
マクベスの悲劇【3/20(金)~4/3(金)に公演延期】
劇団俳優座
俳優座スタジオ(東京都)
2020/03/15 (日) ~ 2020/04/03 (金)公演終了
満足度★★★★
というわけで、ちょっと前の「観てきた!」
まずは入り口で消毒液を手にかけてもらい、通過するところにはサーモスカメラが置いてありました。これで体温が高いと入れてもらえないのだと思いますが、聞いてみれば良かったなと後で思いました。次に希望者は飴など頂いてエレベーターで会場へ。受付をすませると外は寒いからということで、待機用の部屋へ案内されました。ここにもトイレにもあちこちに消毒液。会場に入ると指定席は結構詰まっていましたが、自由席は間をとってあるし、開演まで、また休憩時間は窓が解放されていて、対策は十分と思えました。
「マクベス」はいくつか見ていますが、セリフなど一番スタンダードだったかと思います。ただマクベスがスキンヘッドだったのは意外でした。
水を使っているということで楽しみにしていましたが、うーん、なんで?
「女から生まれたものは・・・」のセリフはやはり「女の股から生まれたものは・・・」の方が説得力があるのではと思ったのでした。

エール!
劇団チーム・ユニコン
テアトルBONBON(東京都)
2020/03/11 (水) ~ 2020/03/22 (日)公演終了
満足度★★★★★
3月からポツポツ始まっていましたが、4月に入ってほとんどの公演が中止、延期になりました。もう2週間近く劇場に行けない悲しい状況です。そこで今年になってから観に行ったのに「観てきた!」を書いていない舞台がいくつもあり、申し訳なさと、反省と、演劇への応援の気持ちも込めて、遅ればせながらの「観てきた!」です。
「エール」は田舎の友人が不要不急云々のお触れが出て観に来れなくなり、代わりに行くことになりました。友人はチケット代は寄付と思っても良いのだけれど、やはり座席を埋めるのが応援になるだろうと東京在住の私にチケットを2枚託し、そう言うことなら座席を埋めに行ってやろうと夫が共感、めったに私の観劇の誘いに乗らない夫と二人で出かけました。事前に、観劇の日は体温を測って来てくださいとメールが来ていたのですが、入り口には忘れた人のために体温計があり、問診もされました。その後テーブルに用意されたイソジン(多分)の泡の消毒液で手を洗いましたが、これには色がついているので洗い残しがありません。タンクに汲んだ水で泡を洗い流してもらい、当パンを受け取ってやっと入場という流れでした。会場に入ると移動可能な席は間をとって並べてあり、固定の座席は一人おきに座ることになっていました。終演後はすぐに開放部が開かれて、まだ冷たい3月の風が入って来ました。この後いろんな舞台を観に行きましたが、ここが1番厳密に対策していたのではないかと思われ、観たらすぐに「観てきた!」を書くのだったと後悔したのでしたが、この後バタバタしていたので書けずじまいで、近江谷さんごめんなさい。
さて、舞台ははっきりとどういう災害にあったのかということは言っていませんでした。災害にあって避難所で暮らすことになった人たちの交流とか、ありがちな揉め事とか決して暗くならずに描きます。本当ならもっと笑い声も響いたと思うのですが、観客はみんなマスクをしているし、座席数が少なく設定されているせいもあって静かな観劇となってしまいました。またいつか再演があったら観に行きたいものです。避難所の責任者が公務員らしからぬ柔軟な方で、こんな人がいたらいいのだろうなと思わせられました。

即興インプロ鍋
シアターX(カイ)
シアターX(東京都)
2020/01/04 (土) ~ 2020/01/05 (日)公演終了
満足度★★★★
「ケイタ・ケイパフォーマンス」2020 1月 シアターX
NYでダンス修行をしたケイタ・ケイさんによるワークショップ。基本的に参加者は舞台に上がり、講師の指導の下、様々なものになってみたり、様々な挙措を実践してみたりしながら、身体性に気付き、その可能性や表現に向けて己独自の動き、用い方などを編み出してゆく。自分は当日、熱があり、咳や鼻水も酷く風邪を皆さんにうつしてもいけないので観客席から拝見させて頂いただけであったが、有意義な時間を過ごさせていただいた。

Game of Laplace ~パノラマ島の怪人~
合同会社シザーブリッツ
シアターサンモール(東京都)
2018/04/13 (金) ~ 2018/04/22 (日)公演終了
満足度★★★★★
前作に引き続きの観劇。
シンプルにエグかった…
富田翔さんが抜群なんてモンじゃなかった。咆哮、叫び…
その声が脳裏に焼き付きました。

