最新の観てきた!クチコミ一覧

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ヘッダ・ガブラー

ヘッダ・ガブラー

アトリエ・センターフォワード

ギャラリーLE DECO(東京都)

2013/06/05 (水) ~ 2013/06/16 (日)公演終了

満足度★★★

ファム・ファタルになれなかった哀しい女
イプセンの名作だということも知らず、もとよりイプセン自体もその作品をひとつも知らないまま観劇。
美しいけれど、最初から最後まで理解不能の厭な女ヘッダ。
だけどなぜ?
どうして?
あのセリフはどういう意味?

観劇後、気になってネットであれこれ検索。
するとまた違ったヘッダが見えてきた。
テスマンも、ミセス・エルヴステッドも、レーヴボルグも。
戯曲を読んでみたくなった。
読んだ上で、もう一度この舞台を観てみたかった。

ネタバレBOX

調べたけれど判らないのは、メイドのベルテ。
狂言回しっぽく「第2幕」などと言うけれど、特にストーリーの進行に関わる訳でもなく、なんで存在するのかよく判らなかった。
実際の戯曲ではどういう風にかかれているのだろうか。

おめあてのレーヴボルグ(井上氏)は素敵であった。不良って色っぽいよね。
そしてヘッダ(渋谷嬢)の美しさ!まさにヘッダ・ガブラー。佳かった!
ミセス・エルヴステッド(小暮嬢)は、松たか子に印象が被って和風な雰囲気がしたが、原作では豊かな金髪でそれがヘッダに妬まれたんだとか。
そういう細かなシチュエーションが判ると、二人の確執というか関係がまた鮮やかに見えてくる。
イカルスの星

イカルスの星

ヅカ★ガール

小劇場 楽園(東京都)

2013/05/31 (金) ~ 2013/06/22 (土)公演終了

満足度★★

未熟な古典
以前は女の多い芝居を避けていた。が、最近、吹っ飛んだ女子が増えて、見応えのあるものも増えている。これもネタが女子プロレス、それならさぞかし迫力のあるものが観られるのではないかと期待していたが・・・・・・あえて言うなら“中途半端なクサイ芝居”クサイ芝居、結構!!クサイ芝居もしっかり役者が入って演じていれば〇であるが、ぎこちない動きでは成り立たない。ぎくしゃくしたしぐさで台詞決めてみても、ちっとも美しくない。また、引き立て役の男子は滑舌が悪く、野暮ったい。こういうネタなら男子にもスマートに頑張って欲しいところである。
そしてストーリー、古い!!カリスマ的な団体でのあれやこれや、何十年も前に使い古されている。未熟な小劇場の古典を観た様な気がする。

テレビが一番つまらなくなる日(2013年版)

テレビが一番つまらなくなる日(2013年版)

劇団 東京フェスティバル

駅前劇場(東京都)

2013/06/19 (水) ~ 2013/06/24 (月)公演終了

満足度★★★★★

演劇未体験の方にもおすすめ☆
『泡』は観に行きたかったのに行けず、後悔した。
『二人芝居』で東京フェスティバル初体験。おもしろかった!
そして今回。
きっとおもしろいんだろうけど、朝倉さん以外はほぼ知らない役者さんばかりで躊躇。
そこにチケットプレゼント当選、欣喜雀躍で観に行った。
かくて───やっぱり、おもしろかったーー!!

『二人芝居』の時にもおもったけれど、選挙ものというより人間を描いた上質な「コメディ」で、紛う方無き「エンタテイメント」。
ドタバタしていても低俗にならず、リアルだったり考えさせられたりほんわかだったり。誰にでもわかりやすくおもしろく。
やはり脚本が佳いんだなあ。
登場人物全員、キャラクターが立っていて人間くさくてイキイキしていて。
それを演じる役者さんがまた、みなさん素敵。知らないからって観るの躊躇したアタシの莫迦ばか!(特に飯田さんと鈴木さんの美声に惚れ惚れしたよ…)

実際の参院選に合わせて3年ごとに再演され、今回が三演目なのだそう。
再演のたびに改訂されて進化しているそうなので、次回2016年版もたのしみです。

獣の柱 まとめ*図書館的人生(下)

獣の柱 まとめ*図書館的人生(下)

イキウメ

J:COM北九州芸術劇場 中劇場(福岡県)

