。そうしてこの病気は余命1年あまりだという。

全てをチェロに捧げてきた貴子は絶望のあまり途方にくれ、自分の全てを受け入れてくれる圭に逢いにきたのだった。

圭の貴子に対する一生懸命さが痛々しい。12年前に貴子の僕のように蜜月を過ごした思い出だけで生きていける、という圭は貴子が結婚した後も、ずっと、圭を慕い続けていたのだった。その想いは変わることなく圭の中で灯火のように燃え続け、時として傲慢な貴子を癒し続けるのであった。

貴子を受け止める圭の不器用で一途なキャラクター、及川のおちゃらけてキモチ悪くてオモチロイキャラ立ては、時として湿っぽくなりがちな情景をコミカルに、また飽きることなく会場を沸かせていた。物語の結末も温もりのある終わらせ方だ。

ワタクシが今まで観た東京イボンヌの公演の中ではピカイチだと思う。
冬に舞う蚊

冬に舞う蚊

JACROW

サンモールスタジオ(東京都)

2011/01/05 (水) ~ 2011/01/10 (月)公演終了

見てきた!
新年一本目としては確かに重かったのですが、暗い気持ちになるとかはなかったです。おもしろかった。
違う業種とはいえ、サラリーマン社会にどっぷりつかった私としては、主人公青いな。ふ。。と思ったり。。
と、いろいろと考えさせてくれるお芝居でした。

雨、稀に晴れ。

雨、稀に晴れ。

劇団エリザベス

ワーサルシアター(東京都)

2011/01/06 (木) ~ 2011/01/10 (月)公演終了

アロマブレンド観てきました(バート様より)
本公演はみきかせプロジェクト「空中回転ブレンド」参加作品です。「空中回転ブレンド」の公演情報(にhttp://stage.corich.jp/stage_detail.php?stage_id=23579)寄せられたコメントのうち、「雨、稀に晴れ。」に関係しているものをこちらにも転記しております。

※※※

劇団エリザベスはシュールでゲーム感覚的な作品。今時の若者風セリフには多少違和感をおぼえますが、つかみどころのない感じがなんとなくいいですね。カワイイ娘も多かったし。Mrs.fictionsはウルトラマンとPRADAのありえないコラボの話ですが、これが秀逸な出来。昭和30年代生まれのウルトラマンファンは泣きます。ウルトラマンネタの芝居は多数観ましたが、これはピカイチ。中嶋康太さんエライ。リーディング企画ということで、役者さんが台本を常に持っていたり多少の制約がありますが、特に意識せず、フツーの芝居として楽しめました。

雨、稀に晴れ。

雨、稀に晴れ。

劇団エリザベス

ワーサルシアター(東京都)

2011/01/06 (木) ~ 2011/01/10 (月)公演終了

アロマブレンド(じべ。様より)
本公演はみきかせプロジェクト「空中回転ブレンド」参加作品です。「空中回転ブレンド」の公演情報(にhttp://stage.corich.jp/stage_detail.php?stage_id=23579)寄せられたコメントのうち、「雨、稀に晴れ。」に関係しているものをこちらにも転記しております。

※※※

前回公演『乱反射ドロップ』で過半数を占めた「これもリーディングなの?」な一般的な芝居と紙一重的な奇襲戦法(笑)の2本、新進気鋭と中堅どころの対比、な感じが面白い。

雨、稀に晴れ。

雨、稀に晴れ。

劇団エリザベス

ワーサルシアター(東京都)

2011/01/06 (木) ~ 2011/01/10 (月)公演終了

アロマ見ました(ヨナ様より)
本公演はみきかせプロジェクト「空中回転ブレンド」参加作品です。「空中回転ブレンド」の公演情報(にhttp://stage.corich.jp/stage_detail.php?stage_id=23579)寄せられたコメントのうち、「雨、稀に晴れ。」に関係しているものをこちらにも転記しております。

※※※

遅刻してしまい、エリザベスさん最初の5分を逃してしまった。残念。フィクションズ中嶋さんの台詞の強さ。嫉妬する。くそう。

パニックカフェ

パニックカフェ

*pnish*

赤坂RED/THEATER(東京都)

