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イノセント・ピープル

イノセント・ピープル

CoRich舞台芸術!プロデュース

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2024/03/16 (土) ~ 2024/03/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

「原爆開発に翻弄された65年」

 畑澤聖悟が劇団昴のザ・サード・ステージ公演に書き下ろした2010年の作品を日澤雄介が演出した。Corich舞台芸術!プロデュース「名作リメイク」の第一作である。

ネタバレBOX

 物語は1963年4月、アメリカのニューメキシコ州、ロスアラモス研究所の20周年記念式典の場面から始まる。この研究所で働いているブライアン・ウッド(山口馬木也)一家もとに、かつての同僚とその家族や友人たちが18年ぶりに集い思い出話や近況報告に花を咲かせている。その最中、名門UCLAに合格したブライアンの長男のウィリアム(池岡亮介)は、ケネディ大統領のテレビ演説に感銘を受けヴェトナム戦争に参加すべく海兵隊入りを志願し周囲を驚かせる。ブライアンの元同僚で海兵隊将校のグレッグ・シウバ(内田健介)はウィリアムを擁護するが、ブライアンの妻ジェシカ(川田希)は「絶対に嫌」と頑なだ。

 ときは1945年6月、トリニティ原爆実験を1ヶ月後に控えた研究所内に遡る。ブライアンやグレッグら若い所員たちは寮のシャワーを借りにきた看護師のジェシカらの来訪に色めき立っている。新型爆弾の開発の開発に従事していることをジェシカに問われたブライアンは思わず言葉を濁す。

 ここでまた時が進み1976年7月4日、建国200年の日に再びロスアラモスの元同僚たちらがブライアン一家のもとに集う。そこにブライアンの長女シェリル(川島海荷)が大学のピースクラブで知り合った広島の被爆二世タカハシ・ヨーイチ(小日向春平)を連れて現れ、皆の前で彼と結婚したいと突然述べる。戸惑う両親にシェリルは原爆開発に携わった過去を糾弾し、ブライアンに家から追い出されてしまう。

 こうして時間が進んだり戻ったりしながら、ブライアンが90歳になる2010年までウッド家と彼らを取り巻く人々の遍歴が、第二次対戦後にアメリカが関わったいくつかの戦争とともに描かれていく。彼らの人生には原爆開発に携わった過去が否応なしに暗い影を落としている。優秀な数学者のジョン・マッケラン(森下亮)は、開発に携わり続けることが心苦しくなり、研究所を去り高校教師になった。GMに就職したキース・ジョンソン(三原一太)は、臨界実験の失敗に立ち合ったために定期検診が欠かせない。そのキースに医師になったカール・コワルスキー(阿岐之将一)は、自身が犯した重大な罪を晩年になってようやく打ち明ける。65年に渡るこの物語には、反戦や反核への意思はもとより、ナショナリズムへの懐疑や科学者の倫理立場などさまざまなテーマが織り込まれている。

 本作は原発開発とアメリカの安全保障の歴史に取材した労作である。同時期に公開されたクリストファー・ノーラン監督の映画『オッペンハイマー』ではあまり描かれなかった下級の技術者たちの青春模様と後年の葛藤を観られことは収穫であった。奇しくも本作もまた『オッペンハイマー』と同様に物語の時間軸が単線的ではないが、テーマが一貫しているためすんなりと観届けることができた。

 しかしもともと劇団公演のために書き下ろされた作品ゆえか、登場人物が多岐にわたり役どころが分散されているため、細部まで把握するには困難がつきまとったことも事実である。くわえて作品に込められた主張が強いため図式的に感じるきらいもあった。終盤でシェリルの葬式のため来日したブライアンが被爆者たちに糾弾される場面は一方的であり、彼にもまた科学者として戦争責任を負い一家庭人としての苦悩していたであろうことは語られず、観ていて歯がゆい思いがした。

 このブライアンを演じた山口馬木也は20代から90代までをその都度ごとに柔軟に違和感なく演じ分ける達者ぶりで舌を巻いた。有能な科学者であり頼れる家庭人ではあるものの、重要な決定は他者に委ね口を噤み本心を語らない、この態度が後年に響くという悲哀を全身にまとっていた。他の俳優もそれぞれに見せ場があり、皆イキイキと作品の人物を生きていた。これは劇団公演のために書き下ろされた作品の是の側面と言えるだろう。

