スピンドクター
劇団 東京フェスティバル
OFF OFFシアター(東京都)
2011/12/15 (木) ~ 2011/12/20 (火)公演終了
満足度★★★★★
緊張感溢れるストレートプレイ
総理官邸にある総理大臣執務室を舞台に突然、発覚した官房長官の女性スキャンダルの裏に潜む、日本を揺るがすエネルギー問題が隠されていた。先日観たチャリT企画公演で鉢呂大臣ネタがあったが、この舞台でも鉢呂ネタが仕込んであってなんとなく繋がりを感じた。笑
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
裏日記はこちら→http://ameblo.jp/misa--misaki/
初の女性総理誕生をキッカケに内閣支持率は急上昇し、中川総理自身もただのお飾り総理ではなく、MOIL(藻が作るオイルの俗称)によって世界のエネルギーを変えようとする九州エネルギープラント構想に取り組んでいた。そんな折、官房長官の女性スキャンダルが発覚した。これが記事になることを阻止するべく、組織「内閣情報調査室」の内閣情報官が奔走する。そしてこれを補佐すべく、またスピンドクター(=メディア対策アドバイザー)として夕刊タブロイド紙「東京TODAY」の編集長を抜擢する。
しかし、内実は官房長官の女性スキャンダルではなく、総理のMOIL構想を知った各エネルギー関連会社がMOILの発売を阻止しようと「MOILは危険だ」という捏造を企んでいた。
同時に「東京TODAY」には多方面から圧力がかかり、企業の広告収入源が撤退することに。更に追い討ちをかけるように総理の献金疑惑が持ち上がる。
一度、メディアの標的になったら報じる側にとっては、それが悪でも善でも同義的責任を追及できるから、献金を受けてようが受けまいが関係ない。国民を洗脳する操作くらい簡単だ。というようなセリフには観ているこちらにもそれなりの緊張感があった。
このようなメディアの餌食やエネルギー関連会社の軋轢から逃れる為には日本の未来を変えられるという壮大な構想・MOILの栽培のノウハウを公開するほかないという結論に達し、総理は迷いの中、この決断をし公開するが、内閣情報官の塚原が総理より上手で次の時代は自分だと次の座を密かに狙っている様子を見せながら幕を降ろす展開は流石だった。
どのキャストも素晴らしい。特に中川総理役の矢代朝子のふてぶてしい演技力が、あまりにも素晴らしかった。同時に強かさを兼ね備えたデキル男的な演技力で魅せた天宮良が抜群だった。
脚本といい演出といい、ワタクシが観た劇団東京フェスティバルの舞台では一番良かったと思う。きたむらけんじ、素晴らしい!!
一九一一年【ご来場ありがとうございました!】
劇団チョコレートケーキ
インディペンデントシアターOji(東京都)
2011/12/16 (金) ~ 2011/12/20 (火)公演終了
満足度★★★★★
とても!とても!とても!
