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【公演終了】ブスサーカス【感想まとめにリンクあります】

【公演終了】ブスサーカス【感想まとめにリンクあります】

タカハ劇団

ギャラリーLE DECO(東京都)

2012/02/21 (火) ~ 2012/03/04 (日)公演終了

満足度★★★

ブ・スパイラル
わかりやすく不幸。わかりやすくブザマ。とても良質で、とてもネガティブなエンタメ作品。これを演じきる女優さん達がスゴイなぁ。

ネタバレBOX

ヤクザのヒロシと付き合ってる女達。彼女らはヒロシのために皆で力を合わせて大金を奪い、その際に警備員を二人殺している。今は組の手引きでどこぞの潰れた雀荘に隠れている。逃げてきてから今日で二週間。ヒロシへの連絡は、こちらからは取れず、向こうからの連絡待ちで皆落ち着かない。そんな中ヒロシとの連絡係のノリカが、他の女を出し抜いて皆を殺すんじゃないかと疑われ殺される。ノリカは雀荘内にいる誰かと携帯でやり取りをしていた事が発覚し、携帯にはヒロシからの「お前だけとうまくいきたい」というようなメールが残っていた。犯人探しの中、次々と殺されていく女達。

誰かに認められたい、というこの悲哀は一体何だろう。10代の多感な頃に、容姿が個性的であるだけで劣等感を植え付けられた人は多いはずだ。そしてその劣等感をバネに出来る(例えばお笑い芸人としてコンプレックスを飯の種にして、せめてもの昇華が出来るなど)一部の人間は別として、圧倒的多数はその思いを一生背負うのだ。本作に出てくる登場人物達は皆わかりやすく不幸だ。ヤクザの男につかまるだけあって、ヒロシと出会う前から借金を背負ったり、水商売で働いていたりする。それはつまり、自分の劣等感を克服できないまま、負の連鎖で、悪い方、悪い方へと進んでいく、ブススパイラルなのだろう。略して、ブスパイラルか。どうして、フツウの人達のように、つまづいたらやり直しが効かないんだろう、ブスだからか、諦める、というブスパイラル。

冒頭から強盗殺人して逃げ隠れてる所から始まる物語に、明るい未来なんてあるはずもない。でも一方で彼女達は、疑いながらもヒロシがやってくるのを待っているし、ヒロシが来たら皆で踊って迎えようと健気に練習を重ねるのだ。それは、ヒロシという、自分達の人生での最初で最後の救いなのだろう。


当たり前に、自己肯定出来る人にはわかるまい。救われたくて、端から見たら常軌を逸して、安易に殺人を重ねてまで、やり直したいと願う気持ちを。そこまで追い詰められてしまう気持ちを。多くの人が当たり前に出来ることが、出来ない人がいるのだ。

追い詰められた状況や、ネガティブすぎる発言や、死に様。そうした負の空気を、笑いを多用して見せるエンタメ作品だった。
トロールとラッカセイ

トロールとラッカセイ

COoMOoNO

池袋 Gallery K(東京都)

2012/02/18 (土) ~ 2012/02/19 (日)公演終了

満足度★★★

ムーミントロール
なんか気軽に見られる感じと、センス良さげなチラシが気に入って観劇。

ギャラリーに喫茶店がつくられて、飲みながら鑑賞できる。暖かな日差しがリラックスした時間を演出する。ドリンク100円。

ネタバレBOX

喫茶店にゴスロリ的な二人組が来店する会話劇で50分。ルーシーとサリーというコードネーム?で呼び合う。
なんらかの目的があって来店した二人は、それを悟られないよう他愛もない話(モンハンとか)をする。ちょっと良くわからなかったのだけど、この店で殺人が行われていて、二人は自殺をしにきた、という話か?

