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不思議の国のアリスより

不思議の国のアリスより

劇団パラノワール(旧Voyantroupe)

サンモールスタジオ(東京都)

2013/06/20 (木) ~ 2013/07/01 (月)公演終了

満足度★★★

Rabbits Rash Rapidly観ました
川添さんのキュートさに終始当てられっぱなしでした。話の方はコミカルなダークファンタジーで結構楽しめましたが、少し意味不明なところがあり、中盤以降ちょっと冗長になってきたのが残念かな。

不思議の国のアリスより

不思議の国のアリスより

劇団パラノワール(旧Voyantroupe)

サンモールスタジオ(東京都)

2013/06/20 (木) ~ 2013/07/01 (月)公演終了

「奇妙な狂ったボウシ」観劇
思いがけない展開に少々戸惑い、昔はこういう難解な芝居が今より多かったよなー、などと思いながら観ていました。

ネタバレBOX

盲点の話、ジャコメッティの話あたりまではフムフムと納得しながら観ていたのだが段々何がなんだかわからなくなり。やはりシュールレアリスム自体を深く理解しないと難解な作品であろう。(フロイトの考察やブルトンの「通底器」についての理解が必要である。)
そこで途中から物語よりも役者に注目して観ていた。皆さんのコメントにあるように川添美和の存在が光る。彼女は超現実の世界を現実世界との地続きのようにいともすんなりと演じていたように見えた。彼女の存在なしにはこの作品は成立し得なかったろうと思う。今後いろんな役柄を演じてもらいたい女優である。
ということで作品については星が付けられません。
Over The Line

Over The Line

EgofiLter

シアター711(東京都)

2013/06/26 (水) ~ 2013/06/30 (日)公演終了

満足度★★★★

観劇の感想です。
雨がすごく降っていました.劇場に入るとほっとしますね。711は座席も良くてみやすいので好きです.洲崎といえば洲崎パラダイスですね。期待を込めて観ていました.お話はすばらしくてとても良かったです.赤いお洋服の妹さんが効果的でしたね.読み取る力が弱い私は最後までなかなか話の全貌がわかりませんでした.

ネタバレBOX

私としては主人公の男性の芝居にはいり込む姿勢はとてもすばらしいと思いましたが,あともうすこしスムーズだと良かったのかなと思いました.坂口安吾さんは脇役でしたね、少しもったいないかな。いいのかな。
男優さんは刑事さんとお店の若い人が雰囲気があっていいと思いました.
約束の部分が少しインパクトが弱かったのであそこがどうなるといいのかわかりませんが本当に本格的なお話しになると思います.
またいつか再演希望。.
Over The Line

Over The Line

EgofiLter

シアター711(東京都)

2013/06/26 (水) ~ 2013/06/30 (日)公演終了

満足度★★★★★

無題743(13-169)
19:30の回(雨)。18:40会場着、受付(整理券あり)、19:00開場。1950年、メインの舞台は「カフェー大河」。最前列にパイプ椅子席が4脚(クッション付)、舞台正面にカウンターと椅子(3脚)、奥の棚にお酒、グラス、丸いシルバーの盆、額縁(?)。下手、手前に小さな机…ここで物書きをするのだろうか、奥にはテーブル(灰皿)と椅子、2階への階段。上手、奥は手洗いへ、入口近くに装飾、入口そのものが大きな「門(洲崎大門?)」になっています。客席左右の出入口を含め4ケ所を上手く使って18人の流れをさばいていました。開演までかかっていたのはその当時のものでしょうか…(「憧れのハワイ航路」は1948年の歌謡曲)。19:28前説(年代さん、120分)、19:39開演〜21:45終演。こちらは2作目、「授業」は全然ダメでしたが今夜は最後まで面白く観劇。安吾の部屋、「(カフェー)大河」「コザのバー」が時を重ねながら、溶け合い、絡む様子にやや遅れを取りつつ話に追いつきながら終演まで。結構入り組んだお話でしたので台本の販売があればと思いました。

余談:安吾は未読、同名の「桜の森の満開の下」は人間椅子で聴きました。

夜叉ヶ池

夜叉ヶ池

新国立劇場

新国立劇場 中劇場(東京都)

