最新の観てきた!クチコミ一覧

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ドブ、ギワギワの女たち

ドブ、ギワギワの女たち

ネルケプランニング

【閉館】AiiA 2.5 Theater Tokyo(東京都)

2013/03/29 (金) ~ 2013/04/01 (月)公演終了

満足度★★★

ドブ、ギワギワ
初日を観劇させていただきました。印象としては、もう少し小さめの劇場で観たかったかなと…出演者の人数や舞台セットを考えると妥当な広さなのかもしれませんが…。エログロ余り得意ではないので、警戒していたのですが不快な感じではなく、女性でも観やすいかと思います。綺麗なイケ女いっぱいです。

ネタバレBOX

OPダンスも映像との組み合わせで格好良かったです。ラストも圧巻でしたが、舞台上で雨を降らせる手法?は江本さんの演出ではよくあることなのでしょうか?もっと全員びちゃびちゃでもいいのかな〜なんて思いました。あとちょっと笑いどころが分からないネタもあって、それは世代差かなと。私は個人的に営業部の石川と柴田が好きです。スキーウェアに白のハイレグは自然すぎて最初気付きませんでしたが、笑いました。
ヒーローアゴーゴー!

ヒーローアゴーゴー!

劇団東京都鈴木区

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2013/03/13 (水) ~ 2013/03/24 (日)公演終了

満足度★★★★★

あたたかい気持ちになりました。
初演で始めて鈴木区の魅力に触れ、大好きになり、今回は再演!!続編もあるとのことで、とても楽しみにしていました。ゴーインステージを2本観劇させていただきましたが、期待の更に上の上をいっちゃった感じ。本当に面白かった、観て良かった!と思える作品でした。お腹が痛くなるほどの笑いアリ、シリアスシーンではじーんとしてしまうし、でも最後は切ないけどにこにこしてしまう。お芝居を観て、じんわりあたたかい優しい気持ちになって帰れるのはとても嬉しいです。屋上編も遊園地編もとても素敵な作品でした。ネタバレはネタバレBOXに書きます。
【余談】鈴木区さんのお芝居は過去作品の小ネタがちょいちょい挟まれているようなので、毎度過去作品見たかったなぁ……って気持ちになります。だからこそ、ダイジェスト動画とかアプリとかkindle販売の脚本とか、充実しているのかな。そういうアプローチも他劇団ではあまり見なくてとても面白いし、今後もじゃんじゃんやっていただけたら嬉しいなと思います!!

ネタバレBOX

【デパート屋上編】前作も大好きだったけど前作より更にパワーアップしている感じ。前作のらぁめんやさんやおかもちアタックのくだりも大好きだったので、それが無いのはとても寂しかったですが、前作より笑いのテンポとか諸々が洗練された感じがあって、楽しかったです。ヒーローじゃない人たちのキャラも相変わらず強烈で、ドリル姉さんやU.M.A.が出てくると何度でも笑ってしまう。照山氏は本当にずるい、あの存在感……。ラストの方は毎回うるうるしてしまいますね。何度でも観たい大好きな作品です。【遊園地編】本当にテーマパークが出来ていてまず大笑い(笑)屋上編→遊園地編と続けて見ると、とぶらや5班の皆の絆の強さとか、出てくるキャラクターたちの愛しさとかそういうものが更に高まって、空回る葵山くんとか、とぶらやの皆がチーフや5班を大好きなところとか、協力してくれるマルゴツの人の気持ちとか、チーフの譲れない想いとかが凄い説得力を持って自分の中に飛び込んできました。とても引きこまれてボロボロ泣いてしまったり、でもコミカルなシーンでは爆笑しちゃったり。感情のリミットをはずしてくれる鈴木区のお芝居がとても好きです。あと間島さん演じる吐露夢さんが凹んだ葵山くんにかける台詞がとても好き。その後の市長がかける言葉も好き。きっと今後チーフのようにチームを引っ張っていく存在になるかもしれない葵山くんが、どんなスーツアクターさんになっていくのかも気になったりします。あとミーハーな感想としては、吐露夢さんの声当てと葵山さんの動きがぴったり合うのが鳥肌モノでかっこよかったです!
秘密も、うろ覚え。

