最新の観てきた!クチコミ一覧

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曲がるカーブ

曲がるカーブ

クロムモリブデン

赤坂RED/THEATER(東京都)

2014/01/09 (木) ~ 2014/01/23 (木)公演終了

満足度★★★★

どこを切っても面白い
クロムらしい、狂ってるとしか思えない展開のぶっ飛び具合が実に爽快。

ネタバレBOX

甲子園の模型が出てきてからは思わず口をあけっぱなしで見てしまいました。
ただ、やぼを承知で言うと、どのシーンも面白いのですがストーリー的な一貫性は感じられず、後半になるにつれて盛り上がっていく、というような感じがなかったのは残念でした。
女王の盲景

女王の盲景

空想組曲

シアター風姿花伝(東京都)

2014/01/08 (水) ~ 2014/01/19 (日)公演終了

満足度★★★★★

圧倒的な世界観
「組曲空想」からファンになったほさかさんの待望の新作。
切なくて哀しいおはなしだけど私はこちらの方が好み。世界観がすごくて。
周りのお客さん結構泣いていたけど、人によってそのポイントが全然違うのがはっきり分かって。いろんな見方ができる作品なんだと思います。
もう一回見たいけどしばらくひきずりそうで怖い。

ネタバレBOX

医者役の鍛冶本さんが特に素敵でした。
飄々としてて全体的に軽い感じなのに、子供を中絶させていた(させようとした?)ことが明らかになって。それまでの台詞にも後悔や償いが含まれていたことに気づいて、そこからラストまで泣きっぱなしでした。
人魚の夜

人魚の夜

青☆組

こまばアゴラ劇場(東京都)

2014/01/10 (金) ~ 2014/01/20 (月)公演終了

満足度★★★

青☆組 初観劇
2011年12月以来のこまばアゴラ劇場。
その時に観た演目も奇しくも吉田小夏さんの脚本でした。
だから青☆組は初観劇だけど、吉田脚本はお久しぶり。

余白が多い物語。
上品な佇まいの中にあるエロティシズムにドキリとさせられる。
特に渋谷はるかさんには、またもややられてしまいました。

ネタバレBOX

場内開演前から薄暗い
泡の音が聞こえる
泡を模したような丸いモール
背景は闇に溶けたような格子
座敷、卓袱台、学校の椅子

雨の多い海辺の町
そこにはこんな御伽噺が伝わっている

ある一時、そこは男の子しか生まれなかったという
そのため、人魚を嫁にもらう事に
人魚は水が無いことに慣れず、
雨が降ったときだけ夫の家に通う事にする
愛しい人に会う為に
人魚の妻は願う
「どうか雨が降りますように」
だからこの町には雨ばかり降る

そんな町のある家族の物語
過去と現在が行き来し、夢、妄想、思い出が交錯する
台風の夜に出かけて戻らない姉
義兄を慕う妹
父の教え子と何かあり家を出ている兄
異性へのトラウマを抱える父親

姉の死亡の経緯を役所の書類不備で語る
学校の椅子を葬儀の棺に見立てる
上手い演出を見せてもらった感じ

劇中に流れる歌が印象的だった

バイブ2回、飴の紙を剥く音、途中退席
気を削ぐアクシデントがてんこ盛りで残念

開場押しの謝罪あり好印象
座席は満員キツキツな感じ
2014都民芸術フェスティバル参加公演 現代舞踊公演

2014都民芸術フェスティバル参加公演 現代舞踊公演

(社)現代舞踊協会

東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)

2014/01/15 (水) ~ 2014/01/16 (木)公演終了

鑑賞記録
上演時間2時間、休憩2回。

Fairy Floss

Fairy Floss

私立ルドビコ女学院

上野ストアハウス(東京都)

2014/01/15 (水) ~ 2014/01/20 (月)公演終了

満足度★★★★

エネルギーに満ちた舞台でした。
このようなパッケージングの作品を初めて観ました。良い盛り上がりだったと思います。

夢も希望もなく。

夢も希望もなく。

月刊「根本宗子」

駅前劇場(東京都)

2014/01/10 (金) ~ 2014/01/19 (日)公演終了

満足度★★★★

この繊細さは真似できない
月刊「根本宗子」は初観劇。なるほど、繊細で良く出来ています。このような台本はなかなか書けるものではありません。
主人公に感情移入は出来ませんでしたが、そこは私が男なのでどうしようもないのでしょう。ただ、パートナーのために夢をあきらめて、というくだりは身につまされるものがあります。

根本氏は作・演出をしながら、きちっと出演できるのが凄いです。
出演者の中では、長井短さんの振り切れ方が良かったです。

ネタバレBOX

片桐はづきさんをワンポイントで起用するとは、まったく贅沢な配役です。
西遊記ゑん戯

西遊記ゑん戯

劇団BRATS

ザ・ポケット(東京都)

2014/01/15 (水) ~ 2014/01/19 (日)公演終了

満足度★★★★★

美しい!
楽しかった!