2013/06/25 (火) ~ 2013/06/30 (日)公演終了

満足度★★★

妖艶さに欠ける演出
ある村の池を巡る幻想的な物語を描いた泉鏡花の戯曲をオペラ化した作品で、叙情的な音楽と奇を衒わない演出により親しみ易い内容となっていました。

日照りの続く村を舞台に、狂おしい愛と人々の身勝手さが描かれた物語で、前半は原作とは異なる台詞(歌詞)が多く、後半は比較的忠実でした。シリアスな雰囲気が支配的な中、第2幕前半では蟹、鯉、鯰のコミカルなやりとりがあり、その後の悲劇が引き立っていました。

演出が泉鏡花の妖艶な世界観を描けていないように感じられ、退屈することは無かったものの、惹き付けられることもありませんでした。
池の中の生物達のシーンでは竜神を御輿状の頭部のオブジェで表し、魚を模した帽子とカラフルな衣装を纏った合唱とダンサーが賑やかに動いていましたが、無意味な動きが多くて視覚的に煩く感じました。またオフステージで歌う男性合唱がおそらくPAを通していた為に違和感がありました。

音楽はドビュッシーを思わせる美しい響きで、聴き易かったです。鐘の響きを彷彿させる4つの和音の連なりと子守り唄がテーマ曲の様に要所要所で鳴り響き、ドラマの進行を引き締めていました。
セットはリアルな岩と木々で構成された具象的なもので、終盤では新国立劇場の大掛りな舞台機構を活用したダイナミックな演出があり、見応えがありました。

ブリキの十字架

ブリキの十字架

劇団てあとろ50’

池袋シアターグリーン(東京都)

2000/06/15 (木) ~ 2000/06/19 (月)公演終了

満足度★★★★

立派になる前のシアターグリーン
※実際の公演期間は1995年6月15日(木)〜19日(月)です。こりっちさんでは1999年以前の公演情報は登録できないので現在できる一番古い日付にしました。

ネタバレBOX

場所で言うと、現在はBASE THEATERになってるとこかな?以前てあとろ50’観た時の話とは違い、ちょっとファンタジックな話でした。なぜかサービスDAY用の当日精算券付きのチラシが当日パンフに挟まっていました。あと、チラシの裏は実際ああなってました。
松原六丁目あたり

松原六丁目あたり

カクスコ

新宿シアタートップス(東京都)

2000/06/11 (日) ~ 2000/06/29 (木)公演終了

満足度★★★★

初カクスコ
※実際の公演期間は1995年6月11日(日)〜6月29日(木)です。こりっちさんでは1999年以前の公演情報は登録できないので現在できる一番古い日付にしました。

ネタバレBOX

で、実際観たのは1995年6月13日。カクスコの雰囲気にとても和みました。コーラスも良かったです。
不思議の国のアリスより

不思議の国のアリスより

劇団パラノワール(旧Voyantroupe)

サンモールスタジオ(東京都)

2013/06/20 (木) ~ 2013/07/01 (月)公演終了

満足度★★★★★

狂気具合がちょうど良い
MMM:難しいお芝居ですが、見事に演じられていました。

Chouf Ouchouf ~見て、もっとよく見て!~

Chouf Ouchouf ~見て、もっとよく見て!~

タンジール・アクロバティックグループ

東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)

2013/06/06 (木) ~ 2013/06/09 (日)公演終了

満足度★★★

「ダンス公演」としての見方で、
その文脈をどうとらえるかで面白みが変わってきたのではないだろうか。

ネタバレBOX

スイスの2人組が、モロッコのアクロバットグループと共同で創作した作品。

単に、「アクロバット凄いな」を楽しむ舞台ではなく、さらに一歩芸術作品となっていた。
うまい言葉が思いつかず「芸術作品」と書いたけど、「あんなこともできるんだ」という、表面上の凄さだけではなく、深みがあるという意味である。

コーランのような歌、シンプルだけど効果的な装置、細かく計算された個々の動きが面白く、美しい。エキゾチックで、陰影もあり、ユーモアも哀愁もある。

もちろん、観客が「おお」と声を上げ、思わず拍手をしてしまうアクロバットもある。

イメージとしては「ダンス」公演であり、アクロバットとしてだけを見るのではなく、舞台で展開されるいくつかのイメージをつなぎ合わせ、その文脈をどうとらえるかによって、面白さは変わってきたのではないだろうか。
劇作家女子会!

