最新の観てきた!クチコミ一覧

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罪の滴り

罪の滴り

白狐舎

東京おかっぱちゃんハウス(東京都)

2018/08/18 (土) ~ 2018/08/21 (火)公演終了

満足度★★★★

紅王国、白狐舎いずれも未知なる集団。どちらも1テーマを丁寧に掘り起こして劇化し、面白味があった。民家の一室、ダイアローグを交わす俳優の身体のありようを間近に「観察する」自分と、その視線に耐えて身を「さらす」俳優。この非対称性。つくづくえらいと思う。
前半はオウム事件で指名手配された長期逃亡者の男女をモデルとした二人の会話劇、それぞれ別の犯行にどう関与したか、など事件の細部に触れ、実相を探りつつも、そこにいるのはただ二人、その心の行き交いにフォーカスしたいような、そのままにしておきたいような、作者と書く対象の微妙な距離感。後半は主に猟奇殺人と騒がれた実際の事件を題材にミステリー小説を書いていた男と、女性編集者の、ある日の顛末。女の催促にあい、男は書けなくなったと漏らすが、男がどのようにして「書いてきたか」、それゆえ「如何に限界か」が男の口から語られ、協力を申し出た女は口述筆記を始めるものの、それでは済まない猟奇な事態に巻き込まれて行く。
どこかしら既視感のある物語ではあるが、言葉が俳優の体を介して立ち上る新鮮さがあって、それは「この瞬間、新鮮にあろうとする」以外に術のない所に俳優を立たせる「場」の力では、、などとまたテキトーな事を考えた。胡座の足はつらかったが、心地よい「芝居の時間」であった。

ネタバレBOX

既視感のある、と書いたが、前半は実際の事件が下敷きだから当然といえば当然と言える。後半は死の倒錯の物語。交尾中にメスに喰われるオス状態? 死即ち生命という事になるが「死」が相対化される渦の中には若者が嵌まりやすい。宗教しかり、社会運動もある意味でしかり。
編集者という職務は作家に本を書かせる事。懊悩をさらけ出しながら惨殺事件の再現描写を(口述筆記する彼女の前で)のめり込むように語る作家は、作品を上げることの代償、即ち自分自身が殺人者となる事(恐らくその心境に近づく事)のダメージを、懊悩の内に編集者に語る。「これ以上は書けない(なぜなら殺人者の心境になるのがつらいから・・という意味になる)」そう作家は終始一貫変えない懊悩の表情で確かに言った。だが彼女との会話の中で、いつしかこう言っている。彼女が本心から「書いてほしい」と願うのなら、自分にその心境に近づく手助けをするべきであり、それは即ち彼が殺人に手を染める事(そうでもしなければ作家人生のこの先はない)・・つまりは彼女が自分に殺される事である・・。
この論法を半ば狂気の内に男は女に説き迫り、キリスト者である(らしからぬ風情なのだが)彼女の「信仰」の論理を切り崩して丸裸にさせ、さらに畳みかけて編集者の首を絞めると、彼女は受入れるのだった。
それが望ましい事であり自分の職務でもあると信じた瞬間が一瞬でもあり、殺される事を「論理的に」受け入れた彼女ではあるが、ここには命の価値についての「倒錯」がある。
男が本当に「自分で殺人を犯す」事なしにミステリーを書けなかったのかどうかは分からない。何をやれば男が「書ける」ようになるかは男の恣意に委ねられ、女は「何でも協力する」と言質をとられた以上男が出す条件を飲まない訳に行かない・・というのが理屈だが、この理屈を「なぜ」女は甘受したか、と考えねばなるまい。
作家である男との間に生じたエロスの為せる仕業、が答え。女は果たして、鬼気迫る男の様子、連射される言葉と悲壮感にエロスを抱き始め、エロスの麻酔の内に死を受け入れていったのか、それとも「論理を受け入れざるを得ない所」に立たされた事でエロスという麻酔薬を自ら発散し吸引し始めたのか。しかし恐らく前後関係は実はどうでもよく、こういった順逆は人間の常。
死をも相対化するエロスというテーマは古くて新しく、新しくて古い。
ロンギヌスの槍

ロンギヌスの槍

風雷紡

d-倉庫(東京都)

