最新の観てきた!クチコミ一覧

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少女仮面

少女仮面

オフィス3〇〇

ザ・スズナリ(東京都)

2025/06/11 (水) ~ 2025/06/22 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

(笑えた度)3(今感)3(完成度)5

唐十郎追悼公演。 

小劇場の聖地スズナリで、ワーグナーあたりを始祖とする総合芸術の完成形と邂逅。これ以上の幸せはない。

ネタバレBOX

チェロが印象的な生演奏は、三味線、アコギ 、アコーディオン、ヴァイオリンとのコラボ。タップダンスにフレンチカンカン、生粋のエンターテイナー川村さんの歌も見事。喫茶肉体のモダンでリアルな舞台美術、雨の表現が抒情的なライティング、扇風機に舞う花吹雪、オーセンティックな軍服に清楚なドレス。悠久の時を超えて変わらず流れるロシア民謡の調べ。あれこれの舞台芸術の果実をスズナリの桟敷、かぶりつきで観られる贅沢といったら、、、

今に続くその後の小劇場演劇の原点ともいえる唐の思想は胎内回帰して、また、幾度も誕生する。

唐の本の中に女性版ハムレットを見いだした渡辺が若き日から追い求めてきた女性が躍動する舞台。ご本人の身体を張った大芝居も、歌も、あと説も、見事すぎて感無量だ。
社会性も性差もない、あるのは肉体だけ。唐の芸術論では肉体が舞台芸術の頂点だ。がしかし、その肉体こそ、実在が危うい。
偽りだらけの無名の人生。ほんの少しの実在の実感は愛の記憶なのか、むしろ愛そのものが実在なのか、それさえも幻か。全ては演劇のように消え去るのか、そもそもこの芝居は上演されていたのか。演劇をアウフヘーベンして無に至る。東洋の美学。

噴火と噴火の短い間、戦争と戦争の短い間に我々は生きている。奇跡的な平和のうちに生を受け、一念発起して一芝居打つ。芝居が終わったら、客出しして、セットをバラして、思い出を携えて小屋をあとにする。

「人生は歩く影、哀れな役者にすぎない。しばらくの間、舞台の上で、見栄を張り、怒り狂って、あとは消えてしまう。」(ウィリアム・シェイクスピア)
湿ったインテリア

湿ったインテリア

ウンゲツィーファ

早稲田小劇場どらま館(東京都)

2025/05/19 (月) ~ 2025/05/27 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

ハートフル「昼メロ的ネオ愛憎劇」の先にある寄り添いの形

ネタバレBOX

誰の子かわからない1人の赤ん坊をめぐる、3人の母親と2人の父親の物語。赤ん坊を模したスピーカーは、その物体感と無機物な重量をもって、物語の重心を揺さぶっていく。ミステリーあり、コメディあり、家族愛あり、スリラーもあり、ホラーありの自由自在な脚本構成は圧巻。ノンジャンルを漂うこの質感はウンゲツィーファならではの持ち味。

最初は「赤ん坊は誰の子か」に焦点が当たっていたはずが、過保護な親に苦悩する男と、次男としての生き方を迫られる男の、実存の辛さ・耐えがたさの問題へと霧散するようにシフト。台詞を多重に解釈できるよう丁寧に手渡す俳優らの演技により、彼らの過去の物語が急に鮮やかに立ち上がってくる。どこまでも家族の話であるので、自分の親との関係に思いを馳せたり、友人に聞いた話を思い出したりと、観客ひとりひとりに立ち現れる情景があっただろう。それを客席に座り左右に感じながら共有できるという、孤独を慰めてくれる演劇特有の一体感が確かにあった。