素晴らしかったです。私も、今年のアワード入り決定です。期待以上の意味と価値のある作品でした。
この事件自体の意味の深さの、あぶり出しが見事ですが、実力ある役者さん達が醸し出す、人間の心情表現が見事でした。題材は、重さや切なさが絡むが、それに潰されることのない、人の正義や愛の描き方が、良かったです。とは言え、決して甘さで濁らすのではなく、むしろ現実が突きつける厳しささえ感じるのだが、人を信じたいと、思えました。
劇場の使い方に、まず、驚いたが、見えない場面があっても、濃厚な空気感があるので、満足です。椅子だけのセットが活きる、キャスト力や佇まい、挿入曲や音響、照明による影、時代観のある衣装や髪形、とても良かったです
ゲストのJACROWの中村暢明さんも、とても良かったです。作品の魅力を活かす、ゲストの魅力が、相乗効果を上げてました。
ネタバレBOX
国家の幸せを願う想いは同じなのに、各々が抱える立場や現実が切なかったが、人として忘れてはいけない事や大切なことを、改めて痛感しました。
全役者さん、素晴らしかったです。
田原(西尾友樹さん)、平出(菊地豪さん)の若さと正義、譲れない想い、良かったです。
潮(岡本篤さん)言葉にできない想いが、突き動かす姿が、見事。
菅野須賀子(掘奈津美さん・DULL-COLORED POP)思想が支える凛とした強さや愛、とても良かったです。
大審院、検察の非情さ、各キャラを支える想いや現実を、滲ます役者さん、本当に見事でした。違う舞台も拝見してる、松室(林竜三さん・青☆組)鶴(古川健さん)は、人相も変わってしまった(?)かのようにさえ思えるほど、凄く見事でした。
権力の象徴である山縣(山森新太郎さん・髭亀鶴)の威圧感、凄かったです。
ゲストのJACROWの中村暢明さんの遺族役も、とても良かったです。
遺族とはいえ、血縁はあるが、事件自体はあまり知らない甥役。
時が許してくれた事と、時が経っても続く実害。
中村さんの真後ろで、観劇していたので、表情はほとんど見えなかったのですが、納得の演技でした。田原が墓参りにきた理由を知った時の、全身に走る緊張感や、淡々としながらも、静かな怒りと痛みが、見事でした。
古川さんの本の素晴しさ。
その魅力を最大限引き出し、色や味に深みを付ける、日澤さんの演出の凄さ。
それを、活かしきる演技力で、見事な作品を創り続ける、チョコレートケーキさんに、感謝です。そして、次回作も楽しみにしています。
箱の中の空
ハグハグ共和国
劇場MOMO(東京都)
2011/12/14 (水) ~ 2011/12/18 (日)公演終了
満足度★★★★★
無題230
19:00受付開場、前3列はパイプ椅子(低中高)、舞台上、むき出しのパイプ管、ダンボール(コスチューム、書類)、ハンガーラック、TVにラジカセ、事務机には電話とノートPC。倉庫ではないし、事務所っぽくもない。チラシのイメージに惹かれて観劇。素敵な女優さんたちでした。内容的には受けつけない方がいらっしゃるかも。
ネタバレBOX
ここがどこで、なにをしているのかがセリフとしてはっきり出てきません。話の展開からわかるのですが「フードル」ということばが最初でしたでしょうか...。「お店」のリニューアルで引越し、オープン当日のお話。
素っ気ない舞台に、コスチュームがかけられ、準備が整えばらしさがでてきます。
他で書いたように思いますが「名前のない女たち(主演:安井紀絵)」という映画をみています。そこにでてくる2人とはずいぶん違いますが、どこかの誰かの物語、思い出すあのころの場所、というセリフから物語は始まります。
控室なのでたくさんの登場人物(出入りを含めて)、こういったときどうしても、セリフのある方、動きのある方をみるのですが(マジックでもそうですね)、できるだけ違う方をみるようにしています。本作でも、みなさんよく演じていらっしゃいます。誰かの話しを聞いているときの表情、目線、手の動きなど、こういったことが「らしさ」を醸し出すんだろうなと感心。
続く
クライベイビーさようなら【公演終了致しました。ご来場ありがとうございました!】
エレクトリック・モンキー・パレード
劇場HOPE(東京都)
2011/12/14 (水) ~ 2011/12/20 (火)公演終了
満足度★★★
う~ん・・・・
バラバラ…生きてるってことを真剣に考えない人種達。その上、音響がエレキで鼓膜が破れそう。結局あのお腹にいた子はどうしたの?もしかして想像妊娠?
