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六道追分(ろくどうおいわけ)~第三期~

六道追分(ろくどうおいわけ)~第三期~

片肌☆倶利伽羅紋紋一座「ざ☆くりもん」

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2025/05/14 (水) ~ 2025/05/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

最高!素晴らしかったです。これまでざくりもんの舞台は何度か観ていますが今回のものが一番いいかも… まさにショーですね。噂通り、このクオリティのものが違うメンバーで観られるのならリピート観劇ありですね。ほんと素晴らしいものを観させていただきました。感謝、感謝ですm(_ _)m

六道追分(ろくどうおいわけ)~第三期~

六道追分(ろくどうおいわけ)~第三期~

片肌☆倶利伽羅紋紋一座「ざ☆くりもん」

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2025/05/14 (水) ~ 2025/05/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 第三期「龍」の初日を拝見。

ネタバレBOX

 2回目の観劇、「龍」を拝見。前回は5月1日19時開演の「剣」を拝見したが大きな違いは前回、メインのダンサーは二人とも女性であったのに対し、今回は男性、女性各々一人づつ。色違いの傘を用いたダンスは、センスの良さ、照明の上手さでひときわ艶やかであった。
 また終盤、磔のシーンでは1日に拝見した「剣」とは全く異なる演出で、効果に大きな差が出たのはお菊の動きに関してであった。前回は、お菊が抜け穴を通って刑場へ行き当に槍が貫く瞬間を見事に具現化していたが、今回は一度暗転後、明転してそのシーンが一葉の写真の如く提示された分、インパクトが極めて弱くなってしまった。女優さんの体調等色々事情はあるのであろうが、できれば「剣」で魅せてくれたような演技が見たかった。
 無論、鬼薊一党の子分衆、正義感が強すぎて黒幕を明らかにした時、それが幕府高位の者であった為憂き目を見た、父が岡っ引きであった灸次郎の潔さ、また与力の部下である九次に何度も刺されながら傷だらけの自身と共に荒れ狂う大井川に水没させた伊助は、三吉が医者になる為に不利な証拠を消し去ったが、この執念見事である。
 清吉、お菊の恋等に関しては「剣」を参照して欲しいが、清吉が無宿者であることに関しては若干の説明が必要となるかも知れない。というのも幕府は士農工商を一応身分ある者として定めたが当時人口の大多数を占めていた農民の相続に関しては基本的に資産である農地を長男一人に限っていたから、次男・三男・・・等は小作に甘んじるか流れ者になる他無かったという事情がある。所有地自体が極めて小さい日本の農家でこれが強制されていたのである。時期や藩によって新田開発等も無いでは無かったが充分ではなかったことが多かった。やくざ映画等に出て来る一宿一飯の恩義とは、状況次第でそれが無ければ命の存続も危ぶまれる程の危険が実際に在ったから出て来た表現だと考えられよう。幕府は以上のような定めを作った上で無宿人狩りを頻繁に行っていた。それがどういうことか、想像力が少しあれば誰にでも分かることである。
 キャスティングについては、前回「剣」で亡八を演じた役者さんは、どちらかというと丸顔で余り酷薄な印象を受けない役者さんだったが、今回の役者さんは、細面で髪もザンバラな分、冷酷な雰囲気を出して似合うキャスティングと感じた。
 基本的に脚本が実に良く練られているので、何度観ても感動できる。
ソファー

ソファー

小松台東

ザ・スズナリ(東京都)

2025/05/10 (土) ~ 2025/05/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

この作家の作品を見るようになって、そろそろ10年か。記憶では松本紀保のプロでジュース作品の{Farewell],同じ頃に「消す」。最初は男女の離婚の話、後者は父親が死んで後日談。今回の作の死後に残された大きなソファーの処理を巡って、どこもあまり上手くいっていない兄弟三人とその連れ合いたち、という人間配置は同じ、人間関係も作者の地元宮崎で、相変わらずだが、地方ものらしさは健在である。だが、10年たてば地方も都会化していて、そこが苦しい。
地方から出てきた作者は今でも一度は「ふるさともの」を書く。今時の若者・竹田ももこも福名里穂も勇んで地方ものを書く。それは多くの作者がこれこそは自分でなければ独自領域の人間像と書いてみるのだが、それだけで一本支えるのは難しい。終わってみれば、地方もの壁を突破できていない結果に終わる。やっぱりチェホフは上手い!ということだろう。
今回の松本作品は、年を食っただけ、道具のソファにまでシバイをさせて手は込んでいるがなんだか弾まない。ドラマを絞ってそこに発見がなくては。ファンで固めって居るのか落着いた客席でほぼ、満席。