とにかくBRATSのaction&殺陣は美しい♡

選曲もイイ♪

岩田クン、おぐらさん、下川クン、下尾くんは格別!
今回は着物じゃなかったので桃さんの華麗な裾捌きはなかったけど
その分素晴らしい腹筋が・・・


初日だからか ン?ってところは無きにしも非ずだけど
満足です!

複数枚取って良かった~♪


BRATSの公演も行って後悔ナシ!!!

TRIBES トライブス

TRIBES トライブス

世田谷パブリックシアター

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2014/01/13 (月) ~ 2014/01/26 (日)公演終了

満足度★★★★★

内容とステージの好対照
黒を基調としたシンプルかつスタイリッシュなステージとは対照的に、コミュニケーションの難しさを描いた中身は重い。

櫻ふぶき日本の心中

櫻ふぶき日本の心中

椿組

ザ・スズナリ(東京都)

2014/01/15 (水) ~ 2014/01/19 (日)公演終了

ラスト30秒の心意気、しかと受け取りました。
終演後挨拶での、「ラスト30秒に命賭けてますから!」
はい、その通りです。
舞台装置は本当に素晴らしいです。
三方を囲む黒、日本の“日”とも読めそうな月、赤い舞台。
そして白の世界。
すっかり心奪われてしまいました。

時代はめぐる。「ゆう」と共に。

椿組は昨年夏の花園神社野外劇以来、二回目の観劇。
理解力の乏しい私には、「何でこうなったの?」「どうしてこうなるの?」って所が多々あるのは今回も同じ。
一つ例を挙げると、終盤の座頭三人が斬り合う理由とか。

しかし、全体のストーリーとしては楽しめた。
色々な時代の、様々な男女模様の、心中。
その時代でなかったら、そこに生まれていなければ、知らなければ、幸せになれたはずの男と女。
泣きたかったなぁ。何故泣けなかったのか…

表面的になってしまったからなぁ…?
各パートとも、相手を殺すほどの狂気はなかったのは確か。

江戸から始まり、時代をめぐり、また江戸に戻る。
時代劇の中に、「(当初の時代からの)未来の回想」という劇中劇が入る、何とも複雑な構成。
劇中劇の中に、今がいつといった正確な説明はないものの、大体の時代やその背景は理解できる。
そしてそんな複雑な構成でも、こちらは混乱せずに観られる。

ギターの生演奏が舞台を盛り上げてくれた。
時代劇にギター?と思って観始めたが、これが合う!

TRIBES トライブス

TRIBES トライブス

世田谷パブリックシアター

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2014/01/13 (月) ~ 2014/01/26 (日)公演終了

満足度★★★★

言葉とコミュニケーション!
「言葉」と「コミュニケーション」について考えさせられる作品でした。
中嶋さんの言葉、しぐさ、表情の繊細さに驚きました。「北の国から」の蛍役から観ていますが、本当に良い女優さんになったなあと思います。田中さんは舞台で初めて観ましたが、事なかれ主義の家族にシルビアの影響を受け、自分の積もり積もった思いを爆発させたシーンは印象的です。

TRIBES トライブス

TRIBES トライブス

世田谷パブリックシアター

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2014/01/13 (月) ~ 2014/01/26 (日)公演終了

満足度★★★★★

緊張感のある舞台
前半は苦手なタイプの舞台かと思ったのですが、後半に入ってその考えはものの見事に覆されました。張り詰めた舞台の緊張感、独特の演出、そして予想外にその存在があまりにも美しかった中島さん。吐き出される心の悲鳴に惹き込まれました。

 燕のいる駅

燕のいる駅

Theatre Polyphonic

ギャラリーLE DECO(東京都)

