相談者たち
城山羊の会
三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)
2017/11/30 (木) ~ 2017/12/10 (日)公演終了
満足度★★★★
この劇団を初めて観た池袋での舞台を思い出した。(最低な舞台・・とどこかで書いた感想の原因を思い出した。)
三鷹での前回は同じく吹越満出演で、リアルを踏み外す要素があってもうまく作られた濃密な芝居だった。それと比較すると、演技陣の仕事には感心しきりだが、作劇が苦労の途上に感じられ、隙間が多い。観劇後に穴を埋めていく事は可能だが・・面白いが惜しいという感想。
ネタバレBOX
舞台はゆったりとした夜のリビング。富裕層のそれらしく大きな絵画が吊られたりしている。人物は吹越演じる父(何か忘れたがある分野で一定の評価と地位を得ているらしい)、若い浮気相手(鄭亜美)、別れようとしない妻、会社勤めの娘、その交際相手、そして若い女とのかつての交際相手(父と元同じ職場の後輩)。リビングにはまず熟年の夫婦、そこへ娘とその同僚兼交際相手(どうやら初めて紹介するつもり)、最後にたずねてくるのが外部の者たち。何やら抜き差しならぬ事情がありそうだが、実は父の浮気相手とその元?交際相手である彼らがなぜ夜に時間帯にやって来たのか、彼らの正体は何かが顕わにならない時間が長い。誰もそこを突っ込まないのも不自然。修羅場と化すはずのリビングだが、表面上冷静さが装われ、説明的な台詞のやり取りも可能。だが冷静さが表面上だけでなく実際冷静なんではないかと見える憾みあり。話題に直接関係のない娘と恋人のカップルが、父に「あっちいってろ」と言われても何だかだとタイミングが合わずに去らない、というのも娘のデリカシー的にどうか・・結局殆どの時間、引っ込まずにリビングで父の醜態も含めて「見ている」。そのシュールさは狙いであろうし、それ自体はよいのだが。緩急という面ではスピーディに展開する時間の割合が低いことと「リアル」を潰している部分の総合点で、評価は下がるのだろう。
だが、全体としてはリアルに「あり得る」話だ。たとえば台詞には微かなヒントしかない要素が、女にとってのステータス。すなわち若いその浮気相手が、前の交際相手の男性を見限った理由だ。・・離婚してくれといくら頼んでも彼が煮え切らなかったので冷めてしまった、と女は説明したが、その「彼」は本気で妻との離婚協議を粘り強く進め、何もかもを失ってついに離婚を成立させた、ところが彼女は「父」に乗り替えていた、そこでこの邸に踏み込み、熟年夫婦に「離婚しない」よう哀願しにきたという経過であった。
前の男性と交際期間が「かぶっていた」指摘に対してもめげず、女は父に向かって言葉を紡ぎ、如何に自分が父を敬い慕っているかを必死にプレゼンする。その見え透いた台詞が父には(彼女を生理的に(性的に)求めているので)ジャブとして効いていることも舞台上に見え、社会的ステータス的に「父」のほうがうんと上だという値踏みが、女をして彼を絶対得るべき相手と判断させ、「惚れた」という自己暗示を殆ど無意識に施したらしい軌跡が目に見えるような・・こういう役を演じる鄭亜美は無二である。
自立した娘にとっては父のスキャンダルも単なる軽蔑の対象でしかないが、今日は父母に自分の交際相手を正式に紹介しようとしてやってきた、という事が、この一件と「完全に無関係」を決め込めない要因になっているが、一方その交際相手は無関係を決め込んで良いはず・・なのだが、その彼が客観的な視点で身も蓋もないコメントや質問を「当事者」に差し挟んで介入していくのが笑いになる。恐らくどこか恵まれた環境で育ち、就職もして社会人としての常識も的確に身につけているが、どこか「天然」を感じさせるキャラが作られているのが、この介入の行為にも生きて笑える。
吹越夫の妻に対する「離婚」の申し出も、何やら子供がプラモデルを買いたいからお金をくれ、と言っている態度に似ていて、彼にとって若い女への欲求が「物」をほしがることと本質的に同じである事が仄めかされている。若い女もそのように自身をアピールして「売ろう」としており、男の方もこの種の欲求を育てる環境(社会的地位、経済力)にある。だが落語「千両みかん」の最後の番頭のようにトチ狂ってしまうのがこの男で、既に勝っているはずの恋敵の頭を玄関ロビー(客席から見えない)での乱闘の合間、大きな灰皿で殴打してしまう(見えないが死亡が予想される)。騒ぎの興奮を性的興奮に転化した二人は母の見ている前で互いに唇を奪い合い、二人の荒い息遣いと、力ない母の「ここではやめて」の台詞を残してフェードアウトとなる。ストーリーラインは女の元交際相手からの直談判と、その中で事実関係が説明されていく、というもの。説明の順序の工夫で「謎解き」の面白さ、それに対するリアクションの面白さはあるが、コンテンツ的にはやや淋しい。
