送別会
バイヲチックリサス
ギャラリーLE DECO(東京都)
2012/10/03 (水) ~ 2012/10/07 (日)公演終了
芸術祭十月大歌舞伎
松竹
新橋演舞場(東京都)
2012/10/01 (月) ~ 2012/10/25 (木)公演終了
満足度★★★
【昼の部】観劇
国性爺合戦は初見、中国ネタはご時世か。
ネタバレBOX
『国性爺合戦(こくせんやかっせん)』 韃靼王に滅ぼされた国に縁のある老一官が妻と子和藤内と伴に中国に渡り、国の再興に尽力する話。
三人が獅子ヶ城に辿り着き、城の主甘輝を味方につけ韃靼王を倒す決意を表明するまでが今回の演目。
老一官の中国時代に生まれた娘錦祥女が甘輝の妻になっていて、それが理由で韃靼王打倒に与したと言われるのが嫌で錦祥女を殺そうとする甘輝の発想が凄く、とは言っても殺し切れず、結局は錦祥女が夫の意を汲んで自殺し、老一官の妻も追随。ド派手な衣装に着替えた和藤内と甘輝は韃靼王打倒に向けて立ち上がるのでした。
和藤内の刀が重いので中国兵が一人では持ち切れず、大勢の兵隊が大騒ぎするシーンで、「挙げちゃうぜえ、ワイルドだろう」とスギちゃんネタがありました。スギちゃん健在!
『勧進帳』 團十郎の弁慶、幸四郎の富樫。夜の部は、團十郎と幸四郎が入れ替わります。
小さなエール
643ノゲッツー
OFF OFFシアター(東京都)
2012/10/02 (火) ~ 2012/10/07 (日)公演終了
満足度★★★★
小さなエール
人間関係がドロドロしたドメスティックなものが嫌いな人は、この芝居は向かないかもしれない。けれども、この芝居は人間関係のドメスティックなドロドロ部分を描く為に創られた作品ではない。ドロドロした部分を描くのは、その先の「小さなエール」がおくられる光景を描くためなのだ。
コンセプトの「俳優が舞台上で照明操作をすること」が、人間の野獣性を描いた部分への歯止めとなり抑制された枠として機能することによって、ストーリーのバランスを保っている。
まるでボクシングの野獣性がゴングという時間の制御によって興行のバランスを取っているように。
出来た作品なのだが、もっと先を観てみたくもなる。
ライ・トゥ・ミー【終演致しました。】
エビス駅前バープロデュース
エビス駅前バー(東京都)
2012/09/28 (金) ~ 2012/10/13 (土)公演終了
満足度★★★★★
2回目
21時の回は有難い。
話がわかっているものの、やっぱりドキドキしながら観れた。
ちなみにパンフの絵みたいにハトは実際には出てきませんが、
2回目は、ハトが飛び立つような爽快感を感じました。
台本とDVDほしい。
補記:3回目いって、台本とDVD調達。
ねぼすけさん
バジリコFバジオ
サンモールスタジオ(東京都)
2012/09/27 (木) ~ 2012/10/02 (火)公演終了
満足度★★★★
観た
ほのぼのした昭和の家族の物語かと思ったが、ファンタジーSFだった。
笑い中心の前半から徐々に謎が深まる展開が良かった。
役者たちが個性的で魅力的だった。
ただ、劇団の特徴の人形が全然出てこなくて物足りなかった。
鳥山ふさ子とベネディクトたち
ナカゴー
Brick-one(東京都)
2012/09/30 (日) ~ 2012/09/30 (日)公演終了
満足度★★★★
台風接近中
だったが、何とか会場へ。
ほぼ満席で台風なんて関係なし。
人気の高さを再認識。
内容もナコゴーらしさ全開で、期待通りの面白さ。
京都の演劇ファンを唸らせてきて欲しい!