セリフが若干出にくいような感じをうけた。また、会話劇としての面白さが伝わってこないもどかしさがある。ムーミンを知らないせいだろうか。また、なぜにゴスロリ風なのかとか。
けど、不思議と観ていられた。
僕らの心象風景における、いくつかの考察【公演終了いたしました。ご感想お待ちしております。】

僕らの心象風景における、いくつかの考察【公演終了いたしました。ご感想お待ちしております。】

Minami Produce

新宿眼科画廊(東京都)

2012/02/11 (土) ~ 2012/02/21 (火)公演終了

満足度★★★★

B:彼女との別れにおける考察
Aの「出会い」に対して「別れ」の考察であることからあれこれが対照的。なのでAでの「誤った記憶」側の話かと思うとそうでもなく、パラレルな世界の層はどんだけあるんだ?みたいな。
が、終演後に実は世界はA・B・Cの3つと聞いて驚いたり納得したり。ものの見事に謀られた感じはむしろ爽快。
AB両サイドを観てさらにそれを知った上でもう一度観るとまた新たな見方ができるんだろうなぁ。

レッドライン

レッドライン

劇団BOOGIE★WOOGIE

ウッディシアター中目黒(東京都)

2012/02/17 (金) ~ 2012/02/21 (火)公演終了

満足度★★★★★

やはり名作
内戦により暫定国境線で家を分断された一家を描いたコメディ。
がしかし中盤以降、家族や兄妹など肉親の繋がりに焦点を絞り、感動の結末に導くのが巧み。
また、観終わって今なお分断されている国に自然に想いを馳せる。
やはり名作、折に触れ演を重ねて欲しいと切に願う。

イデ版 裏蒲田行進曲』 ありがとうございました!無事全公演終えることができました。怪我人多数ですが生きて終えることが出来たことを感謝いたします。

イデ版 裏蒲田行進曲』 ありがとうございました!無事全公演終えることができました。怪我人多数ですが生きて終えることが出来たことを感謝いたします。

獏天

Geki地下Liberty(東京都)

2012/02/17 (金) ~ 2012/02/26 (日)公演終了

満足度★★★

俺の映画ver
終盤の二人芝居はとても良かった。

ネタバレBOX

元の蒲田行進曲の細かいとこまで覚えてないけど、それを脚色した作品。つかこうへい劇団のものを観た際はピンとこなかったが、本作品は演出家のフィルターを通しての舞台だからか、伝わりやすくなってた気がする。
好きなシーンは、アズミ(麻生真桜)と銀四郎(五十嵐康陽)の回想シーン。銀四郎のスター論・役者論と、アズミの女優への傾倒にが妙に説得力がある。
階段落ち前の、小夏(那須野恵)と安次(小林大介)の芝居。20分くらいの二人芝居に見入ってしまった。特に小林が良い。銀ちゃんへの愛情と小夏への愛情の不安定さとか。見た目の雰囲気も相まって素晴らしい存在感だった。那須野恵は、弱気な演技より勝気な演技が板についてるなと思った。凶暴な演技のほうが魅力的にみえる不思議。

ダンスとか歌は控えめな印象をうけた。ラストの殺陣シーンは、迫力満点で満足の仕上がり。階段落ちのシーンの照明効果が美しい。
【公演終了】ブスサーカス【感想まとめにリンクあります】

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タカハ劇団

ギャラリーLE DECO(東京都)

2012/02/21 (火) ~ 2012/03/04 (日)公演終了

満足度★★★★★

「やさしさ」の神が支配する
女の人は、皆コンプレックスを持っている。

女性にとっては当たり前で、男性は忘れがち。

女子の和気藹々とした何気ない会話のように男子には見えていても、
その中に殺意が芽生えるほどの自意識が隠れている。

そのコンプレックスを溶かすのは何?

舞台の上で、その答えははっきりと描かれている。
ちょっとすると男性は見落としてしまうかもしれない。
けど、女性の観客は見落とさないだろう。

(以下、ネタバレへ)

ネタバレBOX

「33年間生きてきてはじめてかわいいと言ってくれたの」
という愛人の、自分を事件に巻き込んだヒロシに対しての台詞。

最初に殺された女性が、
「あの人(ヒロシ)が私みたいなブス相手にしてくれない」
と、死ぬ前に言っていた。

上手く利用された愛人たちが、
クズと時に呼びながら、
捨てきれない思いを抱いている男。

どう考えても届かないと感じてるにも関わらず、
何故、そんなクズ?を追い求めるのか?
その男の・・やさしさ?とは何なのか?

