ほたえる人ら
ばぶれるりぐる
in→dependent theatre 1st(大阪府)
2018/07/13 (金) ~ 2018/07/16 (月)公演終了
満足度★★★★★
高知を舞台にした「ほたえる人ら」を観劇。
高知弁が台詞に飛び交うが内容がスッと入って来るのが凄いと思いました。
また会話劇が秀逸でした。
この劇団はまた観てみたいと思いました。
ローリング・ソング
サードステージ
紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)
2018/08/11 (土) ~ 2018/09/02 (日)公演終了
満足度★★★★
鴻上氏の音楽劇、流石に安定感があってキッチリ楽しませてくれますね。大いに満足です。
丹青の花入れと水屋の富
深川とっくり座
江東区深川江戸資料館小劇場(東京都)
2018/08/17 (金) ~ 2018/08/19 (日)公演終了
満足度★★★★
日本人の和服姿は情緒があってとてもいいですね。
滅茶苦茶笑わせていただきました。とてもとても面白かったです。
初日はいくぶん涼しかったですが、汗びっしょりになっての演技にはいつも感心させられます。
シ◎ンとわかっていても、役者みなさんのあの演技はさすがですね。
あなたも知らない舞台裏
バードランドミュージックエンタテインメント
新宿村LIVE(東京都)
2018/08/15 (水) ~ 2018/08/19 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/08/17 (金) 19:00
座席XA列2番
#あなもし
演劇界の新人プロデューサー(という名の中間管理職)の奮闘記、からの……。
憎まれ役の「悪いオトナ」たちはまるで時代劇の悪代官のようにひたすらズルく憎たらしく、対する主人公サイドはひたむき(でもないか?(爆))とハッキリ対比されてワカり易く、フィクションと割り切って観たので頬が緩むこと緩むこと。しかしこの「ワカり易い」というのはちゃんと劇中の台詞を具現化してもいて、そんなあたりが鮮やか。
台詞の具現化ということでは呉原と栗原の衣裳に「あれれ?」と思うが、これもまた終盤のとある台詞でその意図がくみ取れて納得。
また、演劇界内幕ということで、2.5次元舞台に対する偏見への反論や少し前にTwitterで話題になった話題も盛り込まれ、さらにありがちながら公演直前に起きたある出来事(当然執筆時には現実となることは予想不能だったろう)に関する部分もあり、その意味ではリアル。
あと、構造上のシカケに最近のある映画に通ずるものを感じ、全体の流れ(特に最終場)に往年の社会派サスペンス映画を思い出したが、それらのタイトルを明かすと映画のネタバレにもなりかねないのが困ったもんだ。(笑)
(ネタバレBOXには上記でぼやかした部分などをもう少し具体的に……)
ネタバレBOX
冒頭の一文で省略したのは「奮闘記からの哀歌」。
呉原の衣装(上着)、最初に一目見て裏地が出ているように見えて裏返しか?と思ってよく見たらそういうデザインでとりあえず納得。が、終盤で「人の表と裏はわかり易いものではない」的な台詞があり、そう言えば栗原のワンピースも部分的に生地が裏返しになっていて改めて納得。
Twitterで話題になったのは「集客は俳優の仕事か?」ということ。そして脚本の遅れはありがちだが、そのための公演中止(延期)が現実に起こるとはシンクロニシティ?
