最新の観てきた!クチコミ一覧

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花の散りぎわ

花の散りぎわ

年年有魚

駅前劇場(東京都)

2013/08/28 (水) ~ 2013/09/01 (日)公演終了

満足度★★★

気にし過ぎかもしれませんが

本筋はシンプルなのに本筋から外れた枝葉がたくさんついていたように思え、人物関係も込み入って必要以上に複雑になっていると感じました。事前に用意してあった人物相関図のプリントを良く見ておいて良かった。副住職の説法や姉夫婦の会話なども不要と思われる部分も多かったように思いました。
一年間の物語なので、それぞれの場面で季節感のある会話や小物の道具立てなどもあり、衣装もその都度季節にマッチしたものに変えていた点も良かったのですが、話の筋として無理に時間を引き延ばしたのではないかと思えるようなところがいくつかあり違和感を覚えました。たとえば、夫はなぜ沈黙を保ったまま何か月も姿を見せないのかとか、妻はなぜ決断の書類を書くのに半年もかかるんだとか、檀家対抗野球大会の予選と本戦がなぜ3ヶ月も開いてしまうのか、などなど。
そんなことがつい気になって集中できない自分がいました。余計なことをあれこれ考えずに観ればよかったのかも知れません。

奴婢訓

奴婢訓

虚飾集団廻天百眼

ザムザ阿佐谷(東京都)

2013/08/23 (金) ~ 2013/08/27 (火)公演終了

満足度★★★★

原典未見だったのがちょっと惜しまれる
寺山修司の戯曲自体はほとんどいじらずに使ったそうだが、元ネタ未読の身にはいかにも百眼な印象。
そんな中、「少女椿」での手口を応用した(あるいは亜種の)ラストの入れ子構造にニンマリ。
一方、物語そのものはどちらかと言えば静的(「存ぜぬ快楽」に近いか?)だが、生のドラム演奏や生歌も含めてショー的要素が強く、見世物小屋的いかがわしさも漂わせて本領発揮?(笑)
そして最後の一人ずつマッチを擦っての名乗りと全員でのショットは画竜点睛を打つ格好良さ。満足!

木

ろりえ

サンモールスタジオ(東京都)

2013/08/22 (木) ~ 2013/09/01 (日)公演終了

満足度★★

ん?
スタッフさんの為のお芝居だったのかな?

ネタバレBOX

1部はいいのですが、2部になるととたんにつまらなくなってしまいました。もっと、魅せる力が全体にあれば・・・
問題のない私たち

問題のない私たち

“STRAYDOG”

テアトルBONBON(東京都)

2013/08/21 (水) ~ 2013/08/25 (日)公演終了

満足度★★★★★

楽しめました
よく足を運ぶ中野の劇場での公演、楽しめました。「いじめ」という重いストーリーでそれでいて前向きに生きていこうとする登場人物の連帯感に感動しました。満員御礼でよかったですね。高校生らしからぬ役者という前説に納得させられました。悔いが残るのは、時間超過によって次の観劇の時間が迫っており、速攻で移動したためパンフレットを買いそびれてしまったことです。

被告人~裁判記録より~

被告人~裁判記録より~

アロッタファジャイナ

ギャラリーLE DECO(東京都)

2013/08/27 (火) ~ 2013/09/01 (日)公演終了

満足度★★★★★

情報の取捨選択!
この実験公演を表現として形創るのには、相当な時間と労力を費やしたと思われる。情報の取捨選択により第三者の見方が大きく変わることを十分感じられていると思います。そしてそのチャレンジに敬意を表します。
さて、この舞台、とは言っても舞台らしい舞台はありません。6〜8畳ぐらいのスペースを部屋の中央に取り、コンクリート丸裸の床の上で実験演目5つを2人ずつで、役者は皆白装束に裸足の出で立ちで演じます。最前列の観客との距離50cmから1mなので動きなどほとんどないにも拘らず桁外れの臨場感。本番中の役者の顔や表情、そして言葉をこんな近くで見聞きしていいのだろうか。被告人が本当に訴えたい事や真実の姿というものを少なからず感じ取ることが出来たと思います。
役者さん皆さん見事でした。ぜひ、続編お願い致します。