秘密も、うろ覚え。

モモンガ・コンプレックス

岩崎博物館(神奈川県)

2013/03/29 (金) ~ 2013/03/31 (日)公演終了

満足度★★★

50年後の再演
50年後に再演される予定の作品を通じて、現在の姿と50年後の姿がユーモアと切なさをもって描かれていて、しっとりとした質感が心に残りました。

トランペット独奏によるファンファーレが響く中、電動ブラインド越しにダンサー達の姿が見え隠れする印象的なオープニングの後、賑やかなショーダンス的なシーンが続き、それぞれのソロを挟みつつ、50年後のシーンが挿入されて年老いていく体を感じさせ、静かに終わる展開でした。

紙皿やプラスチックかご等に顔を書いた仮面を身に付けて踊るシーンは抑制された動きとジェスチャーが能のようで、とても美しかったです。
このカンパニーらしい失笑を誘う様な小ネタが楽しかったのですが、各ダンサーの存在感だけで十分面白いので、笑いを取ろうとする演出をそれほど盛り込まなくても良いような気がしました。

表情も作品の要素として大きな位置を占めていて、各ダンサーの個性が出ていました。白神さんの男前な雰囲気とソプラノの歌声にインパクトがありました。

ピアノ生演奏を中心とした音楽も、普段はクラシックの演奏会を行うことが多い会場の雰囲気に合いつつ、ノリの良さもあって素敵でした。既製の音楽の選曲のセンスも良かったです。

龍神山の物語

龍神山の物語

オールアクトカンパニー

SPACE107(東京都)

2013/03/27 (水) ~ 2013/03/31 (日)公演終了

満足度★★★★

歌にダンスに
お芝居だけでなく歌やダンスにも魅了されました。何と言っても石山雄大さんの絶対的な存在感がこの公演のキモだったと思います。結末は予想通りでしたが、その悲劇的結末にも拘らず、最後に爽快感が得られたのは脚本の勝利でしょうか。

ゼガヒデモ

ゼガヒデモ

Guesspell Project

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2013/03/27 (水) ~ 2013/03/31 (日)公演終了

満足度★★★

視覚的
 非バージョンを観た。お笑いというと、自分達の世代はもっと言語感覚に訴えるものを想像していたが、TVの影響だろうか。視覚的要素が強い。川柳や狂歌を下敷きにしたような、言語センスを活かした作品が極端に少ないのも、或いはこのような伝統芸と対峙するような芸が見られなかったのも、芸人の振りをしてはいても、漫然と受け身で生きていて、ものをキチンと見もしなければ聞いてもいないので、ただ流行りの視覚的遊戯に埋没し、過去の作品を活かし現在をも活かしむるような作品が上がってこないのだろう。
 落ちが丸見えという笑いにならないレベルのものも多く、これで、芸というのはいかがなものか? とは思う。
 ストーリーのある演劇仕立ての作品も、一定、言いたいことを表しているし、その志も分からなくは無いのだが、こちらも、視覚的要素やアクションに安易に逃れ、伝統的な笑いの芸や過去の偉大な作品に通暁していないので、対決もしていない。その結果、芸が浅い。

私のなかの悪魔

私のなかの悪魔

メジャーリーグ

あうるすぽっと(東京都)

2013/03/25 (月) ~ 2013/03/31 (日)公演終了

満足度★★★

19世紀の戯曲なのに今風
高橋洋さんが久しぶりに舞台に出演と言う事で楽しみにしていた公演。
青山眞治さんが舞台演出と見た時、「G.G.R」の舞台の不慣れなさに違和感がつきまとっていたけど、今回は全くそう思う事もなく、古い戯曲なのに現代的で夫婦、というか男女の緊迫感ある会話に楽しめた。