乱歩奇譚 Game of Laplace
合同会社シザーブリッツ
シアターサンモール(東京都)
2017/04/12 (水) ~ 2017/04/16 (日)公演終了
満足度★★★★
原作を知らずとも楽しめる作品でした。
世界観が完成されていて独特で、深淵な闇も深く広がっていました。
個人的には福地教光さんの在り方が凄く良かったです。飄々としているのに強かで。
また、コバヤシ役の高橋李依さんも近しい演技をする人が思い付かないくらい独特でした。
原作を知らないと書いたのに変な話ですが、
恐らく原作に忠実な世界観なんだろうなと観ていて感じました。
出演者の皆様、そして脚本、演出、音楽から照明まで全てにプロフェッショナルを感じました。

『イリクラ』-2019-
カガミ想馬プロデュース
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2019/07/18 (木) ~ 2019/07/22 (月)公演終了
満足度★★★★
2019年バージョン。
恐らく2018年バージョンよりも上演時間が長かった気がしたが、
作品としての纏まりや起承転結、場面転換やテンポ感は大きく改善されて、
俄然観易くなった印象でした。
役者さん達の歌唱力でも全体的に聴き易くなっていたのと、
遊びの部分もしっかりと遊んでいて、その空気感も好きでした。
物語もスッキリとクリアになっていた気がします。
上演時間の長さは相変わらずと思うしかありませんが、
2019年バージョンの長さは熱意と感じられる気がしました。
結局、単純な上演時間の長いや短いの比較ではなく、
観客が時間の長さをどう感じるかというものなのでしょうね。

イリクラ2018
カガミ想馬プロデュース
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2018/08/01 (水) ~ 2018/08/05 (日)公演終了
満足度★★
2018年バージョン。
初めて観た2017年のバージョンとは少し展開の違いがあったが、違和感なく観劇。
正直、2017年の方が全体的に歌唱力と纏まりの意味では上回った印象。
ただの印象だが、作品作りに苦労をしたのではないかと若干感じた。
観劇後に先ず長さを感じてしまったので今一つ気持ちが入らなかったのが正直なところです。

チェンジオブワールド
VACAR ENTERTAINMENT
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2020/03/06 (金) ~ 2020/03/15 (日)公演終了
満足度★★★
《2人の人物の入れ替わり》というテーマの作品の中でも入門編の様な分かり易さ。
イジメていた側とイジメられていた側の立場が入れ替わり、お互いの気持ちを理解し合う…
嫌がらせなどもシンプルに明確(露骨)で、観客も難なく作品に没入出来たのではないでしょうか?
(悪者側は作品を通してずっと悪いし、純朴側は作品を通してずっと素直だし…)
今後の再演でのネタバレ回避で最後の展開は伏せるが、
舞台作品として2人の主人公達が~というのは個人的にとても好きな展開だった。
青春を切り取る描き方、イジメなどを多く扱っている作・演出の方なので、
その点も不安なく観る事が出来た。
劇場のサイズ感などもあると思うが、想像を超える様な展開にはならなかったが、
事前に予想をしていた範囲は十分に満たす作品でした。

アルカサバ・シアター『アライブ・フロム・パレスチナ-占領下の物語』
川崎市アートセンター
川崎市アートセンター アルテリオ小劇場(神奈川県)
2011/02/11 (金) ~ 2011/02/13 (日)公演終了
満足度★★★★
DVDで観ました。悲劇の中にもブラックユーモアをたっぷり込めた作品でかなり笑えました。東京で上演していることをネタにしたメタ展開も。

We are lucky friends
劇団冷凍うさぎ
ウイングフィールド(大阪府)
2020/04/10 (金) ~ 2020/04/12 (日)公演終了

プレイルーム
ピウス
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2020/03/11 (水) ~ 2020/03/22 (日)公演終了
満足度★★★★★
この作品は3度目の拝見になると思う。
池袋編として同じKASSAIで過去にも拝見していたが、
あの凄まじい空間を何度でも味わいたくて、また今年もこの場所に来てしまった。
プレイヤーと呼ばれる殺人鬼と始まる鬼ごっこ。
身体を触れられると罰として訪れる死。
誰が犯人なのか、一体誰が本当の事を話し、誰が嘘を付いているのか…
初めて拝見した時の衝撃は今でも覚えているが、今回も素晴らしかった。
演じる方が毎回変わるので、若干の印象の違いが出てくるがそれもまた素晴らしい。
あの密度の高い閉鎖された空間での逃れられない様な緊張感は、この作品にピッタリだ。
きっとまた上演される、そして必ずその空間に私も足を運ぶだろうと今から確信している。