 やや込み入った作劇に対し演出は状況を丁寧に捉えていて大助かりだったが、ときに説明的すぎる感じた。戦争のPTSDゆえウィリアムが花火の音に怯える描写は照明と音響でわかりやすかったが、池岡亮介の芝居にのみ託すという選択があったのではないか。ジェシカがテレビ番組のインタビューでロスアラモス研究所の職員たちのその後を語る場面で背後に登場人物を出す演出もまた丁寧ではあるが、やや過剰ではないかとも感じた。くわえてヨーイチをはじめ日本人役の俳優に仮面をまとわせたのには、もともと戯曲の指定ではありアメリカ人の側からの視点を観客に共有させるための意図があったことはわかるが、食傷気味で居心地の悪さを感じたこともまた述べておきたい
更地

更地

ルサンチカ

戸山公園(東京都)

2024/03/22 (金) ~ 2024/03/25 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

「心のよすがを取り戻す作業」

 1992年に246TANK+花光潤子が初演した本作は、日本国内はもとより世界各国で上演され続けている。今回はかつて旧日本陸軍戸山学校のあった戸山公園での上演が実現した

 日差しはもとより風も強い、鳩が舞い降りては飛び立っていく、そんな日和の公園に突如目に入ったのは円形の木枠とむき出しの柱に白布がかけられた特設舞台である。近くに寄るとサッカーボールや植木鉢などの日用品、ブロックなどの廃材が散乱している。ここは家の解体を終えた更地という設定である。上演が始まるとそこに向かって全身白ずくめの男(御厨亮)と女(永井茉梨奈)が階段を下りやってくる。無表情で足音を立てないその佇まいはさながら幽霊のようだ。

ネタバレBOX

 やがて二人はかつてこの家に暮らした日々のことを回想する。廃材のなかから流しやテーブルを拾い取り付け食卓を整える。窓枠から顔を出す仕草をしたり、便器に腰掛けたりして遊ぶ様は子どものようにあどけない。まだ出会う前に別の人に恋をしていた話や、蝉がけたたましく鳴く日に結ばれた日のことも。二人は一男一女を授かったようだがいまはいないーーこうして様々な不在を埋めるかのようにして対話を続けていく。

 この二人がどのような遍歴の末この場に立っていたのか、何の説明もない。しかし観客は、たとえば日々の報道で接する戦争や災害で家を失った人たちの嘆きを想起することもできるし、作中の家や子どもに象徴される一人ひとりの心のよすがの喪失を埋める作業に重ねて観ることもできるだろう。この会場に来た観客は否応なく第二次世界大戦のことを想起しただろうし、戸山学校ができる前この地には尾州徳川家の下屋敷があり、幕末の大火で多くの建物が消失したことを上演後ドラマトゥルクの蒼乃まをによるメモで知ることになった。削ぎ落とされた対話の雄弁さと、それに拮抗するだけの空間を造りあげたことが本作第一の収穫である。

 私が観た日が初回だったためか、中盤までは俳優の肉体が公園の自然や特設舞台に負けてしまっているように見えた。空間が広すぎるためにミニマムな芝居が薄っぺらく感じられ、観客を太田省吾の劇世界にいざなうにはいささか物足りなかった。たとえば2場で手づかみでスパゲッティを掴み口に入れるところで恥じらう場面など、もっと客席を沸かせるはずだったのに残念である。

 しかし5場で舞台一面に大きな白布を波のように広げたあたりから調子が入ったのか、6場でドヴォルザークの新世界交響曲を聴きながら子どもの不在に言及するあたりから目が離せなくなった。終盤でお互いにアクビをたしなめるくだりで起きた観客の微苦笑は忘れがたい。

 終劇が近づくとだいぶ日が傾きますます風が強まった。戯曲の設定では星空の下だがこの幕切れを白昼に観るというのはいささか困難がつきまとったのは事実である。しかし最後に二人が見せた酸いも甘いも噛み分けたような表情は、冒頭の能面のようなそれとは明らかに異なっている。作品の時間を経験した身体を目にできたのはよい経験であった。
箱の中の4人