2014/01/14 (火) ~ 2014/01/19 (日)公演終了

満足度★★★★

ふしぎなあかるさと のどかさ
燕 のイメージのせいか このひょっとしたら絶望かもしれないものを ふしぎなあかるさをもって表現している

最後の日を受け入れた時に 焦点のぼやけていた毎日が かけがえのない1日となる ということをラストに示してくれた

喜劇ではけしてないが ハッピーエンド


登場人物がみな 等身大で魅力的

TRIBES トライブス

TRIBES トライブス

世田谷パブリックシアター

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2014/01/13 (月) ~ 2014/01/26 (日)公演終了

満足度★★★★★

黒狼と白狼の群れ
群れの対立、群れの中の力関係を見た思いでした。

ネタバレBOX

15分の休憩を入れて2時間20分、休憩は要らないのではと思っていましたが、前半と後半でガラリと変わり、なるほど意味がありました。

前半は、黒い服の家族という群れの中で一人浮いている白い服のビリーがいて、家族たちはビリーが連れてきた白い服のシルビアに対して、種族の違いによる言語の違いについて質問するが如く手話について問い質します。

自分たちの言語が高等だと考えている点が面白く、全てのことが手話で表現できると聞かされると何か残念がり、手話では、もしとか、かもしれないが表現できないと知るや、鬼の首でも取ったように喜ぶところが興味深かったのですが、そういうことを初めて知った私も彼らと同類でした。

後半では、シルビアの服が灰色になっていて、ビリーの兄とシルビアが接近したこと、あるいはシルビアが聴覚障害者のコミュニティから離れようとしていることを表現していました。

聴覚障害者のコミュニティには序列があって、先天性と後天性、手話ができるかできないかで序列が決まるそうです。家族という群れを離れ、聴覚障害者の群れに入ったばかりの新参者で比較的序列の高いビリーには新鮮に映るのでしょうが、どっぷり浸かって、かつ序列の低いシルビアにとっては健常者の世界を知ったことで逆にコミュニティを離れたくなったようです。

弟が聴覚障害者の世界に行ったことで優位な立場を失った兄の落胆振りは凄まじく、まさに狼の群れの力関係を見たようでした。

その後、それまで日の目を見なかった若造が得意の読唇術で評価され、調子に乗り過ぎて過ちを犯し挫折するおまけまで付いていました。
黎明浪漫譚-れいめいロマンティック-

黎明浪漫譚-れいめいロマンティック-

エムキチビート

吉祥寺シアター(東京都)

2014/01/07 (火) ~ 2014/01/12 (日)公演終了

満足度★★★★

素敵な走馬灯
ファンタジー・精神世界好きな方には、きっと好きなタイプの作品だと思います。
最初は、話についていけるか?と、心配しながらの観劇でしたが、感激で涙が止まりませんでした。
ちょっと、キャラメルのウルトラマリンブルークリスマスを思い出させるような要素もあったりして、とにかく泣けました。

舞台セットはシンプルで、小道具は必要最小限で、パントマイムメインですが、すごく世界観と合ってる気がしました。
また音楽と映像が、壮大で素敵だったな。
映像の使い方は、ゲームっぽい気もしました。
見ごたえありでした。
2時間越えで、休憩なしでしたから、すっごく重くどっぷりと浸かる感じでした。

ネタバレBOX

一言で言うと、親子の物語。かな。
病院で峠を迎えるお父さんの人生を、映画のような走馬灯で、振り替えれる息子。
お父さんが凄すぎた。
涙が止まりませんでした。

末原さんがすごい!
笑顔も、動きも、見とれる!その一途さ、まっすぐさが美しい。
米原こーちゃんは、唯一リアルに苦しいキャラですが、紛れもないイケメンでした。
まさかお兄ちゃん、亡くなってたとは!!のシーン、号泣。
立花くんもかっこよかったし、加藤学さんも久しぶりに見て、相変わらずの面白ぶりに感激!
若宮さんのチャーリーも、チョコレート工場のパクリっぽいのが、たまらんくいい。

エムキチビートの本公演は初めて観ましたが、いつもこういうテイストなんでしょうか?
エムキチアローン3rdの優勝者の末原さんへのキャストオファーが決まっていたことを考えると、末原さんが生きる作品を選んだのかしら?とも思わなくもないのですが。
いずれにしても、ソラオが主人公な気がしました。
素敵な作品でした。
女王の盲景

