『超速!大陸横断鉄道!』
劇団FUKKEN(腹筋善之介演劇研究会、略して「腹研」改め)
in→dependent theatre 1st(大阪府)
2018/11/23 (金) ~ 2018/11/25 (日)公演終了
満足度★★★★
「昔懐かし鉄道暴走モノ」の態で、様々なパロディ的なお遊びがぎゅっと満載。所々、これまた懐かしさ溢れる空想科学的なトンデモ設定が舞台を賑わす。
一方で日本の貧困問題を揶揄したり、少女の奇行に…貧困層の生きる手段を投影したりと…社会派のピースも散りばめられているが、シナリオの本筋は割とストレート… 本作の醍醐味はむしろ演出にあった… というかそもそもの発想に!
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カメラ(観客視点)が動けないなら、役者達をそっくり動かしてしまえ…と言わんばかりのマスゲーム感溢れるパフォーマンスが生み出す360°全方位立体感。
平面空間だけじゃないからね、驚くべきことに上下にも回ったからね(笑)
アクションが感じさせてくれる「G」から… 素舞台にも関わらず、列車が浮かび上がって見えてくるのが分かる。
あとね、音楽が何やら映画を見ている様な空気にしてくれて、音楽の空間支配力も感じさてくれました。
総じて…3Dアトラクション演劇、そんな空気の濃い作品でした。
なお、異様な死体操作(傀儡?) がちょっと唐突でイメージ湧きにくかったかな。
エネミー×エネミー
ノアノオモチャバコ
七ツ寺共同スタジオ(愛知県)
2018/11/23 (金) ~ 2018/11/25 (日)公演終了
満足度★★★★
原作はイプセン作「民衆の敵」。その翻案作品として、現代…というよりは近未来的な産業の要素(観客には真偽が判断できないもの)を取り込んだところに、この作品のミソがあると思う。
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ネタバレBOX
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原作では、田舎町が町興しに活用した「温泉」を工場の廃液が汚染している事に気付いた医師が、職務上の倫理感と正義感から温泉の利用中止を進言するものの…町の重大な不利益になることから、遂には彼が救おうとした町民からも敵視されていく… という筋書きで、本作でも大雑把な骨子はそれに沿う。
しかし、原作通りの「廃液汚染」であったなら、公害の歴史を知る身として容易にそのリスクが実感できるところを… 本作ではそれが「SUN」なる正体不明のエネルギーであり、しかも土壌から精製される…という訳の分からなさがポイントに思える。つまり、リスクの真偽がまったく実感できない。
勿論、町の体制側の「SUNが安全であるロジック」が全く根拠レスで…如何にも悪役な作りではある。しかしその一方で、SUNの毒性を主張する研究者側(SUN開発者)もまた非常に胡散臭く描かれている。形だけ、レポートが出てくるものの具体的な内容は語られないし、何より…当のSUN開発者であるにも関わらず、何やら非常に楽しそうにみえる。…ここら辺は研究者の性(サガ)と感じても良いのだが、根拠を語らず… 町の産業の生命線である「ミサキトマト(SUNの毒性を含む産物)」の廃棄のみを代替なしで主張する姿には…一種 暴力的な感触もあって、言ってみれば拙速な風評加害の感じも否めない。しばしば揶揄される「似非科学」も想起しました。
だから…原作に沿った展開の主流に対して…もしかしたら何か他に仕掛けがあるのでは???…と思わせる疑念が常に付きまとっていて、非常にモヤモヤしながら観れたのはミステリー的に面白かった。謎の心理学者タカナシの存在も…同様の不確定要素として、とても利いてたな。
つまりは、… 現実の世界であれば… リスクの真偽なんて、そうそう分かりはしない。どんなに誠意のある動機に基づく主張だとしても、相応のプロセスを経なければ伝わらないし、逆に鵜呑みにするべきでもない。そういった「リアルな体験」の風味が原作と一味違う所と想像しました。(原作を読んでいないのであくまで想像。)
当初、SUNの根幹としてミサキ町の土壌そのものの危険性を窺がわせていたところから、それに反して「他の土壌でもSUNは精製できる…」と言い出したところで、ちょっと真意が謎めいたが …(さすがに単なるSUN濃度の問題とは思えないのだが…)、最終的に自らも汚染されていた研究者カオルコの衝撃的な最期の演出で、理屈を捻じ伏せていった感覚がある。
目の前に見えるリスクを受け容れろ…ってイメージの迫力のシーンなのだが、…しかし…やはりそこに至っても根拠は見えない。あくまで感情で押し通そう感じが… ちょっと一流の研究者のソレとは違うな…という後味を残しました。
それとも… 研究者ゆえ、結論が出ていない主張は明かせない… という趣旨だったとすれば、…トラブルシューター足りえない研究者の悲哀…って感じもしますね。
元が社会派原作なので解釈に偏った感想になりましたが、演出上の面白さも色々豊富。大勢のキャストがストップモーションで動き出すシーンは… なるほど絵画を思わせる流石の訴求力です。
第9回公演「お前とお前は帰ってよし」
The Stone Age
TORII HALL(大阪府)
2018/10/05 (金) ~ 2018/10/08 (月)公演終了
満足度★★★★
タイトルを観て「行こう」って決めた公演。勝手にコメディかと思ったら全く違った。
登場人物すべて、過去と現在の苦しみとか痛みを抱えてて。
最後まで話さなかった、優子の父が最後に叫んだセリフに涙腺決壊です。
泣けました。めっちゃ泣きました!
