Aftershock
PLANT M
ギャラリーLIFT(東京都)
2013/12/09 (月) ~ 2013/12/22 (日)公演終了
アクアリウム
DULL-COLORED POP
シアター風姿花伝(東京都)
2013/12/05 (木) ~ 2013/12/31 (火)公演終了
壽初春大歌舞伎
松竹
歌舞伎座(東京都)
2014/01/02 (木) ~ 2014/01/26 (日)公演終了
満足度★★★
たっぷり5時間弱の昼の部
短めの演目の4本立てで、休憩込みで5時間弱に渡るヴォリュームのある公演でした。
『天満宮菜種御供 時平の七笑』
菅原道真を追放する策略を立てながら道真を弁護する様に振る舞う藤原時平を描いた作品でした。片岡我當さんが演じる最後に時平の長い高笑いがあり、幕が閉じきった後に再度笑い声が響くのが印象的でした。
あまり動きが無く会話が続く内容でしたが、貴族のコミカルな場面や子役達の別れを悲しむ場面等が良い、アクセントとなっていました。
『梶原平三誉石切 鶴ヶ岡八幡社頭の場』
娘に金を工面したいが為に自らの命を投げ打とうとする父親の心意気に感銘を受け助けてやる梶原影時を描いた作品でした。父親が切られようとする所に遣いにやっていた娘が戻ってくる場面からの展開に引き込まれました。
様々な酒(日本酒や焼酎だけでなくビールまで)の銘柄を織り込んだ、囚人の台詞がユーモラスでした。朱色が鮮やかな美術が初春らしかったです。
『松浦の太鼓』
忠臣蔵の外伝物ですが、本編とは異なって全体的に朗らかな雰囲気が漂う楽しい作品でした。
中村吉右衛門さんが演じた松浦鎮信が拗ねたり、大喜びしたりと奔放なキャラクターで、可愛いらしく魅力的で、俳諧師との滑稽な台詞のやりとりが楽しかったです。
『鴛鴦襖恋睦 おしどり』
女を巡って相撲で勝負する男2人を描いた前半と、つがいのおしどりの精が現れる後半を3人の舞踊で描いた作品でした。視覚的には美しかったのですが、物語的にも踊り的にもあまり変化がなく単調で、少々長さを感じました。
3人がポーズを決めてセリで上がって来る最初の登場シーンやおしどりのつがいの早替わりがいかにも歌舞伎的で良かったです。
カルメン
シアターカンパニー 象の城
相鉄本多劇場(神奈川県)
2014/01/04 (土) ~ 2014/01/06 (月)公演終了
満足度★★★
設定は興味深い
が、全体の構成と演出意図がびみょー。
新規さにとらわれすぎて、一番大切なものを見失ってはしまいか。
(長文失礼)
ネタバレBOX
ざわざわ感の残る舞台に立つ女子大生が「なぜドン・ホセがカルメンを殺したのか」の研究発表を始める。この導入部分はいい。
彼女の仲間が『カルメン』を演じながら、「なぜ」を探っていく、という展開になるはず。
しかし、劇中劇が始まるやいなや、その「劇中劇」に発表者である女子大生が取り込まれていく。
そこで、劇中劇への視点が変わる。
劇中劇は、発表者の視点なのか、発表者を取り込んだ劇中劇からの視点なのか。
さらに、そもそもの、「研究発表」自体が、「劇」であって、そのことはラストに近づいて行く中で強調される。
そういう「視点」のブレていき方は面白いと思うが、本来の「視点」、「何を見せたいのか」をポイントとしてきちんと整理すべきではないだろうか。
発表者である女子大生の立ち位置がわかりにくい。
劇中劇に取り込まれたときには、死刑になるところを逃げてきたドン・ホセの人質のような立場。つまり、「ドン・ホセが自分の話を聞いてほしい」と女子大生に言ってくるという「聞き手」の位置。
そして、女子大生はその話を聞く、という体(てい)でストーリーが動き出すのだが、ストーリーへの関わり方は、もとの「発表者」としての女子大生というよりは、「今、演劇に出ている、女子大生の役を演じている人」の視点なのだ。特にラストにかけては。