木

ろりえ

サンモールスタジオ(東京都)

2013/08/22 (木) ~ 2013/09/01 (日)公演終了

満足度★★★★


1部は星5、2部は星2、合計で星4とさせていただきます。志水さんに拍手。

ネタバレBOX

2部構成。1部、美術音響が暴れだす怒涛のオープニングが秀逸。少年のころの甘酸っぱさと不器用さとスピード感がとても素晴らしい。1部だけで話は完結していると思うくらいのでき。反面、2部になると、笑いへの狙いがしつこく表れる。そのためスピードとプロットが停滞し、それぞれのエピソードが孤立してしまっているように思いました。だからラストもなんでそんなに軽く動けるのか不思議でした。しつこいともいえる笑いの狙いはなんだったのだろう。
『MOJITO』『想像』(ご来場ありがとうございました。御感想お待ちしています!)

『MOJITO』『想像』(ご来場ありがとうございました。御感想お待ちしています!)

BARHOPPER × MU

BAR COREDO(東京都)

2013/08/27 (火) ~ 2013/09/02 (月)公演終了

満足度★★★★

ユニークな朗読劇
朗読劇はおもしろいのかな?という気持ちを振り払うような芝居でした。せっかくの2本立てなのだから何かしらつながりがあるとなおよかったのでは?

前向き!タイモン

前向き!タイモン

ミクニヤナイハラプロジェクト

こまばアゴラ劇場(東京都)

2013/08/22 (木) ~ 2013/09/02 (月)公演終了

満足度★★

うーん
賛否両論になるのもわかるか。

ネタバレBOX

りんごの話やらヒヨコの話やらの存在意義が一回ではわからないか。映像、舞台の配置換えなど面白くなる要素はいっぱいあるし、役者のせりふかぶりはわざとと分かりつつも、どうも。
前向きになりに行こう、という気概だと辛いかも。
丼

劇団天然ポリエステル

シアターシャイン(東京都)

2013/08/29 (木) ~ 2013/09/01 (日)公演終了

満足度★★★★★

おもしろい
幽霊の活躍が良かった。

父と暮せば

父と暮せば

演劇集団 激突撃破

吉祥寺櫂スタジオ(東京都)

2013/08/28 (水) ~ 2013/08/31 (土)公演終了

満足度★★★★

力のある俳優さん二人の
熱演で見応えありました。けれんみの無い演出、美しいライティング、アコースティックな音楽、どれも見事でした。すべてがこの作品にぴったりとはまっていて、映画とはまた違った迫力がありました。ちょっと気になったのが、始終MAXな声量で演じられたこと。この俳優さんたちなら、どんな小さな声でも演じられたはず。80分という公演時間は決して短くはない。もう少し強弱があったほうが観客側としてはリラックスして見られたかな、と思います。

ネタバレBOX

小物がうまく使われていて、上手いな~と・・・・・。モンペ姿で化粧気のない美津江が、最後に木下を迎えに行くときにさりげなく眼鏡を外す。悲しみや苦しさの中にも娘心がよく出ていて、思わず美津江に幸多かれと祈りたくなるようなワンシーンでした。
「バンク・バン・レッスン」

「バンク・バン・レッスン」

アトリエ凹アルコーブ

Studio Do Deux Do(東京都)

2013/08/25 (日) ~ 2013/08/31 (土)公演終了

満足度★★

面白い本だっただけに
飽きることなく見ることができ良い芝居でした。
が、一方脚本が面白い話なだけに途中でかんだりしているところがあり、残念でした。会場もアットホームでよかったですが、役者がはける場所がなさすぎてやりづらそうでした。他のものも厳しくしているので、あえてからめにつけました。安藤洋介さんはよかったです。

死が二人を分かつまで、愛し続けると誓います(黄金のコメディフェスティバル最優秀作品賞、受賞)

死が二人を分かつまで、愛し続けると誓います(黄金のコメディフェスティバル最優秀作品賞、受賞)

