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若手演出家コンクー2012 最終審査  

若手演出家コンクー2012 最終審査  

一般社団法人 日本演出者協会

「劇」小劇場(東京都)

2013/03/05 (火) ~ 2013/03/10 (日)公演終了

満足度★★★★

「箱」・・お洒落な小品
HPをみたら最後に選出が決まったというので、正直ちょっとナメてる部分があったことをここに告白しておきます(苦笑

ただ、観てみてその先入観は間違っていたことがはっきり分かりました。

ピンク地底人と本選を争ったというので、
「ピンク地底人(こちらの公演も観ています)と一緒に議論される」という作品が
どんなものかな・・と気にしながら観てみると、
なるほど、ほんのちょっと似ている気がする(笑

よく見ると全然違うのだけれど、
アフタートークを聴いて、
「どことなくちょっと似ている」と感じた理由がなんとなくわかった。

ひとつひとつのシークエンスの長さ、つなぎ方がちょっと似ている気がしたのだ。
もちろん、良く見ると全然違うのだけれど。

この作品は題名にもハッキリ分かる通り「箱」を題材にしている。

その視覚的な分かりやすさ(テーマはともかく(笑
が、ほんのちょっとピンクに先んじた理由かもしれない。

ただ、その分かりやすさゆえに、
ピンク(「長い人生の陰影」とでもいうべきものを音でザッピングしたものと自分は捉えました)とでは
微妙に好みが分かれ、選考現場では票が分かれたのではないかな、という気がした(推測です

この作品自体は、まだ4作品観たわけではないのでハッキリとは言えないけれど、
多分他のどの作品にも劣らない作品であろうと思われます(何となくピンク地底人がなければこちらに票が集まっていたようにも思うので。それはピンクにも同じことが言えますが(苦笑

別にこのまま優勝しても何らおかしくないと思いました。

それくらい、洗練された作品であるように思われました。

ネタバレBOX

作品は、5人の作家の作品を切り刻んで組み合わせたものです。

舞台上の□(平行四辺形含む)の上をさまざまに役者が動き回ります。

役者たちはなぜか靴下をはかず、
脛の途中で切られたストッキングは二人一組の同じ模様、
上着もまた二人一組で同じ模様。
そのため役者が動き回るごとに色の組み合わせが様々に変わり、
観ていて目が回るようです(笑

物語もまた、300年、1000年の話からたわいもない子供たちの話、
工場の女性たちの陰湿なやり取り、ノアの方舟の話・・さまざまに飛び回ります。

ちょっとした子供たちのやり取りから、次の瞬間には神話の出来事の話へと、
マイムでハコを突き抜けるたびごとに
時空が次々と変わるさまは痛快でもあります。

「身の回りに見えない箱があるなんて気のせいだよ。
飛び越えちゃいな、別の世界が広がってるから」
とでもいうみたく。

前日のサリ氏が、音楽にたとえるなら骨太なロックなら、
今回の作品はヴァンパイア・ウィークエンドみたいな
様々な物語を呑み込むワールド・ミュージックとでもいうものでしょうか。

物語を組み合わせる手腕に遊び心が感じられるので、
観ていて物語の意味をつかませるようでスルリと抜けてしまいはしても、
別にそれほどストレスには感じませんでした。

切り替えのテンポは非常に軽快で、
意味を追いながらも音楽が切り替わるごとに
幕が開ける次の物語へと
「小説を何冊も並べながら電車の中で音楽を聴きながら本の中の物語世界を飛び回る」
ように、
ウィンドーショッピングでもするみたく気ままに
移り変わりを楽しめる雰囲気があります。

この手法が新しいか、と言われると
別にそんなことはないのですが
(というかすべての手法はほぼ出尽くしているので、そのような議論は無意味のようにも思われるので
物語を飛び回るフットワークの軽さは、重苦しくもある2013年の今現在では、
目新しいというよりも「新鮮」と言って良いように思われます。

