最新の観てきた!クチコミ一覧

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サド侯爵夫人

サド侯爵夫人

世田谷パブリックシアター

世田谷パブリックシアター(東京都)

2012/03/06 (火) ~ 2012/03/20 (火)公演終了

満足度★★★★

女の悪徳
三島文学は読んだことないけど世界観を垣間見れた気がする。言葉の洪水で疲れてしまった。休憩が2回入ったのは助かる。


皆、声が魅力的。衣装は会心の出来。

ネタバレBOX

サド侯爵夫人・ルネ(蒼井優)…飛んでるサド侯爵の帰りを待つ「貞淑」な女性なんだけど、確かにエロスな意味合いに聞こえる。てかルネもかなり飛んでる。蒼井優の笑顔がやばい。ラストの光のシーンとか。ただ、(一幕~三幕という時間経過に対して)年齢不詳な気がする。

モントルイユ夫人(白石加代子)…ルネとアンヌの母。一番真人間的。随分丸くなったが、一番タフな女だと思う。

アンヌ(美波)…ルネの妹。サドとの関係でルネに対抗心を燃やすこともあった。ルネからもアンヌからも好かれるサド侯爵ってどんな人物なのか。衣装がかわいい。

サン・フォン伯爵夫人(麻実れい)…容貌から発声まで、すごい存在感。一番美しいんじゃないかな。「悪徳」って言葉が輝いてみえた。

シミアーヌ男爵夫人(神野三鈴)…聖女、のちに修道女へ。序盤のサン・フォン夫人とのやりとりがかわいい。

モントルイユ夫人家政婦・シャルロット(町田マリー)…サン・フォン夫人の死へ愛情をみせる。燭台を操作する仕草がやはりかわいい。


「悪徳」とか「正義」とか相反するものが、位置が逆転するような一体となって溶け混むような、そんな印象。薄暗い照明の中、女性たちの口からこぼれる言葉に集中を強いられた。ラスト、修道女になろうとするルネを光が包み込むシーンが美しい。

とはいえ、彼女らの気持ちを理解するのはなかなか難しい。サドが魔物?といわれたりしてたけど、彼女らも十分魔物だと思う。
くろねこちゃんとベージュねこちゃん【ご来場ありがとうございました!!】

くろねこちゃんとベージュねこちゃん【ご来場ありがとうございました!!】

DULL-COLORED POP

アトリエ春風舎(東京都)

2012/03/14 (水) ~ 2012/04/08 (日)公演終了

満足度★★★★★

最初から最後まで、とにかく面白かった。
「客入れ→開演」の流れで、まずつかまれちゃったね・・・。
ひと時たりとも舞台から目を離せない、密度の濃い、隙のない100分間。

全体的には、ひとりひとりの人間の「得体のしれなさ」に、とんでもなく生々しいリアリティを感じる、そして「家族」「幸せ」という個別のことだけではなく、普遍的な人間のありかたについて強く問いかけてくる、そんな作品に感じた。

DULL-COLORED POPは前回公演『Caesiumberry Jam』しか観てないけど、スタイルの多彩さと、確実に客席に「刺して」くる感覚に、本格的に好きになってしまったかもしれない。
この作家の、この劇団の、ほかの作品ももっと観てみたくなった。

オレたちにゃ時間はない!

オレたちにゃ時間はない!

演劇部隊Chatter Gang

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2012/03/15 (木) ~ 2012/03/20 (火)公演終了

満足度★★★

いいですねぇ。
課長さんがいい味出していて楽しめました。幕末との表現方法も良かったです。

アイ・アム・アン・エイリアン

アイ・アム・アン・エイリアン

ユニークポイント

シアター711(東京都)

2012/03/13 (火) ~ 2012/03/18 (日)公演終了

満足度★★★★

エイリアン
エイリアン?とはありますが、『十二人の怒れる男』を思い出しました。役者さんが各々の役割をキッチリこなしていて楽しめました。

異性人/静かに殺したい【ご来場ありがとうございました!】

異性人/静かに殺したい【ご来場ありがとうございました!】

アガリスクエンターテイメント

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2012/03/08 (木) ~ 2012/03/12 (月)公演終了

満足度★★★★

良かったですよ
両作品に言えることなのですが、ドタバタ以上のバタバタ感、赤絨毯的な瞬発力だけの笑い、削げるであろう説明過多な部分と自分的には好きでは無い所は有るのですが、そんなのどうでもいいくらい全体として楽しめました。
やはり、それは物語として一本筋が通っている事とその話自体に推進力がある事、そして役者さんたちの熱演による所が大きいですね。話自体、演者自体が稚拙であったなら恐らく先にあげた所が鼻に付いて、ただただマイナスの積み重ねになるのでしょうが、今回はそれが気にならないくらい楽しかったです。

【耳のトンネル】満員御礼!ありがとうございました。

【耳のトンネル】満員御礼!ありがとうございました。

FUKAIPRODUCE羽衣

こまばアゴラ劇場(東京都)

