Life pathfinder 4th WALL
パスファインダ制作室
吉祥寺シアター(東京都)
2018/04/20 (金) ~ 2018/04/22 (日)公演終了
満足度★★★
吉祥寺シアターは結構行きますが、座席によって入り口が違ったのは初めてでした。もちろんこんな座席のつくりも初めて!アテンダントのみなさんによるご案内や、客席を巻き込んでの盛り上げに、主役は応募した男性と言うことで期待は膨らみます。
裸火(マッチ?)を使った演出は面白く、どうやっているのか聞こうと思ったのに聞きそびれました。
ネタバレBOX
しかし、なんだか物足りなかった。あったんだかなかったんだか、同じところをぐるぐるしているみたいなストーリー。爆音の楽曲は音楽だけならまだしも歌詞がよく聞こえないし、ときどきハウリングを起こしていました。トライアウト公演とのことでしたので、その後改善されたかもしれませんが。河合美智子さんご出演というのも楽しみにしていたのでしたが、ご本人も「私ひまなんだけど」とおっしゃっていたように、出番が少なくて残念でした。
このシリーズを新国立劇場で観た覚えがあったのですが、あまりにテイストが違うので私の勘違いかと帰宅後調べてみたらやはり同じシリーズでした。あの回のロボットの物語はとても心に響いたのでしたが・・・。
終演にカーテンコールがないのはかまいませんが、余韻を楽しみたい人もいるだろうに無理矢理追出されるお見送り(?)というのもいただけません。
さようなら
オパンポン創造社
インディペンデントシアターOji(東京都)
2018/04/19 (木) ~ 2018/04/22 (日)公演終了
満足度★★★
オパンポン初観劇でした。 けっこう評判が良いので それなりに期待していたのですが、 関西弁って以外は 割りと普通でした。
ネタバレBOX
日常にありそうで 無い話。 小さな工場の社長が脱税して2000万 溜め込むってあります?
そして社員がその金盗むって… 無いですよ。 たしかにスピード感があって退屈はしなかったし、事務員役と中国人役の役者さんは 素晴らしかったです☆
でも みなさんの評価が良すぎる気がしました…
砂塵のニケ
劇団青年座
青年座劇場(東京都)
2018/03/23 (金) ~ 2018/03/31 (土)公演終了
満足度★★★
会社経営者の娘に生まれ、将来はその経営に携わることを決定付けられている彼女の夢は美術修技術者。
父のいない彼女に絶対的な影響力を持つ母親に逆らいながらも逆らえ切れないジレンマ・・・そんなときに出会った一枚の絵は彼女をパリへといざない、勝利の女神のニケへ、そしてニケのいたギリシャのサモトラキ島へと導いていく・・・・そして、幼い頃の記憶から消された父親へとたどり着く。
母と娘の関係は、いろいろありますよね。
母親は反面教師であり、水先案内人でもあります。娘は愛しい小さな分身だったのですが、いつの間にか自分を追い越していくまぶしい存在でもあります。彼女を手放し、一人前の人間であると認めた時の寂しさと嬉しさはなんとも言えない気持です。
若い感性を瑞々しく演じた那須凛さんが、娘と重なります。
おかれた環境はまったく違いますが、自分の力で人生を切り開こうとする前向きな姿勢に心配と声援を客席からおくってました。
舞台の上には、愛がたくさんありました。
それぞれの愛が、とても温かくて、それでいて切なくて・・・ひとり、ひとりの生きてきた道が、抱いてきた愛が、時間を超えて、また受け継がれていくのです。
美術の修復もそんな仕事かもしれないと思いました。
そう言えば、主人公の理沙は父とわかっても「お父さん」とは呼ばなかったなぁ。もうこの世にいなくても、いつかそう呼べる日が来るといいなと・・・ちょっとしんみりしました。
若い感性とベテランの深さが素晴らしい舞台でした。
ありがとうございました。
春の花びら3回転!!
