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時代絵巻AsH 其ノ拾伍 『赤心〜せきしん〜』

時代絵巻AsH 其ノ拾伍 『赤心〜せきしん〜』

時代絵巻 AsH

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2019/12/11 (水) ~ 2019/12/16 (月)公演終了

満足度★★★★★

 脚本に一切無駄が無い。(追記後送 華5つ☆)

ネタバレBOX

オープニングの1分程で、時代背景、時代の価値観、甲斐武田家の家風から当代党首の剛毅、勇猛、厚情、義、人間らしさと寵臣・忠臣らとの心温まる関係と同時に初産の妻を巡る夫としてまた城主として妻子を慮る心根の優しさ、産まれた太郎を片手に抱え、父としての思いを語ると太郎は何かを応えるような反応を見せると同時に尿を放出する。当然この辺りは笑いを獲りに来ている訳だが、こういう形で戦国の世に日常をさらりと組み込んでいる所に女性劇作家らしさを感じる。また、初産を終えたばかりでありながら、産まれてすぐの太郎お披露目を大丈夫か? と心配する家臣らには「そんなにヤワな子では無い」という意を返す辺り、流石に戦国武将に嫁ぐ女子という側面も忘れず加え、日常の中の非常という逼迫感を持たせている。
マクベス

マクベス

DULL-COLORED POP

KAAT神奈川芸術劇場・大スタジオ(神奈川県)

2019/12/12 (木) ~ 2019/12/22 (日)公演終了

満足度★★★★★

 今作の演出で最も気になるのが魔女の、一見ハチャメチャで矛盾だらけの科白を如何に身体化し、この科白の不可解だが迫真性に満ちた予言の怪しいまでに不気味な雰囲気を舞台で視覚化できるか? という点だろう。追記後送 華5つ☆)

ネタバレBOX

凡庸な演出家では、この重要性が分からないからキチンとした芸・芸術に仕立て上げることができないのだが、今作は、この点でも群を抜いている。
 板上は奥にソファ、手前にテーブル。事務所的にも、照明・音響の用い方によっては会員制クラブにも見せ得る。先ず登場するは、マクベス及びバンクォー。オープニングでは事務所風、だが3人の魔女たちが倶楽部ホステスのような姿で現れ、女性の武器を用いて接待を始めると、ダンスの後には歌舞伎町ノーパンしゃぶしゃぶよろしく、中世キリスト教社会で悍ましい者とされた魔女に早変わり、昔は今、今は昔とばかりにその淫靡な性を表す。そしてこの状態で予言を吐くのだ。
正しいオトナたち

正しいオトナたち

テレビ朝日/インプレッション

東京グローブ座(東京都)

2019/12/13 (金) ~ 2019/12/24 (火)公演終了

満足度★★★

如何にも洋物風って感じでした。

ネタバレBOX

子供同士の喧嘩でけがを負わされた子供側の家に集まった二組の夫婦の会話劇。

結局、子供の喧嘩の原因は良く分かりませんでした。薬害についても、ミシェルの母親を含めもっと社会問題化する方向に進むのかなと思いましたが企業の体裁の問題に終始させただけでした。会話によって真相が明らかになるのを期待していましたが酔っ払ってグダグダでは全く以って面白くありませんでした。

皆さんが洋物風を演じている中で真矢ミキさんだけがこんな洋物で申し訳ない、テレビもなくなったし、これから舞台で頑張るから楽しんでいってねと一人気を吐いていました。
五稜郭残党伝

五稜郭残党伝

温泉ドラゴン

サンモールスタジオ(東京都)

2019/12/11 (水) ~ 2019/12/19 (木)公演終了

満足度★★★★★

戊辰戦争で五稜郭後も降伏を拒み、蝦夷地を奥へ奥へ逃げ続けた二人のサムライと、連れになった一人のアイヌ男。「俺たちに明日はない」的な、彼らのロマンとニヒルと人情が温かい。和人のアイヌをしいたげる非道への怒りが舞台を熱くにえたぎらせる。

追う側の政府軍の上官の非情さには恐怖を覚える。薩摩に押さえ込まれた長州の人間で、手柄を焦る気持ちが、その無慈悲な執念に説得力を与える。阪本篤が現実味のある悪役を好演。その執念深さはレミゼラブルのジャベール警部のようだった。

