【無事終演しました】荒川、神キラーチューン【ご来場ありがとうございました!】 公演情報 ロ字ック「【無事終演しました】荒川、神キラーチューン【ご来場ありがとうございました!】」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    突き放して描く少女時代
    主宰であり、作者である山田佳奈がティーンだった頃の(それは私もそうなのだけど)90年代後半の音楽、中でもブランキー・ジェット・シティの曲が印象的に使われるのだけど、それは現在の郷愁や感傷を描くために使っているわけではない。 主人公が終盤で、ストーキングされている教え子に向かって「……子どものくせに。」と吐き捨てた台詞にそのことがはっきりわかって、心撃ち抜かれた。この作品は、きちんと「大人」になった作家が書いている。もう戻れない子ども時代を残酷に見つめ、そこから脱皮する瞬間の訪れを捉えようとしている。きっちり、過去の回想の中にパッケージングされ、作者が突き放して描いていることは、とても大切だ。過去の記憶や思い出をモチーフにする場合、作者が「今もその思い出の延長を生きている」と、物語は非常に独りよがりな酔いどれ節になってしまうからである。そうそう、日本全国の「ショウコ」という名前の女の子はあの頃、あの忌まわしくもキャッチーなオウム真理教ソングで囃し立てられたものだった……。

    さえない漫画家志望の女子中学生を演じた小野寺ずる、体育教師の日高ボブ美(彼女たちの芸名のセンスもちょっとぶっ飛んでいてすごい。笑)の劇団員ふたりが俳優陣をぐいぐい引っ張る。日高ボブ美の演じた体育教師の彼氏は売れない俳優ということで、またフリーターの彼氏か……と「小劇場演劇あるある」にうんざりしかけたところ、その彼氏がテニミュ(『テニスの王子様』ミュージカル)に出演しているイケメンであるという設定がぽろっと明かされ、大爆笑した。貧乏は仕方ないけど、貧乏くさくないのがすごくいい。素晴らしい。主宰の山田佳奈が演じた、くせのあるハブられっ子も目が離せなかった。

    アフターイベントの、チーム対抗カラオケ大会も大変楽しかった。今まで経験したアフタートーク、イベントの中でもダントツに印象深く、本編の余韻は損なわれたが(笑)、時間的にも構成的にもしっかりまとめられたものだった。残って観て良かった! と思った。都合により予約の回を変更したのだが、こちらもとても丁寧に対応いただけて感謝している。全体として、劇団としてのパワーとまとまりを強く感じた。

    ネタバレBOX

    ラストシーン、白い天使の羽が降ってきた。これにより、1999年のノストラダムスの予言の時に、「空からは何も降ってこない」と言っていたあの子の言ってたことが嘘だったと明らかになる仕掛けだ。明かりがついて、清らかさの象徴のように思えていた羽の色が、真っ赤だったことに気がついてどきっとした。

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    2014/06/09 01:30

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