満足度★★★★
可愛いロボット
面白いというか好み。80分。
ネタバレBOX
ロボットが一般化し、むしろ「人間雇用30%」を法制化しなくちゃならないような世界の、とあるイベント会社。社長(用松亮)を筆頭に、旧式ロボ(徳元直子)や仕事できるけど女好きなシマ(浅井浩介)、シマに惹かれるちょっと冷めたアオキ(青木五百厘)が、アトム生誕10周年記念イベントのプレゼンに向けて頑張っている。そこに、社長の姪でかわいい新入社員のオジョウサン(佐治静)が働き始める…。
ユルめなユーモアでくすっと笑える。キャラがいいというか、セリフのセンスがいいというのか。爆笑はないけど面白い。
ロボの可愛らしい動きと声い愛着が湧く。んで、そのロボが故障し、修復不可能になる。アトムの暴行事件でイベントの存続(=会社の存続)が危機に陥り、ロボが最期の時間で方向性を示す。そして、疲れた社長を優しく慰める…。
社長の成長にあわせて、教育係や会社の従業員、秘書のプログラムを経てついにその役目を終えるロボ。母親のように、社長の頭なでなでするラストシーンがあたたかい。マザコンといえばそれまでだけど、柔らかい愛情をみせてくれてこっちも暖かくなる。ベタといえばベタなんだけどね。
時に甘えん坊で弱気な社長を演じた用松がマッチしてた。そして、顔を見せずに声と動きで魅力的なロボを演じた徳元に拍手したい。
満足度★★★★
雨女
後半とってもいい。
飛び道具なオンディーヌを演じた西岡知美の眼がいい。
ネタバレBOX
麻巳子(長谷椿)の店で行われる「耐久コン」。SNSで知り合った人や麻巳子の知り合いが加わってのコンパだったが、人の暗い部分に照明があたっていきコンパも終焉に向かう…。
麻巳子…小学校時代、友人の男の子が誘拐されたが通報せず、心の底にそれをしまい込んでいた。ラスト、店に住む妖精(後藤真一)がその子だったと分かる瞬間の恐ろしさがキュと背中を引き締める。
三白眼(雅憐)…公務員。妖精や幽霊が見える。
ブラックキャット(橋本惠一郎)…麻巳子が好きだった。誘拐の一件で、他人が壊れるさまを好む変態に。凄腕ハッカー。
キラキラピンク(新名亜子)…35歳の未婚。涼牙(遠藤公太朗)に生きる道を示される。
ねむパンダ(工藤理穂)…酒好き。ダボさん(長戸勝彦)の娘。ダボさんを追って会に参加する。ダボさんと正面から向き合い、「また来る」と前を向く。
涼牙…L字チンコとアネモネ(森南波)のストーキングに悩む善良なホスト。
ミウ(小川麻里奈)…冷めたピンサロ嬢。
オンディーヌ…水難が似合う女。というか水が命。火事から街を救った英雄。
アネモネ…元爆弾岩な自分がいやで整形をして美貌を手に入れるも、不安から逃げられず、ホストに走り、売春を重ねる。
伊藤芹(生見司織)…表面上はアネモネの友人。アネモネが自分の男と寝たことを恨み、その秘密をネットでバラす。
梅吉(桑原聡)…ねむパンダのことが好き。ダボさんのことも好き。
ダボさん…なんとか娘と向き合えた酔っ払い。
バーバラ(BOSSY)…黒人調な純日本人。赤羽生まれがいいとこ突いてる。
妖精…ちょっとオカマ。その笑顔がラスト怖い。
コートの男…マジシャン。スプーンをL字に曲げた。
後半のブラックキャットがかき混ぜ役になり、アネモネや芹、麻巳子らの暗部が浮かび上がる。皆隠し事をして生きる女性、というか嫌なものから目をそらす女性。ねむパンダやキラキラピンクは、向き合えた女性。その対比。その恐ろしさに後半惹かれまくった。上手かった。
オンディーヌさんは、いいキャラで笑いを誘った。スゲーポジティブな女性ってとこがポイントか。輝いてた。
妙な人間が一番幸せそうってね。オンディーヌさんの闇もあればみたい。
満足度★★★
スナイパー
チケットプレゼントにて鑑賞。
「お調子者、見参」は見ごたえ抜群。
ネタバレBOX
遅刻しました。すみません。
3「お風呂やさん。」
途中からだけど、ゆったりしたモーションとタオルアクトが暖かい。
ちなみに、ここのBGMがとっても素敵。
4「オカモトさん。①」
喫茶店だかから、標的を狙おうとするオカモトさん(34歳)が面白い。ボーイに引きずられていくオチもいい。
5「お前には降参。」
人と人との見えない壁(空気)をユーモアに描く。デートの申込み編とか娘さんを僕にください編とか。デモンストレーションを据えてからやるのが奏功してる。
