最新の観てきた!クチコミ一覧

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月の岬

月の岬

SPIRAL MOON

「劇」小劇場(東京都)

2013/05/29 (水) ~ 2013/06/02 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

素晴らしかった。
とても丁寧に作られていたように思います。気持ちがたかぶったり、逆になったりしたときも地方の言葉のままだったのに驚きました。学生役のかたがたがとてもよかった。大人の暗さと正反対がよく出ていたと思います。ラストもいろんな想像ができて余韻が楽しめて。観れてよかった。

フチガミさんのフトモモ the ファイナル

フチガミさんのフトモモ the ファイナル

劇団ショーマンシップ

甘棠館show劇場(福岡県)

2013/06/06 (木) ~ 2013/06/11 (火)公演終了

満足度★★★

露天風呂。
前半はヨーロッパ企画永野さん演じる”まちづくり推進課長”がみせてくれます。後半の種明かしは少々強引な感じがしましたが、しっかりコメディーでした。

獣の柱 まとめ*図書館的人生(下)

獣の柱 まとめ*図書館的人生(下)

イキウメ

J:COM北九州芸術劇場 中劇場(福岡県)

2013/06/09 (日) ~ 2013/06/09 (日)公演終了

満足度★★★★

期待どおりの仕上がり。
場転の演出と、音による振動など納得しながら、客演の池田成志さんの演技とテンポの良さに、大爆笑です。

ネタバレBOX

観たことあるなあと感じたのは、短編を見ていたのでしょう。
走れメロス

走れメロス

福岡市文化芸術振興財団

福岡市立 南市民センター文化ホール(福岡県)

2013/06/07 (金) ~ 2013/06/09 (日)公演終了

ホールの舞台上に。
観ていくうちに、香港上演を想定してか、字幕の動きと音、表情、仕草、振付けで表現されているのだなあと受け止めました。
重要なシーンは、しっかりセリフがはいるので、観る側としては安心できます。

ネタバレBOX

昨年の公演は観に行けなかったんですが、初演に比べて格段見やすくなったなという印象。最初はセリフが笛の音に消されてしまい、?であったが。
オセロ

オセロ

世田谷パブリックシアター

世田谷パブリックシアター(東京都)

2013/06/09 (日) ~ 2013/06/23 (日)公演終了

満足度★★★★★

客席を含む舞台装置と演出が面白く、深く響くコントラバスの生演奏が素晴らしい。
劇場建物の内壁をそのまま隠さないシンプルな舞台、
客席中央にゲネプロなどでみる演出家+スタッフの席を設置し、
役者もその席や、空けてある客席に座ったり、
灯油缶をたたきながら通路を通ったり、
途中でヴェニス公は入場する際には観客全員が起立したり…、
観客・客席と舞台・役者の一体化を図った演出、
と事前に席に置かれたチラシに書かれていました。
起立・着席程度だけでは観客も参加しているとは言い難いですが、
客席をも取り込む舞台とそのような演出は面白い。
けれどそれよりも、深く響くコントラバスの生演奏が素晴らしかったです。
超有名な物語ですが、なぜにオセロは、こうも簡単にだまされてしまうのか。
純粋で朴訥なイメージに、仲村トオルがぴったり。
父親をうまくだませた娘なら、夫も同様にだますかもしれない、ということは言えますが。
唐突にすら感じられる、クライマックスの劇中劇的な二重構造もまた面白い。

人類万歳!! -ヒトゴトマンサイ-

人類万歳!! -ヒトゴトマンサイ-

瓶詰ジャパニーズ

Livetheater間~まほろ~(東京都)

2013/06/07 (金) ~ 2013/06/09 (日)公演終了

満足度★★★★

よかった
計算された演出がきまっていた。かっこよかった。気持ちよかった。不思議な感動を覚えた。明日からの元気をもらった。

キャンベラに哭く

キャンベラに哭く

桃尻犬

インディペンデントシアターOji(東京都)