終盤で「仮面の栗原」が唐突に出てきて「あれは誰?」と思うが最終場にまた登場し、それがテレビの再現場面での栗原ということが明かされるのも巧み。
そしてそこまで(の一部)がテレビ番組の中のものだったというシカケは最近の某映画(タイトルはここでも明かせず)と通ずるな、と。
また、権力に楯突いて苦戦の末に勝利を収めた主人公(側)の「その後」が伝聞で明かされるのは半世紀近く前の某映画(こちらは時効かと思い改行後に記述)と共通。
あと終盤で出される人気俳優の名前(ムロヤケイジ)が楽屋落ちっぽくて愉快。
コスタ・ガヴラス監督「Z」(1969年)
パイレーツ・オブ・トレビアン2
ノーコンタクツ
萬劇場(東京都)
2018/08/16 (木) ~ 2018/08/19 (日)公演終了
満足度★★★
エンターテインメント性が高いので、初めて観る方でも、予備知識がなくてもお気軽にお楽しみいただけます!・・・と思っていたが・・・・いまひとつな感あり
もちろん前作をご覧いただいた方も、あの海での大冒険のワクワクをそのままにぜひ劇場へ♪・・・・って ”2”ってタイトルに付けてる時点で前作までの粗筋は劇場内での前説とかで行うべきだったのでは~とかも思えたデス
う~ん 全体的に説明不足とか わかってますよね~的なルール上での笑いは
いまひとつで もっと丁寧な理解のし易さを舞台上で表現して欲しかったかな~
~船の配置とかの説明は それ合ってたりしてた分 惜しいなぁ~とすごく感じた
ネタバレBOX
ここは やはり〇ジテレビ的な
前回までの判り易い解説とか説明を
開演前までのBGMで流してみるとか
人形劇とかショートコント的な芝居を本編前でやるとか
いろいろと初めて今作を見る方への細やかな配慮が必要だったのではー
と思えたっす
何も無い舞台上での
モノとかがあるように演じる説明の仕方とかは
腹筋さんとかカプセル兵団さんが巧いので
少々見劣りしたかなぁ・・と感じました
ラストに無事キャプテンの手元に戻った
懐中時計の力で海に沈んだ愛船が皆を乗せに浮上するのだが・・・
盛り上がるクライマックスなんだから~
どうして沈んだ船が浮かび上がってくるところとかは
”ファンタジ~”の一言で済まさないで
いろいろと軟膏見たく理屈をストーリーに貼り付けて
納得の説明して欲しかったねぇ・・・・
ほらほら今作の元にしてる
あの話ですよぉ・・とかで済ますのは・・とか感じたデス
う~ん そだな
敵が呪いを受けてて棺桶に封じられるんだが
いくら棺桶を深い海溝の底に沈めようと
キーアイテムを起動すれば呪いにより確実に棺桶に封じられると説明し
起動した裏切りの仲間は それを確かめて
沈んだ皆の海賊船がキーアイテム=懐中時計で呼び出せると説明し
正当な持ち主でもある船長=主人公が呼びかけると応える・・・が
呼びかけの力が足りないっ
では海賊仲間全員の呼び掛けなら
ここに呼び出せる=裏切った仲間も最後の一人で呼びかけて
無事ピンチの場面に愛船が駆けつけるという演出の方が
冒険的で盛り上がったのでは~とか考えましたが・・・ど でしょう?
ほんに いろいろ惜しかったなぁと
星はひとつオマケしました
My Way
M COMPANY
小劇場B1(東京都)
2018/08/15 (水) ~ 2018/08/19 (日)公演終了
満足度★★★★★
なだぎ武さん、土井よしおさんにはメッチャ笑わされたけど、みんな熱くて優しくて、感動した!命ある限り、夢に向かって頑張らなアカンね。 明日赤い靴下を買いに行こう!
ネタバレBOX
松本勝さんと高橋明日香さんとの通天閣展望台でのシーンが最高でした。高橋さんが熱く語る場面では、拍手して応援したくなったし、その後の松本さんがビリケンさんにお願いする場面では涙が溢れてきました。
俺の骨をあげる(8/17(金)19:00開演 当日券ございます!)