お針子マーチ

お針子マーチ

さんらん

市田邸(東京都)

2025/05/13 (火) ~ 2025/05/17 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

 市田邸一階の八畳間での公演。八畳間の下手は廊下、廊下の左手のガラス戸を通して庭が見える。八畳間奥は中央に床の間、床の間の壁には掛け軸が掛けられているが水墨画ではなく、パンダ二頭がカラフルに描かれている。その手前には大小様々なぬいぐるみが幅いっぱいに置かれ、床の間下手は下段に小さな襖型の開き戸、上部は踊り場のようになっておりこちらにも並べられるだけ並べたぬいぐるみ。床の間上手は下段に収納用小型箪笥、箪笥上には貯金箱等、更に上部に本棚があるが並べてあるのは総て単行本の漫画。尚この奥の部分は畳部分より三寸ばかり高くなっている。尺は約40分。

ネタバレBOX

 登場するのは縫製に携わる人々。社長と借金をして業者に高い手数料を払い日本にやってきた技能実習生三名の若い女性(内一人は熟練工)。仕事は本来シャツ縫製であるが、描かれた時代はcovid-19や不況の煽りを喰らって待機(即ち仕事無し)とタオルの縫製等単純で単価の安い高度な技術を実践習得することもできない仕事が圧倒的に多い。更に待機中は収入が無いにも関わらず家賃、光熱費等は実習生も負担せねばならぬのは、収入の乏しい社長もフォローできない事情が透けて見える。更に悪いことにこの工場に仕事を下してくれるタエ(個人名か社名かは不明)何れにせよポルシェで乗り付け若い技能実習生を食い物にしているファッションデザイナーは、若い実習生たちをもて遊んでは捨て、を繰り返している下種野郎。今回もその被害者が出て、縫製工場内部は大騒ぎである。今作はこの大騒ぎの有様を、実習生が暮らす寮を舞台に描く。
 日本の非欧米人以外に対する差別は、当にこの「国」の後進性を見事に表しているが、この傾向は所謂新自由主義が世界を席巻して益々苛烈になったことは否めない。即ちこれは何も技能実習生に対する仕打ちに留まらないということでもある。一時、勝ち組・負け組と二分割して騒ぎ立てることが流行っていた。殊に浮ついた者たちの乗降することの多い駅内では大声でこのようなことを得意気に騒ぎ立てる者たちを良く見かけた。無論、騒ぎ立てている連中も必死なのである。そんなことは言わずもがなではあるが、内実も伴わず否それ故にこそ、コンプライアンスだなんぞと騒ぎ立て、匿名で他人を非難し自らは恰も「正義」の監視役ででもあるかのような錯覚を起こしている人士も多い。その癖、そういう連中に限って卑怯な振舞い以外何一つ建設的なことなどやっていないように見えるが偏見だろうか? 大企業に勤めていようが、官公庁に勤めていようが職場に完全従属している人士たちなのではないか? 打ち破るべきはこのような奴隷根性であり、目指すべきは、ヒトがヒトとしてヒトらしく生きることのできるシステムの実現である。この長く険しい道を諦めずに追求し続けることこそ、ヒトが他のヒトビトと手を携え、地球上の総ての生き物の頂点にある存在として母星・地球を守り、未来を夢見ることを可能にする方法ではないのか? 今作の問題提起は、このような広がりを持ち得ると解釈した。
 因みに法もヒトが作るものである。そしてヒトは多くの間違いを犯す。法は万能では無いことが先の二文でも明らかだ。間違った法なら正さねばならぬ。
ニッポン人は亡命する。

ニッポン人は亡命する。

うずめ劇場

シアターX(東京都)

2025/01/24 (金) ~ 2025/01/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★

鑑賞日2025/01/24 (金) 19:00

「鬼才・鈴江俊郎が、ドイツ人演出家ペーター・ゲスナーの熱望に応え、うずめ劇場のために書き下ろした息もつかせず展開する2時間強の新作戯曲」というので、期待してチケットを購入したのだが、全くの期待外れ。

(以下、ネタバレBOXにて…)