箱の中の4人

B.LET’S

小劇場 楽園(東京都)

2024/04/17 (水) ~ 2024/04/21 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

一昨年四方田直樹さんの「機種変更」と「そう言われると」で秀逸な演技を見せてくれ(昨年のホワイエ江古田は体調不良でパス)、劇団つばめ組の「シャイヨの狂女」でも見事な狂女ぶりだった丸山小百合さんが出演するというので、原宿のコンサートから自転車で下北沢へ(Aキャス)
期待にたがわずクセのある役の個性的な演技が光った
石松、野上もなかなか良かった
ホンが面白く、意外な展開を楽しんだ
女性皆から慕われる、実はとんでもない男の「元支配人」(話の中だけで、実際には登場せず)に俺もなりたい(笑)

ピーチボーイズ

ピーチボーイズ

Peachboys

シアター711(東京都)

2024/04/23 (火) ~ 2024/04/29 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

劇団の名前は知っていたのですが、舞台のタイトルのせいでずーーーっと観劇は避けていました。それが根本さんがご出演なのを知って昨年初めて観たのでしたが面白かったです。観てこなかったことをちょっと後悔しました。そして「よしこれからは!」と思っていた矢先に最終公演とのことで残念です。
今回はがんばって行くことにして良かったです。面白かったです!!まあ、あちこち知らないネタも散りばめられていましたが、あまりの酷さ(褒めてます)に笑えました。
今後宝くじが当たった暁には(当たるのか?)その一部を寄贈致しますので、再結成公演やってくださいね。
チケプレに外れて一度は諦めた私が言うのもなんですが、今時3800円は良心的かと。
そして役者さんたち、どこかで見たことある気がするけどと思ってこりっちで検索したら、もう、あちこちで見たことある方ばかりで、ごめんなさい。人覚えが悪くて・・・

トライアル 2024

トライアル 2024

A.R.P

小劇場B1(東京都)

2024/04/24 (水) ~ 2024/04/29 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

チームA観劇。面白かったです!
裁判員の皆さんがみんな個性的(と言うかアクが強くて)本職の裁判官を困らせていましたが、素人の疑問や考え方が意外な展開を生むことになるのでしょうね。
「12人の・・・」を思わせる展開でしたが、笑えるところがさすがロックマンさん!
そして最後はなるほどということになったのですが・・・(以下はネタバレ)
裁判員制度が始まった時は絶対なりたくないと思ったものですが、今回の舞台を見たら1回は体験してみたいかもと思ってしまいました。もちろん殺人などではない裁判でお願いしたいですが。

ネタバレBOX

この裁判がこの後どうなるのかがとても気になってしまいました。一応有罪ということになっていたのに、量刑を決める話し合いで無罪ということになりました。裁判の仕組みをよく知らないのですが、法廷で裁判長が判決を言い渡すのかと思いますが、一応そこで終わって、検察側が意義があったら再起訴ということになるのでしょうか?
前髪(あなたに全て捧げるけど前髪だけは触るな)

前髪(あなたに全て捧げるけど前髪だけは触るな)

MCR

ザ・スズナリ(東京都)

2024/04/24 (水) ~ 2024/04/30 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2024/04/26 (金) 19:00

125分。休憩なし。

ちいさき神の、作りし子ら

ちいさき神の、作りし子ら

義庵

ザ・ポケット(東京都)

2024/04/24 (水) ~ 2024/04/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/04/26 (金) 14:00

130分。休憩なし。

デカローグ1~4

デカローグ1~4

新国立劇場

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2024/04/13 (土) ~ 2024/05/06 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

A ①③

ポーランドの巨匠、クシシュトフ・キェシロフスキが撮ったTVドラマ。「十戒」をモチーフにした全10話のオムニバス。80年代末、ワルシャワの団地に暮らす名もなき人々の人生から零れ落ちる一雫のきらめき。舞台化の今作では同じ集合住宅に住む面々の物語としているようだ。

A ①③ 演出:小川絵梨子
B ②④ 演出:上村聡史
C ⑤  演出:小川絵梨子
C ⑥  演出:上村聡史
D ⑦⑧ 演出:上村聡史
E ⑨⑩ 演出:小川絵梨子

コンプリートするには5回観劇が必要。それだけの熱量を放射し観客に来場を訴えることが出来るのだろうか?そもそも作品自体マニアックなもので、100人規模のミニシアターで単館上映を延々やっていた記憶。(『ショアー』と『デカローグ』はいつ見てもやっていた)。お手並み拝見。