2012/03/09 (金) ~ 2012/03/19 (月)公演終了

満足度★★★★

全人類ひっくるめて愛してくれる、劇薬のような音楽劇
 純で甘酸っぱい初恋から清濁合わせ持つ大人のアバンチュールまで、全人類ひっくるめて何が何でも愛してくれる妙ージカル。幕開けの場面から感動で涙が出てしまいました。劇団おなじみのあからさまな性描写は全体的にいつもより少なめで、私には見やすかったです。お友達も誘いやすいかも。
 
 「観てきた!」を書くために歌詞カードを読みなおすと、原始的で熱くてロマンティックな小空間へと、心身が一瞬のうちに戻りました。FUKAIPRODUCE羽衣を観る度にいつも思うのですが、糸井幸之介さんにはぜひアイドル歌手のための歌を作詞・作曲してもらいたいです。ジャニーズ事務所の若い男の子とか、AKB48の若い女の子とかに、きっとフィットすると思うんですっ!

ネタバレBOX

 上手奥のロフトに西田夏奈子さんが登場し、長い髪をブルン!と下から上へと振り上げるのが開幕の合図。それだけで心奪われました。そして下手のベッドの中から次々と成人男子が抜け出てきて、お乳をねだる歌「おはようからおやすみまですみからすみまで」を絶唱。母から生まれ、脈々とおっぱいを欲しがり続ける人類の歴史があらわされて、早くも涙腺決壊。
 幼児から少年になった息子(日髙啓介)はギターを手にしてミュージシャンを気どりますが、楽器入手もマイクのコードの処理も、全部お母さん(西田夏奈子)がお手伝い。子供はいつも母の無償の愛で支えられ、守られていると解釈しました。

 そして中学生になった息子とそのクラスメートたちはいわゆる思春期を迎えます。金子岳憲さんと鯉和鮎美さんの初体験シーンは、甘酸っぱくて照れくさくて、強烈に不格好で愛らしいです。キャラメルをほうばるとその美味しさに夢中になって他のことはすっかり忘れ、女の子に触れると泣きそうになるほどドギマギしちゃう金子君。おしとやかそうな素ぶりを見せておきながら、いざとなると好奇心の塊となってどんどん男の子をリードする鯉和さん。

 いきなりプロデューサーの深井順子さんが登場し、これまでの物語は自分の恋人(日髙啓介)の過去のエピソードだったとわかります。『耳のトンネル』という舞台自体が彼の人生のコンセプト・アルバムだという構成になり、劇中劇として妙ージカルが展開していきます。いわば“お約束”の深井順子ご本人登場シーンですが、今までにない艶っぽさというか、大人の落ちついた色気を感じて、深井さんにすっかり見とれてしまいました。かっこええわ~。

 成長して大学を中退してしまった息子(高橋義和)は、アルバイトで稼いだお金で海外へと一人旅に出かけます。“高橋名人(懐かしのファミコン名人)”の大冒険は青春時代の無鉄砲な情熱、知識と経験がないからこその闇雲な前向きさ、若さゆえの体力、弱さなどをそのままに肯定したパワフルなシーンで、やや内向きの回想から、外向きのファンタジーへと転換するのがダイナミック。

 帰国して成人になると、息子(たち)は異性を性行為の対象とした、恋の駆け引きをするようになります。男性はシルクハット型の大きな帽子にジャケットをはおり、「青年」から「男」になりました。ぱっと見はパジャマのような男性の衣裳ですが、首もとがレースだったりきれいな白い襟になっていたのは、上からジャケットを着た時に紳士に見える仕掛けなんですね。女性のふんわりとしたロングドレスからはお母さんの温かみが伝わり、紳士の隣りにぴったり合う淑女のイメージも兼ね備えています。

 道端で出会った美男美女(澤田慎司&幸田尚子)および他のカップルのラブホでの熱々のアバンチュールを、ノリノリの激しい歌と踊りで見せていく場面では、私も音楽にノって体を動かしたくなりました。あからさまな性描写は相変わらず苦手な私ですが、美男美女がカッコよすぎてしびれた!
 ラブホカップルはすぐに結婚し、次々と生まれる赤ん坊の誕生を喜んだのもつかの間、子育てに忙殺されて、お互いに浮気を繰り広げる新婚夫婦たち。相手を変えていくことで、無数の男女による肉体関係の無限ループの闇が深まっていきました。

 やがて人間たちは記憶の中の旋律を求め、劇団の過去作品で使われた楽曲がメドレー形式で歌われていきます。深井さんの恋人(日髙啓介)の過去の回想でありながら、同時に、劇団員が積み重ねてきた過去公演を振り返ることにもなり、演劇ならではの多重構造が刺激的。そして名曲ぞろいです。俳優が上手奥に置かれた巨大な耳の穴から出入りすることで、脳の中の深層意識への旅、身体の神秘の探究など、奥深い想像をふくらますことができました。

