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空ヲ喰ラウ

空ヲ喰ラウ

劇団桟敷童子

すみだパークシアター倉(東京都)

2023/11/28 (火) ~ 2023/12/10 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

見どころ有り。筆頭はもりちえの役柄。凡そ役どころの決まった桟敷童子の役者面々だが時折振り幅が大きくなる。「できる」立ち姿を見てきたもりちえは今回、板垣桃子共々「女だてら」に高木に登って作業をする「空師」集団として衰退する中村組を担う女空師の役。思わず拳を握り「やるな」と心で呟く。歌舞伎にも似て桟敷童子の芝居はある種の「型」があり人物らは「粋さ」を競う部分がある。大向こう(歌舞伎で屋号の掛け声を掛けるアレをそう呼ぶらしい)を入れたくなる演技というヤツである。一方の板垣桃子も「女だてらに」の役が深まっている(もりちえが影響を与えたのかもと想像も逞しくなる)。
林業の衰退は特記するまでもない事実となっているが、ウ露戦争で木材輸入が滞る分一時的に需要が高まっている、という会話がある(他に現在を語る台詞は特にない)。時代に翻弄され衰微していく産業を桟敷童子は取り上げて来たが、時代の「必然」を受け止める人々の姿は、その先に未来を見せた。だが林業はどうか。「どうあるべきか」の問いと共に、簡単に衰退してほしくない気持ちがもたげる。農業しかりだ。高い木材でもそれは自国の「第一次産業」、生存の根幹にかかわる産業を守る選択をしない国のあり方は、これで良いと言えるのか・・。

ネタバレBOX

中盤から芝居の中心人物となるのが、都会から来たらしい身元不明の青年。彼が姿を現した後は、中村組がある事業を請け負うために必要な頭数に数えられるが、予測に反して空師としての天性の素養を持つ事が(その道を知る者にしか分からぬ特徴から)分かる。それは村のもう一つの組である柳瀬組(こちらは勢力を広げ中村組を吸収しかねないが組頭は仁義を弁えている)共々に、希望の的となる。
だが、、彼は皆の前に出て来る前、村の鼻つまみ者でかつて崖崩れで脚をダメにした元空師(稲葉能敬=板垣の夫)と会い、互酬関係を持ってしまっていた。足を引き摺り金属パットを杖代わりに歩く彼と青年のしがらみは、村人の介入で一応は解消するも、純朴まっさらな青年の「弱み」を稲葉は握っており、最後にこれが効いてしまう。前にいた職場ではバイトの身でありながら「犯罪に手を染めた」と彼は思っており、逃亡を図った彼はバイト先の親父さんとその会社の者たちから逃げている、とも思っている。
客観的には彼は煩わしい都会から逃れた一人、なのであるが、都合よく使うために稲葉が彼に「負い目」を注入したものと思しい。
中村組が受注した仕事は柳瀬組とそれぞれ別の山をを受け持つ形で進める事となる。林業仲間では一の山、二の山等と呼び習わし、中村組はかつて持ち山であった五の山を自分らだけでやらせてくれと頼み込む。渋々承諾した柳瀬組だったが、程なく彼らは中村組の女空師の仕事の確かさに改めて唸らされる事となる。中村組を出て柳瀬組に入った番頭は躍起になるも叶わず、仲間に宥められ、良き競争関係が形作られる。
そんな中稲葉は妻の板垣や村人と一悶着あり、村を追い出される。もりちえ演じる空師は心臓の持病を拗らせ木に登る仕事を止められ、俺はこいつを育てると宣言する。
空師の仕事にやり甲斐を見出した青年は稲葉とそれに付随する枷から逃れる。確かな伝統技能に根差す事にこだわって来た中村組の未来に光が射す。