チームまん○(まんまる)
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2018/04/11 (水) ~ 2018/04/15 (日)公演終了
満足度★★★★
それぞれすべてに見ごたえがあり、特に一本目の作品は奥深さを感じさせられました。
また、思わず笑いが出てしまう品のある下ネタも最高でした。
お薦め、シモのスペシャリストです。
ネタバレBOX
・現代社会のスマホを手離せない依存症を捉えたこれからAIの目覚しい進化とともにそうなりうると想定できそうなストーリーで感心しました。
スマホ役好演:男女の別れ話を思わせるように切なく、、
しかし、下ネタを織り交ぜて訴えるひっしな姿が笑えてしまう。
誰も寝てはならぬ
feblaboプロデュース
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2018/04/12 (木) ~ 2018/04/18 (水)公演終了
満足度★★★★
短い上演時間の中に、見ごたえ十分な魅力が詰まっていました。
ネタバレBOX
実験の台本がトゥーランドットであることは、オペラを何度か観たことがあるので直ぐにわかりましたが、これが実験に使用する台本?完成までに本当に10年以上かかるな、と思いながら観ていました。
ところが、突然!
目を見張る場面が、、、
密室での事件の発生を契機として一発触発の気まずい雰囲気の中、台本に出てくる3つの難解な謎解きの切り返しで二人の女性の心理を見事に表現して見せた解釈に、戦慄と興奮を覚えました。
なぜ、こんなに難しいものを実験の教材にしたのか理解しました。
ラストシーンもよく出来ていて、素晴らしい。
最後に、
JKさん、 これ書いたのは、 あなたですね(笑)
フェイクワンダーランド
ぱすてるからっと
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2018/04/17 (火) ~ 2018/04/22 (日)公演終了
満足度★★★★
高校生の頃の葛藤や悩みなどを等身大で描いた作品。
脚本は今作が初とのことで、ばめんの時系列や描写、台詞回しなど気にならなくもないが、充分楽しめたし今後に期待がもてる。
喜多村千尋さん、井筒雄太さんの演技にそれぞれ良さ・魅力があり印象に残った。
観て良かった。
さようなら
オパンポン創造社
インディペンデントシアターOji(東京都)
2018/04/19 (木) ~ 2018/04/22 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2018/04/18 (水) 19:00
座席1階後列
価格3,500円
演劇映像配信サービス【観劇三昧】でオパンポン創造社さんを知り、東京公演されるとの事で初めての観劇となりました。
シンプルなセットの中で二分、三分されて進む疾走感あるオープニングや、場転。
閉塞感とリアル感に満ちたセリフの応酬。
それら全てをより生かし魅せる実力ある役者陣、音響照明。
関西劇団の底力を見せ付けられました。
また活動に於いて非常に積極的でアツい所にも非常に惹かれます。ちょっと騙されに行くか?くらいの気持ちで観劇の切っ掛けを掴んで頂きたいです。
普段こういう言い方は好きではないのですが、後悔はしません。保証します。
観られて本当に良かったです。
組曲~touch 2 you~
touch my brassiere? company
上野ストアハウス(東京都)
2018/04/13 (金) ~ 2018/04/15 (日)公演終了
満足度★★★★
ラストがとても感動的なドラマでした。
ネタバレBOX
あまりにもクライマックスの見せ場に拘り過ぎていたように感じました。
できたら、ストーリーの途中途中にも面白く見どころをちりばめた物語であれば、と思いました。
・レオの100の願いを叶えていく歌舞伎町での展開
・キリンと元警察官の惹かれていく姿、どのような関係に発展していくか
・キリンと母親との確執、和解までの描写
・妹とヤクザ幹部との純愛シーン
・歌が好きだったという妹(死期を悟った悲しみと想う相手へのメーセージを籠めたアリアのシーン)
などなど
さようなら
オパンポン創造社
インディペンデントシアターOji(東京都)
2018/04/19 (木) ~ 2018/04/22 (日)公演終了
満足度★★★★
日々の生活の閉塞感。ここではないどこかへの希望。とても狭くて限られた、すぐそこの世界を描いているのに何故か夢がある。愛がある。勇気がある。そして笑いがある。ああこの感じが嬉しい!今年東京でオパンポン観られるのは今だけ‼️超必見演目👀
さようなら
オパンポン創造社
インディペンデントシアターOji(東京都)
2018/04/19 (木) ~ 2018/04/22 (日)公演終了