タダ券を撒いているのか序盤から寝ている客が目につく。まあこれぞ新国立劇場クオリティー。集合住宅のセットが美しい。

①科学を信じ切った大学教授の父親(ノゾエ征爾氏)と彼から英才教育を受けている息子(石井舜君)の二人暮らし。母親は別居しているようだ。「コンピューターを信じ、良き伴侶とせよ」との教育。今で言う「AIこそ真実を指し示す」という思想。近くに住む叔母(父の姉)〈高橋惠子さん〉は「この子を教会に通わせたい」と願っている。

③幸せなクリスマス・イヴ、一家団欒のタクシー運転手(千葉哲也氏)のもとにかつてW不倫関係にあった女(小島聖さん)が突然現れる。失踪した旦那を一緒に捜して欲しいとの頼み。苦渋にまみれた男の味わう散々な一夜。

千葉哲也氏は藤原喜明や杉浦貴みたいにゴツゴツした男臭さでカッコイイ。
小島聖さんはいしだあゆみと田中好子の貫禄。女優として熟している。
スケボー駅員の森川由樹さんも印象的。

是非観に行って頂きたい。

ネタバレBOX

①コンピューターの計算により、「凍った池の耐荷重はスケートをしても安心」との判断。それを信じた息子は割れた氷に呑まれて死んでしまう。まるで意思を持ったコンピューターが意図的にそう誘導したようにも思える演出。計算外の出来事に耐え切れず泣き叫ぶ父親は教会の前で姉と抱き合う。

父親の設定は言語学の教授らしいが、数学の教授にしか見えない。

③いろいろ工夫していて悪くないんだが、何故か日本人が演ると弘兼憲史の『黄昏流星群』になってしまう。おっさんの少しほろ苦く甘酸っぱいロマンス。キリスト教がすっぽり抜け落ちているせいなのか。タイトルから『十戒』なのだから、そもそも神と人間の契約の話。人間ドラマの中に、それを超えた不可思議な感覚を発生させないと成立しない。

情熱がまだまだ足りない。手塚治虫が『火の鳥』を描いた位に情念を叩き付けてくれ。キェシロフスキの再評価に繋がり、その話題がポーランドに届く程に。受注した仕事を無難にこなす役人仕事止まりではつまらない。興奮させてくれ。観に行かなかった連中が一生後悔するぐらいに。セット券買ってしまったんだ。
ピーチボーイズ

ピーチボーイズ

Peachboys

シアター711(東京都)

2024/04/23 (火) ~ 2024/04/29 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

ブラボー!最高!でした。ある意味、小劇場での舞台の完成形ですね。最初の岸田首相の「賃上げ」で心鷲掴みされました^^ というか、岸田首相役の俳優さんの草薙くんは完全にツボりました。あと、最後のドリフのオマージュもぐっときました。いや、全部ぐっときました。ほんと、すべての観劇愛好家に観てもらいたい舞台です。

まともがわからない

まともがわからない

The Stone Age ヘンドリックス

in→dependent theatre 2nd(大阪府)

2024/04/26 (金) ~ 2024/04/28 (日)公演終了

満足度★★★★★

よく使われる表現として、自分が普通に感じていることは、他人にとって普通ではない(銀行の常識は、民間企業の非常識) を恋愛をベースに話が進む 途中で出てくる猫がそれに輪をかけての非常識で…
日本を一言で例えると、赤信号みんなで渡れば怖くない(中国は、騙す人は悪くない 騙された人が悪いみたいな)で、人に迷惑をかけないやみんながやっているようにやるといった個性が欠けている人々が多く、これが第二次世界大戦をお越した原因である 個性をもっと主張できる国
るになってほしい

校臨エンプレス【Bチーム】

校臨エンプレス【Bチーム】

RAVE☆塾

ブディストホール(東京都)

2024/04/25 (木) ~ 2024/04/29 (月)公演終了

実演鑑賞

面白かったです。

絶望という名のカナリア

絶望という名のカナリア

甲斐ファクトリー

小劇場 楽園(東京都)