スカイハイツへようこそ
南森町グラスホッパーズ
谷町空庭(大阪府)
2018/12/22 (土) ~ 2018/12/24 (月)公演終了
満足度★★★★★
気がついたら、このスカイハイツ 入居のしおりを弟から隠した姉 退居の方法 今弟は、目の前にいる ここは何 事故の後の弟を知らない 手術中に逃げ出した 死んでいて また別れが怖い 乗り越えれば出られる 乗り越えなくてはならない事は、ユキ サトミ ソウタ それぞれにある。「自分の場所 自分が見える 相手が見える 見えたら大切にしよう 自分と同じだけ大切にしよう」 乗り越える事に繋がる。
スカイハイツは、閉じ込めた記憶 心を助ける場所 少し誰かと関わり 見える自分。特別じゃなく誰にでも起こる事 迷う事、時々迷い込んで自分や相手を見る場所と時間が在っても良いのではないでしょうか。私もしばしば現実から逃げ出し、観劇スカイハイツに迷い込んでいる同じだ。自分の足で立つ 自分の場所 自分が見える 相手が見える 見えたら大切にしよう 自分と同じだけ大切にしよう。
ネタバレBOX
気がついたら、このスカイハイツ 入居のしおりを弟から隠した姉 退居の方法 今弟は、目の前にいる ここは何 事故の後の弟を知らない 手術中に逃げ出した 死んでいて また別れが怖い 乗り越えれば出られる 乗り越えなくてはならない事は、ユキ サトミ ソウタ それぞれにある。「自分の場所 自分が見える 相手が見える 見えたら大切にしよう 自分と同じだけ大切にしよう」 乗り越える事に繋がる。
スカイハイツは、閉じ込めた記憶 心を助ける場所 少し誰かと関わり 見える自分。特別じゃなく誰にでも起こる事 迷う事、時々迷い込んで自分や相手を見る場所と時間が在っても良いのではないでしょうか。私もしばしば現実から逃げ出し、観劇スカイハイツに迷い込んでいる同じだ。
女が目覚める あんた誰。ここは何処でしょう。紙飛行機が飛んでくる スカイハイツへ かえでより 気がついたら、ゆきちゃんの部屋に、帰らないと。隣?。そうじゃなくて 窓の外見たら どうやって帰ったら。知らない。帰らないと嫌われる。心配じゃなくて。ゆきちゃん 飲物頂戴 あまーいやつ。別れようって言われたの えーん 帰りたいよう ゆきちゃんも そう思うでしょう 泊めて 寂しい また来るからね ごちそう様でした。(めも 出ていく ゆき)// (ピアニカ)ソウタ何吹いているの。隣に人が来た タカハシ サトミさん ファイル1 飛び降りた ファイル2 3 表札が消えた 勝手に食べ物も増えている、彼氏に振られたって ソウタだけでも 帰れたらいちな。姉ちゃんはここに来た理由わからないの 本当に来た理由解らないの。// 入居のしおり 退去方々 乗り越えて下さい。カエデさんに質問 やってみよ 何を乗り越えたらいいの カエデさんの事教えて。最上階 紙飛行機で返信 (ゆき)が読み飛ばした (ゆきをヤブにらみするサトミ)。上行こ行こ 3人で ソウタが二人が出た後 棚を探す。
戻る(疲労) 行こ行こ 戻る(ぐったり) ソウタ行こ行こ。ムリ // (ぐったり)カードでババ抜き 筋肉痛 2週間連続。二人はどうしてここに来たの 何を乗り越えたらいいのか 姉ちゃんは、だいぶ前に来た弟のソウタは、会社で体を壊して辞めた 林檎と林檎ジュースを売った カートで見知らぬ人から買うわけがない 乗り越えなければいけない事 どこか逃げているのだと思う。 ユウ君と別れる時に言われた 「返せない」向き合うのが怖くて逃げたの。私 ユキちゃんに謝ってくる // ここはいったい何処だと思う 夢 現実 死んでいる 出ていくのが怖いんだよ。コンコン 姉ちゃんなのか 隠したの? 入居のしおり 今日もどうせ出来っこないと思ってた? ソウタは何を乗り越えたら ここから出られると思う。手術中に 逃げ出した お前が現れた。ここは何処だと思う 紙飛行機の手紙を渡す早くここを出て行かないと ここは私の想像の世界。返すよ(入居のしおり)// あー つまんない 早く仲直りしてよ 私もうすぐ帰るよ (お互い想い合うのが解った) ユキちゃん サトミは、帰っちゃうよ (バイオ
リン) 一緒に弾いてくれるの。じゃ 私踊る ジングルベル ジングルベル ヘイ 楽しい 昔は こんなに、頼りに成る姉を演じる必要もないんだ 姉ちゃん 僕は生きているよ 事故 リハビリもした 信じてくれる やっと帰りたいと思った。じゃ ソウタ 先に帰っとくな。私も行こうかな。僕も自分の足で立たないと 気付かせてくれてありがとう また会おうね じゃ。1人か いつも回りに誰かいて、自分の足で立つ 自分の場所 自分が見える 相手が見える 見えたら大切にしよう 自分と同じだけ大切にしよう。
調子に乗れ!
