
SELVA!
風雲かぼちゃの馬車
小劇場B1(東京都)
2014/06/05 (木) ~ 2014/06/09 (月)公演終了
満足度★★★★
骨太さが…
「風雲かぼちゃの馬車」の公演は、軽妙な演出だがその内容は骨太なところが好きだ。今まで観てきた公演は、ポップ調だが、脚本の底流には物事を冷静(冷たいと言う意味ではない)に眺めつつ、実は温かい眼差しを向けている、という印象を持っている。だから心に響き印象深いものになっていた。
しかし、本公演は何を訴えたいのか?単に冒険活劇では勿体無い(場面毎は面白いが)。
確かに、衣装やメイクは凝っていたが、もっと本質的なところでの面白さ、楽しさを期待していた。実力劇団と思っているので、もう一段の高みを目指してほしいと思います。
「風雲かぼちゃの馬車」としては☆3.5かな。

あなたがもしもを選んだあとで
Moratorium Pants(モラパン)
新宿眼科画廊(東京都)
2014/05/16 (金) ~ 2014/05/28 (水)公演終了
満足度★★★★★
女の子→男の子でみました
夢と魔法の国的な演出、とても楽しかったです。演者がとても近いアトリエ公演は臨場感があって好きです。床に散らばったあれが滑るのではないかと少しヒヤヒヤしました。私は二つ道があったら、かわいい猫が居る方を選んで来たかなと思います。エンディングは片方づつしか観れませんでしたが、どちらを選んでもきっと後悔はしなかったでしょう。

時をかける稽古場
アガリスクエンターテイメント
サンモールスタジオ(東京都)
2014/06/07 (土) ~ 2014/06/15 (日)公演終了
満足度★★★★
時間移動ものなのに破綻が少ない
時間移動ものの物語は、タイムパラドックス等のせいで、違和感が残りやすいのですが、そこをしっかりとクリアしていて、破綻の少ない、しっかりとよく出来た物語になっていたように思います。
タイムマシンの正体が、どこにでもありそうなアレというのも良いです。フライヤーについても、なるほど、と。
それから、役者さんたちの「雑談」の演技がとても良かったです。どこまでがシナリオ通りで、どこからがアドリブなのかわからなかった。
演劇現場を描く作品であるからこそ、その自然さがなんとなくリアリティを持たせてくれていたのではないでしょうか。
ひとつ残念だったのが、暗転の多さです。
内容的に仕方がなく、最低限にしていたのだとは十二分に理解出来ますが、やはり暗転が多いと、その度に集中が切れてしまいます…。
物語は良く出来ていると思いましたし、これから更に面白くなりそうな予感がする作品でした。

骨相学特別篇 Kaleido Fluid
劇団メリケンギョウル
荻窪小劇場(東京都)
2014/06/06 (金) ~ 2014/06/08 (日)公演終了
満足度★★★
難しい
非常に難しい内容で、私にはメッセージや伝えたい内容が理解できませんした。
ところどころ笑いはあるのですが、全体構成については、どのようなつながりがあるのかが難しかったです。
神様の声はすきです。

すごい人生
劇団HallBrothers
ぽんプラザホール(福岡県)
2013/06/21 (金) ~ 2013/06/24 (月)公演終了
本当に人生について考えます。
終わってますよね、みたいなせりふに
そんなことない!といちいち反応したくなります。
この人たちはお給料貯めたりして、
旅行行ったりして!なんて返したくなりました。

流れる雲よ2014-月光チーム-
演劇集団アトリエッジ
ザ・ポケット(東京都)
2014/05/28 (水) ~ 2014/06/08 (日)公演終了
満足度★★★
空は広くないと。
この芝居は舞台が広いほうがいいなあと。
踊りとか、空を飛ぶシーンとか、今回はせせこましく見えました。
お母さん役はやっぱりおいしいなあ。登場時間は短いけれども、印象的。
前半は前振りとかそんなのばっかで退屈。後半は面白いのに。
それが残念な感じ。

平田オリザ・演劇展vol.4
青年団
こまばアゴラ劇場(東京都)
2014/05/31 (土) ~ 2014/06/15 (日)公演終了

VOICE × DANCE ボイスカルシアター「ドリームドロップス」【ご来場、ありがとうございました!】
企画集団Gotta!
渋谷区文化総合センター大和田・伝承ホール(東京都)
2014/06/07 (土) ~ 2014/06/08 (日)公演終了
満足度★★★
Bチーム観劇。
ボイス(声優的要素)+ミュージカルでボイスカル、なのかな?と思ってたんですが
特に特化した部分はなく、歌唱・キャストダンスなしのダンサー有りの公演でした。
元がボイスドラマだったからボイスカル?
後で知ったんですが主役のミオン役・三本さん、肋骨を負傷されてたそうですが
そういう素振りは見えず、しっかり務めていらっしゃいました。