満足度★★★★★
ハラハラドキドキ、しかもダラダラした一日一日の表現も含めて全体にスピード感があって素晴らしかったです。
ネタバレBOX
脱税して貯め込んだ社長の2千万円を盗むことを計画し実行した淡路島のネジ工場社員たちの顛末。
変化する必要があるのか、努力したこともない人間が急に変化できるはずがないなど、味わい深い格言も多くありました。
男がとことんクズであることを知ったスナックのママさんが、男と逃げたのが泣かされます。最後のオチも面白かったです。女も戻ってきて、二人で笑わせてほしいものです。
さようなら
オパンポン創造社
インディペンデントシアターOji(東京都)
2018/04/19 (木) ~ 2018/04/22 (日)公演終了
満足度★★★★★
豪華なセットも綺麗な衣装もカッコイイ殺陣も無いけど、だからこそ役者さん達の力量が全面に出ていて、お芝居に引き込まれます。照明と音楽でスピード感。最強の6人。最高の脚本。
さようなら
オパンポン創造社
インディペンデントシアターOji(東京都)
2018/04/19 (木) ~ 2018/04/22 (日)公演終了
満足度★★★★★
オパンポン創造社「さようなら」観劇。大阪で観て.その後DVDでも観ているけれど、今日もまた心を持っていかれたー。話の筋は知っていても目の前で繰り広げられる真剣勝負に釘付けに。キャッピーさんの寝ぐせのくだりの「無言のやり取り」も面白かった。
でも、ただ面白いだけじゃない、チクチク痛かったり、イライラしたり、ちょっと怖かったり、心底共感したりと、自分の中に生まれる色々感情を実感できる素敵な時間でした。
さようなら
オパンポン創造社
インディペンデントシアターOji(東京都)
2018/04/19 (木) ~ 2018/04/22 (日)公演終了
満足度★★★★★
単純に笑えるところもあるし、こんなヤツもいるな。 こんな感情も湧いてくるときもあるし、誰にでもある感情を表現してる。80分が早く感じた。各役者の表情をしっかり観れば、もっと深いものになる。
怪奇幻想歌劇「笑う吸血鬼」
怪奇幻想歌劇「笑う吸血鬼」製作委員会
こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)
2018/04/19 (木) ~ 2018/04/22 (日)公演終了
満足度★★
なんでこれを舞台に載せたかね・・・。セット中央の思わせぶりが良かったので★ひとつおまけ。私個人の好み、趣味嗜好の観点ですが。
ネタバレBOX
暴力、強姦、殺人満載で全然楽しくない。道徳とは関係なくとは言えこれが耽美と言えるんだろうか。カーテンコールで大原君が「希望とか絶望とか色々感じていただけると思います」と言ってましたが、どこに希望があったんだろう。ラストでマコトが赤ん坊の命を選んでくれたら少しは美しかったのに。
いつもはチラシとチケットをファイルに入れるのですが、今回は捨ててしまいたい。
さようなら
オパンポン創造社
インディペンデントシアターOji(東京都)
2018/04/19 (木) ~ 2018/04/22 (日)公演終了
満足度★★★★★
上演時間80分、+アフタートークで10分程度。
関西でも観て、動画配信サービスの「観劇三昧」でも観ている作品ですが、
何度観ても面白いです。
役者さんたちの細かい表情や
それによって動く劇場内の空気など、
「ナマだからこそ楽しめる」要素にみちみちているお芝居だからです。
淡路島のネジ工場を物語の舞台にしていますが、
淡路島行ったことない私にも見覚えのあるような登場人物たちだらけです。
こういう人達、いるよなぁ…と思わせるのに、
記号化されていない「人間」らしい人達なのは
脚本・野村さんの緻密な人間観察の結果と
役者さん各々の演技力のすごさなんだろうなぁと思います。
「小さな世界の、繰り返す日常」を、
退屈させないように、
そしてちょっと笑えるように描く手法など
見事でした。
最後まで観終えて、
タイトルの『さようなら』が各登場人物、そして自分の胸に落ちていく感じがしました。
ネタバレBOX
「変わろう」としている彼女と
「変わること」を嘲笑った彼とが鏡のようになる
雨の中のシーンが好きです。
あと、柴田が感情が先走って言葉にならなかったであろう部分を
別のシーンで社長が宮崎に伝えたところも
「付き合いの長さと年の功だなぁ」と
しみじみ感じ、年を重ねることを好ましく思いました。
(ここで社長があの殿村さんだからいいんだよな、とも)
「東京に出れば変われる」という思いから
行動に出た彼女を、
同じことを考えて上京して
いま東京で暮らしている地方出身者の人達は
客席でどう思っているんだろうなぁ…
そんなことも考えました。
ラストシーンの一瞬でひっくり返すところで、
「さすがオパンポン創造社作品!」と
いつも心の中で拍手してしまいます。
あの結末、大好きです。
歌姫、ネバーダイ!