ロードムービーならぬ、ロードプレイ。テンポ、ホンの人物像の具体性、場面と出入りの整理、衣装、日本刀などの小道具、和太鼓の細撥の乱れ打ちなどを使った大音響の暗転の迫力など、総合的な舞台づくりも良かった。

最後の決闘の殺陣も見事。2時間5分休憩なし。佐々木譲の原作を読みたくなった。

ネタバレBOX

祝事の和人の支配人が「アイヌを搾取するのは当然」とあからさまにいうが、実際はもっと婉曲に、自分を正当化していうのではないか。誰が見ても憎々しいセリフを吐かせるのは、わかりやすいが現実の機微を失ってしまう。
Butterflies in my stomach

Butterflies in my stomach

青☆組

アトリエ春風舎(東京都)

2019/12/08 (日) ~ 2019/12/17 (火)公演終了

満足度★★★★★

初日を観てから先週末に体調を崩し、この日は状態が悪ければキャンセルの可能性もあったが、とりあえず無事観劇できてホッとした。2度目ということもあり、初めて観たときの鮮烈な印象はやや薄れたとはいえ、この前とは違うシーンで自分の感情が動くのに驚きが。

ネタバレBOX

そういえば、人ってTVや映画の中だけじゃなくて本当に死んでしまうんだと実感したのは、自分も(7歳ではなかったけれど)祖母が死んだときだった。
月の獣

月の獣

パソナグループ

紀伊國屋ホール(東京都)

2019/12/07 (土) ~ 2019/12/23 (月)公演終了

満足度★★★★★

非常に簡潔だが奥深い舞台だった。家族の絆という普遍的テーマが、静かに静かに浮かび上がる秀作だ。ほとんどは夫(真島秀和)と、彼が写真だけで故郷の孤児院から選んで呼び寄せた15歳の妻セタ(岸井ゆきの)の二人芝居。舞台は1921年のアメリカ・ミルウォーキー。質素なアパートの一室で、時間は経過するが、場所が変わることはない。

時々、語り手(久保酎吉)があらわれて背景を補足説明する。「アルメニアの男は子どもを持つことを何よりも大事にしていた」とか。休憩後の後半になると、もう一人、孤児の少年ヴィンセント(升水柚希)が、時々、二人(3人)に絡み、二人の関係を変えていく。

夫婦の二人はトルコの迫害から逃れてアメリカにきたアルメニア人ということで、事前の宣伝でもそこが強調されていたが、実際の舞台では迫害の話は二人の記憶の奥底にあるもので(特に夫)、前半には全く出てこない。後半になって、夫が封印していた、自分の家族の最期を語ることがいつまでもしっくりこなかった二人の「新しい結合」の一歩となる。が、それにしても迫害の問題、民族の問題は事前に思ったより比重は低く、このドラマは夫婦、家族の物語である。

舞台には、最初からずっと、顔をくりぬかれた5人の家族写真があり、写真屋である夫は、その穴に自分の顔、妻の顔と、新しい顔を張って埋めていく。残った3人の子供の顔も新しい写真で埋めたいのだが、妻に子どもができない。そこに彼の重いトラウマと、何よりこだわる願望託されている

前半は夫が子供を求めても、それにこたえられない妻との融け合えない関係がずっと続く。最初は過去のトラウマで、新床にも入れない妻だが、それを超えて1年経ち、二年たっても妊娠しない。夫はそのためにいら立ち、妻につらく当たる。ここら辺は、今では考えられない、妻は「産む機械」的発想の夫で、何のためにこれを今やるのかと考えてしまった。
そうした発想の根元にあるのが「聖書」で、夫は食卓でいつも聖書を朗読する。しかも、妻は夫に従え、いつもつつましくあれ、と言った保守的な部分ばかり。セタは実は弁護士の娘で、教養も芸術を愛する心もあり、聖書の開明的な部分を暗誦して対抗する場面もある。「聖書」は矛盾したことが平気で共存しているので、ここは面白かった。

2時間25分(休憩15分含む)。戯曲は『悲劇喜劇』1月号に掲載。世界20国で上演されたというが、確かに、

ネタバレBOX

前半の最後に、妻が口をきかなくなって急に「今までそんな態度撮ったことないじゃないか」と夫が焦り、妻のご機嫌を取り出す。真島のあわてぶりも面白かった。孤児院から救ってくれた恩人でもある夫のことを、ずっと妻は「トマシヤンさん」と他人行儀に読んできたが、休憩前の最後に「これからはアラムと呼ぶわ」という。関係が意識的に、妻手動で変わっていくことを端的に示すうまい作劇だった。