ライフメイカー
ピウス
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2020/03/13 (金) ~ 2020/03/22 (日)公演終了
満足度★★★★
同時上演の『プレイルーム』と対を成す作品と言えるだろうか。
私は今回、先に『プレイルーム』を観てから本作品の観劇を行った。
劇中劇というか、目の前に広がる世界の中にもう1つ世界があって…
何層にも世界が構築されていて、段々と種明かしがされていく様は
ピウス企画さんの流石の匠の技であった。
しかし目の前の世界と観客席との間に存在していたと思っていた何らかの境界線が、
いつの間にか観ている我々よりも外側に存在しているのかも知れない、という感覚は、
ゾクッとさせられる世界観であった。
息を殺して没頭出来る緊張感ある作品を堪能する事が出来た。
はぎのりなさんの飄々とした存在感が印象的でした。

ジプシー 〜千の輪の切り株の上の物語〜
ことのはbox
シアター風姿花伝(東京都)
2020/04/01 (水) ~ 2020/04/07 (火)公演終了

『4.48 PSYCHOSIS』(4時48分精神崩壊)
一般社団法人PAIR/PARADISE AIR
SPACE EDGE(東京都)
2020/03/20 (金) ~ 2020/03/23 (月)公演終了
配信映像を見た感想になるが...。
オペラの名の通り、台詞(と言っても殆ど作者の独白と言ってよい)全てに旋律が付き、ミザンスはバンド風にセンター・滝本直子、歌い手の男女(小野友輔、中西星羅)を左右に配して3ヴォーカル、後ろの壇上にドラムセット風演奏エリア(鈴木光介)。予定では異種競演のクインテットであったが、コロナ「対応」で葉名樺(ムーブ)の出演が無く、カルテットに。
鈴木氏の音楽が多彩な場面を作る。<時々自動>仕込みの意表を突く展開のあるビート、コード、メロディ、またオペラだけに言葉の抑揚をとらえた旋律。殴り書きに近いテキストが自らの「肉体」として欲するのは、調べであり色であるのかも。オペラは音楽の範疇と言えるが、この場合「作曲:鈴木光介」とすべきであり、題は「4.48PSYCHOSIS組曲」になるか。どこかでまたやってほしい。いや当然やるでしょう。

白鳥先生と過ごした2日間
enji
吉祥寺シアター(東京都)
2020/04/02 (木) ~ 2020/04/05 (日)公演終了
満足度★★★★★
話が進むにつれて、どんどん見えてくる人間関係、
いろいろな想いを感じさせてくれますが、
根底には、優しさに溢れたステージ、良かったです!

ジプシー 〜千の輪の切り株の上の物語〜
ことのはbox
シアター風姿花伝(東京都)
2020/04/01 (水) ~ 2020/04/07 (火)公演終了

まじかるすいーとプリズム・ナナ ザ・スターリーステージ
オッドエンタテイメント
サンシャイン劇場(東京都)
2017/09/13 (水) ~ 2017/09/18 (月)公演終了
満足度★★★★
玉川来夢さん出演。
持田千妃来さん出演。
この続編というか派生の舞台「ナナステ スイーティブストーリーズ」はコロナ禍で中止になってしまいました。そういえば、このオリジナルの感想書いてなかったな、と。
2回観劇しました。1回めではよくわからなかったですが、2回めで大体理解しました。壮大なストーリー。DVDでも何回か見るほどに、気に入りました。セットがほとんどないのですが、映像と演技と歌でうまく表現していました。
ミュージカルのようにたくさんの歌が出てきます(一部は口パク)。吠埜役の栗生みなさんの生歌はさすがでした。感動的です。
玉川来夢さんは「ばあや」役。予想以上の出番で、重要な役を見事に演じていました。
持田千妃来さんは雛菊という女武者のような役。得意の殺陣を披露しました。出番は3回くらいと、ちょっと少なかったですが。