ネタバレBOX

福井県での演劇祭で起こった事件をモチーフにした内容。全県の高校が参加する演劇祭の作品を地域のケーブルテレビが中継放送したが、ある高校の作品は県に所在する原子力発電所の是非を扱っているためこの作品だけ放送しなかった。これは表現の自由の侵害・差別ではないかということが起点となっている。

が、途中から舞台上の演技者同士ではなく、客席に対して県の高校演劇協議会、日本劇作家協会、日本演出者協会…へと次々に悪口三昧の罵り、これはもう演劇ではなく、完全なプロパガンダだ。そもそも劇作家協会は坂手洋二の他著者の本からの剽窃問題で、演出者協会は谷賢一のセクハラ・パワハラ問題で、ともに全く有効な手を打てない組織であることが明らかになったのは記憶に新しい。

で、結局はこんな日本ではやがて自分の子供たちがイジメにあって自殺に追い込まれかねない、だからドイツに亡命したいんだというオハナシ。
ドイツへの亡命や難民申請が不可能なのはわかりきった話だし、そもそも亡命や難民申請など考慮せず単にドイツに移住すればいいだけのこと。そんな簡単な理屈もわからない主人公が劇作家と自称していることで、まず戯曲として破綻している。
みんな幸せ

みんな幸せ

友池創作プロジェクト

駅前劇場(東京都)

2025/05/14 (水) ~ 2025/05/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

母子家庭を支えるリフォーム業者の主人公が地元の名士の家を担当し、一家の抱える闇や策謀に巻き込まれてゆく休憩無し110分弱、キャストのビジュアルがよく、少々お色気もあり。

ネタバレBOX

タイトルを回収する幕切れが印象的。
みんな幸せ

みんな幸せ

友池創作プロジェクト

駅前劇場(東京都)

2025/05/14 (水) ~ 2025/05/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

素晴らしかったです。始まって20分ぐらいは「ん?今回の舞台はイマイチかな…」と思いましたが、人間関係がわかってきたあたりからぐいぐいきました。後半にいくにつれて胸がどんどん高鳴りました。いつもどおり楽しい舞台を観させていただきありがとうございます。あと、そうそう、知ってる俳優さんが何人かいて「おお!今度はこんな役で登場ですか!」と思いながらも拝見させていただきました^^ 素敵な時間をありがとうございますm(_ _)m

六道追分(ろくどうおいわけ)~第三期~

六道追分(ろくどうおいわけ)~第三期~

片肌☆倶利伽羅紋紋一座「ざ☆くりもん」

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2025/05/14 (水) ~ 2025/05/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2025/05/14 (水) 14:00

二期龍に続き、三期龍(初日昼)を観劇させていただきました!
ストーリーもわかった状態でも、またまた感動!
泣かせてきます ...
役者さんの台詞まわしや、スペシャルな場面での返答の仕方が様々でそこも楽しませていただきました。
本当に素晴らしい舞台で大好きです。


『ベイジルタウンの女神』

『ベイジルタウンの女神』

キューブ

世田谷パブリックシアター(東京都)

2025/05/09 (金) ~ 2025/05/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2025/05/12 (月) 18:00

なんて素敵な舞台なんでしょう~
観ていて幸せになれる作品!そんなにないですよね。
初演も観ているけど、もう5年も経っているし、新たに楽しみました。
夢に出てきた位素敵なものでした。
パンフレットもとても良いです。

あさがきて

あさがきて

杜菜摘プロデュース

中野スタジオあくとれ(東京都)

2025/04/24 (木) ~ 2025/04/27 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2025/04/27 (日) 12:30

一言で表現すれば「丁寧なツクリの演劇」。描かれる内容はもちろん、会話や演技も「真摯」な感じ。
素舞台に随時座卓や座布団を配置するだけという極めてシンプルな舞台美術なのにその場がありありと感じられるのはその「丁寧さ」ゆえか?
また、ある部分に「煙が目にしみる(堤康之)・ハードバージョン」か?と思ったりも(笑)。
あと、よく存じているお三方の「意外な顔合わせ(私見)」もおトク感があった。(笑)

なべげん太宰まつり『駈込み訴え』

なべげん太宰まつり『駈込み訴え』

渡辺源四郎商店

ザ・スズナリ(東京都)