2013/06/05 (水) ~ 2013/06/09 (日)公演終了

満足度★★★★

やられた
本と演出のぶっとびかたも、役者の振りきり具合もよかった。長井短さんが特ににツボだった。そして、静かめのキャラではあったが堂本佳世さんの丁寧さが素敵で大好き。

うしおととら第二十七章「四人目のキリオ」第二十八章「檄召~獣の槍破壊のこと」

うしおととら第二十七章「四人目のキリオ」第二十八章「檄召~獣の槍破壊のこと」

シアターOM

in→dependent theatre 2nd(大阪府)

2013/06/07 (金) ~ 2013/06/09 (日)公演終了

満足度★★★★★

これは、次回公演も観に行っちゃうなぁ。
原作知らないけど、面白いですねぇ。
漫画読んでて、来週どうなるの?みたいな感じで、次の公演が観たくなりました。
これは、たぶん次も観に行っちゃうなぁ。

キャンベラに哭く

キャンベラに哭く

桃尻犬

インディペンデントシアターOji(東京都)

2013/06/05 (水) ~ 2013/06/09 (日)公演終了

満足度★★★

千秋楽を観劇。。。
重いテーマを扱いつつも全体的にはぶっとんだコメディ。面白いんだけど、いろんな要素を盛り込みすぎたせいか、物語の主題がどれなのか判り辛かった。


ネタバレBOX

歌(合唱)は必要だったのかなぁ? ゴメン、狙いが今ひとつ理解出来ませんでした…。
さよならの唄

さよならの唄

企画演劇集団ボクラ団義

六行会ホール(東京都)

2013/05/30 (木) ~ 2013/06/02 (日)公演終了

満足度★★★★★

完成度の高い作品
本作は3時間と長めの上演時間でしたが、まさに息つく暇も無い感じで完成度の高さを感じました。

ファンタジー色の強い設定とミステリアスな空気感で、冒頭からの物語への引き込み方が非常にうまい。
複雑な人間模様が解き明かされていく後半からの展開も秀逸で、
飽きる事無く最後まで集中して見る事ができました。

幕間に入るダンスもクオリティが高く、スタイリッシュで格好良かったです。

ネタバレBOX

死者として10年前、3年前、10日前にそれぞれタイムスリップするツアー参加者たち。
既に死んでしまっているので物には触れられず、その時代の人たちと会話する事も出来ず、当時の状況をただ眺めることしか出来ない。
そんな状況で参加者たちそれぞれが自分の過去の後悔と向かい合っていく姿が丁寧に描かれていました。

3つの”過去”はそれぞれ同時平行で演じられ、
参加者たちの過去が絡まり合い、複雑にリンクしていく様は観ていて爽快でした。
最後の喜村の伏線が回収され、最初のシーンに戻る演出が非常に良かったです。

登場人物では、シリアス一辺倒になりそうな作品の空気を和らげてくれる
梅屋敷の存在がうまいなぁと感じました。
YANEURA COMSMOS

YANEURA COMSMOS

劇団ミックスドッグス

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2013/06/08 (土) ~ 2013/06/10 (月)公演終了

満足度★★★

観客に対してとても丁寧だなと思いました。
開演前に、震度3以上あった場合、上演中断の可能性、そして震度3以上って具体的にどんな状態?という説明がとても丁寧でわかりやすかった。(そういえば、他劇団では、地震があった場合についてのアナウンスをするところ、減ったなと思いました)

携帯電話の電源オフ確認する時、客席エリアの照明を明るくしたのは、観客も再度確認しやすくて良かったと思う。

朝劇「丸の内の二人」【9月10月全話やります!】

朝劇「丸の内の二人」【9月10月全話やります!】

朝劇

CAFE SALVADOR(千代田区丸の内 3 - 2 - 3 富士ビル1F)(東京都)