が、このドラマは悲劇へと歩む。
あるタイミングで稲葉は背広を着て現れ、青年が一人でいる所を脅し上げ、折しも吹雪が吹き始めた夕刻、パニックとなった彼は山に逃げ込む。せせら笑う稲葉。その前段として彼は青年に「もし空師になったらお前を殺す」と耳元で囁く。「自分なんかがなれる訳ないっすよお」と青年は頭を低くしながら答えるが、その後村人皆の前で「空師になる」と本心が噴き出してしまう、という事があった。
予言通りと言うのか、稲葉の計算づくか、必死の捜索にも関わらず彼は死ぬ(樹上で雪と一緒に固まって死ぬ事を「空死に」と言う)。ラストで板垣が一人、組の解散後も青年を探し続ける姿を残像に残す。

個人的にこの末路は選びたくなかった。先述したような、「その先」が見えない。
この結末を選ぶのであれば、青年の死は中村組やそこに繋がる人々の個人的な悲しみに止めず、私たち皆が財産を失ったのだ、とまで言い切ってほしかった。衰退も致し方ないと言える産業と、そうでない産業とがあると思ってしまうからである。
諦めの美学は「その先」がなければ諦めに終わる。
久々に厳しい評価を持ってしまったが、ここ近年の桟敷童子舞台に「今」に分け入る模索の姿勢を(何となくだが)感じていただけに、そこが個人的には残念であった。
#34「闇の将軍」四部作

#34「闇の将軍」四部作

JACROW

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2023/12/08 (金) ~ 2023/12/17 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

第2話『宵闇、街に登る』
2018年初演、2020年再演。
これは傑作。笠原和夫の実録ヤクザ映画と『ゴッドファーザー』を融合したような。Netflixでドラマ化した方がいい。『ゴッドファーザー PART II』のように過去と現在を同時進行でずらして作品化すべき。そんな妄想するぐらい面白い。
説明の為、入る字幕スーパーがツッコミと化してドッカンドッカン沸く。

「角福戦争」と呼ばれる佐藤栄作の後継者争い、田中角栄対福田赳夫が主軸。昭和46年(1971年)から昭和47年(1972年)まで。

田中角栄の後援会、越山会(えつざんかい)。「越山会の女王」と称され、角栄の秘書を33年務めた佐藤昭(あき)。認知されていないが角栄の娘を産んでいる。

人気ワイドショー番組、「3時のあなた」を上手に活用。山口淑子(李香蘭)!
日米繊維交渉の名台詞「2000億円よろしく頼む」。

中曽根康弘に谷中恵輔氏。ペナルティのわっきーに見えた。
「元帥」木村武雄に菅野貴夫氏。塩見三省っぽい。
「俺の趣味は田中角栄」、二階堂進に山森信太郎氏。
キーマンとなる竹下登に今里真氏。本当にそう見えてくる。
山口淑子に木下祐子さん。客席を回って歌うシーンは盛り上がった。
佐藤昭に小林あやさん。凄く角栄の人格に厚みが出る助演。
秘書の早坂茂三に青木友哉氏。

これは一つの到達点。
是非観に行って頂きたい。

タイムトラベル大五郎

タイムトラベル大五郎

さんらん

インディペンデントシアターOji(東京都)

2023/12/06 (水) ~ 2023/12/10 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

多彩な題材、作風でもさんらんらしさを短・中編の中に認めるこの頃であったが、今回は長編の回。リアリズムに立った「掘って100年」「ポンペイ」の次は、と構えて開演を待ったが、予想とは異なり?さんらんらしい「可愛らしい」作であった(この題名であるからして当然と言えば当然と言えるか)。
台上を屋内とした素に近い舞台で、現代に迷い込んだ侍とのエピソードだけでなく、時代を遡った維新の頃も描く。走り回っていた子供たちが正装の侍姿で現れるのは一興で笑えるが、切り取られているのは戊辰戦争で敗れる彰義隊(に合流するあるグループ)で最終的に皆が死ぬ。現代の母子家庭の息子の闘い(最終的にいじめっ子と勝負をする)に、タイムスリップして来た剣士(上記グループの師匠に当たる)が影響を及ぼすが、背中に担う物として上記史実の場面がある。戦の無慈悲さの風景が、現代では戦場カメラマンの夫を亡くした母親の「思い」にシンクロするが、母が反対する息子の闘いそのものは(観客皆がそう思うだろう)正当性を持つ。(戦というよりは「勝負」である。) 母親もまた、自分の職業であるプロ雀士としての「勝負」から息子を守るためを理由に降りる事をやめ、出る決意をする。
その意味では、背後にひっそり流れる戦争というテーマは必ずしも前面化しない。肯定されて良い「勝負」とは異なる、無為な戦いというものを、作者が具体的には何に見出し、それをなぜ否定したいのか、そして何故それらは起きてしまうのか・・(本作を通してという事ではないが)言及してほしい願望が残った。