オイスターズ
七ツ寺共同スタジオ(愛知県)
2018/11/15 (木) ~ 2018/11/19 (月)公演終了
満足度★★★★
いつもながらの超発想で展開する不条理空間に…いつもと一味違う演出要素が組み込まれて、様々な「調子に乗る」を味わうことができました。
アノ人たち気になってしょうがなかったし(謎)、そして藤島さんには何度も殺されました(笑)、むっちゃ怖いでホンマ。
DDDD -デス屋で働くデーモンなダーリン-
劇団アルデンテ
アトリエ・ゼロ(岐阜県)
2018/11/16 (金) ~ 2018/11/18 (日)公演終了
満足度★★★★
青天の霹靂、突然 突き落とされた闇の中に輝いて見えたモノは…更に漆黒の闇だった。思い遣りのベールに包まれたエゴのぶつかり合いや…人の想いの飾らぬ本質が…対照的に舞台に踊り、剥き出しになっていく。そして一人… 異なる視点で事態を眺め暗躍するモノに…投影されている何者かを感じた時、何ともシニカルな気分になれた… 後味惹くねぇ。
私はつい心理面や人の闇を窺ってしまうけど、…カッコよくて、コミカルで、キモくて、エロい… 様々な楽しみもてんこ盛りの舞台。
「トリビュート」~4つの楽曲から着想する短篇集~
劇団太陽族
四天王寺スクエア(三重県)
2018/11/10 (土) ~ 2018/11/11 (日)公演終了
満足度★★★
思ったよりバラエティに富んだ味の短編集。ビートルズへの造詣が無くてもとっつきやすいコミカルなところから… 途中で大幅に舵を切る。特に最後は、世相を反映した…と簡単に一括りできない…暗喩の効いた発言もあって、解釈には深読みが必要そう。いずれも当時の世相や歌詞の意味も分かって観ることができれば、味わいももっと深いのだろうね。使われた曲の歌詞の和訳を検索して少し眺めただけでも、ちょっと感じるところがあった。
月見里教授と箱
劇団芝居屋かいとうらんま
御浪町ホール(岐阜県)
2018/11/09 (金) ~ 2018/11/11 (日)公演終了
満足度★★★★★
本作品の中で飛び抜けて強い印象を残す…「教授の箱の中身」が現れるシーン。この芝居の全てが このシーンの為に用意されていたのだ…と思える鮮烈さでした。
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【続き】
何度となく重ねられた教授の声でのモノローグが…実は夭折した妻の言葉であったという大どんでん返し。自ら「空っぽ」と称していた教授の中を埋め尽くしていたモノの正体… その深さと重さに…久し振りに比喩でなく落涙してしまいました。
老いた頭の中に…なお鮮烈に蘇るウェディングドレス…「2人の絆」と「2人を別つモノ」…という真逆のWミーニングとして利かされたリボン… そしてそれがラストシーンにまできっちり枝葉を伸ばす。ちょっと綺麗すぎだろ…とまで思ってしまうエンディングでした。
ちょっとこの流れだけ…やたら鮮烈過ぎて、他の要素とのバランスとしてどうなんだろう…って逆効果まで心配してしまう位でしたね。
「長く生きれば生きるほど…馬鹿になっていく」という冒頭のモノローグから、老いや痴呆を想像させる出だしだと感じていましたが、実は教授の知性の高さ故に、言うほど「老い」は伝わって来ていませんでした。だから、ちょっとギャップを感じていたのです。でも…これは誤読…というか妄想かもしれないけど、実は教授は… 妻との色々なことは「老い」で忘れてしまっていて、…でも無意識の判断や行動に根ざすものとして頭に残っていた状態だったのかな… それがあのシーンで蘇ったのかなと思っています。それだったら「老い」も腑に落ちて ギャップも埋まるのですが、さて(;^_^A
それにしても、「謎の人」と教授の会話は…コミカルに仕立てられているけれど、禅問答じみていて、とても深淵でした。導く立場であったはずの教授が…いつのまにか立場が逆転して、謎の人に導かれていく… 気付きを与えていく謎の人の振る舞いが…実に良く、「では… あなたの、たった一つの、箱でございます。」と言って大仰な礼をしてみせる姿にぞくぞくしました。
猿渡サイドの話も、教授の研究を窺わせたり、サスペンス物として面白かった。猿渡の狂った感じや教授の為人を現す「会話の妙」として序盤の牽引役。猿渡の箱の中身もなかなか興味深くて良かったのですが、如何せん妻の話がインパクト強すぎて、… それとバランスする程の演出上の強度が、猿渡側には足りない様に思えたのがちょっと惜しいところ。