例えば、ピンクやサリ氏のように、一人の作家が書いて、
自分でその構成を考えるのとは違い、
物語の継ぎ目ごとに
リズムがザックリと変わる面白さ。

・・そのリズムの変化もまた全体の中で調和よく構成されているため、
切り刻んでもなお全体としてみると
ひとつの印象が残る良さもあります。

東京でこのような軽さとリズムの作品をあまり観た記憶が無い気がしたので
とても素晴らしいと思いました。

全然、この作品が優勝でもおかしくないと思いました。


ただ、全体としては文句のつけようもないのですが、
一応賞レースなので(苦笑
微妙に他の作品と比べると若干いうところがあります。

マイナス点の内容とは、アフタートークで審査員が言うところに全く同意なのですが(苦笑

①まず上演時間の60分と言うのが少し長い

・・・それは、前日に怒涛のテンションで50分で燃え尽きる
サリ氏の作品を観た後だからなのかもしれないです。

審査員の方が言うように、もし上演時間が40分なら、
物語の意味を追うよりリズムに集中できて
良いのではないかと思いました。

東京の人間に受けるためには、
何でもそうなのですが30分以内にカタを付けなければなりません(苦笑
何かを加えることによって得られるプラスより、
何かを削ることによって得られるプラスを第一に考えなければなりません。

「上演時間が少し長い」というのは、
制作者サイドにはそれほど気にならなくとも、
観る側にとっては致命的な違いになって現れます。

②全体として少し平坦な印象を受ける

脚本を書いたのは、演出家とは別の人たちなのですが、
脚本家と演出家が異なる最大の利点というのは、
演出家が脚本を情け容赦なくカットしたり、切り刻めるということだと思います(恐ろしいことに

そういう意味では、脚本と演出をハッキリ切り分けた今回の作品においては、
その利点を最大限に追い求めたとは言えないように思います。

演出家がもっとラディカルに、
本の量を1/10にしたりする。

あるいはもう文節ごとに切ってしまう。

誰か一人の役者の動きだけをラディカルにして、
他の役者が語ってる最中に体当たりするなどして強引に物語を分断するなどすれば、
もっと生の動きが出てエキサイティングになるんじゃないかと思ったりしました。

あるいは、審査員の誰かが言ったみたく、
途中で役者の誰かが物語を見失ってアタフタし、
みんなが心配して、
例えばそこに観客に紛れた演出家が登場して指示すると途端に完璧に戻るなど(苦笑
進行上、イレギュラーを装ったいろんな悪戯を紛れ込ませればもっとハラハラして面白くなるんじゃないかと思ったり。

まだまだ遊びを加える余地はいくらでもある気がしたので、
審査員の方が言っていた
「初演と今回の公演がほとんど同じ(15分短くなったらしいけど」
というのは、
自分は初演を観てないので何とも言えないけれど
初演より上演時間を伸ばしながら
個人的に特に長さを感じず、また色々な要素を盛り込みつつ
ぶっ飛んだ村上くんを磨き上げたサリ氏との大きな違いと言えるのではないかと思ったり。
(厳しいようだけど、半年経ったら作品が大きく成長しているのはアタリマエ。そうでなければ「若手」と銘打つ意味は無いように思う。無謀な挑戦を常に続けられれば80才を過ぎても若手でいられると思う


いちおう①、②と分けてはみたけれど、
それほどハッキリわかれるわけでもなく(苦笑

「削る」か「遊びまくる」かでちょっと中途半端な印象はあった気がする。

ただ、それらが決定的なマイナスという訳では勿論ない。

あくまで、「他の作品と比べたら」「もっと良くするには」
という観点で観たらそのような感想が思い浮かんだというだけで。

あとは好みの問題だと思います。

ただ、先に自分がみた東京以外の2作品(大阪・広島)は
東京ではあまり見られない珍しいタイプの作品にも思われたので、
エンゲキを東京以外に広めるためにはこの辺りから
選んだ方が良いのではないかとも思ったり
(東京の演劇の流れを「これが東京の流儀だから従うように」という時代ではないように思う。今現在の時代の先端は、マスコミの充実していない地方の片隅にあるように思う。東京の人たちは、地方の人にしたらそこここに転がっている些末な出来事を、週末わざわざ出かけて行って吸血鬼のように吸い上げて、爆発的なパワーで舞台に描いた方が良いように思う。

