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パラダイス・モーテル

パラダイス・モーテル

阿部一徳のちょっといい話してあげる

MAREBITO(東京都)

2014/02/14 (金) ~ 2014/02/16 (日)公演終了

満足度★★★★★

マレビトという希有な空間で…
この茅場町のマレビトという場所。確か看板らしい看板もなく最初来た時は、ほんとに此処なのかと何度も番地を確認しましたっけ。普段はリビングギャラリー&スペースと銘打ち 様々な古道具を展示(すべて、売り物)、雑誌の撮影にも使われる場所なのだそうで、しかもエレベーター無しの徒歩5階… と、なんだか愚痴っているわけではなく、大好きな場所、なのである。
この阿部一徳氏による一人芝居、初見。マレビトの 様々な顔の椅子、ソファーが 絶妙な間隔で置かれ、すなわち舞台装置 イコール マレビト。我々はどの椅子に座ってもどんな姿勢でもよく、その統制のなさ、自由さが実に心愉しい。待ちの間にアナウンスもないから気持ちをざわつかせる必要もない。

さて 唐突に 阿部一徳氏(構成・脚色・演出・演者)と 寺田英一氏(音楽・演奏)の登場。そういえば…みたいなゆるいおしゃべりのあと(今思うと、これが舞台前のチューニングのような役割を果たしていたと思う。このいかにもお肉大好きです!みたいな風貌の阿部一徳氏、我々に「筋を追うより、私を信じてイノセントに」とメッセージ。

一人芝居というより一人がたり、焚き火を前に村長(おさ)の話を聴いている気分にもなり もちろん筋など追いきれないが、長の語りの魔法、イメージが色が匂い臭いが拡がってくる、それが見えない霧のように場を覆い、そこにシテ・ワキの阿吽のタイミングで寺田英一氏の音が加わる、、いや加わるというより長の語りの一部となっている。

最初 私は 座禅のように 半眼にして、長の語りが次第にイメージとなってたゆたってくる感じを楽しんでいたが、次第に話の人物が長に憑依してくるのを見、何度も時間が止まった。

夢うつつ、催眠術にかかってしまった。宴が終わって…目覚め、やっと拍手(笑)。不思議な体験。

ダークナイトライジング

ダークナイトライジング

カプセル兵団

ワーサルシアター(東京都)

2014/02/13 (木) ~ 2014/02/18 (火)公演終了

満足度★★★★

隊長
黒づくめの男ばかりでくり広げるマジで可笑しな会話劇第二弾。
第一弾はヒーローたちによる悲哀に満ちた日常だったそうだが
今度は怪人たち、つまり悪役の悪役による悪役のための“歴史と論理と愚痴”大会。
“世界の警察”アメリカを揶揄しながら特撮ものの歴史を紐解く辺り
吉久氏の脚本はさすがのうんちく。
途中日替わりゲストが出て来てからは、怒涛のユルイ展開に笑ってしまった。

ネタバレBOX

あるバーに呼び寄せられるように集まった4人の怪人たち+ひとりのさすらう怪人。
彼らは皆、かつては世界征服・地球侵略を企てる組織で暗躍してきたが
今は崇拝する指導者もなく行きなずんでいる、いわゆる“時代遅れ”の怪人。
そこに登場する大首領(?)に、一同悪の組織再結成に参加することを誓う。
しかし実はメンバーの中に…。

当日パンフにあるように“もし怪人がサラリーマンだったら”みたいな会話。
悪役も苦労する組織編成や変遷が語られ、その分析がなかなか面白かった。
本日のゲスト稲田徹さん、ひとまわり膨らんだ藤岡弘ぶりが楽しく
また声がこの役にはもったいないほど、いや相応しく、素晴らしい。
かつて犯罪組織に所属、今は地球に隠れ住んでいるマスター役の谷口洋行さん、
その陰影あるたたずまいが“何かありそう”感満載で秀逸。
案の定“つづく…”を思わせるマジな終わり方は特撮ものに相応しく次回が楽しみになる。

特撮ものに詳しくない私も、サラリーマンみたいな怪人の会話に笑ってしまった。
みんな強い指導者を求めているんだね。
でもそういう時が危ないのだよ、フォッフォッフォッ…って声が
聞こえたような聞こえないような(笑)
し き

し き

fabricant fin

カフェ+ギャラリー can tutku(大阪府)