劇作家女子会!

劇作家女子会×時間堂presents

インディペンデントシアターOji(東京都)

2013/06/13 (木) ~ 2013/06/16 (日)公演終了

満足度★★★★

今、女子が感じているのは「不安」なのではないだろうか
単に女性の劇作家が集まって上演をするというだけではなく、演劇関係の女子(!)のネットワークを広げていき、何か「いいことが」もたらすんじゃないかというような意図による企画の、第1回。

ネタバレBOX

なんていうか、「女子会」と言ってしまうところがいいのかもしれない。「女性の……」のように肩肘張っている感覚とは違う、軽さがある。

軽さがあるが、芯はしっかりしている印象だ。

「女子会」と言いながら、いきなり演出に男性の黒澤世莉さんを持ってきたのは……、まあ女子会だからそのへんのゆるさもアリなんだろう(笑)。
個人的に言えば、黒澤世莉さんの演出は好きだから、観に行ったと言ってもいいのだが。

黒澤演出は、演出家の色を全面に強く押し出すことはしない。
戯曲の持ち味を引き出す良さがある。
さらに、主に軸となる役者の良さも引き出す。

今回の企画では、4人4色の戯曲を、その持ち味を変えることなく、見事に演出していた。そして軸になる役者をうまく見せていく。
それぞれの演目をそれぞれが演出せずに、同じ演出家だったことで、統一感も出ていた。

それにしても、特に縛りを設定せずに、4人が書いてきたものは、いい塩梅にバラエティに富んでおり、さらに変に時間の縛りがなかった(たぶん)ことで、それぞれが無駄な時間稼ぎや、言い足りないことがないようになっていたのは良いと思う。

「恋愛」がテーマになっているようで、実のところ、根底にあったのは「不安」ではなかったのだろうか。
表面は、恋愛についてのあれこれであっても、不安はぬぐい去ることはできない。

つまり、今、女子たちが感じているのは「恋愛」ではなく「不安」ということではないか。
どの演目にも「不安」が充ち満ちている。


『彼女たち』第1部 作:黒川陽子
キャラクターがあからさまにくっきりしていたので、わかりやすいと言えるが、ラストに第2部が控えているとは言え、幕切れがあまり鮮やかではない。
佐々木なふみさんの美容師にしか見えない、あの感じがうまい。髪の毛の具合とかね。そして、男から見て「マズい女に手を出しちゃた」と思わせるような、ある意味幼くて、したたかな女を演じた長瀬みなみさんもよかった。

『Compassion』 作:オノマリコ
とても恐くて気持ちの悪い設定。
台詞がいい。あり得ない台詞だけれども気が利いている。
男の困惑は、観客の困惑でもある。
しかし、ラスト近くで観客はそこからも引き離されてしまう。
ただ、ラストに男と女が言葉には言えない何かで引かれ合っているということであれば、女が最初に男にアプローチして、徐々に「何か」が見えてくる(彼女にとっても、観客にとっても)とよかったように思う。
また、男の奇妙さが段々明るみに出てくるのだが、そこがもう少し描けていたら、ラストの関係にうまくつながったのではないだろうか。
阿波屋鮎美さんの台詞と立ち振る舞いの不気味さがうまい。あんな訳のわからないことを言っているのに(笑)、惹き付ける力がある。

『バースディ』 作:モスクワカヌ
ありそうな設定すぎ。
幻影に振り回される妻、といったところか。
誕生日は特別なもの、というのは女性の感覚かも。
もっと静かな怖さのほうがよかったように思える。

『親指姫』 作:鈴木鈴
なるほど、シラノがベース。
面白いのだが、途中からの進行が長すぎ、ラストは見えているのだから、もっとさっと行ってもわかったように思う。
もし、途中のやり取りをこれぐらいにするのであれば、さらにもうひとアイデアほしいところだ。
親指姫を演じた河南由良さんが、くつきりしていてとても良かった。

『彼女たち』第2部 作:黒川陽子
少し蛇足な印象。
あえて2つに分けなくてもよかったように思える。
ウソを重ねていくのだが、ラストがすぐに見えてしまうのが残念。


今、気がついたのだが、ここの「公演詳細」の「その他の注意事項」に「※演劇公演です」とある。ホントの女子会と勘違いさせないためだろうか(笑)。
メコン流れ星

メコン流れ星

ひげ太夫

ザ・ポケット(東京都)

2013/06/11 (火) ~ 2013/06/16 (日)公演終了

満足度★★★★★

一発でファンになった
ここのチラシを劇場内でもらうチラシの束の中に見つけるたびに、思わず笑ってしまっていた。
しかし、なかなかスケジュールが合わず、今まで観ることができなかった。

そして、ついに今回初ひげ太夫!

