ジョギリ婦人
芝居流通センターデス電所
「劇」小劇場(東京都)
2012/03/21 (水) ~ 2012/04/01 (日)公演終了
満足度★★★★
歌が耳に残る
面白かったです.ダンスよりも歌が多くて聴かせました.
話の内容はパパとママの心のありようを後から色々考えてみるとおもしろかった。パパといとこがもっとどろどろしてもよかったのかなとか、ママのもっと長ゼリフが聞きたいとか、いろいろ思いました.
ドレスもよかったです.悪役さんがもっと恐くてもいいかな。
HERO
劇団伍季風 ~monsoon~
小劇場 楽園(東京都)
2012/03/23 (金) ~ 2012/03/25 (日)公演終了
満足度★★
戰隊ヒーロー
前説の感じがどうなのでしょうか?.あそこで期待感が少し薄れたような気がする。何か前の公演であったのかもしれませんが,缶を乱暴にポイっていうところもちょっと・・・・あれっ物語の伏せんかなと思ったら全然関係なくて少し驚きました.
出だしの感じはよかったし、ぐだぐだ感が出ていてよかったと思う。
悪の社長のくだりは楽しかった.役者さんのきゃらかな。
貧乏、とか脱線とか アイドルとかいろいろなキーワードがもう少し
強調?されるとよかったかも。
もう少しハッピーな感じがにじみ出る雰囲気を期待してました。
ジョギリ婦人
芝居流通センターデス電所
「劇」小劇場(東京都)
2012/03/21 (水) ~ 2012/04/01 (日)公演終了
満足度★★★
ミュージカル風ですが
地が多く出るシーンがいつもより多くて、見る人を選びますね。
最後の電話シーンとかは期待通りの展開。
歌で言い合ったり、妙なカオルのツッコミで笑える分マイルドになってます。
個人的には好きですが、いつもなら月日が経過して迫る狂気なんですけど
一晩の出来ごとだったから、ちょっと物足りない
やっおぱり「ダークヒーローモノ」の第一話「誕生」って作品でしたね。
NMSグレイテストヒッツ
石原正一ショー
こまばアゴラ劇場(東京都)
2012/03/21 (水) ~ 2012/04/01 (日)公演終了
満足度★★★★
アイ・アム・ウェイティング・フォー・ザ・マン
「ゴドーを待ちながら」は観たことない。「見にこなきゃ良かった?」「いいところまできてる」「一人でいるときは大抵空しい」ってのが何故か印象深い。
今回の企画のチラシ(過去チラシの総集)は、どのデザインも素敵だ。
ネタバレBOX
正直話はよくわからない(不条理劇って馴染みないし)。でも舞台の魅力はあった。変な客いじりってわけでない舞台演出と、役者の魅力みたいな一生懸命さみたいな…。
上の3つは七味まゆ味の言葉。アドリブっぽい(実際はしらないけど)言葉と雰囲気になんか求心力を感じた。まあ七味だけでなく石原もそうだけど。良い舞台だったよ。
敢闘賞は、舞台に上げられた若い女性と60くらいの男性。
NMSグレイテストヒッツ
石原正一ショー
こまばアゴラ劇場(東京都)
2012/03/21 (水) ~ 2012/04/01 (日)公演終了
満足度★★★★
紛れて誰を言え
永津真奈はめちゃ美人。
ネタバレBOX
笑いと苦さの中に美醜への哲学と夫婦の愛情とか織り交ぜての55分。
美人に整形した妻の永津とそれに反抗してブサイクに整形した夫の石原。美人な妻にへんなヤキモチを焼く石原に対して、美人になって中身も変わったと言う永津。整形して態度が変わった夫に半ば失望した妻というかたちであるが、舞台は不思議なあたたかさに包まれる。多分、石原のそれでも妻を愛しているという根幹があるからか。
話は進んで、お腹の大きくなった永津。仕事を探す毎日の石原が、とある喫茶店で妻のヌード絵画を目にして気を揉んでまたひと悶着。
さらに時間が進んで、子供の一周忌?。生後ほどなく他界した息子・鈴音(レイン)の死は整形が原因じゃないか、と弱気になる妻。それを慰める石原。生まれる前、遺伝子まで整形できたら(整形前のような容貌の子が生まれるんじゃないかという危惧)といっていた永津も、見た目じゃなく元気に生まれてほしかったんだと後悔するも、とぼけた石原とともに雨の中お寺へ向かう…。