2014/02/14 (金) ~ 2014/02/16 (日)公演終了

満足度★★★★

いなくなる
坦々としていて、でも気は逸らせず、そしてじわじわ来るお話でした。
一期一会とかそういう感じではなく、何かこう感情的にうわぁっとくるような。
年齢のせいもあるのかな、主人公に感情移入するところも多かったです。

自分が「いなくなる」って、自分ではどういうことかわからなくて、
だから、もうどっしょもない気持ちになりますね(^^;。

Rと無重力のうねりで

Rと無重力のうねりで

マームとジプシー

横浜にぎわい座・のげシャーレ(神奈川県)

2014/02/10 (月) ~ 2014/02/16 (日)公演終了

マスターベーション演劇?!
マームとジプシー初見です。

正直言って、技巧に走ったわかりにくい演劇が作りたいだけ。
という感じでした。

他劇団でも見られる繰り返しの技法が
取り入れられているのはまだいいのですが、
失敗している感あり。

1時間半という短い時間なのに
途中で飽きて帰りたくなりました。
最後にはなんとか無理やりまとめた感じだったけれど。

ネタバレBOX

演劇の新技法を追及するだけのマスターベーション。
ただの実験演劇でしかないと感じました。
まぁ他の人が見れば違うのかも。
(それとも新しいことをやらないと評論家の期待に応えられないいから?!)

見ている人も、
「よくわからないものだけど、世間の評価が高いので、すごい」
と思っているんじゃないかと。

文学て言えば、山下澄人って感じでしょうか。
荒野の家

荒野の家

水素74%

こまばアゴラ劇場(東京都)

2014/02/07 (金) ~ 2014/02/16 (日)公演終了

満足度★★★★

脳のくぼみ
面白い。90分。

ネタバレBOX

父(永井秀樹)…兄に対応できずにいたが、大山クラブへの入会を決める。きちんとした家庭にしたかったけどできなかったと悔やむ。
母(高木珠里)…兄を甘やかしてた。もう解放されたいと家を出る。
兄(玉田真也)…10歳くらいからひきこもり。カッターを所持。父を殺すと宣言し大山クラブへ入会する。
妹(石澤彩美)…夫とケンカし実家に戻った。母からの愛情が乏しくちょっと歪んでる。
大山(近藤強)…ひきこもり等更生組織のトップ。女はバカと決めつけ、父が強権を行使すべきと主張する。
井上(吉田亮)…元ひきこもり。大山の元で更生し部下となる。「母(と女)」を敵視している。
近所の奥さん(高田郁恵)…隣人。水商売。義理の父の介護をなぜ自分がするのか(家族とは何か)を考えて、母に介護を依頼する。
フミヤ(野田慈伸)…妹の夫。妹から犬として扱われる。フミヤの子を孕みたくないという妹がわからずにいる。直毛に生まれたかった。

ステレオタイプっぽいひきこもり息子話な立ち上がりで、笑い少なめかなと思ってたらしっかり面白かった。斜め下から突き上げるようなセリフが舞台を活性化させるよう。
思い通りにいかなかった家族を思う父、父を責め子を味方につける母、自分のせいではないと信じ込む兄、まともに見えてしっかり歪んだ妹。家族って特殊な関係性で成り立ってるんだなと、改めて思う。強固なようでいて脆く、近しいようで他人という危うさみたいな。そう考えると笑えないんだけど。兄がひきこもってた時は安定していて、兄が連れてかれたらバラバラになってしまったというのが象徴的な気がする。

近所の奥さんが言った「家族がわからないんです」という言葉がズシっと心に残る作品だった。あと、大山と井上コンビは笑った。
宴、疑う、唄方の

宴、疑う、唄方の

とりにく

ザ・ポケット(東京都)

2014/02/14 (金) ~ 2014/02/16 (日)公演終了

満足度★★★★

和風ファンタジー
初めの演出、鳥肌がたちました。もちろんいい意味で。すぐにお話に引きこまれました。衣装も華やかでそれぞれ特徴があり、そこもまたすごいなと思いました。殺陣かっこよかった…!