演劇の見立てが多用され、ときにそれを逆手に取ってメタ演劇的に笑いを取りに行くシーンがあり(「あれは破天荒な夢だった」と振り返るところなど)、ふふふとこっそり笑えるラインに確実に乗せてくる脚本の巧みさが際立つ。これを成立させる俳優の演技の抜け感、場に揺蕩い続ける胆力がすごい。
舞台美術ならびに照明音響のスタッフワークも素晴らしかった。劇場に入る前のアプローチ部分から世界観を作り込み、空間を大きく使うと同時に細部にはこの後の展開に温かく違和を残す美術、子守歌の場面で浮かぶ星やハートのモチーフ、ここぞで一回だけ使う完全暗転、スピーカーの細やかな音量調整の妙など、各所スタッフワークの連携の光る公演であった。

(以下、ゆるいつぶやき)
「昼メロ的ネオ愛憎劇」とフライヤーにありドキドキしていたのですが、私の知っている昼ドラより、ちゃんとみんな誠実に相手に向き合って生きていて、いい人が多く、愛があってよかったと思いました。中学生当時、ちょうど大流行していた『牡丹と薔薇』(東海テレビ制作)を学校が休みの日に観て「みんな欲望に正直で怖すぎ!!」となり両親を信用できなくなったことがあります(多感な頃って何でも自分の家族に結び付けて疑心暗鬼になるってことありますよね)。そんな思い出もふいに過りました。観劇体験として興味深かったです。
ドウトク

ドウトク

!ll nut up fam

studio ZAP!(東京都)

2025/06/12 (木) ~ 2025/06/22 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2025/06/17 (火) 15:30

好き嫌いは分かれるかもしれない。
エンタメ要素なしでやり切っているのはなかなか勇気があるし(多分エンタメ要素できなくない団体に思えるのに)仕上がりもなかなかの物

ネタバレBOX

ネタバラシ前が特に長く感じられ。全体的に長い印象1時間では流石に短いかもですがもう10分20分は削るべきに感じた
役名がわからないので役者さんでいうと椎名亜音さんの役の異質さが中途半端で同じ囚人にした意味がよくわからない。別に研究者として入れば良いと。せっかく舞台上何もないのにリアル牢屋内設定にこだわりすぎな動きになっていてちょっと残念。もっと色々演出的にできそうな気がする。
牧神の星

牧神の星

劇団UZ

アトリエhaco(愛媛県)

2025/05/10 (土) ~ 2025/05/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

近戦争状態の現代を緊密に繋ぐ、虚実入り混じる戦争劇

ネタバレBOX

アトリエhacoのこけら落とし公演として行われた本作は、虚実入り混じる戦争劇。戦後、敗戦を認められない陸軍将校たちが国体護持を全国に伝えるため、反乱軍となって通信施設に押し入る。通信施設で交換手、通信技師として働いていた彼女たちは反乱に巻き込まれていく。という大筋の中に、本作を戸惑いながら稽古を重ね作っていく劇団員の悲喜交々のエピソードが劇中劇として挿入される。

このような虚実の混ぜ方は作劇法として確立しているが、劇団内の内輪ノリに終始してしまい見づらいことも多い。劇団UZも現実部分のテンポ感にもう少し緩急があるといいと思ったが、虚実の混ぜ方が多様かつ滑らかで、第二次世界大戦、現代に今まさに起きている戦争、また仮想空間内での近戦争状態(SNS内でのレイシズム、ナチュラルに日常に入り込んでくる優生思想、過激で過剰なインフルエンサー)の往還がとても緊密に描かれていた。愛媛の丘の上での上演を鑑賞するという私にとっての非日常相まって、終演後に眩しい日が差し込む様子に「みな、今を選んで生きていくのだ」とはっとさせられた。

正確に思い出せず恐縮なのだが、「自分がどうでもいいと思ってる時間の使い方が、まさに今の自分を形作っていく」という趣旨の台詞が印象的だった。忙しなく生活していると、ちょっとした休みについだらだらと動画やSNSを見てしまうことがあるが、そうした時間が知らぬ間に戦争の片棒を担ぐことがある。劇場はそんな自分を離れて、どうでもよくない時間を意識的に過ごす場であり、それを改めて思い直す鑑賞後感だった。