女の人たちは、持って生まれた劣等感のゆえに、
それを打ち消してくれる言葉を待ち続ける。

・・ちょっと立ち止まって観察してみれば、
その女性にとってのコンプレックスが何か、
推察するのはそんなに難しくはないと僕はいつも思う。

なんで多くの男性がそうしたコトバを持たないのか?
自分の目から見る限り、
多くの男性は女性に自分の良い所を見せることばかり考えて、
相手のことをよく見てないからではないかなと思ったりする。
(なぜ少年のころはあんなにも真っ直ぐで優しかったのに、
ハタチを過ぎる頃になると、すっかりつまらない人に成り下がったりしてるのか、
自分には今も理解できない。

舞台の上には登場してこないものの、
自分は、たとえヒロシがハゲでもチビでもデブでも別に驚かないだろう。
(観客の人は、ヒロシがイケメンの類だと頭の中に描いてるかもしれないが、
果たしてそうだろうか?
・・今までの作品を見るかぎり、タカハ劇団でそんな単純なことをするようには
思えないのだけれど・・
ヒロシが持っている、他の男には無いもの、
それは容姿ではなく、言葉だと考えたほうが、物語の主題を考える上では、よりしっくりとくるように自分には思われる・・

ヒロシが言葉を持っているのは、
最初の台詞からみて明らかだ。

舞台上の女子たちが男をクズ呼ばわりするのは、
男がクズだと自分自身が本当に思っているわけではなく、
単純に周りにヒロシのことを諦めさせようとしているに過ぎない。

そして、何度男をクズ呼ばわりされようと、
どうもだれ一人ヒロシのことを諦めようとしていない。

これは、醜い劣等感の物語ではなく、
純粋にコトバ(それが真実の愛的な何かであるかどうかはひどく疑わしいが)
を切実なまでに追い求める
女たちの悲しい物語で、ほとんどの女性(美人含む)に共通する悩みだと
自分には思われる。

・・・男子はもっとコトバを磨くよう努力すべきではないかなと思ったりもする。
(ホスト君たちが廃業するほど)
皆がもっと豊かなコトバを持ったなら、女子たちもこんな悲壮なまでに
一人の男にすがりついたりはしなかっただろう(ただ、舞台の上では全然悲壮に見えなかったりもするのが作者の凄いところだ

この舞台は、センセーショナルな題名と女性たちの狂気じみた表情とは裏腹に、
舞台の上には全く登場しないクズ男の優しさ(・・なのかははっきりとは描かれないが)
を通して、多くの男性のコトバの足りなささ、
そしてそれを切実に(人を殺してまで)求める女子の悲壮さを
逆に描ききっているのかな、
という風に自分には感じられました。


ちょっと、冷静に考えてみれば、
容姿に魅せられるだけで人を殺す訳はない(想像もつかない
と自分は強く思うのだけれど・・
(他の男と自分がちょっとずれてるだけかも・・どうなんざんしょ?(汗
こうして二人は幸せになりました、とさ

こうして二人は幸せになりました、とさ

MacGuffins

上野ストアハウス(東京都)

2012/02/17 (金) ~ 2012/02/19 (日)公演終了

満足度★★★★

二つで一つ
言われたい台詞、胸に刺さる台詞がたくさんあって、最後泣いてしまいました。

ネタバレBOX


「お前が自分で決めてくれ」
「私が終われば世界も終わり、世界の終わりって狭い範囲で起こる」
「私はあなたじゃないから全部なんてわかるはずない」
「二つの物の一つがなくなったんじゃなく一つの物の半分がなくなった」
「つらい事があっても笑える人が素敵」

うろ覚えなので、実際とは違うかもしれません。
特に「自分で決めてくれ」という台詞が印象的。

つらい現実をやさしく包み込んだストーリーでした。
前半のドタバタしていた所で声が聞き取りにくかったりしたので、マイナス☆1つ。
狂おしき怠惰

狂おしき怠惰

TRASHMASTERS

駅前劇場(東京都)