人間見た目っていう、暗黙の常識のような暗黙のタブーのようなものを、夫婦愛でオブラートに包んだ作品。永津の美しさと石原の無骨な愛情のブレンドがうまい。笑えるし若干ニガい、なんか好きな雰囲気。
にわか雨、ときたま雨宿り
公益社団法人日本劇団協議会
恵比寿・エコー劇場(東京都)
2012/03/23 (金) ~ 2012/03/27 (火)公演終了
満足度★★★
そうですか、
ま、成るように成りましたねとしか言いようがありませんでした。
ネタバレBOX
夫婦のことは夫婦にしか分からんと言われると、それ以上何も言えなくなってしまいます。私の想像や妄想を、そんなの無駄だと言わんばかりに一刀両断で切り捨てられた気分になりました。長男(画家の一番目の妻の子)の弁護士夫婦も、色々あったけど成るように成って良かったねとしか言いようがありません。
弁護士の妻はまあ開けっぴろげな性格でした。欲求不満の表れ、夫への不満の表れでしょうか、それにしても義父が危篤という状況下でやるかーと思いました。
弁護士の妻は身体の相性は最高だと言っていましたが、それが夫に伝わっていなかったのが不思議でなりませんでした。夫も若い頃はガンガン行く方だったのに、いつからいじけて、妻の外出を指をくわえて見るようになってしまったのか、そして離婚まで考えていたなんて何とも不思議でした。そんなことを考えていると、また一刀両断で切り捨てられるかもしれませんが。
ロリコン先生も、その通りでしたけど、親代わりの人の前で処女性云々などと言うかー。あーキモイというか、それが目的で先生になったなんてこと、人前では隠しますって。
長女(画家の二番目の妻の子で、全体の三番目)も、夫の遊び癖に辟易していたのは分かりますが、あんな生活力のないニヤけた弟子と逃げるかー。
ま、夫婦には本音による会話が、同じ母親同士の長男と次男にも本音による会話が必要だということだとは思いますが、ちょっと作りすぎの感がありました。
三月十一日の夜のはなし / わたしのお父さん
趣向
STスポット(神奈川県)
2012/03/23 (金) ~ 2012/03/24 (土)公演終了
無題338(12-081)
11:00の回(曇り)。10:40受付開場。受付前、テーブルに照明の飾りつけ。3/20(火)に「ご多分にもれず、ふつう」で来ているので、遠い横浜としては珍しい。今回は舞台を横に使ってのお芝居。上手奥(廊下側)に音響、照明。最前列はクッション、うしろは椅子席。舞台には木工細工のような...木片をいくつか集めたオブジェ(?)。薄地のカーテンが数本。ひとつだけはっきりと「椅子」だとわかります。ピアノ曲が静かにながれ、オノマリコさんご自身が場内の案内、右胸に花。
11:04前説、1作目~11:35、2作目~12:19終演。ひとつめ、一人芝居(3.11)。ふたつめ3人。「解体されゆく」「The Girls next door」とオノマさん関連も含め3作目。
(いままでオノさん...だと思っていました)
ネタバレBOX
1作目をみながら、全体の色調が木片に合わせているのかなと思う。照明もやや落とし気味。役者さんの衣裳も同系色で落ち着いたもの。「3.11」を採りあげたお芝居をどうみるのか、なかなか難しい。地震発生前~発生~同日夜の様子。
年が明けてから「3.11」を扱った作品を何作かみました。千切れとんだ感情の「断片、カケラ」、1年後の「今」…、絶れたこと、喪ったこと…いろいろあり、触れればまだカラダがココロが切れそう、それらが砂浜の一粒一粒のように小さく丸くカタチを変えるには長い月日が必要だと思い、本作は、ひとりの女性の体験、当日、直接(地震/津波)の被害がなかった多くの方が経験したこととあまり違いはないのだろうと思い、それをみてどうする…と思い、日常に入りかけてきたものは去ってしまったのか、恐ろしいものは自然なのか、科学なのか、生そのものなのか…と思い。
観劇中、そんな距離感がつきまとい、お芝居の中ではなく、別の所に「何か」を探そうとする自分を感じ続けるのでした。