平田オリザ・演劇展vol.4
青年団
こまばアゴラ劇場(東京都)
2014/05/31 (土) ~ 2014/06/15 (日)公演終了

こんにちわハワイ
かのうとおっさん
小劇場 楽園(東京都)
2014/05/28 (水) ~ 2014/05/31 (土)公演終了

ダルマdeシアターPART3
チームホッシーナ
APOCカフェ(東京都)
2014/06/05 (木) ~ 2014/06/15 (日)公演終了
満足度★★★★★
無題1131(14-169)
18:00の回(雨)。17:20会場着、受付(1オーダー)。1階が会場、カウンター、ソファ、テーブル席。18:01ノリの良い音楽がかかり、司会者登場、諸注意とお客様へのツッコミ…それからいろんな人が来店、カフェは笑いで大混乱。
「チームホッシーナ」3作目(1月@2階、3月@新宿)です。お芝居、ミュージカル、コメディとそれぞれ違った楽しさ。3作とも出演は谷口さんで…どんどんくだけてきます。右手さんは「露出狂」からで5作目、「未熟な、ふるんちゅ」は観に行けなかったのですが、その変身ぶりはお見事。大暴れしたとんでもない来店者たちは去り、18:58終演。
普通に、カフェ公演かと思っていましたが、仕掛けというか、イベントというか、自己主張のかたまりたちは、客席の間を抜い、座り込む。楽しくてたまらない1時間でした。

シアター・ミラクル放送部 読書の時間「ぽ」
feblaboプロデュース
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2014/06/08 (日) ~ 2014/06/08 (日)公演終了
満足度★★★★
可能性を感じた
演出の切り替わりや役者さんもいつもと違った感じが出ており楽しめました。
あと、演劇の可能性も感じた。
次回以降ある場合の要望ですが、通常の芝居よりセリフが多くなると思うので
関係図の配布か舞台上で分かるような演出があると助かります。

SELVA!
風雲かぼちゃの馬車
小劇場B1(東京都)
2014/06/05 (木) ~ 2014/06/09 (月)公演終了
満足度★★★★
きれいな汗
終始パワフルなステージに圧倒されつつ、心温まるストーリーに癒されました。団員の皆さんの瞳がきらきらと輝き、本当に好きなことを一生懸命にしている姿に感動。きれいな汗をたくさん観させていただきました。

毒舌と正義
ワンツーワークス
赤坂RED/THEATER(東京都)
2014/06/06 (金) ~ 2014/06/12 (木)公演終了
満足度★★★★
やや無理はあるが、他にはない妙味
今回の作品は、教師ものということで、興味があったので、急遽当日券で、観に行きました。
やはり、この劇団の、芝居には、他にはない妙味があります。
何よりも、構成が緻密。最後まで、終幕の予想がつかないスリルがあります。
以前、ムーブメントありきのような習性に縛られている面も見受けられましたが、今回のムーブメントは、芝居の本質を捉えて、効果的でした。
ただ、先に書きたいものがあって、それに沿ったやや強引なストーリー展開があり、いつもより、虚構度の強い芝居でもありました。
劇団の役者さんが、いつもながら、パーフェクトな演技の中、老舗劇団所属の俳優さんが、台詞を噛んだり、忘れたりしたのは、大変残念な部分でもありました。

ぬけがら
劇団B級遊撃隊
長久手市文化の家 風のホール(愛知県)
2014/05/31 (土) ~ 2014/06/01 (日)公演終了
満足度★★★
名古屋の名優たちの共演
第53回岸田國士戯曲賞受賞作を、佃典彦自身による演出での初上演。開場直後から長蛇の列が出来て、長久手文化の家の客席が地元の人で満員になっていくさまを見るのは、東京から来た観客としては興味深かった。香港の団体の上演も観てみたいと思ったが、日程上断念せざるをえず、残念だった。
脚本に関しては、すでに戯曲賞を受賞しているので一定の揺るぎない価値が付されたものであるとの認識だ。10年近く前の作品だけあって、描かれている年代などは少し古いが、鑑賞の妨げには全くならない。それは作品が時を超えての上演に耐える、古典としての風格と実績を兼ね備えていることの証である。名古屋の名優たちが多数出演しており、次々登場する父親役の俳優たちが本当に素晴らしかった。特に、小熊ヒデジ(てんぷくプロ)の縦横無尽ぶりは、観ていて本当に引き込まれ、尊敬の念がわいた。
だが、名優たちを集めて上演しても、その上演から何を巻き起こしたいのかが見えづらい。仮に名古屋以外の場所でこれを上演できたとしても、パッケージングされた演劇を持ち運ぶだけになるのではないか。観劇体験として、これを観た人がいつか「あの時いいお芝居観たなあ」と思い出す、芝居のお手本のような存在になることを目指すのであれば満点だが、演劇の未来を刷新していくことが出来るかという点ではどうしても疑問が残ってしまう。