クリスマス・エンド
たすいち
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2011/12/17 (土) ~ 2011/12/19 (月)公演終了
満足度★★★★
Show Must Go On
クリスマスの時期にぴったりなハートウォーミングコメディ。
お子さま連れでもいいんじゃないかな。
俳優陣は華のある人ばかり。中でも三輪友実は国民の妹だね。
ネタバレBOX
アメちゃん頂きましたー。ごちそうさまでした。
意図的なんだろうけど、誰もサンタ姿にならないのはちょっと淋しい。
ポルノグラフィ
公益社団法人日本劇団協議会
恵比寿・エコー劇場(東京都)
2011/12/08 (木) ~ 2011/12/13 (火)公演終了
満足度★★★
戯曲を咀嚼しきれず
あれこれ工夫を凝らした演出が目に付いたけれど、肝心の俳優の演技が戯曲の本質に届かず。総じてロンドンの固有名詞あるいは台詞に裏打ちされているカルチャーの違いに阻まれ、台詞あるいは役柄の意味するところを十分に咀嚼しきれないまま本番を迎えてしまった感じが拭えませんでした。異なる文化圏でコンテキストの共有がない舞台作品を受容することの困難を感じざるを得ませんでした。ホン自体は魅力あり。
プライド
TPT
d-倉庫(東京都)
2011/12/15 (木) ~ 2011/12/25 (日)公演終了
満足度★★★★
がっつりストレートプレイ
濃い4人芝居に満足。d-倉庫の空間もぴったりでした。
六本木姦姦娘★☆★純情乙女の陵辱Xデー!!!!!
バナナ学園純情乙女組
新世界(六本木)(東京都)
2011/12/17 (土) ~ 2011/12/18 (日)公演終了
満足度★★★★★
やっぱりバナナ
今回もいろいろ降ってまいりました。
女子だけということで、確かにいつもよりきれいだけど、
案外違和感がないのは、普段の男性陣が"フェミニン"ってこと?
二階堂センセの存在感はやっぱりハンパないですね。
あと、とやえりさんの思い切りが印象に残りました。
(初日)
星が一つ少ないのは、会場がちょっと所狭しで動きに制約があったことと、
降ってくる水分系がいつもより少なかったことから。
(2日目)
スコア修正。2日目はどえらく進化していた。運動会も回を重ねるごとに格段によくなっていたな。そういえば。
SP席よりS席一列目のほうが水浸りがいい。
ネタバレBOX
自己紹介はいいですね。正直あの1節はそれだけでおなかいっぱい。
人数が多いと、いつまでたっても誰が誰か覚えられないので。
(自分の物覚えが悪いせいもあるが)
今回は、頭に風船付けられ、割られたり、いーぶいさんに水を掛けれたり、後方から多分ブラザーさんに塩を掛けられた。(焼き魚だから塩とおもったけど、あれも砂糖?)
ライブそのものも楽しみだが、実は、何か(特に水)を掛けられるのを一番楽しみにしている。
(2日目)結構派手に水が被れて満足。でも顔・頭はいいが、服までは勇気がない・・・。
全体的に定番もあるが、結構新しいアレンジで、なんとなくクリスマスっぽい感じ。
(1日目)アキバに行くのんは、もう一回ししたい。一回だと物足りない。
(2日目)今日は、オジョーさんに、押しくらまんじゅうされて、とばされた・・・。
アフター・ミモザ
劇団ダダン
阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)
2011/12/16 (金) ~ 2011/12/18 (日)公演終了
満足度★★★★
虚構から虚構を問う
劇団ダダン卒業公演「アフター・ミモザ」劇評…虚構から虚構を問う
ネタバレBOX
劇団ダダン卒業公演「アフター・ミモザ」劇評…虚構から虚構を問う
愛と恋が同時に語られることがおかしいと、言う。
確かにそうだ。愛は特定の個人に向けられるものではないだろううし、恋は自分の中だけで自己発酵するものだからだ。言ってみれば両極であり、相容れるものではないはずだ。この演劇では、愛と恋の不適合性を言っているし、これは現実社会の不幸性を暗示している。
近松の虚実皮膜説を言うまでもなく、創作は虚構でありその中でハッピーエンドがある。そこで言うハッピーとは何かを問うのだ。