ことほぐ
intro
こまばアゴラ劇場(東京都)
2012/09/29 (土) ~ 2012/10/01 (月)公演終了
満足度★★★★
考えさせられる
幸せなはずの妊婦達が、実は様々な問題を抱えていて、未来への不安で一杯だったが、現実を受け止めて成長していく物語。
子供から大人への成長を、北海道の2部構成の盆踊りを使って巧みに表現したところが素晴らしい。
音楽劇「ファンファーレ」
音楽劇「ファンファーレ」
シアタートラム(東京都)
2012/09/28 (金) ~ 2012/10/14 (日)公演終了
満足度★★★★
楽しかった
不思議な世界観のファンタジー。
主人公ファーレの成長を描く分かりやすいストーリーで、歌や踊りやパフォーマンスのバランスが良くて、誰もが楽しめるエンターテイメント作品。
ミュージカルっぽくなくて、まさに音楽劇なところが良い。
ねぼすけさん
バジリコFバジオ
サンモールスタジオ(東京都)
2012/09/27 (木) ~ 2012/10/02 (火)公演終了
満足度★★★★★
ラストとその展開には唖然とした
と言うか、うあぁぁ、となった。
いや、うえぇぇぇ、かも。
いやいや、うへぇぇ、かも。
いやいやいや……。
ネタバレBOX
バジリコFバジオってもの凄く好き。
まずこれを言っておこう。
で、今回は、バジリコ感がなかなか盛り上がってこないんだなこれが。
昭和の30年代ぐらいのホームドラマ、サザエさん的なやつが展開していく。
「ねぼすけさん」なんていうののほーんとしたタイトルも付いていたりする。
もちろん、いつもの、少しダークでPOPで、キッチュなバジリコがそこここに姿を見せるのだが、そこへドンドンと行くことはない。
いつもならば、変な兆しが現れたと思ったら、一気にその世界に、有無を言わさず、そして観客を置いてけぼりにしても構わないという形相で、バジリコFバジオの世界に疾走していくのだ。
しかし、今回は、なんとなく奇妙なのだ。
どうも背筋が寒いというか、楽しいはずのホームドラマの後ろに、ゾクゾクするような恐ろしさがあるようなのだが、それはなかなか姿を現さない。
人形も、いつもほど活躍しない。
いや、猫も催眠術師も、いつもの「顔」をしていて、いいのだが、それはそっちのけで、サザエさん的、欺瞞に満ちたホームドラマ(笑)に落とす陰のほうに意識を奪われる。
そして、どうにも救いがない話。
明るいはずだったのに絶望的な物語。
バジリコFバジオのいつものキッチュさからは極北にあるようなイメージさえする。
しかし、これは「今」なのだ。
今上演しなくてはならなかった作品ではなかったのか、と思う。
今いるところは、「まやかし」である、そんなことに気がついている「今」。
あえて、「フクシマ以降」と言ってしまうけど、我々が日常演じている「ホームドラマ」は、砂のように脆くも崩れやすい世界でもあるということだ。
この舞台の当パンの冒頭に書いてあるように、戯曲を書き始めたのが昨年(2011年)の3月から4月というのだから、ソレが影を落とさないわけがない。
地球が、環境が、なんていう規模の話ではなくても、ついいろいろと「疑って」しまう「世界」が、あらゆる場所にあった。そして今もある。それが一番色濃く出て来るのが、生活の最小単位でもある「家」である。「家」にこそ、「疑い」が潜み、影を投げかける。
「これやばいよ」っていう状態なのかもしれなく、意識の底には常にそれがちらつきつつも、「今」はいつまでも続くと勝手に思っている。
しかし、やはり「やばかった」のだ。そんな物語。
めめ男が静かに真相を語る姿に背筋が寒くなり、ラストの人型の砂に戦慄する。
現実が終わってしまったのではなく、本当の現実の姿を突き付けられたようだったからかもしれない。
SFは、未来へ続く現代の警鐘というだけではなく、現代そのものを映す鏡としても機能する。
電気屋のヨーゼフKという名前(カフカの『審判』の主人公と同じ名前)が示すように、きな子たちは「監視」されていて、そして事実を知って、その運命に逆らおうしても翻ることはない。
カフカの『審判』は不条理だったが、今、現実が「不条理」なのである。そんな世界に、私たちはいる。いろいろ不条理なことが多すぎる。