その犀はひとり行く

その犀はひとり行く

ルドルフ

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2023/12/08 (金) ~ 2023/12/10 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

とても良かったです。
役者さん達の迫力ある演技、切ないストーリーに、どんどん惹き込まれました。
抗えない運命に苦悩する主人公の姿に、胸が痛くなりました。
こんな時代があって今がある事や、自分の人生について考えさせられる気がしました。
良質な舞台で、素晴らしかったです!

東京ローズ

東京ローズ

新国立劇場

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2023/12/07 (木) ~ 2023/12/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

ほぼ全編歌が入るとは思わなかった。主人公を演ずる俳優が次々交代するのはちょっと面白い。

#01 わが闇

#01 わが闇

イノセントギアカンパニー

上野ストアハウス(東京都)

2023/12/06 (水) ~ 2023/12/17 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

ナイロン100℃が何度か再演しているこの作品を今回初めて観たが、不必要でウザいだけのキャラが何人も出てきて無駄な動きでストーリー進行を滞留させるのでイライラさせられる。二人の作家が全然作家らしく見えない時点で致命的。トラウマになっていいはずの毒母親のエピソードもその後の展開には何の関係もないし、某妹の出現はまったく不要、レイプシーンも意味がなく不快。ダラダラ3時間続いてあのオチはなんだ・・・。今回の演出がたまたま酷いだけなのか、もともと原作が凡庸すぎるのか。後者であろうから同カンパニーの第二弾に期待したい。

モモンバのくくり罠

モモンバのくくり罠

iaku

ABCホール (大阪府)

2023/12/08 (金) ~ 2023/12/10 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/12/09 (土) 18:00

人里離れた山中で育ち、親の仕事(くくり罠で鹿や猪を捕獲し解体し食する)を手伝い山で暮らしきた。親の価値観、育った環境に悩まされる子供。一般の社会にどう適応するか、苦しむ子供。芝居ではこの生活を受け入れる中で解決しようとしているが、一歩間違えれば宗教二世のような深い問題が潜んでいる気がした。

噂噺 怪奇超常探偵叢書

噂噺 怪奇超常探偵叢書

OG-3works

萬劇場(東京都)

2023/12/06 (水) ~ 2023/12/10 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2023/12/09 (土) 18:00

座席b列11番

#OG3怪奇 新シリーズの冒頭4話一挙放送かと思ったら番外編のエピソードゼロの特番でした(伝わらない)

ネタバレBOX

反面台本の段階での手直しがもう少し必要だったのではないのかなと感じた。全部の説明は不要とは言っても何も説明しないは無しだし、逆に無用の情報がありすぎてビンボケしまくり(キャラ優先では普通はそうなると思う)も合わせて書いている本人は気づきにくいのでは?その結果作者の個性が失われるこちを懸念するのは良いとは思うのですが今回の作品は結果演出家の個性が失われてはいないか?と思えたりする
全く関係ないけども殺陣のシーンでの音付けは一部のみとなっていたのは演出側で決定したのだろうか。刀の音の代わりに曲を音量上げてつけていたようですが正直微妙に感じた。色々考えたけど一番アレだったなーと思うのは喜怒哀楽感情の大波が見ていた時に無かったのが一番なんというか、合わないなーと感じた点かなすごくモヤモヤするとかも含めて何某かの「感情の爆発」的なものがなかったんですよねー
#34「闇の将軍」四部作

#34「闇の将軍」四部作

JACROW

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2023/12/08 (金) ~ 2023/12/17 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

