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ストーブがすっ飛ぶ!!!

ストーブがすっ飛ぶ!!!

演劇集団SMILE JACK

下北沢Geki地下Liberty(東京都)

2017/10/04 (水) ~ 2017/10/09 (月)公演終了

満足度★★★★★

なんだ、これは!ボロ泣きしてしまったではないか!初めての劇団さんで、しかも初日でした。昭和コメディ感満載のハートフル全開コメディでとても楽しく、しかも後半のボロ泣きが待っている素敵な舞台でした。ストーリーも全員のキャラクターも魅力的で、観終わって、こんなにもホッコリしています。本当に初日ですよね?明日以降、さらにどんどん進化してしまうのでしょうね!磨きのかかったコメディをもう一度観たくなるお芝居でした。

サティde乱歩

サティde乱歩

語りと和楽の芸人衆 かたりと

旧安田楠雄邸庭園(東京都)

2017/09/30 (土) ~ 2017/09/30 (土)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2017/09/30 (土) 19:00

価格2,500円

無題2145(17-148)

19:00の回(晴)。

18:40開場、1年ぶりの「旧安田楠雄邸庭園」。

会場となる部屋に入るとアップライトピアノ。桟敷にいす席。35席予定のところ40を超えたそうです。

暑さが戻ったのか団扇の用意が。虫の声。

19:04前説、開演~20:00終演、~20:15トーク終了。

「かたりと」といえば小池さんの津軽三味線、山田さんの箏ですが、今夜はピアノでサティ。
サティは、なんとなく耳にすることはありますが、聴こうと思って聴いたことはありませんでした。

今夜の北原さん「銀」でいいのでしょうか、初めて見る色、なんと表現したらよいのか、物語の精が現れたようでした。

お題は「人間椅子(1925年)」。

バンドの「人間椅子」を聴いていたこともありざっとした大枠の話程度は知っていましたが、もちろん読んだことはありません(青空文庫で読むことができます)。

とうに暮れた戸外と澱んだ思いにみちたお話とがどこかでつながろうとしてもがいている空間がここなのではないかと思えてきます。その間で銀色の佇まいをみせているのが北原さん。

1ケ月前、早々と完売。キャンセル待ちでなんとか…でした。

LOVE 第1話

LOVE 第1話

シンクロ少女

OFF OFFシアター(東京都)

2017/10/02 (月) ~ 2017/10/04 (水)公演終了

満足度★★★★

85分。

ネタバレBOX

武田(櫻井智也)…TVドラマの犯人役できる位の俳優。前の彼女と別れた後、彼氏持ちの子と付き合ってた。ユミと一晩一緒に過ごすも何もせず。
ユミ(名嘉友美)…作家。10年付き合った彼氏がかわいい彼女といるのを見てやけ酒し、PCを井の頭公園に投げ捨て記憶を飛ばし、武田のやっかいになる。
大岡(泉政宏)…武田の友人。俳優でありラーメン屋のバイト。チンという中国人彼女あり。チンに誘わ上海で日本語教師でもやるかと思うが、直前で我に返りドタキャンする。
たんちゃん(おがわじゅんや)…ユミの友人。ユミとはいろいろ恥ずかしいトコを見せあえる仲。仕事あるのに、小岩、成田空港へと車を走らせることとなった。

大岡の男はジェントルメンでいろという言葉を受けて、泥酔するユミのPC探しに付き合い、川が見たいというワガママにも付き合い、元カノへLINEをうったりした武田は、ほんのり恋の感覚を覚える。が、ユミのいい加減さに愛想を尽かす。そんな中、大岡が上海行きをバックレたと知り、ユミとたんちゃんとともに大岡実家で大岡を連れ去り一同成田を目指す…。

序盤はやや低迷する感じ。泉のユルめでダサかっこいい感じは好きだけど。
ユミと武田の川沿いでの恋バナらへんからアゲってくる。辛めなテイストでなく、甘めな雰囲気。恋の反省会的な感じがニヤニヤを誘う。棒を制御した二人は拍手モノかな。この夜の武田は確かにジェントルメンだった(大岡からはヤルのがジェントルだと叱られたが)。
成田へ向かう車内で、想いをぶちまける面々の表情がいい。
なんとなくだけど、人を想う気持ちがそれぞれを成長させるというロードムービ的な作品と感じた。

