ふぐの皮 公演情報 中央大学第二演劇研究会「ふぐの皮」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    吃音に悩む男とその友人たち(現在25~26歳)の回想劇。数年ぶりに帰郷しての中学時代の同級会。しかし、出席してくると思われた男の弟が現れ、吃音の兄の学生時代の思い出を聞き出していく。薄らいだ思い出を辿ると、そこには意識しないだけで苛めを行っていたと認識させられる。サスペンスとはいかないが、記憶の掘り起こしを通じて明らかになる吃音者への軽蔑、憐ぴなどの深層が浮かび上がる。
    (上演時間1時間30分)

    ネタバレBOX

    舞台セットは、左右両側に客席に向かって傾斜または段差のある通路。真ん中に台座スペースを確保しテーブルを置くなど、家族風景を持ち込む。下手側に和戸があり、それを開けると水の音(さざ波又はせせらぎ)、そして風が流れているかのような微風を感じさせ、別空間をイメージさせる。形象したセットは、物語を会話劇で進めることを意識しているようだ。

    会話は深刻、軽妙を繰り返し、その結果吃音者への行為が醜類だったことが露になる。一人ひとりが行った行為は他愛ないもの、そう認識しているのは当事者で、相手の気持ちなど考えてもいない。物語の主張は、タイトルにある「ふぐの皮」のごとく幾重にも描かれるが、全体的に理屈っぽい説明風に思えてしまうところが残念。また吃音者=差別=苛めという単純な構図ではないだろうが、それでも物語の世界観が広がらず、元同級生たちの悔悟のみがクローズアップされる。
    また、前説では差別的ではないと言いつつ「ふぐ(不具)の皮」として吃音を描いていたようだ。人の皮とは何か、厚顔無恥を示すのだろうか。

    学校や家庭でのこと、また同級生の彼女とのことが交錯して描かれる。いくつかの観点を通した客観的な彼の姿は、いつの間にか主観的な彼の視点と同化しているが、本当の彼の気持を表しているのだろうか。その描きたい事は何か、テーマのようなものが見えてこないが…。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2017/10/03 16:28

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