2013/06/09 (日) ~ 2013/06/09 (日)公演終了

気にいってる席で観れた~
イキウメ・・・いや前川さんの演出は、なるべく近くでも観たいけど全体が見渡せるほうがすき。

学生のころ好んで読んだSF小説の馴染みやすいテイストと、くどくど説明のいらないシンプルな設定がとても観客に親切だなと思った。
柱の特性が人間に与える影響が何を意味するのか、という部分で、観客個人の無いほうしている社会や人生への問題意識に刺さる話でした。

OFFICE WARS ~金に綺麗も汚いもあるのか~

OFFICE WARS ~金に綺麗も汚いもあるのか~

Unit Blueju

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2013/06/20 (木) ~ 2013/06/23 (日)公演終了

満足度★★★★

あっという間でした
芝居あり、歌あり、踊りあり。とても楽しい舞台でした。
キャラクターもそれぞれたっていて良かったです。
(個人的には、なつみ役の方が好きでした)
結末が二通りあるとの事でしたが…私としてはもう一つのパターンが観たかったなぁ~。

わが友ヒットラー

わが友ヒットラー

シアターオルト Theatre Ort

駅前劇場(東京都)

2013/03/27 (水) ~ 2013/03/31 (日)公演終了

満足度★★★

なぜ、今、この様式で、三島由紀夫なのか
駅前劇場の使い方が新鮮でした。
ランウェイのような舞台美術で照明も洗練されていて、
全体的にデコラティブな空間のイメージと違う、かなり作り込んだ
いかにもお芝居らしい演技をされていて、驚きました。

チラシのデザインもいいと思ったのですが、実際のお芝居とは一体感がなかったように思います。

三島戯曲は難しいですよね。特に長いセリフが多いですから、俳優個人の力量が試されます。
長いセリフの場面は演出の工夫がもっと必要だったのではないでしょうか。
ただ、私に合わなかっただけなのかもしれませんが…。

ネタバレBOX

『わが友ヒットラー』は生田斗真さん(ヒットラー)、東山紀之さん(レーム)が出演する
蜷川幸雄さん演出作品を観ています。
東山さん演じるレームの肉体、精神面での軍人のリアリティーを思い出しました。
この作品ではなぜあの身体表現を選んだのかがわかりませんでした。
衣装が部分的に和風だったのもなぜかしら。
さよならは言わない〜病室より愛をこめて2〜

さよならは言わない〜病室より愛をこめて2〜

劇団裏長屋マンションズ

シアター代官山(東京都)

2013/06/18 (火) ~ 2013/06/23 (日)公演終了

満足度★★★★★

初めて観たお芝居
生まれて初めて観たお芝居。 TVや映画と違い迫力もあり、二時間を短く感じたくらい。
登場人物の名前を覚えきれずに、少し戸惑ったけど、内容は、すごく良かった。
出来ればもう一度観て、内容を完全に把握したい。
残念ながら東京に住んで居ないので、多分、行けない...

テレビが一番つまらなくなる日(2013年版)

テレビが一番つまらなくなる日(2013年版)

劇団 東京フェスティバル

駅前劇場(東京都)

2013/06/19 (水) ~ 2013/06/24 (月)公演終了

満足度★★★★★

お薦めです。
安定した脚本を安定した役者達が演じる安定した笑いのある作品。

安定して楽しめました。

フライング北海道

フライング北海道

シネマ系スパイスコメディAchiTION!

新宿シアターモリエール(東京都)

2013/06/14 (金) ~ 2013/06/16 (日)公演終了

満足度★★★★★

笑いました。
すごい笑わせてもらいました。

何年か前にこちらの劇団の作品を観たような気がするのですが、そのときの、激し過ぎる演出から無理矢理に引っ張り出すような笑いとは違い、とてもスマートな笑いで終始笑っていました。

人って笑うと健康になれるらしいんですよね。
そういった意味でとてもいい時間を過ごさせてもらいました。

ネタバレBOX

最後少し長くなってしまったかなと、フライング四国のくだりは無しで、集合写真を撮って終わりというのが僕の好みでした。
テレビが一番つまらなくなる日(2013年版)

テレビが一番つまらなくなる日(2013年版)

劇団 東京フェスティバル

駅前劇場(東京都)

2013/06/19 (水) ~ 2013/06/24 (月)公演終了

満足度★★★★★

右往左往
素晴らしい!!

