最新の観てきた!クチコミ一覧

110221-110240件 / 189914件中
被告人~裁判記録より~

被告人~裁判記録より~

アロッタファジャイナ

ギャラリーLE DECO(東京都)

2013/08/27 (火) ~ 2013/09/01 (日)公演終了

満足度★★★★

裁判を入口に
記憶に新しい裁判から歴史の一ページとなった裁判まで、
実存した5編の裁判記録をベースに
5本の二人芝居が編まれて。

単純に裁判自体を再現するのではなく、
それぞれの裁判から垣間見える人や世界が
しっかりと作りこまれていて、
しかも、それぞれから切り出されるものの色が
異なる方向性や表現を持っていて見飽きることがない。

舞台に紡ぎだされた世界を、
漏れなくたっぷり楽しむことができました。

ネタバレBOX

初日を観ました。
会場に足を踏み入れてちょっと驚く。

役者達が演じるスペースは横6×縦5の椅子で囲まれて、
まさに囲み舞台。
最前列の幾つかの椅子には 養生テープで×が記されていて。

2列に並べられた椅子の外側にさらにもう一列。さらに、ルデコ4Fならではの
鉄骨で組まれたスペースにもう一列客説がしつらえられ、演者と観客の距離が極めて近く濃密ななかでドラマが織り上げられていきます。

(1)秋葉原無差別殺人事件

多分、弁護人が情状酌量を勝ち取るための、
被告への尋問を行った部分を切り出しているのですが、
そこから引き出される被告の育った環境が
そのまま観る側をぐいぐいと惹き付けていきます。

ひとつずつ確認される事実から晒されていく、
そこにはいない被告両親の風貌に息を呑む。
すこしデフォルメされた弁護人の熱の帯び方にも力があって、
被告に解けていく戯曲が表現しようとするものにさらなる陰影を与えて。

会話のリズムもとてもよく、
役者達の感情もよくコントロールされていて、
戯曲の企みがしっかりと端正に伝わっています。
ただ、その会話が揺らぎなくスムーズすぎて、
被疑者が抱く想いや躊躇の現れ方が、
すこし単調で表層的な印象をを作ってしまったのが
ちょっと惜しい。

(2)連続不審死事件(被告人:木嶋佳苗)

公判時の被害者家族の証言を元にしているのでしょか。

この事件も記憶に新しいし、
最終判決もまだ確定していなかったと思うのですが、
事件の全体像に加えて、その時のもうひとつの記憶として
週刊誌や新聞、ワイドショーなどで語られる事実が、
どうにもぴんとこなかったというのがあります。
なぜ、男たちが写真やテレビでみる女性の毒牙にかかったのか
感覚的に理解できなかったのです。

でも、舞台の役者達は
何かが欠落した、禍々しく、生々しい女性の姿を
舞台にしなやかに解き、会場全体を取り込み
事件のありようを観る側に得心させてしまう。
この、このどうにも言葉に表し得ない女性の質感を
戯曲に切り取った作り手と
なにより舞台上に解いた役者の圧倒的な
お芝居に感嘆。

被害者の娘役の役者も、その怪物にしっかりと
立ち向かってはいたのですが、
とまどいよりも憎しみの切っ先が強く演じられていて。
公演を重ねるなかでもうひとつまみ、そのバランスを細かく作ると
さらにインパクトをもった人物像が生まれるかもしれないと思いました。

(3)日本社会党委員長刺殺事件(被告人:山口二矢)

昭和30年代中盤に起こった事件、
写真や映像で何度かその瞬間は、とても衝撃的でした。

戯曲は、留置されている被疑者と面会の少女の会話を切り取っていきます。
被疑者の言葉と少女の表情の
交わる部分と交わらない部分の一様にならない
編みあがり方がとてもよいのですよ。
最初は静かなたたずまいでの被疑者の言葉が、
少女の受応えと、なによりその表情に、
理解されうるものとされえないものに判別されて、
だからこそ次第に彼が抱く思いを溢れさせることに
理が生まれる。

被疑者のお芝居も、刹那ごとのテンションのつけ方や
尺の中でのメリハリを含めて
よく練られたものだったとおもいます。

そして、少女の表情の作り方には天賦の才を感じたりも。
初日の舞台ということで
台詞がロールが抱くためらいではなく、単調に感じられる一瞬があったり、
立ち上がったときの言葉を待つ所作が
ややニュアンスを手放す一瞬もありましたが
舞台を重ねていけば、そのあたりはきっとなくなるはず。
この人、
楽日に向かってひと化け、
そして、今後踏み重ねていく舞台でさらに大化けする
何かを秘めている感じがしました。