6「オカモトさん。②」
ラジオ体操の中から標的を狙う。
7「鬼さん、こちら。」
ちょっとシュール。
8「オカモトさん。③」
標的を狙うため準備しているうちに、内部抗争で標的が死んじゃうってシンプルさに笑った。決めポーズもいい。
9「お調子者、見参!」
銀行強盗に対峙するヒーローだったが、とっても弱くて、行員の方がいい闘いをする。しかし、強盗の念力に行員も絶体絶命の危機に瀕する。その瞬間、ヒーローが覚醒する…。
いい展開。黒衣を使った演出(ワイヤーアクションとか)もベタながらいい。効果音のパネルも出てくる少年漫画な色合いも、客をノセてくれる。ヒーロー覚醒時の衣服がかっこよくなるとか、髪の毛逆立ち(ワックス使用)とか、笑えた。音響や照明もいい感じに効いてた。上手い。
んで、ヒーローがやっつけると思わせてからの、オカモトさんの一撃ってオチがまたいい。素敵な出来栄えだった。
10「おとなりさん。」
カップルが足の組み方でいがみ合ったりする、ウォーミングな話。程よい距離がいいってことかな。
11「おすましさん。」
さっぱりめの〆でいいと思いました。
満足度★★★
世界はむしろ続きそう
面白い。
ネタバレBOX
色んな男女関係(神様もいたけど)が、そこかしこで猥雑に展開する…。
春子(松本みゆき)…両親の離婚とメンタル異常な母の影響で愛に飢え、売春を繰り返す女子高生。ビートバンの彼氏(古塩貴也)のおバカさに救われる。
夏子(しまおみほ)…婚約者のいる教師(則元秀之)を誘惑したり、相田(勃起崎鋼太)に嘘教えたり、大活躍。
秋子(森みどり)…コスプレ喫茶の店長(和田哲也)と寝るも、結局店長は彼女(じょん)と結婚する。そして、秋子は神様(浅田鎮歩)と決闘する。
冬子(わらぼっくる)…ファミマ店員の杉山(森川達也)に色仕掛けするも結局オナニーで慰める。
どのエピソードがメインってワケでもないけど、春子のが一番それっぽいかな。また、相田とミステリアス吉川(藤井牧子)とブス女(背能じゅん)の三角関係も面白い。終盤の届かない手紙~背負投のとことか。
後半、面白さが増した。いたるところでSEXしたりオナニーしたりで、皆気持ちが上向くってシンプルなところがヘンテコで好感。理屈じゃないってことか。
時間が130分超だったのが、もう20分短ければ良いなと。ラストの神様のくだりは、笑えたけどいらないかも。その前の相田「俺も童貞だし!」が良かっただけにね。
指を性器に例えたルールは良かった。けど、アクティングエリアが広いからか、指をしゃぶったりとかこすったりが見えないので、ちょっと惜しい。まあ、それ自体が重要じゃないけども。
満足度★★★★
母なる人
面白い。
ネタバレBOX
紛争国への単身赴任を独断で決めた圭介(瀧川英次)に不満を持つ彼女の美香(春日井静奈)が家を訪れることに憤慨する圭介。同時に、叔母・純子(歌川椎子)にも、いつまで同居してんだと当り散らす。圭介の子を身ごもり涙にくれる美香に土下座する純子は、自分が圭介の本当の母だと告げる…。
荒れた生活から、圭介を捨てて姉に預けた純子は、姉の死をキッカケに圭介らと同居する。それまで姉の子と思っていた圭介は以後反発するも、純子は、息子と一緒にいられることの幸せを感じていた。
そんな純子が、圭介の赴任をやめさせる妄想にふけるシーンは、地味ながらもあとからジーンとくる。
美香や子と向き合わず、逃げるように赴任しようとする圭介に対し、純子の告白で腹を括る美香が、精神的に母に近づく。そして、純子と圭介の仲を取り持つ。ラスト、圭介の「ハッピーバースディ」に「誕生日おめでとう」と、背中で魅せる演出と演技が上手い。
引きこもりチックで虫好きな妹・良子(松坂早苗)と片思いの相手・酒井(平塚真介)との失恋。劣等感と怪我で失意の兄・隆史(藤本浩二)。二人とも自暴自棄になるも、純子たちの助けで活力を取り戻す。
「家族の死」で狂い始めた「家族」が再生する話。いかにも元気なオバさんである純子が、大きな傷を抱えた母であることの意外性。90分で上下に揺れ動く舞台に満足できた。
「母には勝てない」という台詞を美香が言ったけども、結局美香も母になるワケで。「女」と「母」の関係も面白いなと思った。
理屈で説明にしくい「母」って存在に怖いなと思ったり、あたたかいって思ったり。そんな舞台。
満足度★★★
ピーチ姫
邪道ver.