最後のキスシーンも不要に長いが、この作り手は観客が「濡れ場」を期待してやってきていると勘違いしているのではないか。
清水宏の世界を笑わせろ ロシア編~ロシアからホワィをこめて!~
清水宏
CBGKシブゲキ!!(東京都)
2017/12/15 (金) ~ 2017/12/16 (土)公演終了
満足度★★★★
■約145分(トーク主体のライブにつき前後する可能性あり)■
このシリーズは初見だったが、面白さよりも熱さが勝っている印象。でも、元気もらった。51歳でロシアのコメディクラブに殴り込み。清水宏の辞書に「年甲斐」なんてくだらん言葉はない。
サンタクロースが歌ってくれた
空想実現集団TOY'sBOX
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2017/12/13 (水) ~ 2017/12/17 (日)公演終了
満足度★★★★★
まずは今回の舞台の内容とは関係なく、トイボさんの舞台で思うこと。
・座席が指定で客入れがスムーズ、かつ客入れ役の団長さんなどがとてもフレンドリー。
・客入れ時の音楽が単なる時間つぶしのBGMではなく、選曲の意図やセンスが感じられる。
・主催(団長)さんの前説が面白い。(今回は主催さんの演技にも注目)
・基本的に舞台自体は楽しくて優しさにあふれていて清々しい。
・終演後の名場面撮影会が面白いしお気に入りのシーンの写真を残せてうれしい。
・キャストとの面会代わりのハイタッチでのお見送りがキャストとの距離を縮めてくれる。
・キャスト、スタッフ全員が観客を楽しませようとする気持ちが強く感じられる。
などなど…若者中心の劇団さんですが、とても素敵です。
今回の舞台は、オリジナル脚本ではないのが少し残念でしたが、トイボらしい味付けがされていたな~と。キャストも全員役にはまっていてのりのりではっちゃけていて、とにかく楽しくて気持ちの良い2時間でした。今回はなかでも横井めぐ美さん、門倉美穂さん、新加入の中舘早紀さんがぶっ飛んでいて、強く印象に残りました。
次回公演も期待しています。
【blank of WALTZ】【no melody BOLERO】
BIG MOUTH CHICKEN
ザ・ポケット(東京都)
2017/12/06 (水) ~ 2017/12/10 (日)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2017/12/10 (日) 12:00
座席1階D列
BIG MOUTH CHICKEN『blank of WALTZ』ザ・ポケット
魅力的なキャラクターたちが舞台狭しと活躍する爽快なアクション活劇。
殺陣がカッコ良かったなぁ。スピード感もあったし見応えがありました。
武器や衣装といった舞台美術も大変素晴らしかったです。
泣くことを忘れたいつも笑顔の少女、みたいなヒロインの設定は当て書きだったのかな?
折角魅力的なキャラだったので、過去話などでもう少し掘り下げて欲しかったかなぁという気がしました。
(あえて詳細を描かなかったのかもですが)
室温 ~夜の音楽~
天幕旅団
【閉館】SPACE 梟門(東京都)
2017/12/12 (火) ~ 2017/12/17 (日)公演終了
満足度★★★★
本家のケラさん版も、大根さんのドラマ版も、室温の肝は“たま”だって事をしっかり理解している公演ですね。
新選組
Blue Shuttle
あうるすぽっと(東京都)
2017/12/15 (金) ~ 2017/12/23 (土)公演終了
満足度★★★★★
お初観劇。暁ノ章観劇
思いがけず大満足!演出のセンス・細やかさがイイ!飽きの来ない魅せ方が次々と繰り広げられる。またそれに応える出演者も落ちがなく、見応え有り。衣装も派手なものではないが、月光のような光の中に浅葱色の羽織が実に美しい!どのシーンを観ても絵になる。前半しか観られないのが、とても惜しい!