(4)226事件(被告人:磯部浅一)

2.26事件については歴史の教科書で学んだ程度、
不勉強で登場人物の名前も知りませんでした。
でも二人の男のガチ芝居は、
それぞれの登場人物に骨の通った存在感を与えていきます。

被疑者の男が、自らの思想を語る場がきちんと作りこまれていて、
彼がその理想に傾倒していく顛末も、説明ではなく心情の表現の中で
しっかりと組みあがっていく。
予審尋問的なことを行っている彼の後輩も、
単に反論を述べるのではなく、
自らの心情の抑制のなかで、彼の理想に反論していく。
理論のぶつかり合いと先輩後輩の立場が
乖離することなく、会場のタイトな空間に編み上げられていくので
観る側も、良い意味で逃げ場をうしまい、
その熱に取り込まれてしまう。

その上での、
命を賭して自らの理想が受け入れられなかった、
被疑者の叫びjは、その中味への賛否を超えて、
人がさらけ出す絶望と無念のありようを
冷徹に織り上げていました。

(5)異端審問裁判(被告人:ジャンヌ・ダルク)

ジャンヌ・ダルクが自らの裁判の中で
一旦それまでの言動を否定する文書に署名をした後、
神からの啓示を受けて叛意したその刹那を
切り出した作品。

闇が支配する空間に
燭台と水桶が置かれ、
それらを挟んで、主人公の想いと神に対する翻意を諌める声が
重なっていきます。

炎のあかりに浮かび上がるジャンヌダルクは
息を呑むほどに美しかった。
女性というよりは少年に近い語り口が
ロールを徒に美化せず、実存感を与え、
そのやり取りが、
心情の移ろいを
光の揺らぎ以上に滲ませることなく
しなやかに伝えていく。

さらには 心を翻し、
署名した紙に火がつけられ
闇から解き放たれた彼女の姿に
身を賭して神の啓示に自らをゆだねることの
静かな高揚が浮かんで。
そのありようが目に焼付いたことでした。

諌める側の台詞の響きや強さも見事に制御されていて
役者達が紡ぐ一呼吸ごとの時間に
取り込まれて。
ただ、しいて言えば、
会話の中で、主人公の台詞に込められた想いの温度が、
一つずつのやりとりごとに細微に変化はしていたのですが、
やり取りの中での色のさらなる変化はあまりなく、
均一に作りこまれていたのが
少しだけ残念に思えて。
なんだろ、想いの生地が広げられるときに
その図柄は会話のごとに均質に織られた布地に、
滲みなく、とても精緻に、鮮やかに描かれ、重ねられていく感じ。
それは、物語の構造をより明確にはしてくれるのですが、、
舞台とのあの距離で醸し出される空気の中では、
よしんば、風合いがざらついたり、色が混ざりあい端正さを失ったとしても、
一行の台詞の中での、
糸の一本ずつが持つ色の織り上がりで観たいなぁと思ったりも。

作品の描き出すもの自体は精度を持って作りこまれていたので
ステージごとに会話が解けても、
耽美な空間は崩れることはなく
観る側をより凌駕するものに育つ予感がしたことでした。

*** *** 

まあ、初日の観劇で、公演を重ねるごとに
きっと伸びるであろう余白を感じる些細な点はあったのですが、
よしんばそうであっても、裁判の記録を枠組みにして、
しかもそのフレームに過度に捉われすぎることなく生かし
物語を切り取るアイデアと、そこから導き出されるものと、
編み上げられた戯曲に喰らいついていく
役者たちの演じる志には、ただただ目を瞠りました。

このメソッドというか作劇の手番は、、
作り手や役者たちが紡ぐ様々な物語への新しい切り口となり
観る側を満たし、更なる果実を期待させるものだったと思います。

フュメ・ド・ポワソン

フュメ・ド・ポワソン

THE ROB CARLTON

元・立誠小学校(京都府)