劇場前の(野外)ロビーにコーヒーやカレーを提供するキッチンカーが招かれ、開演前・開園後にのんびり過ごす来場者の姿を見て、こんなふうに身体を他者に開いて時間を共有するのが劇場の役割だったのだ、と改めて思い、にんまり嬉しい気持ちになった。

(以下、ゆるいつぶやき)
東京の小劇場だと、劇団主宰がプロデューサー(助成金獲得とキャスティング)と演出(だけではなく作劇責任)のすべてを兼ねている場合が多く、力が一点集中しやすいために、人間関係が難しかったり主宰を長期に渡り続けていくのに疲弊したりするのだが、『牧神の星』では主宰を思い切りなじる俳優の描写がクリアに描かれており、地方で活動する劇団はその意味では力の分散が上手く、いい意味で持ちつ持たれつなのだと、虚構入り混じる演目を見ながら思いました。その張り巡らされた個々の人間関係への眼差しが今回の演目を下支えをしているように感じました。責任がうまく分散していて、体力のある劇団っていいなあ。
夢ならなおさら覚めてくれ

夢ならなおさら覚めてくれ

中央大学第二演劇研究会

高田馬場ラビネスト(東京都)

2025/06/13 (金) ~ 2025/06/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

テーマに沿ってとても分かり易くお話しが展開されていて素晴らしかったです。辛いシーンも有りましたが考えさせられるきっかけになりました。

産声が聴こえない。

産声が聴こえない。

“STRAYDOG”

サンモールスタジオ(東京都)

2025/06/11 (水) ~ 2025/06/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

とても考えさせられるお芝居でした。期待通りでした。

少女仮面

少女仮面

オフィス3〇〇

ザ・スズナリ(東京都)

2025/06/11 (水) ~ 2025/06/22 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

唐十郎戯曲、殊に「少女仮面」は作り手により大きく変容する作品と再認識。スズナリはつくづく良い劇場だと思う。先日たまたま渡辺女史の出演したラジオ番組を聴いたらワイワイと賑やかしく音だけ聴いても密度が凄い。毎度の台詞「今回ももちろん赤字なんだけど」その最大要因は俳優の出演料だろうと踏んでいた所、今回のスズナリ公演、これでもかと趣向を詰め込んでいる。全部に金が掛かってる(掛けちゃう)んだろうこの人は..。今回も生演奏を入れ、演者と演奏者の区別もほぼ無しの混成(混沌?)舞台で(唯一演奏のみに専念したチェリストの女性も登場から終始歪んだ表情で物語世界にコミットしていた)。
過去観た少女仮面で思い出せるのは梁山泊(最晩年の李麗仙が登場)、人形劇、唐ゼミとそれぞれ優れた舞台化だったものの、今回こんなクライマックスあったか?と訝るやり取りに驚いた。改稿?それとも別バージョンがあったとか?等と。。
宝塚俳優春日野(同戯曲に登場させている実在した2名の人物の一人)は、後半唐作品にしばしば登場する突然詩情に煽られ語り出す人の一人として自分語りを語るのだが、それを聞く少女役が毅然と立ち立場逆転の様相を見せる時、芝居に限らず私たちがある種の義侠心や使命感に駆られてそうするあの透明な精神が、少女の中に立ち上がり、人生の孤独を激白する春日野との絶妙な関係の糸がすうっと浮かび上がって見える。このくだりは見事な普遍性を獲得しており、渡辺えりがこの演目を上演したかった所以であるかな、、判らないが、圧倒され通しの1時間45分であった。老若男女、若干女性多めの観客層であったが、退出渋滞に並ぶ高揚した顔顔の中にとめどなく涙を流す女性の姿が一人ならず。