 自分のコンセプト・アルバムを演奏してきた自称ミュージシャン(日髙啓介)は、恋人(深井順子)を置いて一人旅に出ます。大学時代の一人旅と同じく、無邪気な子供みたいに心がはしゃいでいる様子。ところが宿屋の女将さん(伊藤昌子)との熱い一夜を経た翌日、山中で足をすべらせて転落してしまいます。誰にも見つけてもらえないであろう暗闇で一人、「おっぱい好きを卒業し、今はお尻の方が好き」というたわいない歌を作って歌う日髙さん。幼少期から全然成長していないことが露呈し(笑)、彼はそのまま死んでしまった・・・と匂わせて終幕。

 あっけない、みっともない最期でした。人生はほんのひとときの夢で、人間は誰でも死ぬまで子供のままなのでしょう。それを自分にも他人にも認めて、赦した時に、人間は大人になっているのではないかしら。糸井さんは立派な大人の男性だと思いました。
荒街旅人‐コウガイリョジン‐

荒街旅人‐コウガイリョジン‐

劇団五〇鬼

北池袋 新生館シアター(東京都)

2012/03/09 (金) ~ 2012/03/13 (火)公演終了

満足度★★★★★

東日本大震災から1年
3.11の東日本大震災からちょうど1年。今だからこそ観るにふさわしい作品でした。自分たちが育った(育てられた)劇場に対する愛、演劇への愛、仲間たちへの愛、そして日本人として国を愛する想い。その国民の想いを踏みにじろうとしている社会への憤り。いろんな想いが詰まった作品だったと思う。

繰り返される”残像たち”の姿が何故かとても愛おしく感じられた。

特に劇場の床を塗るという件で、あとほんのわずかで塗り終わる筈なのに、どうしても塗る事が出来ない。劇場との別れを受け入れたくないみんなの想いが見事に表現されていたと思う。

掏摸―スリ―

掏摸―スリ―

サイバー∴サイコロジック

OFF OFFシアター(東京都)

2012/03/14 (水) ~ 2012/03/18 (日)公演終了

満足度★★★★

みごたえあり!
午後9時5分、大事な場面のところで緊急地震速報が客席に鳴り響き、地震があったが、役者さんたちはまったく気づいていなかった様子。終演後すぐに都内の震度と鉄道の運転状況を客に伝えた対応は大変よかった。原作を読んでいないので、色々気になる点はあったが、終始緊張感のある非常におもしろい芝居。気になる点はネタバレにて。

ネタバレBOX

首相の誘拐は結局なんだったの?盗んだ封筒は何?木崎は何者?続くってことかな~?話が中途半端で終わってしまったようで、なんだか物足りない。室内のシーンが多いとはいえ、このような緊迫感のある話でずっと舞台の真ん中にベッドが横たわってるのは美しくない!
囁く夜と飴玉のいくつか

囁く夜と飴玉のいくつか

スミカ

百想(re:tail別館)(東京都)

2012/03/14 (水) ~ 2012/03/19 (月)公演終了

満足度★★★★

物語が場に息づく
シンプルだけれど、
とても豊かな演劇の空間だとおもう。

4つの物語それぞれが
役者達に誘い出されて
場に息づくような感じ。

物語にシリアスな重さは感じないのですが、
時間がビビッドで
光に晒されて見えるものだけではなく
闇の狭間に浮かび上がる感覚があって
浸潤されました。

ネタバレBOX

ひとつのベット、
下手側に古びた小さな木の椅子、
窓のそとからの街頭の光....

役者達から紡がれるものを
素のままで受け取ることが出来る舞台との距離。

4つの物語それぞれが、
ワンシーンでのシチュエーションのスケッチなのですが、
役者の豊かなお芝居に導かれるように、
滲み、あるいはあふれ出し、
時には垣間見えるものがあって。
そして夜の「百想」の空間には
そのとりどりに置かれたもののありようをとどめる
物語の居場所があるというか、、
観る側が対峙し、
受け取れる空気があるのです。

壁際の客席に座っているだけで
ひとつずつの作品からやってくる印象を
肌触りとともに
とても瑞々しく、と受け取ることができました。

終演後に伺うと
この場所、
演劇公演を行うのはこれが最後になるかもしれないとのこと。
最後のストーリーにに紡がれたものには
この場所への
つくり手の想いを感じることができて。

急な階段を降りながら
観る側にも、
この場所への想いが広がったことでした。


絢爛とか爛漫とか

絢爛とか爛漫とか

演劇企画CRANQ

ザ・ポケット(東京都)

2012/01/31 (火) ~ 2012/02/05 (日)公演終了

友情ですね。
時代背景や言葉、全て興味をもっていましたのでギリギリ観る事が出来て良かったです。

関口愛美のポロリ伝説

関口愛美のポロリ伝説

関口愛美

シアターD(東京都)

2012/03/10 (土) ~ 2012/03/10 (土)公演終了

満足度★★★★

総じて満足度大
謳い文句の通り様々な「ポロリ」に纏わる一人芝居6編。
内容的には「そのテもあったか!」だったり落とし方が絶妙(1編目「HIKIKOMORI」、5編目「ピンクのプライド」など)だったりだし、演技的には若き後妻(而してその実体は…)・戦隊ヒロイン・タレントなどの演じ分け(衣装も含む)も良いし、総じて満足度大。