2013/08/30 (金) ~ 2013/09/02 (月)公演終了

満足度★★★★★

期待通りかそれ以上
声を出して笑うことの少ない人が、お腹痛くなるほどの大笑いしたとのことで今回初のROBさん。笑いにスキマがなくて、声出して笑うチャンス逃しちゃいました。それぐらい面白かったっていうことかな。楽しみな劇団が増えちゃいました。

丼

劇団天然ポリエステル

シアターシャイン(東京都)

2013/08/29 (木) ~ 2013/09/01 (日)公演終了

満足度★★★

夏の定番
 夏と言えば怪談は、定番である。TV局のクルーが、取材した心霊スポット、11番地まである“あるはず”の番地毎の本年度実績で、嘗てトップを独占した4番地チームも今では最下位、見る影もない。おまけに、嘗ての栄光は、人間サイドでは、現在ディレクターになっている男の若い頃の創作、でっち上げだと言われる始末。幽霊としては立つ瀬がない。そこで、ボスの命令一過、失地回復を図る為に、新人探しに走るが。
(追記2013.9.1)

ネタバレBOX

 現在ディレクターになっている男が、久しぶりに4番地にやってきた。新しい番組制作の為である。然し、彼は霊感が無く、ホントの幽霊が居るにも拘わらず、一切、感応しない。そればかりか、この地に眠るかも知れない数千万に上るお宝を探そう、という人物も現れる。
 撮影が始まるが、ひょんなことから、出演する女の子、おりえと幽霊になって自縛霊として4番地に住みついている女、キャピ子が喧嘩を始めてしまう。この時、出た名前は、矢張り出演者である殺人犯の本性を曝け出すに充分なきっかけであった。
 シナリオの展開が、凡庸である。もっと対比を上手に使い、ドラマチックな展開になるように作って欲しい。シナリオに切れが無く、演出が眠いのは、憂き世の見方が、未だ先鋭化される所まで行きついていないからだと思われる。哲学、社会学、メディアリテラシー、観察力などを高める努力が必要だろう。
フュメ・ド・ポワソン

フュメ・ド・ポワソン

THE ROB CARLTON

元・立誠小学校(京都府)

2013/08/30 (金) ~ 2013/09/02 (月)公演終了

満足度★★★★★

^▽^がなにより
前作★★★★★★★の「スカイエグゼクティブ」に笑殺されて、今回相方を連れて鑑賞。終わるなり最高の笑顔で「めっちゃ面白かった」と。相方にとても楽しんでもらえたのがなによりでした。ただ自分としては5Aのサーロイン級の笑いを期待していたので3A、4A級の笑いではモノたりませんでした。それでも、十分美味でしたけどね。ラストはちょっとイイ話でまとめられていてよかったです。次作も見たいと、いや絶対見ますよ!と言い切らせてくれる稀有な劇団です。

ネタバレBOX

チェンバー・福井・豚肉のくだり大笑いさせていただきました。うまい棒はスカイのほうが美味しかったです。あとブランコ選手の名前久々に聞きました。しかも重ねる重ねる(笑)星の数は気にしちゃいけないよね、ナダチョ~さん。
僕にしてみれば正義

僕にしてみれば正義

箱庭円舞曲

ザ・スズナリ(東京都)

2013/08/30 (金) ~ 2013/09/01 (日)公演終了

満足度★★★★★

豪華な
客席陣。

ネタバレBOX

地震に伴う原発事故で放射能汚染された地域に隠れ住む徴兵忌避の青年たちを中心にした話。

地震のシーンは迫力あり、見ものです。

人々は身勝手に生きたり、単に流されたりしながら生きていて、理由を付ければ全ては自分なりの正義に基づいているのはいつの世も同じですが、放射能汚染と中国との長期戦という憂鬱な事態が重なった現実で生きるのはとても重苦しいものです。

ところで、須貝英さんがこの公演を以って退団するということもあってか、客席が豪華でした。顔も名前も良く知っている役者さん、恐らく誰々さんだと思うけど名前は少しあやふやな役者さん、お見掛けしたことのある役者さん、たくさんいらっしゃいました。
排他的論理和の否定 - eXclusive Not OR -

排他的論理和の否定 - eXclusive Not OR -

まごころ18番勝負

インディペンデントシアターOji(東京都)

2013/08/28 (水) ~ 2013/09/01 (日)公演終了

満足度★★★★

舞台は面白かったんだけど・・
気のせいか会場内の一部臭気が・・暑さのせい?(37℃近くあった
・・でも、今日汗をかいたばかりのフレッシュな臭気ではないな、と思ってたら、
アフタートークをみてなんとなく納得?