2013/05/13 (月) ~ 2014/10/26 (日)公演終了

満足度★★★★★

気持ちいいもんだ
朝から笑うのが、こんなに気持ちがいいものだと知りませんでした。朝から笑って行ってらっしゃいと見送ってもらい良い1日のスタートが切れました。

その女、小品

その女、小品

50% SEXY

北池袋 新生館シアター(東京都)

2013/06/06 (木) ~ 2013/06/09 (日)公演終了

満足度★★★

シュールな世界観。
夫と娘との3人の生活。一見平凡な毎日を送る主人公だったが、街で偶然かつての恋人と再会したことで大きな転機が訪れる。不倫の関係が深まっていく中、徐々に家庭は崩壊していき、やがて主人公は家族を捨てて(殺害して?)壺の中に住み始める…。

安部公房作品を彷彿とさせるシュールな内容でした。

演出的にはけっこうストレートだったので、もう少しアングラっぽさというかドロドロした感じがあっても良かったかなと感じました。個人的にそういうの好きなので。

ビョードロ 終演いたしました!総動員2097人!どうもありがとうございました!

ビョードロ 終演いたしました!総動員2097人!どうもありがとうございました!

おぼんろ

d-倉庫(東京都)

2013/05/29 (水) ~ 2013/06/16 (日)公演終了

満足度★★★★★

やっとまた月色の森に参加できた
今日で4回目の参加。来たい来たいと思いつつなかなか連日参加できず…久しぶりのビョードロ。いろいろ深化していました。まず、リペンの顔芸?コミカルになっていてwwwジュペンとの対比で、これまたイイ感じでした。リンペイさんのコメディアンセンスが窺えて面白い発見でした!初日から比べると、物語がしっかり息づいていて。それぞれのキャラが立ってきたというか、よりはっきりしてきた印象を受けました。あと、それぞれが皆嘘をついているんですが…ラスト、タクモの嘘がとっても綺麗で。あんな嘘ならつかれてみたいな~って…タクモとジョウキゲンの壊れやすい愛情がとてもとっても切なくて見ていて苦しくて。ユスカの神々しいような、マリア様のようにジョウキゲンを見守ってる感じも大好きで。とにかく、見ていると愛がいっぱい溢れていて、切なくも美しくて。泣くんだけど微笑んじゃいます!!!ぜひ、日暮里d-倉庫の月色の森へ迷い込んでみて下さい。

愛しの★ギョレンジャー

愛しの★ギョレンジャー

SECOND・N PRODUCE

Geki地下Liberty(東京都)

2013/06/04 (火) ~ 2013/06/09 (日)公演終了

満足度★★★★★

マリカちゃんお疲れ様でした
「さくらの花束」で福永マリカちゃんを知り、
DVD「東京少女 福永マリカ」で予習をしてから臨みました。

きわどいセリフもたくさんある役どころでしたが、自然体の演技でさらっとこなしていました。千穐楽のトークもたっぷり笑わせて頂きました。

次の舞台が楽しみです。

タクラマカン

タクラマカン

秦組

あうるすぽっと(東京都)

2013/05/31 (金) ~ 2013/06/10 (月)公演終了

満足度★★★★★

舞美ちゃんがカッコいい
舞美ちゃんのアクションシーンはさすが。
思わず息をのむほどです。

社長、帰ってきたってよ。

社長、帰ってきたってよ。

劇団SOFT GEAR

奉還町りぶら(岡山県)

2013/06/01 (土) ~ 2013/06/09 (日)公演終了

満足度★★★★

シュールバージョン・・・?
 “1週目と2週目で、演出が異なります” と聞いて、リピートを即決。かつて「いるじおん」という、“全回どっかが違う”作品があったから、今回は “キャストとシナリオが同じで、間合いや演技がブラックぽく変わるのか?” なあんて勝手に予想してたのですが・・・ごめんなさい、違いが良く解りませんでした。確かにメイクが不気味に濃かったり、ネタがちょこちょこ変わってたのは気付いたのですが・・・あれっ?
 まぁ、笑えたのは笑えたから・・・やっぱ面白かったのは面白かったんですけどね。
 