ラストも含めインパクトという観点では、やや物足りないかな。
カーテン

カーテン

日本のラジオ

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2017/09/30 (土) ~ 2017/10/09 (月)公演終了

鑑賞日2017/10/04 (水) 20:00

価格2,200円

無題2145(17-148)

20:00の回(曇)

19:10会場着(受付) 整理番号付で「劇団」「劇場」の2種類のチケット、19:30開場(それぞれのチケットで5番ずつ)。

ちょっと横道を通って客席へ椅子席が3列。

「カーテン」が閉じられ「舞台」はみえない。

「ユメミルヘヤ(2012/5)」~「カナリア(2015/6)」で4作、ひさしぶりの5作目。
この会場はシンクロ少女の「ファニー・ガール(2013/10)」横手さん、吉岡さん出演以来。

舞台には特に目新しい造作物はないもののそこは誰がみても「劇場」。

19:51前説(屋代さん)、20:01開演~21:29終演。

事前に読みませんでしたが、小冊子があり事件、人物について詳細に記されていました。

よくあるテロ事件、といってしまうのは簡単ですが、出演者の皆さんほとんどが観たことがある方で、ニュースをみていたら突然映像が映り「えっ、この人が?」という錯覚(怖れ?)に陥るのでした。

世界のどこかでは身近であり、また別のどこかでは無縁な出来事かもしれません。

小冊子には顛末までありましたが、お芝居はというと...。

武装勢力、人質ともバラバラの人間関係のうえになんとか乗っているような印象。
当然のごとくバランスを喪い始める。

なんとなく人質のほうがまだ自分を保っていないだろうか?

ネタバレBOX

■逆転 客席が舞台(=舞台上が客席)
学習院女子大学舞台芸術部公演「さくらの会-太宰治『女生徒』より-(2013/11@やわらぎ)」。
多摩美術大学卒業制作展:よあさる「生垣の女(2017/1@ザムザ)」。

■相席 舞台上に客席も
劇団SakuraFarm卒業公演「六本木少女地獄(2017/2@やわらぎ) 」。
劇団橄欖舎「ハイツアマノ//201(2017/9@上智大)。
ARE YOU HAPPY ???〜幸せ占う3本立て〜

ARE YOU HAPPY ???〜幸せ占う3本立て〜

東京デスロック

STスポット(神奈川県)

2017/09/30 (土) ~ 2017/10/14 (土)公演終了

『3人いる!』を鑑賞。やっぱり面白い戯曲&上演!欲を言えばもっと翻弄されたいかな~。岩井秀人さんと多田淳之介さんとのトークも超楽しかった。9年前の『3人いる!』に出演した岩井さんが、多田さんのことをすごく明快に紹介するのを聞きながら、私も約10年を振り返ることが出来た。

ネタバレBOX

3人それぞれにドッペルゲンガー(?)が付いているならば、舞台に居る(はず)なのは合計6人。私自身も6人居るように見えていた。でも脚本ではもっと多いみたい(本人が2人になったりするとか)。そういえば以前に観た時は、6人より多いと感じていた。岩井さんも指摘されていたように、俳優の演技に曖昧で、不確実な要素を増やしてもいいのかも。
バグリン・ファイブ

バグリン・ファイブ

KING&HEAVY

HEP HALL(大阪府)

2017/09/29 (金) ~ 2017/10/01 (日)公演終了

満足度★★★★

KING & HEAVY初観劇!
いゃ〜笑った!笑った〜!

特に後半はよく笑ったなぁ^_^
ゆる〜い感じの展開だったけど
役者さんは個性的なキャラクターを
上手く演じていて面白い!
ストーリーや設定が良かったので
最後まで楽しい作品でした!