2作目、3人… 母、姉、弟、(でてこないが父)、こちらもよくわからないのでした、聖地チベット展(上野 )に行ったのは2年前、ヤン・リーピンの「クラナゾ」を観たのは昨年、鳥葬についてはインドに関する本を読んだ時、少し書いてあった、ダライ・ラマのことはニュースで見聞きするくらい…それだけ。高層ビルのオフィス(が示すもの)とチベット(が示すもの)との間にあるもの、姉と家族との間にあるもの、姉のなかにあるもの、何かを見落としているのだろうか、でも、劇的な展開ではなく、特別なものでもないと思う、自分のなか、どの引き出しに収めるのか…少し、待つ。
ちいさな話というのは、どんどん「私」的になるか、「距離」が増すものなのだろうか、そうだとすると接点が見つからないことがあるのではないかと考える。
「男の子じゃないでしょう」(首を振る)…「男の子なの。そう思って」というセリフがあり、首を振ったのは、①はい、男の子ではなく、女の子である、でも、これからは思ってほしい②いいえ、「私は」女の子ではなく、男の子である。後に続くセリフと合わせると②のように思うけど、あっているのだろうか…GID…でいいのだろうか、なんだかずっとわからないままのような気がする。
横浜、70階はランドマークタワーだろうと
コルチャック先生と子どもたち
劇団ひまわり 福岡アクターズスクール
キャナルシティ劇場(福岡県)
2012/03/11 (日) ~ 2012/03/11 (日)公演終了
満足度★★
虚実皮膜のなり損ね
ヤヌシュ・コルチャックの伝記物語として観た場合、史実に極めて忠実で、クライマックスを除けば、一つ一つのエピソードには殆ど嘘がない。それは即ち制作者たちの誠実さの表れである。ユダヤ人差別と戦い、子供たちと運命を共にしたコルチャックの気高い事跡を、その優しい心映えと教育の理念を、正しく後世に伝えようとする意図はもちろん賞賛に値する。
しかし、その誠実さが時として仇になることを、制作者たちは自覚すべきではなかったか。それは、偉人の伝記物語が陥りやすい陥穽である。特に差別や迫害、戦争を描く場合に起こしやすい失敗である。物語がすべて「偉い人の他人事」「過去の一事件で現在とは無関係」と観客に受け止められてしまいかねない、という「罠」だ。
早い話が、哀しみと感動をもって、コルチャックに感情移入した人々が、自らが時と場合においては「迫害する立場」に廻ることもあるかもしれないと想像するだろうか、ということだ。「被害者」に共感する者は、自分が「加害者」になる可能性を、無意識のうちに否定するのである。
その意味で、コルチャックの事跡を讃えるだけのこの舞台は、演劇としては稚拙と言わざるを得ないのである。
ネタバレBOX
昨年、『焼肉ドラゴン』を観た時にも感じたことだが、「被害者」は極めて人間性豊かに、それこそ長所も短所も、喜怒哀楽全ての感情含めて、「生きている」人物造形がなされているのに、なぜ「加害者」の方は、ステロタイプというかむしろ“書き割り”の、読本にでも出てくるような分かりやすい「悪人」として描かれるのだろうか、ということが疑問だった。
C・P・テイラー作の舞台『GOOD(善き人)』の主人公・ハールダーは、ごく普通の教師だったが、ナチスの高官に取り立てられ、やがて迫害者にさせられていく。「善人」であることは一切免罪符にならない、それこそが戦争のもたらす「恐怖」である。この戯曲は、ナチス党員が全て残虐非道の、絵に描いたような悪人であったはずはないことを示唆している。絶滅収容所に子供たちを送り込んだ党員の全てが、嬉々としてその作業に従事していたはずはないのだ。
そこを描かなければ、現在の我々と、過去の悲劇は決して直結しては来ない。『コルチャック先生と子どもたち』では、ナチスとコルチャックとの板挟みにあって自殺するユダヤ人評議会委員長チェルニアクフの自殺というエピソードによって、図らずも同胞を死に追いやらざるを得なかった苦悩が描かれている部分もあるが、その程度では「あれは未来の自分かもしれない」とまでは観客は思わない。結局、物語は、「昔々、ナチスに虐殺されたユダヤ人の子供たちのために、一緒に死んであげたコルチャックという偉い先生がいました」で終わってしまうのである。
