月見里教授と箱 公演情報 劇団芝居屋かいとうらんま「月見里教授と箱」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    鑑賞日2018/11/10 (土)

    本作品の中で飛び抜けて強い印象を残す…「教授の箱の中身」が現れるシーン。この芝居の全てが このシーンの為に用意されていたのだ…と思える鮮烈さでした。

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    ネタバレBOX

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    何度となく重ねられた教授の声でのモノローグが…​実は夭折した妻の言葉であったという大どんでん返し。自ら「空っぽ」と称していた教授の中を埋め尽くしていたモノの正体… その深さと重さに…久し振りに比喩でなく落涙してしまいました。

    老いた頭の中に…なお鮮烈に蘇るウェディングドレス…​「2人の絆」と「2人を別つモノ」…という真逆のWミーニングとして利かされたリボン… そしてそれがラストシーンにまできっちり枝葉を伸ばす。ちょっと綺麗すぎだろ…とまで思ってしまうエンディングでした。

    ちょっとこの流れだけ…​やたら鮮烈過ぎて、他の要素とのバランスとしてどうなんだろう…って逆効果まで心配してしまう位でしたね。

    「長く生きれば生きるほど…馬鹿になっていく」という冒頭のモノローグから、老いや痴呆を想像させる出だしだと感じていましたが、実は教授の知性の高さ故に、言うほど「老い」は伝わって来ていませんでした。だから、ちょっとギャップを感じていたのです。でも…これは誤読…というか妄想かもしれないけど、実は教授は… 妻との色々なことは「老い」で忘れてしまっていて、…でも無意識の判断や行動に根ざすものとして頭に残っていた状態だったのかな… それがあのシーンで蘇ったのかなと思っています。それだったら「老い」も腑に落ちて ギャップも埋まるのですが、さて(;^_^A

    それにしても、「謎の人」と教授の会話は…コミカルに仕立てられているけれど、禅問答じみていて、とても深淵でした。導く立場であったはずの教授が…いつのまにか立場が逆転して、謎の人に導かれていく… 気付きを与えていく謎の人の振る舞いが…​​実に良く、「では… あなたの、たった一つの、箱でございます。」と言って大仰な礼をしてみせる姿にぞくぞくしました。

    猿渡サイドの話も、教授の研究を窺わせたり、サスペンス物として面白かった。猿渡の狂った感じや教授の為人を現す「会話の妙」として序盤の牽引役。猿渡の箱の中身もなかなか興味深くて良かったのですが、如何せん妻の話がインパクト強すぎて、​… それとバランスする程の演出上の強度が、猿渡側には足りない様に思えたのがちょっと惜しいところ。

    篠崎と日向は… 教授の35年に渡る「余生」を意味あるモノと感じさせてくれる味付けとして、とても良かったです。​…あと、日向がとても良い娘だったのと、全体として妻路線の話の方が強かったというのもあって、それとの結び付きとして、日向が… 教授に妻を思い起こさせる為人をしている…という重ね合わせがあっても良かったんじゃ…とかも妄想しますね。

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    2019/01/03 18:51

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