仮面劇・預言者
フライングシアター自由劇場
高田馬場ラビネスト(東京都)
2023/12/05 (火) ~ 2023/12/12 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
『フライングシアター自由劇場』27年振りの再始動作品。
ポーランドの劇作家で風刺作家として高名なスワヴォーミル・ムロージェクの『予言者』が原作。
ある国が荒れて群衆が首相官邸に押し掛けている。首相はもうすぐ“預言者”が現れて神託を述べると宥める。預言者を磔刑に掛け、生贄に捧げるのが古来よりの人間の慣わしのようだ。東方の三賢者もおこぼれを預かりにやって来る。だがやっと到着した“預言者”は何故か二人いた。
一億年前のドラゴンの卵が孵る話が挿話される。存在しない架空の生き物が孵るなんて。
開場時から出演者全員舞台をうろついている。楽屋がない設定で、出番のない時も上手か下手で待機している。
東方の三賢者トリオ、串田十二夜(じゅにや)氏はジャズ調で歌が上手い。太っちょキャラでコミカルな近藤隼氏。柳本璃音さんは華がある。
二人同じ動きになってしまう真那胡敬二氏と大森博史氏、凄く豪勢なキャスティング。いぶし銀。
首相に井内ミワクさん、妙な味。小間使いに串田和美氏。
コント崩れみたいなふざけたノリが続き、「ちょっと失敗したかな」と思う。だが脇に腰掛けていた串田和美氏が仮面を着け役に入った途端、世界は一変する。北野武だったり、川谷拓三だったり、三國連太郎だったり、砂塚秀夫だったり。声に秘密があるのかも知れないが、ぐっと惹き込まれ集中して観てしまう凄味。独りで映画を演っているようだ。いつの間にかに観入ってる。噺家の声色にも通ずるのかも知れない。金の取れる俳優。
劇中歌『草原のライオン』が凄く良かった。
是非観に行って頂きたい。
くらいところからくるばけものはあかるくてみえない
果てとチーク
アトリエ春風舎(東京都)
2023/08/18 (金) ~ 2023/08/27 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
面白かったので、追加してリピート鑑賞もしました。
単奇怪な非日常感を味わえるカルトホラー的な作品として、すっきりしないわかりにくさも含めて、とても面白かったです。
考察しがいはきっとあって、そこには深いテーマ性が込められてるのでしょうが、それは観る側の資質、感性次第であり、作品自体では、押し付けてきたりはしてないと思う。
螺旋階段をおりての入場、闇とローソクの灯り(だけじゃないが)での観劇体験。
終演して階段を登ると、生き返る感じ。
ただ、何かが爪痕として残った感じはありました。
はやくぜんぶおわってしまえ
果てとチーク
アトリエ春風舎(東京都)
2023/01/19 (木) ~ 2023/01/22 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
2回観ました。
スーパーカジュアル公演をうたっており、1回目は盛り上がってきたってところで終わってしまって、あれ?って感じでした。
ただ、2回目で物語としての高まりはぶつ切りになってしまったけど、テーマ的にはあそこで切るのは良い判断なんだなとは。
自分はエンタメ寄りの人間なんで、盛り上げてほしかった感もあった。
そこで笑いがおきるのは、この芝居的からは断罪されるようなもんだぜとか、思ったりもした。
舞台に現れる密度は申し分無しでした。
長い長い恋の物語
玉造小劇店
ザ・スズナリ(東京都)
2023/02/14 (火) ~ 2023/02/19 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
デリケートなテーマで、自分は苦手なテーマだったんですが。
これは観て良かったと、時間が経っても思ってます。
ウェットになりすぎたり、一方的な社会正義の断罪もなく、地に足がついた、等身大の血の通った芝居だった。
大阪に行ったとき、高架をくぐった瞬間に空気が変わった(思い込みかもしれんが)のを思い出したりしました。
熱海殺人事件~モンテカルロ・イリュージョン~
演劇企画 heart more need
雑遊(東京都)
2023/11/29 (水) ~ 2023/12/03 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
同じタイトルの作品でも出演者、演出、そして自分の年齢、環境によっても見方感じ方が違ってくるのを実感しました。きっと同じものは2つとないのでしょう。