つまり、「発表」といいながら、何かがわかって発表しているというのではなく、「観客と一緒にそれを探っていこう」というものだとも言える。
であれば、それを観客に知らせないとわかりにくい。
そして、彼女がなぜ「なぜドン・ホセがカルメンを殺したのか」をテーマに選んだのか、が見えてこないので、ラストが唐突なのだ。
「シアターカンパニー象の城として、この公演に参加している人たち」という立ち位置が常に意識される。
ラストの女子大生役の感想もそうだが、「では、この公演はあなたたちにとって何だったのか?」が問われているはずなのに、役から役者に戻るシーンでは、各々感想がとても薄い。「え?」って思うほど。
最初の役者紹介にしても、「自分の言葉がない」。
ここは本来の台詞がない部分なのだろう。
にしても、あまりにも貧弱だ。
そして、最も大切な女子大生の、最後の感想はあまりにも浅くて薄すぎる。
ドキュメント的な要素を入れ、「劇」「劇中劇」を上演してまで、つまり『カルメン』を上演することで「何か」を「知りたい」「得たい」という欲求があったはずだ。
当然、その段取りはある程度予定されていたのだから、各役者は自分の設定された役、つまり、「カルメン」を演じる発表者の仲間の設定の役になり切って、どうこれから取り組んでいくのかを見せ、さらにそれがどう自分(たち)に作用したのかがないと、まったく意味がない。
ラストで発表者の女子大生が「演じた彼らも……」という台詞を言うのだが、演じた彼らの立ち位置も意味合いもまったく表面に出てきていないので、見ている側としては「知らねーよ、そんなこと」になってしまう。
女子大生本人は、「愛」とか「情熱」とかそんなものを信じていないまま公演をしていたが……と、ラストでようやく語り、自らの公演に感動して話しているのだが、それが伝わってこないのだ。「何」に「どうして」感動しているのかが。
そこから丁寧に伝えようとしなければ、女子大生役が涙ぐんだりしていても、しらけてしまう。
自分たちだけでわかったつもりになっていてもしょうがない。
「それ」を「見せる」こと、「感じさせる」ことがこの作品の目的なのではないだろうか。
つまり、自分たちが感じたことを、「感じました」とだけ言うだけでは作品としての成り立たない。
自分たちが作品を作り上げる上で「感じた」ことを、いかに観客に伝えるかが、大切なのではないだろうか。それがこの作品のキモではないか。
演出は、それをもっと掘り下げなくてはダメだ。
自分たちが感動しただけ、のレベルでは伝わらない。
伝えるためには、手順を追って、説明する責任がある。
「言いたいこと」が本当に、ドキュメント的にラストの女子大生の台詞に集約されているのならば、もっとシンプルな構造でも十分ではなかっただろうか。
叫ぶ台詞が(特に前半)多いのだが、叫んで効果を出すのならば、叫ばない台詞も大切だ。ムダ叫びは聞いていて楽しくない。
カルメンのキャラ設定が、彼女の激しい口調で見事に現れていたのだが、すべて同じ一本調子なのが辛い。演出が気を回さないと、役者の苦労が台無しになってしまう。
もっと、シーンによって演技(演出)を変えたほうがいい。
今のままだと、カルメンという人が、自由奔放なでけの、深みのない女性にしか見えてこない。
主人公である女子大生が、自分が信じられないことを、「カルメン」という演劇を通じて、その中に入り込み、ストーリーに思考を預けながら、辿っていくというというのがこの作品ではなかったのだろうか。
であれば、先にも書いたように、「カルメン」という演劇を選んだ理由が、テーマにかかわってくるし、そうした一番大きな全体像が、小手先のメタな設定に気を取られて、しっかりと提示されていないことが残念でたまらない。
また、主役であるドン・ホセは、人となりや、内面がなかなか見えてこない。葛藤が見えてこないのだ。ラストのほうでなんとなくぼんやりと見えてくるのだが、それでは「なぜドン・ホセがカルメンを殺したのか」という命題がクリアになっていかない。