2025/04/27 (日) ~ 2025/04/27 (日)公演終了

実演鑑賞

渡辺源四郎商店が毎年ゴールデンウィークの季節にスズナリで行う公演シリーズ。今年は太宰治をテーマにして、口開けは1日だけの公演。30分に構成した「駈込み訴え」一人芝居の上演と、「駈込み訴え」を上演しようとしている高校演劇部の物語60分(第70回全国高等学校演劇大会(ぎふ総文)優秀賞受賞作品)を組みあわせて上演。全体で95分。

https://kawahira.cocolog-nifty.com/fringe/2025/05/post-43df1d.html

あるアルル

あるアルル

やみ・あがりシアター

北とぴあ ペガサスホール(東京都)

2025/04/30 (水) ~ 2025/05/06 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

はっちゃけたEテレ(Eテレ自体はっちゃけた番組多かったりだけど)みたいな感じ。
ただ、Eテレの番組は短いものが多いけど、これは長編でして。
自分は、前のめりになるよりも、冗長さを感じたほうが強かったかも。
観終わった後に、『ハウルの動く城』の階段シーンを思い出したりしました。
歌が多くて、巧みな歌唱ってわけじゃないんだけど、いい味わいになっていた。
ラストシーンは好き。

逆光が聞こえる

逆光が聞こえる

かるがも団地

新宿シアタートップス(東京都)

2025/04/24 (木) ~ 2025/04/27 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

トップスで3,800円はかなり破格だし、充実の演者陣。重いテーマを見やすい範疇で届けてるのも見事だと思う。
加害と被害を善悪で一面には描いておらず、重層的に受け取る側の一考になる、確かな重さがあるとゆうか。
個人個人への問題提起として受け取りやすかったです。

きっと団体の特徴なんでしょうが、一人の役者がアンサンブル的に色んな役を兼ねる、とても面白いんですが今作に関しては、やや気が散る印象を受けました。

お針子マーチ

お針子マーチ

さんらん

市田邸(東京都)

2025/05/13 (火) ~ 2025/05/17 (土)公演終了

実演鑑賞

なるほど。

ネタバレを書きますよ。

ネタバレBOX

登場人物は流暢な日本語を話す実習生三人と、カタコトの日本語を話す雇い主。

日本人は技能実習生の方というオチがつきます。
思い込み、先入観を利用した意外な結末。

だけど、遠くない将来ありうることだと思いますよ。
最終兵器ピノキオ〜蜃気楼の向こう側〜

最終兵器ピノキオ〜蜃気楼の向こう側〜

X-QUEST

すみだパークシアター倉(東京都)

2025/05/09 (金) ~ 2025/05/13 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

千秋楽スペシャル的な感じはなく淡々と笑えるシーンもほぼ同じなのに2度目見るこちらも初見同様に新鮮に笑えた。練習したうまさではなくしっかり客席の空気をふまえて演じているという感じ。やはりあの青い妖怪ただもんじゃない #最終ピノ

kaguya

kaguya

まぼろしのくに

ザ・ポケット(東京都)

2025/04/03 (木) ~ 2025/04/06 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

疾走感と混乱の中でかぐや姫の罪を問う

ネタバレBOX

冒頭シーンから一貫して、膨大なセリフ量とハイスピードな展開に圧倒される。独自の美学で演出された、自分たちをかぐや姫の血族であると信じて疑わない片田舎の家族の物語である。洗脳される息子と死んだと見せかけて洗脳を解こうとする母。主人公を父と呼ぶ得体のしれない女。錯綜する家族模様の中、「かぐや姫の原罪とはなにか、地球で罰を受けていたのはなぜか」を課題設定し直す後半から物語はさらにスピード感を増す。権力、富、愛情の権化となり主人公ノゾムを追い詰める母親、社会的な孤立、そこから流れるようにつながる首相暗殺事件のイメージにも結着するように見えたラストシーンの戸惑いの感情の共有は、物語全体の疾走感との落差によって効果を増しており、他に類を見ない鑑賞後感であった。

イマジナリーフレンドとして舞台に散りばめられた人形や、ミニキッチンの演出など舞台美術と俳優との間の強固な信頼関係が見て取れた。膨大なきっかけがある作品の中でスタッフワークが光る。