2012/02/18 (土) ~ 2012/02/29 (水)公演終了

無題305(12-058)
19:00の回。今夜も急に決めたので最後列(指定席)。長いのはいいとして、とっても普通。前半/後半のセットの転換は面白い、けど、だからあれだけ解説が長かったのかと意識はそっちに行ってしまうのでした。病室、廊下、トイレ、流し。オフィスも古めかしさがよくでているし、時間の経過具合もわかりやすい、役者さんはいいし、セットの中での「位置」もよく練られているんだと思います。でも、お話しは普通…医療に関する小説は多いし、薬害、遺伝子治療、臓器移植、生命などテーマも多いのに…話の展開がゆっくりとしていて、22:13終演。

ネタバレBOX

何組かの関係が並行し、これは「複雑な人間模様」を現しているのかなと思いながらも、よくありそうなものの組み合わせに見えてしまうのでした。これがなければこのお芝居は成り立たないものって、何だったんだろう…と、見方が浅いのでしょうかね。

M&A決裂の場面はちょっと薄味、あの程度の拒絶理由だったら最初から本格的な交渉には入らないんじゃないかなと思ったり、NDAがあってデューデリなんかもやったうえでの結論(?)にしてはやはり弱いし、上場してなくて、役員が大半の株式を保有していれば、他に有力な株主はいないだろうし2/3まで買い占められることはないので敵対的な買収は無理だし…とか。
ハムレット

ハムレット

東宝

シアタークリエ(東京都)

2012/02/01 (水) ~ 2012/02/22 (水)公演終了

満足度

やけに大味の「ハムレット」
先に観た友人から、かなりネガティブな情報を入手していたので、相当覚悟して行ったのですが、それをも超越して、あまりにも大味なストーリー展開に、驚いてしまいました。

これでは、映画の予告編だけ見せられたみたいな気分。

昔の「夜のヒットスタジオ」の歌謡ドラマ並みの端折り方。

「ハムレット」の内容を熟知している人でも、たぶん、この舞台からは、何の共感も感動も享受できないだろうと思いました。

キャストのせいではむろんなく、演出のせいでもない。
この作品自体が、大味すぎるのです。

ネタバレBOX

まず、ミュージカル作品としても、楽曲に統一性もセンスもなく、聴いていて、楽しい曲も、感情移入して、感動する歌もないのが、まず第一のネック。

その上、訳詞に芸がなさ過ぎます。

「ブラザー」とか「シスター」とかの歌詞は、他に訳し様がなかったのでしょうが、伊礼さんや昆さんが熱唱すればするほど、陳腐にしか聞えず、吹き出しそうになるくらいでした。

長い原作を端折るのは致し方ないとしても、登場人物間の感情の流れが、全く表出されないまま、粗筋よりももっと省略した、「ハムレット」もどきのストーリーを追うだけでは、役者さん達も、情感を役に投影する間もないでしょう!

1幕はまだしも、2幕のあれよあれよという展開には、目を覆いたくなりました。

ハムレットをイングランドに追いやる計画も語られず、ローゼンクランツもギルデンスターンもフォーティンブラスも登場せず、ハムレットとレアティーズの決闘シーンは、早送りのように進んで、あっという間に死を迎えるという、とんでもない展開に、ある意味息を呑みました。
【公演終了】ブスサーカス【感想まとめにリンクあります】

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タカハ劇団

ギャラリーLE DECO(東京都)

2012/02/21 (火) ~ 2012/03/04 (日)公演終了

満足度★★★★★

チラシに騙されるな!
ややネタばれ。

ネタバレBOX

人里離れた雪山の一軒家で、ブスな愛人5人が彼氏のヒロシを待っている。ヒロシと女性5人は殺人強盗を行い、ヒロシと落ち合う予定なのだが、そのヒロシがなかなか来る気配がない。疑心暗鬼になった愛人5人は、互いのブス具合を罵りあいながら、終いには殺人までに発展していき自滅していく。