ネタバレBOX
人の尻を食べたい鬼王(渡辺一人)に差し出されそうになる、財閥会長・御前(秋山輝雄)の娘で粗暴なキジ(川添美和)や他の桃姫たちの話。色んな人間や鬼の思惑が交差し、ツグミ(水川美波)が身代わりになり助かるハズだったキジだったが、進んで鬼王の次男・ビズラ(平良和義)に喰われ、御前にファックユーする。
鬼に差し出される桃姫はエロティックな衣装を着させられ、暴力と薬物で支配されって不遇な扱い。そもそも、鬼の島に来る前は水商売だかなんだかやってたヤサグレた女でという、裏社会な設定。キビタキ(水辺小百合)の女のプライド発言とか、ツグミの御前らに吐いた意地の台詞とか、なかなか見ごたえあった。
キジは、父の愛情不足から荒れた生活を送ったせいで鬼に差し出されそうになったワケだけども、なんつー家出少女なメンタルかと思った。それが父に逆襲するってとこがキモなのかしら。ちょっとピンと来なかった。
一方の鬼や人間らの関係がゴチャゴチャしているせいか、興味が惹かれなかったのが残念。あと、早口だと聞き取りにくい。
満足度★★★
黒い青春
終盤の見せ場は良かった。チラシデザインも良かった。案内もしっかりしてた。
ネタバレBOX
旧校舎取り壊し前に集まった、高校放送部の面々。懐かしんだり今の立ち位置を確認したり、過去と現在を行ったり来たり…。
人見知りの中原遥(高木和沙)に優しく指導する小林春花(加藤睦望)。小林のおかげで明るく振る舞えるようになった中原。順調な高校生活だったが、二人の心に少しずつズレが生じていく。そして、中原は皆の前で小林の秘密(不妊)をばらす。
二人が微妙な心を上手く演じてた。話もここの部分は見ごたえあった。「言わなきゃわからない。以心伝心しない」ってとこもいい。
ちなみに、出版業の彼が盗聴してたってのもいい。
見せ場以外の会話部分が、やや弱いかなと思った。平坦な会話でこそ独自なセンスをみせてほしい。
放送室が舞台だからかBGMがうるさい、というかしゃべりがかなり聞き取りにくい。BGMは小さくてよいのでは。会話がメインなわけだし。
満足度★★★
突飛
せっかくの二人芝居なので、どっちがどっちかわかるように、パンフに顔写真のせてもいいのでは。
ネタバレBOX
盲目の女の就職話に始まったかと思うと、あれよあれよと話が変わっていく。二人芝居の会話の合間に突飛なフレーズが飛び込んできて、ちょっとクスっとできる。
基本意味わからんけど。
かわいいに落ちないとこが良かった。表情も良かった。
衣装や舞台に見栄えがあれば(今回のは制限ありだけど)、キラっとする舞台になったかも。
単に、妙な舞台で終わらないといいなと思う。
満足度★★★
WEEK ENDS
面白い。
「暗い日曜日」が好み。
チラシの出来が上々。
舞台が観にくい。
ネタバレBOX
「フリマ」
真澄(須藤真澄)とまの(渡辺まの)がフリマに参加。タイニイアリスのアヤノン(古屋敷悠)とまのは意気投合。寂しい真澄は、公園管理人・植松(友松栄)にヘルメットを買ってもらえず更に寂しい…。
ヘルメットネタは笑った。序章のように短いのもいい。
「ジャンクション」
対バン公演開演間近、いつものように揉めるメンバーに呆れるみっくん(島田雅之)。そこに差し入れを持ってくる元ライバルのエリック(宮田智佳)。台風で二時間以上の舞台を任されることになったタイニイアリスは、覚悟を決めて舞台に向かう…。
一番笑った。リズムがいい。キャラや設定がとてもたってる。引退しファンと結婚するというエリックと、何がしたくてやってんだかわからなくなっているみっくんとの間にある溝。エリックにも音楽にも未練のありそうなみっくんに対し、音楽と離れる決意をしたエリックの温度差。笑えるけど、どこか不安になる。
「暗い日曜日」