・・ただ、まだ東京の2作品が残っているので
こっちがもっと東京では見られない種類の凄まじい作品かも知れないので
まだ何とも・・(苦笑

そちらは明日観ます。・・入れるかな、特に8時の回。一応予約したけど(苦笑
虚言の城の王子

虚言の城の王子

空想組曲

吉祥寺シアター(東京都)

2013/03/03 (日) ~ 2013/03/10 (日)公演終了

満足度★★★★

新たなステージへ
ほさかようが小劇場の枠を飛び出して、新たなステージに飛び出しているのが良くわかる。近い将来、パルコやコクーンで、名前で客が呼べる脚本家&演出家になっているだろうことは容易に想像できる。

数少ない、大人に通用するファンタジー作家だ。

斜め45度

斜め45度

劇団モンキーチョップ

アレイホール(東京都)

2013/03/07 (木) ~ 2013/03/10 (日)公演終了

満足度★★

ちょっと
シュールな設定での一連のコント? 普通に面白かったですが、ネタがちょっとブラックだったりベタだったり。。 好みの問題かな。。 スイマセン。。 役者の方々は元気いっぱいで見ていて気持ちよかったです! ただ、会場的に横からだと結構見づらかったりして勿体なかったかなとも思いました。。ハハ。。


「ジャパニーズ・ジャンキーズ・テンプル」

「ジャパニーズ・ジャンキーズ・テンプル」

ハイブリットハイジ座

シアター風姿花伝(東京都)

2013/03/06 (水) ~ 2013/03/10 (日)公演終了

満足度★★★★★

これは目撃しないと!!
大好きなハイブリットハイジ座の二都市公演企画。
感想もじっくり書きたいけれど、まずは行かずに後悔する人、見損ねて来週大阪まで新幹線で行かねばならなくなる方々のことを思って書く。

これぞハイジ座。シモネタ満載でぶっ飛んでいて危なくて、、それでいてどこか優しさに溢れた脚本。ばかばかしいほどのパワフルな役者たち。

最終日までに病院送りが出るんじゃないかと、本気で心配している。
鑑賞などというものではなく、体験に行こう!!

『豚引き剥がし騒動記』のような体液ダラダラ感(初体験がこれだったからやられた)はさほどなく、『立った立ったクララが立った!』みたいな重層的なドラマ感はさほどなかったかも・・・。題名に現れた「和風・狂気・寺」で想像した猥雑で混沌とした「世界観」の構築がまだ今ひとつかも・・・。
けれど、なんて愛おしい作品・・・・・。ネタバレになるので内容は書けない。
看板俳優の広井さんはやっぱりいい。去年のガクランが相当お気に入り?
女優では田中裕子もいいけど、南美桜から目が離せなかった。カワイイのに、怖くて残酷。ライト兄弟(一人なのに)とか、ゲッツな先生とか、ホモ坊主とか、ハイジ座らしい異形の者たちも健在。

・・・と、細かい見どころはたくさんあるし、ほとんど笑い続けていたが、ラストの一連のシーンですべて昇華された。見てはならない寺の本尊のご開帳とその祭りに参加した気分。私は舞台に向かって一心に祈り続けた。みんなも一体化してくれ!