篠崎と日向は… 教授の35年に渡る「余生」を意味あるモノと感じさせてくれる味付けとして、とても良かったです。…あと、日向がとても良い娘だったのと、全体として妻路線の話の方が強かったというのもあって、それとの結び付きとして、日向が… 教授に妻を思い起こさせる為人をしている…という重ね合わせがあっても良かったんじゃ…とかも妄想しますね。
クリスマス「聖しこの夜と」
The Stone Age
TORII HALL(大阪府)
2018/12/22 (土) ~ 2018/12/22 (土)公演終了
満足度★★★★★
大晦日の夜に自首した男、平田信 平田を17年間かくまい続けた女、斎藤明美。 物語は自首の前日大阪 奇跡は起こらない 。笑いと苦しみとバカ騒ぎ 色んな想いが詰め込みのクリスマスイベント 良かった。
ネタバレBOX
大晦日の夜に自首した男、平田信 平田を17年間かくまい続けた女、斎藤明美。 二人の最後のクリスマスの夜の物語。平田信が、自首する時の2人の心 実行犯の1人として 自首した際に虚言だと思って追い返されたニュースが記憶にあります。
17年匿って 自首 別れ サリンを撒かないで していない 冤罪 神を間違えた 旅行先 海外 行けない 飛行機乗れない 大阪地下鉄 中央線 高井田から 自転車中央大通り 大阪城が見えてくる 新幹線の切符 俺は君の何。大切な人。結婚届 ネットで取れる 何年かかるか 結婚しよう おばあちゃんになってる 神を間違えた 悪い事はしていない。自首 本当にいいの 冤罪になるかも。 30分に詰め込まれた 別れを目前に 女と男の想い合う現実感の物語。普通の人が、どこかで間違えて、大きな犯罪の一翼を背負って罪を犯しおてしまう。隠れて逃げて。物語は自首の前日大阪 奇跡は起こらない 。
ライヴ と 一人芝居 ジャックと豆の木
笑いと苦しみとバカ騒ぎ 色んな想いが詰め込みのクリスマスイベント 良かった。
ハンザキ
演劇組織KIMYO
名古屋市東文化小劇場(愛知県)
2018/11/01 (木) ~ 2018/11/04 (日)公演終了
満足度★★★★
派手な演出やダイナミックな舞台美術が目玉の劇団ですが… 今回もそこらに手抜かり無しですが、そこよりもむしろ目を惹いたのが妖怪の佇まいと動き。地味だけど繊細で飄々と事を成す。特に件(くだん)の身のこなしは秀逸。ここで秀でる事で他の派手さとのメリハリも効く。
そして主人公 山彦に向ける妖怪の眼差しの暖かさ、必死に最善の選択肢を探り…苦渋の見極めを計る山彦の成長、双方から溢れる想いが素敵でした。そして、終盤、信じるモノへの懐疑と戦う新平の姿が、黒歴史をモチーフとした本作において、欠かせないものに思えました。
カノジョまでの距離、そのあらゆる線分の長さ
Pinchi番地
ナビロフト(愛知県)
2018/11/03 (土) ~ 2018/11/04 (日)公演終了
満足度★★★★
設定の年代以上の懐かしさを感じさせる青春群像劇… それでもしっかり現代の社会形態にハマっていて、それゆえ返って人間の変わらぬ精神的営みも感じさせる。
ロードムービー仕立ての演劇…曰く「ロード演劇」も、…決して単純な流れではなく、2つの時間軸/旅を絡ませる趣向で飽きさせない。(私の気付きではないが、推カケ☆批評塾の語る会で、『過去と現在のパーティで、1人だけ人を入れ替えて時間の識別を容易にしたり、車の向きで時間軸を切り替えたりの工夫が、分かり易さに繋がっている。』との意見があって腑に落ちた。)
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ネタバレBOX
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そして遂に2つの時間軸が重なって、ちひろとまひろが同時に舞台に存在したシーンにもドキドキしました。
また、全般的に中堅役者陣の手慣れた演技が素晴らしい。
それでいて若手との噛み合わせも良く、まひろ役の森万尋さんはリアルの高校生だそうだが、とても活かされていたと感じる。すごく馴染んだ感じで人間関係や挙動がとてもリアルに伝わった。(もちろん、彼女自身の演技力の成果であることも疑いない。)
さてタイトルが暗示する様に…「人間を隔てるモノ・距離」が物語のモチーフになっている様で… 物理(地理)的、心理的、時間的、そして生死を分かつ境界までもが様々な"カノジョ"との間を隔てる。