2024/04/23 (火) ~ 2024/04/28 (日)公演終了

実演鑑賞

色々な要素を詰め込めすぎた感は否めないかな。

ネタバレBOX

それらを回収、収束しきれない印象。
校臨エンプレス【Aチーム】

校臨エンプレス【Aチーム】

RAVE☆塾

ブディストホール(東京都)

2024/04/25 (木) ~ 2024/04/29 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

テンポもよく観やすいとてもよい舞台でした。
正直、個人的には序盤から主人公にはあまり感情移入できず観させてもらっていたのですが、
その反動なのかラストシーンでは心を一気にもっていかれ胸に込み上げてくるものがありました。

ネタバレBOX

主人公が抱えていたものや魔法を使えなくなってしまった理由を知ったうえで
再度観てみたいと思った舞台でした。
トライアル 2024

トライアル 2024

A.R.P

小劇場B1(東京都)

2024/04/24 (水) ~ 2024/04/29 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

チームA観劇。陪審員裁判での推理劇、めくるめく展開にグイグイ引き込まれますね。登場人物皆キャラが立っていて、大いに楽しめました。

夜会行

夜会行

動物自殺倶楽部

「劇」小劇場(東京都)

2024/04/24 (水) ~ 2024/04/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2024/04/25 (木) 14:00

入場してまずはこの会場の特質を活かした幅広い舞台美術に眼を瞠る(さらに開演後に上手手前の二階席/オペブースへの階段や下手端の階下の楽屋への階段も装置として使う貪欲さ(笑)に感心)。
それに加えて「通話場面」(ネタバレBOXへ)を筆頭とした演出の違い、そして言わずもがなの演者の違いで鵺的の初演版とはかなり印象が異なる。
さらに「後味が悪くないのは鵺的として珍しい」と思った初演に対して、彼女たちなら酷い目に遭っても互いに理解し支え合っていけるだろうが、そういう相手にめぐり逢えず一人で悶々としている方も世間には少なからずいらっしゃるのだろう、と現実に目を向けることができたのはプレアクトならぬアフターアクトが続く中での終演によって「彼女たちの(そしてあなたたちの(?))人生はこうしてそのまま続いてゆくのですよ」と示した演出によるものではなかろうか?
あと、5人の人物の個性の違いにアニメーション映画をキッカケにハマった某漫画作品を想起。(謎)

ネタバレBOX

クライマックスの通話場面で、誕生パーティーを盛り上げるために持ち込んだ沢山の風船を割ってゆくこと、そして暗い舞台上で装置の一部が赤くチカチカすることは「内心の怒り」の視覚化ではなかろうか? 演出の妙味だねぇ。
トライアル 2024

トライアル 2024

A.R.P

小劇場B1(東京都)

2024/04/24 (水) ~ 2024/04/29 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

チームA鑑賞。めっちゃ、楽しかった。
「法廷」のお話だけど登場人物のキャラがとんがり過ぎてて圧倒された。人はそれぞれ見た目ではわかんないけど心の奥底に「良心」を持っているんだよね。ミステリィだけど、満載のユーモアが心地よい作品。生き方・生き様を問う、お話でした。
どの演者の方もインパクトがあって、他に出演される作品、観てみたいなぁ。
満足、満足。

トライアル 2024

トライアル 2024

A.R.P

小劇場B1(東京都)

2024/04/24 (水) ~ 2024/04/29 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

テンポが良く皆個性的なのでストーリーが面白いのでラストまで楽しめました。
皆で推察する時は一緒に考えてしまうほどかなり入り込んで観劇してしまうほどでした。

ネタバレBOX

この裁判の続きが気になっています。
再審になりそうなので続きをやってほしいなぁ。
HEART STRINGS ハート・ストリングス

HEART STRINGS ハート・ストリングス

劇団Turbo

駅前劇場(東京都)

2024/04/24 (水) ~ 2024/04/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

面白かったです。
ショー寄りの舞台という印象で、吉川忠英さんの素晴らしいギターは勿論、歌やダンス等、盛り沢山でした。
役者の皆さん、芸達者だなぁと思いました。
優しい気持ちになれる良い舞台でした。

トライアル 2024

トライアル 2024

A.R.P

小劇場B1(東京都)

2024/04/24 (水) ~ 2024/04/29 (月)公演終了

実演鑑賞

面白い!
ロックマンさんは、やっぱり良い脚本を書くなあと再認識。
ちょっと社会派というか骨のある一面も。それがまた良いのだなぁ、。

ネタバレBOX

「12人の怒れる男たち」とか「12人の優しい日本人」のパターン。

で、なぜ楽屋にマーシャルが?
練習用の小型アンプ?
小岸部さんはギターは弾けたのか?

