誤/娯楽
黒色綺譚カナリア派
こまばアゴラ劇場(東京都)
2011/12/08 (木) ~ 2011/12/18 (日)公演終了
満足度★★★★
演じる側を想いを強く感じる
個々のシーンから伝わってくるものに
作り手の想いが強さをもって伝わってきて・・・。
舞台の成り行きを
がっつりと見つめてしまいました。
ネタバレBOX
場内にはいって、
籠を被りブランコから場内を見つめる
役者の風情に目を奪われる。
そこに、観る側の舞台に対する視座と
作り手の舞台に対する視座がしたたかに置かれて・・・。
舞台の表見上のありようを観ていても
さして浮かんでくる物語はない。
でも、個々のキャラクターたちの
衣装や科白の内に縫い込まれたものが
恣意的に裏地を見せて晒されるような感覚があって・・・。
観る側の勝手な妄想なのかもしれませんが
どこか劇団としての私小説的な匂いを
感じてしまう・・・。
作り手の世界に惹かれ
それぞれのシーンの色を見つめながらも
作者や演じ手たちが隠し織った
糸たちの在りように心が奪われてしまう。
そう感じ捉われた時点で、
この舞台は作り手の勝ちなのかもと思いつつ、
籠の下に縛られていく人々の在りようや
スピーカーから流れてくる
どこか軽質で能天気なアナウンスの風情が染め上げるもの、
さらには、缶詰や母親の棒でつつくしぐさや
その村をのぞき見たり通り過ぎる者、
舞台にあるもののそれぞれが
何の憑依であるかに心を奪われて・・・。
劇団の休止前最後の舞台をしっかりと
捕まえることができましたかといわれると
まったく自信はないし、
もっといえば、そこに描かれるものは
観客が舞台上に観続けたものだけではないような気もするのですが、
よしんばそうであっても、
表現者がひとまず営業を終え店のシャッターを下ろす前に
奥にとじ込めていたものの縛めを解くような感覚を
もらったような気がして。
万人向きのお芝居ではないかもしれないけれど、
すくなくとも
これまでの劇団や作り手の表現を観ているものにとっては
とても興味深い舞台でありました。
作り手や役者たちのこの劇団での舞台、
ふたたびみたいですね。、
決してあせることなく、
でも、なんらかの形でその看板を残し、
時がふたたび満ちたら
在りようにこだわらず
したたかに店を開いてもらいたいものだと、
そんなことを感じながら劇場を後にしたことでした。
箱の中の空
ハグハグ共和国
劇場MOMO(東京都)
2011/12/14 (水) ~ 2011/12/18 (日)公演終了
満足度★★★
素敵なフレーズ
がいくつかありました。
ネタバレBOX
風俗店の地下にある風俗嬢控え室の話。
新人さんの初仕事の後でしたっけ、事情を話しているとき、風俗嬢たちが全員真剣に聴き入っていました。久し振りの新人さんで珍しかったのかもしれませんが、世間の人たちと同じような反応でした。ちょっと甘いな、自分たちだって様々な事情を抱えているはずです。もっと大変な背景もあるでしょう。その程度ってな顔してそっぽを向いているような風俗嬢がいてもよさそうな気がしました。
「ゴミ箱だと思うと中に入っているのはゴミ、宝箱だと思うと中に入っているのは宝物」、気持ち次第ですね。
「一歩踏み出してからの現実が大切」、踏み出すにも勇気が要りますが、踏み出した後はもう戻ることができないのだからどう切り開いていくかが大切、このフレーズも素敵でした!!