第1話『夕闇、山を越える』
2016年初演、2018年再演、2020年再々演。
昭和22年(1947年)から昭和32年(1957年)まで。
冒頭、田中角栄の選挙演説から始まる。とにかく新潟県民の暮らしを良くすること、その熱意。現世利益の追求、あやふやな言葉は決して使わない。具体的に何を為すべきか。『全身小説家』のように『田中角栄』という一つのジャンルの体現。誰にも真似などできない。一人の“天才”が『太閤記』宜しく『国盗り物語』を現代でやってのける痛快さ。敗戦後のどん底の日本をどうしたら繁栄に導くことができるのか?

東京、神楽坂の芸妓置屋「金満津」で出会った円弥(辻和子)が重要な位置を占める。昭和21年(1946年)に初対面、翌年二十歳にして角栄が旦那(パトロン)になる。認知された息子2名(娘は早世)、47年間妾として尽くした。

憲法改正をして、アメリカの属国から早く逃れたい岸信介。
対する池田勇人は国の威信よりまず国民の生活、軍事費のかからない分、経済成長に力を入れて通商国家として身を立てるべきとの主張。
どちら側からも陣営に誘われる角栄。

田中角栄は狩野和馬氏。代えは効かない。有田哲平っぽくもある。
盟友、大平正芳に内田健介氏。二瓶正也っぽい。池田勇人派。
池田勇人に佐藤貴也氏。
岸信介(のぶすけ)に林竜三氏。
岸信介の実弟、佐藤栄作に土橋建太氏。「“エイちゃん”と呼べ」。宮台真司っぽい。
福田赳夫(たけお)に小平伸一郎氏。パンクブーブーの佐藤哲夫っぽい。
円弥に井口睦惠(むつえ)さん。
腹心の秘書、本間幸一に青木友哉氏。
存在だけでかなり重要な母親、田中フメに宮越麻里杏さん。今作も完全に成り切ってみせる。完全憑依女優。この方はもっと評価されて然るべき。

そろそろ中盤かと思ったら終わってたぐらい時間の経つのが早い。田中角栄はキツイ発言をした後、必ずハーッハッハッと豪快に笑う。これのあるなしで随分イメージが変わったろう。
是非観に行って頂きたい。

ネタバレBOX

凄く面白いけれど作品としては物足りない。料亭政治で政界の権力闘争が描かれるが構成が淡々とし過ぎ。観客に提示した情報を次のシーンで繰り返す場面も多く、脚本の切れ味が悪い。今作は秘書を主人公にして彼の目線で語った方が良かったかも。田中角栄はアドルフ・ヒトラーに似ていて、魅力的だけれど危なっかしい。金の遣り取りで悪党にされたが、大金を動かせてこその政治だったりもする。清廉潔白の貧乏書生では論文執筆が関の山で、海千山千のヤクザの親分に太刀打ち出来ないだろう。清濁併せ呑む器量があってこその権力者たる所以。文春の記者に政治をやらせても何もできない筈。
政治は力だ。敵をねじ伏せ黙らせる力。「力なき正義は無力である!」。角栄は金権政治家のイメージで金をばら撒くことの不快感を観客は感じるだろう。ただ、金は誠意だったりもする。真心だったりもする。信用だったりもする。田中角栄は“何か”を間違えた人間だったが、圧倒的な“何か”があった。
ブラック・フラッグ・ブルーズ

ブラック・フラッグ・ブルーズ

ミサキカク・秋月はる華共同プロデュース

小劇場 楽園(東京都)

2023/12/08 (金) ~ 2023/12/10 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

素晴らしかったです。ある意味、地の利を生かした舞台だったかと。あの劇場だからこそできたストーリーと演出だったかなと。劇場が二面客席だったけど、違う側の席だとどう見えたか気になるところでした。すばらしい舞台をありがとう!

