毒舌と正義 公演情報 ワンツーワークス「毒舌と正義」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    やや無理はあるが、他にはない妙味
    今回の作品は、教師ものということで、興味があったので、急遽当日券で、観に行きました。

    やはり、この劇団の、芝居には、他にはない妙味があります。

    何よりも、構成が緻密。最後まで、終幕の予想がつかないスリルがあります。

    以前、ムーブメントありきのような習性に縛られている面も見受けられましたが、今回のムーブメントは、芝居の本質を捉えて、効果的でした。

    ただ、先に書きたいものがあって、それに沿ったやや強引なストーリー展開があり、いつもより、虚構度の強い芝居でもありました。

    劇団の役者さんが、いつもながら、パーフェクトな演技の中、老舗劇団所属の俳優さんが、台詞を噛んだり、忘れたりしたのは、大変残念な部分でもありました。

    ネタバレBOX

    修学旅行中に問題が起こり、ベットルームでの職員会議のシーン、最初、渡会先生と、瀬木先生が、まさか別室にいるとは気づきませんでした。

    渡会先生が、教師たちが真剣に苦慮している中、いきなり、野球の素振りをし出して、おやっと思った瞬間、実は二人は、別の寝室にいるのだと、気づかされます。

    この劇団、ずいぶん観て、やり方を知っていた筈なのに、してやられた感。

    こういう、古城さんの遊び心溢れた、仕掛けが好きです。

    阿久津先生の起こした訴訟と、生徒が起こした二つの事件が、やがて、繋がり、一つに帰結する構成は、実に手際が良く、お見事!職人技だなあと、感服しました。

    ディズニーランドで、殴られた女子生徒の担任が、各部屋を回って、事態の報告をするシーンを、一度で済ますのも、小洒落た演出で、観客の理解度に敬意を払って下さってることに、嬉しくなります。

    教師も、人間。自分でも、気づかない内に、自分の保身に動いたり、責任転嫁をしようとしたり、細かいエピソードの見せ方が、大変巧みでした。

    でも、その一方で、校長にあまりにも連絡が取れなかったり、修学旅行に、教頭までが出向いたり、生徒が、阿久津先生の裁判記録を盗んだり、阿久津先生の辞職を撤回させるための嘆願書を、修学旅行先まで、持ち込んだり…といった、ややあり得ない設定が多かったのには、ちょっと、いつになく、芝居の綻びを感じたりもしましたが。

    この時代の生徒が、一丸となって、阿久津先生のための嘆願書にサインするというのも、ちょっと信じ難いオチでした。まして、既に、辞めている進学校の生徒までが署名に加わっているというのは、あまりにも、無理があるような気がしました。

    でもでも、そういう綻びを全て許容したくなる、構成の妙と役者さん達の自然な演技に裏打ちされて、やはり、結果的には大満足してしまう作品に仕上がっていました。

    冒頭のシーンでの、奥村さんのムーブメントには、阿久津先生の教師力がまさしく表出された仕草で、最後の生徒達の嘆願書の存在理由の証明にもなっていて、本当にお見事な演技表現だったのだと感嘆しました。

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    2014/06/09 03:00

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