客層ですか?

・・いや、偶然かもしらんけど(汗

ネタバレBOX

2バージョンのラスト30分までは展開が同じと言うのを聴いて納得。

確かに3/4近く進行するまでは、どこをとっても犯人に結び付けられそうだもんな、と。

俳優専門でない人が出ているようなので、
そうすると観客に背を向ける人が犯人・・?いや、そんな馬鹿な、と思ったら案の定その通りだった。まぁ、これは脚本云々とは別の問題で、ラストの方の犯人役の独白のためにテンションを高めてたのかな?

ちょっと演技が宝塚っぽいかという気もしないでもなかったけど、トークで「やっぱ好きだったのか」と思ったり。

宴席のグラスが色鮮やかな緑と赤がずっと残されていたので、
これで犯人に結び付ければ、
割と視覚的にも美しくミステリーとして成立するのかな、と思ってたら、
色盲のハナシが出てきたので、そっちで結びつけるのか、とも思ったり。ウテナ的?色的に。

ラスト30分で別の展開が用意されていたというだけあって
途中まではどこにでも進んで行けそうな展開。

解決編に行っても、確実な証拠があるわけじゃないので、
これは探偵役の話術がリアリティの鍵になるはずだけれど、
名も無い犬猫捜索が得意なバー兼業探偵の言うことを
どれだけ信用して聴くのかという疑問はどうしても残る(コナンじゃないんだし、でも2時間弱にまとめるにはどうしてもこうなっちゃうんだろうか(苦笑

舞台装置も俳優も演技もかなりの完成度だけれど、
ジャンルとしてほぼ完成されているミステリーは
こんな風につつけばいくらでも埃が出てしまう恐ろしいジャンル(苦笑

それだけに他の若い人も恐れずに他の舞台を観て
色々付け足していけば、
一世を風靡できるかもしれない強力な作品を作り上げる余地は
まだまだあると思ったり。

被告人~裁判記録より~

被告人~裁判記録より~

アロッタファジャイナ

ギャラリーLE DECO(東京都)

2013/08/27 (火) ~ 2013/09/01 (日)公演終了

満足度★★★★

被告に何を見るか
一緒に観た友人が「写真のような芝居だった」と感想を述べました。
まさに、言いえて妙。
物語があって「こうしてこうしてこうなりました」という明確なオチがあるのではなく、ポンと切り取った場面で、観る人の思いに任せる絵画的な芝居だったと思います。
被告人たちの言葉から感じるものは、観客によって大きく違う(そのあたりはネタばれで)が、だからこそ面白いと思いました。

開演前に当日パンフの「事件概要と演目の内容」を読むようにと再三アナウンスがあり、私もしっかり読んでしまいましたが、読まない方が良かったと思いました(笑)
色々な想像力をかきたてられてから見ても遅くない。
絵画の解釈も、自分が鑑賞してから教えてもらいたいし。

ネタバレBOX

1話めの秋葉原無差別殺傷殺人事件(被告人:加藤智大)
私がアンケートに書いたのは『母親のせいにすんな!お前なんか死刑だ!』という身も蓋もないものでした。
当時秋葉原をフラフラしていた(メイド喫茶の方じゃなくってフィギュア系のほうでね)私は、被害者たちを全くの他人とは思えず、加藤には憤りを感じていたので、被告の言葉が(弁護人の誘導も)酷く自分勝手で、自分の弱さを責任転嫁しているとしか思えません。
ところが、一緒に観た友人は「母親が(そしてそれを見て見ぬふりしていた父親が)悪い」と言いました。ドびっくり。
そして彼女は「あの秋葉原無差別殺人事件の本当の犯人は、加藤の両親だ」とまで言って、私に軽いカルチャーショックを与えました。
私が一番共感できなかった被告に、彼女は一番しっくりきた?ようす。
息子を持つ母親と子どものいない(が為にいい年してもいつまでたっても子ども目線)私とでは、全然違うものを見ていたのだなあ。


2話め結婚詐欺・連続不審死事件(被告人:木嶋佳苗)
割と最近TVで藤山直美のやった『悪女』を見ていたので、つい比べてしまい、「あれに比べて毒が無いなあ」とか「木島早苗役のナカヤマミチコさんが美人過ぎるよなあ」とかよけいなことを考えてしまいました。
会話も展開も予定調和。


3話め日本社会党委員長刺殺事件(被告人:山口二矢)
話うんぬんより(失敬)、宇野愛海さんの横顔が美少女すぎて目が釘付けでした。アンケートにもそれしか書かなかったと思います(笑)
そして今しみじみ思うのは、あの「純真無垢な美少女」は、山口被告の理想とした、守るべき国そのものだったのだなあ。

(余談ですが、実際の山口二矢の写真と演じていた塩顕治くんはとてもよく似ていると思います。似せたのかな?)