ジョルジュの木

ジョルジュの木

劇団 現代古典主義

北沢タウンホール(北沢区民会館)(東京都)

2012/03/14 (水) ~ 2012/03/15 (木)公演終了

満足度

!!
どんなものか?「同時進行劇」には興味があったが・・・・。それ以前の問題あり。自分の観劇史上で初の「途中退場」!!こりゃ、ないわ。

くろねこちゃんとベージュねこちゃん【ご来場ありがとうございました!!】

くろねこちゃんとベージュねこちゃん【ご来場ありがとうございました!!】

DULL-COLORED POP

アトリエ春風舎(東京都)

2012/03/14 (水) ~ 2012/04/08 (日)公演終了

満足度★★★★★

ウワーッ!
そう来たか、ニャン、ニャン。

ネタバレBOX

カメラを取り上げられ、タバコをやめさせられた夫が、随分と優しいことを遺言に書いているなー、大人だなーと思いました。

そうしたら、勧進帳だって!ウワーッ、のけ反りました!!

もっとも、現代の勧進帳は白紙ではありません。長男がパソコンで打ったものでした。そして、一千万円のシナリオとは。

元々の遺言は、長女を溺愛していた夫ですから妻と長男には冷たい内容だったのでしょう。それを母親を喜ばせるためと称して、妹を丸め込み不動産を母親に相続させるという内容に改ざんしました。

演劇界に進んだ長男は嘘と真実、虚構で生きるようなことを学生時代から実践していました。しかも、役者ではなく作家の道を志していました。すごい伏線です。

と思っていたら…、長男の嫁の言葉、まだこれからよ、まずは長男名義で建物を建て替えて、土地はじっくり待つ的な言葉に、それまで嫁はおどおどしていて、しかもお芝居全体が家族のバラバラ感を描いたようなストーリーだったので、一気に遺産相続のドロドロの真っただ中に叩き込まれ、おとなしそうな嫁のもう一つ上を行くシナリオライター振りに驚かされました。

思い出シーンで、猫ちゃんがタバコやめなさいって言っていたから可愛いんで、妻がネチネチ言ってたら、見ていても嫌になっていただろうなと思いました。

何かブツブツ言っている母親、そんなこともあったな、あるなと思いました。
『希望』 -チェ・スンフン×日本人俳優-

『希望』 -チェ・スンフン×日本人俳優-

劇団チャンパ

d-倉庫(東京都)

2012/03/14 (水) ~ 2012/03/15 (木)公演終了

満足度★★

醜・悲・痛
まるで役者の身体が試されているような舞台。
「コトバ」のない詩。

っていう感じで、いいな、と思ったところもあったのだが…。

ネタバレBOX

冒頭から台詞を廃した舞台に、「これはイイかも」と思ったのだが、どうも響いてこない。

何故だろうと思ったら、静から激していくパターンが、それこそワンパターンに繰り返されるからではないかと思った。
ホワイトノイズのようなものが全編に聞こえ、それが轟音になっていくのはちょっとシビれるのだが、それにほぼ合わせて舞台の上では、激してくる。

静にあって、動作を制御している役者が、徐々に気持ちを高まらせていくというのは、やっている役者にはもの凄い快感があるのではないかと思った。

それがあまりにもワンパターンでどうも不感症になってきてしまうようだ。
演出家から与えられた課題を気持ち良くこなしている感じというか。

確かに当パンに書いてあったことで作り上げられた舞台であることは、理解できた。

しかし、やっぱり何か響いてこないのだ。

混乱しつつ、さらに乱れていく舞台の上と、淡々と進む役者の身体の対比は美しくなっていくと思ったのだが、やっぱり私には響かない。
そうなると、なんとなく舞台の上にあるものが、「意味ありげ」にしか見えてこなくなってくる。

女性の叫び、特に悲痛な音に聞こえるものが多く、それが、どのシーンであっても不快にしか聞こえなかったのも残念。

「醜」や「悲」や「痛」の中に、「美」もあるはずだと思ったのだが。そんな感じにまで突き抜けて行かないもどかしさ。
もちろん、粉のシーンはよかったけれど…。
これも、役者には快感なんだろうなぁ、という他人事の感想しかわかなかったのだが。

「希望」って何だっんだろう。

「何か」が、「どうにかなると」もの凄い舞台になるような気がする。
とは言え。その「何か」が何なのか、「どうにかなる」とは何なのかは、皆目見当がつかないのだ。

こういう言い方が適切がどうかはわからないが、観る人を選ぶ舞台であったのではないだろうか。で、私は選ばれなかったということで。

平たく言ってしまえば、2時間という時間の長さはそれほど感じなかったものの、特に後半は苦痛でしかなかったという体験を久々にした舞台であった。

音響の感じはよかった。

それと地震のほうが、舞台の上よりもインパクトと、気持ちの揺さぶった、ということもあったのかも。
掏摸―スリ―

掏摸―スリ―

サイバー∴サイコロジック

OFF OFFシアター(東京都)