2018/08/15 (水) ~ 2018/08/19 (日)公演終了

満足度★★★★

(立ち寄ったらえらく難解=意味不明の為推敲せり。)
風雷紡は二年振り二度目の観劇、前回は下北楽園の狭い(というよりせせこましい)空間で、物々しい歴史秘話が展開。d倉庫に移り、水を得たように空間を使い切っていた。役者もそれなりに出来る人達。

浅沼社会党委員長刺殺事件を基にしたフィクションだが、史実とフィクションの境界が不分明な所で、台詞の言葉が仮想世界を構築するためのものか、歴史事実を評したものかが分からず、引っかかる部分もあった。
60年安保の熱気さめやらぬ同年秋に起きた事件が史実、これをモデルに刺殺した少年を少女と設定を変えて主人公に据えている。
性別を変えた事で、一途に物を思う美しい少女、というキャラクターを得た。将棋ならば歩が金になったくらい「使える」。右翼少年も持っていたかも知れないナイーブな「純粋さ」は、男性をイメージするだけで「社会的」には犯罪者だという側面から逃れられないのに対し、女性とする事で「行動した女」の聖性(ジャンヌダルク)が際立ち、犯罪者の姿は背景に遠のく。その彼女に対しドラマの側が「現実」を突きつけていく、という展開になっている。

ただ芝居での主な言及は、彼女の家族関係、そして親の反対を押して入会する事となる右翼団体のこと。学校では左翼が「主流」である中で、右翼の彼女は「浮いて」いたとされるが、政治家刺殺に至る彼女の足跡は、強い意志によるものというより、十代の彼女の心模様の軌跡であった。実際「運動」とは(特に若い時期のそれは)そういった「気分」に左右されるもの。
彼女に大きく影響したものとしてこの芝居で描かれているのは、亡くなった双子の兄の存在。そして病弱な彼と一緒に作って父母に見せた、聖書劇(十字架にかかったイエスキリストの腹を槍でついたロンギヌスのくだり。もしくはそのくだりは二人だけの遊びのネタだったか・・忘れた)である。
ロンギヌスの逸話が語る罪=根源的な罪が、社会的な罪の概念と対置され、主人公が政治家を殺めた罪にも重ねられる。一般に語られる犯罪・罪についての言葉には確かに違和感がある。法を逸脱した者はワイドショーのいじりのネタにされるが、果たしてこの人らは、そして自分は、人を裁けるのだろうか、という・・。人間の本質から「行為」の意味を捉え返して、それは一体どういう「罪」なのかと問う・・「ロンギヌス」の逸話はその視点を与えるものだが、主人公が人間の本質に照らしてどうあったのか、実際よく分からない。
恋愛に似て運動も(時代の空気も手伝って)「熱に浮かされた状態」とされる一方、感性豊かで瞬発力ある若者が変革を為さずして誰が為そうか、という疑問ももたげる。(話は逸れるが..)近代日本は「上」に従順たる人材の育成には成功したが、健全な民主主義を支える自律性の発芽を促さずむしろ摘み取ってきた。戦後経済や技術を発展させた日本が現在負けを喫している遠因には、組織の硬直化・老害、つまりは既得権(前例が重視される)の維持拡大の目的を超えた高次の目的を見いだせない状態があり、「変える事」「変わる事」への恐れが「異論」を排斥する(空気読めないと蔑む)風潮を蔓延させている。
これを踏まえれば(踏まえなくても良いが..)、この芝居の基調には「物事を遂行した者」への肯定的な眼差しがある(たとえ犯罪でも)と言える。その事は批判すべきどころか、演劇がやるべき仕事がそこにあると評価したい。ただし史実としては、「左」派が日本の主流であった事は一度もなく、その「恐れ」を抱かせた現象があったに過ぎない。しかし芝居では当時「左」が世を席巻していたかのような描写があり、主人公の危機感を高め暗殺実行のモチベーションを最大化している。彼女の「歪んだ主観」を描いたと取れなくもないが、いずれにせよ彼女への英雄視の中に「世の危機」が背景として織り込まれる(即ち誤解)。
物語は、最終的に彼女が犯罪者であり「彼」を暗殺する事によっては変革は起きず、ただ一人の個人を抹殺しただけに過ぎない・・そう彼女に宣告するのだが、それでも消えない主人公への英雄視は、彼女の「状況への対応」に向けられる。
時代を現代に置き換え、もし「行動しえた者」を描くとしたら、どうか。非難、または英雄視される存在は、その「病的」あり方を「心」とその来歴に求めるだけで成り立つか。つまり政治的状況への「判断」の正否を問わずに物語化できるだろうか。恐らく、安倍晋三一人殺しても変わらない状況が作られている構造の壁を前にするだろう。
・・この題材を扱うならば、現在あるこの「壁」に引っ掻き傷くらい残したい・・。個人的な願望ではあるが。