コンストラクション ダイアグラム・オーバー ザ ディメンション

コンストラクション ダイアグラム・オーバー ザ ディメンション

ブルドッキングヘッドロック

小劇場B1(東京都)

2017/04/16 (日) ~ 2017/04/22 (土)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/04/16 (日)

価格4,000円

各編を個別に観ることができる「内覧会」で通し券にて3作品コンプリート。3本それぞれ出演者の年代のみならず味わいも違って「お得な詰合せ」な感じ。

【その41・やさしい男】
これが年長チームの実力か、安定感があり安心して観ることができた。舞台となる「場所」や軽トラの見せ方と浪漫ある幕切れが特に好み。

【その38・遮光婦人】
オトナのプカツあるいはオトナの道徳ドラマ(小学校時代に授業で見たアレ)的な内容に加えて演者の年齢的にもリアルで「男はやっぱりいくつになってもああなんだな……」な言動にニヤニヤしたり苦笑したり。
つい最近話題になった(=脚本執筆時には表沙汰(?)になっていなかった)芸能人夫婦の「あること」と同じことも出てきて夫婦にはありがちなのか?とも。(笑)
演技エリアの手前と奥となどを使った映像で言えばフェードアウト&フェードインするような場の繋ぎ方も良かった。

【その25・雪ロード埋没】
基本的にはコメディ編ながら哲学的(あるいは心理学的?)な部分や きゅうん な部分で締めてアクセントとした。
序盤の2年女子トリオのけたたましさ(笑)の「あーこれこれ!」に始まり高校時代ならではのいろんな想いに郷愁をそそられ、今の自分と一番隔たっているあの頃に思いを馳せる。(かなり露骨に匂わせているのに肝心の当人がニブくて気付かない(ふりをしている?)ってこと、往々にしてあるもんなぁ……トオイメ)
フジテレビの「美少女H」やTBSの丹羽多聞アンドリウがプロデューサーを務めたものなど往年の深夜ドラマに通ずる味わいもあった。
登場人物全員がちゃんと高校生に見えたのはσ(^-^)の歳との隔たりのせいか?(反語的用法)

木曜ワイルド劇場「刺すペンっす!」

木曜ワイルド劇場「刺すペンっす!」

しまぁ~ん共和国

HEP HALL(大阪府)

2017/09/06 (水) ~ 2017/09/10 (日)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2017/09/06 (水)

いや凄い。全員の機能が前にしか行かない。
作品は吉本新喜劇に演劇的要素を上手くぶち込み更にダンスと畳み掛ける喋くりに、
これがプロかと唸らせる。
みっちょん上手い!

鳥の火

鳥の火

ロイン機関

TORII HALL(大阪府)

2017/09/08 (金) ~ 2017/09/10 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2017/09/10 (日)

シーンがひとつ走るだけでも直ぐに朝田さん脚本だとわかる。
そして今、抜群のタイミングでの社会派作品に胸がザワつきながら、
これは絶対に残る作品だと確信。
今、自分が観るべき物語でして
作品の持つ力が役者方に十二分に熱伝導しており、
痛々しくも今が華だと思えました!
チロルのお二人がまぶしい!

作品は嘘をつかない。
この物語に秘められた優しさは万国共通だ。
老若男女に必ず響く。
何より作品世界に生きる人々の何という躍動感か!

途中から涙なくしては観れない。
出ている人物達が本当に血が通って生活感が溢れていて、
だからこそラストに向かう物語にぐいぐい引き込まれ涙が止まらない。
伏線の流れが怖くてヤバい。

『OUJI~遥か地平線の彼方で 2017~』

『OUJI~遥か地平線の彼方で 2017~』

舞台芸術創造団体ワンダーラーファクトリー

ABCホール(大阪府)

2017/09/09 (土) ~ 2017/09/10 (日)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2017/09/10 (日)

山咲くん主演のミュージカルと聞いて一度体感したく行ってきた。
後藤さんチェサンと作品の一部に成って納得!