ネタバレBOX

 ラストの「オチ」が無くなってたのには超ビックリ仰天でした。
 重さんの出番が半減しちゃった・・・前回、あの「オチ」にケチ付けたきやまさんはちょっぴり責任を感じたりしました。「ロドお面」か「“くりそつ”お面」を被って登場してくれたら良かったのにぃ~!あ、お面着ける位だったらゴトウちゃんでもいいのか・・・。
アトミック☆ストーム

アトミック☆ストーム

流山児★事務所

座・高円寺1(東京都)

2013/05/31 (金) ~ 2013/06/16 (日)公演終了

満足度★★★

あと一歩上に
舞台セット、生演奏の音楽、俳優の歌と演技など、総じて水準の高い舞台だったと思う。小ネタやパロディの切れ味もよい。が、もう一段階上のレベルにいけたはずだという思いがぬぐえない。

大勢のキャストをダイナミックに動かす中屋敷演出は、円熟の閾に達している。エネルギー全開のまま駆け抜けるのが彼のスタイルなのだと思うが、今回は前半でそのエネルギーに慣れてきてしまって、後半に、それを受け止める観客の方が無感動になってしまった感が否めない。特に後半はプロットが錯綜するのに伴って歌も重ねあわされるので、パワーがシンプルに前に出てこなくなったという面もあるのかもしれない。

ネタバレBOX

原発問題を単に時事ネタとしてではなく、神話的なスケールで捉えようとするのは、渡辺源四郎商店「翔べ!原子力ロボむつ」にも通じるスタンスだろう。ただ、神話的な演劇には、単純で強力な構造が必要だと思う。

勝手に具体的なアイディアをいえば、全キャストを一人二役か三役にして、それぞれ月と地上と地下の世界の存在に対応させるといったやり方が、効果的だったと思う。たとえば地下の子どもたちは、月においては一人一人が暴走へのエネルギーを蓄えた地下の核廃棄物の化身である、というふうに。彼らは現実の存在ではなさそうだし、津波を身体表現する場面もあったわけだから、「地下にひそみ、地上=地球に憧れ、押し寄せるなにか」というふうに、多重的にキャラクター設定することができたはずだ。

役を兼ねると、役者の総数が少なくなって数の生み出すエネルギーは減衰するかもしれないが、今回感じたのは、どちらかというと、一つ一つのキャラクターに内包されるエネルギーが足りないという不満だった。キャラクターが多すぎて一つ一つが薄まったともいえる。大勢のキャラクターを動かすことでしか描けないものはあるだろうが、ひとりの俳優に現実的次元と神話的次元のキャラクターを重ね合わせるという手法で、その俳優が演じるどちらのキャラクターにも厚みを持たせることが可能だったのではないか。野田秀樹がよくやる手法だが、神話的な物語には非常に有効だし、今回はそれが必要だったと思う。

技術的な面では、音響設計に不満がある。マイクを通した歌声が、上のスピーカーから聞こえてくるのだ。せっかくの大勢のキャストの迫力ある歌声が、舞台から聞こえてこないのだ。マイクを使うことはかまわないが、声が舞台上から前に向かって聞こえてくるように設計しないと、まるで壮大な口パクのような印象を与える。ぜひ工夫を望みたい。あと、シャム双生児は出すべきじゃなかった。

上から目線となじられても仕方のない要望を書き連ねてしまった。3.11の演劇的表現は、どうしたって難しい。岡田利規だって柴幸男だってうまくいかなかったと思う。今回のは「正面突破」だが、これが正解に近いのではないか。ポテンシャルを感じればこそ、会場アンケートには書ききれない歯がゆい思いのたけを、こちらに書かせてもらった。
ヘッダ・ガブラー

ヘッダ・ガブラー

アトリエ・センターフォワード

ギャラリーLE DECO(東京都)