劇団鹿殺し
サンシャイン劇場(東京都)
2018/08/15 (水) ~ 2018/08/19 (日)公演終了
満足度★★★★
迫力満点。内容はぶっ飛び過ぎていて訳のわからないところもありましたが,サンシャイン劇場でのあの公演はやはり観劇の価値はあるでしょう。アウトオブテンポですが一生懸命踊る高嶋お兄ちゃんもいい味出しています。
マナナン・マクリルの羅針盤 2018
劇団ショウダウン
シアター風姿花伝(東京都)
2018/08/11 (土) ~ 2018/08/16 (木)公演終了
満足度★★★★
蒼のトーテムも観ました。
劇団員2年で難しいナツメさんの書き下ろしの本を忠実に再現できる竹内さんは秘めたものを持っていると思います。何年か後に再演して成長した竹内さんを見てみたいと思います。
マナナン・マクリルの羅針盤 2018
劇団ショウダウン
シアター風姿花伝(東京都)
2018/08/11 (土) ~ 2018/08/16 (木)公演終了
満足度★★★★★
4年前にマナナン・マクリルの羅針盤の東京初公演がありその時拝見し、3年前の池袋演劇祭凱旋公演も拝見、そして今回も拝見したが、毎回精度が上がりまたボリュームもアップしているのが眼にとって分かる進化と思いました。
役者が身を削って板に立つとはこの事と感じました。
この回は日本語字幕も用いた回でしたが、
??となったときに役立ちました。字幕があることで新たな楽しみ方が増えたと思います。
難しいといわれるナツメさんの本を遊眠さんが演じる姿を一人芝居でもう一度観たいと思います。
パイレーツ・オブ・トレビアン2
ノーコンタクツ
萬劇場(東京都)
2018/08/16 (木) ~ 2018/08/19 (日)公演終了
満足度★★★
とってもおもしろかった。アイデアと工夫の宝箱でした。
ロリコンのすべて
NICE STALKER
ザ・スズナリ(東京都)
2018/08/15 (水) ~ 2018/08/19 (日)公演終了
満足度★★★★
初観劇の劇団さん。小ネタを多く仕込んだ会話が面白く、そもそもの脚本が独特でした。
終盤は切なくなるシーンもあり、意外と(笑)良い話でもありました。
役者さんは、幅広い年齢を演じる方や何役もこなされる方もいて、9人以上に感じ、また魅力的な役者さんも多かったです。
「ムイカ」再び
コンブリ団
津あけぼの座(三重県)
2018/06/30 (土) ~ 2018/07/01 (日)公演終了
満足度★★★★
序盤から独特な進行で、目の前にいる人たちの「立場」がなかなか掴めない展開に…非常に興味を惹かれた。メタ的にも、不条理劇的にも、ファンタジーにも映るが、ふと…まるで「思考セミナー」の様な…社会一般の常識・定説・思い込みを疑わせるよう導いてくる展開が特異でした。
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ネタバレBOX
しかも、それを入念に何度も繰り返す… ここが肝なんだろうな。いわば…言い訳を追及してくる… しかも冷めた…シラケた感じで…というのがポイントで、何かを主張する時に…熱く真正面から伝えてくるのではなく、内からじわっと自問自答させる感じなんだよね。だから原爆をモチーフにしながらも、割と緩い感じで迫ってくる感覚で… 外圧的な悲劇や恐怖を突きつけてくるのではなく、それは元々…観客が持っている知識や経験に委ねている気がする。そんなものは他所からいくらでも得られる… むしろ、知っていながら目を背ける… 別の大義を優先する…そんな人たちに向けて、閉じた心に囁きかける感じがしました。
想像すれば世界は変容する…か。想像しなければ…できなければ何も変わらない…カミサマは何もしてくれない。…その空気とは真逆に、けっこう辛辣なものを携えていますよ。祈りとは対極だ。
各論ですが…意味深に多義を想起させる舞台美術…、急所に打った碁石の様に色んなところに効いてくる小道具のスリッパ…立場が分からなかった人たちが複数の方向に効いてくるもの同じ感じかな…とっても良かった。
全てが「自ずと考えさせる」… そんな誘導に繋がっている様で、面白かったです。…なんてヒトゴトな感想を吐かれるのは不本意かもしれないですが(;^_^A
ラストシーン、むっちゃ好きですね。未明に展開する穏やかな… 言葉なきドラマ。視線で想像させる演技…とっても良かった。これが悲劇の直前というのを観客は知っているから… 尚更この時間が尊い。