1995年から再演に次ぐ再演を重ねているのに、なぜ演出はナチス兵たちに、ほんのわずかでも苦悩の表情を浮かばせる、程度のことすらやらなかったのだろうか。コルチャックの人物造詣が深く、その演技もまた誠実さと慈愛を充分に表現した過ぎらしいものであっただけに、「善と悪」の単純な二項対立で歴史が描かれることには危惧を感じるのである。
ナチスの将校たち、S・Sを、「人間」として描かなければ生きてこないのがクライマックスシーンだ。トレブリンカ収容所への移送当日(即ちそれは死を意味する)、S・Sたちに強制され、着の身着のまま連行されようとする子供たち。バイオリン好きの少年アブラーシャは、バイオリンを取り上げられて壊される。子供たちは怒り、S・Sに迫る。そして歌を歌う。静かにかつ哀しげに合唱しながら、S・Sを真っ直ぐに見据えて、一歩、また一歩と、迫っていくのだ。
おそらく、これは史実ではない。資料の多くが、子供たちは抵抗せず、静かに連行されていったとある。しかしこのフィクションこそがこの舞台における最も演劇的な部分であり、迫害されたユダヤ人たちの「魂の怒り」を表現した部分なのだ。
S・Sは気圧されて後ずさる。しかしそれだけだ。周囲の他のS・Sたちも全く動こうとはしない。コルチャックとステファ夫人が子供たちをなだめて、ようやくみなは冷静になる。このS・Sたちの「無反応」に何の意味があるのだろうかと首を傾げざるを得なかった。もちろん台本にはS・Sたちの「動き」は何も書かれていなかったであろう。私もここでS・Sたちが怒って子供たちを打擲するとは思わない。彼らに過剰な反応をさせることは、それこそ「悪」を型通りに描くことになってしまう。
しかし、ここでは「動かないことの意味」を役者が、あるいは演出が考えた上で演出したのだろうか、と疑問に思わざるを得ないのだ。子供たちの歌声を聞いて、S・Sたちの心に去来するものは何もなかったのだろうか。助けたいとまでは思わなくとも、自分たちがまさしく今、この子供たちを死地に追いやろうとしている事実に心動かされはしなかったろうか。本当に彼らはユダヤ人を劣等民族で撲滅すべきだと洗脳されていたのだろうか。
「全人類にとっての悲劇」という視点の喪失が、このS・Sたちの「無反応」を産んでしまったように思えてならないのである。
このクライマックスシーンにはもう一つの「伏線」があるのだが、これも演劇的効果を充分に挙げているとは言いがたいものだった。
バイオリンを壊されたアブラーシャ少年は、移送の二週間ちょっと前に、ある舞台の公演に主演している。コルチャックが企画した演劇会で、タイトルは『郵便局』。インドのタゴールの代表戯曲で、反体制的ということでナチスからは上演の禁止が通達されていたものだ。
この公演に、ステファ夫人は反対する。それは、これが、子どもが病気で死んでいく物語だからだ。「どうして子供たちに、死を連想させるお芝居を?」とステファ夫人はコルチャックを問い詰める。彼は答える。「子どもたちが少しでも安らかに死を受け入れられるためだ」と。確実に訪れる理不尽な死に対しても尊厳を失わないで欲しいというコルチャックの思い。それは確実にラストの合唱シーンの伏線になっている。
だとすれば、この『郵便局』の上演シーン、劇中劇のシーンは必要不可欠であるはずだ。アブラーシャが、病で死んでいく主人公の少年を演じることが、ラストでの彼の哀しみに直結する構成になってこそ、あのラストは「生きる」ものになったはずだ。
なぜ、その上演シーンがなかったかは憶測するしかない。著作権の問題は無関係である。タゴールの戯曲は全て版権が切れている。戯曲内に取り込むことに問題はない。単に上映時間の問題か、子供たちに二重の演技を強いる手間を省いたか、そんなところではないだろうか。
しかし我々観客は、単に「コルチャック先生の事跡」を説明して欲しいだけではないのである。それならば資料を読めばいいだけのことだ。我々は「演劇」が観たいのだ。資料だけでは読み取れない、そこに生きる人々の、声と体を、涙と笑いを、魂の叫びを観たいのだ。