赤と青
ラビット番長
演劇制作体V-NETアトリエ【柴崎道場】(東京都)
2017/12/15 (金) ~ 2017/12/17 (日)公演終了
満足度★★★★★
ラビットアトリエ公演赤と青観劇してきましたがこれはACTゲームした下ろし作品だそうだ!
病院の夜勤ではいろな事件おきる!同意書サイン貰う話場さまざまな事おきる面白くなおかつ真剣に演じている!
あっと言う間50分でした
凄く面白かった
アカメ
wonder×works
座・高円寺1(東京都)
2017/12/13 (水) ~ 2017/12/17 (日)公演終了
満足度★★★★★
観て来ました!今回、いつにも増して主語が省かれて物語が進行していきましたが、何の事か語られずに会話が進んでも、それぞれの登場人物が何を想いながら話しているのかがダイレクトに伝わってきて、早い段階で泣いてしまいました…。でも、それは予め戯曲集を読んでいたからかもしれません。戯曲を読まずに観ていたら、引っ掛かり「? 」からの理由が分かった時の「そういう事かー!」の興奮度、満足感が高まり、より一層wonder×worksを満喫出来たのかもしれません。
でも、戯曲を読んでも深くは分からなかったところが、劇場のナマモノならではの空気感や役者さんの芝居の巧みさで「そういう事だったのかー!」と、やっぱり脳内に報酬を与えられて、結果的には頭フル回転、感情も揺さぶられて、そして、様々な根深いテーマについて自分はどうなのかと問われました。
それから、今回も役者さん達が凄かったです。プロ中のプロの集まりが、これだけ魂全部で闘っていると、派手な動きがある訳でもないのにガンガン伝わってくるものなのだなと思いました。最後まで0.01秒も飽きることなく引っ張り込まれました。
また、舞台美術も素敵でした。
最後の方で出てきたある物があまりにリアルで神秘的で、ゾクッと鳥肌が立ちました。
たぶん、見逃した部分や解釈を深められるところがまだまだあると思いますので、もう一回観る予定なのですが、更にwonder×worksからの挑戦状を受けとめるのが楽しみです。
「仕事クラブ」の女優たち
劇団民藝
三越劇場(東京都)
2017/12/02 (土) ~ 2017/12/17 (日)公演終了
満足度★★★
舞台上演中に中止させようと官憲が客席後方から登場する場面では
今回はこれを含めて芝居だけれど実際に上演中止させられたことがあったのだと...。
なんだか考えこんでしまいました。
お寺でポン!REBORN
劇団娯楽天国
TACCS1179(東京都)
2017/11/29 (水) ~ 2017/12/03 (日)公演終了
満足度★★★★★
衝撃的なスタートでしたが、劇団名にもある、娯楽感をたっぷり感じられる楽しいステージでした!
絵葉書の場所
劇団大樹
Route Theater/ルートシアター(東京都)
2017/12/06 (水) ~ 2017/12/10 (日)公演終了
満足度★★★★
本公演は、独特な舞台美術(草月流華道家・横井紅炎女史)とその空間で展開される抒情的な物語(作・み群杏子女史)、その世界観(感)を堪能することが出来た。
(上演時間1時間20分)
ネタバレBOX
舞台はカフェブランシェ、その店内は中央奥に枯れ木、上手側にカウンター・スツール、下手側にテーブル・椅子、中央手前(客席寄り)にテーブル・椅子が置かれ、本当にカフェを出現させているような独特な舞台美術。店内のいたるところに音楽や演劇のチラシが貼られている。床には枯れ葉。色々なジャンルの本が収納された本箱があるが、客が置いて行ったものらしい。中央の枯れ木には絵が掛けられている。絵はその中に描かれた枯れ木を挟んで男女が背中合わせに立っており、男はズボンのポケットに手を入れたままの構図である。
梗概…本筋は中年男・叶光介(川野誠一サン)が営んでいるカフェ、そこに木山夏実(花房りほサン)と名乗る女子大生がアルバイトに応募してくる。光介の妻は15年ほど前に家出したが、その時、1人娘・菜摘も連れて行った。同じ名前が気になっていたが…。このアルバイトに常連客・ワタル(奥山貴章サン)が恋心を抱きストーカー紛いの行為をする。訳ありな夏実の行動がワタルの心を揺さぶるが…。自分(光介)が傷つきたくない、プライド_ズボンのポケットから手を出すまでに15年という歳月がかかった男の心の成長物語のようであった。
この本筋に2つの挿話が織り込まれるが、その関連性が分かり難い。第1に女子高時代の文芸部有志が作った文芸誌(店の本箱から取り出す)、その書かれた言葉・文章が当時の心情を表現する。第2は、既婚の中年男性と若い女性の恋心を交えた会話が、カフェオーナーとアルバイト女子大生の関係を投影しているかのようだが…。
物語は本筋と脇筋で構成させ、それを入れ子構造として展開する。物語も然ることながら、言葉(台詞)の意味合いや韻音の美しさ、間合いあるテンポが心地良く響くという感じである。全体的に抒情的と思えるのは、筋立てと同じように空気感というか雰囲気を大切にしているからだろう。
公演の特長としてギターの生演奏(ゆりえサン)が言葉を優しく包み、時間の流れという間合いを伸縮させる。その目に見えない時間を表現させる効果は見事であった。さて、ブランシェとはフランス語で「白い」ということらしいが、印象は観客によって異なる。自分(心)のキャンバスに彩られたのは微風・心温まるといった心象が残った。
次回公演を楽しみにしております。
サンタクロースが歌ってくれた
空想実現集団TOY'sBOX
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2017/12/13 (水) ~ 2017/12/17 (日)公演終了
満足度★★
2時間私にはこの作品の面白さが理解できぬままにに過ぎました。好みというものがあるから仕方がありませんが、演出家はこの劇で何を言いたかったのでしょうか?