日一日と変貌を遂げそうな舞台。事情が許せば大阪も行きたい・・・・。

9―ナイン―

9―ナイン―

K Dash Stage

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2013/03/02 (土) ~ 2013/03/10 (日)公演終了

満足度★★★★★

しんみり
K DASHというとイケメン俳優の登竜門の明るく楽しいステージというイメージがありますが(こういうのも大好きですよ)、内容的にそれをちょっと覆す作品。終わり方を知らない不器用な夢追い男は、最終的にいい終わり方をしたのではなかろうか。心にじわぁ〜〜っときた。

斜め45度

斜め45度

劇団モンキーチョップ

アレイホール(東京都)

2013/03/07 (木) ~ 2013/03/10 (日)公演終了

満足度★★★★★

とても楽しかったデス(^○^)
最初は、男性だけのお芝居ってどうかなって思っていたんだけど、
芝居、コント、踊り、歌も、とっても楽しく久しぶりにたくさん笑っちゃいました。とても良くできたお話だなと感心もしちゃいました。
これから、みなさんのホームページ、ツイッターみにいってみます。

ブルーアップル【終演しました!】

ブルーアップル【終演しました!】

X-QUEST

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2013/02/27 (水) ~ 2013/03/03 (日)公演終了

満足度★★★★

ダンスに魅了された
ダンスパフォーマンスに魅了されっぱなしでした。いったいどれだけ動き続けることができるのかと唖然としながらも、上演時間中ずっと楽しかったです。所々に入る笑いの要素もあり、多少初見には分かりづらい部分もありましたが、面白かったです。終盤はダンスや派手なアクションで前後のシーンがあやふやになってストーリーを理解するのに難解になってしまった感じがありますが…。もっと大きな会場で観てみたいです。

今、出来る、精一杯。

今、出来る、精一杯。

月刊「根本宗子」

駅前劇場(東京都)

2013/03/06 (水) ~ 2013/03/12 (火)公演終了

満足度★★★★★

今、出来る、精一杯。【おすすめ】
素晴らしいです。役者さんたち、誰もほかの誰かと交換ができるような作品ではありません。役者が交換できない芝居だけが観たい、という小生の欲求に激しく答えてくれました。おすすめです。今のところ2013年度のナンバーワンです。

ネタバレBOX

そんなこと、日常生活では絶対にありえないだろ、そんな男に構う女性なんているのかよ、といったプロットの連続に心底むかつくし、感情移入できないのですが、いや待てよ、それでもよいのかもとなびいてしまうのですが、最後のサカモトさんの言葉に作品のすべてが変わりました。色まで変わってしまった。がくがく震えました。素晴らしいです。
忘却のキス

忘却のキス

東京演劇アンサンブル

ブレヒトの芝居小屋(東京都)

2013/03/01 (金) ~ 2013/03/10 (日)公演終了

満足度★★★★★

上質な演劇
とても成熟した舞台だと思いました。脚本、演技はもとより、舞台装置、映像効果、音響効果が素晴らしく、比較的長い上演時間でしたが、集中して拝見しました。ただ、内容が難しく、消化不良の気がします。

ネタバレBOX

冒頭のアコーディオンと一輪車が良かったです。ジャグリングは少し見劣りしました。黄色の輪が目立つので、一輪車の人にパスするとか、もう少し派手な技がほしかったです。

三枚の壁がぐるぐる動くのが凄かったです。壁の向こうの演技もあり、両サイドの席はかなり見切れたと思います。わざとであればいいのですが、最初にセンター付近の客席のお薦めがあってもいいと思いました。客層的には問題がないような気もしますが、慣れてないと残念かもしれません。

演技も素晴らしかったです。訳の上手さもあるでしょうが、流れるようなセリフ回しに聞きほれました。少しトチりがあったのが残念でしたが、流れが滞るほどではなかったと思います。ただ、リカルダはイントネーションに違和感のある単語がいくつかありました。大量のセリフを上手くこなしていただけに残念です。

また、年配の俳優さんに多かったのですが、劇中、客席に呼びかけるのではなく、背後の他の役に話していると思うシーンで役者さんと目があった気がして、気まずい場面がありました。もう少し視線を外してほしかったです。

印象に残ったのは、ベッドの下から女の子が覗くシーンです。リカルダと目があっても屈託なく手を振る様子と表情が、役を端的に表現していて素晴らしいと思いました。アコーディオンの音が懐かしいような、幻想的な雰囲気を作り出していたと思います。衣装も素晴らしかったです。