バジリコFバジオをして、こんな世界を描かせてしまったのが「現実」だ。
笑いながら見ていた、ホームドラマのエンディングはこれであったのだ。
前説がいつもの2人(?)で楽しく行われていただけに、この展開はインパクトがありすぎた。
「ねぼすけさん」という呑気なタイトルも重くなっていったし。
ただし、ちゃー坊にまつわる、催眠術師や泥棒などのエピソードは、いつものバジリコFバジオであった。しかし、ちゃー坊が体験した、隣に住む友だちのエピソードは、やはり背中が寒くなるようなものだったけど。
痛くても酷くても「笑い」にするのがバジリコFバジオ流だと思っていたのだが、ここは攻めてきたのだと受け取った。
役者は、きな子を演じた浅野千鶴さんのけなげさがとてもよかった。
バジリコFバジオのメンバーは、脇を押さえるような役回りで、今回の作品のトーンに合わせて、弾けすぎないようにしているようだった。
ちゃー坊役の佐々木千恵さんもいい感じだった。バジリコFバジオが描く、いつもの子どもという感じに救われた。
バジリコFバジオは、生まれ変わろうとしているのかどうかはわからないが、バジリコFバジオ・ワールドからは大きく外れてはないものの、振り幅の大きな作品であったことは確かだ。
いつもの(ひっとしたら「今までの」)バジリコFバジオもとても好きだが、今回のこれも好きだ。
まあ、毎回、救いがないのもアレなので、こういうトーンであったとしても、「お手柔らかに」というところだけれども。
ピーター・グライムズ
新国立劇場
新国立劇場 オペラ劇場(東京都)
2012/10/02 (火) ~ 2012/10/14 (日)公演終了
満足度★★★★★
コミュニティーからの疎外
新国立劇場オペラ部門の2012/2013シーズンのオープニングを飾る作品ですが、それにふさわしい華やかさや娯楽性が全くない、陰鬱な後味が残る作品で、話題性ではなく内容で勝負しようとする劇場の意気込みを感じました。
音楽的にも演劇的にも満足出来る、素晴らしいプロダクションでした。
美術がシンプルで抽象的であること以外は設定の読み替えや派手な効果もないオーソドックスな演出で、救いようのなさが強烈に伝わって来て、最後まで緊張感が途切れることがなく、観た後の疲労感が凄かったです。
イギリスの漁村で、ある漁師が若い徒弟を事故で死なせてしまったことから良からぬ噂が立って村八分状態になり、そのことによって更に悲劇が連鎖する痛ましい物語で、音楽も暗い雰囲気が支配的で、楽しい曲調の部分も逆にシニカルで恐ろしく聞こえました。
主人公の転落していく人生を表すような急勾配の床と、コミュニティーの閉塞感を象徴するような2枚の大きな可動壁と荒波を描いた背景画だけの真っ黒な空間の中で、現代にも通じる閉じたコミュニティーが持つ暴力性が描かれていました。
主人公のことを信じて助けていた2人も最後には仕方なく多数派に回ってしまうことを、わずかな動作だけで示していて、静かながらも衝撃的な幕切れでした。
黒・白・赤に限定した色彩設計が物語に合致していて効果的で、見た目もスタイリッシュでした。影を壁に映し出す演出が印象的なビジュアルとなっていて美しかったです。
大勢の合唱隊の扱いもスマートで、オペラの合唱にありがちな小芝居感や段取り感のない自然な立ち振る舞いで、ドラマに引き込まれました。
2つのシーンを表す楽想を交互にまたは同時に響かせたり、緊張感のある持続音や長い沈黙を用いた、演劇的表現力のある音楽が恐ろしくかつ美しく、魅力的でした。
旋律や和音の音を持続させながら次の音を重ねるベルトーンの手法を多用していて、ひんやりとした神秘的な寂寥感がありました。
ソリスト、合唱、オーケストラも非常にレベルの高い演奏で素晴らしかったです。
「消える魔球」(第23回池袋演劇祭【大賞】受賞作品・再演)
ラビット番長
あうるすぽっと(東京都)
2012/09/07 (金) ~ 2012/09/09 (日)公演終了
満足度★★★★★
(゚o゚)
「消える魔球」、何年かぶりに観たけど、何年経ってもいいものいいね。
ハイスクールミレニアム2012
アリスインプロジェクト
上野ストアハウス(東京都)
2012/08/14 (火) ~ 2012/08/19 (日)公演終了