ポップンマッシュルームチキン野郎

シアター風姿花伝(東京都)

2013/08/17 (土) ~ 2013/08/25 (日)公演終了

満足度★★★★

危ない橋を渡りぬき栄冠奪取!
「黄金のコメディフェスティバル」千秋楽ぶっ通しスペシャルで観た本作、かなり危ない橋を渡ったチャレンジングな一作だったと思う。コメディコンペの出品作としてはいささかホロリ要素が強すぎるようにバルブには感じられたのだ。あとわずかでもホロリ要素が強かったら全6作品を観て投票権を得た観客たちも、そして5人の審査員も本作をコメディとは見なさず、多くの票は集められなかったかもしれない。しかし、ホロリ要素が許容範囲内にギリギリ収まっていると多くの投票者が判断したのか、蓋を開けてみれば最優秀作品賞と観客賞をW受賞! ホロリ要素が強かったとはいえ、千秋楽スペシャルでいちばん笑いを取っていたのは間違いなく本作だったし、バルブもこの作品が最も栄えある2賞を受賞してホッとした次第。バルブにはホロリ要素が濃すぎると思えたものの、作・演出家がおそらくは多少の不安を感じながらも“えいっ! これで良し!!”とした笑いとホロリの配合バランスは結果、間違っていなかったのだ。
 この好バランスが作・演出を手がけた吹原幸太氏の類稀なる脚本力の賜物であることは言うまでもない。

ネタバレBOX

 点滴が手離せない瀕死の高齢者、黒人、山の神。三姉妹が意表を衝く彼氏をいちどきに紹介してお父さんを驚かせる爆笑モノのシーンから始まり、涙腺を緩ませずにおかない感動的なシーンで終わる本作。
 落差のありすぎるオープニングとエンディングをみごと一本の線でつないでみせた吹原氏のストーリーテリングの巧みさにまずは喝采を送りたい。
 しかも、話をきちんと前進させつつ随所に無理なく織り込んである無数の小ネタはどれもハイレベルで、その中には他団体がほとんどやらなかった時事ネタも。「お前、罰として×××で働かせるぞ!」という、今話題のブラック企業を皮肉るそれこそブラックなネタもあったりして、これにバルブをはじめとする観客が爆笑したのは言わずもがな。
 バルブが演劇、中でも笑劇を好んで観る理由の一つとして“今を感じたいから”というのがあるのだが、時事的なギャグを入れられるのは生モノである演劇固有の強みで、映画やドラマではここまで即時性の強い時事ネタは不可能なのに、この強みを他の参加団体がほとんど生かさなかったことには大いに疑問。あるいは“古典的名作”を志向していて、後代まで残すには時事ネタは邪魔と判断したのかもしれないが、それは後代の演出家が時事ネタ部分を折々の世相を反映した別の時事ネタに差し替えれば済む話ではないか! 好みもあろうが、笑劇団が時事ネタをやらないのはバルブとしてはただの怠慢だと思う。
 ただ、時事ネタをやらない代わりに他団体も8割世界を除き下ネタには積極的で、本作の数多い小ネタの中にも下ネタは少なからずあるのだが、下ネタの見せ方はPMC野郎が群を抜いて上手かった。
 トンネル突入前の新幹線と突入後の新幹線の写真を交互に見せてSEXを表現したり、「大きくなった」というセリフを「下ネタ!?」と誤解した黒人に対し別の誰かが口の前で人差し指を振ってみせてそれが誤認であることを教え諭すという“メタ下ネタ”とも言うべきギャグがあったり、どの下ネタにも“ひと捻り”があるのだ。
 ひと捻りがあるといえば、エンディングもそう。
 冒頭で意表を衝く彼氏を娘たちに紹介される“お父さん”は霊視能力を持つ画家の叔母を尊敬していて、本作は幽霊が見えるその叔母と先に逝った夫の悲恋譚。
 夏には必ず連れ立って避暑地のホテルに出かけ、そこに住まう奇妙なお化けたちと騒動を繰り広げながらも仲良く過ごす親密な2人だったが、妻が他の男と会っているのを偶然見た夫は死者である自分に妻が不満を感じているのだと早合点して妻のもとを去る。
 それから40年―。すでに80歳を超えて余命わずかなはずの妻をひと目見たくなった夫がかつての愛の巣を訪ねると、「引っ越したら見つけ出せなくなるから…」と妻は相変らずそこにおり、涙ながらに言う。「遅すぎたわよ。私、独りでずっとここで待ってたのよ…」
 ひと捻りはここにある。
 ここで終わればサッドエンディングとなるわけだが、涙する妻の背後からはかつて夏をともに過ごしたお化けたちが満面の笑顔でゾロゾロと出てくるのだ。
 涙する妻の背後からお化けたちが現われるくだりは本編のラストシーンとも取れるし、カーテンコールの導入部とも取れる。つまり、吹原幸太氏はラストをお涙エンディングと受け取るかおバカエンディングと受け取るかを観客の判断に委ねたわけだ。
 事実、エンディングの受け止め方は分かれたようで、審査員の1人であるカンフェティ取締役の方はこれをお涙エンディングと、ラッパ屋の鈴木聡氏はこれをおバカエンディングと捉えたことが審査コメントから窺えた。
 ちなみにバルブは後者だったが、もしも本作がサッドエンディングとしか受け取れない終わり方をしていたらグランプリが取れたかどうか…。その終わり方だと多くの投票者が本作をコメディとは捉えず、結果、得票が減って栄冠は別の作品に渡っていたかもしれない。
 そう考えると、あらためてこう思わざるをえない。
 PMC野郎は、本当に危ない橋を渡ったんだなぁ……。
前向き!タイモン

