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ケンゲキ! 宮沢賢治と演劇

ケンゲキ! 宮沢賢治と演劇

シアターオルト Theatre Ort

こまばアゴラ劇場(東京都)

2014/04/03 (木) ~ 2014/04/13 (日)公演終了

満足度★★★★

銀河鉄道の夜の謎はヴァリアントの豊富さから?
 1974年、天沢 退二朗、入沢 康夫らが中心となって行われた原典批評による宮沢 賢治全集は、徹底的なテキストクリティックによって一時期を画した。筑摩書房版である。この全集のテキストクリティックの過程で「銀河鉄道の夜」オリジナルには、大きな改稿だけで初稿に対して3回の改稿が行われたことが判明した。初稿が書かれたのは1924年と推定されるが、第4稿が書かれたのは1931年頃と推定されている。殊に、3稿迄と4稿には大きな差がある。
 今作は4稿をベースに北村 想が脚本を起こしたものだ。そして今作の特徴は、賢治が妹、トシを失った後の喪心の旅の中で書いた「青森挽歌」が挿入されていることである。

ネタバレBOX

 本編、「銀河鉄道の夜」では、カンパネルラが原作者、賢治に向かって本当のこと、本当の幸せとは何かに就いて質問を発する天がユニークである。北村の到達点としては、弱者、ジョバンニにとって、他人が総てカンパネルラであるよいうな高く遠い倫理的到達点を示したことだろう。無論、現実の中で、この決意が揺らぎ、失われてゆくことが大方のパターンである。然し乍ら、今作によってこのように高い倫理的宣言が為されたこともまた事実である。できれば、この事実を観客である我々一人一人が己のものとして実践して行きたいものである。
 因みに賢治自身、結核という業病を抱えながら、農業技術者として、また教師として農民や子供達の為に高い倫理と知を発信し続けた実践の人であった。
 蛇足ながら、賢治が教師をやっている場面で跳び撥ねたり音楽的にリズムを取り入れたりしながら授業を行うシーンがあるが、あれは実際に賢治の授業を受けた生徒達の証言を基に作られているのであろう。
 演出的にも様々な工夫が凝らされていて楽しめる。
ザ・フルーツ

ザ・フルーツ

SPACE POND

駅前劇場(東京都)

2014/04/02 (水) ~ 2014/04/09 (水)公演終了

満足度★★★★★

とにかく楽しい
時代はGSブームからフォークブーム、ニューミュージックへと流れる中、取り残されていく切ない物語。しかし、おじさんたちがもがき苦しむほど滑稽で終始笑ってしまった。他の舞台では見られないだろう、役者さんたちの生演奏に歌も貴重だ。雰囲気出てたし歌もうまい。それにしても、井之上隆志さんは芸達者でおもろいなぁ。癖のあるおっさんばっかの中で、紅一点趣里さんはよくやったと思う。自分はニューミュージック世代ですが、充分楽しめました。


IN HER THIRTIES

IN HER THIRTIES

TOKYO PLAYERS COLLECTION

in→dependent theatre 2nd(大阪府)

2014/03/27 (木) ~ 2014/03/31 (月)公演終了

満足度★★★★

★キャスティングなど面白い作品★
30代の人生を綴っているのですが魅せ方が心憎い♪
各年代の何気ない日常の会話なのですが
次々と切り替わりながらお互いが会話している様な台詞
それはまるで小説のページをランダムに開いて読んでいる様な
観ていて不思議な感覚になります

仕事や結婚~離婚などを経験した30代の話を
普段見る女優さんが女子力の高い演技で魅せます♪
30代の年齢によって気持ちの変化などが描かれたお芝居!

もうひとつの麗らかThirtiesも観たかったなぁ~

☆印象的に残った役者さん
生々しい台詞がリアルに伝わった永津真奈さん

☆印象的なシーン
年代違いの台詞が次々と交差して
まるで会話している様に観えるシーン

Re:verse

Re:verse

アヴァンセ プロデュース

本多劇場(東京都)

2014/04/02 (水) ~ 2014/04/06 (日)公演終了

満足度★★★★

すべて流してくれる
災害後はきれいごとの様な言葉がメディアでは映りがちですが、実際は責任を押し付けたり、自分の非を責めたり、弱者へ当たったり、捨て鉢になったり、と自分の身に起こったと思うと気が狂いそうな状況がまだまだ続く。時が経っても忘れることができない人と他人との思いの差が広がり孤立は深まる。どう足掻いても時間は戻らないので前に進むしかない。話は変わり周防ゆきこさんが意外に素晴らしかったです。