ライオン・パーマ
上野ストアハウス(東京都)
2018/04/19 (木) ~ 2018/04/22 (日)公演終了
満足度★★★★★
タイムマシンものなのだが、タイムパラドクスなどの理屈を捏ねることが野暮と感じられるほど、良く人間の情緒を丁寧に描いた秀作。前作とは毛色の全く異なる作品でもこれだけ質の高い作品を創りだす劇団の実力に感嘆することしきりである。(追記第1回2018.4.22)
ネタバレBOX
作中、登場する要素は、海賊(ロマン)、人魚伝説(怪奇・幻想)、タイムマシン(夢)、社会や自然の厳しさと優しさ(存在することの厳しさとその中で協同・共同することによって作り上げられる人情などの温かさ)、夢と掟の果てに存在し続ける心。そして魂を抱えた永遠の存在、である。
リチャード三世
芸術集団れんこんきすた
アトリエファンファーレ高円寺(東京都)
2018/04/19 (木) ~ 2018/04/22 (日)公演終了
満足度★★★★★
今作、最大の特徴は、「時の娘」を埋め込んでいることだろう。(追記2018.4.27 01:32)華5つ☆
ネタバレBOX
「時の娘」と言われてピンとくる方はそう多くあるまいが、シャイクスピアが、今作を書くに当たって資料とした文献は、勝者ヘンリー7世を正当化する史家のものしたものである。つまりチューダー家のプロパガンダとして書かれた史書をベースにしているとして、これに反した解釈を述べた本のタイトルが「時の娘」なのである。
残っている歴史というのは、勝者の歴史に過ぎない、との歴史見解があるが、それを地で行った書物ということが出来よう。
脚本家の奥村氏は「時の娘」のエッセンスを要約すると同時に自分自身の批評を込めてラストの科白を創作しているが、この科白によってシェイクスピアの傑作、「リチャード3世」という大作をひっくり返してもいる。詳細は追記するが、流石というしかあるまい。
役者で気に入ったのは主宰の中川さんの、死神のようなイメージから「時の娘」に描かれたもう一人のリチャードの荘厳な佇まいに至る演技は無論のこと、リチャードの妻・アンを演じた木村さん(受け身で緊張を強いられる難しい立場を見事に演じた)、王女のエリザベス役を演じた佐瀬さんは、作品としての「時の娘」を体現してみせた。更に爽やかで聡明なエドワード王子を演じた中村さんも聡明故に己の位置を正確に知る王子の覚悟を演じて見事であった。
多くの方が指摘しているように、噛む役者さんが複数いたことは事実で、残念ではある。然し、経済的基盤のしっかりした劇団の公演や、ヨーロッパの演劇環境と日本のそれとは大いに異なる。民衆の文化に対する感覚が異なるし、人間的なレベルでアートに対する考え方の基本も大きく異なる。こんなこともあってか、役人の文化政策自体、ヨーロッパ先進国に比べてお話にならないレベルである。標準語なる言葉が恰も存在しているような文部行政の言葉感覚も全く肯んじ得ない。少なくともヨーロッパの先進国は、標準的な言葉を定める為にその国のトップクラスの国語学者がチームを作って世紀を跨いで辞書を作る。だから、語源や初出から、時代を追って変遷してゆく意味から現代使われている言語表現をどのように位置づけるか等々を延々とやり続けている。そして例えばアカデミーフランセーズのような機関が国語全般に亘って侃々諤々の議論をして正しい言葉、用法を示して基準としているのである。日本でこのような基礎作業もせずに標準語などと言っているから、僅か数十年の間に送り方などが変わって混乱を来したりするのだ。全く何をやっているのだか、国民の貴重な税金を使って、監視社会を作ろうなどと馬鹿なことをしている。おっと、話が逸れ過ぎた。