三人姉妹
双身機関
七ツ寺共同スタジオ(愛知県)
2018/06/30 (土) ~ 2018/07/01 (日)公演終了
満足度★★★★
驚いた… 板付きから劇団イメージ通りの白塗りアングラ… かと思いきや、そこらから更にぶっ飛んでいった…これは良いよ。
楽曲の選曲などの演出の妙に留まらず、時代と土地を超えた硬派な翻訳・潤色と構成の味わいが深い。数年見損ねている間に進化してた気がする。
ランチタイムセミナー
劇団ジャブジャブサーキット
岐阜市文化センター(岐阜県)
2018/06/23 (土) ~ 2018/06/24 (日)公演終了
満足度★★★★
観客が事件の大筋を知っている前提なのか、説明的台詞があまりない。知らなければ、会話の中の断片的なピースを…パズルを解く様に繋ぎ合わせていく感じになるが、むしろそれも一興。…逆にそれが本来の楽しみ方かも…。
逆に史実を知っていると、あまり謎が拡がらなくて想像の余地がないきらいもあるのだが、さて、この事件をまったく知らない若い世代には…この作品はどう映ったのだろうか…というのは素朴な興味です。
既知・未知いずれにしても、公私に広く及ぶ思惑を想像させる「不明瞭な会話」が交わされる中、非日常の緊張感と日常ののどかさが交錯する空間が拡がる…非日常の中の日常… 日常の中の非日常が…相互に際立つ。 …そこに暗躍する…「思わせぶりな態度/行為」の数々が想像を掻き立ててくれた。
以降、ネタバレBOXへ
ネタバレBOX
(続き)
史実はあっても、誰が何を知っているはフィクションだ。青木大使や近藤がやけに意味ありげな存在感を示すのに、結局事件の進行に関与していなかった結果には楽しく騙された。
最も大きな後味として「行為と…それを行う人物の人柄が必ずしも一意にはならない社会・政治の難しさ。人柄そのままでは生きられない… 抗えぬ社会背景」というものがじんわり伝わってくる。
その最たるものがMRTAのリーダー・セルパのチュー事件と…ひた隠しにされていたコッテコテの大阪弁。おそらく本作一番のフィクションと思われるが、後藤さんの…怖さと温かさが同居する演技が本当に好み。(笑いとシリアスのバランスに苦心されたと伺いましたが、さもありなん。)
勿論テロが許される筈もないが、それを成すまで追い詰められた社会背景は察して余りある。しかし、志を同じゅうせずとも共存できる… 石嶺に対する「ドウシではないが、ダチだな」というセリフが、彼の本来のメンタリティを窺わせる。それが転じて…セルパの共存を許さなかったペルー国家の何かを暗喩する。
終盤の山場、長い「暗転」の中での救出作戦(史実でのチャビン・デ・ワンタル作戦)は、1ヶ月前のフラジャイル・ジャパンを思い起こさせましたが、救出後、半年経ってから山崎書記官が漏らす「喪失感」は、まさしく地震や津波によるソレであり、「一瞬で消えた日常」という観点で同様に括れる印象を持てるのが意外だったし、非日常が日常になっていた人間の皮肉な慣れにも想いが及ぶ。
そして石嶺の「無力感」からの脱出も印象的なポイント。公邸跡に脱出後も数度来ていた石嶺が…何故このタイミングで初めてセルパ達の亡霊を見るのか…時間の経過が石嶺にもたらすもの…セルパ達を救えなかった無力感に苛まれていた石嶺が…この経験を時間を掛けて消化して…次のステップに進んだ今だからこそ…亡霊(現実)を見ることができたのではないか。
その意味でも被災後のメンタルの克服に類似する空気があった。
作劇で1つ疑問に思ったのは「リマ症候群」の扱いです。
リマ症候群…「監禁者が人質の教養や優しさに触れて、人質に親しみと敬意を持ち始める現象」は、この事件を代表する現象としてよく取り沙汰されるが、本作でのその描写はあくまで「監禁者と人質の親交の表現」に留まる。岸とサキの話…(絵の才能を褒めた話)やランチタイムセミナー等への相互参加は記録に残る実話相当だが、一番センセーショナルに語り継がれる… 救出作戦に対する応戦で「MRTA隊員が人質を撃てなかったエピソード」は描かれない。安直かもしれないが、…一番感動を誘いそうなところに敢えて触れない。
「支配者層への批判」という観点でも、救出作戦部隊が「投降したMRTAメンバーも殺害した」という話は出てくるが、あまりフォーカスされない。セルパと石嶺の言葉の中で語られるだけで、それに共感を誘うような根拠を伴う描き方はしない。