フィナーレはしつこかったです。白いドレスによるダンスは売春捜査官のフィナーレのようでもありましたが、その前のシーンでも、更にその前で終わってもスッキリしていたように感じました。
『三月の5日間』100回公演記念ツアー
チェルフィッチュ
KAAT神奈川芸術劇場・中スタジオ(神奈川県)
2011/12/16 (金) ~ 2011/12/23 (金)公演終了
満足度★★★★
初日
チェルフィッチュを昔見た時より会場の大きさが全然違う。
なんか役者の身振り手振りが会場に合わせて少し雑になった気がする。
「この役者リラックスが良いな」と思ったのは男女各1名。
渕野修平と、おまけで青柳いづみ。
興味が湧く作品ではある。
楽日にあと2回見る。
他の役者の演技が良くなっているのに期待する。
しみじみ日本・乃木大将
東京農業大学 農友会演劇研究部
農大劇研アトリエ(東京都)
2011/12/15 (木) ~ 2011/12/18 (日)公演終了
取り組みは素晴らしい
若さはいろんな事の免罪符だなと思った。
勢いと怖いもの知らずが若者の良さである。
井上ひさしの脚本は豊かで難しい。
ましていろんなことを経験していない若者がやるには非常に難しい。
大学生はやっぱ難しいことに挑戦したくなるものなのだなあー。
俺にはできん!井上ひさしは。
ネタバレBOX
無料だったけど、お金、もらってもいいんではないか。500円でも。
責任を背負うという意味で。
無料だから、または学内だから、という油断があるように感じる。噛みすぎだし。
また、若さが溢れているのは良いが、情熱を役にしまい込む事が必要だと思う。
駄々漏れすぎているので、それは稽古で収斂しなきゃいけない。
しっかりした脚本では、特に。
そしてもっと大学生の研究熱心さを、その情熱に混ぜて欲しい。
情熱オンリーは高校演劇。大学生の演劇は「真剣さ」+「研究成果」である。
農大劇研の井上ひさしへの取り組みの成果を、もっと舞台ではっきり明示してほしい。
じゃないと客も良い悪いが明確に判断できない。
井上ひさしをやりました、だけで終わってしまったらもったいない。
いまこの時だからこそ、やれることがあり、やれる環境があるのだから
(それは傍から見ると羨ましいが本人達は気づいていない類のもので、
だから老婆心ながら言っておきたいのだけど)
叫んで泣いて笑って、悔いのないよう突き抜けてやってください。若さをもてあまさないで。
もっともっともっと頑張れるよ。おつかれさまでした。
アフター・ミモザ
劇団ダダン
阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)
2011/12/16 (金) ~ 2011/12/18 (日)公演終了
満足度★★★★
業と切なさと
劇団ダダン卒業公演「アフター・ミモザ」昨晩初日第一回観てきた。数多くのモティーフとプロットを細い糸で結びつけ、テーマに持っていく本がたいへん秀逸。舞台はコメディタッチで客をつかみ、その後人間の深層のテーマに持っていく手腕にも感心した。ダブルステージ(劇中劇風)を演じた役者の熱演にも心を動かされた。ただ劇評を書くには頭を整理する時間が必要。18日まで阿佐谷アルシェで。作・演出:井上良
ルート99
さいたまゴールド・シアター
彩の国さいたま芸術劇場 小ホール(埼玉県)
2011/12/06 (火) ~ 2011/12/20 (火)公演終了
満足度★★★★★
沖縄に思いをはせる。
老いると言うことの素晴らしさを目の当たりにする。
ネタバレBOX
国道五十八号線戦「国道五十八号線戦異常ナシ」、燐光群「推進派」、ゴールドシアター「ルート99」と観てきたが、沖縄がまだ解き明かされていない問題としてぼくらの目前にあることを痛感する。僕らは何をするべきか。まずは知ることだろうか。しかし沖縄問題を演劇にすると雰囲気が非常に似通ってくる。それは土地に個性があると言うことなのだろう。やはり沖縄は異国なのだ。とくに「ルート99」と「国道五十八号線戦異常ナシ」は演劇として非常に似ている(気がした)。同じ沖縄を「ルート99」は老人の側から「国道五十八号戦線異状ナシ」は若者の側から書く。偶然タイトルが国道の名前となっているのも面白い。おそらく国道はレイプの証なのだろう。しかし「国道五十八号戦線異常ナシ」はまだもう一声が欲しい内容だった。もしかすると向こうへ抜け出る可能性があった。しかし、その後作演出が沖縄に帰ってしまったので続きの物語を観ることが叶わなくなってしまった。さらにその先20代が描く「沖縄問題」が非常に観たいと思う。そして「ルート99」と並べて上演などあれば非常に面白いだろうにと思った。さしずめ「ルート99」はレイプを目撃してしまった老人たちの話。「国道…」はそのレイプによって生まれてしまった子供の話。そう考えるとやはり、「国道…」のその先の物語を観てみたいと思うのだ。
それはそうとネクストシアターの川口覚が頑張っていた。そしてなんと次回のネクストシアター、蜷川幸雄氏演出の「ハムレット」の主演ハムレット役を川口覚が獲得。快挙!