前向き!タイモン

ミクニヤナイハラプロジェクト

こまばアゴラ劇場(東京都)

2013/08/22 (木) ~ 2013/09/02 (月)公演終了

満足度★★★★

やられた
ニブロールの【前向き!タイモン】を観劇。

昨年の岸田戯曲賞の受賞作品であり、傑作舞台である。
が、その舞台に感動出来ず、特異な世界観に入り込めず、更に理解も出来ず、お手上げ状態で劇場を後にしてしまったのである。


今作は、多重人格者タイモンの独り言を早口連射で喋りまくっているのだが、その喋っているセリフの羅列を観客自身の感性、創造性をフルスロットルに駆使して組み合わせていき、そして観客自身で世界観を構築しながら観て行くのが楽しい見かただと思われるが、それが全く出来ずに終わってしまったようだ。そのような行為を出来ない観客は、ニブロールの演劇は楽しめない?観客失格?という結果に終わるのである。

そう、だから僕は観客失格なのである。

でも、お勧め!

被告人~裁判記録より~

被告人~裁判記録より~

アロッタファジャイナ

ギャラリーLE DECO(東京都)

2013/08/27 (火) ~ 2013/09/01 (日)公演終了

満足度★★★★★

知的しかもラディカル
 出演者全員が裸足という演出は、裸の人間を示唆して興味深く、衣裳も白っぽい木綿系統の素材でナチュラルで飾らない在り様を示している。このような演出からも明らかなように、扱われた5つの事件で被告人とされた者は総て、人間的に描かれている。この視点が、肝要だろう。また、5件のうち4件を日本の事例で残り1件をフランスの事例で描くことにより、洋の東西を比較対象せしめ劇的効果を高めている。
 演じられることを前提としない文章を演劇化するという難題は、無数のシチュエイションを可能にするが、それを意味在る形に切り出す作業だけでも気の遠くなるような時間と労力を必要とし、己の立ち位置の自覚を促す。否、立ち位置が決められないようでは、形にさえならない。そのような知的煩悶を経て選ばれたシチュエイションは、時間的制約もあり、無駄が削ぎ落された言わば骨格である。最終的判断は、観客と作品の関係を通して、各々の腑に落ちる所にしかあるまい。つまり、客観など無いのである。それが、裁判。人が人を裁くことの根底にあるアポリアなのであろう。
(追記2013.8.31)