猫と針

猫と針

i-LIMIT

アトリエファンファーレ東新宿(東京都)

2018/09/04 (火) ~ 2018/09/09 (日)公演終了

満足度★★★★★

恩田陸らしい密室心理サスペンスを、小バコで堪能しました。

ほんの少しの目線の上げ下げや、抑揚の変化、返答の間合いが、素直な反応なのかミスリードなのか、深読みをしてしまう…話をしている人だけではなく、聞いている人達が見せる表情が気になって、あちこち目を走らせてしまいました。
時折、間のよい台詞で笑えたので、疲れすぎずに心地よい緊張感が保たれました。

初演は見逃しましたが、初演出演の石原さんが同世代役者を集め、初演出演の久保田浩さんが演出した、今回の「猫と針」を観れて満足です。今やりたい芝居を、今やりたいメンバーでやるという企画、i-LIMITの静かな熱量が伝わりました。

そうそう、11年前に読んでうろ覚えの戯曲を、あえて読み返さずに観たのですが、再読が楽しみです。

椅子はパイプ椅子ですが、贅沢な大人向けのお芝居です。7日(金)の昼回までは、チケットがあるようなので、お時間のある方はぜひ❗️

ネタバレBOX

恩田陸ワールドなので、一応の解決はあっても、大団円のラストではありません。そこが初観劇者にはオススメしにくい点です…

役者さん達は、含みのある多面的な演技で、恩田陸らしい不穏な空気を醸し出してくれて、うれしかったです。
「神様のジグソーパズル」

「神様のジグソーパズル」

劇団時乃旅人

大阪府立江之子島文化芸術創造センター enoco(大阪府)

2018/07/29 (日) ~ 2018/07/29 (日)公演終了

満足度★★★★

天才美少女と大学教授親子の元に飛び込む、お隣美少女誘拐事件!
2人は事件を解決できるか?
その裏には時空を飛び越えた奇跡が…

上手い役者さんばかりじゃないけど、公演への愛を感じる。

旗揚でも主演の川村さよさんの雰囲気好き。
小野礼さんの突っ込みも!

テキスト  闇教育

テキスト 闇教育

大阪女優の会

大阪府立男女共同参画・青少年センター(ドーンセンター)パフォーマンススペース(大阪府)

2018/07/27 (金) ~ 2018/07/29 (日)公演終了

満足度★★★★

現代に警鐘を鳴らす『大阪女優の会』
毎年、楽しみにしています。

『テキスト 闇教育』
道徳、歴史、公民の教科書を作るのだが…今回は反面教師に!

色んな資料も拝見できて勉強になった。
でも、資料も(某朝◯新聞の様に)正しいとは限らない。
しっかりと吟味できる人間にならねば!

台風来たけど、何とかギリギリ拝見できて良かった!
幸せ!

流石に、この後の予定は、(台風が来ると分かった時点で早々に)次の日に日時変更…。

真夜中の虹

真夜中の虹

劇団子供鉅人

HEP HALL(大阪府)

2018/07/26 (木) ~ 2018/07/30 (月)公演終了

満足度★★★★

久しぶりに劇団子供鉅人さんの「『真夜中の虹』再演」を観劇。

ホテル、大きな家、近くの家、心霊スポット、ロケ、兄妹が繋がってゆき…

子供鉅人さんらしい息をつかせないドタバタアクションの連続なのに…
少し迷惑で、でも憎めない、どこにでも居る人達の肌の温もりが、じんわり伝わってきます。

観劇後、優しい空気感に包まれます。
ちょっと幸せになれた気がした。

マナナン・マクリルの羅針盤 2018

マナナン・マクリルの羅針盤 2018

劇団ショウダウン

船場サザンシアター(大阪府)

2018/07/28 (土) ~ 2018/07/29 (日)公演終了

満足度★★★★★

『マナナン・マクリルの羅針盤』を拝見するのは…
DVDでは数知れず、
劇場でも初演、2015、2018と3度目の観劇!