日曜の喫茶店。OL・岡田(渡辺まの)は、会社の上司を殺すため何でも屋・菅沼(斉藤マッチュ)に依頼する。依頼だけでは収まらず、岡田は上司への想いを菅沼に必死に伝えるが…。
楽しい週末を得るため、殺人の依頼に大金を掛けようとする岡田が面白くもあり怖くもある。実際、月曜の「重さ」はなかなかだし、職場にトラブル抱えてたら尚更。
実は詐欺をしてましたと告白し立ち去ろうとする菅沼に、もうちょっと一緒にいてと願う岡田。無職でダメ人間だけど人生楽しんでそうな菅沼と、几帳面そうで精神的に面倒くさそうな岡田が「笑点」を一緒にみる。ちょっと暖かい。そしてコレが大事なことなんだなと思う。
コミカルなようでいて、自殺者の多い現代人へのエールのような作品だった。
「まめまめしい」
金曜の夜も家で独りのOL・レイコ(渡辺詩子)の部屋に不法侵入する同僚のシュウ(須藤真澄)とトロ子(宮田智佳)。シュウのSMとかトロ子のほんわか片思いとか話が出るも、レイコは自分のことは話さない。レイコがいなくなった隙にPCを覗き見る二人は、同僚への誹謗中傷ツイートを繰り返すレイコに動揺する…。
三人のカラーの違いが話の面白さを際立たせる。シュウのガツガツ行く感じとトロ子のおっとりした感じ、レイコの堅物的な物腰。特にレイコはジャージを通り越してのオーラがすごい。レイコのねじ曲がった愛情がPCを通して他者に向かうさまはなかなか恐ろしく、マメをブツけ合うさまは「女の子」な顔を魅せてくれた。
「こちらN公園管理人事務所爆発前」
公園を愛する植松、話がつまんないと彼・憂(古屋敷悠)にふられる渡辺めぐみ(渡辺詩子)に、なぜつまんないのかを指摘するも、めぐみは普通で何が悪いと吐き捨てる…。
景観を損ねると、公園でイチャつくカップルを攻撃する植松が、いいおっさん具合。そのクセ、めぐみが好みだとか男なとこも見せちゃう愛すべきキャラ。まあ、オチなんてないと言い切るめぐみもかわいいけど。
フツーならフツーで、異常なら異常で、迷走し苦労する人間を覗いてニヤニヤできる。気にしないのが一番だけど。植松みたいに。
満足度★★★
ゼビウス
ゼビウスは知らない。
チラシの文面。要所にフリガナ表記がある点、地味に評価したい。
ネタバレBOX
ゼビウスのバグとか、フェイクなビッチガールズとか、野球とかディ○ニーとか、色んなトコに話が飛ぶごちゃまぜな作品。特に意味とか考えずに観てたおかげかなかなか楽しめた。
元ネタはあんまり知らないけど、ここはそこまで重要でもないかなと。それぞれのシーンが色々繋がっているけど、そのシーン自体でも見ごたえあった。
作品の意味はわからんけど、演出に味があった。あと、照明効果は好み。
満足度★★★★
奥さん
面白い。
ネタバレBOX
しおり(岸井ゆきの)とその家庭教師・高崎馬(本村壮平)とママ(石橋けい)が談笑してる中にパパ(古屋隆太)が帰ってきて、北京飯店で飯を食べることになる。そこに隣人の吉岡夫妻が訪ねてきて、しおりを本当の父が引き取ると告げる…。
しおり…高崎馬を手のヒラの上で転がす、若干小悪魔。
高崎馬…大学の登山部所属。しおりを想定したエアー抱擁をしおりに見られる。ウブ。
ママ…精神病に罹ってそうな美人。低血圧っぽい。パパを内心見限っている。
パパ…しおりの本当の父でない、というつくり話が本当だったってことで動転。なかなかいい体してるけど、ママからウワベだけと見透かされる。
吉岡妻(永井若葉)…いい感じにウザイ。
吉岡夫(岡部たかし)…やはりいい感じにウザイ。
添島テルオ(猪野学)…しおりの本当の父。刑務所に入ってた頃に「ミルフィーユ記念日」を創設する。やはりいい体してる。
会話から発する絶妙な空気がいい。思わずニヤニヤしてしまう。吉岡夫妻来訪までの4人のとこなんか特に。