恵太からのちひろへの距離がメインモチーフになっているが、群像劇仕立てのため、性別年齢に関わらず… 関係性を取り沙汰される多くの相手が、皆、タイトルで言う「カノジョ」であるように思えた。
一方、群像的な拡がりゆえに観る側の興味が発散したり、どうしても個々に深掘りする時間が足りなくて、…観る側がどう取っ掛かりを得られたかで印象はだいぶん違いそうだ。取り敢えず私は、各人が抱える様々な負い目の有り様なども合わせて、コミュニティにおける青春そのものを…ありのまま見せられた… そんな印象で受け取りました。
「距離」にフォーカスし、テキストの投影やイスの配置等でそれを可視化していく試みにはだいぶん興味を惹かれましたが、何となく「遠い」か「近い」かの二極しか伝わってこず、微妙な距離感としては、結局役者の演技に依存してみえたのがちょっと惜しいかな。
タイトルの雰囲気から、すごく理屈っぽいところも期待していたけど、基本的に感傷の世界がほとんどだったのは少し残念。冒頭で行われる「イス取り」的演出が印象的で、チラシ絵にも繋がりそうだったので、そういうのをもっと活かしてもらった方が好みだった。
最も印象に残っているシーンは、アイドルひなたんが、黄泉比良坂に現れた母と誤認して自分に抱きついてきた まひろを…見ず知らずの赤の他人であるにも関わらず… 抱きしめ返すところ。
なんたる抱擁力、そして自認する自らの使命に殉じる覚悟の大きさよ。
小ネタとして、りゅうのすけの駱駝演技、生けるカーナビ、口裂け女ばりの久美の追走シーンは気に入ったところですね。
そして最後に… 1つ設定に深淵さが感じられたのが… かよの盗癖。
本人曰く、周りに忘れられてしまったモノを救う行為…なのだが、…他の登場人物の人となりとはかなり異質で、だからこそソコに大きな意図があるのではないかと思う。実際、亡き夫に固執し続けた久美が…かよとの関わりの中で、故人との適切な距離感を見出したように見えた。ただし、かよ自身は何の自覚もできないままに、久美が勝手に気づき納得した展開が面白く…故に観客にもその行為の解釈は委ねられている感じ。ただ、久美は再び夫に手紙を届ける行動に踏み切る結末なので、私が感じたことは的外れだったかも。 ま、久美の行動が衝動的で一貫していない可能性もあるけどね。
ワンラブスーサイド
南山大学演劇部「HI-SECO」企画
南山大学名古屋キャンパスHB2教室(愛知県)
2018/11/03 (土) ~ 2018/11/04 (日)公演終了
満足度★★★★
今年も当たりを引いた学祭公演。振れ幅多様な短編群に、代替りしても楽しませてくれる予感が溢れました。
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「魅せられて」
舞台上に「飛び道具」しかいねぇ!… 奇人変人が飛び交いボケを放ち続ける大空中戦。それを1人で受け止めるツッコミ役ヒロインの頑張りも目立ちましたね。普通の会話劇とは異なるツッコミの呼吸への課題はあるものの、…何となく演劇にしては漫画的な新鮮味を感じました。背後に書き文字が見える(笑)
ハイテンポの展開に不条理劇の味わいもあって、掴みの演目としての役割を充分に果たしていましたね。
ただ、ひたすら斜め上を行き続けた展開ゆえ、…選択肢の少ない最終局面で…返ってオチが予想できちゃったのが少し惜しかったですね。最後に更に突き抜けた…ここぞという隠し玉が欲しかったところでした。"
「ハナのかぞく」
最後にじわっとタイトルが利いてくる… 老犬ハナの家族の物語。逆説で繋げるセンス。
ハナの視点で…少女シホの家族の中での様子が語られるが… 違和感を少しずつ散りばめて、壊れた家族の姿を浮き彫りにしていくプロセスがミステリーじみていて好みの展開。
関係悪化の両親、ハナの延命/安楽死判断の2つの話を… 漠然と別物として眺めていたら、不意にシホが放った「分からないと思った?」というセリフが…「ハナに対するもの」と「シホに対するもの」のWミーニングになって重なり合い、2つの話を繋ぎ合わせた。そこまで割とぬるめに眺めていた私の心にビビッと響いて、ドキリとしました。
そこから安易に夫婦が和解したりしないのにも重みがあって… 翌朝、母がなけなしの決意で掛けた「オハヨウ」という言葉に…父が一旦 目を伏せ… そこからゆっくり視線を上げ始めた刹那に…溶暗して終わる余韻がとても良かったです。