月雪の娘

月雪の娘

ムーンビームマシン

HEP HALL(大阪府)

2017/09/15 (金) ~ 2017/09/17 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/09/17 (日)

Sarahさんが追求するエンタメ集合体としてのムーンビームマシンを目の当たりにした。
耽美でありながら強いテーマはこれから先も揺らぐ事のないエンタメ道の筈

屋上のペーパームーン

屋上のペーパームーン

くじらstaff presents!

in→dependent theatre 2nd(大阪府)

2017/09/15 (金) ~ 2017/09/17 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/09/17 (日)

何とも愛に溢れたドロップアウトの集団。
滑稽だからこそ愛しいは一歩間違えたら差別になりかねないが、
突き抜けると更に家族目線愛になるほど面白い。
叫び続ける負担を越える愛。

レインメーカー

レインメーカー

劇団ショウダウン

南大塚ホール(東京都)

2017/09/23 (土) ~ 2017/09/24 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2017/09/24 (日)

閉塞感と絶望感と開放感。
それらの要素を十二分にショウダウン節として料理できていてデリシャス!
何よりナツメさん独特の長台詞を浸透させた流れが美しく、
久々の林遊眠全開少年を目の当りにして震える。
ギアが切り替わる時の快感は流石だ!

クロス ~橘耕斎ヘダ日記~

クロス ~橘耕斎ヘダ日記~

Re:Duh!

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2017/09/21 (木) ~ 2017/09/25 (月)公演終了

満足度★★★

史実を交えた歴史物。
しかも池袋、沼津の二都市公演ありきなので、
かなり緻密に積み上げたのだろう。

沼津公演近し!
9/30~10/1沼津RAKUUN3Fぬまづのたかラボ →bit.ly/2wW5h1P

木の葉オン・ザ・ヘッド

木の葉オン・ザ・ヘッド

超人予備校

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2017/09/22 (金) ~ 2017/09/24 (日)公演終了

満足度★★★★★

大阪公演よりシーン増えてるし削ってるしでまぁ既に再演の域。
東京だからとて関西風味を止めずに突っ切る漢気!!
大人の御伽噺であることも大きいが公演中、
ずっと小学生の女の子が笑い続けていて、
ほんまに癒された!
最高東京!!!

エフェメラル・エレメンツ

エフェメラル・エレメンツ

ティーファクトリー

吉祥寺シアター(東京都)

2017/09/22 (金) ~ 2017/10/03 (火)公演終了

満足度★★★★

お掃除ロボット「ルンバ」に感情移入するに至らなくても、見た目が人間そっくりで「人の心」までインストールされたロボットとなると・・・ヒューマノイドロボット、SF作品でありながらかなりリアル感をもって心に迫ってくるのは、現実がまさに近づいてきているのと、登場人物たちのロボットに抱く感情に強い説得力があるからだろうと思えます。
段階を踏んでステップアップしていく興味深いロボットの中でも、蘭妖子さん演じる旧型ロボットは強烈なオーラを放っていました。

未知なる領域に手を出していく人間、原発廃炉問題と併せて投げかけてくるものが多く、人の心の複雑さを改めて思い知らされた作品でした。

江戸川乱歩傑作シリーズ 恐怖王

江戸川乱歩傑作シリーズ 恐怖王

ミステリー専門劇団 回路R

北池袋 新生館シアター(東京都)

2017/09/15 (金) ~ 2017/09/17 (日)公演終了

満足度★★★

豊島区に縁のある江戸川乱歩作「恐怖王」が原作であるが、あまり人気のない作品だという。なぜ、その作品を第29回池袋演劇祭参加作品に選んだのか。それこそミステリーだが…。それには、書か(連載さ)れた時期が影響しているようだ。

未読の作品ゆえ、公演によってその概要を知ることになるが、その作品の魅力が十分伝わらないのが残念。もっとも「恐怖王」という原作自体が乱歩作品の中で人気がないためかもしれないが…。
(上演時間2時間10分)

ネタバレBOX

舞台セットは、ほぼ素舞台。上手側の衝立と脚長の椅子。
梗概…説明文には「怪人ゴリラ男を操り、猟奇犯罪を繰り返す恐怖王。惨殺される美女たち。現場に残された赤いさそりの紋章。次の犠牲者は誰か。名探偵明智小五郎は事件を解決出来るのか。今まさに帝都は恐怖の坩堝と化す。」と書かれている。

この小説が書かれたのが昭和6~7年で、軍靴の響きが高くなってきた頃である。恐怖に陥れる目的は、原作では不明確らしいが本公演では明確にしている。公演では”本格推理”と”変格推理”といったような台詞があったが、その定義は今一つ解らなかった。その曖昧さが”恐怖”に繋がるという。