2011/01/08 (土) ~ 2011/01/12 (水)公演終了

満足度★★★★

面白かった!
いくらお芝居が短いからといって、トークショーはお芝居が終わってから短い休憩を挟んだ後でやってほしいと思いました。

終演後の挨拶からそのままトークショーになだれ込み、帰るに帰れませんでした。

ネタバレBOX

料理を頼むと強盗が現れるというパニックが起こるパニックカフェ。

本物の銀行強盗と店側の偽強盗、それにノー天気な雑誌記者が絡んでのドタバタ劇。

銀行強盗と現マスターのおじいさんとの関係、交通事故で死んだおじいさんは信号の不備が原因だったことが明らかになり、それを受けて弱者に優しい町づくりのために銀行強盗が町に寄付したこと、雑誌に載ったことで実父母が現れたことなどと、狭い範囲でよくもまあ絡み合わせたなあと感心!
テガミ

テガミ

BLAM!!!

萬劇場(東京都)

2011/01/06 (木) ~ 2011/01/11 (火)公演終了

満足度★★★

長過ぎ!
特にラスト辺りのシーンが長過ぎです!

ネタバレBOX

何回こけたら気が済むねんと思うくらい、電磁波に打たれて何回も何回もこけていました。

遺伝子解析によって将来の犯罪者を見つけ出す判定方法に疑問を持つ狂信的原理主義者の犯罪ならありうるかなとも思いますが、個人的恨みから当時の組織在籍者全員を殺そうとする考え方が分かりませんでした。
ドリルチョコレート「テスタロッサ」

ドリルチョコレート「テスタロッサ」

MCR

こまばアゴラ劇場(東京都)

2011/01/07 (金) ~ 2011/01/16 (日)公演終了

ぱんく
役者の皆さんがとっても個性的でした。特に女優の方々!
いろんな愛の形、愛の言葉があるんだなぁ…と、楽しみました★

もう一度、この手に

もう一度、この手に

シベリア少女鉄道

インディペンデントシアターOji(東京都)

2011/01/06 (木) ~ 2011/01/16 (日)公演終了

満足度★★★★

おもしろかった。
また次回観てみたい!

蜘蛛女のキス 【グリーンフェスタ参加】

蜘蛛女のキス 【グリーンフェスタ参加】

International Stage Project

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2011/01/10 (月) ~ 2011/01/16 (日)公演終了

満足度★★★

ハイレベル!
何よりも演者のレベルの高さにビックリ…歌もダンスも上手い!小劇場と呼ばれるタイプの劇場で、ここまでレベルの高いミュージカルを観たのは初めてかもわかりません。そういった面では完璧にお腹いっぱいになりました。ただ作品的にはあまり面白みが感じられず、ミュージカルの演目選びの難しさのようなものも感じました。…こういう団体さんが井上ひさしサンの作品とかにチャレンジしたらどうなるのかなぁ、なんていう興味もチョットあったり。

愉快犯

愉快犯

柿喰う客

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2011/01/07 (金) ~ 2011/01/16 (日)公演終了

満足度★★★★

面白いです!
ワークインプログレスに参加させていただき、ありがとうございました。本当にいい経験させてもらいました。本公演になると、さすがは役者さんですね。
サービス精神の旺盛な劇団で本当に楽しい舞台でした。

ネタバレBOX

最後ひっかかった。
メゾン・ド・ウィリアム

メゾン・ド・ウィリアム

劇団バッコスの祭

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2011/01/09 (日) ~ 2011/01/17 (月)公演終了