4話め226事件(被告人:磯部浅一)
個人的には、これが一番芝居らしくて面白かった。
磯部浅一の「天皇陛下、何という御失政でありますか」の叫びの場面は、切なかったです。磔にされたキリストが「わが神、なぜわたしをお見捨てになったのですか」と言う姿を彷彿としました。
人によっては、あの叫びを狂人の妄執とか怨念とか見るかもしませんが、私には、信じていた神(天皇陛下)に裏切られ血を流している痛ましい聖人に見えたのです。


最後、異端審問裁判(被告人:ジャンヌ・ダルク)
ジャンヌダルクといえば、幼い日に胸ときめかした美内すずえ先生の『白ゆりの騎士』
どんな場面を切り取ってくるのか、ジャンヌの役者は誰なのか、と期待していましたら、なんという落とし穴!蝋燭一本という演出のため、眼鏡を忘れた(というかル・デコだからいらないと勝手に侮っていた)老眼(鳥目)著しい私には、役者の声と歩いている座っているといった動きしか分かりませんでした。
私の座っていた位置もよろしくなかった。

ラジオドラマのように声だけ味わいましたが、神の子ジャンヌが自白強要された冤罪被告のようだなあと思いました。
ある意味もっとも人間らしい。5人の被告の中で。
『贋作・五右衛門』

『贋作・五右衛門』

東方守護-EAST GUARDIAN-

SPACE107(東京都)

2013/08/30 (金) ~ 2013/09/01 (日)公演終了

満足度★★★★★

絢爛華麗
 10分の休憩を挟んで2時間45分程の作品だが、シナリオも飽きさせない内容であり、華麗で細部にも気を使った舞台表現も見所である。左大臣が、お歯黒をしている点などを見ても、時代考証をきちんとし、風情のある舞台にしている様子が窺えよう。時に、紗幕を利用して幻想的な雰囲気を出すなど、演出、照明、音響なども気が利いており、花吹雪の使い方も効果的である。また、海の擬音を態々、犬役(はち)の女優が、舞台上で演じて観せるなど、ちゃめっけも健在、キャスティングも良い。女性たちの美しさ、可愛らしさに酔い給え。(追記2013.8.31)