ストーリ、情景、結末 全て知っているのに…
感動しました。 涙しました。

3度目の観劇、良かった。
回を重ねる毎に、感動要素がアップしてます。
観た人も、観てない人も、オススメな公演です。

hang on 魂

hang on 魂

MousePiece-ree

HEP HALL(大阪府)

2018/07/19 (木) ~ 2018/07/22 (日)公演終了

満足度★★★★

MousePiece-ree『hang on 魂』千秋楽を観劇♪

今回も謎のゲーム、その餌食となったのは…
愉しい!
やはり3人集まると、爆発力、破壊力、半端ないです!

詐欺集団 Mass of liesとは?
ラストの大どんでん返し、面白かった。

ダブルコール、観客への感謝の言葉 四文字熟語で…

『八代亜紀』って、
何?


3人のおじさんパワー炸裂に対して…
半劇団員の大沢めぐみに、美津乃あわさん、そして何より、
オーディション枠の吉元遥さんが頑張ってられました。

あ~ぁ、楽しかった!

ミセスフィクションズ夏の振替上演・上映会

ミセスフィクションズ夏の振替上演・上映会

Mrs.fictions

駅前劇場(東京都)

2018/08/17 (金) ~ 2018/08/20 (月)公演終了

満足度★★★★

Mrs.fictionsの長編舞台初観劇と期待した「月がとっても睨むから」の代わりに、『花柄八景』を映像で観た。ある劇場主催の落語縛りの企画に書き下ろしたものという。落語好きにも嬉しいディテイルが押さえられているだけでなく、ドラマトゥルギー的にも一々適ったりの筋立て。
TVで大失態を演じ、弟子にも逃げられた失意の師匠のくだりが一景、以後パンカーのカップルや、謎めいた少女、訪問販売員となった元弟子が師匠の部屋を出入りするようになる。八景とも師匠の部屋が舞台だが、バラエティに富む各場面とも収まり良く、景ごとに丁寧にシーンが仕立てられているあたりも何処となく落語の小咄の尺と小さなオチを踏襲するかのようで好印象。でもって物語も円満なラストを迎える。
冒頭の師匠の高座での喋り「地獄八景亡者戯」が振りとなっていて、珍妙な連中を弟子に入れて二つ目だ真打だと昇格させている一見元弟子の目にはヤケに映る師匠の振る舞いも、無念の内に実は死んでいた師匠の亡霊か、と。そうみれば納得もでき同情心も湧く。巧妙なのは師匠が既に亡き者なのか、今のは達観しきった姿なのか、確定できない曖昧さを残している点。
仕事の合間に暇を見つけては縁側に座って中の様子をみている元弟子が、師匠の姿を通して落語への愛を見いだして(思い出して)いる事だけは確実で、師匠が幽霊であるか生者であるかはその事にとっては二次的な問題だ。
・・「面白ければいい」言葉には出さないが、型破りなキャラと喋りのパンク男とパンク女、掴み所のない少女を通して、師匠はそう言いたいのではないかと想像されて来るし、実際観客は彼らの喋りを面白いと感じる。もっと聴いていたいと思わせる喋りの魅力を放たせるのに成功している。(「ねえ、あれやって」と少女に乞われてパンク女が一くさりオープニングを語るのが「シド&ナンシー」で、彼女が最大のリスペクトを捧げてそれを語り尽くすだろう事が全身から伝わって来るので、さわりだけやってお茶を濁したようには全然見えない。)
こんな落語があって悪い事はない、こんな落語家のなり方があっても構わない、落語の定義など誰が知っていようか・・そこに落語がある、そう思われればそれは落語だ。そして江戸の粋、これを説明する無粋を働きはしないが、武骨で馬鹿正直なパンクゆえにぶつかりあっているカップルは存在そのものが落語の登場人物をそのままにして体現しているし、「自分には何もない」事を一切恐れない存在である謎の少女も、相通ずるものがある。
彼らとのハチャメチャな師弟生活を営む師匠を眺める元弟子の眼差しも(恐らく)変化して行く。2013年の5人芝居。

「七夜月、愛でて」

「七夜月、愛でて」

あみゅーず・とらいあんぐる

千日亭(大阪府)

2018/07/20 (金) ~ 2018/07/22 (日)公演終了

満足度★★★★

初めての千日亭、テンションちょっと↑です。

心がホッとする3話のリーディング公演でした。
良かった。

■とうへんぼく
息子が佐渡流しになったおせきは…
優しさで立ち直れる!
利平の優しさに気づかせてくれた、おさいは何処へ?
おさいさんが気になります。

■ご天寿うなぎ
ウナギを可愛く思ってしまったウナギ屋は…
儲かってくると…人は現金ですね。

■真似事
婿入りし、店の為に全てを捧げた父が、息子に店を譲る時、居場所のなさを感じ…
あーっ、私もこんな夫婦になりたい!