真田十勇伝

真田十勇伝

劇団SHOW特急

萬劇場(東京都)

2014/04/03 (木) ~ 2014/04/06 (日)公演終了

満足度★★★★★

無題1060(14-099)
14:30の回(晴)。13:30受付(チケットレス)、14:00開場。奥に幅広の階段があり、手前が広くとってある舞台。1~2列はフラット、3列目以降がひな壇。BGMには三味線。

こちらは初めて。戦国物、時代物は弱い私ですが、森山さん(3作目)が出ていらっしゃるので観に来ました。14:26前説、14:35開演~16:56終演。当パンに人物相関図、戦国豆知識。「初の戦国活劇」と記載がありますが、とてもそうは思えない出来栄え。

策謀渦巻く時代、豊臣、徳川、真田の三家、刃の抗争。十勇士たちが舞台に揃うシーン、これがなかなか格好よいのでした。

森山さんはいままで普通の人を演じていましたが、本作では「忍者」...よく動き、よく闘います(びっくり)。小柄ながらも粋のよさがでていたと思います。次作も時代劇(5月)ですが、予定があえばうかがいましょう。

伊達さん、脚演出に加え、主役でも大奮闘。

ダンス専科2014

ダンス専科2014

セッションハウス

神楽坂セッションハウス(東京都)

2014/04/05 (土) ~ 2014/04/05 (土)公演終了

満足度★★★

幅広く
上演時間100分、満席。セッションハウスが数多くの種をまいていることを感じてうれしい。

ぬれぎぬ

ぬれぎぬ

アマヤドリ

シアター風姿花伝(東京都)

2014/04/01 (火) ~ 2014/04/23 (水)公演終了

満足度★★

紙一重
上演時間2時間。理屈やストレスが散在してそれを耐えきると吹っ切れるが、できればもっとお手柔らかに。

もしも僕がイラク人だったら

もしも僕がイラク人だったら

カムヰヤッセン

東京芸術劇場アトリエイースト(東京都)

2013/10/03 (木) ~ 2013/10/06 (日)公演終了

満足度★★★★

窮状が胸に迫る
二人芝居と言うよりは変型一人芝居的スタイルで語られる10年ほど前のイラクの一般市民。
当時、リアルタイムで報道を見ていたこともあり、「想像上のこと」とはいえ窮状が胸に迫る。
また、「ある話芸」を思わせる導入部も巧み。

ぬれぎぬ

ぬれぎぬ

アマヤドリ

シアター風姿花伝(東京都)

2014/04/01 (火) ~ 2014/04/23 (水)公演終了

満足度★★★★

感覚的な演出
劇団初見。
先ず、折り込みを束ねる「アマヤドリ制作部より」という紙が挟まれていてそういうの好き。

チラシ束、邪魔なら席に置いていってください、ただ、各劇団心を込めて作っているものなので是非見てください、と言うような事が書かれていました(実際はもっと丁寧に)
良いね!

ただ、
「奇蹟みたいに面白いお芝居が
 ウソみたいにチンケな場所で行われているかもしれません。」
という最後の文。
チンケな場所で~と言うのは自身の団体ならば兎も角(自分のとこ指しても使って欲しくないけど)、他団体を指しては言わない方が良いのでないかなと。
個人的にはチンケな場所なんてないでしょ、とも思う。


前説は作演出のかた、珍しいですかね。
諸注意に合わせて、今回は静かな作品だからと宣言してくれたのは良い。
始まりもたっぷり間を使って客席が落ち着く時間があったのが好感。
最近は客席のざわつきが残っている中、芝居がはじまってしまうのが多い気がする。
特に静かな作品であればやはり必要な間だと思う。

三部作との事ですが、まあ、普通に一本の芝居で、これからどう展開していくのか想像がつかない。
このお話的には重い部類に入ると思うのでお腹いっぱいかなー。

なかなか良い役どころが揃ってたと思うし、面白くはあった。


アフタートーク有り。
それも含めて面白かったのですが、ただ危うい部分も感じた。

ネタバレBOX

先ず、小屋入りしても台本が上がっていなかった事があった、という話がありましたが、これは意地でも隠すべき事柄だと思う。
どうひっくり返してもネガティブなイメージしかないし、アフタートークで話したということはオフィシャルな場だと思うのでこういう風に書いてしまうやつが出てくる。