「売春捜査官」「熱海殺人事件〜友よ、いま君は風に吹かれて」

「売春捜査官」「熱海殺人事件〜友よ、いま君は風に吹かれて」

★☆北区AKT STAGE

北とぴあ ペガサスホール(東京都)

2014/02/12 (水) ~ 2014/02/16 (日)公演終了

満足度★★★★

OI
本日、OとIの二本を観劇。Iの売春捜査官、劇団員の木村、水鳥はさておき、研究生二年目の徳永、大山役の栗林の演技が、素晴らしい。
こんかいの卒業公演は全部で六本みたが、お手本のR以外では最も良い出来上がりであったと思う。劇団員昇格者の発表が待ち遠しい。

「売春捜査官」「熱海殺人事件〜友よ、いま君は風に吹かれて」

「売春捜査官」「熱海殺人事件〜友よ、いま君は風に吹かれて」

★☆北区AKT STAGE

北とぴあ ペガサスホール(東京都)

2014/02/12 (水) ~ 2014/02/16 (日)公演終了

満足度★★★★


面白い。

ネタバレBOX

部長(小山蓮司)…整った顔立ちで表情もいい。声もいい。部長のトチ狂った感がもうちょいほしかったかな。チャイコフスキーの早セリフもばっちりキマってた。
水野(安藤瞳)…キュートな表情はいい。もうちょいはっちゃけて良かった。
熊田(中島涼)…カピバラネタは笑った。ところどころ締まった演技してて好感。
大山(宮下裕治)…中盤あたりからノッてきて、浜辺のシーンも見ごたえあった。

部長と水野の10年にわたる恋愛と大山とアイ子の恋愛と水野と熊田(茶畑の息子)の結婚と、男女の愛をテーマに熱い舞台。90分と短めだったせいか、アクが少なめで見やすい印象。発声、序盤聞き取りにくいと思ったけど、中盤以降はよくなった。序盤から全開な演技で突っ走ってもらえるとなお良かった。500円で充実度は高い。
ダークナイトライジング

ダークナイトライジング

カプセル兵団

ワーサルシアター(東京都)

2014/02/13 (木) ~ 2014/02/18 (火)公演終了

満足度★★★★★

さすがカプセル兵団。
特撮好きなら大満足、特撮はよくわからんという方々も楽しめる作品では?

「怪人たちの会話」に隠された何かを感じとる面白さがいいなぁと思っております。

もちろん、笑いもあり。

肩肘張らず見られる良い舞台でした。

ブラック西遊記~ステッピン・イントゥ・ユア・ダークサイド・ワールド

ブラック西遊記~ステッピン・イントゥ・ユア・ダークサイド・ワールド

X-QUEST

インディペンデントシアターOji(東京都)

2014/02/05 (水) ~ 2014/02/16 (日)公演終了

満足度★★★★★

天竺へ!
初日含め、3回観ました。
DVDでは拝見したことがあったのですが、生で観るのは初でした。
とにかくあつい! 殺陣、ダンスがかっこいい! そして笑と涙も忘れない!
会場をめいいっぱい使っているので役者の距離が近く、迫力満点。とても興奮しました。
東西南北、どの席から観ても楽しめます。
(お目当ての役者さんにもよりますが)

初日北東側の席に座ったのですが、足の短い私は地面に足がつかず…疲れるかな。と思いましたが、そんなことも忘れて楽しめました。(でも次来たら座席の高さ低くなったみたいでした。)

2回目観にいったときは、殺陣のスピードもアップしており、ダンスや演技も安定していたように感じました。

今回の公演後、恒例となってた撮影タイムに加え、3回目がちょうどバレンタインデー当日で、バレンタインデースペシャルプレゼントとして、クエストメンバーと写真が撮れるというファンサービスも。

まさかこんなにリピートしたいと思える舞台に出会えるとは…。
長い公演期間で、ふと役者さんの疲れが見える時もありましたがどうか最後まで無事に天竺へたどり着けますように!

Psyborg papa

Psyborg papa

W.Strudel

大阪市立芸術創造館(大阪府)

2014/01/31 (金) ~ 2014/02/02 (日)公演終了

満足度★★

いろいろな愛情
いろいろ過ぎてどれかに焦点を絞った方が良かったのになと思いました。
場面が変わる度の暗転で舞台上から誰もいなくなる時間が長く感じられました。

ネタバレBOX

訳の分からない人から瀕死の家族を救いますって言われてもそんなすぐに同意できない!と思ってしまったらその後のストーリーも響いてこなくなりました。
もっと、それしか選択肢はないんだとか、早く決断しないとならない焦りを感じさせる間が欲しかったです。
FLY ME TO THE DREAM 〜夢の欠片の向こう側〜

FLY ME TO THE DREAM 〜夢の欠片の向こう側〜

Succeed Project

六行会ホール(東京都)