満足度★★★★★
(゚o゚)
ボクラ団義が関わっている公演は安心してみてられる。
クリスタル イヴ 東京公演
劇団PEOPLE PURPLE
SPACE107(東京都)
2012/09/06 (木) ~ 2012/09/09 (日)公演終了
満足度★★★
きらきらしてました
聞き及ぶ評判がとってもよくって、とても楽しみにしていた初めてのピーパーさん観劇。
安定感のあるお芝居に、確立された個性を輝かせる役者さんたち。
なるほど~という印象。
ネタバレBOX
タイムトラベルものの、恋愛SF作品。
過去に生き別れた恋人を、時空を超えて救いに行き、運命を変えるという。
SFというジャンルの王道ど真ん中をまっすぐ突き進んでいるあたりがハリウッド映画的で。
勧善懲悪で完全無欠のハッピーエンドなあたりがディズニー映画的。
登場人物たちのキャラクター付けがくっきりはっきりしていて。
お話はとてもわかりやすく、起承転結わかりやすく展開されてゆく。
いささか都合が良すぎるようにも思い、あまりに綺麗にまとまりすぎて多少物足りない感があったのは事実なのですが。
あまりにも日常生活で心が疲れてしまった時に現実世界を離れ癒してくれる夢の世界、そういうものも必要。
そんな時間をピーパーさんの公演に来れば得ることができる。
観に来た人にハッピーを振り撒くシアワセな舞台であり、劇団さんなんだなと思いました。
ライ・トゥ・ミー【終演致しました。】
エビス駅前バープロデュース
エビス駅前バー(東京都)
2012/09/28 (金) ~ 2012/10/13 (土)公演終了
満足度★★★
素敵な時間
エビス駅前バーは、普段は通常営業しているリアルなバー。
なので、そんなに演技空間は広くはない。
その空間のど真ん中にさらに横長のカウンターテーブルを設置していたので・・・。
座席場所によってはいつもよりもさらに客席と役者さんとの距離が至近距離。
あんな距離で、あんなレベルのお芝居を観られるなんて、エビス駅前バーくらいなもんだ(笑)
毎回書いてますが、ほんとに空間そのものが贅沢な芝居世界で、雰囲気に酔えます。
ネタバレBOX
近隣大型スーパーと、元密着商店街の間の確執と戦いという、全国各地でよく見られる社会問題。
そこに、男女関係のもつれによる夫婦間、親子間の断絶やいさかいという、米内山さんらしいテーマが絡み合う。
とってもオトナテイストなお話を、とってもオトナテイストな演技で。
エロティックだったり、ドロドロしてたりするのだけども。
底にはにはあったかい人の心が流れていて、観終わった後ほっこりする素敵な公演でした。
真ん中に据えられたカウンターテーブル。
その場所でホチキスのザキヤマさんが・・・それはもぉ~えろくて。
うっかり真正面なんかに座っちゃった日にゃ、とんでもない至近距離でそれを観ることになるという。
わたしは隅っこのほうだったのでまだよかったのですが、それでもめっちゃどきどきしました。
ハートの強さ、必要です。
少年社中の尚さん。
モマぶりに観たら、えらい様変わりしていらっしゃって。
ムラサキシャツに、ビジュアル系な髪型。
観始めてしばらくの間、それが尚さんだといささかも気づかないくらいイケメンホスト風で、びっくりでした。
幻想の方舟
ミームの心臓
荻窪小劇場(東京都)
2012/09/26 (水) ~ 2012/10/03 (水)公演終了
満足度★★★★★
等身大のリアルさ
いい感じにアナクロなアングラ感。
熱気がある舞台。
見終わって、「これいいんじゃない」と少し鼻息荒くなった。
酒井一途は今後も注目に値する作家ではないか。
たぶんこの物語はコレではないか、と思い当たったことを、失礼ながら、ちょこっと「ネタバレ」に書いてみた。…ちょこっと、と言いながらいつもの長文ではあるのだが…。
この長文は、作家の想いとは相当のズレはあるとは思うが、深層心理にはこういうことがあったのではないか、と思うことだ。
ネタバレBOX
前作『ケージ』では、10代の作家が書いたとは思えない内容に驚いたのだが、それはギャップのようなバイアスで観ていたような気がする。
もちろん過去を描くことで現代を映し出すようにはなっているのだとは思ったのだが。