アナウンサーを始めテレビ局のスタッフ、下請スタッフ、参院選立候補者、政治評論家、登場人物全てに存在意義がある、それぞれの職責を全うし切った感がありました。

ネタバレBOX

昼過ぎ時点の出口調査で、大テレ出身者の候補者が次点というデータが届いたことが発端となって巻き起こった大騒動。

ネットカフェ候補者渡辺晋吾のつぶやきによって多くの日雇い出口調査員に何らかの記入ミスが誘発されたのでしょう。局は右往左往し、他の候補者の買収疑惑が発覚し、告発すべきか、少なくとも番組内で告発すべきかで議論が重ねられ、最終的にはその候補者の引退発表によって渡辺晋吾も当選できたという構図。

初演のときに気になった点は今回全く気にならず、完璧だと思いました。

素晴らしい人間成長ドラマでした。

ところで、開票集計のときに、二位大島、三位前田とありました。あっちゃんの方が分かり易いのかもしれませんが、AKB総選挙を取り込む時事ネタなら今年の順位でも良かったのではないかと思いました。三位渡辺。
天翔ける風に

天翔ける風に

東宝

シアタークリエ(東京都)

2013/06/10 (月) ~ 2013/06/25 (火)公演終了

満足度★★★★

たまにはいいものだ
江戸時代の終焉がせまった混乱気に、金貸しを殺した主人公はドストエフスキーの罪と罰の主人公、ラスコーリニコフに重ね合わせて話は展開していく。起承転結がきちっととしてしており、わかりやすかった。
ミュージカルは芝居に歌が加わって、華やかさが増す楽しい演劇であった。
歌舞伎や文楽と共にたまには観にいってみるものだ。

ティーガーデンで逢いましょう

ティーガーデンで逢いましょう

NO-STyLe-GArden

劇場HOPE(東京都)

2013/06/18 (火) ~ 2013/06/23 (日)公演終了

満足度★★★★★

不意を打たれました!
伏線が効果的に活かされたストーリーでした。

ネタバレBOX

訳ありな二人が何組かと結婚詐欺師、それに地元の青年部の若者たちが加わってのお見合いパーティ。

お茶農家の父親は頑固で家を飛び出て音信不通だった長女をトコトン許さないし、次女も恋路の邪魔をされた恨みがあって長女を憎んでいました。

誤解がドタバタを生み、ドタバタの中で次女も含めて、想いの通じない複雑な何組かの関係がほぐれていくハートフルなストーリー展開は素敵でした。

一年後にまたみんなが集まるくらいに仲良くなった参加者たち、そして分娩のためにこれから病院へ向かう長女に対して有線放送を通じて録音メッセージが贈られるシーンは、数多いお芝居の中でも記憶に残るラストシーンの一つに数え上げられるくらの名シーンでした。

みんながお祝いの言葉をワイワイ言っているだけのように思わせておいて、これから生まれてくる赤ちゃんと妻に対する亡き夫のメッセージが不意にしかもさりげなく流れてくるなんて素晴らし過ぎでした!
きれいなお空を眺めていたのに

きれいなお空を眺めていたのに

こゆび侍

インディペンデントシアターOji(東京都)

2013/06/19 (水) ~ 2013/06/30 (日)公演終了

満足度★★

チョキとピース
どうも合いませんでした。

さよならは言わない〜病室より愛をこめて2〜

さよならは言わない〜病室より愛をこめて2〜

劇団裏長屋マンションズ

シアター代官山(東京都)

2013/06/18 (火) ~ 2013/06/23 (日)公演終了

満足度★★★

熱演だったけど
赤塚真人さんの熱演でした。後半のせっかく盛り上がったシーンで声がよく聞き取れず残念でした。セリフが聞き取れるように演じたらもっと面白かったでしょう。客席の椅子が隣の人が動くと連動してこちらの椅子まで動き気になりました。

テレビが一番つまらなくなる日(2013年版)

テレビが一番つまらなくなる日(2013年版)

劇団 東京フェスティバル

駅前劇場(東京都)

2013/06/19 (水) ~ 2013/06/24 (月)公演終了

満足度★★★★★

く~たまらん
この芝居3度目の観劇。改訂され、再演を重ねる度にどんどん良くなっていくなー。筋は知っているけど、毎回ワクワクさせてくれる、これはスゴイことだ。

さよならは言わない〜病室より愛をこめて2〜

さよならは言わない〜病室より愛をこめて2〜

劇団裏長屋マンションズ

シアター代官山(東京都)