代わって広報すれば...プレイガイドでは指定席完売だが、仕込み後二十席余裕が出たので今からチケットお求めの向きは劇団に連絡を、との事である。

昭和から騒ぎ

昭和から騒ぎ

シス・カンパニー

世田谷パブリックシアター(東京都)

2025/05/25 (日) ~ 2025/06/16 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

面白かった!!原作の方は見たことがありませんが、だいたい想像できました。しかし、大学の先生ならお嬢さんが旅芸人と結婚しても認めてくれそうですが、王侯貴族だとどうなんでしょう?それとも原作では商家の娘さんあたりなのでしょうか。原作版も見てみたくなりました。
昭和の映画のような話し方も笑えました。
好きな人の声くらい聞き分けてよね!と思ったのは私だけ?
シェイクスピアの舞台ではこう言う間違い、勘違いみたいなのが多い気がします。
まあ、当時は夜は本当に暗かったろうから仕方ないのかなと思ったりしますが。

朗読劇「ふれる、文豪」

朗読劇「ふれる、文豪」

水中散歩

ホワイエ江古田(東京都)

2025/06/13 (金) ~ 2025/06/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

本団体さんのこのシリーズ、可能な限り拝見しています。以前にリクエストした夏目漱石も演目にしてくれて良かったです。いつもながら、朗読劇にはとどまらない、動きもあるし、目を閉じると情景が浮かぶような素晴らしいお芝居でとてもよい時間を過ごせました。機会を得てまた、拝見できればと思います。

僕は肉が食べたくて裸(ラ)

僕は肉が食べたくて裸(ラ)

南京豆NAMENAME

新宿シアタートップス(東京都)

2025/05/28 (水) ~ 2025/06/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2025/05/30 (金) 14:00

とある男女の少年期から末路(?)までを描いた2時間余。
時制がしばしば前後したり中心人物を演ずる役者が描かれる時期によって違ったりして戸惑いもあるがそういう表現方法も含めて面白い。
いわゆる「無軌道な」「若者の生態」が活写されているというか、「身近にはいないがそういう若者もいるかも?」と思わせる「妙な説得力」がある、みたいな?(笑)
なお、漠然とアーサー・ペン監督「俺たちに明日はない(1967年)」を連想……って実は未見なのだけれど……(爆)

昭和島ウォーカー

昭和島ウォーカー

パルコ・プロデュース

東京グローブ座(東京都)

2008/11/02 (日) ~ 2008/11/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

ヨーロッパ企画25周年記念興業で、イノッチがサプライズ登場したことから、本作の存在を知り、気になったためにDVDを購入し、鑑賞。

ロボットが日常生活に溶け込み始めた近未来。
その製造の下請けを担当する田舎の町工場に、亡き工場長の一人息子が帰ってきた。
ある失敗から大きな危機に陥った工場を立て直すため、作業員たちはある作戦を実行する。

全編を通して面白いかというと、まずまずというのが本音だが、クライマックスでそれを上回る感動と興奮があるため、鑑賞後の満足度は高かった。

クライマックスで「実は工場のメンバーにはこんな秘密が……」なサプライズがあったり、ラストに舞台装置が登場したりと、脚本はいかにも「ヨーロッパ企画」の上田誠さんという感じ。

"あるもの"を自立させ、みんなで操縦するラストシーンは素晴らしく、メンバー全員が揺れにあわせて動く"集団行動"は、まさに「見えないものを見せる」演劇の真髄でグッとくるものがあった。

また、この演出や前述のサプライズ展開などは、上田さんの(現時点における)新作『リプリー、あいにくの宇宙へ』にも通ずる要素で、そこにこそ、作家性があるのだなと感じた。

また、DVDでは特典映像の内容が濃かったのも嬉しかった。

舞台裏メイキングでは、ラスク工場を営む上田誠さんの父が楽屋挨拶にやってくる様子が映されているのだが、「工場のことに感心なかった子がなぁ」と泣きながら喜んでいる姿に感動した。