難解な作品でしたが、表現方法が洗練されており、とても楽しめました。プロの仕事を堪能しました。


新宿コントレックスVol.8

新宿コントレックスVol.8

アガリスクエンターテイメント

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2013/03/06 (水) ~ 2013/03/06 (水)公演終了

満足度★★★

面白いものをいくつも観れて嬉しい
5団体ともに楽しく観れました。ほとんどが初見の劇団さんで、新しく知ることができて良かった。これからの活動が楽しみです。 面白いことをやっていても、やはり出ている側に笑われると引いてしまう所があります…なので実弾生活が一番真面目にバカやっていて好きでした。PLAT-formanceは観たことがあるせいか、テンポよくて面白かったのですが、少し新鮮味がなかった気もします。 一夜限りなのが残念です。ぜひ人に紹介したいイベントなので。これからも期待してます。

Doubt

Doubt

よろづや商店

d-倉庫(東京都)

2013/02/26 (火) ~ 2013/03/10 (日)公演終了

満足度★★★★

いい戯曲だな~
「Doubt」観るのは2度目で、前と比較したり、自分の考え方の変化に気づいたり、楽しい1時間40分でした。舞台ファンで見たことない人は、みんな見ればいいのいなーと思う戯曲です。

あんかけフラミンゴ2

あんかけフラミンゴ2

あんかけフラミンゴ

インディペンデントシアターOji(東京都)

2013/02/28 (木) ~ 2013/03/05 (火)公演終了

満足度★★★

挑戦は認めるけれど
それ以上でもそれ以下でもなく、とりあえず結果無難な印象でした。

だから★も3つ・・・

ネタバレBOX

セットをいかし切れていないのが残念。動くことよりも、もっと大切なものはなかったのでしょうかね?
新宿コントレックスVol.8

新宿コントレックスVol.8

アガリスクエンターテイメント

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2013/03/06 (水) ~ 2013/03/06 (水)公演終了

満足度★★★

最近流行のショーケース
なんだか増えてますね。ショーケースですから面白いものそうではないもの色々と見比べられて良かったと思いますし、1500円とチケットも財布に優しい。

以下ネタバレへ

ネタバレBOX

しかしがら面白かったと正直に言えるのはアガリスクエンターテイメントくらいで、あとはそこまで面白くありませんでした。アガリスクは流石の構成力で魅せられた!って感じ。

後藤彗さんは一人で頑張ってはいるのだが、あの空気感だけでは持っていない。他ふたつのコントユニットはコントなのにコントしきれていないのが残念。特に漫才は構成や本は悪くないのだろうがいかんせん演技力(?)実際にみるとそこまで面白くない。やはり漫才のあの雰囲気を出すのは難しいのだろうか?ま、それを狙ったわけではないだろうが、だったらただ笑えるものを作って来れば良かったのにとも思ったり・・・

また見てみたいと思います。
ブルーシートチルドレン

ブルーシートチルドレン

川崎インキュベーター

ラゾーナ川崎プラザソル(神奈川県)

2013/03/07 (木) ~ 2013/03/10 (日)公演終了

満足度★★★★

ファシズムの時代
 芝居はベタだが、大切な事は全部入れ込んで尚且つダンスに移るタイミングやシナリオとの連携も自然である。また、川崎インキュベーター合同公演ということもあって、通常舞台上には余り登場しない、制作、演出家、シナリオライター、振付役なども、其々の関係を役者役と共にこなし自然に展開させていた。

ネタバレBOX

 ブルーシートチルドレンとダンサー達が襤褸を纏って踊るシーンは美しい。但し、ダンサーならばタップはもう少し上手に踊って欲しい。感心できるレベルには至って居なかった。
 時代はファシズムの方向へ完全に振れている。最後は救いがあるものの、その先に何があるかを描いて時代感覚も良い。骨太なシナリオの評価を高くし、評価は4.但し、演技は、まだまだ磨くべき点がある。
連続おともだち事件

連続おともだち事件

クロムモリブデン

赤坂RED/THEATER(東京都)