また、演出が「それは違う」と感じることを役者が言ってしまうのもよろしくない。
それは小屋に来る前に擦り合わせておけなかったのかとなる。

多分、こういったアフターイベントとか台本を用意してまでやるとこってそんなないのだと思いますが、どこまで言ってよくて、何を言ってはいけないのか、その線引きはして臨むべきではないか、とは思う。
これ、やろうと思えば、本番と同じくらい演出を付けられるはずです。
そこまでやってくれるとこのが自分は観たいです。
勿論、台本が無い面白さというのも分かるんですけどね。
全部がそうである必要はないじゃないですか、と。

自分も他愛のない質問をさせていただきましたが、作演出のかたはかなり感覚的に付けられている印象でした。
上記の様な線引きも考えていただけると作品自体も更に洗練されるんじゃないかなーと個人的には感じました。

ちなみに芝居の方の最後、堕胎したかしていないか、分からない様に作っているのかなと思ったらアフタートークを聞く限りでは堕胎した様子。
どちらかと言うと、堕胎していないとした方が、殺人犯の忠告を入れてという面白さが出てくる気がするので意外でした。


と思うところもあったので★を減点するべきが珍しく悩んだのですが、やはり楽しめたし、観終わって気分が悪くなっているわけではないのでそのまま。
フェイク

フェイク

劇団Ya-taro

参宮橋TRANCE MISSION(東京都)

2014/04/03 (木) ~ 2014/04/06 (日)公演終了

満足度★★★★

サスペンス
2時間TVドラマを見ているような、ラストのある部分を除けばそんな感じがしました。なぜこの題材なのか?とか、いろいろな楽しみ方ができました。

スタンリーキューブリックはかく語りき

スタンリーキューブリックはかく語りき

THE REDFACE

笹塚ファクトリー(東京都)

2014/04/02 (水) ~ 2014/04/06 (日)公演終了

満足度★★★★★

映画を見直したくなる
まだ観ていないキューブリック作品がいくつかあった為によく知らないキャラクターもありましたが面白かったです。はじめてジェームス小野田さんの演技を拝見しましたが、あの手のしぐさや独特の佇まいがいい雰囲気を漂わせ素晴らしかったです。とりあえずこれからロリータとアイズワイドシャットは観ようと思います。

浮いていく背中に

浮いていく背中に

原田ゆう

北品川フリースペース楽間(東京都)

2014/04/04 (金) ~ 2014/04/06 (日)公演終了

満足度★★★★★

引き込まれました
最初は淡々とした演劇かなと観てましたが、終わってみれば引き込まれていました。お芝居として、全体的にまとまっていて、特に、脚本がよく考えられていて感心しました。また、舞台の特性もよく活かされていました。

Re:verse

Re:verse

アヴァンセ プロデュース

本多劇場(東京都)

2014/04/02 (水) ~ 2014/04/06 (日)公演終了

残念です
2012年の初演を観ています。とても素晴らしい公演でした。それがリメイクされての再演という事で、自分の中で、期待が大きく膨らみ過ぎました。下北沢「劇」小劇場の大きさが丁度良かったのかも知れません。パワーアップしたのは映像をサイドの壁面に映した事ですかね。それ以外の向上した箇所は見つけられませんでした。冒頭に登場する兄弟役の子役も、初演の方が格段に良かった。再演した理由は何ですか?もう一度、小さい劇場でやって下さい。そういう内容の芝居ではありませんか?期待し過ぎていただけに、残念でなりません。

あやかし相談承りマス。 萬屋ツジモリ

あやかし相談承りマス。 萬屋ツジモリ

劇団ひまわり 第49期研究科

シアター代官山(東京都)

2014/04/04 (金) ~ 2014/04/06 (日)公演終了

満足度★★★★

演劇界で 再び顔を拝みたいキャスト陣








『あやかし相談承りマス 萬屋ツジモリ』であるが、一年近く前、『劇団だるま座』版を下北沢・劇小劇場にて観劇している。
その空間が爆笑に溢れていたことを重ねながら『劇団ひまわり』版も観劇した。



『劇団ひまわり』は子役のイメージが強く、映画作品クレジットの「協力」に掲載される数は業界随一だろう。


ところが、研修生修了公演に出演するキャスト陣は20歳に満たない若手であり、子役の実習公演とは全く違うアクターだった。



妖怪たち は派手な衣装を身に付け、「呪術」も発揮できるから、その分、存在感は確かである。
そうした妖怪コミュニティに冴えない主人公・○が「埋没」する様子は むしろ確信犯だろう。