また、公演の様子を見ながら、次回作の構想を練る上田さんに、出演者である京野さんがお姫様役を要望するエピソードも印象的。

「それなら、全く身支度が整わないマリオ(イノッチ)との舞台をやるのはどうか」と上田さんが提案するのだが、のちに彼が映画マリオの吹替監修を務めることを思うと感慨深いものがあった。

また、上田さんと同じくヨーロッパ企画の劇団員である角田貴志さんは『映画 すみっコぐらし ツギハギ工場のふしぎなコ』を手掛けることになるが、そこはかとなく、設定に近いものを感じた。

ジャズ大名【愛知公演中止】

ジャズ大名【愛知公演中止】

KAAT神奈川芸術劇場

神戸文化ホール(兵庫県)

2024/01/07 (日) ~ 2024/01/08 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

かつての職場の知人が出演しており、当時の同僚である演劇友達と鑑賞。

ジャズの魅力にとりつかれた江戸の人々。
彼らはその熱狂から次第に踊り狂い、ついには……。

正直、物語にはかったるいところも感じたし、話運びもスゴい惹き付けられるわけではないのだが、異常なクライマックスで、そんなものは全部吹っ飛んだ。

周囲でとんでもない事態が起こっていても気づかず、狂ったように踊り狂う人々の姿は、まさしく筒井康隆作品の真髄で、滑稽かつ恐ろしい。

まさに、演劇史に残る狂気の傑作という他ない。

間違いなく、生演奏と共に浴びるべき作品だったし、20分に渡る終盤の力強いジャズセッションは、配信では成し得ない体験だった。

また、主演の藤井隆さんが鑑賞前のイメージ通り、最高なのは言わずもがな、ゆるふわ殿様な千葉雄大さん、物語の語り手となる富田望生さんが「富田劇場」とも言える大活躍で、役者陣の魅力が大いに発揮された奇作だった。

ジャングル・ジャンクション

ジャングル・ジャンクション

エクステ

新開地アートひろば(兵庫県)

2025/02/23 (日) ~ 2025/02/24 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2025/02/24 (月)

友人が出演しており、共通の知り合いでもある妻と共に観劇。

ラブストーリーに刑事もの、SFヒーローの物語が交錯?!
物語の展開をかき乱された主人公たちのドタバタ劇が始まる。

舞台装置・セットがほぼなしの演劇を久しぶりに観たので、自分の想像力がかなり試される時間になった。

とはいえ、"そこにないもの"を確かに存在させる演者の力量、濃すぎる登場人物がひしめき合うキャラ合戦としての面白さには圧倒させられた。

本音を言えば、バカでか声量の演技に慣れておらず、個人的にかなり体力を消耗したし、混沌としたストーリーテリングにも集中力が途切れそうにもなったが、クライマックスで鳥肌。

作者という存在が浮き上がり、メタ的に"物語の登場人物"を肯定する物語には心を掴まれた。

また、そのメッセージは、劇団"エクステ"が高校生の演劇WS「High School Project(通称:ゴーハイ)」を出発点に、そのOBで結成されたという経緯にもきちんと結びついて良かった。

まさしく、作者=大塚雅史(劇団エクステ主宰)、登場人物=出演者(エクステ劇団員)という構図が成り立っており、ここにグッとくるものがあった。

原作の『ウォルター・ミティにさよなら』(作:高橋いさを)、その戯曲化『ジャングル・ジャンクション』(作:成井 豊+真柴あずき)の素晴らしさもあるのだとは思うが、劇団が6年振りの作品として本作を選んだこと、そして、上記のメッセージを実直に語っていることに大きな意義があり、そういう意味で、"劇団エクステ"にしか出来ない作品になっていたのが良かった。

K-POPが多用され過ぎ(しかもキャッチーな楽曲が繰り返される)、バカでか声量による圧迫感など、自分が演劇初心者なだけに受け入れづらい要素も多かったのだが、それを持ってしても余りある感動に満ちた観劇体験だった。

