
ポポリンピック
ゴジゲン
こまばアゴラ劇場(東京都)
2020/01/03 (金) ~ 2020/01/21 (火)公演終了

いけない先生
ろりえ
駅前劇場(東京都)
2019/12/26 (木) ~ 2019/12/30 (月)公演終了
満足度★★★
演者の皆様、癖が強い。(誉めてます)悪い人が居そうで、居ないのが、ろりえらしい。女子高生3人が、大忙し。はちゃめちゃ感があるけど、収まるのが凄い。
劇中のある台詞。「おめでとう」って、嬉しいの、良くわかる。彼女の立場で、あの言葉が一番、心強いと思う。
青春だけど、青春らしくない。
だけど、やっぱり、青春かな。
ろりえは、今の流れというか、おそらく、ポイントになる事柄がタイムリーだなと感じる。劇中の、高校演劇に関する表現や、演劇の持つ力に関しての表現。高校と、大学という表し方のパワハラ。勝手に観た側が掘り下げると考える事柄が散りばめている気がする。
ただ、それを重苦しいホンにしないところが、好きだと思う。
個人的に、岡野康弘さん、尾倉ケントさんの愛らしさがチークの濃さと比例していた。そして、美しいのに、何故かおかん感がそこはかとなく、漂う小見さん。今回、やっと、お声かけ出来て、うれしかった。

ピヨピヨレボリューション公演『Gliese』
オフィス上の空
ザ・ポケット(東京都)
2018/04/03 (火) ~ 2018/04/08 (日)公演終了
満足度★★★★
ポップでキュートな世界観。
暖色系とピンキーな色合いをふんだんに盛り込んだセットと空間は座ってるだけで元気を貰えた。
事前に情報を入れてなかったので、あそこまで歌って踊ると予想してなく最初は戸惑ったが、
そんなもの関係無く巻き込んでくる勢いは心地の良いものだった。
似た作品を観た事が無い、オリジナリティ溢れる作品でした。

マクベス
DULL-COLORED POP
KAAT神奈川芸術劇場・大スタジオ(神奈川県)
2019/12/12 (木) ~ 2019/12/22 (日)公演終了
満足度★★★
言いたいこと、いっぱいなのだが、一番は「演劇って面白い!!」だし、時間とお金使って、わざわざその場所の、その時間の中だけで観ることが出来ないものなんだけど、それが、やっぱ、面白いってなった。
古典は難しいと思うよりも、どう、時代、時代で、表現されるのかが観ることが出来て、ベースがあるからこその色んな古典を観る事が出来るのだと感じた。しかし、日本語訳の美しいこと。シェイクスピアの含みのある台詞って日常会話に用いられない言葉の表現なんだけど、その詩的さが美しい。
それが、鼻につく場合もあるのは、やはり、演者の力が足りないと思うので、そうではない今公演はかなり、凄いってことではないのだろうか。
東谷英人さんのマクベス、好きだ。
バンクォーの大原研二さんも、好きだ。
魔女(以外もめちゃくちゃ沢山)の百花亜希さんも好きだ。