問題ありげな家庭に、吉岡夫妻という厄介者が入ってきて、不穏な空気が作られる。そしてそんな空気を、終盤のパパ混乱で一気に吹き飛ばす。古屋の演技も逐一良かった。
しおりの身代わりを仰せつかった高崎馬の女装と舞台空気のギャップとか、しおりを取られまいと奮闘するパパを尻目に、添島のいい体が決め手になって離れるママとしおりとか、いいさじ加減で期待を裏切ってくれるとこに惹かれる。
二人が出ていき、残ったパパにビールを持ってくる高崎馬はしおりになりきる。捨てられた男二人の哀しさが印象的。そして、その反対側にいる女性二人(ママとしおり)の存在もまた、印象に残る舞台だった。「家族」の話だけど、「男」と「女」で区切られた作品だった。
カーテンコール後、客席に笑顔を振りまく岸井が素敵。
満足度★★★
飴とせんべい
ワワフラミンゴ未見。なんかかわいい。
ネタバレBOX
女の子の暗殺者みたいな会話。
のんびりでふわふわしててどこ掴んでいいのかわからない感じ。けど、わけわかんなくてストレスって舞台でもない。たまに笑える。
ワワフラミンゴ公演に興味が湧いた。
菅谷和美のシュとした美しさに惚れる。
北村恵の衣装が素敵。
渡辺とかげの鼻息で会話する演技がシュールでとてもいい。
満足度★★★
絵本
ハートフル。
ネタバレBOX
入院しているパレパーレ8歳とペルペルペ88歳の友情とか。
飛行機のシーンは良かった。そのほか、会話の中身もいいと思うとこがあった。60分であれやこれやと展示したわりに、しっかりまとまってた。
作り物な小道具や衣装が作品の調子にあってたとも思うけど、安っぽい感がすぎるかな。好みかもしれないけど。あと、ラストの歌はなくてもいいと思った。
満足度★★★★
戦後の変革
面白い。乗車票に模したチケットがかわいい。
ひとりごちる箇所が聞き取りにくかった。
ネタバレBOX
敗戦後のGHQ占領下に起きた「下山事件」を題材に混乱期の日本を生きる男を描く。
パイプを組んだだけの舞台がヒンヤリとした作品にマッチして、とても映える。暗い照明も手伝ってヒリヒリした舞台が二時間続く。途中、車掌(西原誠吾)と下山(植村宏司)のシーンはコミカル調だったけど。ここ好きだけど。
占領下において、公務員の削減が法定され10万人削減を迫られる国鉄。その矢面にたたされ、D51-651に轢断された下山。削減にに反発する労働組合。政治の問題と言い放つ役人(植村)。捜査の限界を感じる警官(加藤敦)。東京裁判も担当した弁護士(小野ゆたか)。シンプルなような複雑なような関係性でもって、話は暗闇の中を深く突き進む。
満州鉄道から国鉄に移り、下山の部下だった機関士(生津徹)は解雇を免れ、労組に入っていた車掌は首切りにあい、警察に拘留される。車掌を助けるため、機関士と機関助士(井内勇希)は虚偽の証言を行うが…。
「末端」と「権力」って構図。本作品に登場した人物は全員「末端」。
この事件自体、公式発表なくして捜査が終了したという、いわくつき。誰が動かしているんだかわからない列車が真っ暗な道をひた走る。そんな「社会」の恐ろしさが詰まってた。
救いは登場人物の暖かさというか人間らしさかな。みな、血の通った人間だった。
戦後の変革期に起こった怪事件ではあるけど、現代日本も変革の必要性
は高まっている。犠牲なくして変革はできないのが人間社会なのか。そしてその犠牲は誰が負うのか、と考えた。
満足度★★★★
白衣のチカラ
面白い。浣腸が万病に効くことがわかった。
ネタバレBOX
自身を病気と思い込み、医者からの処方箋を信奉して止まないアルガン(阿部一徳)が、娘のフローラ(マチルド・エティエンヌ)を医者の息子と結婚させ、医者を傍に置こうと企む。死んだふりで娘の愛情を受け止め、結果、医者になるアルガンだった…。