ネタバレBOX

海辺近くのある家。一段高くした舞台床上にソファーとテーブル、4本の支柱。 舞台奥上方にロフトのような小部屋が見える。
夫と元夫、妻と夫、妻と元夫の会話場面が多い。
陽気に振る舞う小悪魔妻、嫉妬と不信を募らせながらも時折感情剥き出しにしてうろたえたりする夫、元夫は現夫にアドバイスと思わせるような巧妙なそそのかしをするも、翻弄されてしまったりする。本当は女難の手相でも出ていそうな性格。
夫婦の関係が破滅寸前になるとわかるとあがく妻、それを逆手に妻を傷つけるも、結局自滅してしまう夫。
上品な昼メロみたいな感じだったけど、三人とも生々しい迫力で大人な魅力が満載だった。

最後のアドルフの台詞の時、自分の座席からは支柱で役者が遮られて表情が見えなかった事が非常に残念だった。
それ以外はとても興味深い演目でした。
台風

台風

ぐにゃり

ハコビル(福岡県)

2013/03/23 (土) ~ 2013/03/24 (日)公演終了

満足度★★★

よくできた戯曲だが、舞台はやや雑駁
イジメの問題に正面から取り組んでいて、構成もうまくてよくできた戯曲だ。
ただ演技と演出が弱くて舞台はやや雑駁な印象で、戯曲の面白さが完全には引き出されていない。

詳細は、演劇感想サイト「福岡演劇の今」 http://f-e-now.ciao.jp/ に書いています。

不変の価値

不変の価値

集団:歩行訓練

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2012/11/21 (水) ~ 2012/11/24 (土)公演終了

満足度★★★★★

実験面の可能性においては圧倒的
2012年の冬に行われたフェスティバル・トーキョーで、私はそれなりの数の作品を見たが、実験面の可能性においては、他の有名な劇団の公演を差し置いて、この作品が圧倒的に高いと思った。

ただ、正直に言わせてもらえば、完成度や演技・その他の面では、圧倒的に低かった。
だから、多くの人の反応が低評価なのは仕方のないことだと思う。

ただし、私はこの作品の中の可能性を高く評価したい。

ネタバレBOX

まず、観客は、チケット代から公演にかかった諸経費(山口県からの交通費など)を差し引いた金額500円をその場で返金される。
そして、その500円を払って、役者に演出を付ける。

この演出の権利がチケット代であり、同時にその演出通りに役者が演技することこそがその見返りなのである。つまり、役者の演技が商品だということだ。

役者にとっては、観客の要求に答えることが労働であり、500円がその対価となる。

この時点から、既に「不変の価値」の問題提起は始まっている。

そして、次々と複数の観客が演出を付けていく。
そこでは、無理な要求などもあり、それなりに面白おかしいのだが、本質的な意味で偶然性や複数性などが芝居に取り込まているとは言い難く、少しもったいない気がした。

だが、重要なのはこの観客の要求によって変容する舞台の側ではなく、観客がそこで、演出を付けているという行為の側にある。
観客が劇構造に参加して興奮するという部分もあるが、もっと重要なことは、
ここで行使した演出の意味、500円の価値が、後に理解されるようになるということだ。

その手掛かりは、開場時にスクリーンに写されていた言葉であり、
劇の後半にまた投影されることになる言葉だ。

「商品は、自分自身で市場に行くことができず、また自分自身で交換されることもできない。したがって、われわれはその番人を、すなわち、商品所有者をさがさなければならない。商品は物であって、したがって人間に対して無抵抗である。もし、商品が従順でないようなばあいには、人間は暴力を用いることができる。」(『資本論(一)』マルクス・エンゲルス編/向坂逸郎訳 岩波文庫 1969,p.152) 

(上記の引用は、当日販売していた公演台本からの孫引きなので、原本にはあたっていません、悪しからず)