空飛ぶ遊園地

空飛ぶ遊園地

自由劇場

神戸大学・出光佐三記念六甲台講堂(兵庫県)

2018/07/19 (木) ~ 2018/07/22 (日)公演終了

満足度★★★★

奥様と二人で観劇。

sundayさんらしい世界観を見事に再現。
毎度の母親退場、異常な教育方針、動念力、吸血鬼、TV出演…
全てが偶然だとすれば、悲しすぎる。
これは、きっと必然なんだ!

自劇さんとしては少々エンタメ少なめ…な感じでしたが、愉しかった。

「Dの再審」

「Dの再審」

かはづ書屋

小劇場 楽園(東京都)

2018/09/04 (火) ~ 2018/09/09 (日)公演終了

満足度★★★★★

4日ソワレ(95分)を拝見。

ネタバレBOX

江戸川乱歩の『D坂の殺人事件』をベースにしたオリジナルの作品は、終演後、台風接近に伴う、折からの強風に向かって「うぉ〜!"演劇"を観たぞぉ〜‼︎」と叫びたくなるような、会心の舞台でした。

まずは、脚本。
『D坂の殺人事件』に関する新事実の暴露、登場人物と『D坂の殺人事件』との意外な関わりの表明…今、巷で話題?の体操に例えると、スタートからフィニッシュまで繰り出す技がいちいちピタリと決まる男子の床運動を見ているような、見事な話の組み立て・伏線の張り方とその回収です。感心のあまり、ただただ唸るばかりでした。

役者陣。
森尾繁弘さん、島田雅之さん、金崎敬江さん、遊佐邦博さんが演じられた法曹三者。
普通、小劇場演劇の舞台だと「そんな若僧が判事なわきゃねえだろう!」的なキャスティングが多い中、今宵の4人はどなたも、現役バリバリの法曹三者と言われても納得のリアリティーを感じました。
それから、基本、新劇の舞台のような緊迫感ある会話劇のためか、個人的な印象なんですけど、田中千佳子さんは俳優座の坪井木の実さん、木下智恵さんは同じく俳優座の香野百合子さんの若い頃とイメージが重なってみえました。
市川歩さんは、登場時から積み重ねてきた「鳩野弘子」のイメージが最後の「判決」の場面で静かな感動を呼び起こします。
山本佳希さんは、舞台上のコンサートマスターとして、終始安定感のある演技で場の空気を締めているように映ります。
黒沢佳奈さんは、確か法学部卒ではなかったはずですが、役柄の背景(実は…)も含めて立派な法学徒ぶり! さらに言えば、今回の「小山繭美」、黒沢さんご自身の生真面目さと役柄が大変マッチしていたようにも感じました。 

では、最後に配役を記しておきます。
折口幸吉(弁護士。「D坂殺人事件」の真犯人は明智小五郎だと主張)…島田雅之さん
箕浦竜平(明智小五郎財団の顧問弁護士)…森尾繁弘さん
須永時子(検事)…金崎敬江(かねざき・ひろえ)さん
笠森武(特例判事補)…遊佐邦博さん
※上記4名は、もともとは皆、明智の弟子。

明智蘭子(明智の養女で明智小五郎財団の理事長)…田中千佳子さん
蕗屋初代(蘭子の秘書。以前は明智の盟友・平田?の秘書)…木下智恵さん
小林芳雄(初代・小林少年。実は「D坂殺人事件」の小林刑事の息子)…山本佳希さん
鳩野弘子(明智小五郎奉賛会・会員。明智の熱狂的信奉者)…市川歩さん
小山繭美(東都大学法学部の学生。実は「D坂殺人事件」の「犯人」の孫娘)…黒沢佳奈さん
1/2error〜きみの棲む街〜

1/2error〜きみの棲む街〜

Nuts Grooove!