惨醜歌の響く夜

惨醜歌の響く夜

学園座

関西大学千里山キャンパス凛風館4階小ホール(大阪府)

2023/12/08 (金) ~ 2023/12/10 (日)公演終了

満足度★★★

学生演劇らしさ爆発💥
制作は案内もせずに座って話し込んでいるだけだし、公演も役者がめちゃこけたり、小道具が散乱したり、ピストルの弾倉を落としたままドンパチが始まったり、照明に違和感あったりと学生演劇でした
一昔前は関西一の学生劇団だと思っていたけど…
内容は良かったが、総合的には…

クリスマス・キャロル 

クリスマス・キャロル 

劇団昴

座・高円寺1(東京都)

2023/12/02 (土) ~ 2023/12/10 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

作りこまれたセット、台詞の多さ、綺麗な歌声どれをとっても一流という舞台。
ストーリーは本や映画で見て知っているのにぐっと引き込まれてしまった。
一足早いクリスマスプレゼントに大満足です。

噂噺 怪奇超常探偵叢書

噂噺 怪奇超常探偵叢書

OG-3works

萬劇場(東京都)

2023/12/06 (水) ~ 2023/12/10 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

面白かった。
高橋明日香さんの少年探偵役が良い感じ。
アフターイベントの怪談トークショーも良い意味で冷えた。

コサシーズ

コサシーズ

遊気舎

in→dependent theatre 1st(大阪府)

2023/12/08 (金) ~ 2023/12/10 (日)公演終了

満足度★★★★★

死が関係する話だけど、ほっこりさせられた 躾の厳しい父は実は…男の子が欲しかったのかな〰️
短いけどおすすめです❕

タイムトラベル大五郎

タイムトラベル大五郎

さんらん

インディペンデントシアターOji(東京都)

2023/12/06 (水) ~ 2023/12/10 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

良くある設定だと思いますが、心にしみる心に響く良いお芝居でした。大人の皆さんが小学生、大丈夫かと思いましたが、思ったより入り込めました。時代変わる場面での衣装替えも良かったです。この先の登場人物の幸せを祈りたくなりました。優しい時間過ごせました。ありがとうございました。

噂噺 怪奇超常探偵叢書

噂噺 怪奇超常探偵叢書

OG-3works

萬劇場(東京都)

2023/12/06 (水) ~ 2023/12/10 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

とても面白かったです。エンタメとしてとても素晴らしかったです。笑いあり殺陣あり怪異あり盛りだくさんでしたね。詳細省略したのかなというところがありましたが、内容、演出、演技みんなよかったです。楽しい時間ありがとうございました。

ガラリ

ガラリ

表現集団 式日

麻布区民センター 区民ホール (東京都)

2023/12/08 (金) ~ 2023/12/10 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

本日拝見しました。私も親なのでとっても身近に感じながら見させていただきました。心の中と現実ととても上手く表現されて、良くできた演出だったと思います。心に染みるいいお話でした。

海罪に沈む

海罪に沈む

劇団108

千本桜ホール(東京都)

2023/12/09 (土) ~ 2023/12/10 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

お芝居の展開が・・・。
丁度良い時間で良かったです。

ガラリ

ガラリ

表現集団 式日

麻布区民センター 区民ホール (東京都)

2023/12/08 (金) ~ 2023/12/10 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

親心と自立の狭間で悩む少女の旅立ちを描いた心象劇といったところ。人の思いや考え方、どの側面を捉え 見るかによって「ガラリ」と違う。親と子の立場や考えの違い、それを精神科医の問診を通して展開していく。少女の心象であるが、その世界観は分かり易い演出によって巧く表している。

少女の名は 月下海(木下美音サン)、その名の通り深海を思わせるような浮遊感ある舞台美術。同時に、舞台幕を使用して 心に思い描く世界(空想)と現実の世界(問診)…ファンタジーとリアルといった表現の違いも巧い。この違いが テーマ「孤独」を上手く表出している。そして自由・肯定と束縛・心配といった子と親の心情が浮き彫りになる。

親といっても父と母では子への接し方も異なり、親の過去(成長過程)が関係しているという。ただ この親子の関係性は 典型的で斬新な切り口になっていないところ、そして人を観察し深堀しようと試みているが、少し理屈っぽいような気が…惜しい。
(上演時間1時間50分 途中休憩なし) 12.11追記