ネタバレBOX

 王国を安んじ確固たるものにする為、女王は神を契りを結ぶ。懐妊した彼女は、仮面を被った神の素顔を見たいと望む。神は最初拒むが、真実を知ることから愛は育まれる、と詰め寄られ、素顔を曝すが、そこに現れたのは獣の顔であった。女王は「自分は獣と交わったのか、化け物よ、失せよ」と叫ぶ。この言に激怒した神は、王国が呪われ、生まれる子によって塗炭の苦しみを嘗め、滅びに至るよう呪いを掛ける。
 だが、女王もしたたかであった。和合した者が持てば神の命すら断つことのできる剣も、占いの力を持つ宝珠も己の手にあったからである。それに引き換え、神は祠に祭られ、そこから動くことはできない。
 時満ちて、女王は神との間の子を産んだ。だが、自らと王国に仇を為すと考え、子を殺そうとする。然し、彼女の妹がこれを憐れみ、宝剣と共に王子を連れ、何処ともなく姿を隠した。そして、子に生えていた狐の尾を切り人間の子として育てた。25年が経って、子は美しい青年に育った。その上、仲間と徒党を組み、自らは石川 五右衛門と名乗って、時の左大臣が、女王から拝領した黄金の扇を盗むと予告した上見事盗んで見せる。而も、その時の出で立ちは太夫のそれ、見事な美しさで大臣の心を掴んでしまった。
 然し、次に五右衛門立ちが狙ったのは、宝剣。何処に在るとも知れぬその宝の情報を得る為に、五右衛門自身が王宮に入り探索を開始したが、其処で、父である神に肉体を乗っ取られてしまう。無論、神は己の無念を晴らす為に息子の体を乗っ取り、女王並びに王国に仇を為そうとしたのである。五右衛門の肉体を乗っ取った神は、出雲の国からやって来た姫が、五右衛門の朋輩の美しさに惹かれていることを利用して手なずけ、もう一人の王子を遅効性の毒を盛って殺害。その罪を五右衛門一党にきせ、あまつさえ、五右衛門の配下であり、恋する女と一緒になり子を設けて幸せ一杯のわたるに五右衛門を名乗らせ、わざと捕まって刑に処せられるように仕組み、子供迄殺してしまう。わたるには、絞首だと偽情報を流したばかりでなく、仕掛けを施して逃れることができるようにしてあると誤魔化してもいたが、実際には、釜茹で刑にして殺してしまう。
 一方、左大臣は、独自に王子殺害の調査をしており、出雲の姫が怪しいと証拠の品を持ち出して追い詰める。刹那に宿った神は、その毒を、王子に与えた薬なのだから飲めと迫り姫を殺害。更に、女王を追い詰めてこれも殺してしまう。そこへ母を心配して側近と共にやってきた王女一行と対峙するが、側近、将軍らは、神通力に手が出ず、殊に側近は、神通力によって己の刀で己を足を切らされてしまう。
 ところで、宝刀を探す為に放っていた密使もその在りかを突き止め、宝は手に入った。然し、神を殺す為には神と和合した者がその宝刀を用いなければならない。五右衛門と神は一体化しているので、五右衛門と朋輩が和合した上で朋輩が己の命を断つと共に神の命、即ち五右衛門の命を断つならば、結果として神は死ぬ。彼ら2人は、この計画を成巧させる為に和合し終には神と決闘することになる。神は、傷を負ってもすぐさま回復してしまうので、殺すには、宝刀を用いるにしても致命傷を与えなければならない。その為には、朋輩も同時に死ななければならない。彼らは、だが、終にそれを為す。神は、神通力を持ち、而も永遠に生き続ける存在だが、愛されなければ、寂しさだけを抱えて永遠を生きなければならぬ。だが、和合した者の用いる宝剣によって命を奪われることによって漸く永劫の孤独地獄から解放されるに至った。
RE:1k 【公演終了!】

RE:1k 【公演終了!】

feblaboプロデュース

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2013/08/30 (金) ~ 2013/09/05 (木)公演終了

満足度★★★

全5話の短編。
4話目「天使は〜」の作品は良かった。(あとネタバレ欄にて)

ネタバレBOX

4話目、話が良かっただけに、ラストもうちょっと余韻に浸りたかった。カットアウト暗転ではなく、ゆるやかにフェイドアウト暗転にするだけでも違うと思いました。あそこでカットアウト暗転だと、観ている自分の中に感じた気持ちも、視界の変化と共にブチッとカットアウトされたような感覚になりました。

同話で、後から入ってきた女性が、履き物を履いていて、室内という設定で、他の3人は履いていないのに、その人だけ履いているのを不思議に思っていたら、一度はけて、再度出てきた時は何も履いていませんでした。
リハによる確認不足ということもあると思いますが、人間だから、ミスは仕方がないと思う。ただ、この場合は、他の3人の誰かが、「◯◯さん、靴履いたままですよ!」とアドリブ入れてほしかった。それが生ものである演劇の良さというか。
臆病な町

臆病な町

玉田企画

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2013/08/30 (金) ~ 2013/09/08 (日)公演終了

満足度★★★

上演時間約100分、体感時間80分
 タイトルと内容は無関係。チラシのあらすじと本編のストーリーは全く別物。
 カーテンコール無し。
 卓球部の合宿に来た男子中学生4人と、顧問のおっさんバツイチ教師。
 温泉旅行に来たOLコンビと、うち1人にたかってヒモ暮らしを送るアラサー無職のろくでもないその彼氏。
 同じ宿に泊まった2組が交わって起こる小騒動を描いた口語劇的日常劇。
 この種の劇ってそんなものなのかもしれないが、100分という上演時間に見合ったボリュームは感じられず、体感的には80分くらいの印象。笑えるいっぽう冗長さも感じられた枕投げのシーンや“いいキャラ”の教師によるお説教シーンを縮め、最後の見せ場にもっと時間を割くべきだったか?
 そうすれば腹八分目くらいの満足感は得られたはず。
 こじ開けた口に無理やり食べ物を注ぎこんで満腹にするような劇よりもこの種の劇のほうが好みとはいえ、腹七分目で劇場を後にするのはやっぱり忍びない。
 カーテンコールを加えただけでも満足感はいくらか上がったと思うのだが…。
 刻一刻と変化する感情を手つきや表情をコロコロ変えて細やかに表現していた墨井鯨子さん、ロクデナシを迫真の演技でじつに生々しく演じてみせた海津忠さんをはじめ、皆さんの演技にぜひとも拍手を送りたかっただけに、カーテンコールの割愛は惜しまれた。
 カーテンコールに持ち込めないほど重い劇というものもあるけれど、本作はそこまで重くもなかったことだし、あえてやらない意味が見出せない。