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2018/08/31 (金) ~ 2018/09/03 (月)公演終了

満足度★★★★

期待した通り楽しく、切ない芝居で楽しめました。
アンケートにも書きましたが、開演時間が遅れたのは残念です。
(芝居の場合はだいたい慣例の様に遅れますが、アナウンスが有ればイライラしないで済むのかと思いますがどうでしょうか?)

ジャッジノット!!審理編&評議編

ジャッジノット!!審理編&評議編

演劇企画アクタージュ

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2018/08/30 (木) ~ 2018/09/02 (日)公演終了

満足度★★★★

千穐楽、『審理編』~『評議編』両方を観劇

ネタバレBOX

有罪、いや無罪、とこんなにころころ変わちゃって大丈夫なの...でも観ているほうはそれはそれで面白い!
「審理編」では検察官や弁護人の主張を聴く弁論、証人尋問や陪審員からの被告人質問、といった内容を検察側と弁護側との迫力ある攻防が演じられ、
「評議編」では、被告内容について検察官と弁護士が法廷で主張を出し終えた後、裁判員と裁判官とともに被告が有罪か、無罪かの判断を真剣に議論し、この判決で間違いないかどうか迫っていく...
 裁判員と裁判官の生身の会話をそれぞれの個性全開で真剣でありながら肩の張らないユーモアたっぷりに進めていく様子がとても良かったです。
「審理編」あっての「評議編」の面白さ、コメディタッチの法廷劇で、笑い満載で見ごたえがありました。
そして、すっきりした良い気分で帰りました。

 今年、2回目の法廷劇
紀伊国屋サザンシアターで観た「TERROR テロ」は早くに自分の結論が出てしまい退屈なものでしたが、これはとても面白かった。
 
「LOVE」Chapter4

「LOVE」Chapter4

シンクロ少女

OFF OFFシアター(東京都)

2018/08/31 (金) ~ 2018/09/04 (火)公演終了

満足度★★★★

「LOVE」chapter4ということで、Chapter1しか見ていなくても十分入っていける。
登場人物は変わらず、武田君とユミちゃんをとりまく物語だ。
面白い!舞台装置なんかほとんどなくても、役者だけで魅せられる。
ラストシーン見て、これはまだまだ続くのかなと。
この二人はどうなる?

錬金術師-The Alchemist-

錬金術師-The Alchemist-

ファーベルとルーデンス

北池袋 新生館シアター(東京都)

2018/08/25 (土) ~ 2018/08/29 (水)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2018/08/26 (日) 18:00

ベン・ジョンソン作の芝居など初めてなので、せっかくの機会なので観てみようと思いました。
まずは、そのことに感謝。どうして、この戯曲を選んだのか、劇団に英国文学専攻をした方でもいないと、ちょっとやそっとでは上演をしないと思います。
「満を持して」とあるだけに、意気込みは素晴らしい。
フライヤーの決めポーズも美しいし、劇場で配られたパンフもかなりしっかりした作りで、デザインも申し分ない。
台本は先行発売までしていて、200頁にも及ぶようだ。

さて、芝居はというと、ペストの流行で主人が逃げた屋敷は、いかにも荒廃したようにゴミで散らかっており、実はこのごちゃごちゃ感が最後まで払しょくしきれない。長くて難しいセリフに奮闘して、役者さん達の衣装もどんどん乱れ、活発な演技は汗で頭髪を乱す。それは褒められてよい。ただ、新生館シアターという手狭さが、一層慌ただしさと乱雑感を増す。せめて東京芸術劇場イーストくらいの広さがあればなあ。
ある意味、衣裳もシンプルにストレートプレイに徹した方がよかったのではないかな。

さて、舞台の内容なのだけれど、どうもこの時代の喜劇というものが、何が面白いのかよくわからない。
(シェイクスピアしか知らないが)フランスだともう少し、喜劇喜劇しているように感じる。
もちろん、してやったりな部分はあるから、否定しているわけではないのだが。
できうる限り、原作に忠実にしようとしたのかな、原作読んだことないけれど。
でも、他の方もおっしゃっているように、せっかく台本の先行販売を企画してくれるほどなので、こちらの勉強不足も否めないと思います。

ネタバレBOX

ちなみに、フライヤーのように「鋼・・・」みたいなカッコ良い場面はありません。
これ、どうしても、そっちを想像させちゃう画だよね。
キメラの聖櫃

キメラの聖櫃

劇団ショウダウン

Route Theater/ルートシアター(東京都)