TERAMACHI
Baobab
武蔵野芸能劇場 小劇場(東京都)
2014/05/30 (金) ~ 2014/06/02 (月)公演終了
満足度★★★★
「京都的」なるものの距離感
何年も前だが、寺町通で大雨に降られたことがある。京都のライブハウスに行くのに、夜まで時間をひとりでつぶさないといけない時だった。昔ながらの喫茶店、老舗文房具店、衣料品店などの並ぶアーケードで雨宿りした記憶が、この『TERAMACHI』を観ながら思い起こされた。
柿喰う客から客演している永島敬三の身体には目をみはる。柿喰う客の俳優の中で、実は今いちばん好きかもしれない……ということを思った。それくらい、身体が雄弁であり、撃ち抜かれた。雄弁というのは、暗闇の中にぼうっと立っていても、それが永島敬三だということが瞬時にわかるという意味だ。個人の持つ物語が漏れだし、強い引力を形成している。中川絢音もよい。着物のかたちをした衣装を、身体の延長上にあるものとして見事に振り回していた。着慣れない形の衣装というのは難しい。踊りながら衣装に身のこなしを制約されていなかったと特に言えるのは、先述の二名と北尾亘だったように思う。
全体をとおして観た時に、女性の踊りは勇壮であり、男性はたおやかに見えた。重心を落とした独特の「土着的身体性」(北尾がBaobabで実現しようとしている身体である)の振り付けがそう見せるのだろう。
ただ、作品全体を京都の「どこ」に働きかけるか、もっと言うならどのコミュニティに向けたものなのかに自覚的であってほしい。「京都的」なるものの距離感のうまさは十分に、冒頭から示されている。ダンサーふたりが開演を待つ様子を演じながら、京都弁でちょいちょいやり合うのだ。まず道で出会ったふたりのすれ違い方がよい。顔を見合わせ、微笑んで互いに同じタイミングでマリー・アントワネットのような優雅な会釈をする。その様子がたまらなく私の中の「京都」のイメージと合致し、わくわくするような始まりだった。
しかし、この作品を京都に持っていって上演するとして、たとえば通り一本違っても、コミュニティ同士微妙かつ絶妙な距離感があるだろうし(それが京都という街だろう)その中で、寺町通というモチーフが東京都三鷹市で上演された時とどのように異なってくるのか、構成の上で練ったものをまた観てみたい。

【無事終演しました】荒川、神キラーチューン【ご来場ありがとうございました!】
ロ字ック
サンモールスタジオ(東京都)
2014/05/14 (水) ~ 2014/05/25 (日)公演終了
満足度★★★★★
突き放して描く少女時代
主宰であり、作者である山田佳奈がティーンだった頃の(それは私もそうなのだけど)90年代後半の音楽、中でもブランキー・ジェット・シティの曲が印象的に使われるのだけど、それは現在の郷愁や感傷を描くために使っているわけではない。 主人公が終盤で、ストーキングされている教え子に向かって「……子どものくせに。」と吐き捨てた台詞にそのことがはっきりわかって、心撃ち抜かれた。この作品は、きちんと「大人」になった作家が書いている。もう戻れない子ども時代を残酷に見つめ、そこから脱皮する瞬間の訪れを捉えようとしている。きっちり、過去の回想の中にパッケージングされ、作者が突き放して描いていることは、とても大切だ。過去の記憶や思い出をモチーフにする場合、作者が「今もその思い出の延長を生きている」と、物語は非常に独りよがりな酔いどれ節になってしまうからである。そうそう、日本全国の「ショウコ」という名前の女の子はあの頃、あの忌まわしくもキャッチーなオウム真理教ソングで囃し立てられたものだった……。
さえない漫画家志望の女子中学生を演じた小野寺ずる、体育教師の日高ボブ美(彼女たちの芸名のセンスもちょっとぶっ飛んでいてすごい。笑)の劇団員ふたりが俳優陣をぐいぐい引っ張る。日高ボブ美の演じた体育教師の彼氏は売れない俳優ということで、またフリーターの彼氏か……と「小劇場演劇あるある」にうんざりしかけたところ、その彼氏がテニミュ(『テニスの王子様』ミュージカル)に出演しているイケメンであるという設定がぽろっと明かされ、大爆笑した。貧乏は仕方ないけど、貧乏くさくないのがすごくいい。素晴らしい。主宰の山田佳奈が演じた、くせのあるハブられっ子も目が離せなかった。
アフターイベントの、チーム対抗カラオケ大会も大変楽しかった。今まで経験したアフタートーク、イベントの中でもダントツに印象深く、本編の余韻は損なわれたが(笑)、時間的にも構成的にもしっかりまとめられたものだった。残って観て良かった! と思った。都合により予約の回を変更したのだが、こちらもとても丁寧に対応いただけて感謝している。全体として、劇団としてのパワーとまとまりを強く感じた。