ネタバレBOX

舞台美術は、客席側(前)と奥(後)は異なる配色でシンメトリー。それぞれ長箱2つと椅子を置き、その間を舞台幕で遮り、美音の心象世界と現実世界を表出する。美音(後)の世界は白布に描いた魚、そして傘や洋服が吊るされている。長箱を始め全体的に白を基調にしており透明・浮遊感を漂わせている。一方、現実(前)は黒茶色で重量感あるもの。この明暗の配色は 衣裳も同じで、美音の世界に登場するのは白服、一方 両親は黒っぽい。医師は黒服の上に白衣で折衷、美音本人は深海イメージであろうか、深緑のフワッとした服で、それぞれの立ち位置を表している。心象と現実を巧く表す演出が、観客にやさしい。ちなみに場転換時の音響はピアノで美音の進路を示唆しているよう。

物語は、美音の進路をめぐって 彼女と両親が話し合うところから始まる。美音は自分の気持(自己肯定)をうまく伝えることが出来ない。両親にしてみれば、態度がはっきりしない娘にイラつく。そして美音は3か月前に意識不明に陥る。その原因と解決を求めて精神科医と両親の話(問診)が始まる。

彼女は自分の世界に閉籠り、そこでは 説明にあるような友の死を抱える元高校球児、作家の夢を捨てた風俗嬢など4つの物語(一冊の本…何を意味するのか)が紡がれる。それは幼い時に見た世界で、自分の気持の表れであった。真に何がしたいのか、何者にもなっていない女性の成長過程が瑞々しく描かれている。一方、両親もその親や家庭環境の中で挫折や諦念といった苦汁を味わっていた。その後悔から娘を同じような目に遭わせない、それが無意識のうちに美音の意識や行動を制約していたよう。

精神科医の問診が両親の深層へ響くといった結末だが、実は兄の陸(演出:佐伯啓サン)が目覚めない美音に話しかけていたと。両親は兄 陸と比べることで美音にプレッシャーをかけていた。美音が目覚め両親と打ち解けるのであれば、ずっと話しかけていたのは両親にすべきでは?
いい子でありたい美音の心情はよく聞く設定。そしてラスト、陸と医師の話(礼を含め)は纏める様な理屈付け、物語を説明したような印象を受けた。
次回公演も楽しみにしております。
萎れた花の弁明

萎れた花の弁明

城山羊の会

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2023/12/08 (金) ~ 2023/12/17 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

ネタバレ

ネタバレBOX

城山羊の会『萎れた花の弁明』を観劇。

 劇場の階段を上がり、舞台のセットが見えた瞬間、どのように始まるかが分かってしまい、笑ってしまうのである(三鷹で城山羊の会を観た人しか分からない仕掛け)。
 今までと同様にエッチな演劇ではあるが、『性とは?』を話しの筋としつつ、男性の身勝手な論理で進んでいきながら、言葉の行き違い、本音の建前、日本人論など可笑しなキャラクターたちが進めていく物語に、喜びと楽しみを覚え、期待は決して裏切らない。
性について論理的?に語っているからか、男性観客のみが妄想で生じる下半身ムズムズは感ずる事もなく、リアルな物まで見せられてしまうと、『妄想はリアルに敗北!』とまで思えてしまう。気が付くと我々の性はコントロールされ、作家に中毒症状にされてしまうのである。
 第七病棟『ふたりの女』のラストシーンは演劇史上最高の舞台仕掛けと謳ったが、それに劣らず今作も、驚愕、鳥肌、失笑…の終わり方であった。
 それはさておき、この劇団は12本目の観劇だが、明らかに社会背景が如実に表に出てきているのは確かだ。コロナ、原発汚染、少子化、宗教、性の大衆化と世の中の問題を物語の主軸としている点は見逃せない。イギリスから帰国して物語の方向性が一気に変わった野田秀樹の様にはならないと思うが、俄然面白くなってきているのは間違いない。
 次作も大いに期待するのである!

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