光垂れーる
ぽこぽこクラブ
阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)
2019/11/29 (金) ~ 2019/12/08 (日)公演終了
満足度★★★★
何がしあわせなのだろう。もう一度、会いたいと思う事は、エゴなのだろうか。突然の別れは、人の心を揺れ動かす。わたしは、もし、会いたい人に蘇って逢えたら、幸せだろうか。生きる時間って、終わってから気がつく事ばかりなのかな。私は、まだ、近しい人の死を体験した事が無い。死に関しての考え方も良くわからない。けれど、早すぎる別れであれば、ある程、探し求める気持ちは、漠然とだが感じる。わかるのではない、感じだけだ。わかるのは、当事者だけだ。思う気持ちが大きく、だからこそ、相手の事を深く思い、決断する。その思いは、死者も生者も関係なく。
今作の、ラストに向かいながら
「神様は探していた人に逢えたのだろうか?」と思っていると、静かに答えが語られた。
過去作も色々な提示が物語の中であったが、今作は、ある種、
永遠に寄せてかえす、波際のように、穏やかな愛を感じた。
永遠に、終わることのない、優しさと、色々な愛情を。
また、観に来よう。
演者のそれぞれの役回りが適材適所というか、東京のキャスティングしか拝見してないが、良いと感じた。また、個々の方については、感想を。
比較的、特殊な役回りだった渡辺芳博さん。既にビジュアルは前出なので、観た方も多いと思う。白塗りで、飄々と、going My wayといった感じだが、冒頭と、ラストで「彼」の本当がつながる。
特に、白塗りであるが故に、目の色の変わり方が良くわかる演技だった。「神」が「彼」になる時、愛おしい者に対する気持ちが目の光に宿り、あのラストへ繋がってゆく。
劇中、ほろっとする場面が幾つかあり、ラストで、どっと、涙が出てしまった。
赤いお手紙は香港とかのやりかたのよう。
日本だと、青森や、山形などであるみたい。
劇中の「匂い」にポイント置いてる役の設定が興味あった。「生」に関しての特徴的なところが「匂い」というのも、観劇してる私にも身近で物凄く共感できるポイントだった。死者の世界は、無味無臭なのかもしれない。
個人的に、ラスト近くの女性たちのあの衣装が、もう少し、違うものだったら、良かった。むしろ、普通の衣装ではなく、大きな布をドレス風の方が簡易だけど、ドレスぽさがあったような気がする。あの、仕立てかたは美しくないドレスだった。大事な時に着るという設定なら、考えた方がよかったのでは。
二回目。高橋玄太さんの父親の言葉が、しみじみと心に広がる。実直な彼のキャラクターが、台詞をより、言葉として届けてるなと感じた。親子の愛、恋人同士の愛。生きているもの、死んでいるものの、想いが沢山あそこにはある。でも、きっと、語られなかった言葉が、あの村にずっと、ずっと、風の中や、波の音の中で聞こえているのかもしれない。それは、最後の瑞穂の言葉のように、語られたけど、波の向こう側に消えたみたいに。
でも、きっと、届いてる筈。少し立場が他の人と違う役が、杉浦一輝さんの村長さん。彼が、立場上、きっと、表だって言えなかった言葉も、無念さを残して死んでいったヒトの正直な気持ちだろうなぁと思う。
(未来)を語ることが出来ない悔しさ、切なさ、嫉妬の心を持つのは、綺麗事ではなく、そう思う。
時間が止まったままの人々。
時間が流れてゆく人々。
同じ方向を見ていても、いつかは、歩幅がずれて、手を繋いでいても、その手は、ほどかれてしまう
決断をする。
相手を想い、決断する。
坂本健さんが演じた彼は好きな人にまっすぐ、感情をぶつける。甘えん坊なところも、坂本さんの持ち味を生かしたキャスティング。
湯浅くららさんの演じる彼女は、過去にきっと、辛いことを背負って、彼と出逢うことで救われたのだと感じた。素直な二人のラブラブな感じは観ていて、微笑ましい。湯浅くららさんも、心が強い、それでいて、周りの人を明るくする役を好演。柏進さんの演じるちょっと、優柔不断な彼と、妙齢の彼女、都倉有加さん。柏進さんの両親が「未来」のある二人に語る台詞がとても、良い。婚姻の事だけではなく、広い意味での「人」と「人」の繋がり方の指針のようなものを感じ、あの村の在り方をも、表しているようにも取れた。小山あずささんの演じる母親は、高橋玄太さん父親との対比が面白く、それでいて彼女なりの世界で、また、新たな歩み出しを、高橋玄太さんの父親としていこうというポジティブな描き方が良かった。内田敦美さんと水原睦実さんの親子。現代の多くの人が抱える、そして、誰もがそうなる事が考えられる事柄が描かれている。その二人を支えている不器用ながらも、優しい北村海さん。劇中での、老いによる問題をきっと、彼女一人ではあのような決断は出来なかったと思う。きっと、彼がいたから、母親の未来を、そして、自分がゆっくり、待つ事を決められたと。小河智裕さんの役柄は、ある種、一本線を引いて外からの視点であの村を、人々をみている。とても、私・観客「生きてる」側の世界の役だった気がする。外から来たという設定もそう思わせたと思う。磯部莉菜子さんが、点と点を結びつける役柄だったのではないだろうか。磯部莉菜子さんの瑞穂が、居たからこそ、あの村が生まれた気がする。それが、幸せだったのか、どうだったのか。答えは、わからない。ただ、あの時間、あの場所には、あの村は存在していた。そして、もうすぐ、あの村が消える。
千穐楽が終わり、色んなチャレンジの公演だったのかな?と部外者からみてると、そう、感じられた公演だった。
ぽこぽこクラブだけでは、出来ないことと、ぽこぽこクラブだからできたことがミックスされた今回。旗揚げから観ている
と、過去作はぽこぽこクラブのとんがったやりたい事、実験的なこと、
それぞれのホンを書くヒトの欲求が強い作品で、今回は、それとは違う、より、物語になっていた。ある種、素直な物語になっていたと、勝手に私は思う。
ぽこぽこクラブとしては、色々思う所もあると思いますが、これだけの沢山のお客様の声があるという事、とても、とても、素敵な公演だったと思う。
観劇者と「家族」「恋人」など共通項が多くあり、観ているヒトが自分の物語として観たかもしれない。
公演を観て、観たヒトが個々に想いを持ち帰る。
大事なヒトを想いながら、自分の想いを振り返りながら。