それを見せ得る時間帯は、全て「暗転」の闇の中… 銃声の中… だ。
そのいずれよりも「日常の喪失(本当は非日常なはずだったのだが…)」を描くことを重視したということなのかな。…終わり際の心象は「震災テーマ」の芝居の味わいに近かったとも思える。
初演からどの程度変わっていたのかには興味津々なのだが、当時でも阪神淡路大震災は経験しているのだから、そういう重ね合わせあってもおかしくないのかな…。
みえているせかい
劇団アルデンテ
御浪町ホール(岐阜県)
2018/06/22 (金) ~ 2018/06/24 (日)公演終了
満足度★★★★
ぱっと見で舞台に流れる空気はコメディなのだが、微笑んでやり過ごす登場人物たちが「裏で湛えている心理」に想像の翼を広げると…とても切ない感情が湧いてくる。何とも両極端な二面性を持った作品だと思う。
以降、ネタバレBOXへ
ネタバレBOX
(続く)
先にコメディ面の面白さを挙げる。
一つ屋根の下に集う「心優しき奇人変人たち」のてんわやんわ…漫画なら定番のオーソドックスさだが、それでもなお万人に愛されるシチュエーションの楽しさ。
一見 巻き込まれ系主人公の絵本作家・洋介。
その前に現れた押しかけJK弟子の永遠(トワ)は…オツムが弱そうで笑える受け答えの中に妙に本質を突く知性を感じたり、ビジネストークの様なエセ英語を口調に散りばめる等、愛らしさと笑いに知性を添えた好人物でした。
大家ちゃんは いわば幼馴染キャラと妹キャラを足して2で割り、有り得ない立ち位置(大家)にぶち込んで、ツッコミとボケを兼ねるユーティリティプレーヤー。
そして、オタク、オカマは笑わせる(笑われる)ツボを押さえて嵐の様に舞台で暴れまわるが、後々、「異質を温かく受け入れられる資質」を秘めている点で…納得の役どころですね。(虐げられる人達だから優しくなれる感じ。)
何にしても、話に深く潜ろうとせずとも、とても楽しめる作りになっていました。
しかしやはり、その反面として迫る「切なさ」について多くを語りたい。
… そのカギは…主人公 永遠(トワ)が心酔する…洋介作の「ある絵本」が握っている。
この絵本の中身がどんな物語なのかは作中では多くは語られない。その絵本に投影された洋介の心情、永遠が感動した背景、元カノ・亜里沙の反発も…深く掘り下げられることはない。
本作の この「裏」の部分に…何らかの気配を感じ取った人には、この曖昧さは物足りなく感じるかもしれない。ただ、これだけ布石を打っておいて、その先を観客の想像に委ねるのも大胆だし…現実世界のコミュニケーションとしてリアルだとも思える。
一見、朗らかに生きる人達の裏にも切ない何かが必ずあるのだ… そのことだけ感じさせ、そこから観客が想像を巡らす…気配を窺う…「他人の身になって考えること」を促しているのかもしれない。結果、察したモノが何であっても、きっと良いのだろう。
しかし、作演の近藤文拓さんは一つ大きなヒントを作品の外(Twitter)に公開している。
それが…作中でその存在だけが触れられている絵本「みんなのせかい」のラフ画像だ。
主人公の「ハリネズミ」が…彼のテリトリー外から現れ仲良くなった友人「小鳥」との仲違いから話は始まる。
そこを起点に… ハリネズミは小鳥の足跡を追い、小鳥の心情を想像し、自分の存在の小ささと取り返しのつかない行為に苛まれ、…もはや「小鳥と交われぬ…住む世界の違いに絶望する」…そんな空気を想起させる内容なのだが…
これは明らかにハリネズミが洋介であり、小鳥が亜里沙と思える。
ただこの絵本… 本当に洋介と亜里沙の別れの原因になる作品だったのかは曖昧だ。この絵本に関する永遠からの振りに対し、亜里沙のタイトルの記憶が曖昧だったからだ。
この解釈次第でこの絵本の位置づけと洋介たちの心情は大きく変わる。
私には、この絵本に、洋介の作品に口出しをした亜里沙との揉め事、亜里沙との別離、…洋介の後悔… 事の顛末がすべて映し出されているように見えた。空と海は…どこまでいっても交わらない…という描写は、打ちひしがれる洋介そのものに見えた。
だからこの絵本、亜里沙との別離の後に手を加えられて今の形になっている気がしている。洋介の苦い経験を元に… 亜里沙への詫びと反省と亜里沙への募る想いを反映して作り直されたもので、…でも未だに亜里沙には届いていない(読まれていない)んじゃないだろうか… (読んだけど反応してもらえなかったと洋介は誤解している?)