2013/06/18 (火) ~ 2013/06/23 (日)公演終了

満足度★★★★

なんとなくレトロ感ありますが
さくさく進むストーリーは見ていて飽きが来なかったです

(1時間40分くらい)

少年王マヨワ

少年王マヨワ

ニットキャップシアター

AI・HALL(兵庫県)

2013/06/14 (金) ~ 2013/06/16 (日)公演終了

満足度★★★★

ニットキャップシアター「少年王マヨワ」観ました
 以前から行きたかった、大阪・吹田の民族学博物館と合わせて行きました(お知り合いの宣伝美術・清水さんから、ツイッターで最適ルートをご案内いただきました。感謝!)

 
 漆黒の空間に、伝奇アクションにも宗教儀式にも見える異界が繰り広げられる。土地の持つ歴史と、いまそこに生きる人々が織り成す「団地の日本神話」。
 
 役者達の総体や生演奏が、空間に場のうねりや空気の質感を作る。
 特に、メインの役者の方が、まさに当たり前に存在しているのに注目。
 道具も個性的で、現実を超越するイメージ。
 どことなくロロを連想。


 とり・みきの伝奇マンガを連想。サンプル・松井さんのいう「物語のプログラム」に沿って動く人々。独特の物語感。


 関西方面にはなかなか観劇に伺えないのですが、やはり伊丹AI・HALLまで来てよかったです。
 アウェイ・愛知では見れない、ホームでのごまのはえさんの人気者ぶりも体感できたし(ファンの女の子たちが、上演台本にサインしてもらってキャアキャア喜んでたw)

サロメ

サロメ

虹創旅団

阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)

2013/06/20 (木) ~ 2013/06/23 (日)公演終了

満足度★★★

演技&演出
 シナリオは、ワイルドの原作をかなり忠実に訳す、という形をとっているので、多少エキセントリックな世界を描いている以上余り問題はないと思うが、男性に女性の役を演じさせたり、逆に女性に男性の役を演じさせたりした割には、演出家のそのように表現したかった必然性が表せるレベルの演技ではなかった。唯、男が、女を演じ、女が男を演じるに過ぎなかったからである。ワイルドの生きた時代に、性的マイノリティーであるということは、リンチを喰らって死ぬことすら覚悟せねばならないほどのことであったはずだし、現在もその問題を引き摺っているのであれば、男性は己の内にある男を殺す、女性もまた己の内にある女性を殺すことで滲む己の内側にある異性を表現して初めて、この物語の原点に立つことになるだろう。このような仕掛けを創った以上、それは目指されるべきであった。
 演者の多くが若いせいもあろうが、演技に溜めが無い。一所懸命になる余りに、劇場のサイズも考えずに声を張り上げるのも頂けない。役者たちも己自身の特性を良く知るべきである。これは、年齢には関係ない。生きる時に、何に注意をして生きているかである。電車の中で、メダカのように群れてばかりいては決して見えてこないものを知るべきである。表現する者として生きてゆくのであれば、生涯、孤独に探求を続ける覚悟はしなければならない。表現する者には、それしか生き残るすべは無いからだ。例え、恋人と一緒に時を過ごしていようとも、それは、同じことだ。我々にとって実存が本質的に孤独なものであるなら、恋人とともにいることは、孤独が一つから二つになったに過ぎまい。
 と、この程度のことは、自分自身で突き詰めて臨むべき舞台であろう。言っておくが、この程度のことは二十歳前後になれば、誰もが通過していて当然のレベルである。もし、本当にマイノリティーであるならば。
 これらの前提が全然、見えなかった。一所懸命なだけではいけない。

『a Novel 文書くshow』

『a Novel 文書くshow』

projectDREAMER

上野ストアハウス(東京都)

2013/06/18 (火) ~ 2013/06/25 (火)公演終了

満足度★★★★★

ホントにホントに素晴らしく良かった‼!
役者陣は皆、ちゃんと演技力があったし、脚本もとっても良かった。良い意味で、ストーリーが予測できなかったが、この物語の終結のさせ方にはひどく納得。いろんな人に薦めたい。個人的にはたくさん笑った。

役者さんは皆良かったが、“お姉さん”役の方が特に良かった。

観劇前の注意事項を「携帯」「地震」とかのお題で、ショートコントで見せてたのには、新鮮だったし、マジ受けました笑

ビョードロ 終演いたしました!総動員2097人!どうもありがとうございました!