ベケットのゴドーを待ちながらを拝借しながら、女性が持っているブス具合を徹底的に描いている。その醜い女性の争いがゴドーを待ちながらを引用しているせいか、非常に不条理に見えてくるのだが、それは男性の知らない女性の秘部であり、そこに物語のメインに持ってくる作・演出の高羽彩には見事としか言いようがない。
何者か知らない女性だが、まだ20代。かなりの実力あり!と見た。
次回作も観るのは間違いなし。
僕らの心象風景における、いくつかの考察【公演終了いたしました。ご感想お待ちしております。】

僕らの心象風景における、いくつかの考察【公演終了いたしました。ご感想お待ちしております。】

Minami Produce

新宿眼科画廊(東京都)

2012/02/11 (土) ~ 2012/02/21 (火)公演終了

満足度★★★★★

合わせ技一本!
11日A→19日B
スタンダードなAから裏側を描いたBに、どちらも不完全なお話かもしれませんが合わさったときの満足感が非常に心地いいです。
間の一週間、非常に待ち遠しかったです。

やはりA→Bが良い気がしますね!
A公演はキャラが全体的に生きているしこちらが基本な気がします。
B公演はA公演を観た後にムフフとほくそえみながらだてさんの熱演に見入ってしまいます。

バックギャモン・プレイヤード

バックギャモン・プレイヤード

カムヰヤッセン

吉祥寺シアター(東京都)

2012/02/09 (木) ~ 2012/02/13 (月)公演終了

満足度★★★★

個人的には好き。
ベタかもしれないけど…
別にそれがダメとは思わなかったなぁ。

甘粕さんとマギーさんの場面の熱演とか好きです。

2980!!

2980!!

ボビボビ。

小劇場 楽園(東京都)

2012/02/01 (水) ~ 2012/02/05 (日)公演終了

満足度★★★★

いぃね!
笑いどころ、見せどころのバランスよく
すんなり入れました。

島田さんのキャラが良かったです。

青春のプロ

青春のプロ

ライオン・パーマ

インディペンデントシアターOji(東京都)

2012/01/26 (木) ~ 2012/01/29 (日)公演終了

満足度★★★★

爽快なまでにくだらない。
もう何も考えずに笑いに行って
まんまと笑わせてくれる公演でした。

ワンダース・インベーダー

ワンダース・インベーダー

ジャイアント・キリング

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2012/02/17 (金) ~ 2012/02/21 (火)公演終了

満足度★★★

いい裏切り方
騙すつもりが騙されて・・・・・・よくありの話ですが、結末は“そうくるか”と“イイ意味での裏切り”で終る。なかなかな楽しい話ではありました。が、芝居は少々荒が目立つ。そして細部が手抜き。雰囲気的には観ているほうがほのぼのするような“温かみ”のある劇団でした。






少しはみ出て殴られた

少しはみ出て殴られた

MONO

吉祥寺シアター(東京都)

2012/02/17 (金) ~ 2012/02/26 (日)公演終了

満足度★★★★★

人の心にある微妙な心理/心のヒビにいったん気づいてしまったら…
少しずつズレていく男たちの姿を、ユーモアを交えながら、寓話風に丁寧に描いていた。

ネタバレBOX

マナヒラという国にある、軽犯罪だけど(重犯等の理由で)更生不可能な人たちが収監されている刑務所での物語。
刑務官は居眠りしていたり、犯罪者たちも特に緊張感はない。だらだらとした和気藹々さの日々。

ある日マナヒラからヒガシマナヒラという国が独立をした。
さらにマナヒラではコチという地方も独立しようとしていて、不穏な状況にある。
刑務所は、マナヒラとヒガシマナヒラとの国境の上に建っていた。

ヒガシマナヒラの独立により、行政機関が麻痺し、あまり重要ではない刑務所は取り残されてしまった。
普段は作業をしている囚人たちは暇になり、最初は、刑務所のどこに国境があるのかを机で示し、出身で2つの国に分けて立ち、相手を「外国人」と言ったり、国境の机を越えることで「海外旅行」などと言い合い楽しんでいた。