3 crock
演劇集団 砂地
吉祥寺シアター(東京都)
2014/05/09 (金) ~ 2014/05/12 (月)公演終了
満足度★★★
翻案というにはやや迫力不足
古典の翻案と言いつつ、大切なエッセンスを残しながら現代的に改変するということが出来ていないように思えた。歌舞伎のあらすじは時折突拍子もないこと態や暗黙の「お約束」などが起こり、それを支えるのが、降りしきる吹雪や美しい舞、ドラマティックな早替わりという、ある種の非現実的な「仕掛け」ではないだろうか。今回の演出にはそれがないように思え、リアリズムで押し切るには俳優たちの台詞が一方的すぎた。思いの丈を朗々と語っても、受け止めることができなかった。互いが互いの仇であることが明らかになってゆく場面も、矢継ぎ早な台詞がもったいない。初見の団体で、いつもそうなのかは分からないので、次回作の演出も観てみたい。
全体として照明が暗く、俳優の影が長く伸びていたのが印象的だった。彼岸と此岸を隔てる橋があり、登場人物は死ぬとその橋を渡る。死んだ人々がぼうっと照らされて見守る様子は陰影が美しく、無言の圧が印象に残った。吹雪の中、三人の吉三が刺し違えるドラマに至るラストシーンは静謐さが際立っており、ろうそくを吹き消す演出もよかった。