被告人ハムレット
声を出すと気持ちいいの会
演劇スタジオB(明治大学駿河台校舎14号館プレハブ棟) (東京都)
2011/05/04 (水) ~ 2011/05/08 (日)公演終了
満足度★★★★★
初コエキモ
この作品が、私と「演劇集団 声を出すと気持ちいいの会」の初めての出会いである。
なんて演劇的な事をやってるんだろう。
感想はそこに集約される。
ドラマを再生するに留まらず、
我々の想像力を刺激する身体性・演劇性を探究する事に挑んでいる。
そんな感じがした。
私が好きな「演劇」も、まさにこのラインにある。
演劇にしか出来ない演劇。
それが今、必要なのである。
構成も古典に題を取っていて、ダイナミックな演劇性を持っている。
今後が楽しみな劇団だ。
前川 清・秋元順子特別公演『ザ・ナイスガイ』
明治座
明治座(東京都)
2011/12/01 (木) ~ 2011/12/18 (日)公演終了
明治座にて
縁あって鑑賞。対象年齢じゃないのでなんとも。前川清の人気はわかった。
ネタバレBOX
忠臣蔵を下敷きにしたパロディ。とある出版会社内の権力争いを描く。途中途中に前川清扮する編集長の夢が入り、宝塚OGらのダンスや往年のお笑い?ネタが披露される‥のはよいにしても、最後の討ち入りシーンも夢とはね。
明治座を利用するお客様が求めているのはもっとストレートな人情物とかなんだろうなと。
一九一一年【ご来場ありがとうございました!】
劇団チョコレートケーキ
インディペンデントシアターOji(東京都)
2011/12/16 (金) ~ 2011/12/20 (火)公演終了
満足度★★★★★
どこで観るか・・・
四方を客席と通路(兼舞台)で囲まれた舞台、どこで観るか悩む!
真ん中の舞台にぽつんと置かれた椅子にわくわく。
お話は、もちろんあの事件を題材に作られていて重い。
それでも目を逸らせない。
当日パンフレットと一緒に資料(ネタバレ含)がありますが、読んでから観ても充分楽しめると思います。
当日は日澤さんが演じた日替わりゲストの役、他の方がどう演じるのか気になる。
ネタバレBOX
客席後方の通路まで使ってのお芝居なので、全てを観ることができないのが残念。
それでも久しぶりに言葉が美しいと感じて、一つ一つの台詞に聞き入る。
劇中で「縊り(くびり)殺される」という言葉が出てきたと思うのですが、あまりにも生々しい表現でドキッとする。
堀さんの鬼気迫る覚悟や、西尾さんの吹っ切れたような必死さにぞくぞくした。
若い予審判事は、どれだけ他人に許されても自分では許せなかったんだろうなぁ・・・と思うと、とても苦しい。
新しい時代を作った人と、これから先の日本を夢見た人・・・。
あの事件から100年経った今に彼らの信じた自由があるのかと考えると、なんともいえない気持ちになる。
ウズキちゃん
INUTOKUSHI
早稲田大学大隈講堂裏劇研アトリエ(東京都)
2011/12/14 (水) ~ 2011/12/25 (日)公演終了
満足度★★★★★
無題228
18:45受付、整理券を受取り、講堂の裏、強い風にブルーシートが飛びそうななか開場まで待ちます。19:05会場まで1列になって移動、なぜか入り口で早くも前説っぽい説明...で、入ってビックリ、カラフルな色使い、床にはイラスト(ピンクの服、黄色い星、赤と黄のうずまき)、壁には一面の風船、白、赤、緑、カミオカンデの中にいるよう。うらぶれた外とは違うメルヘンの世界がそこにありました。アメリさんは「沼辺者」「Dressing」に続いて3作目です、劇団としては初めて。楽しかった、劇中、○ネタや毒気がちりばめられていましたが、楽しかった、笑って、楽しんだ。
ネタバレBOX