ラブストーリーはベッドへ行く直前で終わると言う。なぜなら人類の性行為は滑稽か暴力のどちらかでしかないからだ。童話などは「そして、幸せに暮らしました、とさ」とお茶を濁す。つまり、エンドの後の現実に目を向けない。
ロミオとジュリエットのその後を探ることで、エンドの意味と現実の存在を問う。「オニ」は波乱万丈の出来事の直後に心中する最高のハッピーエンドだと言う。なるほどそうだ、その後の現実を知らずにすむからだ。
現実の中でハッピーがなくなるのは、消費経済に組み込まれるからだ。それを現実と定義するなら、現実にはハッピーはない訳だから、ハッピーは幻想ということになり、現にオニがそれを指摘する。そして現実のひとつが妊娠である。
オニは人類の質を問う。毎日殺し合っていて何がハッピーなのか?と…
それはヒトがどういう時に、どういうものにハッピーを感じるかに迫る。女性作家は自らのハッピー体験を言う。出会い、デート、迎えた夜…それがハッピー体験だとしたら、それはパーソナルなものである。劇中劇で「あなたをこれから知る」と言うのと同じだ。つまり、「知り合う」前にハッピーは準備されているのだ。
人生のエンドは紛れもなく死である。創作だけが中途のエンドを提示でき、しかもハッピーでもバッドでも自由自在である。それを問う。何がハッピーなのかと…
ところがオニは産まれる前に殺されているからハッピーを知らない。ハッピーは産まれてからあるものらしい、というより幻想は生を基層としているのだ。楽しみは幻想であり、愛は夢だと言う。
そして、魂は引き継がれるものだから、魂の「殺人」は繰り返される。
備考
ブータンは幸福度が高いと言う。デンマークもそうだ。デンマークの大学生のアンケートでは「不満が少ない」といううことだった。幸福の把握は難しいが、不幸の尺度は数値化しやすいのかもしれない。今、99パーセントの人たちの意思表示がされている。99パーセントの人たちに元々幸福など準備されていないのだと思えば話は明確である。幸福という概念は搾取の中でのみ存在機会があるのかもしれない。
ラブストーリーはベッドの直前で終わると言った。なぜなら、性行為も現実社会の消費経済も「ラブ」とは縁遠いからだ。成瀬巳喜男の映画作品『浮雲』が極北の男女関係と言われるのは、その全てを包含しているからだ。
ミモザに関しては、その「花言葉」を参照してほしい。
うつくしい世界
こゆび侍
サンモールスタジオ(東京都)
2011/12/14 (水) ~ 2011/12/25 (日)公演終了
満足度★★★★★
切なくて・・
そして、感動して・・泣いてしまいました。想像していた可愛らしいストーリーとは違っていて、少し怖かったです。個人的に怖いのは苦手なのですが・・ふうせんにんげんの役者さんの切ない笑顔が、頭から離れません。泣けて泣けて仕方ありませんでした。こんなに泣いたのは久しぶりでした。素敵な役者さんに拍手です!
秘密結社
劇団Spookies
こった創作空間(東京都)
2011/12/15 (木) ~ 2011/12/18 (日)公演終了
満足度★★★
笑ったけど・・
面白かったのですが、最後が何となく中途半端な気がしました。結局は何を言いたかったのか・・私にはメッセージが伝わってきませんでした。でも、何だか可笑しくて笑ってしまいました。何だか漫才を見ているような面白さでした。
爽快で豪快に罵倒し合えよ
Cui?
シアター・バビロンの流れのほとりにて(東京都)
2011/12/16 (金) ~ 2011/12/18 (日)公演終了
無題229
14:32受付(文字通り手作りのチケット)、開場。中央に六角形の舞台、角に椅子(6脚)。入ってすぐ右に2列、反対側にも2列、対面型の配置。役者さんは入って右奥から出入り、舞台との間に大量の衣服、シンプルな舞台。上演時間が90分から70分に変更、16:14終演。
すみません、正直に言います…よくわかりませんでした。
ネタバレBOX
中に入ると、スタッフの方から「こちら(入口からみて奥)の席からつめて座って下さい」と声がかかる。こういった指示は久しぶり。確かにチラシ(ハガキ大)をみても「全席自由席」とは書いてない。が、こりっちから予約すると前売券(自由)とでてくる。微妙だけど、指定席じゃなければ好きに座らせたら?