2014/01/24 (金) ~ 2014/01/26 (日)公演終了

観客熱狂で呼び出される『マンマミーア!』の「リピート回数」




千秋楽の回、既にカーテンコールは4度目であった。


熱気に沸き立つ観客。


どこで入手したらやペンライトを握り、前方は総スタンディングオベーション。

「せ〜の……ありがとうございました!」と、頭を下げていたのが主演・渡辺 瞳だ。



舞台通M氏は苦言を呈す。

「前列に座るリピーター客が求めているのは一種のトーク。
ミュージカル養成所が母体だから、友人、保護者が大挙して集まったはず。笑顔をみせ、手を振って、幕が降りたら“はい、おしまい”だと、日頃から支えてる分、不満が残るでしょう」


老舗『ミュージカル座』が定期的に公演場所に選ぶ「六行会ホール」。


「Succeed Project」の本公演『FLY ME TO THE DREAM ~夢の欠片の向こう側~ 』 は、まるで同座を含む先達ミュージカル劇団へのリスペクトだった。



使用したミュージカル楽曲は『ミュージカル赤毛のアン』『レ・ミゼラブル』『マンマミーア!』などなど。


全寮制ミュージカル専門学校生徒に扮したキャスト陣が、忠実に唄って踊る。


「物語は ありきたり。男性インストラクターとの恋模様は、20代に向かって投げた球かな」



赤ふんどしを締めたイケメンの生尻を、渡辺 瞳がビシビシ叩く衝撃場面も。



「女子高校生は美術教師(役)の尻を叩かないでしょ。
笑い声が少なかったのが気になる。
女性客は引いちゃった」



「劇団スタッフにも疑問を持ってるんです。遅れた客へ『視界の妨げにならないよう頭を低くしてください』と要求するのはいい。ただし、なかには“四つん這い”で這っていく若い客も。
『そこまでしろ!』とは言ってないけど、真面目な人は結構いますからね」



挿入歌を聴けば、あの頃のミュージカル映画が思い浮かぶ。


カップルで鑑賞していた観客も、一人で録画再生した観客も。


むしろ、「偉大なミュージカル」を 紹介するダイジェスト版のようだが、残念ながらオリジナル・ミュージカルは記憶に残らなかった。


幸福レコード

幸福レコード

Bobjack Theater

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2014/02/06 (木) ~ 2014/02/17 (月)公演終了

満足度★★★★★

石川が演じるラストシーンはヤバイ
この脚本は以前にも上演された舞台だが、舞台は演出と役者によって出来栄えも味も変わるのだろう。
Aチームの主役は石川。彼は影のある、シニカルな役柄を淡々と演じている。
ある瞬間から感情を徐々に表に出し始め、ラストは爆発する。そのギャップを演じきった。故に最後は泣けるのだ。

Nuages

Nuages

86B210

Art Space 呼応 co-oh(東京都)

2014/02/08 (土) ~ 2014/02/15 (土)公演終了

満足度★★★★★

無題1000(14-039)
15:00の回(やや曇り、所々青空)。14:15会場着、路面には雪の山々、14:30受付(ドリンクチケットあり)、開場。桟敷、ベンチシート席。何もない舞台、コンクリートむき出し、上手は黒い壁になっていて、入口横は鏡。15:05開演〜15:50終演。お二人の公演、この会場も初めて。ずいぶん前、チラシを手にし、気になっていた公演。雰囲気は「サイト」にある写真そのもの。白いサラシを巻いたような衣装、舞台奥の床にあるのは白い砂のようなもの…?無音、デジタル音、クラシック、ヴォーカル曲。手に持ったライトが自身の影を形作り、天井にあるミラーボールからはたくさんの星が降ってくる。無機的、未来的な表情と動き。嵐のような音や蝉の声、四ツ谷駅のアナウンス。生命を喪った(今を投影した)、不安に満ちた未来世界を提示しているように見えました。薄暗い照明の中、均整のとれた身体、二人のパフォーマンス。最寄り駅からでは列車運休で移動できないのでキャンセルしようかと思ったのですが、来てよかったです。

HOME SWEETS HOME 【ご来場ありがとうございました】

HOME SWEETS HOME 【ご来場ありがとうございました】

青春事情

ザ・ポケット(東京都)

2014/02/05 (水) ~ 2014/02/11 (火)公演終了

満足度★★★★

いい味わいでした。
面白く観ることができて好きな内容だったんですが
ちょっと10年間不在という設定は長すぎたように思いました。
関連するあれこれがいろいろ気になってきてしまうというか。
他にも細かい点は気になったりしたんですが(受験にこれから向かうとしたらいま何時よ、とか)。