ネタバレBOX

前説の歌からヤラレてしまった。
面白い!

そして本編。
ここまで、セットや雰囲気(!)を肉体で表現しているとは思わなかった。
さらにBGMまで自分たちの口で出したりもしてします。

やはり、組み体操が見もので、3人が縦になって、劇場(ポケット)の天井までに届く高さとなるのには、知っていても驚いてしまう。

それをあまりにも、さらりとやってしまう。
だから、観客としては「凄い!」と思のだけども、ストーリーにはしっかりとついて行けるのだ。

全員が、1時間50分をノンストップで駆け回り、相当な運動量なのだけど、それを感じさせない。
顔にほとんど汗をかいているようには見えない。そのあたりもプロ! だ。感心してしまう。

そして、ストーリーが面白い。
台詞の細かいところが気が利いている。
つい、にやりとしてしまうところも多い。

いいもの観た。

一生懸命が伝わってくる。
この面白さはクセになる。
一発でファンになった。

幕が下りてから、NG集が付いているのにも大笑い。
太鼓の達人のあたりは、あえて説明せず、観客が、「!!!」と気がつき、気がついた人から笑いが起きていく、なんてところも素敵だ。
変に説明しないところがいい。自信の表れでもあろう。


帰郷 -The Homecoming-

帰郷 -The Homecoming-

Runs First

シアター風姿花伝(東京都)

2013/06/15 (土) ~ 2013/06/30 (日)公演終了

満足度★★★★★

家族のカタチ
手でつかめるぐらいの質量感。
それをシアター風姿花伝という小さな劇場で観られる幸せ。

ネタバレBOX

小川絵梨子さんの演出は好きだ。

この舞台は、彼女の演出と出演者の顔ぶれを見て、行くことを決めた。
濃くて重くて、生きた台詞の応酬が楽しめる、そんな舞台ではないかと期待したからだ。

果たしてそのとおりだった。

正直、ストーリーと登場人物たちにはほとんど共感できる点はないのだが、圧倒的な役者と戯曲の質量感にぐいぐい押された2時間。

タイプの違うイヤな感じの人々が舞台の上にいる。
常に苛立ち、暴力的な言葉で罵り合う。

年老いて息子たちの世話になっていることがを素直に認められず、悪態をつく父。
父を養っているが、家族を含めあらゆるところに不満があり、それを父にぶつけてしまう次男。
そして、ボクシングという目標があるのだが、ふらふらして腰が定まらない三男。
自分の家が気に入らず、家を飛び出し何年も連絡すらとらない長男。
いい歳になっているのに、一人身で、兄(一家の父)の家に一緒に暮らす叔父。
そして、明らかに不仲なのだが、直接的には表面には出さない長男の妻。

どろどろしたストーリー、相手を罵倒するような台詞の応酬、そして苛立ち。

日常感じている苛立ちや不安を、(それとは関係ない相手に)ストレートに言葉に出してしまったら、こんな風になってしまうのだろう。しかも、いったん言葉にして、応酬したら、歯止めが掛からずこんな具合のギスギスした家庭の様子になってしまうのではないだろうか。

しかし、一緒に暮らしている。
外で発散できない鬱憤を、内で晴らしているだけだ。
単にいがみ合っているわけではない。

だから、味がどうこうと言ってはいるが、父親が食事を作ったりしている。
何年も帰ってこなかった、長男さえも帰ってくる。

長男は、哲学者になっていた。労働者階級である自分の出自が気に入らない。自分の家族とそこにかつて属していたことも気に入らないのではないだろうか。
だからこそ、それを直接的ではないにせよ、妻にぶつけてしまっているのではないだろうか。
そうした鬱憤を「家族に向けてしまう」のが、彼の実家の姿だったから。