「獏」がポイントみたいで、両サイド前列中央の席(関係者席の貼紙あり)を行き来する…2席分つぶすほどのことがあったのだろうか。無機質な演出、型、みていて感情が揺れ動かないのでセリフが耳に届かない(私のほうで身が入っていない)、結局、どんな関係で、どうなったかわかりませんでした。
6つある椅子、散乱している洋服、わざわざ床下から取り出すペットボトル、鼻をかむ、見えるんだけど…それで終ってしまいました。
あわなかったようですが、役者さんたちは好感。
『タンバリン・スナイパー』
8割世界【19日20日、愛媛公演!!】
ワーサルシアター(東京都)
2011/12/07 (水) ~ 2011/12/18 (日)公演終了
満足度★★★★
ほのぼの
奥山さんの笑顔が全開、とても魅力的でした。
笑えてほのぼのするストーリーで楽しめました。
ネタバレBOX
小早島さんの三枚目的な物悲しそうな佇まいはいいですね。
奥山さんのテンポをずらして踊るダンスは結構むずかしいのでは?
アンケートを書いて貰える"こばや紙"は気の利いたサービスだと思います。
SUPER☆STAR
天幕旅団
Geki地下Liberty(東京都)
2011/12/14 (水) ~ 2011/12/18 (日)公演終了
満足度★★★
「DJside」を観た。
客席から眼の前のキャストをみていると当時の「笑劇ヤマト魂」を思い出してあまりにも懐かしい。きっと観客のこんな気持ちを出演者は案外知らないのだろうな・・なんて考えながら観ていた。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
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寡黙なDJは夜に語る。このお話は夜の東京で、スーパースターを捜す彼らのお話だ。彼らの元に届いた、差出人不明の一通の葉書。「スーパースターは待っている。」 この「待っている」という謎めいたスパースターを探す為に物語は起動する。スーパースターの名のとおり、シューティングスター、ギャングスター、ラッキースター、TVスター、スターダスト、ロックンロールスター・・・と登場するキャラクターはスターばかりだ。笑
これらのキャラクターを誘導する(ナビ役)のがDJこと加藤晃子だ。
舞台の立ち上げ方やポップな演出は「笑劇ヤマト魂」と同じだが、それもそのはず、作演出はヤマトと同様の渡辺望なのだから、当然といえば当然なのだ。
序盤の複数のスター達の伏線を撒きすぎて解り辛い部分があったが、物語が流れていくうちに「ああ、この物語は孤独な夜を過ごす人々、あるいは人生に行き詰った人々の風景を描いたものなのだな・・」と感じた。
中でも、ギャングスターのキャラクターであるボク(吉永輪太郎)が傍若無人にファミレスで無銭飲食したり、コンビニで勝手に袋を破って食べてしまったり、赤いクラウンを盗んだりする光景があまりにも愉快で面白かった。これを補佐する彼(長谷川友貴)のやれやれ・・ぶりもめちゃんこ面白い!
ロックンロールスターの歌手の自殺願望や、負け続ける社会人バレー部の「世田谷スターダスト」の廃止や、TVスターの世代交代劇・・これらは世相を風刺したような芝居だったが、現実の世界でもある。こうしてワタクシ達は世の中に少しずつ抗いながら戦っているんだな、と妙に共感できる物語だった。
終盤に撒き散らした伏線をきっちり回収しまとめたが、きっと観劇初心者には解り辛かった公演だったと思う。
アイドル、かくの如し
森崎事務所M&Oplays
本多劇場(東京都)
2011/12/08 (木) ~ 2011/12/29 (木)公演終了
満足度★★★★
落ち着いた群像劇
クドカンを観てみたくて。
岩松了の作品はどうかななんて思ってたけどけっこう面白かった。
ネタバレBOX
とある芸能事務所が舞台。売り出し中のアイドル・くらら(上間美緒)を抱える事務所には、いろんな事情がまとわりついて、思惑と感情が動き舞台を形作っていく。