原作となる竹取物語のイメージ上でのコラージュ(宇宙、竹、道化など)と、物語の骨子(夫選び、月への帰還、原罪など)の借用が明確に言及されずに混在しているので、見ている側としては今描かれているのがどちらのレイヤーにある表象かの判別がつかず混乱しやすい。その混乱をも逆手にとってラストシーンに繋げてほしいという期待があった。またジムノペディなどの有名曲を使う場合、観客側に想像力の引き攣れが起きる。音楽、効果音の使い方に既視感がある点を演出時にどのように考えたかは気になった。

(以下、ゆるいつぶやき)
竹取物語での最も大きな謎である、「かぐや姫の犯した罪とは何なのか」について、「血族の原罪」として作中で扱おうとしていた点、意欲作であったと思う。改めて竹取物語を見返してみると、貴族男性どころか帝でさえ寄せ付けない常識破りの自由さを持ち、気が強く頭の回転が速く、他者の思いのままにならない「おもしれー女」であることがわかる。ノゾムの祖母はそんな自由な女性で、それを孫であり、部屋に引きこもって人形と遊ぶのが好きな内向的なノゾムがある種の憧れを持って追いかけるという構図なのが、物語で描かれない時間の奥行を感じさせた。
肝っ玉おっ母とその子供たち

肝っ玉おっ母とその子供たち

文学座

文学座アトリエ(東京都)

2025/05/02 (金) ~ 2025/05/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

ドイツとポーランド中心にヨーロッパ強国が終わらないのではとさえ思える戦いを続けた
三十年戦争(1618~1648)。その前半部分を舞台に、“肝っ玉母さん”ことアンネを
主な登場人物に据えて描いた叙事詩。

ブレヒトの提唱した「異化効果」が全面的に用いられた結果、ただ「お偉方は兵士が死んでるのに
安全なとこでのうのうしてる」「弱い民衆から殺されていく」というステレオタイプ的な反戦演劇とは
一線を画し、もっとより高度な視点から「戦争が何故終わらないのか」「本当に民衆は平和を望むだけの
存在なのか」という問題を深掘りしている傑作かと思いました。

ネタバレBOX

この物語の巧みな点は、アイギフ、スイスチーズ、カトリンの子どもたちの「母」であると同時に、
戦場で物資を売りまくってひと山儲けようといつも目論んでいる「従軍商人」というキャラ設定を
主人公アンナに与えたこと。

これによってアンナは、子どもたちが戦場で死んでいく姿に「戦争はキライだよ」と毒つきつつ、
一方では「平和になったら破産さ!」と大乱を望む、一見矛盾した複雑かつ魅力的な人物になって
いるんですよね。ただ単に好戦的だったり、ただ単に反戦をひたすら望む直線的な人間じゃない。

よくよく観察していると、従軍牧師がいみじくも言い放ったように、「戦争はあらゆるものを内包
している」んですね。酒も女もどんなぜいたく品でも飛び交い、だらだら続く戦局の合間には
(一発の銃撃で消え去るにしても)チェスやったり歌うたって楽しむような「日常」だって存在する。

そんな日常に慣らされていった結果、肝っ玉おっ母も他の人物も、上手く立ち回るために戦場にいるのか、
戦いや戦場が“恋しく”なってしまってその場にいるのか、全然分からないようになってしまう。

男に騙されて戦場を転々としたあげく高級将校の未亡人にまで成り上がった元娼婦のイヴェットや、
子どもを結局全員失っても戦列に加わろうとする肝っ玉おっ母みたいなのはその典型で、殺しの場で
いつも顔を合わせるような「おまいつ」人間と化しているわけです。もうそれって利益不利益の
状況を超えて戦争から離れられなくなっているんですね。

よくよく考えると、何でもあけすけで女たらしだけど、常識的な判断から戦線離脱してユトレヒトに
帰って遺産の居酒屋でつつましく暮らそうとするラムはマトモなのかもしれない……。

※そういえば、たった1人遺されたにもかかわらず、ユトレヒトに行かずになおも従軍を続けようとする
おっ母はすごく変だよな……。「娘がいるからアンタにはついていけない」って言ってたのに。

その場におかれ続けた人間が「戦争の中毒状態」になってしまう、そしてそれが平穏な「日常」と
すり替えられてしまう、いつの間にか人間がフツーの人間ではなくなってしまう。

ブレヒトはストレートに「戦争反対!」と唱えて満足するだけでは結局形を変えての殺し合いに
対応できない(当時ナチスが権力を握り、周辺諸国を次々と併合する状態を、強国は平和を
望むあまり見過ごしていた)と悟って、こんなスケッチ風のエモくならない作品を書いたのでは。