ジ・アース
十七戦地(2026年1月31日に解散)
ギャラリーLE DECO(東京都)
2017/12/13 (水) ~ 2017/12/17 (日)公演終了
満足度★★★★
本公演は、3話オムニバスを入れ子構造にして展開するロード・テアトルといった印象である。劇団十七戦地の1年3カ月振りの公演であり、3話はそれぞれ劇団員が提供し柳井祥緒氏が纏め上げたものであるという。2人(北川義彦・柳澤有毅サン)芝居…ギャラリーLE DECOという小さい舞台空間であるが、物語の世界は観客の想像力によって大きく広がる。
(上演時間1時間30分)
ネタバレBOX
セットは人工芝のようなスペース、その周りに沿ってホワイトドラゴン、ワニ、電車玩具等のオブジェ、またシーン毎に着替えるための衣装が入った旅行鞄が置かれている。天井には地球儀に模したビニールボールが吊るされている。場面によってはピクニック用の折り畳み式のテーブルも使用する。雑然としているが、画一的な状況を作ら(想像させ)ない工夫であろうか。同時に3話の情景に応じた道具を運び込む周到さ。
タイトル「ジ・アース」は3話の接地のようでもあり、地球規模と捉えることが出来る。「アマゾンの魔女」「ロードムービ」「ニューアニマル」は独立した小話であり、表層的には関連付けが難しいが、その曖昧さこそが見所であったと思う。何故(マラソン)走るのか、そんな問いへの回答は個々人で違う。哲学的なことは解らないという返事にこそ画一・具体的にならない曖昧さを強調しているかのようだ。
アマゾン川での釣果の期待感、日本という狭い(少子化)発想から世界を見据えた動画配信というバーチャル感、バクを擬人化させた恋愛の甘美感はいずれも曖昧なもの。現実か空想・妄想なのか判然としない世界観は、観客の想像力によって広がりと奥深さが異なるだろう。
話の繋ぎに暗転は用いず、柳井氏が黒子として小道具を準備・配置し、それによって観客の集中力と物語性を保たせるあたりは上手い。
次回公演を楽しみにしております。
室温 ~夜の音楽~
天幕旅団
【閉館】SPACE 梟門(東京都)
2017/12/12 (火) ~ 2017/12/17 (日)公演終了
満足度★★★★
サイコサスペンスという謳い文句通り、外面的な愛想の良さと嫌らしさ、内面(心)の暗部が浮き彫りになってくる不気味な崩壊物語。と言っても、役者の演技がコミカルに描かれるシーンもあり、この劇団らしい演出を試みた表現方法とも思える。
(上演時間2時間)
ネタバレBOX
挟み客席、その間に赤い舞台(絨毯イメージのような)スペース。海老沢家の居間といった所で、テーブル・椅子、ソファー、電話置台の調度品がある。また風鈴の短冊には”みちのく”と書かれている。そして殺されたサオリの写真が掛けられている。四方には椅子が置かれ、ラストに明かされる別世界。
梗概…寂れた漁村に建つ古ぼけた洋館。心霊研究家の海老沢(凪沢渋次サン)は娘のキオリ(渡辺実希サン)と2人暮らしをしている。12年前に殺害されたサオリの命日に、刑務所から出所した犯人の1人・間宮(渡辺望サン)が訪問したことから、事件に隠された秘密やそこに居る人々の悪意や思惑が露呈していく。たどり着いた真実は憎悪か愛情か。携帯電話が繋がり難い人里離れた場所、雷雨という天候など、この屋敷は一種の密室状態に置かれている。
何の本だか忘れたが、親を亡くすと過去を、配偶者を亡くすと現在を、そして子を亡くすと未来を失うとあった。主人公は妻が家出しており、時の全てを失ったかのようである。それでも犯人が焼香したいという申し出を受け入れ、常識では考えられない行動をとる。さらに服役したことに対する労をねぎらう言葉をかける。少しずつ物語が歪み始め陥穽を企てる様相が見え始める。ゆるやかに理性がかき乱されていく様、曲者ばかりの登場人物たちの思惑がスリリングに絡み合う心理サスペンス。全編通じて薄暗い照明(停電シーンではロウソクの炎が印象的)、その雰囲気は人心の醜面をイメージさせ嫌らしさが蠢くようだ。誰もが内心ピリピリし他人を受け入れない。そんな強張った空気をドタバタな描きにして緩衝させる。