そして、後半、妻が、万引きをしていた孤児を家に時々招いて面倒を見はじめる。そこで、最初、ヴィンセントを家に入れることを怒った夫も、次第に変化していく。

「リハーサルのあとで」「人形の家Part2」「カリギュラ」と同じ栗山民也演出。そうであることをうっかりしていて、見ながら思い出した。栗山らしい、記憶と、人間の微妙な関係の揺れを、奇をてらわずシンプルに、丁寧に丁寧に描く落ち着いた舞台だった。栗山イズムというものがあるとすれば、それを体現したような舞台

ラスト、ヴィンセントを入れて三人で「家族」写真を撮る場面で、きゅうに目頭が熱くなった。この「絵」を見るために、この劇のすべてがあったのだとわかった。
Lady Bunnies Burlesque live vol.3  ~Holy Burlesque Night~

Lady Bunnies Burlesque live vol.3 ~Holy Burlesque Night~

Lady Bunnies Burlesque

渋谷スターラウンジ(東京都)

2019/12/16 (月) ~ 2019/12/16 (月)公演終了

満足度★★★★

前半が映画「バーレスク」の全ナンバー、後半がクリスマスソングの構成で休憩を含めて2時間弱、メインの女性シンガー2名、ダンサー数名、女性楽師2名に男性MCが絡むメンバー、最終的にペイスティに至る所謂”バーレスク”とは異なりショーパブ的な内容で、歌に合わせて色々な(勿論セクシーな)コスチュームに着替えるスタイル、歌って踊れる2人のシンガーの本格的な歌唱が何より魅力的でした。

グッドバイ,グッドボーイ

グッドバイ,グッドボーイ

劇団ミックスドッグス

東京アポロシアター(東京都)

2019/12/12 (木) ~ 2019/12/15 (日)公演終了

満足度★★★★★

出演役者6名による
100分間の全力疾走。
舞台上での衣装早変わりでの
演じ分けがマジで圧巻。
(役者さんは大変)
演出もそうだけど
お話もとても面白かったです。

足がなくて不安

足がなくて不安

たすいち

サンモールスタジオ(東京都)

2019/12/04 (水) ~ 2019/12/08 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2019/12/08 (日) 17:00

1人の男と1人?の悪霊の奇妙だけど純粋な絆。
笑わせて最後にほろっとさせる
本当に素敵なお話でした。
個人的には記憶を巡っていく演出が
走馬灯のような感覚でとても良かった。

Cloud maker

Cloud maker

コントユニット TOO

シアター711(東京都)

2019/12/05 (木) ~ 2019/12/08 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2019/12/08 (日) 13:00

6本のコントそれぞれ、めっさ笑った。
アクが強いけど観ているうちに
クセになる笑い。
もっと欲しくなります 笑

期待値の水かさ

期待値の水かさ

SoloSoloProject

エビスSTARバー(東京都)

2019/11/29 (金) ~ 2019/12/01 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2019/12/01 (日) 13:00

動画配信者である3人の女性の歯車が回り、
軋んで、歪になりながらも
再び歯車は回りだす。
三者三様の感情は50分弱の短編と言うことを
忘れさせる公演でした。大満足。

時代絵巻AsH 其ノ拾伍 『赤心〜せきしん〜』

時代絵巻AsH 其ノ拾伍 『赤心〜せきしん〜』

時代絵巻 AsH

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2019/12/11 (水) ~ 2019/12/16 (月)公演終了

満足度★★★★★

硬派な時代劇で、観応えのある舞台でした。その時代を生きた男達の熱い思いが伝わってきて、涙腺が緩みました。役者さん達の熱演も良く、それぞれキャラクターも良かったです。衣装や音楽も世界観を醸し出していて、殺陣も素晴らしかったです。熱い思いを感じる良い舞台でした!