殺人鬼=ゴリラ男を操り世間を恐怖に陥れる。恐怖恐怖と畏怖させることは、流言飛語の類である。根拠が明確ではないのに言いふらす風説。ある事件(当事者になるのは限られた人達)が起きた時、具体的な問題を変則的な報道形態で流す。内容の断片と断片の溝や矛盾があって首尾一貫して正確に伝えきれない。そしてそれが人から人への口伝として伝達されていく。不確実な情報伝達、その連鎖的コミニュケーションの結果、次第に歪曲の度合いが増していく。
本公演での恐怖は、軍靴の足音が大きくなり不安になってきた国民の気持をさらに不安にさせ、戦争という恐怖を誤魔化し感じさせないため。人気のない作品をベースに、物語の世界観を鋭くさせる脚本は見事。

しかし素舞台で、推理劇というには観せ方が不足しているように思う。物語の展開は演技とともに視覚的に面白い、そして納得感がほしい。

次回公演を楽しみにしております。
ふぐの皮

ふぐの皮

中央大学第二演劇研究会

シアター・バビロンの流れのほとりにて(東京都)

2017/09/01 (金) ~ 2017/09/03 (日)公演終了

満足度★★★

吃音に悩む男とその友人たち(現在25~26歳)の回想劇。数年ぶりに帰郷しての中学時代の同級会。しかし、出席してくると思われた男の弟が現れ、吃音の兄の学生時代の思い出を聞き出していく。薄らいだ思い出を辿ると、そこには意識しないだけで苛めを行っていたと認識させられる。サスペンスとはいかないが、記憶の掘り起こしを通じて明らかになる吃音者への軽蔑、憐ぴなどの深層が浮かび上がる。
(上演時間1時間30分)

ネタバレBOX

舞台セットは、左右両側に客席に向かって傾斜または段差のある通路。真ん中に台座スペースを確保しテーブルを置くなど、家族風景を持ち込む。下手側に和戸があり、それを開けると水の音(さざ波又はせせらぎ)、そして風が流れているかのような微風を感じさせ、別空間をイメージさせる。形象したセットは、物語を会話劇で進めることを意識しているようだ。

会話は深刻、軽妙を繰り返し、その結果吃音者への行為が醜類だったことが露になる。一人ひとりが行った行為は他愛ないもの、そう認識しているのは当事者で、相手の気持ちなど考えてもいない。物語の主張は、タイトルにある「ふぐの皮」のごとく幾重にも描かれるが、全体的に理屈っぽい説明風に思えてしまうところが残念。また吃音者=差別=苛めという単純な構図ではないだろうが、それでも物語の世界観が広がらず、元同級生たちの悔悟のみがクローズアップされる。
また、前説では差別的ではないと言いつつ「ふぐ(不具)の皮」として吃音を描いていたようだ。人の皮とは何か、厚顔無恥を示すのだろうか。

学校や家庭でのこと、また同級生の彼女とのことが交錯して描かれる。いくつかの観点を通した客観的な彼の姿は、いつの間にか主観的な彼の視点と同化しているが、本当の彼の気持を表しているのだろうか。その描きたい事は何か、テーマのようなものが見えてこないが…。

次回公演を楽しみにしております。
木の葉オン・ザ・ヘッド

木の葉オン・ザ・ヘッド

超人予備校

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2017/09/22 (金) ~ 2017/09/24 (日)公演終了

満足度★★★

タイトル「木の葉 オン・ザ・ヘッド」の通り、頭に木の葉をのせた登場動物。この劇団は演技力と動物(今回はタヌキ)に拘る作風から、旗揚げ当初は「学芸会」と言われていたらしい。今では自ら「大人の学芸会」と名乗っているという。

本作品は街とお金にまつわるコメディであるが、タヌキ=化かすという俗説を逆手に取った寓意ある内容だった。
(上演時間1時間30分)