2013/03/06 (水) ~ 2013/03/20 (水)公演終了

満足度★★★★★

"今だから見てほしい"がいつもここにある、クロムモリブデン。
前作「進化とみなしていいでしょう」から二作目の観劇。
役者陣のインパクトある愛らしい衣装と動きは、タイトルにかかわらずあるものなのだと分かって、引き続き見ていく劇団リストに入りました。
大迫力の音響も変わらず大活躍。そのお陰もあってか、今回は恐怖のあまり涙が止まらなくなるという前代未聞の事態に襲われ…大満足です。
忘れてはいけないこと、たいせつにしたいこと、一度にたくさんの想いが胸に溢れました。

忘却のキス

忘却のキス

東京演劇アンサンブル

ブレヒトの芝居小屋(東京都)

2013/03/01 (金) ~ 2013/03/10 (日)公演終了

満足度★★★

物語はというと、、、
7時に開演して、9時半終演。2時間半は長かった。正直くたびれました。
広い空間で、舞台が真っ白で綺麗でした。壁がパネルになっていて、クルクル回転して、役者の出退場の通路になる。その感じがとっても面白かった。

医師役の白髪のおじいさんが、よかったです。

アコーディオンの演奏があって、それも素晴らしかった。

ネタバレBOX

物語はというと、、、よくわかりませんでした。
ある突発的な出来事から結びついたカップルがいて、旅行に行ったり、喧嘩したり、仲直りしたり、別れたり(もしたっけ?)。男のほうが死んで、女はその告別式で知り合った男とまた付き合うようになる。

女のベッドの周辺にはたくさんの人がいて、なんか喋っている。彼らは幽霊? そのなかには、つきあっていた男もいたしね。観客には顔を向けず、終始向こうを向いて喋っていた。

最初と最後には11人の映画の観客が屋根裏部屋に集まっていて、よくわからないことを話している。この人達は誰? 屋根裏部屋ってどこ?

主人公を演じた女性。
告別式ですぐまた別の男とつきあいだすような、そんな感じの女性には見えず、違和感が。最初の男とつきあう様子も、なんとなく『らしくない』感じが。だからなのか、観ていて退屈を感じた。

かなり高齢だと思うのですが、医師を演じた方と、もうひとり患者の男と、ふたりのシーンがあるのですが、そのシーンで眼が覚める思いがしました。
医師役の方は高齢で、口がよく回らず、声が聞き取りにくい。でも一生懸命聞き取ろうとしていると、なんだかすごく面白い。味がある。
一方主人公の女性役の方は、声もいいし、よく通るのだけれども、なんとなく退屈。
その対比が、芝居というものを考える上で面白いと思った。

それから映像表現がうまく使われていました。
舞台全体が白い壁で覆われていたのは、壁をスクリーンとして使うためなのですね。
映像はすごく頑張ってたのかもしれない。その苦労の程はぼくにはわからない。しかし舞台全体を覆う映像は、大雑把な感じもしないではなかった。
まだまだ解像度が足りないってことなのかなあ。

最初に波が舞台全体を覆ったときには、ああ、きれい、美しい、と素直に思った。
でもそれがCGによくあるワイヤフレーム表示になったとき、がっかりした。どうしてなんだろう。
自分でもよくわからないんだけど。ワイヤフレーム表示があると、なんとなく素人相手に「CGだよ、すごいでしょう」って言われてるような気がして、ということなのかなあ。

役者が蛾の話を持ち出すと、蛾の映像が出てくる。燃える話が出てくると、炎の映像が出る。
それはすごくわかりやすいけれども。どうなんだろう。これも説明的すぎてちょっと。

炎の映像が出るとき、照明が暗く落とされていた。これは炎の映像を綺麗に見せるための演出なんですよね? だとした、それにはぼくは反対です。役者の顔のほうをもっと観たい。でも暗くて見えない。イライラしました。

そう考えると、映像表現は必ずしも成功とはいえなかったのでは。効果的なシーンもあったとは思うのですが。
秘を以て成立とす

秘を以て成立とす

KAKUTA

シアタートラム(東京都)