2013/06/05 (水) ~ 2013/06/16 (日)公演終了

満足度★★★

イプセンは良い作家だ
イプセンの『ヘッダー・ガプラー』を観た。イプセンは,『人形の家』が抜群に有名である。その話には,脇役で一組の男女の話が出てきた。男には,子どもがいて,女には安定した地位・仕事があった。最後に,ノーラが家庭を壊して,無責任に出ていくのに対し,脇役のさえない二人の結婚で救いを与える。

子どもはきっとかわいくて,そのオヤジは,ばかでノーラをゆすっていたような人間だ。そのことは十分わかっていて,女は,その子たちの母親にもなってみたくなる。おそらく,悪人になりかえけていた愚かなオヤジも今度こそまじめにやるのであろう。

『ヘッダー・ガプラー』には,そのような救いはどこにもなかった。結局,事態は,交錯し,悪く悪くなって,殺人事件にまでいたってしまった。だから,人は,そんなことはするものじゃない,というわけだ。もう少し,どこかに救いがあって欲しかった。

イプセンは良い作家だ。シェークスピアのような深いところがないという人もいる。生活という小さな世界に演劇をおしこめたとか。でも,それは,それでいいじゃないか。むしろ,こっちの方が,実際の結婚観などに参考になる人が多いと思う。幸せになるために。

イプセン『ヘッダー・ガプラー』には,盗作のシーンがあった。イプセン自身は,何らかのかくされたメッセージを伝えることより,現代社会に生きる人間の世界を十分に描きたかったという。

ヘッダー・ガプラーの夫は,もの凄いマザコンだ。おばちゃんが大好きで,おばちゃんと思い出の品,すりっぱを,妻に見せようとする。それが,妻にとっては,なんの意味もない悲しいアクションだ。でも,夫は,子どもで,そのまま教授に向かう夢を追う,たいへんなポンコツだ。

そのような場所に,一体,ヘッダー・ガプラーを送りこんだのは誰だろう。それは,ブルジョワ社会の仕組みなのだ。彼女の父が残したピストルが,一体なんのためにあるか,ヘッダー・ガプラーはわからない。実際,将軍である父の時代には,そのピストルは一度も使われたことはなかったのだ。

でも,このブルジョワ社会の象徴である夫に嫁いだ,ヘッダー・ガプラーは,高貴さをもちながら転落していく。

ヘッダー,そりゃいけない。
いけないですって。
目が覚めて,大事な原稿がなくなって,レェーブボルグはどうするの。
書き直せばいいじゃん。
そりゃ無理だね。
インスピレーションは,一度だけだ。
コピーもないから,絶対無理だ。

ほら,ここに,レェーブボルグのメモはあるわ。
テスマンさん,一緒にこのメモを整理しましょう。
そうすれば,あの幻の新作は,きっとよみがえるでしょう。
そうですね。これからは,一生かけて,この仕事を二人でやりましょう。

レェーブボルグも,ヘッダー・ガプラーも死んでこの物語は終わる。

汚れた手

汚れた手

劇団昴

俳優座劇場(東京都)

2013/06/01 (土) ~ 2013/06/09 (日)公演終了

満足度★★★★★

目的のためなら手段を選ばないなら,それは,マクベスの血ぬられた手と同じ
サルトルの『汚れた手』を観た。この話は,オルグの委員長と書記の対立を核心としている。組合の委員長は,暴走し,組合本部をあざむいて独自の路線にひきずりこむ。組合本部は,書記に委員長を説得させ,きかないなら殺害しても良いということになる。

問題は,オルグの委員長は,結構汚いやり方で交渉をまとめ,これがむしろ正論なのだとゆずらない。このため,純粋な書記は,恋人を奪われたと感じた時点で,撃ち殺してしまう。ところが,その直後,組合の路線は見事に亡き委員長の予言した方向に進み始める。