ネタバレBOX

舞台セットは、木または葉脈をイメージさせるオブジエ。その後景に高層ビルのような影絵が見える。下手側奥には黄金色に輝く月、客席寄りに木製ベンチがある。

梗概…人間の世界に憧れタヌキの街(茶ガ町)を作ったが、若いタヌキは町から出て行き町が衰退してきている。人間社会にける過疎化問題そのものの縮図である。そんな茶ガ町に人間が現れて…。
説明を要約すると、「タヌキは漢字で書くと『狸』。「けものへん」に「里」である。人間と近いところにいた。今もゆるキャラなどに姿を変えて、我々人間と共にいるのかもしれない。タヌキとの結びつきを無くした今の日本。「里」というものが無くなっていきた。失われつつある懐かしい日本の風景を、タヌキの存在を通じて描いてみたい」と…。

一方、タヌキの町に紛れ込んだ男は借金苦、金が欲しい。町にある”金の成る木”、そこにある葉が「金」に化けることから、若いタヌキを唆し手に入れるが…その結末は予定調和のような展開である。もちろん寓意を含んでいるが全体的に緩くピリッとしない結末に思えてしまう。大人の学芸会と言われる所以であろうか(少し子供向けか、それとも関西・東京の笑いのツボが違うのか)。

せっかく現代社会への警鐘と思えるようなことを、タヌキの社会に投影し見せている。そこに人間の狡さ、金亡者という醜さを織り込んで社会(街)と個(人間・狸)という縦・横の話の面白さが十分伝わらないのが残念。

役者は若手、ベテランを配しているが、その力量に差が見られ少しバランスが良くなかったと思う。
次回公演を楽しみにしております。
人魚秘め

人魚秘め

ガラ劇

萬劇場(東京都)

2017/09/06 (水) ~ 2017/09/10 (日)公演終了

満足度★★★★

梗概はアンデルセン童話「人魚姫」であるが、タイトルの「秘め」は現代日本の深刻な問題を示すもの。幻想的な舞台演出であるが、これは”幻”ではなく、”現”であるから切なく悲しい。「姫」が個人的な”思い”であるとすれば、「秘め」は社会的な”重い”である。内容の重さを演出で観(魅)せている。少しネタバレするが、深海の生き物を被り物で微笑を誘う。
全体的には観客の心象に訴える公演で、観る人の感性、またこの問題に直接・間接に関っている人は思い入れが強いのではないか。
(上演時間1時間45分)

ネタバレBOX

客席の挟み舞台。中央に薄い半透明の青布(工事現場用のブルーシートではない)を何枚か敷き、シーンに応じて持ち手が変わり波打つように揺らめかせる。その布の揺れ(波間)に人物や魚介類などの姿が見え隠れし、海上・海中をイメージさせる。そこに照明(色彩)が照射され幻想的な雰囲気を漂わせる。一方、周囲の壁は灰色で、まるでコンクリートを連想させる。

梗概…恋する人には妻がおり、その人の弟から思慕されるという三角関係のような展開。この恋焦がれるのは「人魚姫」をモチーフにしているからで、本公演のテーマは東日本大震災による原発事故の後始末を巡るもの。海の生き物たちが次々に変調をきたし死んでいくが、それは核汚染物質を海洋投棄したことが原因である。汚染された水を海へ、しかし、水が汚染されていることを知らない。一見何の問題もないように見える行為に隠された恐ろしい真実。うたかた(泡沫)の夢=泡→灰をイメージさせる。秘め事は、人間の手には負えなくなった文明(原発)への警鐘を意味するようだ。

人間界(兄)における秘密、隠蔽、焦燥などの苦悩。一方、人魚姫に恋する弟は純粋な愛に殉じようとしている。

人魚姫の悲恋と原発汚染水で死んでいく、その悲劇をダイナミックに繋げるのは、アナグラムの機知、笑いと逸脱(被り物)を盛り込んだ脚本・演出と、詩的な台詞の印象付けであろう。そして役者たちは海中にいる生き物となり舞台を水流のように横切りシーンを転換したりする。それには多くの役者が、本来の役柄以外にアンサンブルとしての役割を担っている。

問題を闇に葬るのか、聞かせる相手もなく海の底で横たわる物たちの怨嗟が聞こえてくるようだ。
次回公演を楽しみにしております。

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