チラシだと義兄が主役かなという感じだったので
彼目線の描き方でも観てみたかったです。

もっとこじんまりたお店だと思うので
作品に対して劇場が広かったかなーという気もしました。

が、登場人物みんな幸せになってほしいなーと思える作品でした。

ネタバレBOX

ティラミスを作るシーンで、
ただ美味しくできただけじゃなくて
亡き父から義兄が受け継いだレシピを通して父と向き合った、
そんなひと味がほしかったなー、なんて。
ブラック西遊記~ステッピン・イントゥ・ユア・ダークサイド・ワールド

ブラック西遊記~ステッピン・イントゥ・ユア・ダークサイド・ワールド

X-QUEST

インディペンデントシアターOji(東京都)

2014/02/05 (水) ~ 2014/02/16 (日)公演終了

満足度★★★★

お得。
めいっぱいステージを取って、客席少なめ。殺陣も綺麗で迫力あり、お得な感じの舞台。

案山子

案山子

トム・プロジェクト

本多劇場(東京都)

2014/02/07 (金) ~ 2014/02/16 (日)公演終了

満足度★★★★

嘘と生活者へのアンビヴァレンス(追記あり)
東憲司氏の作品には、時代状況への問いかけが常にあるため、
そのような部分で期待が裏切られることはない。
必ず何かしら受け取ることができる。

だが、今作は芝居自体としては惹き込まれなかった。

ネタバレBOX

心の底では薄々気づきながらも、
嘘を信じ続けるしかない銃後の女たち。
その女に嘘を語り続けるしかない老人(彼は満州の馬賊だったと言い張るが、これも、実は嘘で、小日向白朗の話を自分のこととして語っていたようだ。)
お互いのために嘘が必要であった。
そして、その両者で自警団を組織していた。

そこにその集団を相対化する外部からの視点、2人の兵士が現れる。
二人はこの集団に巻き込まれながらも、
一人は引いた眼線でその集団を見つづけ、
もう一人はその集団に取り込まれていく。(後者は、体が弱く何度も兵役免除になっていて、そのことを自分で悔しい・申し訳ないと思っていた劣等兵であるというのも面白い)
そして、8月15日(敗戦)を迎える。
それでも、集団は敗戦を信じない。

戦時中の特殊な(架空の)物語だが、
これが戦争の本質そのものだとも感じた。
そして、これはかつての戦争時以上に現在の社会そのものを表象しているのではないか。
原発神話などは明るみに出た顕著な例だが、皆が薄々オカシイと感じながらも、それを信じることでしか成り立たない嘘。そんな嘘で社会が均衡を保っているという、、、、。

戦争に敗れたと言われても、それでもその事実を受け入れることができず、敗れたことを認めない人と、敗れたことを受け入れた人とで対立するというのは。ブラジルの日本人移民の間で起きた「勝ち組」「負け組」抗争を思い出す。まさにこの物語のようなことはブラジルで起きていたのだ。この物語のように日本の農村でもそんなことがあったのかは知らないが。(おそらくなかったであろう。)

また、老人が五族協和を謳った満州の嘘を背負っているということも、構造的に面白い。

そんな史実を踏まえて書かれたものかはわからないが、架空の物語でありながら、妙なリアリティがある。

しかも、そこで戦う武器は、木をそれに見たてただけの偽鉄砲、木と紙でできた偽戦車。さらに、案山子を人間に見たてた偽軍隊。
嘘で集団の結束を固めている集団は、武力に関しても徹底して嘘に基づいている。
これは、当時の日本軍の虚妄・バカバカしさを揶揄しているようにも見える反面、何か単純な風刺とも言えない感覚も喚起させられる。

それは「魂を込めれば、それは本物の武器となり、鉄砲も戦車の大砲も火を噴くことができる。案山子は本物の軍隊になる。」という描き方が、
演劇表現そのものの可能性を語っているようにも思えるからだ。

嘘は現実を見えなくするものであるとともに、
本物をも上回るものに変える力とも見ている。
嘘に対しての批評と、共感。

ここに、東氏のアンビバレンスが表れているように感じた。

同時に、ここには一般的な生活者というものに対する東氏の分裂する想いも感じられる。お上の言うことを盲信してしまう者への批評と、そうすることでしか生きていくことができない者への共感。
どちらかと言えば、後者の方が強いのではないか。