ネタバレBOX

以下、其々の具体例を、上演の順序に従って考察してみよう。
秋葉原無差別殺傷事件
 犯人、加藤 智大:2008年8月6日12時半過ぎ、秋葉原の交差点に赤信号を無視して2tトラックで突っ込み、5人を撥ねた後、車から降りてナイフで12人を殺傷、内7名が亡くなった。この事件の第16回公判記録を元に構成された作品。大切にしていたネット上の掲示板を荒らされたり、なり済ましをされたことで、自分の大切にしていた世界が荒らされた。ネット運営者に、対処してくれるように訴えたが、対応は一切して貰えなかったなど、事件の動機、行為へのきっかけ、行動に移した原因について被告の考え方などが、弁護士の質問に対して被告が応える形式で描かれるが、家族関係に関しては、母との関係が圧倒的。被告の冷静、論理的で明晰な頭脳が、幼少時からの母との関係で如何に阻害されてきたかが浮き彫りになる。
加藤役の笹岡 征矢の演技が気に入った。
結婚詐欺・連続不審死事件
 犯人、木嶋 佳苗:2009年8月6日、埼玉県の駐車場内にあった車の中から41歳の男性遺体が発見された。練炭による一酸化炭素中毒であった。自殺も考慮されたが不審点が多く、他殺の線で捜査が行われ、木嶋が容疑者として浮上、彼女には他にも何人もの愛人がおり、そのうちの幾人もが矢張り不審な死を遂げていることが判明。都合6人の殺人が疑われたが、うち3件は証拠不十分で立件されず、3件の殺人事件で告訴された。因みに2012年4月13日に出た死刑判決に対し、被告は即日控訴している。
 作品は、2012年2月17日、さいたま地裁での裁判記録を元に構成された。木嶋に父を殺された娘がボイスレコーダーを隠し持ち、独自に彼女の言質を取る為に木嶋の家を訪れるという設定で演じられる。
 娘との対話では、木嶋の性的奔放が、世間的常識を易々と超える有り様が、人間の本音と重なり合うような響きを帯びて、観客に突き刺さってくる。実際、生き物の生きる究極的目的は、子孫を残すことにある。従って単性生殖でない我々に、性は、絶対的な意味を持つ。自らの性器に自信を持ち、それで破格の稼ぎをしてきた木嶋の言葉は、この地平から響いてき、常識を簡単にひっくり返してしまうのである。そのような在り方そのものは裸であり、極めて正直でさえある。
結果は殺人事件という形になっているが、彼女の中では、恐らく罪の意識が成立し得ない。人間関係の謂わば破綻例、失敗例と捉えるか、もっとありそうなことは、彼女の意を被害者が、汲みそこなった結果と捉えたのではなかろうか? 何れにせよ、彼女自身の中で明確な罪の意識は形成されなかったのではないかと思える。証言が詐称でないと仮定すればだが。
日本社会党委員長浅沼稲次郎刺殺事件
 1960年10月12日、日比谷公会堂で講演中の浅沼日本社会党委員長が、17歳の右翼少年、山口 二矢に刺殺された。二矢は、現行犯逮捕され、少年鑑別所に送られたが、同年11月2日鑑別所独房で首吊り自殺を遂げた。作品は、山口 二矢供述調書をもとに構成された。事件前に彼が訪れ幾日かを過ごした杉本牧場で出会った、肺を病んだ少女との面会時の対話劇として構成されている。
 彼女は二矢に心惹かれるものがあった、二矢にしても仄かな恋心を抱いていたのだろう。彼女は、TVで二矢が起こした事件を知り、余りにもピュアで真っ直ぐな二矢は自殺するだろうと直感する。居ても立ってもいられなくなった彼女は鑑別所を訪れ、何とか自殺を思いとどまらせようとするが。
