江戸川乱歩傑作シリーズ 恐怖王 公演情報 ミステリー専門劇団 回路R「江戸川乱歩傑作シリーズ 恐怖王」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    豊島区に縁のある江戸川乱歩作「恐怖王」が原作であるが、あまり人気のない作品だという。なぜ、その作品を第29回池袋演劇祭参加作品に選んだのか。それこそミステリーだが…。それには、書か(連載さ)れた時期が影響しているようだ。

    未読の作品ゆえ、公演によってその概要を知ることになるが、その作品の魅力が十分伝わらないのが残念。もっとも「恐怖王」という原作自体が乱歩作品の中で人気がないためかもしれないが…。
    (上演時間2時間10分)

    ネタバレBOX

    舞台セットは、ほぼ素舞台。上手側の衝立と脚長の椅子。
    梗概…説明文には「怪人ゴリラ男を操り、猟奇犯罪を繰り返す恐怖王。惨殺される美女たち。現場に残された赤いさそりの紋章。次の犠牲者は誰か。名探偵明智小五郎は事件を解決出来るのか。今まさに帝都は恐怖の坩堝と化す。」と書かれている。

    この小説が書かれたのが昭和6~7年で、軍靴の響きが高くなってきた頃である。恐怖に陥れる目的は、原作では不明確らしいが本公演では明確にしている。公演では”本格推理”と”変格推理”といったような台詞があったが、その定義は今一つ解らなかった。その曖昧さが”恐怖”に繋がるという。

    殺人鬼=ゴリラ男を操り世間を恐怖に陥れる。恐怖恐怖と畏怖させることは、流言飛語の類である。根拠が明確ではないのに言いふらす風説。ある事件(当事者になるのは限られた人達)が起きた時、具体的な問題を変則的な報道形態で流す。内容の断片と断片の溝や矛盾があって首尾一貫して正確に伝えきれない。そしてそれが人から人への口伝として伝達されていく。不確実な情報伝達、その連鎖的コミニュケーションの結果、次第に歪曲の度合いが増していく。
    本公演での恐怖は、軍靴の足音が大きくなり不安になってきた国民の気持をさらに不安にさせ、戦争という恐怖を誤魔化し感じさせないため。人気のない作品をベースに、物語の世界観を鋭くさせる脚本は見事。

    しかし素舞台で、推理劇というには観せ方が不足しているように思う。物語の展開は演技とともに視覚的に面白い、そして納得感がほしい。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2017/10/03 16:30

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  • タッキー様

    コメントに気付かず確認が遅れてしましい、失礼致しました。
    日が経ってしまいましたが、9月公演ではご来場頂きありがとうございました。
    そしてコメントもご記入頂き誠にありがとうございます。

    なぜ恐怖王という作品を脚本は選んで書き始めたのか…我々役者もチャレンジだなと思っていました。
    ただ、今だからこそ伝えたいテーマがこの作品にあったとのだと、稽古を重ねて行く中で感じていました。
    その脚本の根底にある伝えたかったテーマを読み取って、頂けて本当に嬉しい思いでいっぱいです。
    頂いたセットや見せ方のご指摘も、今までも我々にとって大きな壁であり、今後の大きな課題でもあります。
    脚本に頼るだけではなく、総合的な芝居作り…
    これからも、もっともっと楽しんで観て頂ける作品になるよう、そして観終わった後に納得!と思って頂けるよう精進して参りますので、今後も気に留めて頂けたら幸いです。
    本当に、本当にありがとうございました。

    2017/12/08 12:21

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