しかし、今回は、リアルな若者の姿がそこにあった。
まさに等身大の、若者の姿だ。
「滅びてしまった世界」とは、主人公(たち)が、幻滅してしまった世界(社会)そのもの。
土地は沈んだりしてないし、もちろん人も生きて生活している。
しかし、「滅びてしまった」のだ。
そう断言してしまうほど、世界(社会)を憎み、断絶したいと願う心が「滅びてしまった」と告げるのだ。
彼(ら)は、そこから「方舟」に逃避する。「救済」を求めてだ。
この「方舟」は、彼(ら)の実家の2階にある自分の部屋でもいいわけなのだ。
「救済」を求めるのが、「パソコンの中」だっておかしくはない。
はっきり書いてしまうと、「彼ら」ではなく「彼」、つまり、シャンスラートの物語なのだこれは。
シャンスラートは、自分を待っている人、自分が何者かであるということを言ってくれる人を欲している。誰だって、「待っていてくれる」のはうれしいものだから。
シャンスラートにとっては、待っていてくれる人が方舟にはいる。
道化とミナだ。道化はシャンスラートが重要な人であるということまで言ってくれる。
そして、特にミナの存在は大きい。
なんて言っても、シャンスラートがひと目で恋に落ちてしまうような少女が「待っていた」と言ってくれるのだから…。
そんな都合のいい話は、そうないわけで、そもそもシャンスラートが乗り込んだ方舟は、友人とどちらが本当に乗ることができたのさえも微妙だ。
こうなると、社会と世界に絶望した主人公が、逃げ込んで閉じこもった場所が「方舟」だったことがわかってくる。
シャンスラートは、外に「救済」を求め、誰かが与えてくれると思っているがそんなことはない。
道化は「案内はするが、道を示してくれるわけではない」のだから。
同室の男=どうし=同士=導師という男がキーマンになるのかと思ったら、シャンスラートの友人を見ると単に洗脳されてしまっているようだし、そこに「救済」はない。
この方舟の中の出来事は、シャンスラートの「セルフ・カウンセリング」の様相さえある。
自問自答し、「解(救済)」探す。
別の「方舟」という、とても気味の悪い「救いの手」も現れる。
彼の心の旅が方舟の騒動のすべてだ。
結局、シャンスラートはどうしたかと言うと、ミナと出会うことで、「方舟」から出ることができるようになる。
すなわち、「自分の方舟(殻)」に閉じ籠もっていたのを、「滅んだ」はずの社会に出るという決意をするのだ。
あの大きな音は「殻」が崩壊していく音ではないか。シャンスラートが(脳内もしくは自室で)作り上げた「方舟」が不要になってくるので、崩壊しつつある。
当然、「方舟」と「世界」は「初めから地続き」であって、それに「気づく」ことも、主人公の「救済」=「治癒」と言えるかもしれない。
ミナは、二次元彼女かもしれないし、脳内彼女かもしれない。
だが、これが「救済」の第一歩にはなる。
つまり、この物語の主人公は「病んで」いた話ではないか。
しかし、作者自身がそこまででなかったので、「救済」を求める時点ですでに「快方」に自ら向かっていたところから物語が始まっていた。
本当に病んでいたのならば、自己否定などが伴いそうなものなのであるから。
シャンスラートは、外に出ることができたのだが、外の「世界」はあいかわらずのままだ。脳内彼女とともに、その外海の荒波を乗り越えていけるかどうかは、まったく不明である。
彼には、強い信念や信条があるわけではなく、そうした「甲冑」を身に纏わなければ、これからも辛いことが待っているような気がする。
「出る」だけで、そこがこの戯曲の弱さではないかと思う。物分かりがよくて、簡単すぎるラストなのだ。
今回は、思出横丁の岩渕幸弘さんが演出を担当した。
たぶん、 酒井一途さんが自ら演出したとしたら、この熱さの感じにはならなかったように思う。もっと内側にこもる熱さになったと思うからだ。
岩渕幸弘さんの演出は、華やかな熱さがあった。飽きさせず舞台に惹き付ける演出だったと思う。大昔の小劇場の舞台って、こんな感じに意味もなく熱かったな、なんて思い出したりした。
アナクロな感じだけど、現代。いい意味でアングラ。