席はベンチシート、天井にはミラーボール、少し奥のほう黒い布に隠れるようにみえるのは「金だらい」でした、お約束の通り、劇中アメリさんの脳天を直撃。オープニングシーンからして元気いっぱい、アニメも楽しい。小学5年生「ウズキちゃん」が創る世界。
「赤ちゃんはどこから来るの?」「どうして正社員になれないの?」「どうして警察官はえらそうなの?」「どうして小向美奈子はAVに堕ちたの?」「銀河に願いを」(←少し間違ってるかも)の5章。
シーンごとにさまざまなキャラクターが登場しますが、そこに使われている小道具が贅沢。チープなんだけど(偽物っぽくて)リアル、これをどんどん繰り出してきます。R2D2…似てるじゃん、と思ったらトンデモない姿勢で演じていた、ムーンウォーク、匍匐前進、横転、バク転、ブリッジと体を使いまくっていました。多感な少女は恋の連戦をばく進し、死者でさえ蘇らせる。なんでもあり。
続く
箱の中の空
ハグハグ共和国
劇場MOMO(東京都)
2011/12/14 (水) ~ 2011/12/18 (日)公演終了
満足度★★★
女性の詰った箱
チケットプレゼントにて鑑賞。
共感が難しいかなと。終盤の流れは良かった。
ネタバレBOX
とある風俗店。規模縮小か狭い地下室が事務室兼風俗嬢の控え室。そこに、若い女の子・滝沢(町田沙織)が面接にくる。滝沢は研修段階で恐怖し、とても勤務できる状態にないが、ほかの風俗嬢の話に後押しされ、初めての仕事を終える。戻ってきた滝沢にプレゼントを渡し、笑顔が戻る‥。
風俗店に勤める女の事情と感情を寒暖の差をつけて舞台で魅せる。好き好んで覗くような世界じゃないかなと。
どの箱(世界)にも空(希望?)はあるんだろうなと思いたい。本人と周りの人間次第ということなのか。
スピンドクター
劇団 東京フェスティバル
OFF OFFシアター(東京都)
2011/12/15 (木) ~ 2011/12/20 (火)公演終了
満足度★★★★★
情報戦を制するのは誰か?!
テンポ良く目前で繰り広げられる舞台は、小劇場での観劇の醍醐味を存分に味わえます。お尻が痛かったけれど楽しい!
スピンドクター
劇団 東京フェスティバル
OFF OFFシアター(東京都)
2011/12/15 (木) ~ 2011/12/20 (火)公演終了
満足度★★★
直球な舞台
チケットプレゼントにて鑑賞。
とりあげた題材が面白いけど、+αがほしい舞台だった。やや平坦な印象。
ちなに噛むこととかのトチリがやや多かった。気になるほどじゃないけど。
ネタバレBOX
官房長官のスキャンダルをもみ消すため、とある雑誌編集長がスピンドクターに抜擢される。スキャンダルをもみ消す動きの裏では、世界レベルで影響のある総理の野望(モイルの実用化によるエネルギー問題の解決)が隠されていた。総理+内調+編集長らと、エネルギー関連企業、マスコミ、官僚らのカケヒキが終盤の見せ場かな。結局、モイルの製造方法を公開し、記者会見に望む総理‥。
情報操作とエネルギー問題(ジャーナリズムについても)を上手くみせる舞台ではあったが、緊迫感があまり感じられなかった。また、話自体、紆余曲折するのだけども、その起伏がこっちに伝わってこなかった。
ラスト、塚原(とその部下の武藤)が、外国の?密命をうけたエージェントのようなオチがあるのだけど、塚原がモイルの製造方法開示を目的に潜入していた→情報操作の黒幕は見えないとこにいるということなのか、自分で決定していることが誰かに操作されているという恐ろしさなのか。
スピンドクター
劇団 東京フェスティバル
OFF OFFシアター(東京都)
2011/12/15 (木) ~ 2011/12/20 (火)公演終了
満足度★★★★★
得意な政治もの
選挙・政治もので定評のあるこの劇団は、今回もはずしません!