共演者
2223project
小劇場 楽園(東京都)
2020/01/09 (木) ~ 2020/01/15 (水)公演終了

シンクロニシティ2018∞
Sun-mallstudio produce
サンモールスタジオ(東京都)
2018/01/05 (金) ~ 2018/01/09 (火)公演終了
満足度★★★★
この作品、脚本が面白かった。
時間軸が色んな方向に走っていて一見相互に関係してる様に思えない事も多々あったのが、
終盤に掛けてパズルのピースがハマっていく様に絵になっていく様はなかなか無いレベルだった。
完成度が高い作品を観ると得した気分になりますが、この作品はまさにそんな作品でした。
再演をまた観たいと思える作品でした。

シゲル
うめめ
北千住BUoY(東京都)
2019/11/28 (木) ~ 2019/12/01 (日)公演終了
満足度★★★
なんか、帰りの電車で色々場面がオーバーラップする。
写真に写るものは、真実なのかな?形を崩してしまうものは、家族ではないのかな?
家族って、そもそも、なに?
一筋縄ではいかない、数本の縄が絡まっていた舞台を観た。
85分。茶の間で、家族たちの話。ひとり、ひとりが、「本当の姿・想い」を膜のようなもので覆って暮らしているような印象を受けた。観ながら、「この姿はこの人の本当ではない」と感じさせる瞬間があったから。でも、家族の中や、社会の中ではそうして生きているのが当たり前なのかもしれないなーと。後半には、「本当」が漏れ出してきて、観ていると、苦しい気持ちになる。山崎丸光さん以外の俳優さんは初見の方ばかり。春香役の今井勝法さんや、父役の家田三成さん、凄かった。年代的に劇中の問題は、けして物語の中だけでなく、結構、自分の横にぴたっとくっつく、問題だったので、余計、父親や、母親に自分を投影してしまう。特に、山崎さんの母は、子を持つ、親の介護、世間からの眼、切ないというよりも、私の心も痛くなった。あと物凄く自然に舞台上の山崎さんの母の姿が美しくって、単純に綺麗と思ってしまった。
女装が作りこんでいるというわけではないのだけど、肌の透明感というか、ちょっと、びっくりした。
二回目。更に、個々のバックボーンが浮かびあがり、より、ぐっとくる。今日は、父のたけしが、彼が幼少期から兄が居なくなった後の家族での立場など、より、想像ができ、何故、今現在になったのかが、少し感じられた気がする。母の叫びも、より、響いて、落涙。他者が、とやかくいうなよと、心で呟く。家族だから、家族なのに、家族しかわからないこと。世間が、とやかく言うな。ホンが初見の昨日は少しふわふわ、私の頭にしていたが、今日2回目でより、力強く物語が降りてきた。
観ると良い、芝居。
大事なので、2回言います。
良い芝居です。
再再演というのも、納得です。
満足して、会場出たら今日も綺麗な三日月だった。
どの、演者の方も力があるのですが、今作の山崎丸光さんの母:配役。良いです。果てしなく、素敵です。
このキャスティングに、感謝します。

それは、満月の夜のことでした
劇的表現集団「ユメノアト」
東高円寺カットウ(東京都)
2019/10/26 (土) ~ 2019/10/30 (水)公演終了
普段意識の外にあって気がつかないが常に自分を追うように存在する。
「月が綺麗だ」なんて事は誰もが知って居る事だけど観劇後に再確認したくなる様な体験でした。