そんな中、新しい囚人が入って来る。
最初は何も起こらなかったのだが、「国」を意識することから、徐々に彼らの行動がズレ初めてくる。

そんなストーリー。

「国」の「プライド(誇り)」と言う口当たりのいい言葉と、なんとなく気持ちのどこかにあった卑屈な心や優越感など微妙な心理が、意識しないところで滲み出し、吐いた言葉が自分たちを縛り、「国」の溝が深まっていく。

刑務所の中だし、もともと仲の良かった彼らだったので、「国境」も最初は遊びの延長だったのだが、なんとなく「怖い」雰囲気のある刑務官の存在(リーダー的な)により、遊びが悪いほうへ、エスカレートしていく、つまり遊びではなくなっていくのだ。

架空の国の設定ということもあり、「国」に関する寓話になっている。

「国」なんていう「見えない壁」が、心の中に一度築かれてしまったときに、人はそれを簡単にぬぐい去ることができない、そんな寓話だ。

国を巡る、ギスギスした感情が、後戻りできなくなり、最後には爆発してしまう。
言わば、国境を巡る戦争が勃発する。

その後、刑務所は平穏を取り戻すのだが、ナカゲガミの不在や、一度深まった溝のシコリが彼らの心の中に残っている。

その「シコリ」こそが、とても重要なメッセージではないだろうか。
人の感情は、数学のように割り切れるものではなく、絶対にその底流にいつまでもシコリは流れていく。この舞台では「国」というテーマであったのだが、それが何であれ、一度入ったヒビは塞がったようでもヒビのままであるようにだ。
つまり、今まで気がつかなかった「心のヒビ」に気づいてしまったら、もうそのヒビからは目を離すことができなくなってしまう。そうした心理がラストに描かれていたのだろう。

タヌキとミタムラのように、仲が良かった2人にも、ミタムラが足が悪いということからの負い目があり、国という意識の登場により、ミタムラの中でそれが噴出してしまうことでできてしまった溝がある。
彼らのヒビはそうしたものだったのだが、やはりいったん気づいてしまい、白日の下に晒されてしまったら、後戻りできなくなってしまうのだ。戻ったようでもヒビは消えることがなく、彼らの心の中にも意識されていく。

タヌキが考案したイメージの遊びは、実はミタムラのことを思ってのものだった、ということをミタムラは初めて知ったのだが、それでも溝はすぐに埋まらない。
ただ、なんとなくもとに戻る、と言うよりは、ヒビがあったことを理解し、認め合った上で、新たないい関係が築けていくのではないだろうか、と思わせるラストは救いだ。

さらに、シコリを残した「国」という概念だけでなく、人が集まると組織になり、組織があると、リーダーが出来ていくという過程が面白い。
「声の大きな者」がリーダーのようになっていくし、それに付き従うことで、「マカロニスパゲッティ」を作ってしまうというところも示唆に富んでいる。

あえて、そういう人を「マカロニスパゲッティ」というコチ地方の方言(ことわざ)にしたところが、うまいと思う。しかもそれを、例えば「独裁者」のように言い換えたりしないところも巧みだ。
この塩梅が全編に貫かれており、誰にでもありそうな、人の弱さとおかしさと哀しさを描けているのだと思う。

タヌキとミタムラを演じた、ヨーロッパ企画の面々(諏訪さん、中川さん)は、ヨーロッパ企画にもあるようなテイストと、普通の会話のうまさで、この舞台の中で、とてもいいドラマを育んでいたと思う。素晴らしいキャスティングだったと思う。
ケンザブローを演じた岡嶋さんも、徐々にイヤな感じが滲み出てくるあたりがうまいと思った。
作品ごとに別人のように見える水沼さんを含む、MONOのメンバーもあいかわらずいい味。土田英生さんも登場してたし。

スコットランドの民族衣装のような、珍妙な看守の制服は変な感じだったけど。
日韓演劇フェスティバル in Fukuoka

日韓演劇フェスティバル in Fukuoka

日本演出者協会 福岡ブロック

大博多ホール(福岡県)