観客は、500円を使って役者に演出を付けたこと、そのこと自体がある種の暴力であったと気付かされる。そしてそれは、様々なサービス業など、今日私たちが社会で金銭の代償に人間に対してさえも求めている暴力そのものだということに気付く。

あの行為はただの観客参加では無かったのだ。まさに自分が手をくだしたその行為が、金銭を介在させた暴力の本質に触れているということ。私たちは、そのようなことに無自覚に、日々生活し、金銭のやり取りをしているということ。それが資本主義の本質だ。このようなシステムで社会は成り立っている。そのことに気付き、観客はゾッとする。
まさにその渦中に自分がいて、日々その暴力を行使して私たちは生活しているのだから。

だが、逃れようがない。
かつてのように共産主義の理想を信じるほど、現在の私たちはナイーブではない。それでも、この社会の中で生きていかなければならない。

凄い作品だと思った。


観念的に説明してしまったが、一番重要なのは、観客の行為そのもの、その手触りの感覚が作品のコアにあるということだ。ただの観念でそれを舞台にしている訳ではない。実験性をうたった作品の中には、観念先行で何の手触りもないものも多い。だが、この作品にはこの手触りがある。
素晴らしいと思った。

ただ、演出家の谷竜一氏はどこまでこの演劇の可能性を自身で把握しているのかという点はよくわからなかった。

というのは、作品の後半は、まさに観念先行の哲学的な言葉が舞台を覆いつくしたからだ。ただし、そのような空虚な言葉、身体性を伴わない言葉が交換され、叛乱しているのが今日の社会であり、「不変の価値」の問題提起として、金銭同様に「言葉」の価値も問われているのだとも言える。もはや、単なる情報でしかない言葉の洪水の中を私たちは生きているのだから。

ただし、そういう「言葉」や「情報」への批評として後半の舞台があるとするならば、空虚ではない言葉・身体を持ってきて対峙させるか、又はより徹底的に空虚でしかないことを、観客が絶望するまでに見せつける必要があったのではないかと思う。そうでなければ、この作品も観念先行の作品だと位置づけられてしまっても仕方がないと思う。

と、偉そうなことを言ってすみません。
本当に期待しているので、書きました。

実験、ポストドラマなどと言っても、本当に面白い作品に出逢うことは稀で、その多くは観念先行で、それならば舞台にする必要はない、文章で批評すればよいのではないかと思うことがよくある(もちろん、そうでない作品も知っているが)。

この作品には観念だけで終わらないものがきちんとある。

今後の作品・活動にも期待しています。

お父さんの背中

お父さんの背中

劇団かさぶた

劇場MOMO(東京都)

2013/03/28 (木) ~ 2013/04/01 (月)公演終了

満足度

学芸会
面白くなかったと言うか何を伝えたいのか全く分からなかった。
タイトルだけでなんとかです。

学芸会です。

ご飯の時間

ご飯の時間

玉田企画

アトリエ春風舎(東京都)

2013/03/27 (水) ~ 2013/03/31 (日)公演終了

満足度★★★★★

最高でした。
こういう芝居が観たかった。間や空気感で魅せる芝居。動画じゃ伝わらない、生ならではの芝居。特別なことは何もしてない。役者がとてもよかった。

ネタバレBOX

勝手に保証人にするクズなくせに修理費は形だけでも返して自分を正当化するクズなとこがまたリアル。一緒に卵賭けご飯食うシーンでちょっといいなと思った自分がバカだった。出て行ってもらおうと決断してから事故るのもしっかり振って落としていて気持ちいい。他の役者も風貌、性格、発言が一致していてよい。カレーのくだり、テストのくだりもよくて笑いの加減や量が絶妙だった。
『熱狂』『あの記憶の記録』ご来場ありがとうございました!次回は9月!

『熱狂』『あの記憶の記録』ご来場ありがとうございました!次回は9月!