ネタバレBOX

 転任が決まった教師にあの手この手で謝意を伝えて感動を与えようと生徒達が夜おそくアポなしで部屋を訪ねると、教師はナンパしたOLコンビと酒盛り中。妙な空気が流れる部屋へ口論のすえ自分をフったOLを探しにロクデナシまでが乗り込んできて、生徒ら一同が見守るなか「あんた、他人(ひと)の女と何してんだよ!」と教師に詰め寄る最後の修羅場は見もの。
 ただ、ロクデナシの怒りが過熱し状況が重くなるほど可笑しみも増していくという名場面をせっかくこしらえたのだから、ここは一つ、ロクデナシにもっと暴れてほしかったところ。
 バルブとしては、OLコンビを引っかけたことからほの見えた教師の下心をズルズルと引きずり出して欲しかった。
 教師がこっそり用意した2つのコンドームが枕の下から見つかり、ロクデナシがさらに教師を問い詰めたあげく殴り倒すようなシーンがあっても良かったか?
 子供たちが気まずそうにそれを見ていることによって大人の修羅場が喜劇に変わるこの場面のこと、上記のようなことが起こればこのシーンはさらなる笑いを呼び込んでもっともっと盛り上がった可能性も。
 ともあれ、初見だったこともあり、この団体を正しく評価することはまだ不可能。評価するのはもう1、2作観てからにしようと思う。
 というわけで、3つ星は純粋に作品に対する評価です。
ずっと二人で歩いてきた

ずっと二人で歩いてきた

演劇集団キャラメルボックス

サンシャイン劇場(東京都)

2013/08/06 (火) ~ 2013/08/17 (土)公演終了

満足度★★★★

原田樹里さんの成長著しく。
「雨と夢のあとに」のその後のエピソード。
3.11以来、多作を意識してるキャラメルが「雨と…」に
出ない劇団員らによって、同時上演。

5人の俳優だけで2役もなく、いわゆる小品ではありますが、
これだけの話を作れるのが面白い。

なかでも、原田樹里さんの成長著しく。

また、劇団員でなくゲストの加治将樹さんが加わることで
違った緊張感が加味されて良いです。

客観的には☆3、皆さん辛口なのでひいきして☆4にします。

木

ろりえ

サンモールスタジオ(東京都)

2013/08/22 (木) ~ 2013/09/01 (日)公演終了

満足度★★★★

祝5周年、おめでとうございます。
梅舟さんは不在ですが、ろりえらしい舞台でした。
旗揚げ頃より、人に勧めやすい「ちょっと感動」が入ってます。
高木健さんのションボリした感じとか、松原さんの裸体
小倉さんのテキトーさとか常連の準劇団員さんのキャラと
人間以外が飛び出しても、すんなり受け入れられる奥山さんの世界。
途中やっぱり中だるみがありますが、それもOKかな?
前半の志水さん、中村さん、高木さんの青春劇風な展開は
2人きりのシーンとかなかなか良かったです。
あんなのだけで1本書いてもいけるんじゃないでしょうか?
阿佐ヶ谷のコーヒーから今後も見続けたいです。

『女優の魂』都市ツアー

『女優の魂』都市ツアー

チェルフィッチュ

新宿ゴールデン街劇場(東京都)

2013/08/23 (金) ~ 2013/08/25 (日)公演終了

満足度★★★

なかなかの女優さん
生きてたら、結構好きな女優さんだったかも?
少しの皮肉を交えた死んだ女優の「この世」の終わり頃
「あの世」の始まりを語る空間、佐々木さんの魅力を拝見。
ただ、一人芝居を観たという感じじゃなかった。