走れ☆星の王子メロス

走れ☆星の王子メロス

新開地アートひろば

新開地アートひろば(兵庫県)

2024/06/21 (金) ~ 2024/06/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

かつての職場で働いている友人の誘いを受け、同じく当時の職場で出会った妻と観劇。

名作『星の王子様』と『走れメロス』が合体?!子供でも楽しめるエンターテイメントを発表する団体"to R mansion"が送る摩訶不思議なファンタジー演劇。

正直、原作は『走れメロス』を学生時代の授業で読んだぐらいの記憶なので、両作の翻案としての完成度は良くわからなかったが、それでも十二分に楽しめた。

また、演劇でありながら、むしろサーカスに近いエンターテイメントとしての面白さを特化した作劇は唯一無二で、個人的には強い衝撃を受けた。

基本的には児童ファンタジーや童話的な物語が描れるのだが、クライマックスでおじさん(植本純米さん)が歌唱するパートで不覚にも号泣。

約40年にわたり、演劇と共に人生を歩んできた役者本人が「なぜ、それでも走り続けるのか」と歌う場面には、フィクションを越えたリアルが重なるほどの哀愁があり、とてつもない声量と音圧にも心を動かされ、号泣してしまった。

自分にとっては、演劇の新たな可能性を強く感じられる貴重な観劇体験になった。

切り裂かないけど攫いはするジャック

切り裂かないけど攫いはするジャック

ヨーロッパ企画

梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ(大阪府)

2023/10/20 (金) ~ 2023/10/22 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

演劇好きの友人に誘われ、観劇。

19世紀末のロンドン。
探偵が「切り裂かないけど攫いはするジャック」の正体を探る異色ミステリーは、誰もが予想外のクライマックスへ……!?

ヨーロッパ企画でも、特に推しの永野さん&藤谷さんがメインで、自分ために作られたような作品だった。

物語の語り手を変えたり、話運びが停滞しそうなタイミングで大事件が起きたりと、工夫を凝らした構成で、気づけば終わっていた。

なんといっても、攫いはするジャックとは誰なのか?という謎が明かされる中盤の"ある瞬間"における劇場のどよめき具合が忘れられない。

舞台全体が見渡せる観客ならではの気付き、事件の目撃者になったような衝撃と後ろめたさ、それでいて、滑稽さ(とほんのり怖さ)を感じさせる"あの瞬間"にこそ、"演劇"ならではの面白さがあったように思う。

クライマックスに登場する大がかりな舞台装置のバカバカしさも含め、上田誠脚本の秀逸さを堪能した。

中世ヨーロッパを舞台にしたミステリーコメディという異色設定を見事に我が物としたヨーロッパ企画には拍手喝采で、劇団の私的ベスト演劇といっても過言ではない傑作だった。

ネタバレBOX

オープニングにおける主人公の自分語りを、他の登場人物でも繰り返す"反復"演出がシンプルながらも楽しい。
きっと、私UFOを見た。

きっと、私UFOを見た。

ヨーロッパ企画

京都四條南座(京都府)

2023/11/21 (火) ~ 2023/11/21 (火)公演終了

映像鑑賞

満足度★★★★

ここ数年で見事にヨーロッパ企画のファンになり、その流れで本劇も配信にて鑑賞。

ヨーロッパ企画の25周年を記念したアニバーサリー作品。本人役を演じる劇団員たちが、タイムマシンに乗って、これまでのヨーロッパ企画の軌跡を振り返りつつ、日の目を見なかった"幻の台本"の数々を上演。そして、記念すべき劇団第一作「ところで、君はUFOを見たか」を経て、最新作「きっと、私UFOを見た。」が披露される。