パンフレットを読んだところ、ある講師が一年間を総評し、「それなり」を猛省するようコメントしていた。
「外に出たら ひまわり のようにはいかない」
「後半になるにつれ男性が減った」

という、他の講師陣のコメントも載せられれていた。


だから、そのパンフレットを読破した観客からすれば、「研修生修了公演、大丈夫かな?」である。

しかし、そうした「一抹」も払拭するアクターだったと私は思う。




ネタバレBOX

「それなりに」を感じたのは○だ。

学生時代、失恋によるショックで部屋の壁を破壊したらしい。その手段こそ「空手」であった。

コメディ・アクトだとすると、後味が悪い、身体だけのポーズでしかなかった。

ぬれぎぬ

ぬれぎぬ

アマヤドリ

シアター風姿花伝(東京都)

2014/04/01 (火) ~ 2014/04/23 (水)公演終了

満足度★★★★

とりあえず明日もう一回観にいく
ちょっと色んなところ刺されて混乱。
まだ答え合わせはしたくないから、明日もう一回観にいく事にした。
フリーパスのおかげでこんな衝動的に観劇できるのって凄い。

まーくんとあーちゃんの話

まーくんとあーちゃんの話

劇団テアトルジュンヌ

立教大学 池袋キャンパス・ウィリアムズホール(東京都)

2014/04/03 (木) ~ 2014/04/06 (日)公演終了

満足度★★★★

みました
学生が学生やってるだけにリアリティ感ありました。
黒柳さんも面白かった。

あの日にかえりたい…

あの日にかえりたい…

劇塾!S.W.S

in→dependent theatre 1st(大阪府)

2014/04/05 (土) ~ 2014/04/06 (日)公演終了

満足度★★★★

観てきました
観てきました(^o^)
役者さんたちそれぞれの個性が出ていて、とても良かったです。
でも、無理やりのものまねとかの笑いはいらないかな~?
少し気になったのが…始めの方で、たぶん身内の人だと思うけれど、話をするのはタブーです。注意を促すべきです。
チケットプレゼントありがとうございました。

大海原で

大海原で

ダンシ會

名曲喫茶ヴィオロン(東京都)

2014/03/26 (水) ~ 2014/04/03 (木)公演終了

満足度★★★★

アイロニー
 ムロジェックという作家は初めて出会ったが、ポーランド出身ということで、今作にある矛盾というか不条理(まさしく馬鹿げていることという意味で)は、ポーランドの分割に関わると解すると非常に面白く取れるだろう。主たる登場人物3人も無論、様々な階級、階層の象徴乃至は寓意と読むのである。(追記2014.4.7)