亜里沙には…洋介の「自分にみえる世界」への不満、その世界から出ていこうとする行為…、それを悲しんでいるととれるセリフがあった。公開されている「みんなのせかい」とは齟齬があるように思えたので、亜里沙が知っている「みんなのせかい」は、手直し前のプロトタイプだったって想像してる。
しかし、もし本当に…この「みんなのせかい」が亜里沙と揉めた作品だと解釈するなら、当時の2人の事態はより深刻だ。亜里沙が身近にいたのに… 洋介は亜里沙に心を開いていなかったってことだ。
確かに、これは亜里沙にとって受け容れられぬことかもしれない。
…だが、少なからずこれは作家の業だよね。作家はうつろう精神を作品に反映するもので、必ずしも一貫したロジックを連ねるものではない。これを受け容れられる広い懐が…作家のパートナーには必要に思えるが、亜里沙が改めて現れたということに…この3年の間に…そういう成長があったことを窺えるのかもしれない。
さて、もう一つの関心が… 永遠がこの絵本にいったい何を見出していたのか…ということ。…切ないながらも…ネガティブな心情が表に出ているこの絵本に… 何か共感できるような境遇に…永遠は居たのだろうか…
彼女の境遇もセンセーショナルな取り沙汰がされる割に、曖昧なまま話は進む。親友との楽し気なコミュニケーションを交わす反面…「両親が共に自殺」は思わず息を呑む。何となく「近くて遠い人たち」的な人間関係を想起するので、その辺りに共感したのかもしれない。
…ただ、何となく洋介の込めた意図とは別の価値を、この絵本に見出している可能性も感じていて面白い。(永遠のキャラクターならあり得る。)
洋介も、そこに何か新たな気付きを得たのかもしれませんね。良い関係だなぁ…実は作中で多く語られる「大人と子供」の話は… 私にはあまり刺さっていない。大人と子供で差がある話に思えなかったからかな… 作中、子供だからと変な線引きをする人も、大人だからと理不尽な責を求める人もいなかった。なんか優しい世界だったよね。
Re:take ( reload )
fuzzy m. Arts
シアターココ(愛知県)
2018/06/08 (金) ~ 2018/06/09 (土)公演終了
満足度★★★★
のっけからICUで臨死を窺わせる深刻な状況設定…されどそれを真っ向から突き崩すようなコミカルな登場人物(?)たちによる出だしで…不思議な雰囲気でした。
以降、ネタバレBOXへ
ネタバレBOX
(続き)
主人公レレの記憶を次々と遡る旅路…それに付き合わされる母ヨウコ。様々なエピソードを交えつつ…再生される記憶は…どうしたって何かしらの事件の真相を明るみにし…何かの解決を…さもなくばオチを与えてくれるものと思われた…が!…「あの子の意識に入って助けるんじゃないの?」というヨウコのツッコミが、まさしく観客の気持ちを代弁する。
しかし、そこにあったのモノは… ただ丁寧に… 愚直に… ひたすら積み重ねられたレレの人生だけだった。(一部、ネタとして捏造があったけども笑)
もちろん… 「何もなかった普通の人生」… とはとても言えない…コミカルで波乱万丈とも言える…賑やかな人生だったが、何かを成したか?… といえば、胸を張って威張れるほどのものは何もない…
…しかし… しかしである。
確かに彼女は… 彼女の、彼女だけの人生をちゃんと生きていた。その早逝を他人に憐れまれる筋合いなどなく…。
正直… 悔いが残らないはずないと思えるその死に方に際して尚、それをあるがままに受け入れるレレの心情は非常に印象深い。
そして、その遺志を胸の内に昇華する母の姿もまた味わい深いものでした。