全体的には、コルチャックの晩年のみに時間軸を絞って、エピソードを羅列したようなダイジェスト版にしなかったことは評価できる。
しかし、その割には構成が雑で人物も整理が行き届いておらず、散漫な印象を受けること(たとえば、途中に何度か登場する「狂人」などは物語に殆ど関わらないので、暗示的な意味以上のものを持たない)、舞台が殆ど「解説的」で、演劇的な魅力に乏しいこと、主役以外の大人の役者の力不足が目立つことなどは今回の公演での大きな欠点であった。
劇団ひまわりを代表する舞台であり、これまでの公演回数も下記の通り群を抜いている。本国ポーランドの演出を受けたこともあるのだが、それらの「経験」は、継承されていないのだろうか。以前の公演は未見なので、それは私には何とも判断が付かないことである。
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『コルチャック先生』
1995年 脚本/いずみ凛 演出/太刀川敬一 (東京/大阪)
1997年 脚本/いずみ凛 演出/太刀川敬一 (東京/大阪)
2001年 脚本/ヤツェク・ポピュエル 演出/アレクサンデル・ファビシャック (東京/神戸/新潟/名古屋)
出演/加藤剛 榛名由梨 日向薫 伊崎充則 他
『コルチャック先生と未来の子どもたち』
2005年 脚本/ヤツェク・ポピェル(訳/吉野好子) 演出監修/アレクサンデル・ファビシャック 演出/木嶋茂雄 (ポーランド/福岡/名古屋/大阪/熊本/札幌)
2008年 脚本/ヤツェク・ポピェル(訳/吉野好子) 演出監修/アレクサンデル・ファビシャック 演出/木嶋茂雄 (札幌/福岡/熊本/名古屋)
出演/中島透 太田みよ 他
『コルチャック先生と子どもたち』(創立60周年記念公演)
2011年 脚本/いずみ凜 演出/山下晃彦(東京・さいたま) 清水友陽(札幌) 玄海椿(福岡・熊本) 木嶋茂雄(大阪) 大嶽隆司(名古屋)
出演/青山伊津美 日向薫(東京・さいたま) 納谷真大 小林なるみ(札幌) 中島透 日向薫(福岡・熊本) 蟷螂襲 松村郁(大阪) 山本健史 菅由紀子(名古屋)
悪霊/島
一徳会/鎌ヶ谷アルトギルド
石井園仮設野外劇場(千葉県)
2012/03/23 (金) ~ 2012/03/24 (土)公演終了
満足度★★★★★
まとめるには時間がかかる
土曜日見に行った。
面白かった。といっても、ほかの劇団とは面白さを異にしている。
シンプルに削がれた台詞の重厚感、喋る肉体。
野外は非常に寒かったが、過酷な状況で見るということも
ひとつのエンターテイメントになりうるのかもしれないと考えさせられた。
ネタバレBOX
悪霊島の話自体を知らなかったので、
シンプルな言葉の糸だけから物語をすべて掬い取るのはちょっと難しい。
それでも芝居の奥に脈打つ生の鼓動を感じて、釘付けになった。
あそこまで言葉の裏にうねるものを感じさせる劇団はそうそうない。
まさに圧巻。
寒さの中、裸体をさらした役者魂にも敬服。
すばらしい舞台でした。
まだ頭で内容がぐるぐるしている。
話も感想もまとまりきらないが、終わってから思い出しても、
役者の言葉が迫ってくるようだ。また見たい。
岡田あがさ リーディング公演「INTIMACY」【閉幕しました】
オーストラ・マコンドー
CCAAアートプラザ ランプ坂ギャラリー ランプ3(四ツ谷)(東京都)
2012/03/24 (土) ~ 2012/03/25 (日)公演終了
満足度★★★★
役者の力をもろに受けとめる
両作品とも、
リーディングという態などいつか踏み越えて、
其々の役者の表現のビジョンが
強くしなやかなパワーに込められやってきました。
5回公演の初回、
見応え充分の2作品でした。
ネタバレBOX
・岡田あがさ「INTIMACY」
物語の概要が見えるまでの時間があって、
でも、役者が醸し出す雰囲気に目を奪われ、
それを時間と感じることがない。
語られ始める物語に引き込まれ、
場の空気と、役者の切っ先をもった視線と、