17歳の二矢の純粋性と知性は、心を撃つ。時代は、安保条約を巡り国会周辺では連日左翼勢力と警察が衝突を繰り返し、反米の動きも加速されて日米修好100年を祝うアイゼンハワーの来日日程調整の為に来日したハガチーの車をデモ隊が取り囲む事件が起こる等、かなり激しく揺れ動いていた。二矢は、仮にも儀礼の為に訪れた客を襲うことは礼儀に反すると酷く心を痛める少年でもあった。然し、右翼の情報には、この「国」で右翼を名乗る者の大多数が実は只のゴロツキに過ぎないという事実を証立てるような情報もない。まして、日米通商条約など、欧米との不平等条約の評価を巡っても自らの選択したイデオロギーによって正反対の意味を持つ。更には、論理は、そのオーダーを決してしまえば、そこから先の展開は、唯一先鋭化しかないと考える程の知性を彼は持たなかった。その結果、彼をして左翼代表たるに相応しいと感じられた浅沼委員長を刺すという結果を招いたのであろう。彼のストイシズムには、人を殺しておいて、自分が楽しむとか、旨い物を食うとか、幸せになるとかいうことを自分に許すべきでないとの高い倫理観が見て取れる。それ故にこそ、彼は自死を選んだのだ。
 他方、二矢の悲劇は、国体などという好い加減なでっち上げ理論に基き、裕仁を神聖化したこと。論理のオーダーを間違ったことにある。結果、その純粋性故に、日本の下司共、即ち裕仁以下、責任逃れ体系の中で安穏とし続ける為に、民を裏切り、アメリカの犬と成り下がって、この「国」を統治する御用聞きの犠牲者となった点にある。
2.26事件
 1936年2月26日から29日迄、北 一輝の日本改造法案大綱などの著書に影響を受けた青年将校15名が1483名の兵を率い、首相、陸相官邸、内大臣私邸、警視庁、朝日新聞社などを襲撃、陸軍省、参謀本部、警視庁などを占拠したクーデター未遂事件。青年将校らは、困民を尚収奪し、自らの腐敗を糺すことすらせず、私利私欲に走り、政を疎かにする為政者らの退廃を嘆き決起したが、無論、裕仁は、将校たちが望んだような義軍としての判断はせず、激昂して賊軍とし直ちに鎮圧を命じた。結果、7月12日将校15名は銃殺、8月19日には北 一輝、西田 税、村中 孝次、磯部 浅一ら4名が銃殺されて事件は幕を下ろされた。
 作品は、2.26事件裁判記録及び磯部 浅一の獄中日記をベースに、獄中で死刑判決を待つ磯部を取り調べに来た、陸軍士官学校時代の仲の良い後輩、法務官となった人物との問答形式で演じられる。因みに天保銭と呼ばれるこの後輩は陸大出、徽章が天保銭に似ていたことからこう呼ばれた。中でも最も優秀な上位6名には、天皇から日本刀が与えられたという。
 2.26で将校達が決起した背景には、庶民の貧しさがある。飢饉ともなれば、自らの姉や妹が女郎として売られるというのは、将校になった者の実体験である場合も少なくなかったのである。貧乏人の息子が将校に迄なれたのは、彼らが優秀で奨学金受給の対象となり、奨学金で高い教育を受けることができた結果に過ぎなかったのである。従って、彼らの民衆に対する共感は真である場合が多かったと言えよう。今作で登場する磯部は、もう少し豊かな家に育ったようだが、初年兵の教育に当たっていた時に貧しい家で育った兵に遭い、彼を通じて貧しさの意味する所を悟っていた。また、この初年兵を弟のように可愛がり、自分の当番兵に抜擢していたのでもあった。その兵も、磯部の傍らで死んだ。かつて、彼がそのように死ぬ、と言っていた通りに。
以上、日本の事件に関しては、一つの特徴がある。被告とされた者総てが、一度は、体制側に対して、合法的に訴えかけをしていることである。その結果も総て共通している。体制側は、一切、彼らの訴えを顧慮していないのである。結果、彼らは、体制の自己浄化システムに絶望し、己で決着をつけるしかなくなる。その結果が犯罪という形を取っているだけなのだ。日本型責任無化システムに対する絶望が、尖鋭的な形を取った時、犯罪という形を取るのであれば、それこそ、この「国」の特性と時代を映す鏡、止むに止まれぬ呻きのようなものではないのか?
ジャンヌ・ダルク異端審問裁判
 奇跡と言われるジャンヌの事績については、余りにも有名だから触れない。「ジャンヌ・ダルク処刑裁判」に書かれた裁判記録をベースに、“神の啓示を受けていたのは嘘であった”と書かれた書面にサインをしたジャンヌの祈りに現れた、神の使いとの対話という構成で、1431年5月27日夜の模様が描かれる。西洋の基本的な考え方が、神との契約に基づく実存と論理の問題として取り上げられている。