物語を俯瞰するかのように少年(加藤晃子サン)の心霊が浮遊している。それはサオリであり、別の子でもある。霊魂が漂っていることを表現しているが、悲壮感は感じられない。この子がサブタイトルにある~夜の音楽~を歌い出し、全キャストが唱和する。その雰囲気はあっけらかんとしている。公演全体が陰陽のメリハリを意識したような観せ方で、その印象付けは上手い。
次回公演を楽しみにしております。
騎士ブルース
無頼組合
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2017/12/08 (金) ~ 2017/12/11 (月)公演終了
満足度★★★★★
B級活劇ストーリー「騎士」シリーズ最終回、実に感動的でラストは泣けてくる。カーテンコールでシラカワ タカシさんが当初は3作ぐらいのシリーズを予定していたが、人気を博し10作になったと説明していた。物語は、架空の都市(サウスベイシティ)を疾走するような早いテンポで進む。そこには鋭い社会性、それに挑む愛すべきキャラクターが生き活きと活躍し娯楽性に富んでおり、多くのファンを魅了してきたと思う。
(上演時間2時間10分)
ネタバレBOX
この都市、街は殺伐、退廃したイメージを持たせているようだが、一方その佇まいのようなものはスタイリッシュ、洗練されているという感じでもある。そんな混沌とした街で探偵業を営んでいる。
舞台はほぼ素舞台。シーンによって探偵事務所内、BarカウンターやオカマBarのソファなど簡易な調度品が運び込まれる。全体が走り回るようなアクションシーンであることから、ある程度のスペースを確保しておく必要がある。その情景・状況は役者の演技で体現しており、緩急ある動きは思索とアクションというメリハリを表している。
梗概…主人公・風吹淳平(シラカワ タカシサン)は、サウスベイシティで私立探偵を営んでいる。非合法な仕事以外は何でも引き受ける。裏社会のパワーバランスをコントロールするコーディネーターの1人を殺害した容疑で逮捕されるが、緩い取り調べの後に釈放された。一方、‶クリーンな国際都市づくり〟を公約に掲げる市長は、目的のためにコーディネーターと結託し、ギャング組織の解体、都市開発の名目で猥雑で風紀上問題のあるエリアの立ち退きなどを強行的に進める。探偵事務所とニューハーフパブ「バナナの気持ち」が店を構えるダコダハウスにも立ち退き命令が出る。仲間達のために都市開発を阻止しようと奔走するが、権力の前にうまく事は進まない。そんな時、ブラッドシティから懐かしい助っ人がやって来た。俺の昔の女…フリージャーナリストの‶安奈〟だ。彼女はジョージ・オハラがコーディネーターという組織を作ったのかを知っているという。コーディネーターを叩く突破口になるか、熱い最後の戦いが始まるが…。
観(魅)せ方、その展開は次元や時間を越えることなく、”今”という時の中で描かれる。それだけに分かり易いしストーリーに集中できる。ラスト…大切な人と場所を失う悲しさ、それでも鶴田紅は「死にたくなるような孤独を乗り越えて生きていけ!」という淳平から諭されていた。まるで応援歌のようなセリフが心に響く。実に見事なエンターテインメント作品であった。
次回公演(別シリーズ、または本シリーズ番外編)を楽しみにしております。
池田屋裏2炎上
グワィニャオン
萬劇場(東京都)
2017/12/13 (水) ~ 2017/12/17 (日)公演終了
満足度★★★★★
いろんな意味で圧倒された素晴らしい舞台でした。重厚でありながら、時々はさまれる軽妙な笑いの切れの良さ、激しい殺陣があったかと思えば、会話のやり取りも面白い。男の話かとと思えば、女性は強いな~と思わせたり。登場人物も若手から、年配の方まで。久しぶりにすごい舞台を見たという余韻がのこりました。
個人的には座席が前から3列目だったということもありましたが、終始「すもも」さんの??が気になってましたが。それと山口勝平さんのいいお声を生で聴けて、心地よかったです。とてもいい役どころでした。
すでにチケットは売れ切れだとか。再演に期待です。
元超能力少年
元東京バンビ
中野スタジオあくとれ(東京都)
2017/12/13 (水) ~ 2017/12/17 (日)公演終了
満足度★★★★★
面白かったです!!