いくつかの見えない部分の存在のカオスに
閉じ込められる。
コートが具象するジェンダーの切り替えで
物語は複層の視座を持ち広がっていきます。
女優が演じる♂には、演技が秀逸であればあるほど
削ぎ落されていく生臭さがあって、
だからこそ、男には混沌として観ることができない
ある種の感覚がクリアに浮かび上がってくる。
一方、ジェンダーが変わると
描かれる女性の肌触りや想いや息遣いが
観客にも、そして多分役者にも
使いなれた感覚の色で奥行きを組み上げ、
劣情と愛情の混濁をそのままの感触に流し込み
場の空気を染め上げ
観る側を浸潤していく・・・。
終演時には
熱さが冷たい感覚の中に焼きつくような、
クールで、シニカルで、どこかあさはかで、
にもかかわらず心を芯を揺さぶるような風景が
残像のように残り、
役者が部屋を出ていく残像とともに
とてもゆっくりと霧散していきました。
初回だったこともあるのでしょうが、
前半の男性を演じる部分は、
役者としてのテンションをいっぱいに作られた印象。
そこには多分功罪があって、
観る側を物語に閉じ込める力としては、
これ以上のものはないはずなのですが、
一方で、役者のたくさんの引き出しには
さらに、別のニュアンスを創り出す力が
納められているようにも感じました。
もちろん、今回の表現のテイストも
作品としてのひとつの完成形であるのだと思う。
でも、一方でこの役者と作品が持つ可能性のなかに
べつの豊かさが潜んでいるようにも思い
なにかどきどきしてしまいました。
・佐藤みゆき「くちづけ、プレリーディング」
4月にオーストラマコンドーが上演する舞台の
プレリーディング用に作られた作品とのこと。
これがねぇ、本当に楽しいのですよ。
役者の雰囲気に
童話たちの箍がゆっくりと外れて、
やがてドミノが倒れ広がっていくように、
物語が膨らんでいく。
語り口にどこか落語のようなテイストがあって、
不思議に舞台上で上下がきられ、
物語がしなやかに連鎖していく。
マッチやリアルなケーキやお茶を使った
物語のビジュアル化からは
幼稚園の先生が子供に語り聞かせる物語のようなテイストと
幼女の中で一人遊びをする物語の感触が混在するなか、
作品に込められた作り手や演じてのウィットが
溢れだしてくる。
マッチ売りの少女とシンデレラと白雪姫の関係性が
妙に納得できてしまう上に、
そこにグリム兄弟か・・!と突っ込みたくなるような可笑しさまでが
とてもしなやかにやってくる。
でも、これは公演のプレリーディング、
その想像力に歯止めが利かなくなった
クリアなカオスの先にある、
ビターなテイストとともに口を開けた
本編への入口までしたたかに導かれて・・・。
これまでも、表現力のバリエーションには
何度も驚かされた役者さんなのですが、
これまでとは、また別の作品に対する踏み込みがあって、
しかもそれが、しっかりと果実を実らせていて、驚愕。
この役者だからこそ醸しだしえたであろう、
作品の色合いに心を捉われてしまいました。
まあ、作品の肌触りからすると
岡田あがさがシェフとしてメインディッシュを作り
佐藤みゆきがパティシエとしてドルチェを供する・・・
というような感じでしょうか。
メインディッシュにはボリューム感がしっかりとあり
なおかつドルチェをそのテイストに惹かれ別腹でたっぷり楽しめて。
会場も、この公演にはとても似合っていて
とても素敵な試みを楽しませていただけたと思います。
HOTEL CALL AT “杉並演劇大賞”受賞
メガバックスコレクション
阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)
2012/03/16 (金) ~ 2012/03/25 (日)公演終了
満足度★★★★★
さすが
再演だけあって、完成度も高く見応え充分で面白かったです。絵画を思わせるようなセットに、それぞれ魅力的なキャストとラストの展開も良かったです。
R-古書店
Project*Rocca
遊空間がざびぃ(東京都)
2012/03/22 (木) ~ 2012/03/27 (火)公演終了
