【公演終了】ブスサーカス【感想まとめにリンクあります】 公演情報 タカハ劇団「【公演終了】ブスサーカス【感想まとめにリンクあります】」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    ブ・スパイラル
    わかりやすく不幸。わかりやすくブザマ。とても良質で、とてもネガティブなエンタメ作品。これを演じきる女優さん達がスゴイなぁ。

    ネタバレBOX

    ヤクザのヒロシと付き合ってる女達。彼女らはヒロシのために皆で力を合わせて大金を奪い、その際に警備員を二人殺している。今は組の手引きでどこぞの潰れた雀荘に隠れている。逃げてきてから今日で二週間。ヒロシへの連絡は、こちらからは取れず、向こうからの連絡待ちで皆落ち着かない。そんな中ヒロシとの連絡係のノリカが、他の女を出し抜いて皆を殺すんじゃないかと疑われ殺される。ノリカは雀荘内にいる誰かと携帯でやり取りをしていた事が発覚し、携帯にはヒロシからの「お前だけとうまくいきたい」というようなメールが残っていた。犯人探しの中、次々と殺されていく女達。

    誰かに認められたい、というこの悲哀は一体何だろう。10代の多感な頃に、容姿が個性的であるだけで劣等感を植え付けられた人は多いはずだ。そしてその劣等感をバネに出来る(例えばお笑い芸人としてコンプレックスを飯の種にして、せめてもの昇華が出来るなど)一部の人間は別として、圧倒的多数はその思いを一生背負うのだ。本作に出てくる登場人物達は皆わかりやすく不幸だ。ヤクザの男につかまるだけあって、ヒロシと出会う前から借金を背負ったり、水商売で働いていたりする。それはつまり、自分の劣等感を克服できないまま、負の連鎖で、悪い方、悪い方へと進んでいく、ブススパイラルなのだろう。略して、ブスパイラルか。どうして、フツウの人達のように、つまづいたらやり直しが効かないんだろう、ブスだからか、諦める、というブスパイラル。

    冒頭から強盗殺人して逃げ隠れてる所から始まる物語に、明るい未来なんてあるはずもない。でも一方で彼女達は、疑いながらもヒロシがやってくるのを待っているし、ヒロシが来たら皆で踊って迎えようと健気に練習を重ねるのだ。それは、ヒロシという、自分達の人生での最初で最後の救いなのだろう。


    当たり前に、自己肯定出来る人にはわかるまい。救われたくて、端から見たら常軌を逸して、安易に殺人を重ねてまで、やり直したいと願う気持ちを。そこまで追い詰められてしまう気持ちを。多くの人が当たり前に出来ることが、出来ない人がいるのだ。

    追い詰められた状況や、ネガティブすぎる発言や、死に様。そうした負の空気を、笑いを多用して見せるエンタメ作品だった。

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    2012/02/23 00:03

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