これまでの東作品(『鬼灯町鬼灯通り三丁目』など)でも、戦場ではなく銃後に向ける視線の中に、戦争に振り回されながらも強かに生きていく生活者へ共感が強くあったように感じる。

この生活者に対する引き裂かれた視点こそが、東憲司氏の根底にあるような気がする。

<追記>
説教節の本(『中世の貧民 説教師と廻国芸人』塩見鮮一郎)を読んでいたら、もともと案山子とは人であったと書いてあった。
目の見えぬ者、足の悪い者が、他の仕事ができないため、差別され、鳥追いとして働かされていたということらしい。
東憲司氏がその歴史を背負った上で、案山子の物語を書いているのかどうかは、作品からだけでは判断できないが、いずれにせよ、かつて人であった案山子が、人形になり、更にその人形を再度人として蘇生させる物語だとう読みもできてしまう。大げさに言えば、差別された者の復権の物語とも。それが過剰な我田引水の解釈だったとしても、そのような読みさえもできてしまうこの作品の奥深さを、観劇後何日も経ってから感じた。
二重ノ裁ク者

二重ノ裁ク者

DAZZLE

東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)

2014/02/14 (金) ~ 2014/02/16 (日)公演終了

満足度★★★★★

大勢の人に観て欲しい作品。
公演中なので内容には触れませんが、好きとか嫌いとか、ダンスを知ってるとか知らないとかを
完全に超越した、人間の放つ煌めきをバシバシ感じる「凄い」作品でした。

まだDAZZLEを知らない人がいるのは勿体無い。是非、大勢の人に観て頂きたい作品です。

し き

し き

fabricant fin

カフェ+ギャラリー can tutku(大阪府)

2014/02/14 (金) ~ 2014/02/16 (日)公演終了

生前葬
過去を振り返り未来を見つめ直す。大切なことだなあと再認識。切ないお話の中に微笑ましい場面が織り込まれ癒されたひととき。色々色々ありがとうって伝えたい。

【16日17:00追加公演決定!!】かあいい日本~ごどーちゃんの居る77の風景~

【16日17:00追加公演決定!!】かあいい日本~ごどーちゃんの居る77の風景~

鮭スペアレ

ギャラリーLE DECO(東京都)

2014/02/11 (火) ~ 2014/02/16 (日)公演終了

満足度★★★★★

無題999(14-038)
20:30の回(雪)。19:20、3階着(3階は初めて)、受付(整理番号券あり)。会場内では写真の展示とDVD映像。19:36プレトークイベント(中込遊里×西尾佳織(鳥公園)×塚田史子)~20:15。4階へ移動。椅子席に座り見回してみます。乱雑ななかに独特の雰囲気が漂っているようで、シタール、太鼓、ギター、アコーデオン、トライアングル、鈴...など音を出すものがいたるところに。天井にはビニール製縄跳び~21:44終演。こちらは初めてで、劇団名は知っていましたが鮭(料理)のスペシャルアレンジという意味かななんて思っていました。トークに来ていらした西尾さんの鳥公園は「女生徒(2011/4@神楽坂フラスコ)」を観ましたがやはり太宰はダメだったのでした(すみません)。

帰宅後、ネットをみると生演奏、俳優のセリフにも音楽の響き、「俳優」・「ウタイ」・「楽団」による構成という説明やYouTubeの映像。

プレトークで「ゴドー」についてのお話がありました。もちろん「ゴドー」は観たことがなくこれからも観ないと思っているのですが、お話にもあったように「ゴドーを待ちながらを待ちながら」(トツゲキ倶楽部(2013/10)で大雑把な内容を知っている程度です。

始まるまでは「生演奏」付の「お芝居」なのかなと思っていましたが、その程度の想像など遥かに超える内容でした。初めてなので、「様式」を咀嚼すること、独特の節回しによるセリフ(発声)をつかむこと、いろいろな音が会場を駆け巡ること、衣装(頭に乗せた松の盆栽。能は「道成寺」を2回@国立能楽堂、みただけです)や化粧のこと、など多くの素材と表現が迫り来るのでした。

「d’UOMO ex machina」の公演も発声が独特で聞き取れるのは半分くらい、即興性のある動きなどこちらの公演と通ずるものがあるのかなと感じました。

ダンサーの片ひとみさんは「ダンス花vol.19(2013/9@セッションハウス)」、The Bambiest「TRACE」で観ていました。

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