ネタバレBOX

 郵便局長は、ハプスブルグ家とつるんだロスチャイルドを表すかも知れない。執事も何か貴族というよりは、滅びゆく貴族体制・封建制そのものを暗示している可能性もある。旧態依然とした封建制は新時代、新状況に対応出来ずに滅びた者が居た半面、衣裳を変え、要領よく立ち回るのみならず、大衆を操作し、新興ブルジョワジーとしても覇権を握る貴族も居たのであろう。それがここに登場する伯爵タイプと解することも可能なのである。
 実際、フランス革命が起こって多くの貴族がギロチンの露と消えたフランスにあってさえ、ボールペンで有名なビックは男爵であり、ド・ビルパン元外相も貴族出身、サルトルの妻となったシモンヌ・ド・ボーボワールも貴族出身である。このように、ヨーロッパで現在実業家や政治家、知識人として活躍する人物の中にも貴族出身者は多いのが実情である。因みに、オーストリア・ハンガリー帝国を支配したハプスブルグ家は、ブルボン家などと並ぶ、ヨーロッパの名家・王家でもある。ロスチャイルドはユダヤ人として初めて男爵位をハプスブルグ家から与えられた。そして、銀行のみならず王侯貴族間の郵送を請け負い、絶大な信頼を得ていた。第一次世界大戦前と世界大戦に於いて、戦争の帰趨を制するのは、ロスチャイルド家の財力だと言われた程の大ブルジョアに成長したきっかけは無論ワーテルローの戦いでナポレオンの敗北をいち早く知ったネイサン・ロスチャイルドがロンドン市場で大儲けをしたからだ。この情報伝達のスピードは当時、世界一、正確さも世界一であったというべきであろう。情報の意味する所をネイサンは知っていたということだ。日本の馬鹿な為政者に爪の垢を煎じて飲ませたい所だ。
 おっと話が横道に逸れた。キチンと調べたわけではないから、以下に書くことは読者諸氏が検証して欲しい。
 まず、この作品の粗筋から説明しておこう。
嵐に遭って船が沈没した。逃げ延びたのは3人。筏に乗ることはできたものの、漂流している。腹が減る。確かまだグリーンピースを添えた肉の缶詰があったとある者が言うと、否、食糧は全然残っていないと強硬に主張する者があって結局、皆その前提で話を進めることになった。食べたい。そこへ先ほど、強硬な主張を通した者が「生き物を食べなければならない」と不気味な宣言をする。これは、食糧は他の生き物だという事実を指すと同時に3人のうちの誰かを指すのは、明白なWミーニングである。3人は、協議をする。希望を募ったりするが、名乗り出る馬鹿が居る訳は無い。そこで、くじ引きをすることになったが、3人しかいないのに4票投票されたと強硬な主張をしていた者が言い、無効に。そこで、文明人として投票で決めることにした。一種の選挙である。選挙である以上、其々の主張を述べ、それを基に判断し投票しようということになった。要領の最も悪い奴が餌食候補として他の2人に狙われる。要領の悪い男は、女房・子供がいるとか泣き落としエクスキューズで訴えたのに対し、次の男は、料理が上手だとアピールして見せる。次の男も上手に言い逃れをする。誰が要領が良く、誰が悪いかは、これまでの流れで分かっているから、その辺りは、自然に2対1になる。さて、2人組は、孤児で、今迄散々辛酸を嘗めたと話を合わせ、1人を追い込む。そこへ、郵便屋が泳いで郵便物を届けに来る。その後、執事がやってきて、2人組の1人に伯爵と呼び掛け、船が沈没したと聞いて、心配をしていた云々。伯爵は邪魔なので「消えろ」と命じて執事を追っ払うが、それまでの間に、最も要領の悪い男をなだめすかして死ぬ気にさせている。おまけに、実は缶詰も見付かるのだが。伯爵は、缶詰など好みではない。といった内容だ。
 当然のことながら、誰もが、泳いで人が漂流筏に辿りつくことができるなら、餓える心配等無いと考える。だが、作家がそんなバカなことを書く訳が無い。そこで、自分は、上にも少し触れたように、とんでもなくアイロニカルな作品だと解したのだ。自分はポーランドが独ソによって分割された頃の話として解釈した。
 伯爵は、上にも書いておいたような要領の良い貴族を。要領の最も悪い男は、無知蒙昧な大衆を、そして伯爵と共に、要領の悪い男を殺そうとしていたのは、右往左往しつつも何とか有利な位置を採りつつ内心忸怩たるインテリ層を表しているのではないだろうか? 岸近くを漂流しているのに、実際に、食糧難によるカニバリスムに至る状況が描かれるのは、分割されるポーランドに対し、何ら援助の手も、国際法上の正義も履行しようとしなかったヨーロッパ列強を意味しているのではあるまいか? 
deprived(仮)

deprived(仮)

shelf

キッド・アイラック・アート・ホール(東京都)

2014/04/03 (木) ~ 2014/04/07 (月)公演終了

満足度★★★★★

素に向き合う
 矢野氏の演出は、バイアスを排して、対象と向き合おうとすることから始まっているように思う。一口にバイアスを排するというのは、容易いが、自分の好み、育って来た環境、そこで沁みついた様々な感受性や慣習を手術台の上に載せ、切開、腑分けしてゆく作業がその内実である。而も、それを自分自身で行わなければならない。それが、どれだけ大変な作業か、自分が上に挙げたことだけで想像頂けると思う。

ネタバレBOX

 このような作業の上に、日本国憲法前文、太宰治の作品、武者小路実篤の作品などから選ばれた文言、文章がコラージュされて、演者が息を吹き込む。狭く濃密な空間内に居る観客の反応が化学反応を加える。作品が生成される。こういう舞台だ。だから、同じテキスト、同じ演者、同じ観客で日時が異なる場合、生成されるものは、微妙に異なる。その幽けき差異を愉しむことのできる舞台である。
きゅうりの花

きゅうりの花

ハイリンド

小劇場B1(東京都)

2014/04/02 (水) ~ 2014/04/07 (月)公演終了

満足度★★★

下北沢の新しい劇場で観劇
初ハイリンド、初劇場での観劇でした。客席では老若男女が終始ニコニコしていました。初めて観た劇場だというのに、抜群の安定感を受けました。元々演出される予定だった方がお亡くなりになってしまったそうですが、そんな不幸を全く感じさせず素敵な時間を提供してくれました。ただ、脚本には消化不良感を感じました。

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