事務所社長の祥子(夏川結衣)とスタッフの古賀(宮藤官九郎)の夫婦を中心に、芸能関係者やくららの母(宮下今日子)、事務所事務の女性(伊勢志摩)、くららのマネ(津田寛治)らが魅力的なキャラで話に彩を添える。
事務所の話と、人間関係をうまくからめていて、クドさもなくて観やすい。悩みをかかえつつ前進するという姿勢の夏川や宮藤を中心に全員が大人な舞台であったと感じた。
宮藤官九郎は、独特の口調のせいか、コミカルに見えてしまうきらいがあるかな。ちなみに、「ブラインドを降ろす」という表現が気に入った。
前川 清・秋元順子特別公演『ザ・ナイスガイ』
明治座
明治座(東京都)
2011/12/01 (木) ~ 2011/12/18 (日)公演終了
満足度★★★★★
すごくて豪華だった3時間45分
芝居はもちろん、歌謡ショーもあって、その間の休憩には、お弁当や、お土産まで買えるという豪華版、芝居のほうは、商業演劇と、昭和の喜劇の融合でとてもおもしろかったです。
ネタバレBOX
一幕の冒頭、いきなり「忠臣蔵」のテーマが流れて、前川さんと、小松さんの掛け合いで、これぞ喜劇らしさがでましたね。二幕では、小松さんが、「電線音頭」や「しらけどり」といった往年の名調子が流れて盛り上がりました。
ある日の出来事
リブレセン 劇団離風霊船
ザ・ポケット(東京都)
2011/11/09 (水) ~ 2011/11/13 (日)公演終了
満足度★★★★★
あまりにも素晴らしい!!
1983年の旗揚以後、大橋泰彦さんと伊東由美子さん、二人の座付き作家の作品を 上演し続けている劇団離風霊船。おおよそ30年の歴史を誇るだけあって、ものすごおく素晴らしい作品でした。まさに圧巻!7年ぶりの伊東さんの新作公演は「あっ」と驚く構造と演出を盛り込んだ作品展開や舞台仕掛けが特徴で、テーマは、人間の善悪やエゴイズム。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
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現代社会に対して投げかける「伊東由美子版 罪と罰」ともいえる作品だ。当初、劇団の名前を読めなかったが「りぶれせん」という。その描写はおどろおどろしい印象でもあり、アングラ的な香りもあって次第に、じわーっと深い味が広がってくるのが体感できる。選曲も素晴らしく、幕開けと同時に殺人シーンから魅せる舞台は観客をいきなり舞台に引きずり込む力量がある。
物語は主人公・市川がゴミのような仕事に就いてから、自分自身を卑下し、また回りの同僚達もおのずと自分達はクズのような人間だと嘆きながら、自らの人生をこんなはずじゃなかったと後悔し愚痴を吐く。こんな掃き溜めのような職場で独裁的で嫌われ者の主任を殺してやりたいと常々考えていた市川はある日、本当に主任を殺してしまう。
実際に手を下した人間と、手は下さないけれど、死ねばいい。と考えてる人間のその差は何だろう?などと同僚は言う。そして同僚は市川に主任を殺すことを共感し、そのように囃し立てる。また市川自身が母親と妹から多大な期待をかけられていたことも重荷となっていた。
やがて市川が主任を殺してから市川自身が妄想の世界に入り込み、何度もこの描写が繰り返される。現実と妄想と過去を錯綜するかのように市川の小学生の過去にもフラッシュバックして市川の心の闇も映し出される。
市川は「前にもきっとあんたを何回も殺してるんですよね。こんな馬鹿げた繰り返しはもう止めにしたいけれど、ここだけは変わらない。」と青光りした眼で人を見るようにのたまう。
それが仕組まれた輪廻で抗えないかのように・・。
物語は二重にも三重にも複雑な構造を仕掛けながら人間と言う奴は何かが重なって殺意に変換するさまも見せ付ける。やがて・・市川が刑務所で母親と面会するシーン。この物語だけではこれほど感動しなかったと思う。一にも二にも演出が飛びぬけて素晴らしい。更に劇中に導入されるダンスも面白い。秀逸な芸術作品だった。願わくばもう一回観たいほど。全てのキャストの演技力も秀逸で文句のつけようがない。特に山岸諒子の演技が神的だ。
劇団離風霊船、噂には聞いていたけれど、あまりにも素晴らしい舞台だった。大絶賛!