被告人~裁判記録より~

被告人~裁判記録より~

アロッタファジャイナ

ギャラリーLE DECO(東京都)

2013/08/27 (火) ~ 2013/09/01 (日)公演終了

満足度★★★★★

裁判記録が芝居になるということ
27日の初日に続いて30日も観劇しました。
裁判記録から取り上げられるエピソードは、芝居にするだけのセンスあるものでした。
迫真の演技が、単なる裁判記録を再現したものとは言わせない価値あるものにしている。
226事件は、独壇場の名演技を見せてくれる。必見です。
そして客演される女優陣のなんとも美しいこと。

あたっくNo.1

あたっくNo.1

劇団EXILE

青山劇場(東京都)

2013/08/23 (金) ~ 2013/09/17 (火)公演終了

満足度★★★

ついに
男には覚悟の尊さを説き、女にはその理解を求める。それが必要な怖い時代にリアルで突入して行くのでしょうか? あ、フジテレビもかかわってるのね。

毬谷友子一人芝居「弥々」

毬谷友子一人芝居「弥々」

ジェイ.クリップ

かでるホール(北海道)

2013/08/30 (金) ~ 2013/08/31 (土)公演終了

満足度★★★★★

良かった。
シンプルな舞台構成にして、見る人の想像力でどんどんと物語の世界に引き込んで行く終わった後も余韻が残り 語りかけてくるのではないかと錯覚してしまいました。

あかい壁の家

あかい壁の家

オフィス3〇〇

大野城まどかぴあ(福岡県)

2013/08/29 (木) ~ 2013/08/29 (木)公演終了

満足度★★★★

重いテーマをさらりと
歌や演奏に託して、いろんな人々の思いを苦しくないように語ってくれたかもしれない。震災がテーマだったとは知らずに、でもポンペイの大昔の自然災害と繋がっていて、、、

ネタバレBOX

モーツアルト以来久しぶりに観た中川アッキーはすごく大人になっていた。
渡辺えりの思いがたくさん詰まった作品でした。
ちょっと詰め込みすぎて消化不良になった感もあったけど、素晴らしい舞台だった。

Interview with dark【終演!次回は劇団5454本公演、11月下旬!】

Interview with dark【終演!次回は劇団5454本公演、11月下旬!】

プロデュースユニット四方八方

萬劇場(東京都)

2013/08/28 (水) ~ 2013/09/01 (日)公演終了

満足度は高い
ストーリー全体としてのまとまりに欠ける点はあるが、個々のシーンは良い。
難点を言えば「想い」を台詞(言葉)にしすぎる点。少し言葉足らず程度にしておき、残りは観客の想像に任せても良い気がする。
さらに欲を言えば、役者陣(特に若手)に「リスクを負った演技」にもっと挑戦して欲しい。やや「安全運転」に気持ちが向きすぎているのを感じる。
まあ、問題点もいくつか挙げたが総合的には満足出来る公演だと思う。劇団の今後にも期待したい。

被告人~裁判記録より~

被告人~裁判記録より~

アロッタファジャイナ

ギャラリーLE DECO(東京都)

2013/08/27 (火) ~ 2013/09/01 (日)公演終了

満足度★★★★★

好き!
雰囲気とか見せ方とか凄く私好み。
心理を丁寧に表現してくれてて観ててドキドキした。
番外公演じゃなくて本公演も観てみたい。
どれも好きだけど②③④が特に面白かった。

レ・ミゼラブル

レ・ミゼラブル

東宝

博多座(福岡県)

2013/08/03 (土) ~ 2013/08/31 (土)公演終了

満足度★★★★★

やっぱり最高
久しぶりのレ・ミゼラブルは新演出で懐かしい部分が減ってはいたけど、
それを上回る素晴らしいできだった。
あまりの感動に眼鏡を終始外さねばならなかった。

ネタバレBOX

オープニングの「下向け~」は映画の船のシーンになっていて
ちょっとちがうぞっと。他、盆が回らないとかバリケードが小さいとか、
もう新演出すごかった。役者さんはむろん問題もなく。
かなり昔に観たのに、セリフも歌も変わらなくて感動。。。。
あえて千秋楽間近に観たけど。。やっぱりもう1~2回観たかったなぁ~~
(T□T)

このページのQRコードです。

拡大