劇団チョコレートケーキ

サンモールスタジオ(東京都)

2013/03/23 (土) ~ 2013/03/31 (日)公演終了

満足度★★★★

人間の強さと弱さと脆さは全ての時代に共通する。
『親愛なる我が総統』
絶対のがしたく無いので予約して拝見いたしました。
静かに進む時間と重くのしかかる過去

人は余りに辛い時には感覚を麻痺させる

良い時間を過ごせた
とても良い時間であった
ギリギリのマチネとソワレの間に公演を打つのは
とても大変だったとおもいますが、
熱狂とあの記憶の記録をみたからこそ
物語が広がるように感じました

ネタバレBOX

淡々と進む芝居は凝縮した一時間でありました。

この演目の役をやるならば
もっと歳を重ねていた方が良いのでは?
と、思うかもしれない。
また、ドイツ人に見えない。とかも思うかもしれないけれど
私は名前とか国を考えずに観れば良いだけだと思いました。

戦争は価値観を奪う
絶対悪などは無い
もし私に子供がいたら、究極の状況下で
家族を守る為にどう変わるであろうか。

これを気に考えてみたい。

そして、静かなだけに
眠った人が居ましたが
イビキをしていたのでひじで起こしました。
起きてくれてありがとう。

今後のチョコレートケーキも楽しみです

『熱狂』『あの記憶の記録』ご来場ありがとうございました!次回は9月!

『熱狂』『あの記憶の記録』ご来場ありがとうございました!次回は9月!

劇団チョコレートケーキ

サンモールスタジオ(東京都)

2013/03/23 (土) ~ 2013/03/31 (日)公演終了

満足度★★★★★

考えさせられる
通しチケットで2本とも見てきました。
どちらも重い内容ですが、いろいろ考えさせれらる内容です。
「熱狂」はまさにアドルフ・ヒットラーの全盛期を描いた作品。ほぼ史実の踏襲ですが、難解な台詞が飛び交い、まさに「熱狂」の渦に巻き込まれました。
「あの記憶の記録」はある家族の中の秘密が解き明かされていく内容ですが、こちらの方が感情移入できたというか、引き込まれました。
どちらも70年から80年ほど前に本当に起きたことを考えると…戦争がいかに無意味なことなのかがよくわかりました。

従軍中の若き哲学者ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタイン....

従軍中の若き哲学者ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタイン....

Théâtre des Annales

こまばアゴラ劇場(東京都)

2013/03/29 (金) ~ 2013/04/07 (日)公演終了

静かな轟音、眩しい闇
もっともっと戦争や命のことを掘り下げていくのかと思っていました。
確かに前半はそうでしたが、
後半は言葉と命についてでした。

長いタイトルが、最初に出演者によって語られます。
助詞と助動詞にアクセントを付けて、丁寧に。
そこから、この作品が言葉を語るものだということが
表現されていたのかもしれません。

真っ暗な中で響く金属音、銃声、足音…。
真っ暗な中を照らすランプ、吊されたランプ、ゆれるランプ、閃光、懐中電灯…。

恐怖心が煽られる演出が見事でした。

ミトリ屋

ミトリ屋

劇団ドドドドドド

遊空間がざびぃ(東京都)

2013/03/28 (木) ~ 2013/03/31 (日)公演終了

満足度★★★★★

油断してると泣かされます
すごく良かったです。
ゆるいコメディ調のノリから、人の死、命について描いた終盤のシリアスな展開への流れがお見事でした。
ラストのオチも秀逸。最後に暗示されるある真相に気付くと、それまでの会話や演出の印象が変わり、そういうことかとストンと腑に落ちてきました。

暖かくてじんわりと胸に残る作品。
観劇後感も良く、個人的に好みな作品でした。

ネタバレBOX

登場人物では冬子が一番のお気に入り。
普段感情を見せないクールな冬子が時折見せるユーモラスな一面はとても魅力的に映りました。
そして、終盤の桜と冬子のやりとりがとても印象深いです。
桜の死に直面して初めて感情を見せる冬子の姿には涙腺を刺激されました。
俺がヤギでもその手紙だけは食えない