「パラダイス・ロスト」
衝撃的な価値観で展開する物語は極めて鮮烈。
未来に希望を見出せない…昨今の世相を如実に反映した主人公ケンジを…更に巨大な邪悪さをもって呑み込む「自殺ガールズ」の存在感は凄まじいの一語に尽きる。取り憑いた彼女達の可愛らしい外見から吐き出される悪口のギャップは、大きな落差をもって対象に毒を滲み渡らせる。生前から狂気に取り憑かれた3人の価値観…生の感覚を楽しむ為の遊戯… 死の一歩手前で生を謳歌する危険な遊びが…更に一歩を踏み出してしまうまでの流れは明らかにサイコホラーのそれ。
描かれはしなかったが…まだ遊びのつもりだったのに… アスカに漆黒の闇に引き摺り込まれたミキとサナの最期もちょっと見てみたかった…恐いもの見たさ。
いやぁ… それにしてもアスカの狂気は本当に鮮烈だった。
「私は世界中の誰よりも生きている…」
なんて痺れる辞世の呟き。
締め括りとしてはしごく真っ当な「生きていたい…」という結びが、作品として取り繕っていると思えてしまう程、ピークでの鮮烈さは素晴らしかったです。
そういや…いつの間にか主人公がケンジからアスカに切り替わってたなぁ。
まさしくアスカがケンジを喰っちゃってた感じだ。"
ワナビーエンド
ヌトミック
愛知県芸術劇場 小ホール(愛知県)
2018/11/02 (金) ~ 2018/11/04 (日)公演終了
満足度★★★★★
芝居の実空間は何の変哲も無い場所の筈なのに、独特な言葉の刻みと身体表現が、繊細な駆け引きと不思議な精神世界の深みへといざなう。「音楽的な演劇」を標榜するもミュージカルとは全くの異質、ラップとも一線を画す。地点っぽさもあるが刻みと重ねが別物。
肉体のパフォーマンスも独特で、言葉以上にモノを言ってました。
言葉も音も動きも…体験して初めて伝わるタイプ。
「Q → P」(クーの不可逆反応にローは目覚める)
パッチワークス
人間座スタジオ(京都府)
2018/10/27 (土) ~ 2018/10/28 (日)公演終了
満足度★★★★
遠く愛媛の劇団なのに何という御縁か、つい1ヶ月前…まつもと演劇祭で『「X(キー)」代入解なき代替可分者の対話』という…何とも噛み応えのある…生々しい想いと不安と感情が降り注ぐのを拝見しています。
そしてまたもや数学物理化学の匂いがするタイトルですが、はっきり別モノなので当然別の作品かと思いきや、…いや確かに別の作品なのですが、どうも同じ軸線上にある思考の元での作品でした。
ある「劇中劇」の創作過程、社会に対するモヤモヤ、伝わらぬ想い、伝えられぬ拙さ、溢れる憤り… 本作品でも「同じパーツ」を使いながらも… アプローチを変え、過程に丁寧さが増したことで、見えてくるモノが変わっていた感触がありました。
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「X…」では劇中劇の主宰の苦悩ばかりが伝わってくる印象で、座組内で物議を醸した「主宰の客演陣への対応」は、劇団員から主宰への強烈なダメ出しを介して間接的に表されていました。その強烈さは、それはそれでインパクトの強いものでしたが、「Re:Q→P」では一転、主宰と客演陣のコミュニケーションは舞台でダイレクトに表されるように変わる。そして、それにより主宰の「暗部」が伝わってくる様になった。
マイノリティと多様性を語るための作品制作の中で、「現代社会の危うさ」を窺わせる映像が…数多く出てきます。それは当初はアンチテーゼとして目に映り、何度となく語られる「演劇は社会を写す鏡」という言葉は、その社会を写し取って、演者に…観客に思考を促すモノとして体現される… …ハズだった。
しかし、その想いを強く曝け出すうちに、…その主宰自身が…その「現代社会の危うさ」の一部であることが露見していく。現代社会の危機を示していた筈のニュース映像は… 自分の姿勢が…歪みが巻き起こすリスクを予感させるモノに変容していく。自分が…自分の最も「望まぬモノ」になっていく恐怖。
想像力がないことが問題ではなく… 誰しもが避け得ぬ「自分の想像力が及ばぬ対象」への対処の在り方が問題なのだと感じさせた。
「X~」では、そこまで思いが及ばなかった。それ故に同じテーマを何度もスクラップ&ビルドすることの面白さを感じた。
ちょっとしたアプローチの違いで伝わってくることが変わるのを如実に体験しました。