医療風刺な作品。生きたいって本能的に願う「人間」を揶揄した作品。笑えるところが多いけど、実際はなかなか重い作品なのか。「病」と「人」とのつながり(むしろ畏怖)を滑稽に展示してくれた。
オペラはほとんど観ないけど、演劇を中心に古楽オケ+声楽を加えた舞台はとても見やすくて飲み込める。セミ・ステージらしく、演奏者や指揮者へのカラミも程よくあって、楽しい舞台だった。オチの、指揮「お客様の中に医者はいますか」ってのも綺麗。あと、追い出されたベリー(本田麻紀)の落下具合もいい。
後半は楽曲が少なくなってたけども、しょうがないのかな。
満足度★★★
白いナース服
気軽に楽しめる。
ネタバレBOX
時の一族が読むと「不老」の力が得られる「時の書」をめぐる、ファンタジーでハードボイルドな話。
一族の末裔で400年、年を取らずに生き続ける少女・セラ(佐藤歩)と相棒のタイガ(河野智平)。強盗団ビールズや、とある投機会社の社長、未来から来た刑事たち、そして時の一族のリーダー・ビゼン(津村英哲)が、それぞれの思惑や使命を絡め合いながら物語をつくる。
未来から来た悪人の成りすましだったハカセ(秋山慎治)から「時の書」を奪い返し、「不老」を解除しようとするセラ。ビゼンは、一気に400年老いて存在が消えると忠告する。タイガは思いとどまるよう説得・対決するも、セラは「見送ってほしい」とタイガに気持ちを伝える。何気に、幼少期に剣術を教えていたって前フリも効いて、いいシーンになってた。二人とも演技も良かった。
ビートルズのポーラを脱退させるシーンのニヒルな対応は、いかにもっぽいけど○。んで、暗い部屋の中、ポーラから銃撃され瀕死になったレノン(麻見拓斗)と相棒リンゴ(尾鷲知恵)のやりとりも○。傷のことを気づかせまいとし、死後のことを思いやるレノンと、そんなレノンの状態に気づきつつ話を合わせるリンゴの、信頼関係を象徴するシーンにグッときた。
ここのとこ、セラとタイガの場合とはちょっと違う。年季の違いか。大切な人の最期に、取り乱さずにいられるかどうかが肝心だと。セラの落ち着き具合がいい。
話は、色んな要素を盛り込みつつも、スッキリと分かりやすくていい感じ。ただ、笑えるところはしっかり笑わせてくれるとなお良い。
佐藤歩が、400年の孤独を抱える少女を好演してた。目つきがいい。なんちゃって中国人なヨンを演じた茗原直人の存在が、舞台のコメディなとこを担ってた。黒幕ハカセもいい感じ。だけど、ラストが小物な感じで扱い的にもったいなかったかな。
満足度★★★
キューン、キューン
繊細な作品でした。
ネタバレBOX
「限定解除、今は何も語れない」
鹿と人間の闘いとか、兄が増えたり妹が増えたり、夢なのか台本の中身なのか、現実なのか。不思議な世界を一時間ちょっとで描く…。
ファンタジックなものとリアリティな部分が切れ目なく続く。その手法が上手い。
「あと少し待って」
震災の次の日くらいから数日を描く…。
かなり静かで暗い舞台。お菓子食べて感動して、電気ついて感動して。ぼんやりと、人と人とのつながりを描く。
満足度★★★★
未婚
面白い。
ネタバレBOX
ゆみ(辻川幸代)のbarに集まる女性たち。それぞれ悩んで酒飲んで…。
ゆみ…酒乱の夫のもとに子を置いて逃げた経験(子は死んだ?)から、りん(村田綾)のDV彼氏を刺す。
法子(大見遥)…ゆみの従姉妹。独身を肯定しつつ、独身の劣等感と不安を募らせる。
ともこ(もたい陽子)…保険の営業。子育て疲れから結婚を悲観。その鬱憤を法子へぶつける。
東(平田裕香)…ともこの同僚。幼い頃に母が出ていった経験から「家族」に対してドライな考えを持っている。
りん…barの向いに引っ越してきた。DV彼氏から離れられない。
ハル子(菊池美里)…見かけによらず、弁護士で子持ち。