デイ・ルーム

デイ・ルーム

おにぎり貿易

海岸通ギャラリー CASO(大阪府)

2013/08/21 (水) ~ 2013/08/25 (日)公演終了

満足度★★

好き嫌いが極端に分かれる作品!
いゃ~私には面白さが全く分かりませんでした…
それは何か難しい本をずっと聞かされている感じ
前半の1時間で心が折れました…
それと座った場所が悪かったのか?
冷房が効き過ぎて寒気が…
後半は眠気と寒さの苦行の一時間

周りを見ると同じように眠気に襲われている人がスタッフも含めて数名…

これは好き嫌いが極端に別れる作品ではないでしょうか⁈
私には全く合いませんでした

観劇後も芯まで身体が冷えていて
温かい食べ物を食べるまで寒気が治まりませんでした…
案の定、次の日は風邪を引いてしまった…
冷房に対しては強い方で今までも直撃とかありましたが
こんな状態になったのは初めてです… (ーー;)

Interview with dark【終演!次回は劇団5454本公演、11月下旬!】

Interview with dark【終演!次回は劇団5454本公演、11月下旬!】

プロデュースユニット四方八方

萬劇場(東京都)

2013/08/28 (水) ~ 2013/09/01 (日)公演終了

満足度★★★★★

夏休みの思い出
劇場に入った瞬間に、田舎のおばあちゃん家に帰ってきたような、
夏休みの延長にいる気持ち。
フライヤーの世界観がそのまま、舞台にあるという驚き。

妖怪のお話、としかわからなかったけれど、
こんなに笑って泣けるとは!
それは哀しい涙ではなく、切なく温かい涙。
観終わったあとはただただ清々しく、こんな気持ちは初めてでした。

役者がきらきらしていたのがとても印象的!
この人、こんなに魅力的だったのか、とそれぞれにはっとして、
みんなのことがとっても大好きになってしまった!

また絶対観にいきます!

木

ろりえ

サンモールスタジオ(東京都)

2013/08/22 (木) ~ 2013/09/01 (日)公演終了

満足度★★★★

ウィットに富んだフィリングとともに
劇場に似合わないスケールを物語なのですが、
適度にはさまれるウイットに溢れたシーンが
作品に絶妙なふくらみを与えて・・・。

観ていて、描かれる時間の長さを体感しつつ、
時間を感じずにサクサクと舞台を楽しむことができました。

ネタバレBOX

少年とその周りの人々の
中学生から中年までの時間が描かれていくのですが、
単につらつらと語られるのではなく
そこには、作り手一流の語り口があって、
長い物語をちゃんと負わせてくれる。

主人公にしても、3人で演じ繋ぐことで、
それぞれの年代の青さや茂り方や朽ち方が
うまく引き出されていたように思います。

なんだろ、作り手の物語を遊び心とともに語る
センスのようなものに惹かれる。
回り舞台にしても、
木の美術にしても、
先生のコーラスの男女比のこだわりや、
ポリスの兄弟の作りこみにしても、
馬にしても熊にしても、
ひとつのシーンを彩るだけではなく、
貫かれて物語を貫く骨格の一部として機能して、
物語に重くないボリューム感を与えていて。
役者達の、刹那を描く力だけではなく、
物語全体を支えるトーンをロールに編み上げていく力が
澱んだ重さにならない、しっかりとした量感を舞台に与えていく。