カーテンコールのサプライズも良かったです。
遠藤さん、お疲れさまでした。今後のご活躍も楽しみにしています。
令和版 仕方ないから働くか
試験管ベビー
千種文化小劇場(愛知県)
2023/11/30 (木) ~ 2023/12/03 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
ありがとうございます。
2日18時の回の公演観させていただきました。
試験管ベビーさんは、毎回趣向が違うので
今度はどんな演出なんだろうって
ワクワクしながら観に行ったのですが
今ステージは、円形の舞台の周りを
観客席が取り囲む形でのちょっと変わったお芝居。
コンビニバイトから闇バイトまでの
今どきのお仕事事情を面白おかしく紹介してくれてました。
よく学園祭なんかに行くと
学生が就職をテーマにした演劇とかやってるんですが
今回はそれそのまんまって感じでしたね。
皆を笑わせたい、喜ばせたい、
楽しんでいってほしいっていうのが
試験管ベビーさんのスタンスだっていうのは
重々わかってはいるんですが
「税金払うために働きましょう」なんて言われても
ウーンどうだかな~みたいな・・・
ちょっとしらけムードが漂ってました。
クリスマス・キャロル
劇団昴
座・高円寺1(東京都)
2023/12/02 (土) ~ 2023/12/10 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
2年ぶりの観劇。
前回より格段に面白く良いできになっている気がします。
特にスクルージを演じた宮本さんが役にフィットしていました。板につくというのはこういうことか?
それと歌が良かったですよお。
音響に関して。
演者の声が主にスピーカー方向から聞こえてきたこと。
狂言回し兼ナレーター役の3人の声だけちょっと不自然だったことが気になりました。ちょっとだけですが。
クリスマス・キャロル
劇団昴
座・高円寺1(東京都)
2023/12/02 (土) ~ 2023/12/10 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
面白い、お薦め。
小説を読み映画も鑑賞しているが、舞台は初めて観た。劇団昴のクリスマス・キャロルが今後 この演目の基準になるが、極めて高い水準になるだろう。
物語は、クリスマス・イヴの夜、守銭奴の老人スクルージは死んだ同僚の幽霊と過去・現在・未来のクリスマスの精霊に導かれて、時空を超えて不思議な体験をするといった よく知られた内容。公演の見どころは 勿論スクルージの不思議な時間を過ごす、すなわち心の彷徨を経て心温まるラストへ…。
その展開を支えている舞台美術が素晴らしい。劇場に入った瞬間、その不思議な世界に誘われる。そして歌・ダンスといった観せる魅力、ファンタジーといった雰囲気を漂わせる照明など、舞台技術を駆使した演出も効果的だった。何より宮本充さんの頑固・偏屈な老人エベニーザ・スクルージ役がピタッとはまり、その熱演に観入ってしまう。
内容には教訓的と思われるところも散見されるが、それを上回るエンターテイメント性によって 人の優しさ温かさ、よく耳にする「人は一人では生きていけない」といった普遍的な思いが伝わる。上演時間2時間10分(途中休憩15分)だが、感覚的には あっという間。けっして重く暗くならず、逆に生きる希望と勇気がもらえるような好公演。 12.8追記
クリスマス・キャロル
劇団昴
座・高円寺1(東京都)
2023/12/02 (土) ~ 2023/12/10 (日)公演終了
「慈善家-フィランスロピスト」「屠殺人 ブッチャー」
名取事務所
「劇」小劇場(東京都)
2023/11/17 (金) ~ 2023/12/03 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
屠殺人ブッチャーを拝見。 かつて ラビニア (架空の国、もとソ連の一国か)で残虐な拷問を行った男(高山春夫)に対して、 若い女(万里紗)が 復讐を始める。 その冷酷さが怖い。 最初は何も関係なく見えた若い男(西尾友樹)が、実は意外な関係があって事態に巻き込まれる。その過程がスリリング。最後に どんでん返しもあり、息をつかせない。
100分とコンパクトだが、最後まで緊張感に満ちた 芝居だった。
クリスマス・キャロル
劇団昴
座・高円寺1(東京都)
2023/12/02 (土) ~ 2023/12/10 (日)公演終了