今、出来る、精一杯。
月刊「根本宗子」
新国立劇場 中劇場(東京都)
2019/12/13 (金) ~ 2019/12/19 (木)公演終了
満足度★★★★
非常に面白い作風でした。
これまでに小劇場で既にやられていた作品を新国立劇場にサイズアップして、
更に生演奏のミュージカル調のテイストも加えられていてなかなか無い作品でした。
特に主演の清竜人さんの空気感は独特で弱々しくも生々しい生きた人間臭い男がリアルでした。
歌声には良い意味でのザラ付きがあり耳に残り、上手い!とかでは無いからこその良さがありました。
また伊藤万理華さんが殻を破らんばかりの熱演をされてて印象的だったのと、春名風花さんの決然とした拒絶感と声の通りがとても良くビリビリと響きました。
車椅子の女性と主人公の、一周回って何故か成り立つ相互依存の様な奇妙な関係は、もしかしたら本当にあり得るのではと思うと考え込んでしまいました。
とにかく清竜人さんが良く、彼の存在抜きには生まれなかったであろう世界観はとても印象的でした。

地球防衛軍 苦情処理係
サードステージ
紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)
2019/11/02 (土) ~ 2019/11/24 (日)公演終了
満足度★★★
ギリギリまで予定が立てられず、当日券でやっと本日観劇。
席に、座って鴻上さんのごあいさつを読む。この方は、本当に時代をきちんとみることが出来る方なんだなーと、高校から舞台を拝見しているが、毎回、尊敬しかない。劇中の、様々な人間は、自分がどの立場にもなり得る。矢柴俊博さんが演じた役柄で、もの凄く共感する台詞があった。
事柄の大小は、あるが「そうなんだよ。許せない感情はどうしようもないんだよ!」と心中でがんがん頷いた。
矢柴俊博さん、大高洋夫さん、もの凄く、良かったです。
大高さんの役柄も、背負うものの大きさと、でも、だからこその苦情係の誕生というプロセスが沁みた
あと、クロムモリブデンのとかげさんのご出演も、楽しみだった。色々な、役柄で登場し、やはり、とかげさんのカラーがバッチリ出ているのは、素敵だった。

コンドーム0.01
serial number(風琴工房改め)
ザ・スズナリ(東京都)
2019/10/25 (金) ~ 2019/10/31 (木)公演終了
満足度★★★
2時間10分の尺は、長く感じない。誰にも、何処にも、様々なモノに、ドラマがあり、そこに生きる人達がいた。
コンドームが天使の輪にみえた。詩森さんの本は、まだ、数作品しか拝見してないが、ヒトが生き生きするというか、フィクションだけど、リアルなヒトたちがいつもいて、公演までの土台作りがとても、丁寧という印象を持っている。演者の方々も、本当に皆さん、素敵な方々だ。
中高生の人にも、観劇してもらいたいなって、感じた。

舞台「DARKNESS HEELS-THE LIVE-」
舞台『DARKNESS HEELS~THE LIVE~』製作委員会
THEATRE1010(東京都)
2019/09/18 (水) ~ 2019/09/23 (月)公演終了
満足度★★
決して世の中の物語は正義だけでは成り立たない、そんな意味では面白い目線からの作品と思いましたし、悪には悪側なりの正義(変な日本語ですが)があるんだな〜と思いました。
また、映像や照明、衣装などの全てにおいて円谷プロさんの全面的なバックアップを感じられ、圧倒的なクオリティを楽しめました。
ただし残念ながら大元のウルトラマンの世界観を私があまりに知らな過ぎて、キャラの関係性を把握するのに手間取りました。
また映像や照明の規模が大きければ大きい程、各役者さん達の細かい表情や演技が呑まれてしまっている気がして、それも残念でした。
また世界観を理解した上で、改めて観劇したら感想も変わるのかも知れませんが…