岸田國士傑作短編集
文学座
紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)
2011/11/04 (金) ~ 2011/11/13 (日)公演終了
満足度★★★★★
家族の機微
戯曲賞の冠にもなっている岸田國士は、文学座の創立メンバーだ。その彼の短編を3本一気に観れるチャンスなのだから、観ておくにこしたことはない。なんつって偉そうに(岸田を既に呼び捨て!笑)言っちゃう!
またセットの画が素晴らしい。モチーフはクリムトの「接吻」だ。美術:奥村泰彦。
また今回のキャストは「連結の子」で拝見したキャストらが登場しており、なんとなく勝手に親しみを感じた。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
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『明日は天気』
海岸の旅館に避暑にやってきた一組の夫婦。雨に降り込められ暇を持て余す2人の会話はことごとく噛み合わない。とある夫婦の等身大の会話を描写したシンプルな物語だ。夫を演じるのは浅野雅博。本当に良くしゃべる夫で、ほぼしゃべりっぱなし。笑
夫が妻の幸せをいつも考えているセリフが温かい。
また、浅野の声のトーン、ちょっとした視線の配り方、そして“間”が絶妙だった。また浴衣の下に着ていた夫の水着が囚人のようにヨコシマで、思わず仰け反った。オマエは楳図かずおかっ!!
『驟雨』
倦怠期が見え隠れする夫婦。ある日、新婚旅行に旅立ったはずの妻の妹が突然訪ねてくる。離婚したいという妹に狼狽する妻を尻目に、普段無口な夫は雄弁に語りだす。相変わらずセリフに含まれる男と女の気持ちのズレが絶妙で、なおかつ夫婦の秘訣みたいなセリフも勉強になった。夫婦の日常の生活に起こるさざ波ような出来事があったからこそ、夫婦の機微を今一度確認するような物語だった。
『秘密の 代償』
休暇をとって海辺の避暑地の別荘にやってきた高級官吏・池田一家。本宅から連れてきていた小間使いのてるが唐突に暇を申し立てる。妻は夫か息子がてるに手を出したのではないかと疑い、ふたりを試そうとするが、大枚を盗んで逃げようとしていたてるは、妻の疑いを利用して夫と息子の気持ちをたぶらかし、まんまと大枚を持って逃げてしまう。その後、警察から大枚を持った女が駅に居ると通報があったものの、池田家では世間体を重んじて盗まれた大枚を追求せず、てるのほうが強かで一枚も二枚も上手だったという物語。
今回の3本の戯曲はどれも夫婦の秘めた心の内を表現した舞台だったと思う。美しい日本語のセリフと同時にエロスを色濃く漂わせ、また人生に於いての見損ないや、男とは困った生き物だという夫婦にしか解らない独特の空間が楽しかった。所々、クスッと笑える箇所もあり、演技力も充分だった。
紅夢漂流譚(くれないゆめひょうりゅうたん)
劇団桟敷童子
すみだパークスタジオ倉(そう) | THEATER-SO(東京都)
2011/12/12 (月) ~ 2011/12/28 (水)公演終了
満足度★★★★
これぞ!
劇団桟敷童子色というか、この劇団だからこそがたくさん。
だからみんな桟敷童子として続けているんだなぁ。って感じました。
面白かったです。
ネタバレBOX
池下さん今回出ていないかと思ったら!!へぇっ。桃子さんさすがです。歌がステキ。客演の中でも松田さんいい味出していますよね。カッチョエエ!!ちょっと出入りが多すぎたりたくさん死人が出たり、、、はいつものことでしたね。
秘密結社
劇団Spookies
こった創作空間(東京都)
2011/12/15 (木) ~ 2011/12/18 (日)公演終了
満足度★★★★
(゚∀゚)アヒャ
スプーキーズ!久しぶりに面白かった!w
話はバカバカしいまま笑わせて終わらせるのかと思いきや、そこは小坂さん!
ちょっといい話を絡めてくるあたりはさすが。
役者も個性が活かされていて、どの俳優もそれぞれに味がある。
正直、ここ数作は、個人的にはパッとしない印象だったので、今回も観るかどうか迷っていた。でも、観続けるってことも大事なんだなと、改めてw