空ヲ喰ラウ
劇団桟敷童子
すみだパークシアター倉(東京都)
2023/11/28 (火) ~ 2023/12/10 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
山に入って木の高所の枝打ち などを行う作業員を空師というらしい 。山深い集落で、林業が衰退する中、かつて7つもあった空師集団が今 2つしかない。そのうちの大きい方の梁瀬組が、もう 女3人しか残っていない 中村組 に共同作業を呼びかける。しかし 中村組としては今までの経緯 もあって素直に受けられない。そんなところに、山に迷い込んだ若者が中村組見習いとして入ってくる。
山育ちの人間と都会の人間との対立や、天井までセットされたうっそうとした木組みを、縦横に上がり 下がりする姿は素晴らしい。群像劇ならではのパワーがある。
惜しむらくは後半、新人青年春一(吉田知生)が、命の危険を感じるほど追手を恐れている設定に説得力が乏しい。吉田氏は白のつなぎで図体はでかいが気の弱い青年を好演していた。もう少し無理のない設定を考えてほしい。
私達は存続を望まない
WAO!エンターテイメント
アトリエアーサム(大阪府)
2023/12/04 (月) ~ 2023/12/10 (日)公演終了
満足度★★★
本劇団4作目 立ち上げから拝見しているが、今回の分は今一
伊丹市のアイホール問題をディスりながら、公務員のいい加減さを批判を交えながら話は進む
確かに演劇人口は減少していて、役者、劇団はほぼ趣味でしかできない現状ではあるが、その中でも夢を追いかけ頑張っている
その夢を金に変えているのが、演劇のレジェンドと言われる古株の老害と言っているのかな?
アイホール問題の詳細は知らないが、題目を考えるとそうなんだろな〰️
何事にも新陳代謝は必要で、それを観客のハートに刺したかった?
あしもとのいずみ
劇団わが町
川崎市アートセンター アルテリオ小劇場(神奈川県)
2023/12/01 (金) ~ 2023/12/03 (日)公演終了
実演鑑賞
川崎市北部のこの劇団は全国的にも少数の自治体主導による市民劇団で、年齢層の幅は広く大所帯、だが団員になるためのオーディションも(何年かに一度)あり人数制限はあるらしい。
10年と言う節目に団員の一人による脚本を舞台化したが、過去公演の中でも優れた仕事となった。川崎市中部にあった登戸研究所を題材に市民劇らしい群像劇が立ち上がっている。全体に市民劇団っぽさは残るのだがそのベースの上に一つ一つ事実が積み上がり、メタシアターの構造による複合的な叙述で気付けば絵が出来ている。
登場するのは「芝居を作る」人物たちで、劇中劇(稽古)に登場するのは「研究所の歴史を掘り下げようとする」高校生やそのサポーター、教師そして彼らが出会った歴史の証人たち、つまり現代の人々。最後にはこの題材が行き着かざるを得ない場所へ観客は案内される。戦争の道具を開発していた研究所であった事の実相、すなわち時代を超えた先に事実存在したものとして、ふと浮かび上がって来るものがある。
OVER THE CENTURY 〜百年の彼方に〜
丸福ボンバーズ
APOCシアター(東京都)
2023/12/02 (土) ~ 2023/12/17 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
面白かった!面白かった!本当に面白かった!
この作品は2000年に泪目銀座さんの公演で大感激した作品で、まさか23年後にもう一度観られるとは思わなかったので、観劇日を指折り数えて待っていた。
とはいえ、キャストも違えば劇場も小さな劇場。
もしかしてがっかりするかもと正直心配でもあったのだが、まったくの杞憂だった。
今日観たのは新鮮脚色組という若手中心のチームだったが、役者さんたちが本当に魅力的で、やりすぎず、やらなさすぎず、実に気持ちがいい。
作り込まれたセットも、小道具も衣装も、照明も音響も、失礼ながらAPOCシアターとは思えぬレベルで、作演の福島三郎氏のこの作品への想いの深さを見た気がした。
舞台は1900年。これから20世紀になるという年の瀬。
ある傾きかけた教会を舞台に繰り広げられる・・・といった平凡な解説をしても意味がない。
なんか、もう、本当に、心に響く台詞がたくさんあって、20世紀を夢見る1900年当時の人たちと共に、今の私たちも未来を信じてもいいんじゃないかと思わせてくれる。
だから劇場を出たときの心が暖かい。
そりゃ現実にはいろいろあるけど、たまにはこんな気持ちになったっていいじゃないか!