調和と服毒
Ammo
上野ストアハウス(東京都)
2019/10/17 (木) ~ 2019/10/22 (火)公演終了
満足度★★★
表現は、誰のものなのか?
今作観ながら、根本的な疑問。
今の時代だから、昔だから、その時代背景だけなのか。なにか、そうでないと、漠然と思う。性差なのか。圧倒され、考えがまとまらない。少し、時間をかけよう。約2時間、個人的に横文字名前が苦手だが、序盤に関係性、名前、などがわかるような話の流れなので、置いてけぼり感は全く無く、入り込める。結構、こういうの、個人的に大事ポイント。小説とか読んで、あれ?この人誰?となるとめんどくさくなるやつ。
癖がある登場人物が、多い。人数も、多い。あの、工房の広さでいうと、全員だと結構満杯感があるが、不思議と嫌じゃ無い。絵画でいう、構図が美しく計算されているからだろうか。
ある場展のシルエットで人々が動く所が、流れるように綺麗だった。物語は、いま、語るより実際、観てもらう方が一番良いのだが。
表現に携わる人は、観たら、色々感じ取れるところが多いのでは。
議論している議題も、確かに大事だと思うのだが、なんか、根本的な疑問を感じた。
そこに、宗教観の違いは勿論あるのだが、それ以上に性差、身分、様々な「差別」が今も、昔もあって、それが全ての妨げになっているんじゃ無いかと感じる。「自分」の表現をしたい。
それは、誰しもが持つ自然な欲求でそれが、なんらかの妨げで出来ない事。美を追求するという事、自分を追求する事、本来、イコールでも良い気がする。でも、そうはならない。
前園あかりさんが演じた
役の女性が後半、議論しながら徐々に、抱えている想いを言葉にする場面高揚する彼女に、心の中で「いけ!いけ!言っちゃえ!!!」と心の中で声をあげた。そして、何故か、涙もでそうになった。
中野智恵梨さんの役。彼女は後に劇中の会話で判明するが「女性」として工房で仕事をしている。そこにも、財力や身分の差が関係してくる。彼女も、戦いながら、でも、「自分は・・」という少し、高い位置に身を置いてるような気がした。
女性陣がどの方も凄く良かった。
勿論、男性陣も良く、今回西川康太郎さんがラファエロ役なのだが、ある場面のやばい目線とか、ちょっと、思考的にギリなラインの変態ぽさを感じて良かった。津田修平さんのステファノ。この役での津田修平さんはとても、よかった。ある種、あの時代での権力を大きく持っている枢機卿であるビビエーノ・大原研二さんが、渋さというか、フランクな態度で皆と打ち解けているように見せてるが、一番、締めてる人間。彼には歯向かえない出演者皆さん、良い。ホン、演出の良さ、舞台美術、音響、照明、全てのスタッフワークがきちんと、仕事を仕上げているからだと。
今作、照明がとても、柔らかい光だったような気がする。差し込む光の筋も場面によって異なった気もする。
公演観て、
前園あかりさんの役柄の女性に
花を贈るとしたら‥。
真紅のダリアが
似合いそうだ。

治天ノ君
劇団チョコレートケーキ
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2019/10/03 (木) ~ 2019/10/14 (月)公演終了
満足度★★★★★
本公演は二本目。涙でてしまい、しょうがない。これは、凄い。観ましょう。これは、観ましょう。再再演も、頷ける。もう、眼が痛いです。私は歴史物、あまり得意では無い。が、今作は、歴史物というよりも、あの境遇に置かれた人間の物語が余りにも、切なくて、懸命すぎて、あー、なんといったらよいのだろうか。言葉にすると、陳腐になってしまう。「if」は無いけれど、「皇室」に生まれなければ、もっと、辛くない人生があったのだろうかと。
でも、節子さんと出逢って子供たちも産まれて、「仲の良い夫婦」にはなれたと思う。それだけは、紛れもない「幸せ」だったんだろうなって。ラストの、照明が歴史上の人物の彼等がホノグラムのように、浮かんだ。平成から、令和の時代の私の目の前にいるのかなと感じた。「人」であって「人」ではない。「神」としての存在価値を迫られる境遇であり、そこは「政治」も絡んでくる劇中でも時代が流れて、皇室のあり方も変化するという台詞がある。今の時代とも、かぶる。もう、「神」の為に戦うような国にはならないように、昭和から、平成から、令和に変わったと思いたい。
ただ、ただ、懸命に生きた人だった。ほんとに、生きる時代が違った。
出演されている俳優の皆様も、ほんとに、力ある方々で安心して椅子に腰を下ろして観劇できる。
あ、椅子と言えば、天皇の象徴として椅子があるのだが、座り方での、大正天皇と、明治、昭和天皇との違いが大正天皇の人柄というか、よく、伝わる演出だな~って思った。
戯曲も今回発売されたということで、購入。

KAGUYA ~もうひとつの竹取物語~』/『The Show Stoppers』
G-Rockets
こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)
2019/11/09 (土) ~ 2019/11/10 (日)公演終了