アフタートークでは「認知の歪み」で他人の思考を勝手に変容させてしまうこと(相手の言葉を… 相手が意図していない受け取り方をすること)への懼れが語られたが、基本的に観客に対して一方通行になってしまう「演劇(本番)」において、観る側の立場でも避け得ぬことだ。そこが面白味の一つではあるのだが、やはり自戒として「多くの解釈があり得ること」は心に刻んでおきたいなと思った。
なお「舞踏」は、相変わらず主宰の如実な心理を暗喩する存在として効果的で、しかも、この劇場の独特な構造を最大活用して2階に舞踏家を配したことで、私の席からはちょうど主宰の斜め上に舞踏の身体表現が存在することとなって、何とも絶妙な視野になった。
園楽
カヨコの大発明
in→dependent theatre 1st(大阪府)
2018/10/26 (金) ~ 2018/10/28 (日)公演終了
満足度★★★★
意外に深く深層心理に落ち込んでいくメンタル芝居に見えた。思考にゴボゴボと溺れていく表現が何とも巧い… それでも息を吐くようにツッコミが出るのにもニンマリ。ネタも歌もダンスも演技も大いに楽しんだけど…もうちょっとこの先の闇も観たかった感じがありますね。
第17回AAF戯曲賞受賞記念公演『シティⅢ』
愛知県芸術劇場
愛知県芸術劇場 小ホール(愛知県)
2018/10/26 (金) ~ 2018/10/28 (日)公演終了
満足度★★★★
大抵ここの戯曲賞作品は生半可な解釈力では歯が立たない上に、今回の演出 捩子ぴじんさんはダンスの振付家!
各々が既成概念を遥かに飛び越えた…「言葉」とその間の「演出表現」の「攻防」が凄まじくて、2作品同時に観た様なボリュームにヘトヘトになりました。
何てったって、素読み30分が110分になるシロモノ。今回もプレトーク、アフタートークが咀嚼の助けになりました。作家と演出家が積極的に言葉を交わしてくれて良かった。
演出構成と人の運用もさることながら、音響もズッシリくる感じが… 人が感じられる全てのモノで襲いかかられた感じでした。
トライアングル・バンケット
アトミック☆グース
千種文化小劇場(愛知県)
2018/10/19 (金) ~ 2018/10/21 (日)公演終了
満足度★★★★
構成的にはオイラーズサプライズを継承した感じ… 勿論、面白い方向で。登場人物たちの隠れた思惑が複数折り重なり、事態が混迷を極める感じはドタバタものとして大いに笑った。サンサンハウスの懐刀・大谷のトラブルシュートの強引さはややに鼻についたものの、それを超えた花嫁の暴走での締め括りは爽快でした。
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【続き】
さて、その絡み合う思惑… オイラーズサプライズの仕掛けの多層多重さに比べると、さすがにおとなしいかな … と、観た"当初"は思ってた。しかし…実は…20"執念"公演としての…劇団としての思惑… 心憎い大仕掛けがあったわけです。
観ていた時、一部にうっすら浮かんだ既視感。私は「披露宴のサプライズ」と「タイムスリップ/タイムマシン」のネタにしか気づかなかったですが、…実は過去15作品と登場人物や事件等が何かしら絡められていた模様で、アトミック☆グースのコアなファンであるほど、心くすぐられる楽しみがあった筈。(私は、タイムマシーンレポート以降しか観ていませんが、それでも楽しかった。)
また、アトミック☆グースの作品は元々全て同じ街で起こっている… 一部は同じ人物が出ているコンセプトだとは、今回のアフタートークで初めて知りましたが、長年続けてきた作品コンセプトが、今ここに結実した感じですね、お見事。
今回のエピソードで好きなとこは、國府の二股疑惑に絡む一連のドタバタかな。
そうそう… 北條の変顔写真疑惑は、まさしく大上さんの現実アテ書きに思えたので、過去作どころか客演にも何か現実と紐づける仕掛けが全てにあるのかも。
楓さんの「普通の役」を見れる稀な機会という意味でも今回は欠かせない公演だったな。なんせ彼女のイメージはデリポで定着してるから(笑)
まさかウェディングドレス姿まで観れるとはね。カーテンコール、そのまま出て欲しかった。
あと、久し振りに田口さんの芝居をたっぷり観れて良かった。実は演劇組織KIMYOでは一番好きな役者なのです。
あおきりみかんの山口眞梨さんも客演連荘で、まさかの着ぐるみ役!
