『贋作・五右衛門』 公演情報 東方守護-EAST GUARDIAN-「『贋作・五右衛門』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    絢爛華麗
     10分の休憩を挟んで2時間45分程の作品だが、シナリオも飽きさせない内容であり、華麗で細部にも気を使った舞台表現も見所である。左大臣が、お歯黒をしている点などを見ても、時代考証をきちんとし、風情のある舞台にしている様子が窺えよう。時に、紗幕を利用して幻想的な雰囲気を出すなど、演出、照明、音響なども気が利いており、花吹雪の使い方も効果的である。また、海の擬音を態々、犬役(はち)の女優が、舞台上で演じて観せるなど、ちゃめっけも健在、キャスティングも良い。女性たちの美しさ、可愛らしさに酔い給え。(追記2013.8.31)

    ネタバレBOX

     王国を安んじ確固たるものにする為、女王は神を契りを結ぶ。懐妊した彼女は、仮面を被った神の素顔を見たいと望む。神は最初拒むが、真実を知ることから愛は育まれる、と詰め寄られ、素顔を曝すが、そこに現れたのは獣の顔であった。女王は「自分は獣と交わったのか、化け物よ、失せよ」と叫ぶ。この言に激怒した神は、王国が呪われ、生まれる子によって塗炭の苦しみを嘗め、滅びに至るよう呪いを掛ける。
     だが、女王もしたたかであった。和合した者が持てば神の命すら断つことのできる剣も、占いの力を持つ宝珠も己の手にあったからである。それに引き換え、神は祠に祭られ、そこから動くことはできない。
     時満ちて、女王は神との間の子を産んだ。だが、自らと王国に仇を為すと考え、子を殺そうとする。然し、彼女の妹がこれを憐れみ、宝剣と共に王子を連れ、何処ともなく姿を隠した。そして、子に生えていた狐の尾を切り人間の子として育てた。25年が経って、子は美しい青年に育った。その上、仲間と徒党を組み、自らは石川 五右衛門と名乗って、時の左大臣が、女王から拝領した黄金の扇を盗むと予告した上見事盗んで見せる。而も、その時の出で立ちは太夫のそれ、見事な美しさで大臣の心を掴んでしまった。
     然し、次に五右衛門立ちが狙ったのは、宝剣。何処に在るとも知れぬその宝の情報を得る為に、五右衛門自身が王宮に入り探索を開始したが、其処で、父である神に肉体を乗っ取られてしまう。無論、神は己の無念を晴らす為に息子の体を乗っ取り、女王並びに王国に仇を為そうとしたのである。五右衛門の肉体を乗っ取った神は、出雲の国からやって来た姫が、五右衛門の朋輩の美しさに惹かれていることを利用して手なずけ、もう一人の王子を遅効性の毒を盛って殺害。その罪を五右衛門一党にきせ、あまつさえ、五右衛門の配下であり、恋する女と一緒になり子を設けて幸せ一杯のわたるに五右衛門を名乗らせ、わざと捕まって刑に処せられるように仕組み、子供迄殺してしまう。わたるには、絞首だと偽情報を流したばかりでなく、仕掛けを施して逃れることができるようにしてあると誤魔化してもいたが、実際には、釜茹で刑にして殺してしまう。
     一方、左大臣は、独自に王子殺害の調査をしており、出雲の姫が怪しいと証拠の品を持ち出して追い詰める。刹那に宿った神は、その毒を、王子に与えた薬なのだから飲めと迫り姫を殺害。更に、女王を追い詰めてこれも殺してしまう。そこへ母を心配して側近と共にやってきた王女一行と対峙するが、側近、将軍らは、神通力に手が出ず、殊に側近は、神通力によって己の刀で己を足を切らされてしまう。
     ところで、宝刀を探す為に放っていた密使もその在りかを突き止め、宝は手に入った。然し、神を殺す為には神と和合した者がその宝刀を用いなければならない。五右衛門と神は一体化しているので、五右衛門と朋輩が和合した上で朋輩が己の命を断つと共に神の命、即ち五右衛門の命を断つならば、結果として神は死ぬ。彼ら2人は、この計画を成巧させる為に和合し終には神と決闘することになる。神は、傷を負ってもすぐさま回復してしまうので、殺すには、宝刀を用いるにしても致命傷を与えなければならない。その為には、朋輩も同時に死ななければならない。彼らは、だが、終にそれを為す。神は、神通力を持ち、而も永遠に生き続ける存在だが、愛されなければ、寂しさだけを抱えて永遠を生きなければならぬ。だが、和合した者の用いる宝剣によって命を奪われることによって漸く永劫の孤独地獄から解放されるに至った。

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    2013/08/31 07:22

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