女王の盲景

空想組曲

シアター風姿花伝(東京都)

2014/01/08 (水) ~ 2014/01/19 (日)公演終了

満足度★★★★

刺さりつつも揺れる
2014年の観劇初めに空想組曲は、個人的にざわめく観劇初めでテンション上がったので、良かったです。
ギリギリまで悩んでいたのですが、観に行けて良かったです。

ほさかさんの紡ぐ、美しく滑らかな言葉は、かなりの確率で刺さりますけど。
痛いですけど。
うちひしがれますけど。
それでも、魅力的なんですよね。
優しいだけじゃない世界なのに。
リアルでもあり、ファンタジーでもある世界の境目を、緊張感と違和感を感じながら、笑いも涙もある人間関係に、心揺さぶられました。

現実とファンタジーの境がわからなくなること、狂うこと、演じること…。
誰のために?
誰かのために?
自分のために?
幸せって何だろうなって思うような。
人と関わらないと生きていくことは出来ないというあたりまえの前提を踏まえた上で、嘘をつくこと、また真実を晒すことは、幸せになることなのか…?と、すごいぐるぐる考えてしまいました。
「いい人」っていうのは、自分にとって都合の良い人のことなんだなあって…改めて感じたり。
たくさんもやもやもします。
もやもやしても、答えは出ません。
ですが、色んな要素が盛り込まれていて、受け取る側のチョイスで、色んなメッセージが受け取れるような気がして。
あのストーリーで、ポジティブなラストを想像することは、ちょっと難しいのですが、それでも5人の不思議な関わりは濃密で、各キャラの幸せを願うものでありました。

色々刺さったけど、楽しかったです。
舞台セットも、照明も素敵で、大人向けなファンタジーでした。
私は、空想組曲の本編観る前に、短篇と番外編観ちゃってるので、カラーの違いはわからないけれど、(本編は最初からファンタジー、番外編は現実の入り口から見えるファンタジーってことでいいのかなあ?)染みる舞台でした。

ネタバレBOX

大門さんの迫力、捻れてしまった、深く一途な愛情に圧倒されました。
あの味わいは、人生の経験値な気がします。
そこまでして、ほのかちゃんに虚言の世界を与えるほど…現実が嫌いなのかと思うと、その世界を本当に欲しかったのは、時任さんなのかな。
名目は、ほのかのため、だとしても。

ほのかちゃん役の青木さんは、あの中で唯一無邪気で唯一天真爛漫で、それが逆に見ている方がつらくって。すっごい複雑でした。

和田くん。執事服がお似合いで、熱い演技と笑顔が爽やかだった。
ストーリーテラーも分かりやすく、かっこ良かった。
ハイジって、マラソンって…「風は強く吹いている」の清瀬ハイジかと思ってしまいました。
生田君時々小池徹平君みたいな、イケメンさんでした。

小玉さん。大活躍!抜群の演じ分けが絶品。
イメージはアルプスの青年ハイジに対するロッテンマイヤーさんと見た。
大好きだ、そのネタ。
でも…旦那様への想い…辛すぎる。
側にいても、手に入らない望み。切なすぎるー。

そして、かじもーん!素敵だった!輝いてた!
キャラメルで見るよりかっこ良かったなぁ。
第3者としての目線は、とてもリアル。

ラストの暗闇でのストーリーテラーで終わるというのは斬新。
結局、特に何も解決しないというか、明らかにしないというか。
真実を闇の中に隠したのは、もやっとするけれども、それでも、彼ら、彼女らの幸せを祈らずに居られない。
なお、暗闇にほのかに香る、りんご(アップルティー?)の香りが、これまた甘酸っぱく、柔らかく客席に漂い、涙が出た。
りんごからの想像が、良いほうに行くか悪いほうに行くかは、見てる側の想像力次第っていう感じがしました。
ま・ん・だ・ら

ま・ん・だ・ら

劇団肋骨蜜柑同好会

インディペンデントシアターOji(東京都)

2013/09/19 (木) ~ 2013/09/23 (月)公演終了

満足度★★★★

行き場のない想い
三遊亭園朝の落語、真景累ヶ淵を原案とした怪談。
現代風にアレンジされている為、言葉遣いや服装などは現代のものとなっている。

豊志賀の呪いが話の中心であるのだが、
呪った本人には結局呪いは届かない。
また会話についても、新吉本人には届かないことが多く、
コミュニケーション不全な場面が多く見られた。
行き場のない豊志賀の呪いの言葉、やり場のない思いが、
想いを理解できない客席に向かっているように感じた。