満足度★★★★
期待通り
観客として見ながら、芝居の中に一緒に入り込んでいるような、不思議な感覚を、また味わうことができました。
役者の皆さんの熱演の感謝です。
ネタバレBOX
ちゃぶ台に座布団、縁台、アルバム等の小道具が、芝居にマッチしていました。
家族の絆、地域の絆、忘れかけている大切なモノを思い出させてくれました。
歌劇「死神」
横浜みなとみらいホール
横浜みなとみらいホール 小ホール(神奈川県)
2012/03/24 (土) ~ 2012/03/24 (土)公演終了
満足度★★
ブラックな喜歌劇
落語の『死神』をベースにしたオペラ作品で、わずかなセットと少人数の歌手と演奏家によるコンパクトな設えでの公演でした。
葬儀屋の男がセクシーな女の死神と出会い、死神の力を用いて医者として多くの人の命を救って金持ちになったものの、人を救った分だけ自分の寿命が短くなって死んでしまうという物語が際どい言葉を用いながらブラックユーモアとエロティシズムを散りばめて描かれていました。
音楽的には調性と無調性を行ったり来たりしつつ、ジャズやタンゴ、日本民謡的な旋律も時折聞こえてくる、バラエティに富むものでしたが、あまりメリハリがなく、後半は少し飽きを感じました。
演技が大袈裟だったり、アンサンブル役の合唱の人達が絶えず意味の感じられない稚拙な小芝居をしたりとうるさく感じられて、作品の魅力を失わせているように感じました。途中で映像が用いられ、有名人の写真が映し出されていましたが、表層的なウケ狙いにしか見えず、センスが感じられませんでした。視覚的にも物がゴチャゴチャしていて、美しさを感じませんでした。
むやみに説明的な要素で時間や空間を埋めようとせずに、余白を活かした演出をして欲しかったです。
ミクニヤナイハラプロジェクト vol.6『幸福オンザ道路』
ミクニヤナイハラプロジェクト
横浜赤レンガ倉庫1号館(神奈川県)
2012/03/22 (木) ~ 2012/03/24 (土)公演終了
満足度★★★★
セリフと運動量
洪水のように溢れ出す言葉とその情報量の多さ、そしてそこにハイスピードで行なわれる身体の動きの運動量の多さに観ている時には処理しきれないものもたくさんあるが、反芻して補完できなくもないです。正直台詞はあまり聞こえないがそれはそれでパンクだなって思って新鮮でした 。役者さんたちへの負荷は相当なものだろうが、やりきった役者さんの凄さというのも感じました。
ネタバレBOX
矢内原美邦さんとチェルフィッチュの岡田利規さんのアフタートークも面白かった。結構聞きたかったことを聞いてくれたおかげで作品についての解釈もできました。最初にこれはどんな作品なんですか?と質問した際には会場の人たちの意見を代弁してくださったと思いました。言葉についての話や運動量と台詞の話というのはとても興味深いものがあり。かなり勉強になりました。
あれ以上運動量を増やしたら、マシンガンのように放たれる台詞はどのようになるのだろうか?役者さんへの負荷は昨日の時点でも凄いと思ったが、矢内原美邦さんは動きと台詞のバランスと量に対して不満と言っていた。この期間中に負荷をあげた場合、聞かせたいとも言っていた言葉はどうなるのだろうかという疑問も生まれました。
勉強になりました。ありがとうございます。
オルフェゴッコ
双数姉妹
吉祥寺シアター(東京都)
2012/03/15 (木) ~ 2012/03/20 (火)公演終了
満足度★★★★
最後ということで
休止前の作品が最初で最後の観劇というのでなんだか申し訳ない気持ちもありましたが。とても面白かった。吉祥寺シアターの舞台を全て使い、そしてそれをイカした物語の展開が良かったです。自主性をなくす訓練みたいな場面でのやり取りや言葉の重ね方がとても丁寧かつ不条理に進んでいくのが素晴らしかった。実験的な作品であったがまたこの劇団の作品を見たいと思いました。
勉強になりました。ありがとうございます。
A MIDSUMMMER NIGHT'S DREAM
声を出すと気持ちいいの会
小劇場 楽園(東京都)