割と劇団ファンとしては新参だが、それでも、過去作を包括するようなタイムスリップ演劇に大満足。

というか、なんなら、ヨーロッパ企画版『アベンジャーズ/エンドゲーム』みたいなことをやっていて、本当にこれは観て良かった。

そういう点からも劇団初心者には勧められないが、ヨーロッパ企画ファンにとっては文句のつけようのないスペシャルな舞台だった。

例えるのであれば、結婚式のおめでとうムービーや在校生が卒業生に送るお祝い映像に近い愛おしさと遊び心があったと言えるのかもしれない。

さらに、『夜は短し歩けよ乙女』の中村壱太郎さんがゲストとして登場したり、直近のヨーロッパ企画による傑作『切り裂かないが攫いはするジャック』のセルフパロディがあったり、松居大悟監督と上田誠監督の思わぬ過去についての再現エピソードがあったりと、個人的には、めちゃめちゃテンションが上がる要素が多数。

ヨーロッパ企画メンバーが本人を演じるメタ構造が最高なのはもちろん、思わぬ形で怒涛の伏線回収が行われるクライマックスには興奮した。

なんらかの形で、また映像として見たい気持ちはありつつも、それがないことにこそ、大きな価値がある気もする大傑作だった。

ネタバレBOX

取りこぼされた無数の作品群が再演され、それらが最後の作品に文字通り"繋がっていく"演出は、伏線回収の匠"上田誠"さんの真骨頂だと思った。
神州無頼街

神州無頼街

劇団☆新感線

オリックス劇場(大阪府)

2022/03/17 (木) ~ 2022/03/29 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

友人に誘われて、劇団☆新幹線の作品を初観劇。

舞台は幕末。
恐ろしい権力者を倒すために立ち上がった町医者とその相棒。
二人の男が繰り広げるアツイ冒険譚。

前日、寝不足だったため、中盤辺りで眠くなってしまったけれど面白かった。

なによりも宮野真守が良すぎる。

アニメキャラのようなコミカルな動きと美声に顔芸。

冗談抜きで日本のジム・キャリー(それも映画『マスク』時代の)を見た。

友人曰く、『髑髏城の七人』のストーリーを発展させたような展開だったとのことで、改めて、そちらも鑑賞したいと思った。

ネタバレBOX

登場人物たちがバタバタと退場していく、クライマックスには辛いものがあったが、希望のあるラストには救われた。
夜は短し歩けよ乙女

夜は短し歩けよ乙女

「夜は短し歩けよ乙女」製作委員会

COOL JAPAN PARK OSAKA・WWホール(大阪府)

2021/06/26 (土) ~ 2021/06/27 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

大学時代、演劇に取り組み、原作&主演・久保史緒里さんのファンでもあった友人と共に観劇。

舞台は京都。
冴えない男子大学生が、憧れの女性"黒髪の乙女"に好意を抱いたことから、摩訶不思議な出来事を体験していく恋愛ファンタジー。

アニメ映画版があまりにもカオスな出来だったため、物語へのハードルはかなり下がっていたのだが、「こんなに面白い話だったのか?!」と驚くぐらいに素晴らしい演劇だった。

プロジェクションマッピングを駆使したOPにおける主人公のモノローグに始まり、ヒロイン・久保史緒里さんのポエトリー・ラップ、豪華な舞台装置に、生き生きとした登場人物たち(出演者のプロフィールを活かしたファンサービス的演出もあり)が繰り広げるコミカルな物語。

上田誠さんの演出が見事に作品世界と結びつき、奇跡的な化学反応が起こっていた。

本作をきっかけに、上田誠さんが手掛ける演劇作品にハマっていったというのもあり、個人的にも大きな意味を持つ作品になった。

特に印象的だったのはクライマックスの展開。

風邪が蔓延した世界でヒロインを助けようと奮闘する主人公の姿に、コロナ禍真っ只中の観劇当時、どれだけ強く胸を打たれたか。

思いもしない形で原作の物語に新たな価値が付与された本作は、まさしく「演劇」にしかできない作品となり、配信ではなく、リアルタイムで体験することが出来て、本当に本当に良かったと思う。