2012/03/14 (水) ~ 2012/03/18 (日)公演終了

満足度★★★★★

素晴らしい
ストーリーは文句なし。セットの使い方が絶妙。過不足のない役者の素晴らしい表現力。悪、邪、望んでいないのに転がり落ちて行く悲しさの中に、時折垣間見るおかしさの演出。サイバーサイコロジックを初めて観ましたがとても魅力的。観て損はない。強いて言うなら、上演作品としてもう少しだけコンパクトに構成できたなら言うことはない。

【耳のトンネル】満員御礼!ありがとうございました。

【耳のトンネル】満員御礼!ありがとうございました。

FUKAIPRODUCE羽衣

こまばアゴラ劇場(東京都)

2012/03/09 (金) ~ 2012/03/19 (月)公演終了

満足度★★★

カネゴンに爆笑
とてもカワイイ作品です。
当パンにがっつり系と書いてあるけど、脳みそを揺さぶられる妙な感じがなくて残念。
意味不明な面白さが影を潜め分かりやすい面白さになっていました。
笑いも多く、初羽衣でも楽しめると思います。

遅めに会場に入ったら通されたのが桟敷席でお尻が痛くて参りました。
数センチ目の前で妙ージカルが行われるため足も伸ばせず痛みとの戦い。
これがなければもっと集中して見られたのにな。
通路の補助席にしてもらえばよかった。

前作が☆4、今作は☆3。
「甘え子ちゃん太郎」は衝撃的で理解できないまま終わり、何度も何度も思い返し、今でも思い出すくらい。
半年経ち☆2.5から☆4まで成長しました。
この作品も伸びしろがあると感じました。

ネタバレBOX

男子中学生の思春期がメイン?
金子さんの初体験のソワソワ感が面白すぎて大爆笑!美声も最高!

高橋名人の冒険は声が聞き取りにくかった。汗っかきのくだりは笑った。
澤田くんとクロムの幸田さん素敵でした。あの歌、歌詞カードにないんですね。
ラブホチャペルの場面は長かったなー。すべてのカップルやるまで終わらないと知っていても長かった。その後の浮気のシーンも長かった。あのあたりで見ているほうも疲れが出てきました。

昌子!昌子良かったよ!おかみ!昌子!次回も期待してます。
深井さんはキュートだなー。頬を撫でてくれてありがとうございます!

耳かきのシーンで地震が。会場から緊急地震速報が何台か。
電源切っていても鳴るもの?電源オートオンになるの?鳴っても出て行かないんだし電源から切って欲しいです。
『希望』 -チェ・スンフン×日本人俳優-

『希望』 -チェ・スンフン×日本人俳優-

劇団チャンパ

d-倉庫(東京都)

2012/03/14 (水) ~ 2012/03/15 (木)公演終了

満足度★★★★★

キクなあ。。。
会話のない舞台。

抽象的な身体表現&メタファにあふれていて、最初は、面食らったが・・・。

開演30分くらい経った頃。

舞台上で繰り広げられているものに対して、地獄絵図のように重苦しく、鳥獣戯画のように軽妙に「人間そのもの」を表現してるなあ、と感じ始めてから、グイグイ引き込まれた!

舞台上で繰り広げられる世界に、ズッポリズブズブにひたりきった!

そこからの90分。あっという間に感じた。この手の舞台では、初めてかも。


この舞台は、韓国の演出家チェ・スンフンさんが、「説明」に書いてあるようなテーマを、役者さんに投げかけて、それぞれのシーンを作り上げていく・・・という作り方をしたらしい。

それらのシーン。

これは、観る人それぞれで、感じ方もおもしろさも違ってくるんだろうなあ。

「正解」を探るんじゃなくて、身近な人々や街の風景を想起したら・・・とってもリアルになった。 ま、ボク自身が持ち合わせている「業」や「欲望」「生き様」そのものなのかもしれないけどさ・・・「自分のことはさて置いて」のほうが、気がラク(笑)

チェさんの用意する「正解」はあるんだろうけども・・・それぞれが、何かを感じ取って、人生の色付けに使えたら、それでイイと思った。

アフタートークでは、謙遜の言葉が連発した役者さんたち・・・。

その身体表現、すばらしかったです!おもしろかったです!脳に身体に・・・ビンビンきました!!!

ネタバレBOX

身体に養生テープで書物を張り付ける男。でも、内面に浸透してないあたり・・・ボクみたいだね。

いろんなものを欲しがる女。でも、欲しいものが多すぎて、挙句の果て、なにが欲しいのかもわからなくなって、結局なにも残らない・・・ボクはそうじゃない、と思いたい(笑)

欲望のまま生きる女。結果、訳わからない状況に・・・そんな時もあるよね。

禁欲的で有りたいのに、袋小路に迷い込む男・・・そんなもんだよね。


作られた知識・情報から逃れようとしても・・・それらは結局、誰かが引き継いでしまう。同じことの繰り返し。

純粋無垢で、希望にあふれた赤ん坊だって、育てるのは今を生きる人間だから。

芸術や宗教だって、所詮は気休め。

ま、芸術とは?宗教とは?なんてどうでも良くて、「人生、寝て食ってヤッて、チョン」で充分って思いもあるにはあるんだけど。


それはそうと・・・


トイレからキャベツが出てきちゃった時は・・・唸ったなあ(笑)