2013/03/01 (金) ~ 2013/03/10 (日)公演終了

満足度★★★★★

家族愛
誰にでも起こり得ることかもしれません。家族愛を感じました。

ネタバレBOX

多重人格物は嫌いですが、自己のコップの容量を超えるストレスが押し寄せ、胸の辺りにあるコップから水が溢れ出し、キューンと心臓に染みてしまったとき、粗暴な人間や生真面目で理想的な医者、さらには子供の頃、自分の嫉妬から発したいたずらが遠因になって事故死した姉の人格に陥ることは理解できました。

傍から見ると同じかもしれませんが、よくありがちな多重人格物のように他の人格が本人を押し退けて表に出てくるというよりは、本人が他の人格の世界に逃げ込むといった構図に見えたことがストンと腑に落ちた理由のような気がします。

脳梗塞で急死した近所のおじいちゃんについて、守田医師の処方ミスではないかとの遺族からの抗議に耐えかねて彼らが現れたわけですが、姉の死を引きずっていた子供の頃にも彼らは現れていたようです。成長するにつれコップが大きくなるというのも分かります。しかし、どんなにコップが大きくなってもそれ以上のストレスが押し寄せてくれば溢れてしまいます。今回の経験を通してさらに一回り大きなコップになったようですが、不安は残ります。

誰にでも起こり得る鬱、この家族の温かさが心に沁みました。

ただ、謎の少女の存在や粗暴な下宿人ハリオなどにモヤモヤし、早く真実が知りたいと思ったのも事実ですが、少しタネ明かしが早かったような気がします。もう少し後まで引っ張っておいてほしかったと思いました。赤城医師に代わり守田医師による再現シーンは、周りの人にはこう映っていたんだというビジュアル的な面白さはありましたが、本当に必要だったのでしょうか。
ちょっとした夕暮れ ※取扱終了回ご希望の方は、注意事項をご覧ください。

ちょっとした夕暮れ ※取扱終了回ご希望の方は、注意事項をご覧ください。

りゃんめんにゅーろん

event space 『雲州堂』(大阪府)

2013/03/05 (火) ~ 2013/03/06 (水)公演終了

満足度★★★

会話のズレが笑いを誘う♪
二話のショートストーリーオムニバス

第一話「小さい夕方」
Cast/宿南麻衣(遊気舎)×南出謙吾

仲良く食事をする女子高生と中年男性の違和感に満ちた二人の会話劇

男が自分の想いを必死に伝えようとするが彼女に伝わっているのか?
お互いの話しが少しズレていて戸惑いながらの会話が面白い♪
好きになった時に自分の事をどう思っているのか?
探りなからのドキドキした様子が伝わってきました♪

高校生役の宿南さんの声のハリといい話し方といい!
17歳になりきった⁈ 演技がいいですね!
違和感なくすんなりと二人の会話に入り込めました
最期はちょっと寂しい?余韻を残しましたがこれこそ会話劇の面白さ♪


第二話「天気予報を見ない派」
肉戸恵美(劇団未来)×田中悟(ONE WAY TRIP)

十年振りに再開したかつての恋人の懐かしいむ二人の会話劇

10年振りの距離感があり、昔を懐かしむまったりとした雰囲気♪
こちらは普段着の様な落ち着いた演技で何気ない会話が続きます
私が鈍感なのか⁈
傘を持たない女というのがピンとこなかったので
あまり擽られる所がなかったかなぁ…(^^;;

この二つの話には買い物で蒸発や電話など共通点があり繋がっている様に見えましたが?
この部分をもっと深掘りすればその人の人間性や繋がりが見えて
もっと話しに深みが感じられて面白かったのではないでしょうか?