「戦争って人間がこんなにヘンになっちゃうんですよ」「これおかしくないですか? あなた
耐えられますか?」という問いを投げかけられているような気がして、だからありふれた反戦劇と
違って生命力を保ってるんだと思います。
『パンとバラで退屈を飾って、わたしが明日も生きることを耐える。』再々演ツアー2025

『パンとバラで退屈を飾って、わたしが明日も生きることを耐える。』再々演ツアー2025

趣向

スタジオ「HIKARI」(神奈川県)

2025/05/09 (金) ~ 2025/05/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

コロナ禍で緊急事態宣言が出されていた頃、一生苦しみ続ける心の病を抱えた者達を集めて戯曲の読書会をする鬱病の劇作家。『人形の家』、『三月の5日間』、『サロメ』。段々盛り上がって来たメンバー達は『サロメ』を舞台として人前で上演することを決める。

まずは現在2025年5月、登場した大川翔子さんが観客に語り掛ける。これは2020年7月から2021年12月の話だと。今となっては過去となった日々のことを思い返しているのだと。

コロナウイルス変異株の名前は差別や偏見に繋がらないように意味のないギリシャ文字の順番に付けられた。アルファからゼータまでの6人は順番通り。語り手の主人公だけは最後の文字、オメガを名乗る。

フォーマットが『コーラスライン』っぽい。
凄く観易く工夫されている。うんざりする意識高い系のスカした討論を危惧していたら全く違った。配役が見事、皆役者とは感じさせずに自然とそこにいる。その自然な存在感こそがテクニックだと終演した後、改めて唸らせる。皆さん歌が上手い。舞台上手でずっとキーボードを弾く作曲の後藤浩明氏。複数の役者が奏でる謎の楽器、ウォーターフォン。鍋の蓋に塞がれたフライパンのような器具、真ん中には水を入れる金属の筒。要は平べったい金属製のフラスコ。その円周上にアルミや真鍮の棒を複数立て、弓で弾く。ホラーの効果音に最適。

主演のオメガ役大川翔子さんは誰かに似てるなとずっと思っていたが、BLUESTAXIの鈴木絵里加さんか?
アルファ役三澤さきさん、ガンマ役榊原美鳳(よしたか)氏は役者に見えずもう本当にそういう人に見えた。
ベータ役前原麻希さんは歌のシーンで魅せる。
デルタ役KAKAZUさんはビョーク系の顔。センシティヴでナイーヴなキャラだが演技に入った途端、ガチ・サロメに豹変、客席が沸く。ニッチェ江上のネタみたい。
ゼータ役海老根理(おさむ)氏は元ジャンポケ斉藤っぽいハイテンション。
劇作家イプシロン役伊藤昌子さんがキーパーソン。作者オノマ・リコさんをダブらせるように描かれている。

いろんなことに負けてしまった連中。死んで物語を終わらすことも選べず、つまらない毎日を続けていくしかない。とっくに終わってしまった話なのにまだだらだらと続けている。その先に何があるわけでもない長いエピローグ。19世紀英国、社会主義者アーティスト、ウィリアム・モリス「人はパンがないと生きていけないが、パンだけでなくバラも求めよう。生活をバラで飾らないといけない」。バラとは何か?

各問題の当事者同士で自助グループを形成し、悩みや苦しみを共有し分かち合うシステムがある。昔自分もアルコール依存症の治療を調べ断酒会を知った。結局行かなかったが参加したらどうなっていたのか?今作は自分がそんなグループに関わったシミュレーションのように観た。集団精神療法の一つにサイコドラマというものがある。自分という役を演じる過程で自分というものを客観的に認識させていく。

宗教でも精神医療でもとにかく人に話を聴いてもらうことが重要。人間は誰もが自分の胸の奥底に溜まった感情を吐き出したがっている。そんなこと話して一体何になる?と思いながら、整理出来ない言語化出来ないモヤモヤを全て反吐のように吐き続ける。それでヘトヘトになって精神の均衡を保つのだろう。カール・マルクスは「宗教は阿片である」と断じた。その場しのぎの現実逃避であり、実際の問題の解決には至らないと。全くその通りだと思う。そう、皆欲しているのは阿片なんだ。とにかく今をやり過ごしたい。今さえやり過ごせれば後のことなんかどうだっていい。後でまとめて後悔してやる。

自身も含めた全ての苦しむ人々に作家(オノマ・リコさん)は自分の知る対処法を告げる。生きることは無意味だが死ぬことも無意味。無理して生きることはないが無理して死ぬこともない。あるがままに。

Nirvana 『On a Plain』

あと一つ何かそれっぽいメッセージを付け加えて
それで終わり、やっと家に帰れる

自分自身を愛するんだ、他の誰よりも
それが間違ってることは知ってる、でもどうすりゃいい?