ちょっと良かったりすっと心惹かれるシーンも
良い塩梅に散らされていて。
島の住民や転校生の恋の顛末とか
工場の駄目従業員が高揚していく様も、
主人公の子供を授かった母親の風情も
作品に色というか奥行きをうまくかもし出していて。

観始めたころのろりえの公演といえば、
所属女優や客演の役者を観にいくかという感覚があったけれど、
最近の公演では、それに加えて物語自体を楽しみにいくという意識が強い。
また、いろんな美術や設定の外連も楽しみになっていて。
今回の作品も、期待にたがわず、
素敵なボリューム感とともに味合わせていただけました。

被告人~裁判記録より~

被告人~裁判記録より~

アロッタファジャイナ

ギャラリーLE DECO(東京都)

2013/08/27 (火) ~ 2013/09/01 (日)公演終了

満足度★★★★★

被告人
あの空間の中で、間近に感じられる。引き込まれる!ただ、寒かったです。
椅子に置かれている演目の内容を読み、入っていけました!
役者さんが、その人になってる?っていうんですかね?すいません、文章にするのは難しいです。。

ネタバレBOX

特に、秋葉原無差別殺傷事件の、被告人と弁護人の会話が主に、母親の存在が大きく、私が母親になった今だから、子育てしてくうえで考えさせられた!



ニュータウンカフェの人々

ニュータウンカフェの人々

演劇ユニット「Nプラス」

「劇」小劇場(東京都)

2013/08/27 (火) ~ 2013/09/01 (日)公演終了

満足度★★★★

一貫性、なのでしょうね
過去に拝見した同じ脚本家さんのものと、つくりがすごく似てました。伝えたいこと、描きたいことがはっきりしているのは、作家として大事なことだと思います。関君がまた不甲斐ない役だったんでウケました。ほのぼのさせていただきました。

ネタバレBOX

役者さんを良く見せてあげるためにも、セットはもう少しなんとかなりそうな気がします。お水の瓶が美しかったので、ジャムも本物がいいと思います。
Interview with dark【終演!次回は劇団5454本公演、11月下旬!】

Interview with dark【終演!次回は劇団5454本公演、11月下旬!】

プロデュースユニット四方八方

萬劇場(東京都)

2013/08/28 (水) ~ 2013/09/01 (日)公演終了

満足度★★★★★

苅羽君らの殺陣も見どころ!
5454の公演に登場した「洗濯機に夢中になる男」と「ふたりで一人の男の子」は「病んでいる人間」であった。春陽は「病み」をファンタジーのテーマにするのがうまく、「病んでいる人間」=妖精、という捉え方を感じる(勝手な解釈)。プロデュースの今回は「病み」ではなく「闇」。「闇」から幽霊、ではなく妖怪というところが、独特のファンタジーを貫く春陽漁介らしさであろう。殺陣もあり、の快作(かいさく)である。舞台セットもしっかりしていて小劇場じゃないでしょ?これは。笑って泣けて、気分をさらさらにしてくれる。作品としての評価&おすすめ度は満点。※ただただ、セリフがんばって!

ネタバレBOX

両親が小さな声で喧嘩をしてる、すごく怒ってる、でも何言ってるかわからないから怖い。教室で、授業中にひそひそ話している声も怖い。だから、小さな音が怖い。という女の子を、家鳴りのナリタ(佐瀬恭代)が励ますシーンは秀逸。姿を消し、女の子が逃げ込むヘッドフォーンの音楽をアウトさせ、家鳴りはタップで合わせていく。そして言うのだ。「小さな音の中にも応援してる音があるよ」と。倒れるナリタ。最初の涙シーンである。春陽はこういうの、ほんとにうまい。
「怖い」という感情は「得たいが知れない」ということだろ?とムラマサ(苅羽悠)のセリフとうまくフィットしていく。
一度に説明をしない。だがきちんと伝える。「ト音」に続き「研ぎ澄ます」という言葉が今回も出て来た。おそらく今、春陽漁介は己にそれを求めてやまないのだろう。

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