俺がヤギでもその手紙だけは食えない

GORE GORE GIRLS

インディペンデントシアターOji(東京都)

2013/03/28 (木) ~ 2013/03/31 (日)公演終了

満足度★★★★

テーマは好き
ヘタウマとでもいうのか演技は上手じゃないんだけどその下手な感じが独特で味となって笑いにつながってる感じ。30分くらいの短編ならそれでいいんだけど90分だとちょっときついかな 台詞回しはあまりよくないけど笑いを逐一挟むのであまり感じさせない。でも面白くなかったときテンポが悪くなる。自分は同世代なので非常に興味深いテーマだった。学生ノリの範疇を出ないヘタウマな芝居がそれはそれで好きだったんだけどマスターの冷ややかな正論がちょっと不快だった。そういう人が1人いなきゃダメなのかもしれないけど正論とかとは一番遠いとこでおっさんと若者はぶつかってたので。

シュワロヴィッツの魔法使い

シュワロヴィッツの魔法使い

メガバックスコレクション

阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)

2013/03/29 (金) ~ 2013/04/07 (日)公演終了

満足度★★★★★

脚本に感心 演技もなかなかでした
魔法使いの出てくる物語は、正直嫌いである。今まで、何度読書に挑戦したか知れない。しかし、最後まで読んだものは、残念ながら皆無。
きっと私には夢や想像力が欠如しているに違いない。読む進めるうちに、「現実はそう簡単にはいかないものさ」「魔法で解決できるのなら、なんでもありになってしまう」と、しらけてしまうからだ。
そんな私が、魔法使いの登場する演劇を観にきたのだから、不自然きわまりないのかもしれない。
正直言って、プレゼントに当たってしまった(失礼)、そして田中さん(私の元同僚)と会って話がしたいということで、阿佐ヶ谷に赴いたというところが本当のところだった。

ところが、である。
思ったよりも(また失礼)格段に面白く、しかも感心することばかり。今年観た劇の中で、一番私には心に響くものとなった。
一言で言うと「よくまとまっている劇」。

感心したのは、脚本。よく練られたストーリーと構成。そして、後段に島民全員にかけられた魔法の謎解きの巧妙さ。その伏線も含めて、しっかりとした脚本であった。まずなによりも、脚本が、その公演の正否を決定づけるといってもいいのだから、優れた土台を得た俳優さんたちと言えるのではないかと思った。あれほど、魔法使いの嫌いな私が、最後まで目を開けて見ていられたのは、そんな脚本、しかも魔法使いを「全能」にしなかったものだったからに違いない。

若い俳優の劇団には、重みが感じられない。いつもそう嘆く私であるが、今回、若い集団であるのにもかかわらず、それを感じさせなかったのは、星さん、大里さんの演技力、表現力があったからこそだと思えた。二人の演技が、この劇を「軽薄」なものにしない重しとして作用させてくれた。とりわけ、星さんの声の抑揚、間の取り方は、素晴らしいものですね。

生と死の重さ、軽さ。そして人生の切なさ。
十二分に、私に感じさせ、考えさせてくれた2時間だった。

ひとつだけ。前半に、よくモノが落ちました。暗いから、狭いからなのでしょうが、気をつけてくださいね。

僕たちの町は1ヶ月後ダムに沈む *TypeC*

僕たちの町は1ヶ月後ダムに沈む *TypeC*

ソラリネ。

上野ストアハウス(東京都)

2013/03/27 (水) ~ 2013/03/31 (日)公演終了

ダムが生む壁。


ダム建設派「ダムは、治水や飲料、生活用水、電力の需給を考えると不可欠といってよい。水力発電の発電量は現在、約8%を占めています。火力に比べると低いですが、再生可能エネルギーよりは比率がある。原発事故でエネルギー事情がひっ迫する中、この数字の持つ意味は大きい」