そういやあ、ミリ・ヴァネリなんてグループおりましたなあ。
『動く物』『旅の支度』

『動く物』『旅の支度』

ウンゲツィーファ

PARA(東京都)

2024/04/18 (木) ~ 2024/04/21 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

「部屋の風景、外の天気、本棚の本の名前、隣の人の服と私の服が呼吸の波間で擦れて小さく音を立てたこと。全部を身体が覚えている。動く物/動物という言葉、意味、在り方の境界を突きつけられ、いのちを目の当たりにした。死生観が揺らぐ様な演劇体験だった。2024年4月、小さな部屋の中で鮮明に目撃したあの演劇が再び上演される。別の二人の俳優によって『動く物』が続いていくこと。あの時私を圧倒した二人の俳優が新たな『旅の支度』へと向かうこと。そのいずれにも演劇の可能性を、"ふたりぼっち"の可能性を予感している」

と上演に向けたコメントに寄せた通り、待望の観劇だった。

ウンゲツィーファとの出会い、『動く物』という演劇との出会いは間違いなく私の演劇観、ひいては死生観までを揺るがす出来事であり、演劇の新しい扉をはっきりと自覚しながら開けた瞬間でもあった。
その作品が再び観られるのだから、待望以外の何ものでもなかったのだが、今回はさらに新作『旅の支度』という二人芝居も同時上演という。そのキャストこそが2019年の『動く物』で私を魅了した黒澤多生&豊島晴香ペアだった。そして、『動く物』はこれもまた近年数々の作品で抜群の存在感を発揮している藤家矢麻刀、高澤聡美に引き継がれる。
キャスティングからカンパニーや作品の豊かな試みと拡がりを予感させる企画で、ある種の覚悟のようなものも抱きしめつつ観劇日を心待ちにしていた。

私が観劇したのは『動く物』→『旅の支度』の順で2作を通しで上演する千秋楽の公演。予定的にこの日しか見られないこともあったのだが、結果的に2作を地続きで観られたことで迫るものもあったように思う。その反面、いずれも決してライトではない、心に残すものが大きく、余韻を噛み締めるのにもそれなりの時間を要する大作であるので、2作とも初見の場合は日を分けて観た方が(身のためと言う意味で)よかっただろうな、とも感じた。そのくらい、ずっしりとした作品なのだ。
ウンゲツィーファの演劇のすごいところは、まさにそこでもあって、いずれも上演時間自体は1時間ちょっとで決して長くはない。会話も難解な言葉を用いないし、一見日常的な会話劇である。そのパッと見普遍的でさりげない時間の中で人の心が小さく泡立ち、擦れ合い、戸惑いを覚えるくらいの波になり、やがて予想もしないうねりを見せていく。人の感情の発端と経過に目を凝らし、耳をすまさなければ生まれようのない景色がそこには広がっているのだ。これは2作にともに共通して感じたことであり、前作『リビング・ダイニング・キッチン』でも感じたことだった。これこそが劇作家・本橋龍ならではの眼差しであり、本領であり、おいそれと真似の叶わぬ個性と技なのだと痛感する。