あと、白塗り(←親しい人の骨粉を塗ったくってる状況?)って、凄いわ。

この『希望』を観て、初めて白塗りが放つ力強さに酔いしれた。
春風亭小朝 独演会 2012

春風亭小朝 独演会 2012

シアターネットプロジェクト

エルガーラホール 大ホール(福岡県)

2012/03/10 (土) ~ 2012/03/10 (土)公演終了

満足度★★★

若様が行く、いつまでも
 小朝師匠、毎度、「巧いなあ」と思ってはいるのだ。
 『中村仲蔵』で、定九郎を見事に演じきった仲蔵が、師匠の伝九郎を前にして涙を流し、頭を垂れて礼を言う時の仕草など、本物の仲蔵もこうであったかと思えるほどに真に迫って見える。
 でもこれは噺家の「芸」と言うよりは役者の「演技力」だよな、と思ってしまうのだ。だから「演技」が臭くなると、途端に馬脚を現してしまう。「芸」は一つの様式であり「型」であるから、ちょっとやそっとのことでは揺るがない。声と間と所作と、一度確立されたなら、何度聞いても笑える。
 けれども、演技が臭いまま固まってしまうと、一度目は笑えても、二度目はもう持たないのだ。飽きると言うか、鬱陶しくなる。小朝が「巧いまま上達せずにここに至った」原因は、そのあたりにあるのではなかろうか。
 誉めてるんだか貶してるんだかよく分からない文章になってしまったが、実際、未だに小朝師匠は「下町の若様」のままなのである。
 それでも独演会があると聞けばついつい足を運んでしまうのは、『三匹が斬る!』でファンになっちゃったからなんだよね。多分、来年も観に行くんだろうなあ。

ネタバレBOX

『牛ほめ』春風亭ぴっかり
 去年の11月に「春風亭ぽっぽ」から「ぴっかり」に名前が変わって、二ツ目昇進。でも出囃子は『鳩ぽっぽ』のまま(笑)。
 「ぽっぽ」時代に『悋気の独楽』を聞いたことがあるが、その時はかなりつっかえつっかえで、たどたどしかった。それが今回は格段に進歩、すっきりして流暢な語り口になっている。マクラで、「お客さんから『名前覚えたよ! ぽっかりちゃん!』、どうやら混ざっちゃったようで」と、ここからお客さんをすんなり掴んでいる。
 本編は特に大きな改作は無し。親父から、伯父の佐兵衛の家普請と飼い牛を誉めてくるように言付かった与太郎が、言い間違えまくる噺。「天角地眼~」のあたりは現代人には通じにくいので端折る噺家も少なくないが、これもキッチリ演った。ただ、言い間違いを親父のところと伯父さんのところで二度繰り返したのはちょっとくどかった。あれはぴっかりちゃん、間違えちゃったのか、だめ押しした方が面白いと考えたのか。
 口跡はよくなっているが、声質が可愛らしいのがかえって損をしている面もある。与太郎は馬鹿というよりコドモだし、親父さんたちはもう一つ大人の貫禄がない。語りに淀みがないと言っても、実はまだちょっと“焦り”が目に付く。
 でも“伸びしろ“はあるようなので、真を打てるようになってほしい。女に噺家は無理だとは昔からの言い習わしだけれども、そんなことはないと思っている。なんたってぴっかりちゃんは可愛いのだ(実はトシを聞くとビックリするけどね)。


『宗論』春風亭小朝
 一応、古典落語ではあるが、大正期に改作されたものだとか。
 元は浄土真宗の親父と、日蓮宗の息子との宗教論争だったものが、息子の宗教がキリスト教に変えられたのだそうな。
 キリスト教にかぶれた息子が、旧弊な親父を何とか折伏しようとするのだが、喋れば喋るほど、キリスト教が胡散臭く聞こえてきてしまう。
 小ネタの集積で笑わせる噺だが、得てして一つ一つのネタの出来に差が生じてしまうものだ。
 「マリア様ハァ、処女にしテ、イエス・キリストをお産みになりマシタ」「処女で妊娠!? 馬鹿言うな。それじゃあ白百合女学院は妊婦だらけだ」「オーウ、それは間違いデース。白百合ニ、処女ハ、スクナーイ」
 このあたりは予測が付いても面白いが、「この中ニィ、私を裏切る者がいマース。テーブルの上ノ、飲み物ヲ見れば分かりマース。これハァ、葡萄酒だァ、これハァ、水だァ、これハァ、“湯”ダァ」。
 と、ダジャレで落とすのはいただけない。それでも客席には結構な笑いが起きていたのだが、「よくお分かりにならない? ではもう一度」と、二度も繰り返したのは、予めの段取り通り演ったのだろう。ここは充分受けてたのだから、一度だけでだめ押しをする必要はなかった。ちゃんと客席を観てないのがバレバレである。
 サゲが「汝、右の頬を殴られたラ、左の頬を差し出セ。眼には、眼ヲ、歯には、歯ヲ!」と言って親父さんを殴ろうとするのだが、いささか乱暴で、気持ちがスッキリしない。
 息子の口調をことさら大仰に、「外国人訛り」にして演じさせたことも、かえって息子のキャラクターからリアリティを奪い、笑わせることに失敗しているように思える。この噺はもっと面白くできるはずだ。


