岸田國士傑作短編集 公演情報 文学座「岸田國士傑作短編集」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    家族の機微
    戯曲賞の冠にもなっている岸田國士は、文学座の創立メンバーだ。その彼の短編を3本一気に観れるチャンスなのだから、観ておくにこしたことはない。なんつって偉そうに(岸田を既に呼び捨て!笑)言っちゃう!
    またセットの画が素晴らしい。モチーフはクリムトの「接吻」だ。美術:奥村泰彦。
    また今回のキャストは「連結の子」で拝見したキャストらが登場しており、なんとなく勝手に親しみを感じた。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX


    裏日記はこちら→http://ameblo.jp/misa--misaki/

    『明日は天気』
    海岸の旅館に避暑にやってきた一組の夫婦。雨に降り込められ暇を持て余す2人の会話はことごとく噛み合わない。とある夫婦の等身大の会話を描写したシンプルな物語だ。夫を演じるのは浅野雅博。本当に良くしゃべる夫で、ほぼしゃべりっぱなし。笑
    夫が妻の幸せをいつも考えているセリフが温かい。
    また、浅野の声のトーン、ちょっとした視線の配り方、そして“間”が絶妙だった。また浴衣の下に着ていた夫の水着が囚人のようにヨコシマで、思わず仰け反った。オマエは楳図かずおかっ!!


    『驟雨』
    倦怠期が見え隠れする夫婦。ある日、新婚旅行に旅立ったはずの妻の妹が突然訪ねてくる。離婚したいという妹に狼狽する妻を尻目に、普段無口な夫は雄弁に語りだす。相変わらずセリフに含まれる男と女の気持ちのズレが絶妙で、なおかつ夫婦の秘訣みたいなセリフも勉強になった。夫婦の日常の生活に起こるさざ波ような出来事があったからこそ、夫婦の機微を今一度確認するような物語だった。

    『秘密の 代償』
    休暇をとって海辺の避暑地の別荘にやってきた高級官吏・池田一家。本宅から連れてきていた小間使いのてるが唐突に暇を申し立てる。妻は夫か息子がてるに手を出したのではないかと疑い、ふたりを試そうとするが、大枚を盗んで逃げようとしていたてるは、妻の疑いを利用して夫と息子の気持ちをたぶらかし、まんまと大枚を持って逃げてしまう。その後、警察から大枚を持った女が駅に居ると通報があったものの、池田家では世間体を重んじて盗まれた大枚を追求せず、てるのほうが強かで一枚も二枚も上手だったという物語。

    今回の3本の戯曲はどれも夫婦の秘めた心の内を表現した舞台だったと思う。美しい日本語のセリフと同時にエロスを色濃く漂わせ、また人生に於いての見損ないや、男とは困った生き物だという夫婦にしか解らない独特の空間が楽しかった。所々、クスッと笑える箇所もあり、演技力も充分だった。

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    2011/12/17 12:21

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