ただし、舞台のサイズを考えると冒頭のつかみはOKなのだが、少々ガチャガチャしすぎであったし、ラストに盛り上がるところへの助走部分〜ミナが人質になったあたりから〜テンションがストレートに高すぎて、見ているほうが息切れしてしまった。(激しい中にも)もっと抑えたやり取りから、スピードを増していき、みんながもうひとつの方舟に手を振るところで頂点に達するというほうがよかったのではないだろうか。その波から、ラストのシーンにつながるほうが見せたと思うのだ。
主人公のシャンスラートは、もっと常に舞台にいたほうが、彼の物語であることを印象付けられたと思う。
また、彼が本気で「救済を求めている」ようには見えないのが残念。もっとヒリヒリ感が欲しい。というか、「追い詰めて」欲しかった。
道化役の橋本さんは、その役柄のためか、印象に残るがのだが、彼女も含めて役者のこととか、いろいろと問題はあるのだが、酒井一途さんは、今後も注目していきたい作家だと思う。ミームの心臓も。
あとは、受付等の印象も良い。「煙を使うので、気になる方にはマスクをお配りします」など、細かい心配りもよかった。難を言えば、非常の際の注意事項かな。
彼の演出ももちろんいいのだが、今回の作品のように、戯曲ごとにマッチしそうな演出家をチョイスして演出させるのもいいと思う。
そうすることで、役者たちも鍛えられると思うからだ。
星は期待も込めて、の数にした。
表示できるのならば、★★★★☆と、こんな感じかな。
公演其ノ二十一 花葬日記
よしこ
エル・パーク仙台 スタジオホール(宮城県)
2012/08/18 (土) ~ 2012/08/19 (日)公演終了
満足度★
2回目のよしこさん
以前に別な作品の仙台公演を観た時は少しくどく感じたのですが、今回は賞を取られている作品の再演という事でまた観てみましたが、…女性であることについて過剰すぎて観ていて辛かったです。
ゴベリンドンの沼 終了しました!総動員1359人!! どうもありがとうございます!
おぼんろ
ゴベリンドン特設劇場(東京都)
2012/09/11 (火) ~ 2012/10/07 (日)公演終了
満足度★★★★
たのしんだぁ~
感想は紙にいっぱい書いてきた
久しぶりにものすごくたくさん 相変わらずの小さな文字でいっぱいアンケート用紙に書いてきました。とりとめもなくまとまりもなく・・・。
ネタバレBOX
出演者の方五名様
皆様 それぞれとっても印象的でした。
これだけちゃんとそれぞれにすごいなぁって思えて
違いを認識できたのが久しぶりというか初めてだったのです。
舞台が舞台だけに演者さんとの距離が近いのとアクロバティックがかっこいいとか
正直初めて観た瞬間の白塗りにビビったけど、気がついたら気にならなくなっていたとか。
シャッターの締め切られた 真っ暗な空間はある種の異様さと連帯感というか。
集中しやすかった。
久しぶりにひとりひとりかっこよくって羨ましかったです。
案の定 話しかける勇気はありませんでしたけれども。
お時間の許す方は一度是非に。
床に座る形になるのでお召し物にもご配慮を。
|ω・`)
銀河鉄道の夜
青年団
せんだい演劇工房10-BOX(宮城県)
2012/08/21 (火) ~ 2012/08/22 (水)公演終了
満足度★★★★★
素晴らしい時間
冒頭の教室のシーンでぐっと引き込まれて、私も何時の間にか銀河を旅していました。俳優さんが複数の役をやられていたのですが、きちんとその人物を捕まえていて全く違和感がなかったです。青年団さん、また仙台にきてほしいです。
まいる
STAND FLOWER
堂山小劇場(大阪府)
2012/09/01 (土) ~ 2012/09/02 (日)公演終了
満足度★★★★
不思議な小宇宙。
きらきらした空気だった。
色んなことは日々、起こるのだけど、
その起こることは全て必然なのだと、
この時間は教えてくれた。
現代空想戯曲短篇集
彗星マジック
in→dependent theatre 1st(大阪府)
2012/04/21 (土) ~ 2012/04/22 (日)公演終了
満足度★★★★★
素晴らしい!
何故、こんないも胸をかきむしられる思いなのか?
勝山さんから抽出されるその 『詩篇』 はリリカルであり、
生々しい。