2018/09/01 (土) ~ 2018/09/02 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/09/01 (土) 16:00

価格4,000円

主な舞台は人里離れた村で、昨年前半に上演した「ドラゴンカルト」の続編に「ジェヴォーダンの獣」伝承も加えるという中二丸出し(笑)のホラー気味サスペンス。その雰囲気は往年の東映のプログラムピクチャーや映画化された海外古典SFをも想起させる大好きなヤツ。
そんな映画向きな内容を舞台で描いてしまうのがいかにもショウダウンでもあるか。
ただ、ひたすら現代劇で新機軸だった「ドラゴンカルト」に18世紀のフランスの伝承も加えたのは面白くもあり「従来路線(?)」の香りが混入して惜しいような気もする。

ところでドラゴンカルトの流れに融合させるネタが見つかったらシリーズ第三弾もありますよね、ナツメさん。(期待)

なお、観た後にWikipediaの「ジェヴォーダンの獣」の項目を読むと芝居に出てきた用語があったりもしてより理解が深まるかと。

白雪姫 ■東京公演■

白雪姫 ■東京公演■

体現帝国

シアター・バビロンの流れのほとりにて(東京都)

2018/08/24 (金) ~ 2018/08/26 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/08/26 (日) 15:00

説明書きをみる限り、かなり抽象化されている舞台のように思えますが、セクションを細かく分けて多少の改変を(ってオリジナルを読んだことがなくて、通り一遍のストーリーしか知らないのだけれど)なしている以外は、私たちの知っている白雪姫の物語です。

ただ、ここが体現帝国の凄さなのですが、セクションへの解体をし、個々のイメージの多様化を図ることによって、舞台をコラージュと化してしています。そこから立ち現れる数々の陰影は、時として観客を突き放し、時として飲み込み、舞台そのものを地下に蠢く一体の生物と化してしまいます。そこには「白雪姫」という物語の底知れぬ悪意と闇が投影されています。
瀕死でありそうで、けして呼吸を止めない有機体としての生命力が、私たち観客を白雪姫という漆黒の見世物小屋を引きずり回すのです。

あー、疲れた。これ、面白いって言っていいのかな。
観る側を選ぶ舞台ですね。

『川辺市子のために』『川辺月子のために』

『川辺市子のために』『川辺月子のために』

チーズtheater

サンモールスタジオ(東京都)

2018/08/22 (水) ~ 2018/09/02 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/08/24 (金) 19:30

座席1階1列

『川辺月子のために』
ストーリーは、前述の方の書いた通りですので触れません。
でも、前作「川辺市子のために」から、ここまでよく捻り上げたものだと感心至極。
一昨日に前作を観たものからすると、この作品で川辺月子が出てくるというだけ(配られた配役表が兼用だったので前作観劇時に確認済)で、パラレルワールドの話なのかと勝手に推測したのだけれど、全くの続編だったので驚き。

確かに開幕後は、何が起きているのか、混乱するのだけれど。(→ネタバレ)
ある程度整理できた時点からも、驚愕の嵐。

この作品、「川辺市子のために」を観てからでないと、話が全く見えないだろうし、順番逆に観たら、「川辺市子のために」は楽しめなかったろうなあ。やはり、観る順番を示唆するとか、順に観れるようなプログラムにするとかは必要だったと思う。

ネタバレBOX

冒頭、月子が出てきて、小泉ツキ子を殺す場面でまず混乱。すると、海で車中、死体で見つかった女性が市子か月子か判らず混乱。で、男性の死体は誰かも混乱(これ最後まで判らないし)。2人の別の月子があかしに訪れたと知らされてまた混乱。

前作でたっぷりと市子に感情移入した私としては、犯罪に手を染めて、それでも戸籍を得て逃げおおせることに腐心する市子を見て驚愕。月子がツキ子を殺したことを、自らの罪として背負った市子が、次第にそのことをもって月子に無理難題をかけるようになっていくように見えるのも驚愕。

不思議なのは、小泉ツキ子と小泉正雄との親子関係のあまりの薄弱さ。いくら娘が重度の病気を患ったとしても、実の娘の戸籍を奪った挙句、殺されてしまった娘を、埋めに行くか!!!
こうなると、小泉正雄の妻のことがとても気にかかり、離婚したのかどうしたのか。それに、いくら娘の介護が大変だと言っても、戸籍交換みたいな唐突な話に、小泉正雄がそんな安易には乗らないだろう。
このあたりの経緯は続編(?)「川辺むつみのために」で明かしてくれないとね。