ちなみに、その点では、主人公でも、ヒロインでもなく、竹中直人さんに一番泣かされたのも忘れ難い思い出。

『裏ゾッキ』というドキュメンタリー映画では、本作出演の竹中直人さんが、コロナ禍により、自身の監督作が不遇の扱いを受け、苦悶する姿が映し出されていた。

それを踏まえて観劇したのもあり、コロナ禍が明けていない当時のご時世で、本公演が開催できたこと、その尊さを噛み締めざるを得ないカーテンコールで、スタンディングオベーションの会場の中、涙を滲ませる竹中直人さんにもらい泣きした。

たぶんこれ銀河鉄道の夜

たぶんこれ銀河鉄道の夜

ニッポン放送

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2023/03/17 (金) ~ 2023/04/02 (日)公演終了

映像鑑賞

満足度★★★★

上田誠作品のファンだったため、配信にて鑑賞。

憂鬱な社会生活に嫌気が差した女性。
彼女が辿り着いたのは、不思議な乗り物"銀河鉄道"だった。
そこで疎遠になった女友達と再会する彼女だったが、乗り合わせた人々と共にデスゲームに巻き込まれ……。

銀河鉄道でデスゲーム、しかも、ネプリーグみたいなやつまでやらされるというトリッキーな展開な笑い転げながらも、シリアスなクライマックス、切ないラストの畳み掛けに、気づいた時には落涙していた。

ちょうど、『銀河鉄道の父』を鑑賞した後のタイミングというのもあり、その精神性を引き継いだであろう内容に感銘を受け、原作、ひいては宮沢賢治さんに強い興味を持った。

総じて、コメディではあるのだが、ラストで切ない友情物語へと反転する様が凄まじく、これまで観た上田誠作品の中でも異色の構成で、今もなお、その衝撃は強い。

一方で、この点からは、コメディ色や娯楽性を追求する上田さんが、名作の脚色においては、あくまで「原作の精神性」を第一と考える思想が垣間見える作品でもあった。

鴨川ホルモー、ワンスモア

鴨川ホルモー、ワンスモア

ニッポン放送

サンケイホールブリーゼ(大阪府)

2024/05/03 (金) ~ 2024/05/04 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

上田誠作品を一緒に行くのが恒例になった演劇好きの友人と観劇。

"ホルモー"なる謎の競技を行うサークルに参加することになった男子大学生。
そこでは京都を代表する大学が各々の看板を背負い、しのぎを削るアツい勢力争いが繰り広げられていた。
本気で珍妙な競技に取り組む彼らの姿を甘酸っぱい恋模様も交えて描く、青春恋愛ファンタジー。

過去に映画版を観たうえで観劇したが、『夜は短し歩けよ乙女』初見時と同じく、「この話こんなに面白かったっけ?!」となった(観劇後にも映画を改めて観て楽しんだが、やはり演劇版はそれを上回る面白さ)。

原作のみならず、その関連作品の要素も取り込んだという本作ゆえに、内容は盛り沢山で満足度は高い。

ホルモーという競技に興じる学生の物語を映画版とは異なり、群像劇として描いているのも紛れもなく、本作の勝因。

異なる語り口により、次第に物語の全容が明かされていく構成が素晴らしく、同じ場面を繰り返す冒頭とラストで印象が全く異なるという鑑賞体験にも、それが凝縮されていた。

また、青春ラブストーリーとしての面白さも大きな魅力。

とりわけ、ツン"ユル"なサークル員・楠木ふみ(演:清宮レイ)が告白をする場面が最高すぎて、観客席からも純粋にドキドキしてしまった。

あの場面とラストシーン、そして、モニターを活用したホルモーたちの大乱闘だけでも、鑑賞代の数倍の価値はある作品だった。

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