妻は、そうした夫(長男)の言動や言葉にしない感情を常に感じていたのだろう。
彼女が自分の出自らしきことを語るところからも、それはうかがえる。
それが長年の間に積み重なり、ついに嫌気をさした妻が、夫である長男に引導を渡す寸前に、夫婦だけで旅行に出たのではないだろうか。

旅の目的地に選んだのは、長男が、最も嫌う自分の家だった。
途中にイタリアに寄ったりしたようだが、本当の目的は自分の故郷だったのだ。
「帰郷」だ。

彼(長男)は、実家に帰ることで何を望んだのだろうか。
彼の実家の家族たちのように、ホンネで話せることができることを望んだのか。
あるいは、自分も妻と同じような階級から出てきたということを、自分にも妻にも再確認するためなのか。
いずれにせよ、なんらかの突破口を見つけにきたに違いない。

しかし、妻の出した結論は、「彼の実家に残る」だった。
普通の妻、そして母親である彼女が選択するはずのない結論だ。
つまり、彼女はついに静かに爆発してしまったのだ。
なんて暗い展開なのか、と思ったのだが、ラストで印象は一変した。

長男が妻を置いて去るときに見せる、次男の表情だ。
この寂しげな表情こそが、この物語のキーではないのだろうか。

つまり、先に書いたとおり、悪態をつき、自分の苛立ちを家族に、汚い言葉でぶつけ合っている一家なのだが、それはそれでバランスが取れており、それがこの家族の姿。
他人から見れば、いがみ合い、嫌な感じのする家族なのだが、彼らにとってはそれが「自分たちの家族のカタチ(姿)」ということなのだ。

つまり、長男の妻が残ると言ったことに対して、「客を取らせる」まで言ったことは、長男の妻に対する「ここにいるなよ」というメッセージであり、またそれは長男に対する「妻と和解して連れて帰れよ」というメッセージではなかったのだろうか。

不器用なりに、頭の回転が速い次男が考えた「策」ではなかったのだろうか。
もちろん、三男と父親がそこまで頭が回ったかどうかは微妙だが。

それに対して長男は気づきもせず、去ってしまう。
妻は、夫である長男に最後に声をかけるが、やはり長男には伝わらない。
妻は、あのような行動に出ることで、長男には「一緒に帰ろう」と言ってほしかったのだろう。
しかしそれは、妻がいた場所と自分がいる場所が違っていること(階級とか階層とか)の違いを印象づけてしまうだけで、逆効果だったのかもしれない。

いや、あるいは長男は気がついていたのかもしれない。しかし、哲学者ゆえ、頭がよすぎるからこそ、気持ちのままに動くことができなかったともいえるのではないか。
つまり、哲学者である自分がそういうことに囚われていることへの、自己嫌悪による行動なのかもしれない。

もう我慢の限界まできている妻に対して、夫である長男は「察してあげる」だけでよかったのだ。しかし、それができない悲しみがある。

舞台の上のすべての人たちが、深く後悔したまで幕は閉じられてしまう。

この舞台は、ハロルド・ピンターの脚本による翻訳モノだが、小川絵梨子さんが翻訳も手がけているので、台詞が役者によく馴染んでいるように思える。
その人から間違いなく発せられた言葉。
「訳された」感がない。

そしてこの舞台は、役者を楽しむ作品ではないだろうか。

中嶋しゅうさんの存在感。
浅野雅博さんと、斉藤直樹さんの、別タイプのイヤな感じが素晴らしい。
那須佐代子さんには、底知れぬ怖さを感じた。
普通の妻・母親がそういう行動に出て訴えたかったことについての、静かなる反抗。

セットは、壁に小道具や家具を散りばめることで、リアルな室内を作ることなく、古く暗くて湿度の高そうなイギリスの家を表現していて素晴らしかった。
また、家から見える正面のスロープの上にあるブランコは、かつて兄弟たちが楽しんだであろう、昔日の家族の象徴のようで、効いていたと思う。



舞台そのものとは関係ないが、パンフレットがあれでは……。
たとえ300円であったとしても、あれでお金を取るのは、ない。
☆「2つの嘘と3つの夢とハリウッド」☆

☆「2つの嘘と3つの夢とハリウッド」☆

Lobeauhエンターテインメント

中野スタジオあくとれ(東京都)