できることなら、毎年師走に上演してほしい!
無理ですか?丸福ボンバーズさん?
クリスマス・キャロル
劇団昴
座・高円寺1(東京都)
2023/12/02 (土) ~ 2023/12/10 (日)公演終了
カントリーロード
せこごと
新宿眼科画廊(東京都)
2023/12/01 (金) ~ 2023/12/04 (月)公演終了
実演鑑賞
観客には12月9日と10日に行われるワークショップの参加権あり。
今回は参加できないけど、都合がつけばぜひとも参加したい。
次回もワークショップあればいいなあ。
HOKUSAI and the Dr.Caligari
PSYCHOSIS
北千住BUoY(東京都)
2023/11/01 (水) ~ 2023/11/05 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
前作を見たかったけれど時間合わず、今回初参戦出来ました。
芝居は好みの問題があるのかなという気がしますが、全体的に良かったと思います。
リピートするかは内容次第って感じします。
凄いメークの意味とナイスなシーンてのがよく理解できませんでした
クリスマス・キャロル
劇団昴
座・高円寺1(東京都)
2023/12/02 (土) ~ 2023/12/10 (日)公演終了
外地の三人姉妹
KAAT神奈川芸術劇場
KAAT神奈川芸術劇場・大スタジオ(神奈川県)
2023/11/29 (水) ~ 2023/12/10 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
舞台上には赤茶けたいろんな小道具が雑然と転がっている。年月を経て赤錆が浮いているようにも見える。開演前、女中のサヨ役の佐山和泉さんが鏡台に座りメイクを始める。ガチで老婆になるまでをやってのける。
1910年日韓併合、日本の植民地とされた朝鮮。舞台は咸鏡北道(かんきょうほくどう=ハムギョンブクト)の都市、羅南(らなん=ナナム)。すぐ北東にソ連のウラジオストクがある緊迫した土地。現在は北朝鮮の領土になっている。
①1935年、父の一周忌であり三女の誕生日でもある一日から幕を開ける。普通学校(朝鮮人学校)の教師をしている長女(伊藤沙保さん)、中学校教師(夏目慎也氏)に嫁ぎ近所に住んでいる次女(李そじんさん)、高等遊民を気取る長男(亀島一徳氏)、女学校を卒業した三女(原田つむぎさん)。この家に長く仕える女中(佐山和泉さん)、離れに下宿している軍医(佐藤誓氏)と“男爵”と呼ばれる中尉(田中佑弥氏)。
赴任して来た中佐(大竹直氏)がこの屋敷に挨拶に来る。
やたら下手糞な俳句を詠む中尉、波佐谷聡氏。板尾創路似。
下手糞な太鼓を叩く伍長、松﨑義邦氏。
長男・亀島一徳氏は大学教授を目指していたが挫折。朝鮮の有力者の娘、ソノク(アン・タジョンさん)と交際している。
ソノクの下女、鄭亜美(チョン・アミ)さん。
近所に住む日本語が下手糞な下男、イ・ソンウォン氏。ピエール瀧似。
第二幕は1936年、第三幕は1939年、第四幕は1942年。
休憩後の第三幕が面白かった。
MVPは屋敷に嫁いで来る長男の嫁ソノク役のアン・タジョンさん。日本人のイメージする韓国人女性を見事に表現。これが火病なのか?
鄭亜美さんも名助演。ラストの舞も美しい。
次女の駄目亭主、夏目慎也氏はトレンディエンジェルのたかしっぽい。
博打に溺れる長男・亀島一徳氏の屑っぷりも痛快。
三女・原田つむぎさんさんは『生きる』の小田切みきの雰囲気。
“男爵”、田中佑弥氏はカンパニーデラシネラの『気配』で印象深い。長身なので絵になる。
『東京節』のメロディー(「ジョージア行進曲」)で韓国独立を煽る当時の朝鮮の歌が流れる(「独立軍軍歌」)。興味深い。