そんな意味でも、今回の客演陣は美味しかったなぁ。
「轟音、つぶやくよう うたう、うたう彼女は」
空宙空地
ナビロフト(愛知県)
2018/10/19 (金) ~ 2018/10/21 (日)公演終了
満足度★★★★★
かなりしっかり骨子は保ったままの再演だったので、根本のところの感想は2016年当時と変わっていない。
2016年の私の観劇ベスト2でもあるし、名古屋市民芸術祭2016・特別賞受賞という客観的な評価も得た作品だから、その根幹のところを改めて生で観るだけでも価値は高いのですが… それに留まらない満足感。再演の価値というか、良い作品を改めてブラッシュアップすること、別キャストで表現してみることの素晴らしさを改めて感じた。
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ネタバレBOX
【続き】
INDEPENDENT 3rd season selectionにおいて「如水」と「シロとクロ」でしのぎを削ったライバル…というよりは同志と言うべきヨネマリさんをW主演の相方として呼び込んだ結果として、母娘の重ね合わせがキーの本作ならではの劇的な相乗効果をもたらした。
やっぱ、キレが半端ない。
タケジュンさんの身体能力も驚きの効果をみせて、早送り的な本作独特の流れに、オーバーアクションやパントマイム感は相性が良かった。
そして、本作の二面性の片一方の空気を担う…黄金のパートペアの相方を新たに務めた藤井さんのト○グ捌きは堪えられんな。
俳優が変わって良くなったと言いたいのではなくて、作品を磨き上げるにあたって、新しい俳優の個性を効果的に使った演出だったな…と思うのです。
もちろん、残す良さもあるしな。山形さんの某役は まぎれもなく本作の巨大な楽しみであり続けました。(Wミーニング?)
脚本面でのブラッシュアップは、辛い展開の中での「関戸さんらしい優しい眼差し」が…更に手を拡げてくれたところがポイントかな。最後のアレで父ちゃん救われたな~って思う。ほんま良かったよ。
そして、本作の代名詞と言っても良い…あの研ぎ澄まされた舞台美術運用。棚瀬さんがパネル芝居と称した…「轟音裏面」とも言うべきオペレーション。結構、演出面でも初演とは違う運用がされている工夫もあって(観た後に初演DVDを見返して気付いた)… その緩みの無さに感心した。初演はまだまだ詰める余地が残ってたんだね…と実感しましたよ。
脚本と演出と演技の練度を上げる…磨いて磨いて…つるっつるになるまで磨いたエッセンス中のエッセンス。このねちっこさは、作品にも投影されている気がして… 何度も何度も同じ言葉が呪文のように流れていき、それを図らずも体現してしまう人間のみっともなさの中に、人生の…ささやかだけど掛け替えのない大切なモノを見つけて慈しむ眼差しを向ける… 空宙空地の真骨頂ですよ。
新春恒例 初笑い演芸会
有限会社オレガ
「劇」小劇場(東京都)
2019/01/02 (水) ~ 2019/01/03 (木)公演終了
満足度★★★★★
面白い\(^o^)/。正月は公演が少ない。当たり前かもしれないけど。やっている観たい公演や映画を見ても時間が余ったので予約してみた。それだけの動機だったけど、当たり!(*^_^*)。あえて好みを言うと、歌を少し減らして、サラリーマン落語か、ひとりコントをその分増やす方が好きだ。来年も観たい!
白雪姫 ▼愛知公演▼
体現帝国
七ツ寺共同スタジオ(愛知県)
2018/10/05 (金) ~ 2018/10/06 (土)公演終了
満足度★★★★★
圧倒されまくりの70分。肉体をモチーフに光と影で操るコラボレーション。
枠が予兆していた様に、随所に絵画的センスが光り、カメラのフレーミングを彷彿させるフラッシュライトの操作が抜群に格好良い。様々なコントラストを感じさせる演出にも目を奪われっぱなし。
絵面のみならず、話のモチーフも人の闇に触れる感じで、グリム童話が活かされている。まさしくダークメルヘン。影とは、己とは、搾取とは、自分を活かすこととは… なんともシニカルな視線を現代にも投影してる。
凱旋の昇太郎さん、凄みと道化が融合してて良かったよ〜。