2013/06/26 (水) ~ 2013/06/30 (日)公演終了

満足度★★★★

スウィート☆サスペンス
LAでルームシェアーする人々の日々と迫りくる恐怖を描くドラマ。外国人の役者さんも出演し、英語の台詞も多く、セットもアメリカンテイストで、お客さんの多くも外国人、と日本に居ながら海外気分を満喫。他の劇団からは感じたことのない空気感に包まれて、観ているうちに気持ちがカリフォルニアに飛んで行きました!シーンごとにかわる衣装はかなり思いきったモノもあってGood!ギターの演奏も雰囲気作りに一役買っていました。終盤のサスペンスはとてもスリリングな展開でドキドキ。でもなんだか心があったかくなるラストでした。 開演前や休憩時にセットの一部を使ってビールとワインを販売するサービスも洒落れていて良かったです。楽しかった! 

マリ ~カタチとアイダの物語

マリ ~カタチとアイダの物語

ミュージカル団クレアトール

シアターX(東京都)

2013/06/15 (土) ~ 2013/06/16 (日)公演終了

面白かった
この作品は絵本を読んでいるような柔らかくて懐かしくて、優しい気持ちになりました。
そしてなんだか切なくなりました。
童心に戻ったようでした。

☆「2つの嘘と3つの夢とハリウッド」☆

☆「2つの嘘と3つの夢とハリウッド」☆

Lobeauhエンターテインメント

中野スタジオあくとれ(東京都)

2013/06/26 (水) ~ 2013/06/30 (日)公演終了

満足度★★★★

情況証拠
 ハリウッドで一旗あげたいミュージシャン志望のジュン、女優志望のアリスがシェアしている住居に3人目の入居希望者が現れた。名前は、マユミ。フラワーアレンジメントがしたいという。(6.29追記)

ネタバレBOX

 マユミはずっと4つ違いの姉と暮らして来た。施設を出た後も、姉は妹の為に一所懸命働き、大学まで出してくれたのであった。その姉が亡くなった後、彼女は、ハリウッド近郊のこのアパートに移り住んできたわけであるが、どういうわけかいつになってもフラワーアレンジメントの学校に通うようには見えない。一方、ジュンもアリスも一旗揚げようとやってきた身、チャンスを掴む為なら何でもやる、と威勢がいい。だが、ハリウッドのスター達にしてみれば、こんなタイプこそ、ごろごろしているので、歯牙にもかけない。逆に、一見おっとりしているが、人形のような顔立ちで小さい、控えめでちょっと田舎びたマユミは、魅力的に映る。「源氏物語」の“雨夜の品定め”の風情にも似ていようか。何れにせよ、マユミは、もてる。その結果、LAに着いて間もなくビッグに私邸へ誘われ、危ない目にも遭いそうになったがどうにか難を逃れた。
 当初、三人の借りているアパートの家賃が、抜群の立地、豪華な作りにも拘わらず、安いのか、理由を明かさない先住者2人であったが、オーナーのユウスケが、このアパートのリビングで死体となって発見された、というのが、その理由であった。ユウスケはITベンチャーの社長で、他の会社を吸収合併したりして大きくしていったので、恨みを買ったのではないかというのが、ルームメイト達の意見であった。だが、犯人は見付かっておらす、その後、ユウスケと関係のあった女性が彼と同じように針で刺されて亡くなる、という事件が報告されて、すわ嫉妬による変質的殺人鬼が犯人か、との憶測が流れ、それが、徐々に固定観念と化してゆく。そんな折も折、ユウスケ宛ての小包が届く。偶々、作曲、作詞の発想に行き詰まっていたジュンはマユミの日記を読んでおり、彼女がユウスケに恨みを抱いているらしいこと、届いた小包に書かれている文字と日記の文字とが極めて似ていることなどから、変質的殺人鬼はマユミだと勘違いしてしまう。丁度、同じ頃、アリスも付き合いのある男に連れられて行ったストリップバーで踊っているマユミを見てしまったこと、マユミが自分では、「日本料理店で働いている」と言っていたことなどが重なり、二人はマユミが犯人だと決めつけてパニックに陥ってしまうが。
 まだ公演が残っているので、後の部分は明かさない。実際に舞台を観て確認して欲しい。
『千葉さん』

『千葉さん』

(劇)快心劇

ワーサルシアター(東京都)

2013/06/12 (水) ~ 2013/06/16 (日)公演終了

ストーリーが面白かった
フレッシュな役者さんと面白い味のある役者さんがいい味を出している作品でした。
一番はストーリーが面白かったです!