『動く物』は同棲をしているカップルと彼らに飼育されている1匹のペットを巡る物語…
※以下はネタバレになるので、ネタバレBOXへ

ネタバレBOX


『動く物』は同棲をしているカップルと彼らに飼育されている1匹のペットを巡る物語。
冒頭はどちらかといえば怠惰な生活を送る、ありふれたカップルの日常に見えるのだけど、実はこの部屋には「いのち」に関わる大きな問題が二つ内包されていて、それはトピックとしては二つなのだけれど、つまるところは一つの命題である、という手触りがあり、それがそのまま『動く物』と言うタイトルに収歛されていく様には何度観ても身震いしてしまう。観始めた時と観終えた時で心の状態が大きく変わる作品。
前回の黒澤&豊島ペアの二人が本作を演じたときには、恋人間に流れる「停滞」を強く感じ、その停滞と“動く物”との対比に心をグッと掴まれたのだけど、今回の藤家&高澤ペアはまた違った魅力があった。「停滞」というよりはどちらかと言えば「不協」を濃く感じ、そのことによって問題の深刻さが詳らかになる体感があった。“動く物”と“動かない物”や、いのちに対するそれぞれの線引きがリアリティを以って差し迫ってくるような。
藤家さんの打ち明けられた真実に対して狼狽する様子、そこに滲む理屈では太刀打ちきかない情けなさや滑稽さの露呈がまた見事であり、立て続いた出演作から一転、また違った横顔をしっかり受け取った。
高澤さんを拝見するのはおそらく初めてだったのだけど、最初の表情から心をすっかり奪われてしまった。とりわけ驚かされたのは、筋肉の使い方。大きな問題を抱えながら生きている時ならではの人間の顔の強張り、体の脱力がとてもリアルで、劇中の過去の穏やかな日々のシーンで、上着をスルッと脱ぐようにその緊迫が体から剥がれている様も素晴らしかった。
相手に告げぬまま妊娠と中絶を遂げた女性の心の揺らぎ、それを受け止めきれないまま呆然とする男性の困惑、そんな二人に今まさに横たわる、ペット・ミチヨシの脱走。ラストシーンを終えても余韻を引き取るような存在感。時を経た再演でキャストを変えることの豊かさを感じる時間だった。

対して『旅の支度』では黒澤&豊島ペアが再び新作で観られることにどうしても期待は高まってしまうが、その期待を上回ってしまうのだからもう流石のタッグとしか言いようがない。
物語の舞台は、母の再婚を前に結婚式のためにハワイに発つ前夜。二人は今回は恋人同士ではなく、主にその母の子である姉と弟を演じるのだけど、家庭やそれぞれの心身の状況が明確に言葉にされる前から、二人の抱えるものがそこはかとなく滲むような役の背負い方が素晴らしかった。時折、二人の演じる役が夫婦になったり、親子になったりといくつもの役を演じ分けるのだけど、観客が混乱することは当然なく、それぞれ全く違った趣にスイッチングされる。そして、劇中のちぐはぐで歪な二人の人間のやりとりは、その実二人の俳優の息のあったコンビネーションに支えられていて、俳優のキャリアと共演の歴史を思い知るような気持ちにも。歪な家族の中にある、歪ながらも切って切り離せないもの。その煩わしさと同じだけの愛着。途方に暮れる姉と呆れる弟の瞳の端にそういうものが映っては消え、消えては映っていくたびに胸がギュッとなった。

ウンゲツィーファの演劇は、そこに生きる人々は、手放しで明るい状況ではないことが多いけれど、絶望や悲劇に集約されるだけの人はいない気がしている。この世界をうまく泳ぐことができない人間に泳ぎを教え込むのではなくて、ただその手を引いて足のつく場所に、すなわち息のできる場所に導くようなやさしさがあって、『旅の支度』はまさにそんな演劇だと思った。もちろん観ていて辛くなるところもある作品だったけど、最後は夜明けに、または朝焼けに託されているようなやわらかい光があって、緩みゆく二人の表情がとてもよかった。
通し公演限定の演出、ラストに藤家さんと高澤さんがある役で登場するのも、(もちろん、他公演と遜色が出ないよう物語に干渉はしないよう作られているけれど)、ラストの温もりや旅の続きを補填するような素敵な演出でした。さらに松井文さんのアフターライブがあり、二つの物語の余韻を水面に手を添えるようなやさしさで包み込んでもらったような心持ちに。上演中に流せなかった涙が遅れて流れてくるのを感じながら、音楽の力と言葉の力の共鳴に身を任せていました。贅沢な千秋楽特典が観られて幸せでした。

演劇の可能性を、ふたりぼっちの可能性を示した素晴らしい二人芝居。いずれもカンパニーの代表作として今後も引き継がれ続けてほしい、と感じました。

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