役者が複数の役柄を演じているので、
登場人物の関係性が理解しづらい場合が多かったので、
原作を読んでからこの舞台に望めば良かったと感じた。

 燕のいる駅

燕のいる駅

Theatre Polyphonic

ギャラリーLE DECO(東京都)

2014/01/14 (火) ~ 2014/01/19 (日)公演終了

満足度★★★★★

上手い
 チケットに開けられたパンチが燕なのだ。これで、一気に気に入ってしまった。期待は裏切られなかった。A castを拝見(追記2014.1.19)

ネタバレBOX

 日本4番駅に集まった者は全員で7人。弟と待ち合わせた裕美 販売店従業員、戸村 駅員三郎と 高島、売れない漫才師、鈴木と本多 謎の男、佐々木だが、三郎は外国人認証バッジ(赤)を常時襟につけている。準日本人として扱われているが、他に黄色や緑色もあり、こちらをつけている者には大きな制限が課せられている。かつてナチスがユダヤ人にマークをつけさせたり、現在イスラエルがパレスチナ人に対して行っている具体的な法的差別だけで55もある実体を思い起こさせる。実際、現在イスラエルのシオニスト達がパレスチナ人に対して行っている差別は、ハーバード大学のサラ・ロイ教授の指摘する通り、かつてナチスがユダヤ人に対して犯した犯罪的差別と本質的に変わらない。(詳しくない方の為に説明しておくと、サラ・ロイ教授は、ガザに関する研究では世界トップクラスの研究者であり、彼女の両親は二人ともホロコーストサバイバーである)
 さて、今作の話に戻ろう。この駅には前夜最後の列車が出てから、一切列車の発着が無い。連絡も一切無いのだ。線路が何らかの理由で途切れたのか、来るべき列車が爆破されたのか、或いはもっと大きなカタストロフの為に、総ての連絡が途絶えざるを得なかったのか。一切が五里霧中である。残った人以外は、昨夜集落を発っていた。駅員達の休憩室の隅には、パンダのような模様の蜘蛛が居座っており、徐々に大きくなっている。
 改札ロビーに居る漫才師の内の1人、鈴木はキンキン声で癇に障ることばかり言い続けるクレーマーである。皆が迷惑がっているのを一切顧慮することもない。おまけに、裕美を戸村が休憩室に招じ入れると、自分達もロビーではなく休憩室で休ませろ、と捻じ込んでくる。仕方なく招き入れるが、相変わらずの無頓着で、他の人々に迷惑ばかり掛けている。そうこうするうち、集落を見回っていた三郎が帰ってくると、途中で奇妙な男を見掛けたと話す。鈴木は、「その人、何か知っているかも知れない」と連れてくることを提案。「既にロビー迄は連れてきている」という答えに直ぐ、皆で行きそうになるが、この男、酷く引っ込み思案で皆で行かない方が良い、と三郎1人で迎えに行き、何とか皆の所へ連れて来たものの、佐々木は緊張の余りか、素っ頓狂な声を張り上げたり、殆ど意味不明の言葉の切片を吐きだすだけで、ロビーへ逃げ帰ってしまった。三郎が再度呼びに行き、何とか連れ戻す為の条件を聞き出すことに成功したが、その条件とは、知らんぷりをしていて欲しい、ということであった。そこで、皆は、対策を練り、最初、休憩室に居る人間の数も減らし、奥に隠れた人達を呼び出すきっかけの合図も決め、佐々木を会話に巻き込む算段も整えて待つことになった。皆、自然を装いつつ、尻取ゲームをして佐々木を巻きこむことにしたのだが、佐々木から何とか聞き取れた言葉は、蜘蛛が大きくなったら、終わる。段々、耳が遠くなる。など漠とした話だけだった。だから、何故、何の連絡も入らないのか? 何が起こったのか? など皆が知りたい情報の核心は一切分からないまま、不安だけが募ってゆく。唯、三郎が矢鱈に眠ったり、誰彼と無く少しずつ耳が聞こえ難くなったり、弟を探しに実家へ行った裕美の帰りが不自然と思えるほど遅かったり、食糧が切れたので、食品を扱っている店へ行ってくる序に、裕美の家へ立ち寄る、と言って出掛けた戸村の帰りが矢張りまだだったりということが重なり、佐々木もいつの間にか姿を消して、不安ばかりが大きく重くのしかかってくる。漸く、戻って来た裕美は、食品販売店の前で佐々木を見た、と言う。然し、動いていないようだった、怖かったので確認はしていないが、と報告する。前後して、漫才師達は徒歩で脱出を図っていた。駅舎内に居る者は、終に世界の終わりを覚悟する。蜘蛛はどんどん大きくなっている。
 不安の増してゆく不気味さを、曖昧な情報を流しておいて、出掛けた人の帰りが不自然に遅いと感じられる残った人々の心理で描き、1人、1人、何か調子がおかしくなってゆく様を、実に示唆的に、完璧な表象で表してゆく所が凄い。
 実は、今作の後、短編が1つ上演される。楽しみにして欲しい。
【公演終了】ステロタイプテスト/パス