なぜ、川辺むつみは自殺する必要があったの?(良心の呵責なんて言っても、あそこまでやる女なんだからそれはなし!)そして、インタビューの夜には熊田百子が来なかったのはなぜ?連絡も取れないようだし。北の小泉正雄の死体運びの謎も解けていないし。やはり続編決定なようですね。
記憶の通り路

記憶の通り路

東京演劇集団風

レパートリーシアターKAZE(東京都)

2018/08/28 (火) ~ 2018/09/02 (日)公演終了

満足度★★★★

名前だけは随分前に知っていた劇団。何と言っても目を引くのが<レパートリーシアターKAZE>なる自前の劇場だ。アトリエを持つ劇団は多いが、間借りのため制約があったり、古びたそれらとは一線を画して、表に高々と看板を掲げた十割自前な劇場である。大久保通りを背にして右手にある天井の高い展示スペース(普段は舞台装置やトラックでも収納しているのだろうか)の受付机で受付を済ませると、左手の建物の1階入口でなく、幅の広い外階段を昇って行く。幅が広いせいか?負担感がさほどない。体感的には2・5階ぐらいか、入ると階段式客席の裏手で、ぐるっと前に回って客席へ登っていく。そこにはこの劇団が望んだ理想的なサイズの劇場空間があった。水が張られた長方形の背後に板があり、照明を当てられた水面の波紋を映して絶えず影が揺れている。天井高く周囲は黒の闇に吸い込まれている。開演後「板」は動いてその浅いプールの屋根となったり、上へ引っ込んだり・・舞台上の視覚美が一貫して保たれ、詩のような幾つかの場面が重ねられていく。
さてその舞台。今年は30周年企画として数公演を掲げ、今回は何年か前に話題となったタイトル『なぜヘカベ』の作者による新作(この作者のものは幾つか上演している)。チェーホフ、ブレヒトと海外作品を中心にレパートリー上演を重ねる劇団の今回の上演は単体で評価できないものがある。(→ネタバレへ)

ネタバレBOX

実に沢山の演劇の「形」がある。私が「演劇」の範疇と捉えているのは、現実の飽きたらなさからやむにやまれぬ思いの発露として現前したもの・・芸術は皆そうだと言えるかも知れないが、そうなのだと思う。
耽美的な舞台、美しさだけを目指したような舞台も、その狂おしさは時間と共に移りゆく現実が美をそこにとどめおけない無常観に由来すると感じるし、結末の見えるような人情芝居もその背後に人の情に与れず去り行く人の背中を想像すれば(ご都合主義が勝ったものも当然あるが)舞台上に美談を作り上げたい動機も分かる気がする。
 と来て、強引だがこの段落で今回の芝居に視線を移す。
 抽象的な表現だし戯曲である、と大括りできる。海外の作家のものでもある。ただしこの作者の作品を(書下ろしで)上演し続けている劇団である。レパートリーシアターとしてあろうとする劇団にとっては、今回の新作も、新たな鉱脈を探り当てようというのでなく、この作者と仕事をし続けている、という側面が重要だと思われるのだ。
 私自身はこの作者の過去作品を一作も見ず、それは今回の舞台の理解にとって当然不利な条件だが、「初見の者に不親切」との理由で不平を言う気になれないというのが正直な気持ちである。
 「言葉」もさる事ながら、舞台上の造形もそれに劣らず抽象的で、何より美的である。そこに何が込められているのか、テキストとの関係が不明である以上この造形を評価する資格もないが、一つだけ敢えて言えば、地上10メートル(くらいはあるだろう)に設置された劇場空間の独特な味わいと、可能性に強く印象づけられた。

 もう一つ、「?」を残したのが役者。「語り」を担う者の佇まいがあったが、演技者という佇まいに見えなかった。感情移入を「しない」形象を意図的に行なっているのか、どうなのか・・そのあたりも独特な後味である。
 冒頭に戻れば、独自の方法論やこだわりは「現実世界に一針刺そう」という気概と裏腹であるに違いない、などと想像してしまうが、残念ながら今回の観劇のみではこの劇団の核を捉えられず。要再訪である。

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