ネタバレBOX
似非超能力者たちが非科学的なことが嫌いな男に拉致監禁され、チンコを万力で絞められながら非を認めさせられようとする話。
私はインチキ占いやインチキ宗教が大嫌いです。それだけに、そいつらは認めないという基本スタンスで進行していたことに好感を持ちました。
出オチで盛り上がり、その後尻すぼみになるというようなこともなく、終始面白く、火事場の糞力的なことが起こったかもしれないと思わせるラストシーンもあれで良かったと思いました。
はやしさんの教祖めいた役作りは必見ものです。ネタ探しに都合の良い面があるかもしれませんが、”元”シリーズに縛られ過ぎないでほしいとも思います。
にんぎょひめ
to R mansion
座・高円寺1(東京都)
2017/08/17 (木) ~ 2017/08/20 (日)公演終了
満足度★★★★★
テアトル・ノアールという手法を初体験しました。暗闇でも、怖いというよりとても不思議で優しい空間のなかで、笑いとちょっぴり切ない物語は、観ることができて本当によかったと思います。
次回作も楽しみです。
THE BEAUTY QUEEN OF LEENANE
風姿花伝プロデュース
シアター風姿花伝(東京都)
2017/12/10 (日) ~ 2017/12/24 (日)公演終了
満足度★★★★★
意外に分かり易いストーリーと高をくくっていると、置いてきぼりにさせられられます。
ネタバレBOX
アイルランドの片田舎で母親の世話をしながら暮らす40女に訪れた恋愛機会がどうなるかという話。
イングランド人とアイルランド人の関係性も垣間見られました。
連れ込んだ親戚筋の男との激しいシーンや翌朝のどぎついセリフがあったので当然最後まで行ったのだろうと思いましたが、結局最後まで至らなかった趣旨の女のセリフが一瞬あり、おやっと思ったところでもう一度その事実を確認させてくれるなど描き方は丁寧でした。様々な伏線も丁寧でした。そして、男の求愛がすれ違いになるだろう的なことは、裏切らずベタに進行していきました。
意外と分かり易いストーリーだなと高をくくって観ていただけに、終盤の展開はどう解釈したら良いのだろうかと思うくらい一人置いてきぼりにさせられた気分になりました。駅で会えたということ自体が女の妄想だったのがショックでした。なるほど、検視官にというか警察官に疑われなかったのも当然です。結局は、女は母親と同じように安楽椅子で一日を過ごすことになるのでしょう。娘は成長すると母親に似るの典型でした。
ただ、埋葬が終わった日の、71歳を迎えたはずのない母親に対して姉たちのリクエスト曲が流れたシーンは、姉たちの性格が今一つ分からないだけに未だにもやもやしています。
『2030 REPLAY』
イマノカゲキ(BlackRomanceFilms)
ラ・グロット(東京都)
2017/11/25 (土) ~ 2017/12/10 (日)公演終了
満足度★★★★★
一人芝居をするって大変だと思うのですが、役者さんは素晴らしかったです。
複数の人格をしっかりと演じ分けられていて、自然な気持ちで感情移入することができました。
そして生演奏のピアノが、効果的に登場人物の心情を映し出していたと思います。
生の演奏…直接胸に届いてくるような感覚があり、やはり良いものですね。
見終わって、心理的な怖さと切なさと、混乱とそのカタルシスのようなものが同時にこみ上げ、その余韻に浸りながら帰りました。
面白かったです。