賠償かほり(川原万季)…ともこらの顧客。豹柄なおばちゃん。
女性からみた「家庭」とは、「女」とは、「人生」とはって話。会話の中身は、男性的な感じで、踏み込みつつもさっぱりしてて好印象。
「結婚」と「出産」って聖域めいたモノとどう向き合うのかってとこが面白い。女性からすれば笑える内容じゃないのかな。これは、実際に体験しないとなんとも言えないなと。
ラスト、ゆみが包丁もって出て行くとこで終わってたら、印象の違う作品になったかも。良い悪いでは片付かないテーマを、ちょっと苦くて、ちょっと優しい愛情で包んだ良作だった。
満足度★★★
ぱれえど
チケットプレゼントにて鑑賞。
ネタバレBOX
大公害被害を出した会社に勤めてた岩瀬(鈴木歩己)は、罪悪感を抱えたままドブさらいの仕事を続ける。そんな岩瀬には、地獄人・タミラ(鈴木アメリ)の姿が見えていた…。
陽本…ヤクザな権田殺しの罪を被る。
権田(山森信太郎)…バカラ賭博を仕切る。キレやすいシスコン。
和世(中島美紀)…キャバクラのママ。陽本の子・志乃(今城史恵)を授かる。
明日香(吉川莉早)…進藤(立浪伸一)を弄び、陽本(川本裕之)と付き合う。
茉奈(平田暁子)…陽本のフィアンセ。陽本の浮気で自称うつ病になり失踪。
進藤…明日香にコケにされ、金欲に走るも、バカラ賭博で破滅に向かう。
西(岩田裕耳)…薬の密売をする精神科医。見下されることに劣等感を抱く。
佐久間(ぽんず)…芸人志望。岩瀬を脅すも、殺される。
渡部(竜史)…正義感溢れる若手警官。出世と無縁な交番勤務が続く。
志乃…父・岩瀬を受け入れられずにいる。
タミラ…バカンス中の地獄人。固いプリンが好き。
岩瀬…罪悪感を引きずるも、それを克服する。
岩瀬と陽本の「罪悪感」の対比、とその同調。タミラがみえる人は大きな罪悪感を抱えているという。ラスト、罪悪感を抱えた陽本が死んだ岩瀬をみて何を思ったか。踊る面々の中、ダメ人間同士の傷の舐め合いにも見えるし、罪悪感を受け入れる潔さににも見える。
ダメ人間のオンパレードで、100分飽きない。飽きないけど、それぞれの話が薄味な印象。「哀しさ」がもっとほしい。
ラストの演出の変に派手にしないとこは良かった。陽本と岩瀬が見つめ合い、周りで亡霊のように踊り演奏する構図に、乾いたチグハグ感があった。作品に「哀しさ」がもっとあれば、ここがもっと際立ったように思う。
満足度★★★★
初代・地球の王様
面白い。
ネタバレBOX
ウィルスの蔓延で、とある食品会社の社員+清掃員の6名が生き延びている富士山の山小屋に、単独宇宙飛行を終えた宇宙飛行士がやってきて、リーダーを決めようと提案する。部長の梅木(西村雅彦)の信任投票を行うも、賛成1、反対6の結果に半狂乱する梅木だったが…。
人類がほぼ死亡した異常な状況に反して、序盤からコメディな雰囲気。終盤、宇宙飛行士・里見(永井大)の本音が飛び出すシーンでややシリアスになるも、アットホームな空気の舞台だった。笑えるとこもけっこうあって、安心して気軽に観劇できる楽しい作品。印象はいい。
人類継続のため、若い明梨(大塚千弘)に子を産ませようとする里見のくだりみたいなリアルな話は少なく、美熟女な佐和子(高橋ひとみ)の一妻多夫制の提唱とか梅木の年功序列で小うるさい話とか、芦田(片桐仁)の強盗話とかにスポットを当てている。
終盤、カレーを食べる面々が示すように、非常時こそ日常なふるまいをして、何気ない話して、恋して怒って、これからも生きていくというようなね。普段着みたいな印象。
人間をライトに描き、笑いにつなげ、変にグロくしないとこがいいところかな。物足りないといえば物足りないけど。
王様決めの話が出るまでがちょっとだるかったけど、王様の話以降は格段に面白くなった。華のあるキャストと話が上手くマッチした好みの舞台だった。