『ぼやき酒屋』春風亭小朝
 桂三枝作の新作落語だが、居酒屋に来た酔っ払いの客が、愚痴やら冗談やらを言いまくるという設定だけを借りて、中身は殆ど春風亭一門でよってたかってこしらえたもののようだ。三枝の落語はどれも「どうだ巧いだろう」という押しつけがましさが鼻につくので、小朝の方が格段に面白い。
 スイカを見ながら、客が「スイカってのは家族団欒で食うもんだ。去年はみんなで食べたわよねえ、そう、去年はまだ、そこにお爺ちゃんがいたのよね。今年は…・・・お婆ちゃん?」と、ここでお婆ちゃんのいる方に目を向ける仕草がまた巧い。急に高座が面積を広げて、そこに家族と、少し離れたところに、本当にお婆ちゃんが座ってスイカを食っている姿が見えるような気がしてくる。
 客が主人に「あんた、好きな芸能人とかいる?」と聞くと「恥ずかしながら、くーちゃんで」「誰?」「倖田來未」「ああ、中国の」「……お客さん、それ、江沢民」。ただのダジャレではあるが、これなど私は結構気に入っている。ただ、客席はそんなに受けてはいなかった。恐らく、倖田來未も江沢民も、よく知らない客が多いのだ。
 実際、時事ネタでも、受けがいいものと悪いものとの差が激しい。「最近、誰か噺家で死んだやつがいたよねえ……圓歌か」というのは全くと言っていいほど笑いが起きなかった(圓歌は死んでないよ。念のため)。年寄りでももう、あれだけ一世を風靡した「山のあなあな」の圓歌と言うか歌奴を知らないのだ。談志もそれ誰?って客も少なくないんじゃないか。
 反面、「世襲ってのはよくありませんね。政治家も噺家も」とか「奥さんの選び方には気をつけなきゃいけませんよ」という「楽屋落ち」と言うか「身内落ち」というか「元身内落ち」は大いに受けているのである。どうも客層の情報収集の範囲がよく分からない。
 サゲは「お客さんのご商売は?」「俺? 向こうで居酒屋ヤッてんだ」という、これは三枝の原作通りの落ちなのだが、やはり笑いは今ひとつ。それはそうだろう。ここでアッと意外な結末で驚かせようというのなら、ぼやく客に、店の主人はもっと困っていなければならない。そうでないと、その客自身も、散々悪態を吐く客に困らせられた経験があるのだという、落ちのウラが、客にピンと来なくなるのだ。
 この噺では、主人は聞き手一方で影が薄い。改作の余地はまだまだあるはずである。

〈仲入り〉

『水戸大神楽』柳貴家雪之介
 皿回し芸である。包丁三本で回したのはなかなか凄かったが、どうも先日「クーザ」を見た直後だと、そんなにびっくりできない。もちろん雪之介三の責任ではないのだが。


『中村仲蔵』春風亭小朝
 トリは大ネタ。円生、彦六、両師匠も得意としていた、歌舞伎の中村仲蔵の史実に基づく逸話の落語化である。独演会でも、地方によっては軽いネタ二席くらいで終わらせることもあるようなので、一応、小朝師匠、福岡のお客さんを大事にしてくれてはいるようである。
 名題(歌舞伎における真打ち)になった仲蔵だったが、立作者の金井三笑の嫌がらせを受けて、次の『忠臣蔵』では端役の斧定九郎役しか振られなかった。ところが逆境を芸を磨くチャンスと気持ちを切り替えた仲蔵は、それまでにない黒羽二重の出で立ちに、悪逆かつ凄惨な定九郎を演じて、大向こうを唸らせる。師匠の中村伝九郎(勝十郎)に誉められて涙を流したところ、伝九郎から「おいおい、芝居はまだ初日だぜ。楽にはしない」と言われてサゲとなる。
 このサゲは噺家によって随分変わるようだが、小朝のサゲは、その前の愁嘆場が妻のおきしとのやりとり、それから伝九郎との一席と、時間を充分にとって聞かせてくれるので、最後にさらりと流すのが粋で気持ちがいい。

 仲蔵は若僧だから小朝の“身の丈”に合っていていいのだが、師匠の伝九郎になるともういけない。貫禄がないのが頗る惜しい。
 ここまで「流されて」きた以上は、小朝が今後、「進歩」なんてするのかどうか、たいして期待はできない。それでも何となく見捨てられないような、放置するとまた厄介な出来事に巻き込まれるんじゃないかというような、余計な心配をしてしまうのである。
アイ・アム・アン・エイリアン

アイ・アム・アン・エイリアン

ユニークポイント

シアター711(東京都)

2012/03/13 (火) ~ 2012/03/18 (日)公演終了

満足度★★★★

そうだ、議論しよう
全く同じ条件でドナーからの移植を待つ患者二人。
どちらに移植するべきかを決める審査会に、市民から無作為に選ばれた7人が集まった。
ひとりを助ければ、もう一方はやがて死ぬだろう。
患者は二人とも幼い子どもである・・・。
普通の人がこんな重い選択を迫られるとき、人は何を基準に判断するのか。
そもそも人が決定出来ることなのか?