女子大生が辿る意識の中(劇中劇)の主人公であるドン・ホセは大切なキーマンだからだ。
つまり、女子大生の意識=ドン・ホセであったのではないか。
面白い要素はいろいろあったし、意欲的な作品だと思ったが、この作品のレベルを上演するのであれば、課題は多いと思う。
しかし、ちょっと気になる劇団ではある。
ピローマン
名取事務所
「劇」小劇場(東京都)
2013/03/20 (水) ~ 2013/03/24 (日)公演終了
満足度★★★★★
もの凄く面白い
初日を観たと思う。
主人公がこんなに噛む芝居は初めて観たかもしれない。
そして、主人公がこんな噛んでいるにもかかわらず、「もの凄く面白い」と思った芝居も初めてだ。
「劇」小劇場という小さな劇場で、3時間10分という上演時間にたじろいだが、そんなの関係ないほど面白い。
こんなに狭い劇場なのに、よくぞうまく使い切った。
小川絵梨子さんの演出はいいし、役者もいい。
て
ハイバイ
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2013/05/21 (火) ~ 2013/06/02 (日)公演終了
満足度★★★★★
家族は「て」の指のよう
バラパラだったりしても、下ではつながっているから。
……そういう意味合いのタイトルなんだろうね。
ハイバイの『て』は、家族の話。
とても深く考えさせられ、笑ったり、あるいは泣いたり、痛くなったりする。
ネタバレBOX
家族の話。
こういう設定は、「家族」を意識するようになった、ある程度以上の年齢にとって、「自分のこことして」見て、考えられるというメリットがある。
どんな家族構成や環境であったとしても「家族」の話は強いということだ。
しかし、逆に誰でもが想像できる「家族」の話なだけに、多くの観客を納得させるのは難しいともいえる。観客の数だけ家族のカタチがあり、尺度があるからだ。
ハイバイの作品は、岩井秀人さんの個人的な体験が源である。
この作品も自身の体験がもとになったらしい。
岩井さんの体験は、観客の最大公約数であるわけもないのに、観客は納得し、かつ共感が生まれたりする。
それは語り口の面白さもあるが、作品がとらえているおおもとの部分が、1人ひとり別の人格をもった観客たちの、それぞれの琴線に触れることができているからであろう。
「家」を象徴するような4本の柱が天井から吊されている。
ところどころに焦げがあったりする。
ただ、それだけのセットなのに、そこに物語を見出すことだって可能だ。
そこで人が演じることで、観客の脳裏にはさまざまな体験や経験が蘇ったりするのだ。
一口に「家族」といってもさまざまなカタチかあるだろうが、その「おおもと」「根っこ」の部分においては、共通するポイントがきちんとあるだろう。
「これ」と言葉にうまくできない、それが舞台の上にある。
「言葉」ではないので観客は自分の家族のカタチを投影できる。
そうしたものをきちんと見せるうまさがこの作品にはある。
それを意識して戯曲を書いているのかどうかはわからないが、確実にその部分はとらえていて、それをあからさまではない方法、演劇として、「面白く」見せていくことができているのだ。
「面白く見せている」というところは非常に大きなポイントだ。
戯曲も演出も、もちろん役者さんたちもうまいのだ。
男性の岩井さんが母親を演じているということで、観客の心の敷居が下がってくるということもあろう。
また、「笑い」があり、それで気持ちがほぐれたり、救われたりするという面もあると思う。
それらを絶妙なバランスで見せてくれる。
ただし、すんなりと飲み込みやすい作品ではなく、飲み込みにくさが、笑えたり、泣かせたり、痛かったりするのだ。
この作品では、父顔のDVが中心にあり、それを取り巻く家族の関係が描かれる。