この作品は,書記の恋人が,政策論争を聴いているうちに,しろうとだったのに何か委員長の思想に魅了されていく点が見事に描かれていた。人のしあわせは,固定観念にとらわれるべきでなく,ある部分汚れた部分も乗り越えていくべきなのかもしれない。

書記にとって,そのように,目的のためなら手段を選ばないなら,それは,マクベスの血ぬられた手と同じになる。くりかえし,くりかえし,暴力による殺害と,政権交代が起こるに過ぎないのだから。しかし,この作品では,むしろ,書記が敗北して終わる。

サルトルの『汚れた手』は,素晴らしいものだった。このような有名な演劇では,観客にもすごい人が混じっている。踊る大捜査線のとぼけた署長役の人だった。プライベートな時間を邪魔してはいけない。でも,休憩時間でも,もう一度近くでひとりコーヒーを飲んでいた。

さて,問題は,サルトル『汚れた手』だ。』六場3-4景を再確認しよう。

君か,何の用だ。
窓越しで,私は,あなたとユゴーの会話を聴いていた。あなたを,どうしても一人残していけなかった。愛しているの,私は,ユゴーが拳銃で,あなたを撃つのなら,それを私が身体をはって,阻止したい。
君は,いつから,そんな気持ちを私に抱くようになったのかね。
私はね,いつだって,夢の中で生きて来たのよ。
でも,あなたに会って,本当に好きなものがわかったのよ。
そうか,君は,私ならキスしても,笑い出さないのかな。試してみようか。

そうか,おまえたちは,私ユゴーを,ずっと裏切っていたのか。
黙れ,エドレル,おまえは,もう組合に抹殺されるのだ。
ぼくの手は,震えてなんかいないぞ。
やがて,新しい時代は来る。
おまえのような日和見主義のやつには,未来はないのだ。
エドレル,私は,ちゃんとお前の目を見て,発砲できるのだ。

さて,この巧妙にできた作品は,一時,反共政策に利用される危惧があって,上演を停止されていたという。三時間の回想が終わるとともに,芝居も終わってしまう。

ネタバレBOX

サルトルの著作活動には,一貫した核はない。時代とともに,揺れ動いた,と長谷川宏は,『同時代人サルトル』の中で述べている。

演劇人としては,唐十郎・菅孝行・津野海太郎も大きな影響を受けている。新劇に対する反逆!だった。日本における「戦後」が,そのイメージを膨らめた。サルトルは,1905年に生まれている。やがて,サルトルの人気は,レヴィ=ストロースに奪われていくことになる。

サルトルの戯曲は,古典的である。サルトルは,雄弁が好きで,突発的な行為がある。おのれの生き方を,厳しく自問する登場人物が存在する。自由は安んじて,手に入れてはいけない。追いつめられ,苦悶してこそ獲得できるものなのだ。戦後には,そのようなサルトルが人気者となったのだ。

サルトルは,党と大衆が,予定調和になる幻想に当初支配されていた。大衆というものは,政治のために生きてはいない。生活の中に,ときどき政治を生きるに過ぎない。近代社会は,著しく「知識」偏重である。1956年.10月,ハンガリー事件において,党と大衆の距離間に,深く幻滅してしまう。

サルトルは,戯曲をとおして,自らの思想・観念を表現した。たとえば,『汚れた手』は,その良い例である。

革命家たちが,たいへんな迫力で,路線について,口角泡を飛ばす。そのような緊迫した場面のあいだに,新米革命家の妻・ジェシカは,政治に無縁で,なぜかエロチックで,チャーミングな小娘だ。場違いなほど浮いたギャルは,少しずつ演劇に溶け込んでいく。夫ユーゴーが,エドレルを暗殺しようとしているからだ。

この演劇の核は,ユーゴーが理想主義であるのに対し,エドレルは,多少汚い手段を使っても,大量殺戮などを回避できた方が賢明だとする対立に収束される。ユーゴーは,いわば子どもであって,エドレルは大人であった。小娘のジェシカは,次第に,政治にめざめ,大人であるエドレルに引かれていくのだ。

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