迷迷Q
Q
こまばアゴラ劇場(東京都)
2014/04/24 (木) ~ 2014/05/01 (木)公演終了
満足度★★
「荒削り」の「幼さ」
文字通り、迷宮から出てこられなくなっていると感じた。いつもの言語感覚のキレもなく、これではただの性的な露悪になってしまうという危惧だけが残った。脚本のモチーフに関しては前作までの手癖の域を出ない。
女がセックスを描くには、作家自身のフィロソフィ(哲学)が必要だ。ともすれば「(女のわりに)大胆である」という評価で済まされないために、戦う芯がいる。もちろんそんな評価軸はないほうが望ましいのだ。だが、黙って男に挿入されておとなしくしているほど(それじゃマグロだけど……)私は安くないのよ! と示すことは大変重要である。
Qのこれまでの良さは、主人公とおぼしき女性の独白台詞で示される凛とした生き方、何もかもどうでもいいと突き放す潔い哲学にあった。今回の園子役の坂口真由美の声と身体にはその魅力が足りず、モノローグによって強烈に残される印象が全くと言っていいほどなかった。
セックスの描き方についてもう少し考えたい。今作では「食べること = 一体化」「セックス = 違和感」の表明として描かれている。冒頭、公園でセックスする園子の両親たちは異物を挿入しあう存在で、そのいびつな結果として子どもをぼこぼこ産みまくる。それが、異なる他者同士が「わかりあえない」ことだけにスポットを当てているように思え、そこから先が見えなかった。
他者に対して違和感を持ち、食べられないというベクトルに関しては、園子が母にくわえさせられたハワイちゃん(犬)の唐揚げを吐き出すシーンがあるが、わかりあえない他者が「一体化するためのセックス」の存在がないのだ。そして、「ないこと」に対する憤りや鬱屈はもちろん、「そんなのどうでもいいわ」といういつものポーズさえも感じられない。それが大きな欠落感を生んでいる。
Qの描く「ニンゲンからはみ出すもの」というのは、つまるところ「自分からはみ出し」ているものでしかないのではないか。アフリカンと日本人の間に生まれた「バッファローガール」についても、恐らくはサバンナというモチーフが野生の象徴なのだろう。しかし自分が向かうべきユートピア、あるいはディストピア(オトナの世界)に対峙するためのユートピア(の入り口)としてのサバンナには思えず、黒人の住む異界として安易に設置したようにしか見えない。
Facebookに友人との交流の投稿をしまくっている女子を揶揄したようなシーンについても、端的に言うと感じが悪い。これまでのQのアイロニーならそれも可能かもしれないが、単に排他的なように見えてしまい、素直に笑うことが出来ない。何なのだろう、周りの女の子を見下したいのかなあ。でも、こういう友達とごはんを食べて旅行に行って楽しむ暮らしをしている人がQを観に来たら、このシーンの意味がわからないんじゃないだろうか。邪推だが、市原佐都子には、そういう人みたいに暮らせたら(創作について悩まずにいられたら?)楽だろうなあ、という気持ちがあったのかもしれない。でも実際にああいうきらきらの生活をしている人はいるわけで、安易にパロディ化してしまうことは、ただの悪趣味だ。
生活は物干竿にはためく服のような、舞台美術として風景に映えるものだけではない。人は汚水を流し、ゴミを捨てて暮らす。Qでは、犬が人糞を食べ、ゴミになるはずの犬の死体を唐揚げにして人間が食べ、母の胎盤を娘が食べることで永遠の循環をつくり、生活の「雑味」、作品の「深み」を眩ましてしまう。交尾して子どもをどんどん殖やしていっても、レイプを繰り返す人犬に教育を施して矯正しようとしても(そしてその犬が最後死んでも)、洗濯機の振動に身体を押し当ててマスターベーションしても、生活を蹴散らす境地に、迫力が到達していなかった。
「荒削りだが勢いがあって魅力的」という言葉は、逆説の褒め言葉としてよく使われる。Qに関しても恐らくはそうで、緻密な空間構成というよりは、言語感覚のインパクトと、テーマやモチーフの壮大さがこれまでの団体評価の大きなポイントだったのではないか。ただし今作に関して、その荒削りの熱さと幼さによる熱っぽさが混在している。むしろ同じものだったとさえ思う。タイトル通り迷っているのはわかるが、その所作は幼い。当日パンフレットの中にも「私の頭の中こんなにも狭い場所でしか考えられないものかとかがっかりして」と書いてあったが、正にその通りとしか言えない。
これまで彼女たちが一定の評価を得て来たことは間違いないが、その文体や言語感覚も含め、作風をただの「芸風」に陥らせてほしくない。独特の言語感覚、俳優のはっきりとした発話は高い筆圧と濃い輪郭を持つ。しかしそれでは幼い線しか描けないし、革命も起きない。いかにシャープに、深い穴を掘るか。スカトロジー、獣姦、人肉食という、既に扱われているモチーフの「濃さ」から中身の「深さ」への転換が必要なのだ。あえて言うが、手癖に収まるには彼女はまだ若すぎる。公演サイクルの早さに飲まれず、大いにがっかりして奮起してほしい。

骨相学特別篇 Kaleido Fluid
劇団メリケンギョウル
荻窪小劇場(東京都)
2014/06/06 (金) ~ 2014/06/08 (日)公演終了
短編を書いてみたくなる!
「えぇー、7名のお客様のために出すね、我々6人、全力でやらせて いただきますので、どうぞ よろしくお願いします」
『劇団メリケンギョウル』の坂根 迅。
関西圏出身を感じる話し方で、公演の集客数を自虐した。
「ラスト・サンデー」の18時以降。日本国民は ある習慣を持っている。
「デデンデデデン、デデンデデデン、デデンデデデン♪」
魚科の苗字と名。独特な編み方のヘアー・スタイル。
液晶パネルに ひょっこり顔をだす女性こそ、東京世田谷の桜新町在住といわれる著名な主婦・河豚田サザエである。
PM6時30分、茶の間のテレビ前に家族全員が集合しなければならない。日本国民は そう信じて疑わなかった。いつしか、子供から高齢者まで、「サザエさん症候群」を罹っていた。
夜7時開演の『劇団メリケンギョウル』が戦う相手。それは雨天でもなく、交通アクセスでもなく、河豚田サザエその人だった。
・「夢」。
四条半人前が最近、観た それは衝撃だった。
「商店街を全裸で走るんです。洋服屋に用があって、“じゃあ、今 身に付けてるもの、要らない”という意識」
もしこれがリアルだとすれば八百屋は 白菜を無償提供しただろう。
第一章 ホラー編
『恐怖!ゾンビ女』は落語怪談噺をモチーフとする短編らしい。
脚本を書いた当人は兼子佳那子であるのに、劇団員・坂根 迅が「ネタがないんですわ」という作家設定である。
あのタモリが全米ネットワーク・テレビ映画の形式を輸入した「ストーリー・テラー」。
「かわいい」これが黒メガネをかけない、痩せたストーリー・テラーの第一印象だった。
追記あり