変えて来た印象。
賞を取っての再々演など先が決まっていたからか、これまでとちょっと違った事をして来た感じ。まず現代劇が久々だったか。
普段に比べると脚本的にはちょっと無茶もしてる気がしました。一貫させたものを内包してしっかり一歩ずつ進んでいくのがいつもだとしたら、今回はピース同士を繋ぎ合わせているというか。それだけに語られている内容だけ見ると前後の繋がりが弱い部分もありながら、挿入された殺陣が見所になっていてきっちり埋まっていた。これ、強みだと思います。あと、丹羽さんの演技。感情丸出しの彼の演技は迫ってくるものがあり過ぎてどんな気持ちで観ていようと説得させられてしまう。
新劇団員も魅力的。丹羽さん・辻さんが中心になる事が多かったけれど、今後は配置を換えて別の試みも観てみたい。その二人があえて脇で違う事をやる姿も観てみたいですし。

ネタバレBOX

ちょっと強引な物語展開と過去の傷と占い師の登場辺りにシェイクスピアっぽさを感じ、「自首」という言葉に違和感を。事件が明るみになっていると出頭になるはずで、はてこれはマジミスなのかそれとも実はちょいちょい変な文脈が混じったりするシェイクスピアオマージュなのかいやいや森山さんは迂闊な事をしなさそうだしマジミスじゃねーだろとか思ってたら終演後に配布された解説で正に触れられてました。観てる時にうっかり騙されて気付かなかったら巧みだったけど、気付いて引っ掛かりになっちゃったのが惜しく感じたり。
ありがちだけど、公岡自らがかつていじめっ子だったというほうが傷にも話にも深みが増した様な気も。
ドリルチョコレート「テスタロッサ」

ドリルチョコレート「テスタロッサ」

MCR

こまばアゴラ劇場(東京都)

2011/01/07 (金) ~ 2011/01/16 (日)公演終了

満足度★★★★★

台詞のやり取りが気持ちいい!
スピード&リズム感と役者のうまさが光る。
そして、設定がナイス!

ネタバレBOX

パンクバンドをやっている、もう若くない3人とその恋人たちとの物語。

なんだかパンクバンドの3人より、もっとパンクな恋人たちがいる。
生き方がパンクっぽかったり、うるさかったり、奇天烈すぎたりと。

だけど、よくよく考えるとその中に「普遍的な恋愛」が見えてくるのだ。相手のことを強く想いすぎて、自分がコントロールできなくなったり、コミュニケーションがうまくとれなかったり、相手のことがわからなくなったり、そんなことは、誰でも経験したことがあるだろう。

恋愛の入り口だったり、中だるみだったり、終焉だったり。
そんなお互いのやり取りと、気持ちのシーソー的な動きを繰り返しながら、恋愛は進んでいくのだ。

例えば、近藤美月さん演じる中川の彼女の行動は、最初は面白いと思いつつも、次第にエスカレートしていく様は、理解できるものではなかったのだが、2人の関係がとてもいいことを見ると(手をつないだり)、これは彼女なりの彼とのコミュニケーションの取り方なのではないかと思ってくるのだ。
パンクな彼氏に、ある意味合わせて、自分に興味を持ってもらいたい一心で行っていることではないだろうか。
そういう意味では健気すぎるぐらいのことなのだ。

言うまでもなく、失礼ながら、パンクなバントのベースを担当している有川役の有川マコトさんがカッコよく見えてしまうのも恋愛マジックであろう。

声が聞こえなくなる、言葉を翻訳する、なんていうのは、まさに恋愛の比喩だしね。

櫻井智也さん演じる櫻井の彼女に対する想いが、他人(他の男性2人)にはイマイチ伝わらないことなどとも併せて考えると、そうした「恋愛中の行動」とは、得てして他人から見れば、奇異そのものではないのだろうか。
自分であってもあとから考えると、赤面以外の何ものでもないことを、平然とやってのけるのが、恋愛の面白さでもある。

そうした恋愛模様をやや肥大化させつつも、哀愁さえ感じさせる極端さが、とても染みるのだ。
それは、女だけでなく、男においても、滑稽であり、哀愁なのだ。

そうしたドラマが、とてもいいスピード感で進んでいく。
台詞の畳み掛けは、役者のうまさと演出の手際の良さからくるのだろう。

後半から中川役の中川智明さんが参加したということなのだが、もう、この役は彼しか考えられない、という感じに見えていた。
近藤美月さんの痛い役は、上にも書いたように、「健気さ」を感じたところから、痛々しさが見えてきて、「ああ恋愛なんだな」と思えてきた。
石澤美和さんの、独特の間のうまさ、見えているキャラクター以上の面白さがたまらない。
あずきさんを演じた小椋あずきさんの、一直線さは、実は恋愛時期にはありがちで、怖さもありつつ、ぐっとくるものがあった。