何れにせよ、人間社会の根底を為す言語に対する「国家」の態度がこの程度のものであるから、文化行政などあって無きが如きお寒い状況であるのは、芝居好きなら誰でも知っている事。こんな状況があって、小劇場演劇に携わる人々の多くが、生活の為に何らかのアルバイトをしつつ芝居をやっているという事情がある。シェイクスピアは、天才中の天才、その彼の天才ぶりは何処に発揮されているかというと、その科白によって登場人物の全体を活き活きと描いていることにある。その分、一つ一つの科白が長くなり、どうしても練習時間の少なくなりがちな小劇場出演俳優には負担が掛かる。無論、それでも噛むこと自体は避けられればそれに越したことはないし、噛むことの無いよう努力する必要がある。だが、このような状況を斟酌することも必要なのではあるまいか? 無論、脚本を書いた感受能力の高い奥村さん自身、これだけ密度の高いシャイクスピアの科白を刈り込むことには、大変な苦労をしたに違いない。感受能力が高ければ高いほど、その困難は増し当に死闘であったろう。同時にこのような脚本家は、今自分が生きている地域、時代、世界情勢についてもヴィヴィッドで高い感受性を具えてもいるものだ。そして更に優れた批評意識も。即ち今回脚本化としての原作を刈り込む作業は、感受性と批評意識との壮絶な戦いであったと考えられる。この作業が、高い精度で為されたが故に、ラスト部分で、この傑作を全く古びさせず、而も現代における差別史への視座、力関係やプロパガンダによって歪み得る我らの認識とこの事に対する批判及び反批判を通じての客体化、フェイクとファクト、それらを見極める知恵としての総てのメディアに対するリテラシー、これら諸問題に対するにあたり己の立ち位置と批評眼を如何にバイアスから解放し、メディアリテラシーを根拠づけ、世界に解放してゆくかに賭けたハズである。お疲れ様。一言ねぎらいたい。
R老人の終末の御予定
ポップンマッシュルームチキン野郎
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2018/04/18 (水) ~ 2018/04/23 (月)公演終了
満足度★★★★★
人間が滅びた後、ロボットは人間に限りなく近づいていくのか。
“ロボットのアダムとイブ”となったカップルのいきさつが秀逸。
それにしても被り物もここまで来れば怖いものなし。
私が好きなのはブレーカーです。
ネタバレBOX
冒頭から同じ衣装の老人二人が登場。
死期が近い天才科学者辰郎(加藤慎吾)と、彼が作ったロボットメカ辰郎(NPO法人)である。
残される妻八重子(小岩崎小恵)を思ってのことだった。
そしてメカ辰郎は、順調にその役目を果たして行く。
辰郎と八重子の時代からおよそ千年後、地球はロボットと家電の世界になっている。
ヨドバシファミリーのエレキギター・グレコ(野口オリジナル)と
ビックファミリーのポット・ハミー(平山空)は、
まさにロミオとジュリエットのような恋人同士だが、両家の争いはついに全面戦争に突入。
二人の恋の逃避行のさなか、グレコは古いチップを見つけ装着してみる。
それは千年前、最初のロボットを創った人間の記憶が読み込まれたチップだった。
両家の戦争は、そしてグレコは傷ついたハミーを救うことが出来るのか…。
相変わらずバカバカしい被り物軍団が、キラリと光る真実をついている素晴らしさ。
それにしても良く出来た衣装(?)だなあ、ポットとか洗濯機とかダイソンとか。
衣装が大きく特殊なので、誰も落とした小物を屈んで拾うことができず、