小さなスペースにピッタリな会話劇!
こんなお芝居もまた面白い(^^)

人に何かを伝える事ができるってその人だけの資質の様な気がします!
またの再開を期待してます♪

あんかけフラミンゴ2

あんかけフラミンゴ2

あんかけフラミンゴ

インディペンデントシアターOji(東京都)

2013/02/28 (木) ~ 2013/03/05 (火)公演終了

満足度★★★★★

女優がいい
はい、大好きなタイプの作品です。

秘を以て成立とす

秘を以て成立とす

KAKUTA

シアタートラム(東京都)

2013/03/01 (金) ~ 2013/03/10 (日)公演終了

満足度★★★★★

「涙を以て…」
ドラマチックな設定で描かれる「秘すべきこと」をめぐる人々の優しさ。
でもそれは辛くて哀しい優しさだ。
役者陣の充実と緩急の効いた演出、説得力ある台詞が素晴らしい。
最後は「涙を以て成立とす」であった。

ネタバレBOX

舞台いっぱいに二つの部屋が作られている。
下手は守田クリニックの待合室、上手は守田家の二階建住居スペースと庭。
院長の晋太郎(吉見一豊)、妻の津弥子(藤本喜久子)、看護師の孝枝(原扶貴子)の他
同居する晋太郎の弟庸一(佐賀野雅和)のほかさらに奇妙な男たちが存在している。
足の悪い凶暴な大工ハリオ(清水宏)と、テキパキ仕事をこなす医師赤城(成清正紀)だ。
時々小学生の少女(ヨウラマキ)が庭先に現われて晋太郎と会話したりもする。

これは私の好きな精神疾患もの、それも「多重人格」を扱った作品である。
“小学生の時に事故で姉を死なせた、助けられなかった”ことで自分を許せない晋太郎。
一時現われなくなった人格は、妻とのすれ違いをきっかけに再び現われるようになる。

この「多重人格」が医学的に正確かどうかとか、ドラマチック過ぎる病気だとか、
ツッコミどころはあるだろうが、そういうことがどうでもよくなってしまうのは
深く病んでいる晋太郎とそれを見守る人々の心情が超リアルに描かれているからだ。
終盤「お姉ちゃん、ごめんなさい!」と泣きじゃくりながら叫ぶ晋太郎、
「こんな病気の自分はもう駄目だから離婚してくれ」と妻に泣きながら訴える晋太郎の、
客席まで満たすものすごい緊張感。
自分を否定しながら生きて来た苦悩が伝わって来て涙が止まらなかった。
誰も助けてくれないから別の人格を作り出すしかなかった、
そうしなければ生きることができなかったというのは何と孤独な人生だろう。

この舞台のもうひとつのテーマは、
「怖くて聞けないことこそ、聞かなければならないこと」だと思う。
晋太郎がどこまで多重人格を自覚しているかを確かめることができない津弥子も、
お腹の子の父親に妊娠を告げられない有名ブロガー(高山奈央子)も
みな何かを怖れて聞くことができずにいる。
まさに「秘を以て成立」するあやうい人間関係を、壊れ物のように扱っている。

ラスト、晋太郎はトラウマから脱却しようとするかのように
「やっぱり走ろうかな」と言ってマラソン大会に戻る。
姉が死んだあの日もマラソン大会だったのだ。
津弥子に「一緒にそこまで走らないか」と声をかけ、二人は走り出す。

多重人格それぞれをはじめ、隙の無い役者陣が明確なキャラを活き活きと演じていて素晴らしい。
銀子役の桑原裕子さん、ちょっと頭の足りない銀子を演じて大いに笑わせたが
素直な台詞に力があって説得力抜群。
超シリアスな話なのに、ところどころで抜けた笑いを誘う、この緩急が本当に効いていると思う。

晋太郎の過去と現在を照明によって切り替える演出、
それぞれの人格が暴れたり活躍したりした同じ場面を
今度は晋太郎一人が演じて事実を再現する演出などが上手いと思った。

「秘を以て成立」とする関係は危ういし苦しい。
晋太郎も津弥子も「開を以て成立」させることで一歩踏み出した。
相変わらず人格は現われるが、二人には彼らと共存していく覚悟ができたように見えた。

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