視点を変え、同じシーンを再度見せるという手法がうまく使われている。
答え合わせであったり、別の「視点」であったり。
この「別の視点」というのは、ひょっとしたら人間関係をうまく築くための、良いツールなのかもしれない。
「人の身になって考えよう」なんて言うけれど、なかなかできない。
だから「別の(他人の)視点」というのは大切だ。
もちろんそれを啓蒙するための舞台ではないのだが、長い間「引きこもっていた体験」のある岩井さんが、外に出て、演劇に出会って気がついたことなのかもしれない。
演劇は、「他人の気持ち」を想像できなければ、成り立たないので。
岩井さんは、そうして引きこもりから脱出したのではないだろうか。
「家族間のディスコミュニケーション」は、その度合いもさまざまだけど、多く存在しているのかもしれない。観客の多くは、胸に思いあたるところがあるから共感できるのかも。そのような状態は、「外にいる限定的な引きこもり状態」と言えるのではないだろうか(ちょっと強引か)。だから、そこから抜け出すには「別の(他人の)視点」が必要なのだろう。
痛かったりして、泣けたりして、自分の家族のことを思う観客も多かったのではないだろうか。
感じることがいろいろあって、考えることもいろいろあったりして。
「視点」を変えることで、とてもイヤな感じの長男への見方が変わった(長男を演じた平原テツさんは、イヤな役を演じたら天下一品・笑)。
つまり、シンプルなことだけど「話さなければわからない」ということが深く突き刺さった観客もいたのではないだろうか。
「もっともっと話をしておけばよかったなぁ」と、あとから思うのが家族なのかもしれないのだが。
劇中では「家族ではない人」が出てくる。
とても親しいけれど、家族ではない。
血がつながっていれば「家族」になるわけでもないし、血がつながっていなくても「家族」はあり得る。そんなことまでも感じさせてくれた。
おばあちゃん(永井若葉さん)の優しい佇まいは染みた。
木菟と岩礁
伏兵コード
in→dependent theatre 1st(大阪府)
2013/01/25 (金) ~ 2013/01/28 (月)公演終了
満足度★★★★★
今更ですが・・
観てきました。
救いのない話、とても好きなので(苦笑
RASCAL 第1回公演 『カミノキズ』
RASCAL
シアター711(東京都)
2013/12/25 (水) ~ 2013/12/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
堪能しました☆
少し日にちが経ってしまったが、大変楽しませていただいた者から一言。
孫がいても可笑しくない年代に近く、世相を読むことを生業としている私からすると、現代の若者の様々な姿が見事にパズルのように組み合わされて、短い時間の中に上手く表現されていたと感心した。どのキャラクターも現実にいるものだし、キャスティングも違和感なく面白かった。
訪ねて来た女の子のいじわるで唐突な質問攻撃は、1時間45分という限られた中で、トランクルームの住人たちの心情を吐露させるために必要なものだったと思うし、新しい外からの風(来訪者)と人間同士の生身の直のコミュニケーションによって、徐々にそれぞれの気持ちが変化して行き、新たな一歩を踏み出すという展開は、充分理解出来る。
喫煙に関する辛口コメントが多いが、燻らせる煙の形から人物の心情を汲み取ったり、煙った空気の中に霞む人々の置かれた様子を汲み取る感受性を、本来、日本人は持っているものだと思う。(私も大の嫌煙家だが、4列目でさほど影響は無かった。強いて言えば、空気清浄器などを持ち込むシーンがあってもいいかな? 現代の貧困生活は、戦前・戦後ほど悲壮感はない。結構、いい物も捨ててある)
この作家さんと演出家の、世相を反映した次回作にも大いに期待している。(「殺意~」も素晴らしかったよ☆)
ウェルカム・ホーム!