【公演終了】ステロタイプテスト/パス

The end of company ジエン社

d-倉庫(東京都)

2014/01/10 (金) ~ 2014/01/14 (火)公演終了

満足度★★★

言葉と記憶
3つの状況がはっきりとした境界が無いままに同時進行し、台詞が複雑に絡み合う中で、言葉による記述と記憶の関係を巡る考察が展開する刺激的な作品でした。

アルコール中毒患者のリハビリ施設、断食によって超能力を獲得する教室、(原発事故をイメージさせる)ある災害または事故に関して仕事をする作業員の休憩所の3つのシチュエーションが同じ場所で同時に展開し、しかもその3つの話が完全にパラレルという訳ではなく、他のエピソードが曖昧に浸食して、全体像を把握するのが困難な構造でした。足元が土足、スリッパ、裸足の3つにグループ分けされているものの、各エピソードに一対一の対応をしている訳ではなく、惑わされました。
メインとなる役の男性(チェックのシャツ)と女性(白のシャツ)はそれぞれ2人の役者によって演じられ、更にその男女のどちらの役も演じる役者が1人いて(チェックのシャツの上に白のシャツを着用)、複雑さに輪をかけていました。
しかしその混迷が悪印象とはならず、むしろ何とか話に追い付こうとして引き込まれました。また自己の存在の不確かさを表しているようにも感じられ、印象的でした。

台詞がシンクロしたりループしたりと凝った構成ながらシュールな笑いや詩的な美しい台詞もあり、理屈でガチガチになっていないのが良かったです。携帯電話オフのお願いを劇中に上手く混ぜていたのがユーモラスでした。

既存のステージをかさ上げして設けた床が軋んだり、セットの椅子やベンチが中途半端にぼろかったりと、脚本・演出・演技のクオリティーに対して舞台美術の作りが甘かったのが残念でした。

カルメン

カルメン

シアターカンパニー 象の城

相鉄本多劇場(神奈川県)

2014/01/04 (土) ~ 2014/01/06 (月)公演終了

満足度★★★

視点の置き方がチグハグ
新奇性のある幕開けからスタートして期待したが、まだ脚本も演出も演者も力不足の感あり。視点の置き方がチグハグで観客をおいていき過ぎ。終盤演者が泣いていたのは、演技だとしたら問題あり、そうでなければ引いてしまう。発表会ではないのだから。

ネタバレBOX

一生懸命なのは伝わってくる。何かを伝えたいという思いも感じる。ただ、同年代でもっと出来る人達がいるのも事実。あくまでも印象でしかないが、他団体とか観てるのかな?と感じた。当日制作とかもバタバタしていて、劇場の規模に追いついていない。
夢も希望もなく。

夢も希望もなく。

月刊「根本宗子」

駅前劇場(東京都)

2014/01/10 (金) ~ 2014/01/19 (日)公演終了

満足度★★★★★

初 月刊「根本宗子」
非常に見応えのある1時間50分。けっこう救いのないストーリーなんだけど何故か観終わったあと前向きな気分になれるというか。読後感(?)が心地良い舞台だった。

脚本の構成、演出、役者陣みな素晴らしかった。

ネタバレBOX

舞台を2つに分けて、10年前と現代を同時展開していく手法は、舞台だからこそ出来る面白い試みだったと思う。

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