ダム反対派「石炭や天然ガスに基づく火力発電に比べると、エネルギーの代替機能は劣る。ダムを建設するには数十年という時間が掛かるのです。
群馬県の八ッ場ダムだって、建設開始から四半世紀以上が経っている。
つまり、8%が今後、拡大していくことは考えられません」


ダム建設派「たしかに水力発電の急拡大は  非現実的だが、発電方法としてはクリーンエネルギーです。火力より二酸化炭素を排出せず、電力の使用が疎らな夜間に水を揚げることが可能、まさに日本の環境やエネルギー事情にマッチングした電力といえるのではないでしょうか?」


ダム反対派「環境省は水力発電(河川を含む)を自然エネルギーに指定していません。
個人的にも、ダム建設に伴う河川の整備は生態系を壊しますから、自然環境にマイナスだと思いますが」



住民「一旦、ダム建設が決定したなら、急いで突貫工事して頂きたい。電力とか  どうでもいいんで」


ダム建設派「八ッ場ダムは、関東一帯の治水を保持するため早く建設しなければ。2009年10月に国交相が八ッ場ダムの建設中断を発表した際も、一都六県の知事が一丸となって反対しましたね。
今は国交省、県、地元住民、建設会社が一丸となり、関東の水災害を予防する八ッ場ダムの建設を進めています」


ダム反対派「ダムに沈む街は観光地という資源を失うんですよ。
自治体の観光課はダム湖畔を全面に打ち出しますが、やっぱり琵琶湖とか猪苗代湖、芦ノ湖には負けますね。

コンクリートでせき止めた、人工の大池と変わらないでしょ。
治水も 大事ですが、トータルで考えると地元にとっては経済的マイナスです。ダム建設にインセンティブが生じるなら、全国の村や町が『沈めて下さい』と懇願するはず。
退去金や建設費を合計した場合、八ッ場ダムなどの大型ダムの総経費は一兆円を超します。これ、税金ですよ?いいんですか?」


ダム建設派「ケインズ経済学には否定的な見解もありますが、穴を掘って埋めるだけでも、経済価値は  あるんです。
田中康夫知事の長野県は、脱ダム宣言で生活が苦しかった。ダムを逆さまから読むと、ムダなのだといいます。
でも、そういう公共工事削減を強行して最も削れたのは県民の豊かさですよ」


ダム反対派「某政党は2009年の総選挙時、『コンクリートから人へ。』を選挙コピーとした。
ところが、政権交代後しばらくしてから建設団体の幹部が馬淵国交副大臣の待つ大臣室のドアを叩き、あっけなく  そのコピーは白紙となりました。

田中康夫知事が二期目を目指した県知事戦で自公が推薦する候補に大差を付けられ落選したのは、豊かさを削られた県民より建設団体の組織票に負けたからではない
か。県知事の二期目は圧倒的に有利です」


地元住民「私たちが町長を選んでも、ダムの建設には  関係ありません。結局は、基礎的自治体というんですか、そう呼ばれる単位の行政リーダーか、県知事しか 国と交渉する力はないんです」


ダム建設派「ダムに沈む街は過疎化が深刻な地域が  ほとんど です。
夕張市のような財政破綻を避け、住民の生活インフラを向上させることが住民、ひいては地域のためになるんですよ。
国や県が設備の整った代替地を提供し、補填費用を払い、ダム湖畔の観光地まで出来る。
八ッ場ダムの反対派の皆さんが次から次へ建設に手を上げてくださってる背景は、八ッ場地域の過疎化という現実があるのだ思います」

ダム反対派「ダム建設で街が沈んだら、町民は散り散りになる。
過疎化どころではなく、コミュニティの破壊ですよ。
『虹色ホタル』(東映アニメーション  2012)という映画は ご覧に なったことはあるでしょうか?ダムに沈む村を描いた、ファンタジー作品です。
ダムが沈む、それは地域の 人コミュニティ、伝統文化、お祭り、風習、自然を水に沈めること。
たとえ住民の半数が代替地に移転したとしても、日本から一つの文化地帯が消えてしまうことを意味します」