最後の数分に想いが凝縮されている感じがしたなぁ。でも…ではこの最後だけがあれば良いのか?…というと、そういうわけでもなくてねぇ。アレを味わうのに… 実感するのに… あのなが~い時間が必要なんだよなぁ。面白い後味でした。
タイトルに使われる Retake(=撮り直す)のイメージ通り、記憶が次々再生されていく作品だけど、密かに : が入って、Re: (=Reply?)となっているのが「レレの自問自答の対話」や「母娘の対話」を象徴しているのかな…って感じもしましたね。
…で、これだけ感想にすると何か湿っぽいんで言うけど、…芝居の大部分を占める… レレの人生の…その周辺の人たちも含めたハチャメチャさの「笑い」は、かな~り秀逸で… なんかしっかりしたコントをたくさん前座に仕込んでいるかの様でした。
好きなトコ触れると…烏丸兄や小暮父のフリーダムさ、それでいて憎めない感じの滑稽さは良かったね。
ヨウコ&レレの… ダメ男趣味の超似た者母娘っぷり… 母娘双方が自分でもそう思っている悟り感、それでありながら…共に抗えない感じも面白い。
Wストーカーのレレ&チャコ18の…オタク的結束感のあるコミカルな愛らしさはハマる。妙な言葉遣いも良い。すっくと立った河合さんの股の間から顔を覗かせるダミさんという…一種キメラの様な姿でストーキングする楽しげな様子はベストショットでした。そして、ここで出てくるネッシーは、ちょっと想像を絶するクリーチャーだよね。喋り口の陶酔感が何とも言えない(笑)
レレ&チャコ14の腐女子トーク。あのリレー創作でBLを一文ずつを繋いでいく妙技は、まるで将棋や囲碁で…一手一手つむいで… 作品(好勝負)を形作るかの様で、内容のバカバカしさとは対照的な軽妙さで良かった。
そういや、河合さんが18でリタイヤするのに、イーダさんが14まで引っ張るのも印象的。被り物しかり、こういうのを容赦なく…徹底的にやるのはファジィの特質だよね。
嗤うファントム
空宙空地
津あけぼの座(三重県)
2018/06/09 (土) ~ 2018/06/10 (日)公演終了
満足度★★★★★
まず関戸さんに最初に伝えた感想は…「空宙空地、遂に芸術作品を作っちゃったって解釈でおk?」でした(笑)(判る人には判る)
ヒリヒリする空気と緊張感。背景を想像しつつ駆け引きを楽しむ芝居…とはいえ、観ている最中はどこが駆け引きか本音か分からない…というのがキモで、敢えて言えば、だんだんと誰の言うことも信じられなくなるというミステリー・サスペンスの優れた融合でした。
以降、ネタバレBOXへ
ネタバレBOX
(続き)
到底そんな時間は無いのだが、ネタを理解した上…2回目で各登場人物の思惑の芝居を楽しみたかった良質の芝居でしたね。とりあえず空宙空地は必ず円盤が出ると信じてるし、作り手は再演できる質と反応の手ごたえも感じているみたい。善き哉。
さて、ちょっとツッコんだ感想を連ねたいけど、言うまでもなくミステリー・サスペンスで「犯人はヤス」みたいなことは言えないので…極力ぼやかすけど、空気も感じ取りたくないという未見でDVDを楽しみにしている方は回避してくだされ。
とても複雑な人間関係と背後関係なんだけど、かなり明瞭に某氏が謎解きをするので、複雑な割には表面的なことはしっかり頭に入る構成です。ミステリーが苦手な人も十分に楽しめるはず。そのくせ、カマかけが盛んに行われて、状況も二転三転するので好きな人でも追っかけるのは結構大変。
そして、核心の人の背後関係は…やはりしっかり謎なのです。そこに深読みしたい人の楽しみが残されている。