ビョードロ 終演いたしました!総動員2097人!どうもありがとうございました!

おぼんろ

d-倉庫(東京都)

2013/05/29 (水) ~ 2013/06/16 (日)公演終了

満足度★★★★★

シェークスピアと,イプセンと,メーテルリンクと,チェーホフと,そして,『ビョードロ』
シェークスピアと,イプセンと,メーテルリンクと,チェーホフと,そして,『ビョードロ』

シェークスピアは素晴らしい作家で多くの作品を残しましたが,全作品には,ヒントになる事件,逸話があって,現代でいうところの,創作的なものはひとつもありません。その点では,いまいちです。イプセンは,人形の家を書いた立派な作家ですが,シェークスピアの偉大さを,せせこましい居間におしこめた人といわれました。メーテルリンクは,青い鳥で,はしか・しょうこうねつなど病気を運命に持ちながら生まれくる未来を暗示する傑作を残しましたが,最初犬・猫がわんわん吠えてうるさいと,バカにされました。チェーホフのかもめは,モスクワ芸術座の紋章になった作品ですが,当初その奇抜さに誰も評価できませんでした。

『ビョードロ』は,おそらく,劇団おぼんろで『かもめ』のような代表作品となると良いと思います。何度も何度も演じて,日本中を感動の嵐に陥れてください。作品はどこにもムダがないので,そのままの形を維持すべきです。チェーホフの手を離れ,『かもめ』ほか代表作が,さまざまに演出をされたように,もはやこの作品は一人歩きしはじめています。いつの日か,世界中の多くの演出家によって,いろいろなアプローチがさらに作品の世界を拡げるかもしれません。今回の役者・観客の全員が,タネになり,死んでしまったあと100年後,われわれの子孫は,非常におもしろい傑作を残してくれたと,いずこの劇場・倉庫で涙するでしょう。

東日本の地震で,福島の方たちが苦労しているのに,何を言っているのか,と申し訳ないけど,次のような感想を私は,持ちます。演劇などを自由に体験できる良い日本に生まれたと。現在日本演劇の源流は,私の考えでは,ロシア文学系だったり,フランス文学系だったりすると思われます。

一方のモスクワ芸術座では,スタニスラフスキーと,メイエルホルドの話があります。スタニスラフスキーは,システムを作ってみようと考えたり,メイエルホルドは,逆に演劇は,「演劇性」をどこまでも残せばいいじゃないか,とくいちがいました。しかし,心の中での対立はなく,二人は,最後まで演劇を愛する友人でした。しかし,メイエルホルドはスターリンに睨まれ,演劇人として粛清(殺害)されていきます。

フランス文学系は,浅利慶太さんが大好きな世界で,むしろ,ロシア系をきらうのですが,こっちにもいろいろな話があります。サルトルの『汚れた手』を最近俳優座で観たりしたのですが,調べてみると,サルトル自身,このような話は,反共政策に利用されるだけであると,ずっと上演を認めなかったようです。つまり,随分あとになって,傑作を観られる時代になったのです。

『ビョードロ』を観られる時代,このような美しい演劇を自由に,観られる時代に生まれて,われわれは幸せです。ぜひ,一人でも多くの日本人にしあわせを与えてほしいものです。この作品は,二度楽しめます。ひとつは,形式美としての演劇です。何も深く思考しないで,劇場をあとにしても良い印象がずっと残ります。もうひとつは,象徴の言語・寓話の世界として,何かを感じとり,想像力の世界に遊ぶ見方ができます。その場合,「ジョウキゲン」を,原子力と感じる人もいたり,あるいは,演劇愛と感じる読み方も自由です。あとは,親子の情愛は,結構深いが,また,それが,難しい状況を生むものだ,という見方もできます。

私は,しろうとなので,みなさんの愛するこの傑作『ビョードロ』をどのようにほめても,ご不満がでることは承知ですが,二回観劇させていただいて,以上のような感想を抱くものです。私自身は,子どものミュージカルでも観ていた方がしあわせな人間なので,この劇団を今後応援するというより,見守ることに専念し,深く干渉はしないと思いますが,よろしくご発展されるように祈ります。以上,最後の感想とします。

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