イイヒト、ワルイヒト

イイヒト、ワルイヒト

演人の夜

北池袋 新生館シアター(東京都)

2019/11/27 (水) ~ 2019/12/01 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2019/12/01 (日) 17:00

人の根幹を揺さぶるような重めのフィクション。
主演の二人をはじめ役者陣の演技は
そこにいる人達のリアルを描いていました。
脚本、演出も含めいい作品でした。

いずれおとらぬトトントトン

いずれおとらぬトトントトン

文学座

文学座アトリエ(東京都)

2019/05/09 (木) ~ 2019/05/21 (火)公演終了

満足度★★★★★

真実ってなんだろう、規律ってなんだろう、誰が正しいんだろう、誰がおかしいんだろう、そもそも、正しいやおかしいって誰が決めるんだろう。決めた人は正しいんだろうか。どこの誰から見ても「正しい」と言えることなんてあるんだろうか。
たぶんそんな万能な「正しい」は無くて、それぞれが身の回りにある「正しい」を、時に疑いながら、取捨選択して、自分の「正しい」を見つけたり、作ったりしなきゃいけないんだと思いました。
ずっと笑っていたけど、最後何故か笑いながら泣いてしまいました。

一銭陶貨 ~七億分の一の奇跡~

一銭陶貨 ~七億分の一の奇跡~

文学座

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2019/10/18 (金) ~ 2019/10/27 (日)公演終了

満足度★★★★★

お国のために、こだわりも誇りも捨てなければならなかった時代。
そんな状況下で、たとえ結果は同じでも、こだわりや誇りをギリギリのところで手放さないで、意地で踏ん張った人達のお話でした。

全体的に、少女漫画や少年漫画っぽい軽快さがあったように思ったのですが、
その分、心身ともにボロボロになって戦争から帰ってきた長男、和雄の悲惨さがとても際立っていました。

メモリアル

メモリアル

文学座

文学座アトリエ(東京都)

2019/12/03 (火) ~ 2019/12/15 (日)公演終了

満足度★★★★

難しかったです。
普通に喋ったり、方言や棒読みになったり、特定の箇所にアクセントがついたり。
なんというか、全体的に、人物の動きや喋り方に「なぜ?」が多かったように思います。

音楽やダンスの、セッションのような感じ?で、
登場人物同士が、それぞれ言いたい言葉を発しながら、ときどき気まぐれに交流している感じでした。
そういう中で、その役にとっての真実の言葉と、そうでない言葉を、しっかり伝えられる役者さん達は凄いなと思いました。
こういった不思議な世界観の作品を初めて観たので、とても良い経験になりました。

夏の夜の夢

夏の夜の夢

劇団しゃれこうべ

シアター風姿花伝(東京都)

2019/07/12 (金) ~ 2019/07/15 (月)公演終了

満足度★★★★★

知人に薦められ行ってきました。
小劇場は初めてでしたが、会場の空間全部を使っていて、本当に夢か現実かわからなくなるような時間を過ごしました。ラストシーンが特に良かったです。帰り道、世界にまだ片足を突っ込んだような状態のまま、人間ってなんかいいな...と思いながら電車に揺られました。シェイクスピアでそんな風に感じられたのは初めてです。わかりやすく、観客に寄り添っている印象でした。

終わらない世界

終わらない世界

ジェットラグ

博品館劇場(東京都)

2019/12/11 (水) ~ 2019/12/15 (日)公演終了

満足度★★★★

まだ観たことがないのでさだかではありませんが、
、宝塚の雰囲気はこんな感じなのかな?と、思わせるステージでした。

マクベス

マクベス

DULL-COLORED POP

KAAT神奈川芸術劇場・大スタジオ(神奈川県)

2019/12/12 (木) ~ 2019/12/22 (日)公演終了

満足度★★★★

倒れぬ、シンゾー・マクベス。これは悪夢か、否、悪夢のような現実だ。

ーサド侯爵夫人・わが友ヒットラーー

ーサド侯爵夫人・わが友ヒットラーー

CroixProjec†

インディペンデントシアターOji(東京都)

2019/11/21 (木) ~ 2019/11/24 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/11/23 (土) 19:00

価格3,500円

それぞれ単独でも長尺な2編をオフィス再生の高木主宰の構成・脚本で100分程度に統合しての上演にして文字通り「劇的(「演劇的」に非ず)」。
何が「劇的」って、大きな劇場で上演されるような作品を、エネルギーをそのまま保って小劇場サイズに落とし込んだと言うか圧縮したと言うか密度が濃厚。
また、フルオーケストラによるダイナミックな音楽(しかも大音量)を芝居で使うと時として「何か映画みたい」と違和を感じたり、芝居がチャチだとその音楽の圧に潰されたりすることが多いが、本作は音楽に負けていないどころか音楽を取り込んで作品のパワーにしている感覚。
さて、来年の第三弾はどのようになるのか、今から楽しみ。

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