2020年以降の夏
くによし組
インディペンデントシアターOji(東京都)
2019/08/21 (水) ~ 2019/08/28 (水)公演終了
満足度★★★
3話のオムニバス。「忘れる」ことって、つい先だってのEPOCHMANでも感じたのだが、物凄く、物語を生み出すことなのだと今作を観ながら、感じた。
2話目の「私の頭が消しゴム」個人的にじわじわっと、目頭にきた。コミカルな「私の頭が消しゴム」流れではあるのだが、けし子の呟きがジンと来てしまい、暗転で涙をふく。森田ひかりさんの役や、篠原正明さんの役、取り囲む人々が温かい故に、より切ない。ただ、このホンや、演出というのが新鮮だった。依乃王里さんの役が、なかなか、イカしていた。こういった感じって、似合う人じゃないときついので、適役であったかと。勇気無くお声かけ出来なかったが。一話目「セミ人間と恋した夏」は、変則の恋の話。「セミ人間と恋した夏」エゴと純粋さの紙一重感を感じた。自分の「大事な」テリトリーに入ったことによっての差別化は、きっと、どんな人間も持ち合わせているなーと、観ながら思う。
他者を想ってるようでも、「自分」が基準。「晴れた日」三話目。子供のころ、思い描いた「未来」がそうは簡単には訪れないと悟った大人になってしまった気持ちになった。技術、医学、テクノロジーの進化。でも、そこには、明るいだけの未来ではないのかもしれないとか、そして、度々現れる「戦争」というワードが物凄く、頭に残る。今作、表に流れるリズムと、裏に流れるリズムがバランスが良い。観終わって、色々考えたくなる作品だった。
中野智恵梨さんは、美人さんで更に、なんか、面白ビームを炸裂するからズルい俳優さん。こういった役、好き。次回Ammoも楽しみ。クロムモリブデンの花戸さんは、久々に拝見したが、飄々として尚且つ色気がある人だなと。
三話とも、演者の力が安定していて、観ていて心地良かった。
面白いホンだったし、こういった切り口の切なさ、命に関しての感じ方、差別や、戦争、技術の進歩‥‥。
もしかすると、こんなミライが
「来る」かもしれない。純粋であれば、あるほど、人はワガママになるし、ズルくなるし、どんな事をしても良いと思うものだ。その姿は、側から見ると、狂気すら感じる。
ただ、その姿は、真っ直ぐに誰かを想う姿でもある。
表裏の妙。
切なさを切ないだけでなく表現してたと、思う。

You're a Good Man,Charlie Brown
Sweet arrow Theatricals
シアター風姿花伝(東京都)
2019/06/27 (木) ~ 2019/07/07 (日)公演終了

アリはフリスクを食べない
やしゃご
こまばアゴラ劇場(東京都)
2019/08/31 (土) ~ 2019/09/10 (火)公演終了
満足度★★★
再演ということだが、私は初見。以前、伊藤企画公演「きゃんと、すたんどみー、なう。」を観た際に主人公が知的障碍者であった。今作も知的障碍者の兄を持つ弟、その彼女。幼馴染や長く付き合いのある人々のある一場面。
敢えて、「場面」といおう。きっと、私が観たこの「場面」は決してどらちドラマティックな事や、センセーショナルな事ではない。長く続いている生活の「一場面」に過ぎない。だから、小松台東や、ホエイ、のようなじりじりするけど、それが特別に珍しい事柄ではない。だからこそ、ある種身近であるけど、「見ようとしない事柄」だったりする気がした。当事者であったら、キツイ事がある。その状況を打破するのに、魔法使いが出てくる事は無いし、起きたら、全て夢でした的な事もない。そこには、ごく近くに存在する心の動きや、吐き出した言葉が目の前にある。理屈ではわかりきってる事が、本当に正しいか、正しくないか劇中の林先生の台詞が回る。
歩が言う言葉も嘘はなく、しかし、当事者でない私にはやはり、正直、遠くの言葉に聞こえてしまう。
障碍者の身内と障碍者と接点がある人々の共通項。
観ることで、一方通行の見方が変わるとか、共通項が、もっと、広くなることが、健常者、障碍者という「壁」みたいなものが
低くなるのかもと、ぼんやり思う。

ジャガーの眼
劇団唐組
花園神社(東京都)
2019/05/04 (土) ~ 2019/06/09 (日)公演終了