俺は平原の上
文句なんか言えないんだ
平原の上で

オノマ・リコさんのやろうとしたことにRespect。こんなもの誰がどうやったってどうにもならないジャンル。そもそも誰も救えない。でも何かやろうとした。何かやりたかった。その足掻きが意味を生み出す。

アフタートークのゲスト、精神科医の劇作家・くるみざわしん氏の話が興味深かった。秋に中野MOMOで精神病院の勤務時代から封印していた闇を到頭舞台として発表するとのこと。これは観ないと。

ネタバレBOX

アイディアとして素晴らしいのは「時間を巻き戻す」こと。ベータに劇の出演を皆でお願いする。それでも断るベータ。激昂したオメガは顔を真っ赤にして怒鳴り散らす。オメガは自分が正しいと認識している事柄への執着が激しい。それを拒絶されると自我が保てなくなりパニックを起こす。この揉め事で公演自体が中止となる。
そこでオメガは「時間を巻き戻す」ことを観客に提案する。もっと別のやり方を選べれば公演は行えたのではないか?もう一度過去のシーンをやり直す。ベータに「出演しなくてもいいからアイディアを出して演出に加わって」と。ベータは「それならば」とOKする。
インカ帝国の太陽神インティを思わせる仮面に棒を付けた人形で表現するヘロデ王は秀逸。
ラスト、全てが崩壊した後、不意に歌い始めるゼータに『ラ・マンチャの男』に似た感慨を。やはり歌しかないのか。

途中まで非常に昂揚して観ていたが、クライマックス前辺りから停滞。『サロメ』の内容が本筋と関わらない(登場人物の誰が嫌いか?ぐらい)のも勿体ない。最後の喧嘩も無理矢理っぽい。そんな伏せられていた事実の提示ではなく、「本当はあんた達なんかずっと嫌いだったんだよ!」ぐらい身も蓋もないどうしようもなさで良かった。人間関係を築いては全部ぶち壊し途方に暮れる感覚。それでもあの頃のことを今も思い出す的な。無駄で無意味な日々こそが生きていた証。

アフタートーク、若きくるみざわしん氏、リストカット症候群の患者に「それで心が安定するんなら切ってもいいんだよ」と肯定する言葉を先輩にアドバイスされる。だが診療の際、患者を前にしてなかなかそれが言い出せない。頭では判っていてもどうしても口に出せない。
このエピソードから連想したのは「森田療法」。それは森田正馬(まさたけ)によって創始された神経症の精神療法。「とらわれ」や「はからい」から逃れ、現実をそのまま受け入れ「あるがままに」生きることを提唱。先入観や常識、こうであらねばならぬ正しい生き方みたいなものを「とらわれ」と呼ぶ。自分を正当化する為に色々とつく嘘を「はからい」と呼ぶ。自分に嘘をつかず、ありのままの自分を受け入れること。この考え方はそのままゴータマ・シッダッタの説いた原始仏教に通ずる。
反乱のボヤージュ

反乱のボヤージュ

松竹

新橋演舞場(東京都)

2025/05/06 (火) ~ 2025/05/16 (金)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2025/05/11 (日) 11:30

ちょっと左巻きの反体制的な群像劇を作らせるなら鴻上尚史が適任。いつもの手書きの文をコピーした挨拶文がなかったのが寂しかった。

明日、泣けない女/昨日、甘えた男

明日、泣けない女/昨日、甘えた男

株式会社テッコウショ

シアターサンモール(東京都)

2025/05/03 (土) ~ 2025/05/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2025/05/09 (金) 14:00

冒頭と最後に大音量で流れたジェイムズ・ブラウンのIt's A Man's Worldが全てを語ってたように思います。のんびりとした田舎町のようでいて、Jアラートが頻繁になる国際紛争の最前線。閉塞感が半端なかったです。

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