とうとう「えーい!」と足で袖へ蹴り込んでしまうのは、演出かなのかアクシデントなのか(笑)
当日パンフで配役を見ないと誰が演じているのかわからないほど顔を塗っているが
エレキのグレコ役・野口オリジナルさんが、いつもの華奢なイメージを覆す骨太な存在感。
声も力強く新たな一面を見せつけて強烈な印象を残す。
相変わらず達者な老けぶりを見せるNPO法人さん、
楽しんで演じている余裕が伝わって来る高橋ゆきさん、
共に安定感があり、安心して観ていられる。
荒唐無稽な設定と見た目の可笑しさの中に鋭く問いかけて来るのは
「ロボットの進化とは、限りなく人間に近づくことなのか?」という疑問だ。
限りなく人間に近づくことは共存を困難にすることを意味し、
その結果人間はロボットに滅ぼされてしまったのだ。
ロボットは互いを攻撃しないという設定を超えて、
メカ辰郎は古くなって故障した妻、ロボット八重子の電源を引き抜く。
そして新婚旅行で行った熱海の海岸で、自らの電源をも引き抜いて息絶える。
安楽死や自殺という本来設定に無い行為に及んだ時点で、
ロボットは限りなく人間に近づき、もはやロボットではなくなっている。
こういう場面では横尾下下さんの何気ない台詞が、実に深い意味を持つ。
ロボットにも死後の世界があり、夫婦は又会える、と告げる場面がいい。
最古のロボットリオ(加藤慎吾)の孤独な最期も忘れられない。
吹原幸太さんは、いくつもの層を掘り当てながら観る楽しみを与えてくれる。
それはそのまま作者の洞察の深さと、鋭い観察眼を表している。
ホント、人は見かけによらないなあといつも拍手しながら思う。
吹原さん、ありがとう。
「ハムレットマシーン」フェスティバル
die pratze
d-倉庫(東京都)
2018/04/04 (水) ~ 2018/04/22 (日)公演終了
満足度★★★★
同じ原作とは思えないくらい各団体で違う。訳が分からないものに対していつも通りを貫くことでそれぞれの個性が出ていた。フェスティバルとしてはいいテーマだ。もっともあっていたのは風蝕異人街、最も似合わなかったのが初期型。
リチャード三世
芸術集団れんこんきすた
アトリエファンファーレ高円寺(東京都)
2018/04/19 (木) ~ 2018/04/22 (日)公演終了
満足度★★★★
書きたいことはほとんど GREAT CHIBA さんが書いてくださいました。追記も同感です(微笑)
舞台の形式も物語の展開法も素晴らしく、俳優さんの演技もダイナミックで星5つです。その一方で20日14:00の公演でもセリフの噛みは伝染病のように連鎖します。これでは星1つ減点です。長ゼリフ頻発の休憩なし2時間半だということは分かりますが…。
昨年、東京芸術劇場で行われたシルヴィウ・プルカレーテ(演出)、佐々木蔵之介(主演)の「リチャード三世」はとにかく場面毎のビジュアルが命でした。上級者が対象だったのでしょう、私には断片的なストーリーの視覚イメージ以外何も残りませんでした。今回の舞台のおかげでようやく物語の全貌のイメージが取得できました。対面の登場人物控え場所と(ここには分不相応なほど)豪華な衣装の力が大きいと思います。
*座席はいくら何でも詰めすぎでしょう(怒)
ネタバレBOX
原作では殺し屋はよくしゃべる二人組で、プルカレーテ版ではビジュアル的にもかなり重要な役割を負っていましたが、この公演では殺し屋に別の設定を置いています。今回の演出との整合性を考えると原作の設定は捨てざるを得ず、この解は確かにありだと少しだけ演出の意図が分かった気がしました。