ダム建設派「代替地に郷土センターを造ったり、歴史的建造物の移転を行っている。
街のコミュニティが滅んでしまうこともありますが、代替地などは番地に配慮しています」


地元住民「町が激しく対立する。ダム建設の前に、話が来た時点からコミュニティは破壊されますよ」


オトナ/コドモ

オトナ/コドモ

女性表現集団「十人十色」

ひつじ座(東京都)

2013/03/28 (木) ~ 2013/03/31 (日)公演終了

満足度★★★★★

無題651(13-076)
12:00の回(曇)。ぼんやり歩いていてふとみると「かもめ座」でした。Uターンして会場へ、11:40着。受付の男子は詰襟。サイトをみると「東京都立晴海総合高等学校OGを中心」に結成とあり、たぶん今まで見た中で平均年齢最年少だと思います。本公演が旗揚げ。舞台に椅子が2つ、座席はパイプ椅子にザブトン。劇中、「箱」も、一旦暗転、少し照明を戻してセッティング。「十人十色」+「オトナ/コドモ」というものがこの劇団の「今」とよく合っていて、爽やかでした(なので★5)。11:56前説(詰襟男子65分)、12:00開演~13:10終演。本当は終演後にお話を、と思っていたのですが、後に予定があったのですぐに出てしまいました。(開演前、主宰の案浦さんとはほんの少しお話)。

「お話」は誰もが経験する「コドモからオトナ」へという「成長記」でした。昔の自分はここまで考えることはなく、つまり悩み事などないかのように(なんとなく「かもめ座」に行ってしまったように)、年を重ねてきたように思います。

素直な舞台、巧い/下手でみる(評価する)のではなく、12人とスタッフがここでお客さんを前にしている、そのことがとても新鮮でした。

ネタバレBOX

「白黒」の二人、衣装は左右が正反対(Michael Schenkerの白黒「Flying V」のようだった)…表も裏も。

すべての光を反射すると「白」、すべてを吸収すると「黒」、オトナになるというのはそこのバランスを見つけることなのかも。

少しオーバーな演技かなと感じるところもありましたが、キャラクター設定など難しかったのではないかと思いました。
従軍中の若き哲学者ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタイン....

従軍中の若き哲学者ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタイン....

Théâtre des Annales

こまばアゴラ劇場(東京都)

2013/03/29 (金) ~ 2013/04/07 (日)公演終了

満足度★★★★

言葉
彼はいる。けれど彼はいない。
彼はいない。けれど彼はいる。
同じ言葉を使っているのに、順番を変えると意味が全然違ってきて、そこに境界線が生まれ、舞台上と客席、虚構と現実が成り立つ。

そういった言葉について考えてみたり、笑ったり、やるせなくなったりすると同時に、演劇としての面白さを充分に味わわせてもらいました。

台詞が台詞のままだと感じるところもあったので、回を重ねて後半になればきっともっと面白いのだろうなという期待が残りました。

僕たちの町は1ヶ月後ダムに沈む *TypeB*

僕たちの町は1ヶ月後ダムに沈む *TypeB*

ソラリネ。

上野ストアハウス(東京都)

2013/03/20 (水) ~ 2013/03/24 (日)公演終了

満足度★★★★

純粋な思い出だが、今は・・・
鈴をみました。思い出は純粋だが、それぞれ、今の道をもがいて生きている。そんな感じを受けました。中にはダム建設会社に就職した者や・・・。思い出と現実のはざまにいる青年達の姿を描いている作品だったと思います。個人的には直人役とはるか役が、この劇の私に強く印象を持たせた点のキーになった役者さんだったと思います。私も田舎を離れ上京してきた人間なので、いろいろ思い出しながら見ました。
音はやや大きかったかな・・・

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