2012/03/15 (木) ~ 2012/03/18 (日)公演終了
満足度★★★
期待の大きさ
劇団の名前の通りに役者さんの声が凄く良かったです。そして作品の中での身体の使い方、ダンスの振り付けも作品に合っておりとても熱量があり気持ちよかった。しかし脚本の震災の部分が安易で中途半端な気がしてもったいなかったです。震災に関しての直接的な内容と夏の夜の夢が最後にあまり繋がらなかったことで中途半端というような感想を思ってしまったのかもしれません。でも期待の劇団であることは変わりないと思いますので頑張ってください。
勉強になりました。ありがとうございます。
ジョシ☆テキ
緊急女子会
シアターシャイン(東京都)
2012/03/15 (木) ~ 2012/03/17 (土)公演終了
満足度★★★
てへぺろって感じかと思いきや
てへぺろじゃなかった。女子って大変だよなーなんかそんな男子の一番興味があって知りたくない裏側を見れた舞台でした。いろんな女子が見られたのも面白いが、まともな女子は居ないのか!と少し恐くなってしまった。やはり舞台上でも女子のパワーというものは凄まじかった。心愛ちゃんに対する集団女子の雰囲気というのが悪意に満ちていて蔑む感じが何とも言えなかったです。なう子のブリブリっぷりはぶっ飛ばしたくなるような勢いで良かったです。シラカバちゃんもかわいさの中に過去を引きずっている抜け出せない感が人間臭かったです。
正直何人かで纏まっての大げさな動きが多いのが個人的にはとても苦手でしたが、最後の悪意に満ちたダンスは怖かったです。
勉強になりました。ありがとうございます。
かきつばた-伝える想い-
劇団いまそかり。
新宿ゴールデン街劇場(東京都)
2012/03/13 (火) ~ 2012/03/14 (水)公演終了
満足度★★★
在原業平とは?
狭い劇場ということもあり、シンプルなセットで構成されていました。個人的には在原業平についてもう少し取り扱ってほしかったです。もう少し上演時間が長くなっていいのでそこを強く出して欲しかったです。そうすれば他の役とももう少し関係性というのが明確になったのかなとも思いました。荒削りな役者さんも多かったですが、配役がとても良かったと思います。
ネタバレBOX
外で作品をやってお客さんを沢山集めてしまう劇団いまそかり。さんに嫉妬してしまう僕も居ます・・・でもこの見せつけられた差を活力にして僕も負けないように頑張ります!!
勉強になりました。ありがとうございます。
blue film
桃園会
ザ・スズナリ(東京都)
2012/03/07 (水) ~ 2012/03/11 (日)公演終了
満足度★★★★
深読みしたくなる
多分観客が思っている以上に様々な事柄が舞台上にあったように思います。それを見終わってからこのシーンはどうだったとかあのシーンはって考えをめぐらすことも出来ると思う。僕はそういう舞台は好きです。多分あの作品にはもっと深い意味がありそうな気がします。
様々な事柄が入り乱れるというのはそれだけそこには世界があって、それがどこで繋がっているのかと推測したくなる。幼い子供時代と喪服を着た人、理科の先生などそして駅長、この繋がりを推測したくなる。思い出すということ忘れないということ、そして童話的な部分。何から何まで深読みすることができると思います。
この作品を観ると阪神淡路大震災と東日本大震災の違いというのもなぜだか浮かび上がってくるのは不思議です。
勉強になりました。ありがとうございます。
Manhattan96 Revue Show!!!
Manhattan96
BAR COREDO(東京都)
2012/02/24 (金) ~ 2012/02/26 (日)公演終了
満足度★★★
前半が
個人的には前半の女性キャスト中心のダンスや寺山修司の方が好きでした。曾根崎心中は少し携帯というツールに依存しすぎた演出になっていたなと思いました。そこがあまり曾根崎心中のストーリーと上手くマッチしなかったのが少し残念でした。ギター演奏やピアノなどもありそちらも楽しむことができました。
勉強になりました。ありがとうございます。