ヘンリー・リー・ルーカスにまつわる..
劇団パラノワール(旧Voyantroupe)
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2020/04/02 (木) ~ 2020/04/12 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2020/04/06 (月) 14:00
座席2列
『ヘンリー・リー・ルーカスは殺してしまう』
宇野正玖のルーカス愛に満ちた一編。表版と称する意味も、さもありなんの、ヘンリー・リー・ルーカス一代記である。舞台は、伝記を書こうと目論んだジャーナリストが獄中のルーカスに会いに来る場面から始まるといったオーソドクスな作り。少年・青年・壮年のヘンリーを3人の役者(大森さつき、平良和義 渡辺一人)で演じ分け、彼の精神史と行動を丹念に描き尽くす。
その陰惨な幼少期、母親のヴィオラの登場シーンは強烈で、物語の前半まで彼女の存在感が、在不在にかかわらず舞台全体を支配する。
中盤のヘンリーは少女ベッキーとの犯罪行における純情と蛮行。ベッキーがキリスト教信仰に至る場面でのヘンリーとの気持ちの乖離の描き方は丁寧で、愛したい・愛されたいというヘンリーのもがきが観客の心を掴む。
ストーリーの悲劇性は留まること知らないが、それでも、時折訪れるヘンリーの心の安寧に観客も安堵することが、観劇での大きな拠り所になっている。
監獄でのヘンリーは、むしろ神々しささへまとい、浄化を経たかのようだ。
ただ、舞台の広がりを求めたのだろうけれど〈裏〉を含めて、ビデオ画像に頼る演出はちょっと興覚めなところが多い。山中での犯行や草原での遺体の処理など、限られた狭い舞台では表現しづらいことは理解できるのだけれど、その場面の意味も含めて舞台上に顕在化させることはできなかったのだろうか。

よつば診療浪漫劇~父と嘘をついた泥棒は、本当の父でした~
劇団シアターザロケッツ
ザ・ポケット(東京都)
2020/03/18 (水) ~ 2020/03/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
2020年弥生 過日 PM14:00 中野 ザ・ポケット
午後から雨だという天気予報が嘘のような、麗らかで暖かな昼下がり、桜が街を染める弥生過日、劇団シアターザロケッツ第十回舞台公演『よつば診療浪漫劇』を観に中野 ザ・ポケットへと足を運んだ。
劇場に入り、席に着き、目の前に広がったのは、
時は大正。所はよつば診療所。
若い女を連れて蒸発した父、父の蒸発後、母を病気で亡くした事がきっかけになり、医者になってよつば診療所を開業した真(井上貴々さん)の診療所に、波乱の半生を送った末に泥棒家業に至り、息子の診療所と知らずに空き巣に入り、診療所で出くわした面々についた嘘が原因で逃げるに逃げられなくなった父 次郎と診療所に訪れる人たちが繰り広げる、夢と希望、愛と別れ、嘘と真の笑ってほろりとする浪漫喜劇。
行き当たりばったり、口から次々溢れる次郎の嘘が診療所に集まる、悩みや惑い、夢を抱えた人々の心に響き、背中を押すきっかけになったのは、次郎の嘘に一欠片の実があるからではないのだろうか。
それは、物語を書く時に99の嘘をそこにあるかの如く成立させるのに、1つの真実を核にするような、1つの真実を99の嘘で包み、物語を作り上げるのに似ている。
結末へ向けて、解き解されてゆく次郎の蒸発した本当の理由、それによって溶けてゆく真の父へのわだかまり。
次郎の言葉で、次郎と接するうちに、それぞれがそれぞれの夢と希望を見出して行く。
笑って、笑って、ほのかな切なさとほろりと沁みる温かで、久しぶりにお腹の底から笑って暫し今を取り巻く落ち着かない状況を忘れた舞台だった。
文:麻美 雪

ヘンリー・リー・ルーカスにまつわる..
劇団パラノワール(旧Voyantroupe)
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2020/04/02 (木) ~ 2020/04/12 (日)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2020/04/06 (月) 14:00
座席2列
『ヘンリー・リー・ルーカスと殺人カルト集団』
ヘンリーが所属し、殺人術を取得したとされるカルト宗教集団「死の腕」にテッド・バンデイやチャールズ・マンソンがいたらという創作。まさに、夢の共演というところだが、バンディやマンソンの個性がうまく描かれておらず、ただのドンちゃん騒ぎに終始している感がある。
ヘンリーは孤高の存在で、終始静かで抑制的。あまり周囲と絡まないので、ただただ教団のどんちき騒ぎを見せられている感が強く、物語としては凡庸。
物語としては、割の良い仕事(教団のビデオ撮影)から教団に入信した(本人たちにその意識はないようだが)2人の若者が、教団内部の不協和音に乗じて、自らが作り上げた脚本と演出によって、教団自体を意のままに操っていくブラックユーモアが通底している。これが焦点となるくらいかな。