ストーリーは私たち市民の目線からブレることなく、
観客がちゃんとついて来ていることを確認するように慎重に進む。
その結果とても現実的で説得力のある舞台になった。





ネタバレBOX

舞台いっぱいにドーナツを半分にしたようなテーブルが半円を描いて置かれている。
テーブルは印象的なムラのある赤い天板、背もたれと脚が黒い椅子が10脚。
部屋の隅にはお茶のペットボトルと紙コップが用意されている。
そこへ患者2人との面会を終えたメンバー7人が入って来る。
ゆっくりと客席が暗くなった後は、照明も変化せず、暗転も無く役者はほぼ出ずっぱり。
舞台と同時進行の1時間半、私たちも一緒に辛い選択を迫られるのだ。

メンバー7人のキャラが明確でとても面白い。
ライターの男が移植の基礎を説明するのも、難しい話がすんなり入ってわかりやすい。判断のよりどころとなるのはやはり正確な情報だと思わせる。
とにかくさっさと終えて帰りたい気持ち満々の男は、全員一致にしようと説得を試みる。
その強引なやり方に強く反発する硬派な女は、議論しない結論は必ず後悔すると言う。
「母親なら絶対…」と感情的に主張する若い母親は次第にエスカレートしていく。
様々な背景が固有の価値観を生み、皆その価値観にしたがって
この難題に立ち向かおうとするのだが、その価値観がぶつかり合ってまとまらない。

やがてメンバーの中に疑問がわいてくる。
「A、 Bでなく患者の名前を知りたい」
「生活保護を受けている母親が美容院へ行くなんて…」
「ドナーの子どもはどうして脳死状態になったのか」
「ドナーの親はどうして移植に同意したのか」
「虐待していたのではないか」
「そもそも移植してまで生きるべきなのか」
この辺りの疑問の出し方が観る側を置いてきぼりにせず丁寧だと思う。

そしてついに決断が下され、全員一致で1人の患者が選ばれた。
解放され、ほっとして場が緩んだとたん、突然移植は中止になる。
誰も予期していなかった理由で・・・。

劇中、「犠牲者の数で悲劇が量られ、寄付金の額で善意が量られる」
という意味の台詞があった。
私たちは「物語」が大好きで、「物語」を欲している、という台詞も。
悲劇のドナー、移植を受けて喜ぶ親子、
死んだ子どもの臓器が生き続けることで納得するドナーの親・・・。
みんな自分を納得させるための「物語」でしかない。
マスコミもそうだ。
裁判員制度はもちろん、震災を強く意識させるこの台詞にどきりとさせられる。

キーワードや根幹にかかわる言葉が出てくると
トイピアノのような無機質な音が響く。
これがとても効果的で舞台にピシッと緊張が走る。
言葉を失うような、はっとするような場面が一瞬静止画になる。

ライター役のナギケイスケさんの静かな、でも誠実でリアルなたたずまいがとてもよかった。進行役の男を演じた古市裕貴さん、最後にメンバー全員にお礼を言う時の一瞬こみ上げた顔が忘れられない。どピンクのパンツを穿いたオネエ役の小林英樹さん、ひょっとして地なのかと思った。

「議論しましょう」という洪明花さんの切羽詰まった声がまだ聴こえる。
「ドナーは、いかなる瞬間でも移植の中止を申し出ることが出来る」という事実。
脳死とは生きているのか、死んでいるのか・・・。
回復の可能性はないが温かい人間とは何か・・・。
深く考えさせられた。





















アイ・アム・アン・エイリアン

アイ・アム・アン・エイリアン

ユニークポイント

シアター711(東京都)

2012/03/13 (火) ~ 2012/03/18 (日)公演終了

満足度★★★★

エイリアン・・・・・
他の方たちも書いているが、いい作品だけど、やはり二番煎じの感が否めない。
何でもいいから早く終わらせたい、という人が出てくるのも定番ですね。命の重さの感じ方は人によって違う。それこそ、他人の命ならほとんど重さを感じない人から、自分の子供と同じくらい感情移入してしまう人まで。こういう人々の互いに話が通じないジレンマが、議論の末一つの結論を生むまでに変化する過程は見応えありました。話が通じない内は全く相手がエイリアンに見えてしまいますね。
美術、印象的でした。

ネタバレBOX

議論は子供を持つ母親の、レシピエントとその家族に対する同情と涙でだんだんまとまりを見せていきますが、ここら辺はいかにも日本的で残念。もう少し理詰めの議論や臓器移植の現実や舞台裏を見せて欲しかったです。

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