月の岬

月の岬

SPIRAL MOON

「劇」小劇場(東京都)

2013/05/29 (水) ~ 2013/06/02 (日)公演終了

クオリティが高い!
作品の中に流れる空気みたいなものはなんだか懐かしく切ないものでした。
それを創る役者さん、舞台セット・・・作品を創るすべてのものが丁寧でクオリティが高かった!

浦安ロック

浦安ロック

昭和芸能舎

赤坂RED/THEATER(東京都)

2013/06/12 (水) ~ 2013/06/17 (月)公演終了

シンクロ???
フライヤーにあったシンクロの下りをすっかり忘れていたところ、
最後に!!! 面白かった!
コメディ要素たっぷりなんだけど、ストーリーの展開がいいタイミングでちりばめられていて、1時間40分が短く感じました!

ティーガーデンで逢いましょう

ティーガーデンで逢いましょう

NO-STyLe-GArden

劇場HOPE(東京都)

2013/06/18 (火) ~ 2013/06/23 (日)公演終了

満足度★★★★★

ネホリーとハホリー☆
(^^)/ 面白かったです☆ 脚本はほのぼのと気持ちよく、そして何より楽しい! 感動的シーンもGOOD! 演出も見事☆ 役者の実力者揃いで、大満足です♪ 千秋楽、満員の中、キャンセルが出て、観劇できてホントに良かったです。
観劇日記をブログに書きました。

マクベス

マクベス

東京二期会

東京文化会館 大ホール(東京都)

2013/05/01 (水) ~ 2013/05/04 (土)公演終了

満足度★★★★

シェークスピア文学は,人生を肯定的にとらえるもの。
シェークスピア文学は,人生を肯定的にとらえるもの。

シェークスピアが愛されるのは,人生に対し肯定的である点かもしれない。演劇そのものは,必ずしも明るいとか,わかり易いとかいえないが,意外と,前向きなのだ。逆にいえば,太宰治みたいに死ぬことばかり考えながら,生き,最後玉川上水で入水自殺した人もいて,そっちは,お世辞にも人生を肯定的には観ていないだろう。

どのみち死ぬから,同じじゃん。という人は,遊園地で遊んでいてください。

シェークスピア演劇は,人生をありのままに写すことが狙いになっている。人生とはこのようなものだ。人間は,こんな風に生き,そして,死んでいくんだよ,といった感じだ。それを,五幕とかに上手にまとめる。

シェークスピアは,36歳頃から,続けて,四大悲劇を作った。『ハムレット』『オセロ』『マクベス』『リア王』。彼は,人生に悲観し,悲劇を作ったわけでは,まったくなかった。悲劇的要素の,演劇における効果に興味を持っていた。だから,悲劇的な人生を作ってみて,悲劇が人の心に与える力とか効果をさぐっていた。

シェークスピアの作品には,厳密にいうとオリジナルはない。元になる脚本は必ずあって,それを,少しばかり脚色するのが,彼の腕の見せ所だった。自然に対し,鏡を掲げて,民衆に演劇として提示していく。彼の作品は,人物の性格が生き生きしているのだ。人生を劇場にたとえた。だから,『マクベス』でも,人生が,歩いている人の影,影法師だっていうんだ。人間の影なんて,月の光がなくなれば,いとも簡単に消えちまうものさ。

『マクベス』は,野望に駆りたてられた男の物語だ。良心の呵責はあるものの,まっすぐ,破滅につき進む。各場面は,比較的シンプルでもある。展開するスピードも,恐ろしく速い。加速度を増す。魔女の呪文。殺人事件の連続。マクベスという一人の凡庸な将軍が,生き,死んでいくのをどう評価してもかまわない。とにかく,一人の男は,生き,そして,死んでいったのである。

やっぱ,死んじゃうんだね。
まあね。

参考文献:福原麟太郎著作集(研究社)

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