いつものことながら、面白いだけでなく、1つ頭も良くなって帰ることの出来る作品でした。登場人物全員がいろんな顔を持ち、面白く描かれていたのもグー。
ネタバレBOX
最後のシーンで、内閣情報調査室の室長とスタッフのひとりがアメリカ(かな?)のスパイであることが判明しましたが、今後、外国との駆け引きの話なんかもどうでしょう。
スネークライク・デートコース
ブラックエレベータ
ギャラリーLE DECO(東京都)
2011/12/13 (火) ~ 2011/12/18 (日)公演終了
満足度★★★★
「付き合う」ってどういうことだろうって久々に考えました。
付き合うってどういうことなんだろうな~って久々に考えました。毎日が忙しすぎてそんなこと考える時間もなかったし。そじんさんの演技が格段に良くて、グーって惹きこまれました。
あと、舞台美術が良かったです。
誤/娯楽
黒色綺譚カナリア派
こまばアゴラ劇場(東京都)
2011/12/08 (木) ~ 2011/12/18 (日)公演終了
満足度★★★
禍々しく耽美
舞台美術や台詞の一つ一つにこだわりを感じる衝撃作。頭に物語はあんまり入ってこず、瞬間瞬間の空間の美しさとゾクゾクする感じに身を委ねて体感しました。活動再開したら是非、また拝見したいです。
うつくしい世界
こゆび侍
サンモールスタジオ(東京都)
2011/12/14 (水) ~ 2011/12/25 (日)公演終了
満足度★★★★
キャスティングが抜群
役者さん一人々が絵本の登場人物としてそこにいるかのような佇まい。
現実のリアリティとはまた違う、この世界で生きるための身体を持っていてそれに魅了される。
あの役は猪俣さんで本当によかった。
猪俣さんでなかったらこれほど好感は持てなかったかもしれない。
それに応えられる浅野千鶴さんの豊かな感情もすごい。
観れてよかった。
ネタバレBOX
佐藤みゆきさんのあのすごい役は、
アレはこのまま行ったら何かがとり憑いて千秋楽にはもっとすごい何かになってそう。
タッパー!男の器
動物電気
駅前劇場(東京都)
2011/12/10 (土) ~ 2011/12/18 (日)公演終了
満足度★★★★
圧倒的な破壊力
奇人変人オンパレードで力ずくで飽きさせない展開に胃酸過多になりそうでしたが、慣れてくると言うか脳の中の何かがバカになってくるともう楽しんじゃってましたね。
演者さん皆さんはじけてましたが、中でも帯金さん、文字通り体当たり演技で、気が違っちゃったのかと思うほど鬼気迫るものがありました。
一九一一年【ご来場ありがとうございました!】
劇団チョコレートケーキ
インディペンデントシアターOji(東京都)
2011/12/16 (金) ~ 2011/12/20 (火)公演終了
満足度★★★★★
素晴らしい!
素晴らしい作品です。開場してまず驚くのが舞台設定。どんな芝居になるのだろうと期待が高まります。そしてその内容は・・・はっきり言って重たいです。でも,観ておくべきものがあります。この芝居を観た後では日々の悩みなんてつまらなく思えるほどです。最近のチョコレートケーキの芝居はますます良くなっていき,今回の舞台は自分の今年見た芝居の中でも超上位に位置するだけの感慨がありました。その興奮醒めぬままDVDを2枚購入(受付と物販の販売は菅野佐知子さんでした)。今晩はこのまま楽しめそうです。なお,12月12日の毎日新聞夕刊にこの芝居のことが取り上げられていました。この芝居は多くの人に観てもらいたい作品と思います。
クライベイビーさようなら【公演終了致しました。ご来場ありがとうございました!】
エレクトリック・モンキー・パレード
劇場HOPE(東京都)
2011/12/14 (水) ~ 2011/12/20 (火)公演終了
満足度★★
別世界
何かが欠落した、自分が生きているのとは違う世界。生活感がまるでなくて、奇抜なキャラクターがたくさん登場して、まるでマンガみたいな世界。楽しいけれど、個人的には人間が見えないと物足りないなぁ。
ネタバレBOX
自殺者が3万人超えて、家族にも友人にも頼れず生活保護になる人が60人に1人とも言われる現在。ホームレスや近所の変わった人も簡単に受け入れて交流して寄り集まる光景は、一見魅力的に見える。でも一方で、そんな大事な友人が4ヶ月前から失踪してるのに探さなかったり、出産予定日が2ヶ月過ぎた妊婦が妄想を語っても、深くは触れないようにする。人間は面倒くさい。その面倒くささから目をそらして、表面だけ許して認めることは優しさではないと思う。
また、失踪して10年来の再開する父親を許したり、レイプまがいの行いをした男を許し、死体遺棄までする。それは「許す」ではなくて「諦め」のように見えた。生きていくために忘れたり許したりすることはあっても、諦めて生きるのは悲しい。
たくさん物語があって、散漫な印象。もう少しコンパクトでも良かったのかなと思いました。