とぐろ食堂
STAGE+PLUS(大阪府)
2013/03/22 (金) ~ 2013/03/24 (日)公演終了
満足度★★★★★
2013年ステージプラス作品賞
下記に劇評あり↓
今年のステージプラスで上演した20本の作品でベストだと思いました。
http://stageplus.net/modules/blogplus/details.php?bid=137
許される許されざるに拘らずただ足枷の花束を抱いて
兎桃企画
STAGE+PLUS(大阪府)
2013/08/24 (土) ~ 2013/08/25 (日)公演終了
満足度★★★★
面白かった
派手さはなかったが、台本が巧みで面白かった。下記に劇評あり↓
http://stageplus.net/modules/blogplus/details.php?bid=147
阿修羅城の瞳
Contondo
世界館(大阪府)
2013/08/31 (土) ~ 2013/09/01 (日)公演終了
満足度★★★
面白かった
こちらのブログに感想書いてます。
妖艶なお芝居でした。
http://stageplus.net/modules/blogplus/details.php?bid=149
舞台「忘れられない女」大阪公演
劇団なんでやねんっ!
STAGE+PLUS(大阪府)
2013/10/19 (土) ~ 2013/10/19 (土)公演終了
満足度★★★
面白かった
タイトルからシリアスものを想像してたんやけど、
全員大真面目な顔で演じる不条理ギャグ。
森本氏の台本センスあり!
帝国
劇団有馬九丁目
OVAL THEATER & GALLERY (旧・ロクソドンタブラック)(大阪府)
2013/11/29 (金) ~ 2013/12/01 (日)公演終了
満足度★★★
帝国
座長ザキ有馬節炸裂!
面白かったです!
Nyan SELECT 2013
シアターカフェNyan
自由表現空間 シアターカフェNyan(大阪府)
2013/12/22 (日) ~ 2013/12/23 (月)公演終了
満足度★★★
Nyan SELECT2013
4作品のオムニバス。
舞台美術、衣装が美しかった!
ファニー・ガール
シンクロ少女
三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)
2013/10/04 (金) ~ 2013/10/14 (月)公演終了
満足度★★★★
視座の置き方と身体の表現力
舞台美術もとても秀逸で、
作り手が描く世界が歪まずに真っ直ぐに置かれていました。
物語の組みあがりにしても、シーン一つずつに切り出されるものにしても、
その刹那が持つニュアンスがしっかりと織り込まれていて。
登場人物一人ずつが抱くものも、クリアに伝わってくる。
そして、その重なりには、
作り手の視座がぶれることなく貫かれ、
終わってみれば、観る側に人が生きる感覚への俯瞰が生まれていて。
要所で役者が見せる表情や、身体での表現に
常ならぬ力があって。
時間を感じることなく見入り、
終わってからもしばらくは、
舞台の世界から抜け出ることができませんでした。
『アーサー記念公園の一角』『牛泥棒』
ナカゴー
ムーブ町屋ハイビジョンルーム(センターまちや-4階)(東京都)
2013/07/04 (木) ~ 2013/07/08 (月)公演終了
満足度★★★★
恐ろしき破壊力
2作どちらも面白かったのですが、特に「牛泥棒」は常軌を逸するというか、突き抜けたものを感じる作品でした。
観る側の想定範囲を超えたところで、物語の修羅を笑いに変えてしまうような、作劇のとんでもない切れを感じたことでした
アクアリウム
DULL-COLORED POP
シアター風姿花伝(東京都)
2013/12/05 (木) ~ 2013/12/31 (火)公演終了
満足度★★★★★
観ればみるほど・・・
初日、23日のソワレ、そして大楽と3回観てしまいました。
で、作品の印象が毎回違っていた。
もちろん、ゲストパフォーマーの色の異なりもあるのですが、
それだけに留まらない、舞台というか空間を
幾度も見つめさせる力がこの作品にはありました。
ネタバレBOX
前説で主宰をして「芝居が古い」と言わしめたシーンから、
すっと舞台上の時間に導かれ