情報量が多い、過剰とも言える台詞は、なかなか気が利いていて、笑った。「パンクジャンケン」なんていう、センスの良さも光っていた。

ああ、そうそう「パンクバンド」っていう設定がいいなあ。
暗転の音楽も気が利いている。
もう一度、この手に

もう一度、この手に

シベリア少女鉄道

インディペンデントシアターOji(東京都)

2011/01/06 (木) ~ 2011/01/16 (日)公演終了

満足度★★★★

スレスレでギリギリなところを攻めてきた
「オムニバス形式で贈る」「珠玉の短編たち」云々という宣伝文句に、すっかりしてやられた。
うまいじゃないか、このつくり、と思う。

ネタバレBOX

オープニングと最初の短編を観て、てっきりこの感じの、つまり、TVネタなんかのパロディ的なものが続くのかと思っていた。
そして、次の短編、そして…と続く中で、「これは一体何のパロディ?」と思ったところで、ナレーションである。
うまい!
さらに、そのナレーションに「ん??」と思ったとたんに、本来の物語が浮かび上がってくる。

これには正直やられた。

かなり危険とも言えるような、ギリギリなところに踏み込んだ印象だ。
ひとつ間違えば、ボロボロになりそうだ。
いや、舞台の上はすでにボロボロなのだから、観客の意識がうまくマッチしてくれないと、予定している面白さに到達できない。

凄い意思決定というか、賭であると思う。
こういう方法に対処できる観客であろうことを、想定してつくらないとできないことではないだろうか。つまり、観客を信頼しての舞台であったと思うのだ。

そう考えると、「オムニバス形式で贈る」「珠玉の短編たち」宣伝文句も、観客を騙すための企みのひとつであり、最初のほうの短編も、観客を惑わして、後半の本筋にもっていくための、「劇中劇」であったと思えてくる。
と言うか、そうではなかったのか。
つまり、この舞台は、「オムニバス」でも「短編」でもない、「長編」の1つの舞台だったということなのだ。

にしても、無理矢理の台詞も楽しいし、下手な演技も「うまい」と思う。チープなセット(木)も素敵だ。

「このヨーロッパ」と言ってつかみかかるのには、大笑いした。
愉快犯

愉快犯

柿喰う客

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2011/01/07 (金) ~ 2011/01/16 (日)公演終了

新春公演、だ。
いくつかあったコメントの通り、お正月バラエティ的な位置取りの今回。人に勧めるにはこれまでになく適した作品だと思います。
劇団員公演でありながら、柿がこれまで持っていた狂気的な面が薄く感じられて個人的には「本公演ではない」という点に納得。この公演がどう評価されるのかもふくめた上での愉快犯。柿自体が。

ネタバレBOX

冒頭の玉置さん&深谷さんのシーンはなんとなく「傷は浅いぞ」を想起させられたり。
個人的にはハラハラドキドキ感がこれまでよりも少なくて、何故かと考えたらやはりそれは劇団員公演だったからかと。出来てしまっていた。役者陣が見事なまでに中屋敷演出を体現可能なので、危なげを感じなかったのです。凄過ぎてそれが当たり前に見えてしまった。難なくやっている様に見えたって、玉置さんの運動量や深谷さんの発声や七味さんの心の強さは物凄い。それだけにこの人達なら大丈夫だろうと安心してしまった。
個人的に今回よく思えたセクションは音楽。オリジナル楽曲になってから柿との不合致を感じていましたが、今回は見事に合っていたかと。そうなるまでもうしばらくかかるかと思っていました。さすが専門職の仕事だなと感心。
最後の三本締めをさせず拍手にしてしまうのなんかホント愉快犯の仕業。

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