2012/02/11 (土) ~ 2012/02/19 (日)公演終了

満足度

劇団ヌリエ『恋愛』
 昨年度の釜山演劇祭で最優秀賞を受賞した劇団だそうである。
 しかも無言劇だというのだから、どんなに斬新で面白い舞台になるかと期待もしようというものだ。
 ところが実際の舞台は学芸会を一歩も出ていない幼稚極まりない代物。これが最優秀なら釜山の演劇レベルは著しく低いと言わざるを得ないくらいに酷い出来だったのだ。
 福岡の場合もそうだが、一つの劇団が“腐って”いくのには様々な要因があるが、その最大の理由として、「よい舞台をろくに観ていない」 という点が挙げられる。恐らく劇団ヌリエの人々は、無言劇(パントマイムとは違う)をろくに観たことがないのだ。
 だからなぜ無言でなければならないのか、その理論が全く分かっていないのだ。
 これはもう、演技や演出がどうこうという以前の問題で、観客にしてみればとんだ詐欺に逢ったも同然である。今後も日韓演劇フェスティバルは続いていくのだろうが、運営側には事前のリサーチは充分にしてもらいたいと切に思う。

ネタバレBOX

 パントマイムが身体表現のみで演劇を成立させることを目的としているのに対して、無言劇は現実世界における無言の時間を切り取って、対話がなくとも成立する時空間を提示することにある。
 つまり、パントマイムにおける無言は演劇の「手段」だが、無言劇のそれは作品世界の中の「必然
」なのだ。マイムの場合は、観客はなぜ舞台上の人間が喋らないのか疑問に感じることはないが、無言劇においては「彼らはなぜ無言でいるのか」について想像を巡らせることになる。それが無言劇の「演劇的効果」だ。

 好意的に解釈すれば、劇団ヌリエは、パントマイムと無言劇の中を狙ったのかもしれないと考えられなくもない。しかしそう考えてみても、どうにも首を傾げざるを得なくなるのは、部分的に台詞を喋らせてしまっていることだ。しかかもたどたどしい日本語で。

 アフタートークで、日本語の台詞を喋らせた理由について、演出家は「無言では持たなかった」と正直過ぎることを答えていたが、ならば最初から普通に韓国語で通常の芝居をすればよかったではないかと腹立ちすら覚えてしまった。
 「優秀な学生はみんなソウルで学んで、釜山は演劇の指導者も少なかったが、最近は改善されつつある」ということであったが恐らくはまだまだ発展途上だというのが実情なのだろう。
 学生の発表会を見せられたようなものだが、演劇の事前情報や前評判はほとんど当てにならないというのが普通だから、これはもう、悪いものに当たって、食中毒でも起こしたのだと思って諦めるしかない。





ワンダース・インベーダー

ワンダース・インベーダー

ジャイアント・キリング

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2012/02/17 (金) ~ 2012/02/21 (火)公演終了

満足度★★★

楽しかった
笑えるやりとりを交えつつ、だれることなく楽しめました。
テーマなのかなというようなシリアス部分を台詞で説明していて、そこに消化しきれない青臭さを感じましたが、それも味なのかな。

熱の華

熱の華

セカイアジ

OFF OFFシアター(東京都)

2012/02/18 (土) ~ 2012/02/22 (水)公演終了

満足度★★★★

まさに「シュールな昼ドラ、不条理な火サス」
女性失踪事件が中心だが、事件そのものよりも各人物に重きを置いてドラマ性を盛り上げるスタイル。
また、キーアイテムとなるモノが劇中で語られる以外に持つ意味を妄想すると作品世界の奥行きがグッと拡がる感じ。
時制の表現方法や幻想シーンの照明も◎。

Spiral of Decay

Spiral of Decay

Aggressive Death Metal Band Super Star Seve Stars

アサヒ・アートスクエア(東京都)

2012/02/17 (金) ~ 2012/02/20 (月)公演終了

満足度★★★★★

最高でした!
初めて観に行ったのですが、想像していたような舞台ではなく、笑いあり涙ありのとにかく凄い舞台でした!皆様それぞれ役にピッタリはまっていて、まるで本当にそれを見ているかのようでした。とにかく素晴らしかったです!ありがとうございました!

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