ゆっくりとその雰囲気に染められて見入る。
わにがしゃべったり、ひよこがケンタッキーフライドチキンに抗議したりと
いろいろあったりもするのですが、
そこは心にとどめつつも、
少しずつ解かれていく場の空気を見つめます。
最初は目についていた舞台の中央前方に置かれている熱帯魚の水槽も
やがて気にならなくなり、代わりに人物其々のことが
少しずつ心に留まって、やがて、それぞれの今と、今の重なりと、
その先に垣間見える、
歩み出せないことと、
歩み出してしまいそうななにかが、
次第に舞台を満たしていく。
やがて舞台は、正面の水槽の魚たちの世界と重ねあわされて、
与えられるほんの少しの餌に保たれる、
世界の巡りのバランスのリアリティと
その中の魚たちのごとくに時を過ごす
シェアハウスの住人たちの、あるいは今を生きるとある世代のありようとなり
その感覚にすっかりと取り込まれている。
そして、その世代が背負うものの奥に潜む、ゲストが演じるひとりの少年のありようも強く残りつつ、その世界に組み入れられて。
初日の終演直後には少々ばらけた印象が残りました。
しかし、一晩たつと、それらの印象が束ねられ、もう一度観たいと強く思った。
そして、2度目に足を運ンだ時には、
耳かきひとさじの餌を与える女性の
「いつまでも見飽きない」という台詞の如く、
その水槽の在り様が、よしんば古風な演劇の部分であっても、
シュークリームを投げ合う姿であっても、
嚥下できないものを無理やり口に運び吐き出す姿であっても、
キャラクターたちそれぞれから描き出されるものも、
あるいは様々な感覚の具象や、
比喩に込められたものも、
さらにはその奥に揺蕩うあの事件のことも
すべてが水槽の世界にとりこまれ、
水槽の同じ世界に初日とは異なる印象を醸し
更にもう一度観たいと思ってしまう。
3週間以上のロングランであったにも関わらず、
前半、中盤、東京大楽とそれぞれに
役者たちが常に新たな踏み出しで刹那を作り、
醸されるニュアンスを定番に感じさせることなく
舞台の空気を編み上げていて。
ゲストが描き出す少年のニュアンスにも、
其々の研ぎ方と表現の秀逸があって。
単に物語を追うということではなく、
物語から浮かび上がる魚たちの姿を眺めるような感覚にも
深く捉われてしまったことでした。
この作品、地方公演の、少々異なる水槽の中で
どのように歩んでいくのだろうか・・・。
かなわぬこととはいえ、東京楽日を観て、
その先の公演がどのような質感を醸し出すのか・・・。
気になる。
人狼 ザ・ライブプレイングシアター #10:WITCH 星降る庭と13人の魔女
セブンスキャッスル
上野ストアハウス(東京都)
2014/01/05 (日) ~ 2014/01/13 (月)公演終了
満足度★★★★
楽しかった~
誰が人狼なのか考えてたらあっという間に時が過ぎてしまいました
今回は、人狼の勝利。まさかの展開でおもしろかったです
カルメン
シアターカンパニー 象の城
相鉄本多劇場(神奈川県)
2014/01/04 (土) ~ 2014/01/06 (月)公演終了
満足度★★★★
カルメン解体
大学の研究発表のような雰囲気でカルメンを解体してしまったアイデアは新鮮。「ドンホセはどうしてカルメンを殺したと思うか」という問いを事前に投げがけられたので、考えながらの観劇だったが(該当シーンでは、ふと、近松の心中ものが脳裏をよぎりました)、解体後には多少なりとも再構築を行なうか、私のように考えるのが苦手な人用に、方向性くらいは示してくれたら親切だったかも。最後に思い切って自説を発表しても良かったと思います。
가모메 カルメギ
Doosan Art Center
Doosan Art Center Space111(韓国)
2013/10/01 (火) ~ 2013/10/26 (土)公演終了
満足度★★★★★
『かもめ』の舞台を1930年代の朝鮮に
チェーホフ作『かもめ』を韓国人のソン・ギウンさんが脚色し、日本人の多田淳之介さん(東京デスロック)が演出されます。
『かもめ』の舞台を1930年代の朝鮮に置き換えて、登場人物を朝鮮人と日本人にし、それを日韓俳優によって上演すること自体が面白い上に、有名古典を材料にして現代を批評する作品になっていたのが素晴らしいです。
第50回東亜演劇賞の作品賞、演出賞、舞台美術・技術賞の三冠を受賞。