ミステリー・サスペンスなんて、かなり好みに左右されるジャンルだから客を選びそうだし、ともすれば空宙空地が定評を築いてきたジャンルと一線を隔しそうなんだけど、広く楽しめる工夫とチューニングがされてたな…という印象。こうやって、作品の幅と客層を拡げていってくれるといいな… と、ストーキング・ブルース以来の緊迫感が大好きな私は思います。
さて、改めて冷静に台本を読んでいくと…、後で明かされる背後関係も踏まえると…この反応はコレでいいの?って思う個所は結構ある。でも、よくよく考えると、コレは 各人の事情の理解と思惑にバラツキがあるってことなのかな。仕掛け側の黒幕にとって、実は各人は思い通りに動いていないんだろうな…とか思える。
つか、黒幕ですら「いまそれ言うか(笑)」って発言が出てきて、「動揺」っていうのが上手く表現された芝居だったなって思う。
一方で、やはり核心の…黒幕の更に裏…HKなんですが。彼の立ち位置と思惑がミステリー好きに残された 深読みの楽しみ。
作中、彼は他者の反応を窺いながら真相を探っていきますが…あの数々の準備は、真相を予め知らずしてできることなのか…って話ですよ。つまり、最初の仕掛けの時点では受動的立場だったとしても、少なくともこの芝居が始まった時点では、彼は分かっていながら相手を手玉に取れる立場で楽しんでいたってことですよね。
そもそもやはり一人ではできないことだし、KTとの共闘は合理的。そしてKTが絡むなら、HKはそもそも首謀者的立場にいた可能性もあるわけで。対するYHの主謀的動きにどこまで独自性があったかは分からないですが、KTの誘導がすべてという空気は十分にある。江戸川乱歩の世界なら、HKとKTは同一人物の可能性すらありますよね~。
そして、ここでの収益が…この入念な準備と細工と時間に見合うか?という話もあって… とてもキャッシュでは見合わない気がする。
やはり、ここは芸術作品ですか? 立場は違えど、趣旨は全く同じかもしれない。それともサディスト的な楽しみでしょうか? あ~想像するの楽し。
ロンギヌスの槍
風雷紡
d-倉庫(東京都)
2018/08/15 (水) ~ 2018/08/19 (日)公演終了
満足度★★★★
「ロンギヌスの槍」は知らなかった。その宗教的な意味はまた学習するとして、彼女は何故刺殺したのか?は観劇を終えた今になっても分かっていない。私の責なのか?これが演出なのか?ヒロインはリアルに17歳らしい。シャープな演技が印象的。リアルな彼女と芝居の中の彼女が交錯してしまうほど、入っていたように思う。それはそれで汗が出る。
鏡の星
劇団あおきりみかん
G/PIT(愛知県)
2018/05/30 (水) ~ 2018/06/04 (月)公演終了
満足度★★★★
役者が2倍おいしい仕組み。役者専念の鹿目さんや2016年観劇マイベスト「棘」の不思議少年からの客演も観れて美味しすぎる。お話もあおきりとしては異色の切り口で観客に挑戦状を突きつけた感。
ナイゲン(2018年版)
feblaboプロデュース
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2018/08/10 (金) ~ 2018/08/20 (月)公演終了
満足度★★★★★
噂には聞いていましたが「ナイゲン」って本当に笑える話ですね。脚本がいいのはもちろんなのでしょうが、高校生を演じる役者さん、演出によってまた面白さが違うと思うので御本家はもちろん、来年のシアターミラクルでの公演も観てみたいです。
劇友さんにDVDなら観たことがあると言ったら「生で観なくちゃ!」と言われたことにも納得しました。
開演時間が遅いのはちょっと気になるところです。
ネタバレBOX
どさまわりさんがかっこつけ過ぎな気はしたんですけど・・・